テーブル
【課題】天板と脚部との脱着を容易に行うことのできるテーブルを提供する。
【解決手段】天板2と、この天板2を下方から支持する脚部1と、これら天板2と脚部1を脱着可能に係合させる係合機構とを有するものであって、係合機構が、天板2と脚部1のうち何れか一方に設けた段付きピン51と、他方に設けた係合孔53を有する板状の係合部材52とからなるとともに、段付きピン51が頭部51aとこれよりも小径の軸部51bとからなり、係合孔53が段付きピン51を挿入可能な挿入孔部53aとスライドにより頭部51aを引っ掛けるスライド孔部53bとを連結したものにおいて、挿入孔部53aの開口縁を厚み方向に立ち上げ、段付きピン51の頭部51aの側面51a1と当接可能に構成した。
【解決手段】天板2と、この天板2を下方から支持する脚部1と、これら天板2と脚部1を脱着可能に係合させる係合機構とを有するものであって、係合機構が、天板2と脚部1のうち何れか一方に設けた段付きピン51と、他方に設けた係合孔53を有する板状の係合部材52とからなるとともに、段付きピン51が頭部51aとこれよりも小径の軸部51bとからなり、係合孔53が段付きピン51を挿入可能な挿入孔部53aとスライドにより頭部51aを引っ掛けるスライド孔部53bとを連結したものにおいて、挿入孔部53aの開口縁を厚み方向に立ち上げ、段付きピン51の頭部51aの側面51a1と当接可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板と脚部とを脱着可能に構成した組立式テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、簡単な作業で天板に脚部を取付可能としたものとして、数多くのものが知られている。そのひとつとして、例えば特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
このものは、脚側の上端にL字型に形成されたフック状の突出部を設けるとともに、天板側の下面にこれと対応した孔部を有する板状部材を設けた構造を有する。そして、天板側の孔部に脚側の突出部を挿入し、スライドさせることでフックが孔内で引っ掛かり、係合がなされるようになっている。
【0004】
この他にも、例えば、特許文献2のように、脚部の上部に突出部として、頭部とそれよりも径の小さな軸部を有する段付きピンを設け、天板側の下面に、これと対応した丸孔部と細溝部からなるダルマ孔を設けた板状部材を設置したものがある。これも特許文献1に示すものと同様、天板のダルマ孔に脚部の上部の段付きピンを挿入し、スライドさせることで両者を係合させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−25834号公報
【特許文献2】特許第4133384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような技術では、脚部上端に設けるフック状突出部が複雑な形状をしているため、加工が困難となり、製造コストの上昇を招く。また、このフック状突出部は、孔側と一方向からしか係合できない構造であるため、通常のように天板と脚部の係合を複数箇所で行う場合には、それぞれの箇所に設けるフック状突出部の位置を厳密に調整して組み立てる必要があり、組立工数の上昇を招く。
【0007】
これに対して、特許文献2のように係合部の突出部を段付きピンで構成したものは、単純な軸形状であるため製造が容易であり、引っ掛かりの方向性が無いことから組み立てにおいてもフック状突出部に比して容易であるとの利点がある。しかしながら、突出部を段付きピンにした場合、引っ掛かりの方向性が無いとの利点が災いし、天板を脚部から取り外すために係合方向から逆にスライドさせた際、段付きピンの首である軸部が移動し過ぎると頭部がダルマ孔の開口縁に引っ掛かり段付きピンをダルマ孔から抜くことが困難となってしまう場合がある。これらは、天板の取外しに時間を掛け、慎重に行うことで対処することができるため、一般の家庭用テーブルのように天板の取外しを行うことが少ない場合には問題とならないが、業務用の簡易テーブル等のように、頻繁に天板と脚部との脱着を行うものにおいては、日常の作業時間に大きな影響を及ぼすため問題となる。
【0008】
さらに、特許文献2においては、天板の下面にダルマ孔を具備した板状部材をネジ止めしている。しかしながら、天板を樹脂素材がベースの軽量タイプのものとした場合、当該ネジ止め箇所の強度が足らず、天板と脚部との脱着を頻繁に行ううちに損傷が生じるとの問題がある。
【0009】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明のテーブルは、天板と、この天板を下方から支持する脚部と、これら天板と脚部を脱着可能に係合させる係合機構とを有するものであって、当該係合機構が、前記天板と前記脚部のうち何れか一方に設けた段付きピンと、他方に設けた係合孔を有する板状の係合部材とからなるとともに、前記段付きピンが頭部とこれよりも小径の軸部とからなり、前記係合孔が前記段付きピンを挿入可能な挿入孔部とスライドにより前記頭部を引っ掛けるスライド孔部とを連結したものにおいて、前記挿入孔部の開口縁の上方に、前記段付きピンの頭部の側面と当接可能な当接部を形成したことを特徴とする。
【0012】
このように構成すると、脚部と天板とを取り外す際に、段付きピンと係合部材との係合部を注視しなくとも無用に引っ掛かることがなく、円滑にテーブルの分解を行うことができ、作業時間の短縮につながる。
【0013】
さらに、こうした効果をさらに高め、長期間にわたり維持するためには、前記係合部材と、これと対応する段付きピンを複数個備えており、前記複数の係合部材が全て連結されているとともに、前記複数の段付きピンが全て連結されている構成とすることが好ましい。
【0014】
また、使用中の不意の分解を防ぐとともに、その効果を長期にわたって維持するためには、前記段付きピンと前記係合部材との相対的なスライドを固定するためのストッパを前記段付きピン側に設け、当該ストッパ本体から前記係合部材側に係止部材を突出させ、当該係止部材を前記係合部材側に設けた係止孔に挿通するようにしたものであり、前記係止孔を、前記係合部材間を連結する連結部材と一体的に設ける構成とすることが好ましい。
【0015】
さらに、上記の効果を高めるためには、前記係合部材を前記天板の本体と一体的に成型して構成とすることがなお好ましい。
【0016】
また、上記のような効果を有しつつ、長期にわたって美観を損うことがないためには、前記天板が、表面と裏面とに化粧板を備え、その間に前記係合部材を配置したものであって、前記裏面化粧板には、前記係合部材の前記係合孔および当該係合孔の周辺が露出するよう対応箇所に開口部が設けられている構成とすることが好ましい。
【0017】
さらに、上記の効果を有するテーブルを簡単に製作するためには、前記係合部材と前記裏面化粧板とに、位置決め用のピン部材が同時に嵌挿されている構成とすることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した本発明によれば、天板と脚部との脱着を容易に行うことのできるテーブルを提供することが可能となる。さらに、長期にわたって上記効果を維持しつつ、美観を損うこともなく、簡単に製作できるテーブルを提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るテーブルの斜視図。
【図2】同テーブルの分解斜視図。
【図3】同テーブルの脚部の要部斜視図。
【図4】同テーブルの天板の製作方法を示す斜視図。
【図5】同テーブルの係合部材の要部斜視図。
【図6】同テーブルの係合部の断面図。
【図7】同テーブルの係合の手順を示す断面図。
【図8】同テーブルの把持部を示す拡大斜視図。
【図9】同テーブルの把持部の組立方法を示す斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るテーブルの係合部材の斜視図。
【図11】本発明のテーブルの運搬方法を示す正面図。
【図12】本発明の他の実施形態に係るテーブルの天板支持部の斜視図。
【図13】本発明の他の実施形態に係るテーブルの斜視図。
【図14】同テーブルの把持部を示す拡大斜視図。
【図15】本発明の他の実施形態に係るテーブルの天板の製作方法を示す斜視図。
【図16】本発明の他の実施形態に係るテーブルの係合部材の要部斜視図。
【図17】本発明の他の実施形態に係るテーブルの係合部材の要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
この実施形態のテーブルは、図1および図2に示すように、大きくは脚部1と天板2とから構成され、脚部1に対して天板2が上方に連結されている。そして、脚部1と天板2との連結は後に詳述するように、脚部1に設けた段付きピン51と、天板に設けられた係合孔53を有する係合部材52とからなる、係合機構5によって行われる。
【0022】
また、天板2の中央部には後に詳述するように、把持部3が取り付けられ、この部分を持って持ち運ぶことが可能となっている。
【0023】
脚部1は、図2に示すように、金属パイプを略コの字型となるよう折り曲げ加工することで、2本分の脚11を地面とほぼ平行となる連結部分12でつないだ形状に形成し、さらにこれを2個並べ、両者の間に連結部材13としての金属パイプを配し、溶接することで連結して4本の脚11を形成している。脚11と脚11との間は、運搬時の利便を考慮し、人の体が入り込む程度の離間距離を設けてある。
【0024】
それぞれの脚11の上部近くには、天板2の重量を受け支持するための、天板支持部14を設けている。この天板支持部14は、上方から見て長円状をしており、取付方向を互いに平行となる向きとしている。また、図3に示すように、当該天板支持部14は、下側に向けて厚みのある内側端部14aを前記脚11、11間の連結部分12の上側に溶接し、この内側端部14aから板状の外側端部14bが外方に向かって延出しており、上面は天板2に平行な平面としている。そして、外側端部14b近傍の上面に、図2に示す係合機構5のひとつとしての、段付きピン51を設けている。
【0025】
段付きピン51は、図3に示すように、概ね円柱状の形態であって、上部である頭部51aと、これよりも小径の軸部51bを同軸上に一体に形成したものであり、これをネジ51cによって前記天板支持部14の外側端部14bの近傍に螺設している。なお、段付きピン51と、これを螺設するためのネジ51cとを一体の部品として構成することも可能である。
【0026】
なお、天板支持部14を上方から見て長円状とすることは必須ではなく、上面を平面としておけば、様々な形状にすることも可能である。例えば、図12に示すように、円板型に構成しておき、その中央に段付きピン51を配してもよい。また、天板支持部14が取り付けられる場所も連結部分12ではなく、連結部材13としてもよい。すなわち、図2で示すように、天板2を安定して支持することが可能な形状と強度を有するとともに、各天板支持部14が脚部1を介して相互に位置が固定されており、天板2側に設ける係合孔53との位置が対応関係にあればよいのであって、これらの条件を満たす限り、操作性に支障のない範囲で様々なデザインをとることができる。
【0027】
また、図2に示すように、前記連結部材13の一つの中央付近にストッパ6を設けている。このストッパ6は、内蔵された図示しないバネ部材によって上方に突出する方向に付勢された係止部材61を備えている。係止部材61は、四隅の天板支持部14が形成する平面よりも上方に突出するため、天板2を連結した際に天板2の裏面に設けた係止孔62に挿通することが可能となっている。また、係止部材61はストッパ6の側面に設けられている釦63を押し込むことにより下側に引き込まれ、天板2の係止孔62から抜かれるようになっている。
【0028】
天板2は、図2に示すように、中央には把持部3を備え、四隅の内部には係合孔53を具備する係合部材52を備え、裏面には上述した係止部材61と対応した位置に係止孔62を備える。天板2は、図4および図6に示すように、表面化粧板21と裏面化粧板22をメラミン樹脂によって形成して、図示しない型枠の中に平行に配置し、裏面化粧板22の内側には係合フレーム55を当接させつつ、所定の空間を保ちながら当該空間内に発泡ウレタンを注入することで主な構成材(芯材)としての主要体23を形成している。
【0029】
表面化粧板21と裏面化粧板22とは、それぞれ中央に四角形の把手取付孔21a、222aが開口されており、主要体23の形成後にもその開口が塞がれないよう成型する。全体の成型が終われば、内周側や外周側において各隙間から漏れ出た発泡ウレタンからなるバリを除去して、テーブルの外周に図示しない軟質素材からなるエッジ部材を取り付けた上で、後に詳述する把持部3を取り付けて、全体を軽量耐水性の天板2として完成させる。
【0030】
以下、天板2の内部構造について、詳細に説明する。
【0031】
係合フレーム55は、図4に示すように、四隅に配置された円板状の係合部材52を、同じ材料で互いに連結した形態をなしている。具体的には、係合フレーム55は係合部材52が長板状の連結部56によって四角形につながれた形態をなしている。
【0032】
この係合フレーム55は、板金素材を打ち抜いて形成しても、溶接等で接続して構成しても構わない。図3、図4および図5に示すように、係合部材52には係合孔53を設けており、当該係合孔53は、前記段付きピン51の頭部51aよりも大きく当該頭部51aの挿入が可能な挿入孔部53aと、そのまま段付きピン51をスライドさせて頭部51aを引っ掛けるスライド孔部53bとがつながったダルマ孔状に形成してある。
【0033】
さらに、図5および図6に示すように、当該係合孔53の挿入孔部53aの周囲で、スライド孔部53bにつながる部分の付近以外には、挿入孔部53aの開口縁が天板2の内部方向にそのまま立ち上がった形状となるよう、リブ状の当接部54を係合部材52に対して溶接することで設けてある。そして、図6に示すように、天板支持面14上面から段付きピン51の頭部51a下端までの高さh1よりも、前記係合部材52下面から前記当接部54の上端までの高さh2が大きくなるように設定してある。これにより、当該当接部54は、段付きピン51を係合孔53に挿通したとき、段付きピン51の頭部51aの側面である円周面51a1と当接可能となっている。そのために、軸部51bが、係合孔53内でスライド孔部53b以外に嵌まり合うことがなく、無用な引っ掛かりが生じない。なお、当接部54は頭部51aと当接することで、軸部51bが挿入孔部53aに嵌まり合うことを防止することが可能な限りにおいては、上記以外の様々な形状を採ることも可能である。
【0034】
また、図4および図5に示すように、前記係合孔53のスライド孔部53b側の近くに、成型時の位置決め用のピン孔55aがそれぞれ設けられている。
【0035】
さらに、図4に示すように、前記連結部56のうちのひとつは、その中央が内側に向かって張り出し、そこに前述した係合孔62を構成する矩形状の開口部であるフレーム係止孔62aが設けられている。
【0036】
こうした係合部材52は上述のとおり、図4に示すように、表面化粧板21と、裏面化粧板22の間に挟まれて、隙間に図示しない発泡ウレタンからなる主要体を注入して成型することで、ほぼ図2に示すような天板2の形ができあがっている。
【0037】
裏面化粧板22には、図4および図6に示すように、四隅に長孔状の開口部22bをそれぞれ設け、成型後には当該開口部22bから係合フレーム55の係合孔53とその周辺部が露出するように設定してある。これは、後に詳述するように、脚部1との連結を行う際に天板支持部14が裏面化粧板22を傷つけ、美観を損ねることが無いようにするためである。そのために当該開口部22bは、天板支持部14と天板2とが接触状態で相対的にスライドを行うことができるように、当該天板支持部14の外形よりも若干大きめに設定されている。なお、図12に示すように、天板支持部14の形状が円板型に構成している場合であっても、これと対応する開口部22bは、上記と同様の考えにより、天板支持部14と天板2とが接触状態で相対的にスライドを行うことができるように、当該天板支持部14の外形よりも若干大きめに設定すればよい。
【0038】
さらに、開口部22bの長手方向の近傍であって、前記係合フレーム55に設けたピン孔55aと対応する位置に、同じ大きさのピン孔22cを設けている。
【0039】
また、裏面化粧板22には、一対の開口部22b、22bの間であって、前記係合フレーム55に設けたフレーム係止孔62aと対応する位置に、このフレーム係止孔62aよりも若干大きめに開口された化粧板開口孔62bを備えている。これらフレーム係止孔62aと化粧板開口孔62bは、テーブルとして成型された後、図2に示す係止孔62としてストッパ6の係止部材61が挿通されるように構成される。ただし、上述したように、図4に示す化粧板開口孔62bはフレーム係止孔62aよりも若干大きめに開口されているため、図2に示す係止部材61と直接に接触することは無く、係止効果のための負荷はもっぱら図4に示すフレーム係止孔62aに負わせるように設定してある。
【0040】
上述したように、図4に示す係合フレーム55の係合孔53と裏面化粧板22の開口部22bとの関係、さらに、係合フレーム55のフレーム係止孔62aと裏面化粧板22の化粧板開口孔62bとの関係は、正確に位置を対応させて成型することが必要である。そのため、成型時には上述した係合フレーム55に設けたピン孔55aと、裏面化粧板22に設けたピン孔22cとを重ね合わせて、図示しないピンを同時に嵌挿させることによって位置決めを行っている。当該位置決め用のピンは、上述した成型時の型枠の中に一体となって構成されていて、型枠から抜く際に同時に抜けるようにしてもよいし、別体となったピンを嵌挿させたまま成型して、これがそのまま残るように構成しても良い。
【0041】
また、成型後には、図6に示すように、天板2の主要体23の内部には、係合孔53の上部に空洞部53cが形成されている。これは、後に詳述するように、脚部1との連結を行う際の、段付きピン51の挿入およびスライド動作を可能とするための空間を確保するためである。本実施態様では、当該空間を確保するために、当該箇所に軟質材料からなる図示しないスペーサーを詰めておき、発泡ウレタンからなる主要体23の成型後に、当該スペーサーを除去する作業を行っている。
【0042】
なお、成型時にスペーサーを詰める代わりに、図10に示すように、係合孔53を覆うカバー53dを係合部材52に取り付けて空間を確保し、発泡ウレタンが当該箇所に流れ込まないようにしても差し支えない。
【0043】
また、図2に示す係止孔62においても、天板2の内部に係止部材61が挿通されるための空間が必要であり、係合孔53の場合と同様にして空間の確保を行っている。
【0044】
天板2の中央には、図8および図9に示すように、化粧板21、22に設けた把手取付孔21a、22aと一体となった略四角形の取付孔35が開口され、当該取付孔35に嵌め込むようにして把持部3を取り付けている。把持部3は表面用の枠体32と裏面用の枠体33と、これらによって支持される把手31とからなる。これら把手31および枠体32、33は、それぞれABSなどの樹脂素材で一体成型することにより製作を行っている。
【0045】
把手31は概ね円柱状をしており、両端に直方体状の突出部31aを備えている。この把手31は、長手方向が天板2のスライド方向と直交する向きになるように取り付けられることで、天板2をスライドさせる際に力を込めやすいようにしてある。
【0046】
枠体32、33は、それぞれ四角形の枠状の部材であり、天板2の取付孔35に嵌挿されて面内での位置決めを図るガイド部32a、33aと、天板2の表面に接して厚み方向での位置決めを図る鍔部32b、33bから構成されている。さらに、双方のガイド部32a、33aの中心付近には、把手31の突出部3aを挟み込んで支持するための矩形状の切欠き部である把手係合部31bがそれぞれ設けられている。また、ガイド部32a、33aの四隅は取付孔35の中心方向に厚肉に構成されており、当該部分にネジ34を取り付けるための、ネジ孔32cまたはネジ挿通孔33cを備えている。
【0047】
上記のように形成した把手31、枠体32、33は以下のようにして組み立てる。まず、突出部31aを把手係合部31bに嵌め込むようにして、把手31を枠体32、33のいずれか一方に取り付ける。次に、ガイド部32a、33aを取付孔35に嵌め込むようにして、枠体32、33を天板2の両面から挟んで仮止めする。さらに、裏面の枠体33の側より、ネジ34をネジ挿通孔33cを通じてネジ孔32cに螺合させることで、枠体32、33の固定を行う。この際、枠体32、33の鍔部32b、33bは天板2の表面化粧板21、裏面化粧板22に当接するようにしているため、天板2の厚み方向に対しての位置決めも行われる。把手31は、両端の矩形状の突出部31aを、これと対応した矩形状の切欠き部である把手取付孔21a、21bによって支持されることで、把手31の長手方向の位置および回転が固定されている。この段階で、発砲ウレタンからなる主要体23は、表裏を表面化粧板21および裏面化粧板22で覆われ、内外周を把持部3および図示しないエッジ部材で覆われて、水の浸入が防止される。
【0048】
このようにして組み立てた際、把手31は、天板2の厚み方向の内部に収まるようにしており、枠体32、33の鍔部32b、33bの厚みも小さく設定してあるため、天板2を複数重ねた場合でも、互いに邪魔にならず、スペースをとらないようにしてある。
【0049】
なお、把手31を分割して構成しても何ら問題はなく、製品の種類に応じて、ゴムシートを巻きつける等の処理を施してもよい。
【0050】
また、図13に示すように、天板2に長孔状の開口部を設けることで、これを直接把持部3として構成してもよい。この場合には、当該把持部3内に手を差し込み、天板2そのものを持つようにして把持することになる。具体的な構成としては、図14に示すように、枠体32、33を中心が開口された長孔形状に形成し、天板2の開口部に圧入することで、エッジの処理と水の侵入防止を図ればよい。また、当該把持部3の方向は、上述した場合と同様、長手方向が天板2のスライド方向と直交する向きとすることで、天板2をスライドさせる際に力を込めやすいようにしてある。
【0051】
上記のようにそれぞれ構成した脚部1および天板2の連結は、次のようにして行う。
【0052】
まず、図2に示すように、脚部1を天板支持部14が上側になるようにして置いておく。そして、天板2の裏面化粧板21側を下にして、脚部1に被せるように当接させて仮置きする。このとき、脚部1に備えたストッパ6の位置と、対応する天板2側の係止孔62とが近接するように天板2の方位を選択しておく。また、天板支持部14の上部に設けた段付きピン51の上面が、四箇所全てにおいて、少なくとも図7(a)に示すように、裏面化粧板22の開口部22bから露出した係合部材52に当接するようにしておく。なお、段付きピン51に対して、裏面化粧板22の開口部22bは十分に広く設定してあるため、当該作業にはさほどの慎重さは要求されない。
【0053】
この時には、いまだストッパ6の係止部材61と係止孔62とは対応する位置にはないため、図2おいて示す係止部材61は裏面化粧板22に当接し、天板2の重量に負けてストッパ6の内部に押し込まれた状態となっている。
【0054】
そして、天板2中央の把持部3を上方から持ち、或いは天板2の辺に手を掛けて、図7(a)→図7(b)に示すように、四箇所全ての係合孔53の挿入孔部53aに段付きピン51の頭部51aが入るように天板2の位置調整を行う。この作業においても、段付きピン51の頭部51aに対して、挿入孔部53aを十分大きく設定してあるため、さほどの慎重さは要求されない。また、図2に示すように、把持部3が天板2の中央にあることから、片手で天板2を持っても水平状態を保つことができ、当該作業を効率的に行うことができる。
【0055】
次に、天板2の中央の把持部3を持って脚部1に対してスライドさせ、四箇所全ての係合孔53において、図5および図7(c)に示すように、スライド孔部53bに段付きピン51の軸部51bが嵌まり込むようにスライドさせる。こうすることで、段付きピン51の頭部51aがスライド孔部53bによって上下方向に規制されることになる。
【0056】
このとき、図2に示すように、同時にストッパ6の係止部材61と天板2の係止孔62とが対応位置に来るようにしてある。そのため、係止部材61がストッパ6に内蔵された図示しないバネの作用によって飛び出し、係止孔62に挿通されることで、水平方向の相対移動が規制される。よって、当該ストッパ6の解除を行わない限り、脚部1と天板2との相対的なスライドは行われず、天板2と脚部1との上下方向の規制も解かれない。
【0057】
逆に、脚部1と天板2との分離を行う場合には、次のようにして行う。
【0058】
片手でストッパ6の側面にある釦63を押し、係止部材61をストッパ6本体内に引き込ませる。これにより、係止部材61が天板2の係止孔62から抜け、脚部1と天板2との相対的にスライドが可能となる。この状態で、もう片方の手で天板2の中央の把持部3を持ち、或いは天板2の最寄の辺に手を掛けて、図7(c)から図7(b)の状態となるように、係合孔53のスライド孔部53から段付きピン51の軸部51bが抜ける方向にスライドさせる。この時、スライド孔部53bにつながる付近以外での挿入孔部53aの周囲は、開口縁が天板2の内部方向にそのまま立ち上がった形状となるようにリブ状の当接部54が設けられているため、天板2のスライド方向がずれたり、動かしすぎた場合でも、頭部51aの円周面51a1が当接部54に当接して、当該当接部54が無かったとした場合に頭部51aが挿入孔部53aの周囲とオーバーラップする位置にまで軸部51bが移動することで段付きピン51が係合孔53に嵌まり込んで引っ掛かった状態となることがない。
【0059】
このようにして、係合孔53の挿入孔部53a内に段付きピン51を位置させた後、天板を上方に持ち上げると、脚部1と天板2の分離がなされる。このとき、図1および図2に示すように、天板2の中央に把持部3があるため、これを把持して持ち上げると天板2は水平状態を保ったまま上方に移動するため、同時に四隅での係合が解かれ、分離が容易となっている。
【0060】
また、図2および図4に示す、四隅の係合部材52は、上述の通り金属材料によって連結した形に構成されている。よって、係合部材52が備える係合孔53は、相互の距離や平面度を適切に構成でき、長期間にわたって維持しやすい。同様に、段付きピン51も金属材料によって、それぞれ脚部1を介して連結された構造をとるため、相互の距離や平面度を常時適切に維持しやすい。そのため、1箇所の係合部における段付きピン51と係合孔53の位置関係は、他の3箇所における段付きピンと係合孔53の位置関係と等しくなりやすく、4箇所での同時の脱着を容易にしている。また、その効果は長期間維持される。さらには、係合部材52は天板2本体に対してネジ止めされることなく、内部に一体的に成型され保持されているため、天板本体との間でもガタが発生せず、より脚部との脱着が行いやすくなる。
【0061】
なお、上記の説明は、通常の使用状態を考慮して、脚部1を地面においた状態で天板2を持って連結、分離することを想定して行ったが、これらの脱着そのものは天板2と脚部1とを上下逆にして行うことも可能である。
【0062】
本実施形態のように脚部1と天板2とを構成しておけば、分離後の片付けの際には、複数の脚部1同士を上下方向に重ね、複数の天板2同士も重ねておくことが可能であり、スペースを有効に使うことができる。
【0063】
上記のようなテーブル9は好みに応じて、様々な方法で運搬できるように構成されている。例えば、図11(a)に示すように、人11は天板2の中央の把持部3をつかみ、脚部1との連結状態を維持したまま上方に持ち上げ、運搬することができる。この場合、天板2の中央に把持部3があるため重心のバランスが良く、天板2が水平状態を保ったまま持ち上げることができる。そのため、脚部1が地面10に接することなく運搬することが可能である。このようにして運搬を行うことで、脚部1をつけたまま簡単にテーブル9の移動を行うことができる。
【0064】
テーブル9の重量が比較的大きい場合には、天板2の一辺を腰に当接させ、把持部3と併せて2点で支持しながら運ぶこともできる。また、片手で把持部3を持ち1つのテーブル9を運ぶことができるため、テーブル9が2つあれば、同時に2つのテーブルを双方の手でもって運ぶこともできる。
【0065】
また、図11(b)に示すように、人11はテーブル9を横向きにして脚部1の間に体を入り込ませるようにした状態で、天板2を脇に挟むようにして、把持部3をつかめば、片手だけを用いてテーブル9の運搬が可能である。このような運搬姿勢は把持部3が天板2の中央にあるため、好適に実現することができる。さらに、テーブル9が2つあれば、それぞれの脚部1が互い違いになるよう体の前で交差させた形態で、双方の手でそれぞれテーブル9の把持部3をつかみ、同時に運搬することも可能である。
【0066】
以上のように、本実施形態のテーブル9は、天板2と、この天板2を下方から支持する脚部1と、これら天板2と脚部1を脱着可能に係合させる係合機構5とを有するものであって、当該係合機構5が、前記天板2と前記脚部1のうち何れか一方に設けた段付きピン51と、他方に設けた係合孔53を有する板状の係合部材52とからなるとともに、前記段付きピン51が頭部51aとこれよりも小径の軸部51bとからなり、前記係合孔53が前記段付きピン51を挿入可能な挿入孔部53aとスライドにより前記頭部51aを引っ掛けるスライド孔部53bとを連結したものにおいて、前記挿入孔部53aの開口縁の上方に、前記段付きピン51の頭部51aの側面51a1と当接可能な当接部54を形成した構成にしたものである。
【0067】
このように構成すると、脚部1と天板2とを取り外す際に、段付きピン51と係合部材52との係合部に注意を払わなくとも無用に引っ掛かることがなく、円滑にテーブル9の分解を行うことができ、作業時間の短縮につながる。
【0068】
さらに、前記係合部材52と、これと対応する段付きピン51を複数個備えており、前記複数の係合部材52が全て連結されているとともに、前記複数の段付きピン51が全て連結されている構成とすることで、上記の効果をさらに高め、長期間にわたり維持することが可能となる。
【0069】
また、前記段付きピン51と前記係合部材52との相対的なスライドを固定するためのストッパ6を前記段付きピン51側に設け、当該ストッパ6本体から前記係合部材52側に係止部材61を突出させ、当該係止部材61を前記係合部材52側に設けた係止孔62aに挿通するようにしたものであり、前記係止孔62aを、前記係合部材52間を連結する連結部材56と一体的に設ける構成とすることで、使用中のスライドを防止し、不意の分解を防ぐとともに、その効果を長期にわたって維持することが可能となる。
【0070】
さらに、前記係合部材52を前記天板2の本体と一体的に成型して構成とすることで、上記の効果を高めることが可能となる。
【0071】
また、表面と裏面とに化粧板21、22を備え、その間に前記係合部材52を配置したものであって、前記裏面化粧板22には、前記係合部材52の前記係合孔53および当該係合孔53の周辺が露出するよう対応箇所に開口部22bが設けられている構成とすることで、上記の効果を有しつつ、長期にわたって美観を損わないようにすることが可能となる。
【0072】
さらに、前記係合部材52と前記裏面化粧板22とに、位置決め用のピン部材が同時に嵌挿されている構成とすることで、上記の効果を有するテーブル9を簡単に製作することが可能となる。
【0073】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0074】
例えば、上述した係合フレーム55を四角形につないだ形態に構成することは必須ではなく、図15に示すようにX状に構成し、中央付近より張り出し部を設けてフレーム係止孔62aを形成してもよい。本発明の効果を得るためには、各係合部材52およびフレーム係止孔の相対位置が固定されるように構成すればよいのである。
【0075】
また、上記の実施態様では、係合部材52に対して当接部54は溶接によって一体化してあるが、これを当初から一個の部品として深絞りや切削、鋳造等の手段で製作することも可能であるし、例えば図16のように、折り曲げ加工によって不連続に挿入孔部53aの開口縁を立ち上げて壁を形成することで当接部54としてもよい。すなわち、係合孔53に挿入される段付きピン51の頭部51aが、スライド孔部53b以外の部分で引っ掛かりを生じないように構成することが肝要であって、これを満たす限り、細かな部品形状や製作方法については様々なものを適用することが可能である。図17に示すように、挿入孔部53aの開口縁が直接的に立ち上がってはいなくとも、当該開口縁よりも若干上方にのみ段付きピン51の頭部51a1と当接可能な壁を形成するような形状に、当接部54を形成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…脚部
2…天板
3…把持部
5…係合機構
6…ストッパ
9…テーブル
51…段付きピン
52…係合部材
53…係合孔
53a…挿入孔部
53b…スライド孔部
54…当接部
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板と脚部とを脱着可能に構成した組立式テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、簡単な作業で天板に脚部を取付可能としたものとして、数多くのものが知られている。そのひとつとして、例えば特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
このものは、脚側の上端にL字型に形成されたフック状の突出部を設けるとともに、天板側の下面にこれと対応した孔部を有する板状部材を設けた構造を有する。そして、天板側の孔部に脚側の突出部を挿入し、スライドさせることでフックが孔内で引っ掛かり、係合がなされるようになっている。
【0004】
この他にも、例えば、特許文献2のように、脚部の上部に突出部として、頭部とそれよりも径の小さな軸部を有する段付きピンを設け、天板側の下面に、これと対応した丸孔部と細溝部からなるダルマ孔を設けた板状部材を設置したものがある。これも特許文献1に示すものと同様、天板のダルマ孔に脚部の上部の段付きピンを挿入し、スライドさせることで両者を係合させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−25834号公報
【特許文献2】特許第4133384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような技術では、脚部上端に設けるフック状突出部が複雑な形状をしているため、加工が困難となり、製造コストの上昇を招く。また、このフック状突出部は、孔側と一方向からしか係合できない構造であるため、通常のように天板と脚部の係合を複数箇所で行う場合には、それぞれの箇所に設けるフック状突出部の位置を厳密に調整して組み立てる必要があり、組立工数の上昇を招く。
【0007】
これに対して、特許文献2のように係合部の突出部を段付きピンで構成したものは、単純な軸形状であるため製造が容易であり、引っ掛かりの方向性が無いことから組み立てにおいてもフック状突出部に比して容易であるとの利点がある。しかしながら、突出部を段付きピンにした場合、引っ掛かりの方向性が無いとの利点が災いし、天板を脚部から取り外すために係合方向から逆にスライドさせた際、段付きピンの首である軸部が移動し過ぎると頭部がダルマ孔の開口縁に引っ掛かり段付きピンをダルマ孔から抜くことが困難となってしまう場合がある。これらは、天板の取外しに時間を掛け、慎重に行うことで対処することができるため、一般の家庭用テーブルのように天板の取外しを行うことが少ない場合には問題とならないが、業務用の簡易テーブル等のように、頻繁に天板と脚部との脱着を行うものにおいては、日常の作業時間に大きな影響を及ぼすため問題となる。
【0008】
さらに、特許文献2においては、天板の下面にダルマ孔を具備した板状部材をネジ止めしている。しかしながら、天板を樹脂素材がベースの軽量タイプのものとした場合、当該ネジ止め箇所の強度が足らず、天板と脚部との脱着を頻繁に行ううちに損傷が生じるとの問題がある。
【0009】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明のテーブルは、天板と、この天板を下方から支持する脚部と、これら天板と脚部を脱着可能に係合させる係合機構とを有するものであって、当該係合機構が、前記天板と前記脚部のうち何れか一方に設けた段付きピンと、他方に設けた係合孔を有する板状の係合部材とからなるとともに、前記段付きピンが頭部とこれよりも小径の軸部とからなり、前記係合孔が前記段付きピンを挿入可能な挿入孔部とスライドにより前記頭部を引っ掛けるスライド孔部とを連結したものにおいて、前記挿入孔部の開口縁の上方に、前記段付きピンの頭部の側面と当接可能な当接部を形成したことを特徴とする。
【0012】
このように構成すると、脚部と天板とを取り外す際に、段付きピンと係合部材との係合部を注視しなくとも無用に引っ掛かることがなく、円滑にテーブルの分解を行うことができ、作業時間の短縮につながる。
【0013】
さらに、こうした効果をさらに高め、長期間にわたり維持するためには、前記係合部材と、これと対応する段付きピンを複数個備えており、前記複数の係合部材が全て連結されているとともに、前記複数の段付きピンが全て連結されている構成とすることが好ましい。
【0014】
また、使用中の不意の分解を防ぐとともに、その効果を長期にわたって維持するためには、前記段付きピンと前記係合部材との相対的なスライドを固定するためのストッパを前記段付きピン側に設け、当該ストッパ本体から前記係合部材側に係止部材を突出させ、当該係止部材を前記係合部材側に設けた係止孔に挿通するようにしたものであり、前記係止孔を、前記係合部材間を連結する連結部材と一体的に設ける構成とすることが好ましい。
【0015】
さらに、上記の効果を高めるためには、前記係合部材を前記天板の本体と一体的に成型して構成とすることがなお好ましい。
【0016】
また、上記のような効果を有しつつ、長期にわたって美観を損うことがないためには、前記天板が、表面と裏面とに化粧板を備え、その間に前記係合部材を配置したものであって、前記裏面化粧板には、前記係合部材の前記係合孔および当該係合孔の周辺が露出するよう対応箇所に開口部が設けられている構成とすることが好ましい。
【0017】
さらに、上記の効果を有するテーブルを簡単に製作するためには、前記係合部材と前記裏面化粧板とに、位置決め用のピン部材が同時に嵌挿されている構成とすることがより好ましい。
【発明の効果】
【0018】
以上説明した本発明によれば、天板と脚部との脱着を容易に行うことのできるテーブルを提供することが可能となる。さらに、長期にわたって上記効果を維持しつつ、美観を損うこともなく、簡単に製作できるテーブルを提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るテーブルの斜視図。
【図2】同テーブルの分解斜視図。
【図3】同テーブルの脚部の要部斜視図。
【図4】同テーブルの天板の製作方法を示す斜視図。
【図5】同テーブルの係合部材の要部斜視図。
【図6】同テーブルの係合部の断面図。
【図7】同テーブルの係合の手順を示す断面図。
【図8】同テーブルの把持部を示す拡大斜視図。
【図9】同テーブルの把持部の組立方法を示す斜視図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るテーブルの係合部材の斜視図。
【図11】本発明のテーブルの運搬方法を示す正面図。
【図12】本発明の他の実施形態に係るテーブルの天板支持部の斜視図。
【図13】本発明の他の実施形態に係るテーブルの斜視図。
【図14】同テーブルの把持部を示す拡大斜視図。
【図15】本発明の他の実施形態に係るテーブルの天板の製作方法を示す斜視図。
【図16】本発明の他の実施形態に係るテーブルの係合部材の要部斜視図。
【図17】本発明の他の実施形態に係るテーブルの係合部材の要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
この実施形態のテーブルは、図1および図2に示すように、大きくは脚部1と天板2とから構成され、脚部1に対して天板2が上方に連結されている。そして、脚部1と天板2との連結は後に詳述するように、脚部1に設けた段付きピン51と、天板に設けられた係合孔53を有する係合部材52とからなる、係合機構5によって行われる。
【0022】
また、天板2の中央部には後に詳述するように、把持部3が取り付けられ、この部分を持って持ち運ぶことが可能となっている。
【0023】
脚部1は、図2に示すように、金属パイプを略コの字型となるよう折り曲げ加工することで、2本分の脚11を地面とほぼ平行となる連結部分12でつないだ形状に形成し、さらにこれを2個並べ、両者の間に連結部材13としての金属パイプを配し、溶接することで連結して4本の脚11を形成している。脚11と脚11との間は、運搬時の利便を考慮し、人の体が入り込む程度の離間距離を設けてある。
【0024】
それぞれの脚11の上部近くには、天板2の重量を受け支持するための、天板支持部14を設けている。この天板支持部14は、上方から見て長円状をしており、取付方向を互いに平行となる向きとしている。また、図3に示すように、当該天板支持部14は、下側に向けて厚みのある内側端部14aを前記脚11、11間の連結部分12の上側に溶接し、この内側端部14aから板状の外側端部14bが外方に向かって延出しており、上面は天板2に平行な平面としている。そして、外側端部14b近傍の上面に、図2に示す係合機構5のひとつとしての、段付きピン51を設けている。
【0025】
段付きピン51は、図3に示すように、概ね円柱状の形態であって、上部である頭部51aと、これよりも小径の軸部51bを同軸上に一体に形成したものであり、これをネジ51cによって前記天板支持部14の外側端部14bの近傍に螺設している。なお、段付きピン51と、これを螺設するためのネジ51cとを一体の部品として構成することも可能である。
【0026】
なお、天板支持部14を上方から見て長円状とすることは必須ではなく、上面を平面としておけば、様々な形状にすることも可能である。例えば、図12に示すように、円板型に構成しておき、その中央に段付きピン51を配してもよい。また、天板支持部14が取り付けられる場所も連結部分12ではなく、連結部材13としてもよい。すなわち、図2で示すように、天板2を安定して支持することが可能な形状と強度を有するとともに、各天板支持部14が脚部1を介して相互に位置が固定されており、天板2側に設ける係合孔53との位置が対応関係にあればよいのであって、これらの条件を満たす限り、操作性に支障のない範囲で様々なデザインをとることができる。
【0027】
また、図2に示すように、前記連結部材13の一つの中央付近にストッパ6を設けている。このストッパ6は、内蔵された図示しないバネ部材によって上方に突出する方向に付勢された係止部材61を備えている。係止部材61は、四隅の天板支持部14が形成する平面よりも上方に突出するため、天板2を連結した際に天板2の裏面に設けた係止孔62に挿通することが可能となっている。また、係止部材61はストッパ6の側面に設けられている釦63を押し込むことにより下側に引き込まれ、天板2の係止孔62から抜かれるようになっている。
【0028】
天板2は、図2に示すように、中央には把持部3を備え、四隅の内部には係合孔53を具備する係合部材52を備え、裏面には上述した係止部材61と対応した位置に係止孔62を備える。天板2は、図4および図6に示すように、表面化粧板21と裏面化粧板22をメラミン樹脂によって形成して、図示しない型枠の中に平行に配置し、裏面化粧板22の内側には係合フレーム55を当接させつつ、所定の空間を保ちながら当該空間内に発泡ウレタンを注入することで主な構成材(芯材)としての主要体23を形成している。
【0029】
表面化粧板21と裏面化粧板22とは、それぞれ中央に四角形の把手取付孔21a、222aが開口されており、主要体23の形成後にもその開口が塞がれないよう成型する。全体の成型が終われば、内周側や外周側において各隙間から漏れ出た発泡ウレタンからなるバリを除去して、テーブルの外周に図示しない軟質素材からなるエッジ部材を取り付けた上で、後に詳述する把持部3を取り付けて、全体を軽量耐水性の天板2として完成させる。
【0030】
以下、天板2の内部構造について、詳細に説明する。
【0031】
係合フレーム55は、図4に示すように、四隅に配置された円板状の係合部材52を、同じ材料で互いに連結した形態をなしている。具体的には、係合フレーム55は係合部材52が長板状の連結部56によって四角形につながれた形態をなしている。
【0032】
この係合フレーム55は、板金素材を打ち抜いて形成しても、溶接等で接続して構成しても構わない。図3、図4および図5に示すように、係合部材52には係合孔53を設けており、当該係合孔53は、前記段付きピン51の頭部51aよりも大きく当該頭部51aの挿入が可能な挿入孔部53aと、そのまま段付きピン51をスライドさせて頭部51aを引っ掛けるスライド孔部53bとがつながったダルマ孔状に形成してある。
【0033】
さらに、図5および図6に示すように、当該係合孔53の挿入孔部53aの周囲で、スライド孔部53bにつながる部分の付近以外には、挿入孔部53aの開口縁が天板2の内部方向にそのまま立ち上がった形状となるよう、リブ状の当接部54を係合部材52に対して溶接することで設けてある。そして、図6に示すように、天板支持面14上面から段付きピン51の頭部51a下端までの高さh1よりも、前記係合部材52下面から前記当接部54の上端までの高さh2が大きくなるように設定してある。これにより、当該当接部54は、段付きピン51を係合孔53に挿通したとき、段付きピン51の頭部51aの側面である円周面51a1と当接可能となっている。そのために、軸部51bが、係合孔53内でスライド孔部53b以外に嵌まり合うことがなく、無用な引っ掛かりが生じない。なお、当接部54は頭部51aと当接することで、軸部51bが挿入孔部53aに嵌まり合うことを防止することが可能な限りにおいては、上記以外の様々な形状を採ることも可能である。
【0034】
また、図4および図5に示すように、前記係合孔53のスライド孔部53b側の近くに、成型時の位置決め用のピン孔55aがそれぞれ設けられている。
【0035】
さらに、図4に示すように、前記連結部56のうちのひとつは、その中央が内側に向かって張り出し、そこに前述した係合孔62を構成する矩形状の開口部であるフレーム係止孔62aが設けられている。
【0036】
こうした係合部材52は上述のとおり、図4に示すように、表面化粧板21と、裏面化粧板22の間に挟まれて、隙間に図示しない発泡ウレタンからなる主要体を注入して成型することで、ほぼ図2に示すような天板2の形ができあがっている。
【0037】
裏面化粧板22には、図4および図6に示すように、四隅に長孔状の開口部22bをそれぞれ設け、成型後には当該開口部22bから係合フレーム55の係合孔53とその周辺部が露出するように設定してある。これは、後に詳述するように、脚部1との連結を行う際に天板支持部14が裏面化粧板22を傷つけ、美観を損ねることが無いようにするためである。そのために当該開口部22bは、天板支持部14と天板2とが接触状態で相対的にスライドを行うことができるように、当該天板支持部14の外形よりも若干大きめに設定されている。なお、図12に示すように、天板支持部14の形状が円板型に構成している場合であっても、これと対応する開口部22bは、上記と同様の考えにより、天板支持部14と天板2とが接触状態で相対的にスライドを行うことができるように、当該天板支持部14の外形よりも若干大きめに設定すればよい。
【0038】
さらに、開口部22bの長手方向の近傍であって、前記係合フレーム55に設けたピン孔55aと対応する位置に、同じ大きさのピン孔22cを設けている。
【0039】
また、裏面化粧板22には、一対の開口部22b、22bの間であって、前記係合フレーム55に設けたフレーム係止孔62aと対応する位置に、このフレーム係止孔62aよりも若干大きめに開口された化粧板開口孔62bを備えている。これらフレーム係止孔62aと化粧板開口孔62bは、テーブルとして成型された後、図2に示す係止孔62としてストッパ6の係止部材61が挿通されるように構成される。ただし、上述したように、図4に示す化粧板開口孔62bはフレーム係止孔62aよりも若干大きめに開口されているため、図2に示す係止部材61と直接に接触することは無く、係止効果のための負荷はもっぱら図4に示すフレーム係止孔62aに負わせるように設定してある。
【0040】
上述したように、図4に示す係合フレーム55の係合孔53と裏面化粧板22の開口部22bとの関係、さらに、係合フレーム55のフレーム係止孔62aと裏面化粧板22の化粧板開口孔62bとの関係は、正確に位置を対応させて成型することが必要である。そのため、成型時には上述した係合フレーム55に設けたピン孔55aと、裏面化粧板22に設けたピン孔22cとを重ね合わせて、図示しないピンを同時に嵌挿させることによって位置決めを行っている。当該位置決め用のピンは、上述した成型時の型枠の中に一体となって構成されていて、型枠から抜く際に同時に抜けるようにしてもよいし、別体となったピンを嵌挿させたまま成型して、これがそのまま残るように構成しても良い。
【0041】
また、成型後には、図6に示すように、天板2の主要体23の内部には、係合孔53の上部に空洞部53cが形成されている。これは、後に詳述するように、脚部1との連結を行う際の、段付きピン51の挿入およびスライド動作を可能とするための空間を確保するためである。本実施態様では、当該空間を確保するために、当該箇所に軟質材料からなる図示しないスペーサーを詰めておき、発泡ウレタンからなる主要体23の成型後に、当該スペーサーを除去する作業を行っている。
【0042】
なお、成型時にスペーサーを詰める代わりに、図10に示すように、係合孔53を覆うカバー53dを係合部材52に取り付けて空間を確保し、発泡ウレタンが当該箇所に流れ込まないようにしても差し支えない。
【0043】
また、図2に示す係止孔62においても、天板2の内部に係止部材61が挿通されるための空間が必要であり、係合孔53の場合と同様にして空間の確保を行っている。
【0044】
天板2の中央には、図8および図9に示すように、化粧板21、22に設けた把手取付孔21a、22aと一体となった略四角形の取付孔35が開口され、当該取付孔35に嵌め込むようにして把持部3を取り付けている。把持部3は表面用の枠体32と裏面用の枠体33と、これらによって支持される把手31とからなる。これら把手31および枠体32、33は、それぞれABSなどの樹脂素材で一体成型することにより製作を行っている。
【0045】
把手31は概ね円柱状をしており、両端に直方体状の突出部31aを備えている。この把手31は、長手方向が天板2のスライド方向と直交する向きになるように取り付けられることで、天板2をスライドさせる際に力を込めやすいようにしてある。
【0046】
枠体32、33は、それぞれ四角形の枠状の部材であり、天板2の取付孔35に嵌挿されて面内での位置決めを図るガイド部32a、33aと、天板2の表面に接して厚み方向での位置決めを図る鍔部32b、33bから構成されている。さらに、双方のガイド部32a、33aの中心付近には、把手31の突出部3aを挟み込んで支持するための矩形状の切欠き部である把手係合部31bがそれぞれ設けられている。また、ガイド部32a、33aの四隅は取付孔35の中心方向に厚肉に構成されており、当該部分にネジ34を取り付けるための、ネジ孔32cまたはネジ挿通孔33cを備えている。
【0047】
上記のように形成した把手31、枠体32、33は以下のようにして組み立てる。まず、突出部31aを把手係合部31bに嵌め込むようにして、把手31を枠体32、33のいずれか一方に取り付ける。次に、ガイド部32a、33aを取付孔35に嵌め込むようにして、枠体32、33を天板2の両面から挟んで仮止めする。さらに、裏面の枠体33の側より、ネジ34をネジ挿通孔33cを通じてネジ孔32cに螺合させることで、枠体32、33の固定を行う。この際、枠体32、33の鍔部32b、33bは天板2の表面化粧板21、裏面化粧板22に当接するようにしているため、天板2の厚み方向に対しての位置決めも行われる。把手31は、両端の矩形状の突出部31aを、これと対応した矩形状の切欠き部である把手取付孔21a、21bによって支持されることで、把手31の長手方向の位置および回転が固定されている。この段階で、発砲ウレタンからなる主要体23は、表裏を表面化粧板21および裏面化粧板22で覆われ、内外周を把持部3および図示しないエッジ部材で覆われて、水の浸入が防止される。
【0048】
このようにして組み立てた際、把手31は、天板2の厚み方向の内部に収まるようにしており、枠体32、33の鍔部32b、33bの厚みも小さく設定してあるため、天板2を複数重ねた場合でも、互いに邪魔にならず、スペースをとらないようにしてある。
【0049】
なお、把手31を分割して構成しても何ら問題はなく、製品の種類に応じて、ゴムシートを巻きつける等の処理を施してもよい。
【0050】
また、図13に示すように、天板2に長孔状の開口部を設けることで、これを直接把持部3として構成してもよい。この場合には、当該把持部3内に手を差し込み、天板2そのものを持つようにして把持することになる。具体的な構成としては、図14に示すように、枠体32、33を中心が開口された長孔形状に形成し、天板2の開口部に圧入することで、エッジの処理と水の侵入防止を図ればよい。また、当該把持部3の方向は、上述した場合と同様、長手方向が天板2のスライド方向と直交する向きとすることで、天板2をスライドさせる際に力を込めやすいようにしてある。
【0051】
上記のようにそれぞれ構成した脚部1および天板2の連結は、次のようにして行う。
【0052】
まず、図2に示すように、脚部1を天板支持部14が上側になるようにして置いておく。そして、天板2の裏面化粧板21側を下にして、脚部1に被せるように当接させて仮置きする。このとき、脚部1に備えたストッパ6の位置と、対応する天板2側の係止孔62とが近接するように天板2の方位を選択しておく。また、天板支持部14の上部に設けた段付きピン51の上面が、四箇所全てにおいて、少なくとも図7(a)に示すように、裏面化粧板22の開口部22bから露出した係合部材52に当接するようにしておく。なお、段付きピン51に対して、裏面化粧板22の開口部22bは十分に広く設定してあるため、当該作業にはさほどの慎重さは要求されない。
【0053】
この時には、いまだストッパ6の係止部材61と係止孔62とは対応する位置にはないため、図2おいて示す係止部材61は裏面化粧板22に当接し、天板2の重量に負けてストッパ6の内部に押し込まれた状態となっている。
【0054】
そして、天板2中央の把持部3を上方から持ち、或いは天板2の辺に手を掛けて、図7(a)→図7(b)に示すように、四箇所全ての係合孔53の挿入孔部53aに段付きピン51の頭部51aが入るように天板2の位置調整を行う。この作業においても、段付きピン51の頭部51aに対して、挿入孔部53aを十分大きく設定してあるため、さほどの慎重さは要求されない。また、図2に示すように、把持部3が天板2の中央にあることから、片手で天板2を持っても水平状態を保つことができ、当該作業を効率的に行うことができる。
【0055】
次に、天板2の中央の把持部3を持って脚部1に対してスライドさせ、四箇所全ての係合孔53において、図5および図7(c)に示すように、スライド孔部53bに段付きピン51の軸部51bが嵌まり込むようにスライドさせる。こうすることで、段付きピン51の頭部51aがスライド孔部53bによって上下方向に規制されることになる。
【0056】
このとき、図2に示すように、同時にストッパ6の係止部材61と天板2の係止孔62とが対応位置に来るようにしてある。そのため、係止部材61がストッパ6に内蔵された図示しないバネの作用によって飛び出し、係止孔62に挿通されることで、水平方向の相対移動が規制される。よって、当該ストッパ6の解除を行わない限り、脚部1と天板2との相対的なスライドは行われず、天板2と脚部1との上下方向の規制も解かれない。
【0057】
逆に、脚部1と天板2との分離を行う場合には、次のようにして行う。
【0058】
片手でストッパ6の側面にある釦63を押し、係止部材61をストッパ6本体内に引き込ませる。これにより、係止部材61が天板2の係止孔62から抜け、脚部1と天板2との相対的にスライドが可能となる。この状態で、もう片方の手で天板2の中央の把持部3を持ち、或いは天板2の最寄の辺に手を掛けて、図7(c)から図7(b)の状態となるように、係合孔53のスライド孔部53から段付きピン51の軸部51bが抜ける方向にスライドさせる。この時、スライド孔部53bにつながる付近以外での挿入孔部53aの周囲は、開口縁が天板2の内部方向にそのまま立ち上がった形状となるようにリブ状の当接部54が設けられているため、天板2のスライド方向がずれたり、動かしすぎた場合でも、頭部51aの円周面51a1が当接部54に当接して、当該当接部54が無かったとした場合に頭部51aが挿入孔部53aの周囲とオーバーラップする位置にまで軸部51bが移動することで段付きピン51が係合孔53に嵌まり込んで引っ掛かった状態となることがない。
【0059】
このようにして、係合孔53の挿入孔部53a内に段付きピン51を位置させた後、天板を上方に持ち上げると、脚部1と天板2の分離がなされる。このとき、図1および図2に示すように、天板2の中央に把持部3があるため、これを把持して持ち上げると天板2は水平状態を保ったまま上方に移動するため、同時に四隅での係合が解かれ、分離が容易となっている。
【0060】
また、図2および図4に示す、四隅の係合部材52は、上述の通り金属材料によって連結した形に構成されている。よって、係合部材52が備える係合孔53は、相互の距離や平面度を適切に構成でき、長期間にわたって維持しやすい。同様に、段付きピン51も金属材料によって、それぞれ脚部1を介して連結された構造をとるため、相互の距離や平面度を常時適切に維持しやすい。そのため、1箇所の係合部における段付きピン51と係合孔53の位置関係は、他の3箇所における段付きピンと係合孔53の位置関係と等しくなりやすく、4箇所での同時の脱着を容易にしている。また、その効果は長期間維持される。さらには、係合部材52は天板2本体に対してネジ止めされることなく、内部に一体的に成型され保持されているため、天板本体との間でもガタが発生せず、より脚部との脱着が行いやすくなる。
【0061】
なお、上記の説明は、通常の使用状態を考慮して、脚部1を地面においた状態で天板2を持って連結、分離することを想定して行ったが、これらの脱着そのものは天板2と脚部1とを上下逆にして行うことも可能である。
【0062】
本実施形態のように脚部1と天板2とを構成しておけば、分離後の片付けの際には、複数の脚部1同士を上下方向に重ね、複数の天板2同士も重ねておくことが可能であり、スペースを有効に使うことができる。
【0063】
上記のようなテーブル9は好みに応じて、様々な方法で運搬できるように構成されている。例えば、図11(a)に示すように、人11は天板2の中央の把持部3をつかみ、脚部1との連結状態を維持したまま上方に持ち上げ、運搬することができる。この場合、天板2の中央に把持部3があるため重心のバランスが良く、天板2が水平状態を保ったまま持ち上げることができる。そのため、脚部1が地面10に接することなく運搬することが可能である。このようにして運搬を行うことで、脚部1をつけたまま簡単にテーブル9の移動を行うことができる。
【0064】
テーブル9の重量が比較的大きい場合には、天板2の一辺を腰に当接させ、把持部3と併せて2点で支持しながら運ぶこともできる。また、片手で把持部3を持ち1つのテーブル9を運ぶことができるため、テーブル9が2つあれば、同時に2つのテーブルを双方の手でもって運ぶこともできる。
【0065】
また、図11(b)に示すように、人11はテーブル9を横向きにして脚部1の間に体を入り込ませるようにした状態で、天板2を脇に挟むようにして、把持部3をつかめば、片手だけを用いてテーブル9の運搬が可能である。このような運搬姿勢は把持部3が天板2の中央にあるため、好適に実現することができる。さらに、テーブル9が2つあれば、それぞれの脚部1が互い違いになるよう体の前で交差させた形態で、双方の手でそれぞれテーブル9の把持部3をつかみ、同時に運搬することも可能である。
【0066】
以上のように、本実施形態のテーブル9は、天板2と、この天板2を下方から支持する脚部1と、これら天板2と脚部1を脱着可能に係合させる係合機構5とを有するものであって、当該係合機構5が、前記天板2と前記脚部1のうち何れか一方に設けた段付きピン51と、他方に設けた係合孔53を有する板状の係合部材52とからなるとともに、前記段付きピン51が頭部51aとこれよりも小径の軸部51bとからなり、前記係合孔53が前記段付きピン51を挿入可能な挿入孔部53aとスライドにより前記頭部51aを引っ掛けるスライド孔部53bとを連結したものにおいて、前記挿入孔部53aの開口縁の上方に、前記段付きピン51の頭部51aの側面51a1と当接可能な当接部54を形成した構成にしたものである。
【0067】
このように構成すると、脚部1と天板2とを取り外す際に、段付きピン51と係合部材52との係合部に注意を払わなくとも無用に引っ掛かることがなく、円滑にテーブル9の分解を行うことができ、作業時間の短縮につながる。
【0068】
さらに、前記係合部材52と、これと対応する段付きピン51を複数個備えており、前記複数の係合部材52が全て連結されているとともに、前記複数の段付きピン51が全て連結されている構成とすることで、上記の効果をさらに高め、長期間にわたり維持することが可能となる。
【0069】
また、前記段付きピン51と前記係合部材52との相対的なスライドを固定するためのストッパ6を前記段付きピン51側に設け、当該ストッパ6本体から前記係合部材52側に係止部材61を突出させ、当該係止部材61を前記係合部材52側に設けた係止孔62aに挿通するようにしたものであり、前記係止孔62aを、前記係合部材52間を連結する連結部材56と一体的に設ける構成とすることで、使用中のスライドを防止し、不意の分解を防ぐとともに、その効果を長期にわたって維持することが可能となる。
【0070】
さらに、前記係合部材52を前記天板2の本体と一体的に成型して構成とすることで、上記の効果を高めることが可能となる。
【0071】
また、表面と裏面とに化粧板21、22を備え、その間に前記係合部材52を配置したものであって、前記裏面化粧板22には、前記係合部材52の前記係合孔53および当該係合孔53の周辺が露出するよう対応箇所に開口部22bが設けられている構成とすることで、上記の効果を有しつつ、長期にわたって美観を損わないようにすることが可能となる。
【0072】
さらに、前記係合部材52と前記裏面化粧板22とに、位置決め用のピン部材が同時に嵌挿されている構成とすることで、上記の効果を有するテーブル9を簡単に製作することが可能となる。
【0073】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0074】
例えば、上述した係合フレーム55を四角形につないだ形態に構成することは必須ではなく、図15に示すようにX状に構成し、中央付近より張り出し部を設けてフレーム係止孔62aを形成してもよい。本発明の効果を得るためには、各係合部材52およびフレーム係止孔の相対位置が固定されるように構成すればよいのである。
【0075】
また、上記の実施態様では、係合部材52に対して当接部54は溶接によって一体化してあるが、これを当初から一個の部品として深絞りや切削、鋳造等の手段で製作することも可能であるし、例えば図16のように、折り曲げ加工によって不連続に挿入孔部53aの開口縁を立ち上げて壁を形成することで当接部54としてもよい。すなわち、係合孔53に挿入される段付きピン51の頭部51aが、スライド孔部53b以外の部分で引っ掛かりを生じないように構成することが肝要であって、これを満たす限り、細かな部品形状や製作方法については様々なものを適用することが可能である。図17に示すように、挿入孔部53aの開口縁が直接的に立ち上がってはいなくとも、当該開口縁よりも若干上方にのみ段付きピン51の頭部51a1と当接可能な壁を形成するような形状に、当接部54を形成してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…脚部
2…天板
3…把持部
5…係合機構
6…ストッパ
9…テーブル
51…段付きピン
52…係合部材
53…係合孔
53a…挿入孔部
53b…スライド孔部
54…当接部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、この天板を下方から支持する脚部と、これら天板と脚部を脱着可能に係合させる係合機構とを有するものであって、当該係合機構が、前記天板と前記脚部のうち何れか一方に設けた段付きピンと、他方に設けた係合孔を有する板状の係合部材とからなるとともに、前記段付きピンが頭部とこれよりも小径の軸部とからなり、前記係合孔が前記段付きピンを挿入可能な挿入孔部とスライドにより前記頭部を引っ掛けるスライド孔部とを連結したものにおいて、前記挿入孔部の開口縁の上方に、前記段付きピンの頭部の側面と当接可能な当接部を形成したことを特徴とするテーブル。
【請求項2】
前記係合部材と、これと対応する段付きピンを複数個備えており、前記複数の係合部材が全て連結されているとともに、前記複数の段付きピンが全て連結されていることを特徴とする請求項1に記載のテーブル。
【請求項3】
前記段付きピンと前記係合部材との相対的なスライドを固定するためのストッパを前記段付きピン側に設け、当該ストッパ本体から前記係合部材側に係止部材を突出させ、当該係止部材を前記係合部材側に設けた係止孔に挿通するようにしたものであり、前記係止孔を、前記係合部材間を連結する連結部材と一体的に設けたことを特徴とする請求項2に記載のテーブル。
【請求項4】
前記係合部材を前記天板の本体と一体的に成型して構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテーブル。
【請求項5】
前記天板が、表面と裏面とに化粧板を備え、その間に前記係合部材を配置したものであって、前記裏面化粧板には、前記係合部材の前記係合孔および当該係合孔の周辺が露出するよう対応箇所に開口部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のテーブル。
【請求項6】
前記係合部材と前記裏面化粧板とに、位置決め用のピン部材が同時に嵌挿されていることを特徴とする請求項5に記載のテーブル。
【請求項1】
天板と、この天板を下方から支持する脚部と、これら天板と脚部を脱着可能に係合させる係合機構とを有するものであって、当該係合機構が、前記天板と前記脚部のうち何れか一方に設けた段付きピンと、他方に設けた係合孔を有する板状の係合部材とからなるとともに、前記段付きピンが頭部とこれよりも小径の軸部とからなり、前記係合孔が前記段付きピンを挿入可能な挿入孔部とスライドにより前記頭部を引っ掛けるスライド孔部とを連結したものにおいて、前記挿入孔部の開口縁の上方に、前記段付きピンの頭部の側面と当接可能な当接部を形成したことを特徴とするテーブル。
【請求項2】
前記係合部材と、これと対応する段付きピンを複数個備えており、前記複数の係合部材が全て連結されているとともに、前記複数の段付きピンが全て連結されていることを特徴とする請求項1に記載のテーブル。
【請求項3】
前記段付きピンと前記係合部材との相対的なスライドを固定するためのストッパを前記段付きピン側に設け、当該ストッパ本体から前記係合部材側に係止部材を突出させ、当該係止部材を前記係合部材側に設けた係止孔に挿通するようにしたものであり、前記係止孔を、前記係合部材間を連結する連結部材と一体的に設けたことを特徴とする請求項2に記載のテーブル。
【請求項4】
前記係合部材を前記天板の本体と一体的に成型して構成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテーブル。
【請求項5】
前記天板が、表面と裏面とに化粧板を備え、その間に前記係合部材を配置したものであって、前記裏面化粧板には、前記係合部材の前記係合孔および当該係合孔の周辺が露出するよう対応箇所に開口部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のテーブル。
【請求項6】
前記係合部材と前記裏面化粧板とに、位置決め用のピン部材が同時に嵌挿されていることを特徴とする請求項5に記載のテーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−100948(P2012−100948A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253239(P2010−253239)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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