テープカッター、テープ用切断刃、テープカッターの製造方法、及びテープ用切断刃の製造方法
【課題】安全性が高く、テープを幅方向に向けて略直線状に切断可能なテープ用切断刃を、低コストで製造できるようにすることを目的とする。
【解決手段】テープ2を繰り出して切断するためのテープカッター1であって、テープを切断するためのカッター部5に、テープが繰り出される方向に沿った平面部11と、それに隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部12と、を有する切断刃10を取り付けた。この切断刃の端面部は、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる金属板を帯鋸によって切断することで、帯鋸の移動方向に向けたバリを形成するように構成される。
【解決手段】テープ2を繰り出して切断するためのテープカッター1であって、テープを切断するためのカッター部5に、テープが繰り出される方向に沿った平面部11と、それに隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部12と、を有する切断刃10を取り付けた。この切断刃の端面部は、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる金属板を帯鋸によって切断することで、帯鋸の移動方向に向けたバリを形成するように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状のテープを所望の長さに切断するためのテープカッター、テープ用切断刃、及びそれらの製造方法に関し、特に、製造コストを低減できるテープカッター、テープ用切断刃、テープカッターの製造方法、及びテープ用切断刃の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着テープや食品用ラップフィルムなどのロール状に巻回されたテープを繰り出して切断するためのテープカッターにあっては、図14に示すテープカッター1のように、ロール状のテープ2を保持する保持部3と、テープ2が繰り出される空間部4と、テープ2を切断するカッター部5と、からなる本体部6に、鋸刃状の切断刃7(所謂、ギザ刃)が装着されたものが多い。
このような鋸刃状の切断刃7を有するテープカッター1においては、テープ2を所望の長さに繰り出した後、鋸刃の先端部をテープ2に突き刺して位置決めした状態で、下側に向けてテープ2を引っ張ることによって、テープ2を幅方向に切断するようになっている。
【0003】
しかし、このような切断刃7においては、刃先が上に向けて突出しているので、刃先に手が触れる危険性があり、安全性が低い。
また、刃先が上方に向けて凸凹状なので、テープ2の切断線が鋸刃状になってしまい、切断されたテープ2’を接合物に貼り付けた際の見た目が悪い。
そこで、直線状に切断することができ、安全性の高いテープカッターとして、テープの繰り出し方向に沿った第1の面と、それに隣接する第2の面とがなす直線状の刃先線と、この刃先線を分断する複数のスリットとを備えたものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−176612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のテープカッターの切断刃を、例えば金属板によって製造する際には、直線状の刃先線を形成する工程と、その刃先線を分断する複数のスリットを形成する工程と、の2つの工程を経る必要があるので、製造工程が複雑化する。
また、スリットを形成するための金型が必要となるので、製造コストが嵩み、少ないロッド数での生産には不向きである。
【0005】
そこで、本発明は、安全性が高く、テープを幅方向に向けて略直線状に切断できるテープ用切断刃を、低コストで製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るテープカッターは、テープを繰り出して切断するためのテープカッターであって、前記テープを切断するためのカッター部に、テープが繰り出される方向に沿った平面部と、該平面部に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部と、を有する切断刃を取り付けたことを特徴とするものである。
この場合、前記端面部は、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸の移動方向に向けたバリを形成するように構成され、前記バリを上方に向けた状態で、前記切断刃を前記カッター部に取り付けたものであってもよい。
また、前記板状部材を下方に向けて所定角度折り曲げることで前記平面部を構成し、繰り出されたテープが前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部に供給されるように前記テープを係止させる係止部を設けてもよい。
【0007】
本発明に係るテープ用切断刃は、ロール状に巻回されたテープを切断するための切断刃であって、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部と、該平面部に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部と、を有することを特徴とするものである。
この場合、前記端面部は、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸の移動方向に向けたバリを形成したものであってもよい。
【0008】
本発明に係るテープカッターの製造方法は、ロール状のテープを保持する保持部と前記テープが繰り出される空間部と前記テープを切断するカッター部とからなる本体部を形成する工程と、板状部材を帯鋸によって切断することで当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に前記帯鋸の移動方向に向けたバリを有するテープ用切断刃を形成する工程と、該テープ用切断刃を前記テープが繰り出される方向に刃先を向けた状態で前記カッター部に取り付ける工程と、を含んで構成されるものである。
この場合、帯鋸によって切断された前記板状部材を所定角度折り曲げる工程を加え、前記板状部材の折り曲げられた平面部が下方に向かうように、前記テープ用切断刃を前記カッター部に取り付けてもよい。
そして、前記保持部から繰り出されたテープが前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部に供給されるように前記テープを係止させる係止部を設ける工程を加えてもよい。
【0009】
本発明に係るテープ用切断刃の製造方法は、ロール状のテープを保持する保持部と前記テープが繰り出される空間部と前記テープを切断するカッター部とからなるテープカッターの本体部に取り付けられるテープ用切断刃の製造方法であって、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸の移動方向に向けたバリを形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るテープカッターによれば、テープが繰り出される方向に沿った平面部と、それに隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部と、を有する切断刃を、カッター部に取り付けたので、平面部に沿って繰り出されたテープは、平面部材の先端のギザ面の上縁部において係止され、この状態でテープを下方に引っ張ることで、ギザ面の凸部によってテープに切り込みが設けられ、その切り込みに沿ってテープの幅方向に略直線状に切断される。
切断刃の凸凹状の端面部は、金属製又は合成樹脂製の板状部材を、鋸状の裁断刃で切断された際の切断面として形成することができるので、金型や特別な成型装置を使用することなく、簡単な工程にて安価に製造することができる。
【0011】
請求項2に係るテープカッターは、刃先となる端面部を、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、帯鋸の移動方向に向けたバリが形成されるようにしたので、製造に際して特別な金型を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けたので、切れ味を良くすることができる。
【0012】
請求項3に係るテープカッターは、板状部材を下方に向けて所定角度折り曲げることによって、テープ用切断刃の刃先が下に向くようにしたので、刃先に手が触れ難く、安全性が高い。
また、平面部の傾斜よりもよりも僅かに小さい角度をもって平面部に供給されるようにテープを係止させる係止部を設けたので、テープを所望の長さに繰り出した後、この係止部に係止させることによって、テープを刃先へと円滑に導くことができる。
【0013】
請求項4に係るテープ用切断刃は、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部と、それに隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部を有するので、平面部に沿って繰り出されたテープは、その先端のギザ面において係止され、下方向にテープを引っ張ることで、テープの幅方向に沿って、略直線状に切断することができる。
凸凹状の端面部は、目の粗い裁断刃で切断された際の切断面として形成することができるので、金型や特別な成型装置を使用することなく、簡単な工程にて安価に製造することができる。
【0014】
請求項5に係るテープ用切断刃は、刃先となる端面部を、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、帯鋸の移動方向に向けたバリが形成されるように構成したので、製造に際して特別な金型等を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けることで、切れ味を良くすることができる。
【0015】
請求項6に係るテープカッターの製造方法は、テープカッターの切断刃を製造する際に、板状部材を帯鋸で切断することで、切断面に凸凹状のギザ面を形成したので、特別な金型を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けるので、切れ味の良いテープカッターを簡単かつ安価に製造することができる。
【0016】
請求項7に係るテープカッターの製造方法は、板状部材を所定角度折り曲げ、その折り曲げられた平面部が下方に向かうように、テープ用切断刃をカッター部に取り付けるため、刃先が下に向くようになる。
このため、刃先に手が触れ難く、安全性の高いテープカッターを製造することができる。
【0017】
請求項8に係るテープカッターの製造方法は、平面部の傾斜よりもよりも僅かに小さい角度をもって平面部に供給されるようにテープを係止させる係止部を設けたので、テープを所望の長さに繰り出した後、この係止部に係止させることができる。
係止部においてテープを一旦係止させた後、テープ用切断刃の刃先でテープを切断するので、テープの切断が容易である。
【0018】
請求項9に係るテープ用切断刃の製造方法は、テープ用切断刃を製造する際に、板状部材を帯鋸で切断することで、切断面に凸凹状のギザ面を形成したので、特別な金型を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けることで、切れ味の良いテープ用切断刃を簡単かつ安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決しうるものであれば他の態様も実施可能である。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係るテープカッター1を示す斜視図である。
このテープカッター1は、ロール状の背着テープ2を繰り出して切断するためのもので、テープ2を保持する保持部3と、テープ2が繰り出される空間部4と、テープ2を切断するカッター部5とからなる本体部に、テープ2を切断するための切断刃10を取り付けたものである。
【0021】
このテープカッターの本体部6は、合成樹脂製の材料によって一体成形されたものであり、台座部8の上方にテープ2が環装されるリール状の保持部3が設けられ、テープ2が繰り出される空間部4を介して、保持部3から所定距離離れた位置にカッター部5が突設されている。
このカッター部5の先端には、本発明の実施形態に係るテープ用切断刃10が取り付けられており、この切断刃10によって、保持部3から繰り出された接着テープ2を切断するようになっている。
【0022】
この切断刃10は、カッター部5の上端部に、刃先を横方向(即ち、接着テープが繰り出される方向)に向けた状態で取り付けられている。
以下、本実施形態に係るテープ用切断刃10の構成を、図2を参照して詳述する。
【0023】
本実施形態に係るテープ用の切断刃10は、テープ2が繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部11と、この平面部11に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部12と、を有し、平面部11に沿って繰り出されたテープ2を端面部12の凹凸によって切断するものである。
この切断刃10は、例えば図3に示す裁断機20を用いて、金属板13を帯鋸21によって切断することによって製造することができる。
【0024】
この裁断機20は、被裁断物(13)が載置されるベース22と、一対の鋸車23と、鋸車23の回転によって循環移動される帯鋸21と、を含んで構成されるもので、無端の帯鋸21を一方向Aに移動させ、移動中の帯鋸21の刃先に向けて被裁断物を移動させることによって切断するものである。
この帯鋸21の刃先には、複数の裁断歯24が連続的に形成されており(図4参照)、このような裁断歯24に向けて金属板13を移動させることによって、裁断歯24の歯先25に位置する部位と歯底26に位置する部位との切断高さの相違により、金属板13の移動方向Bに沿って凸凹状の切断面が形成される(図2参照)。
【0025】
この場合、図5に示すように、歯先25’の両側方に、僅かに突出する鋭利な突起部27が設けられた帯鋸21’を使用することによって、切断面を、大きな凸凹形状のギザ面にすることができる(図6参照)。
また、帯鋸21は循環移動しているので、帯鋸21の移動方向Aに向けて、バリ14を金属板13に形成することができる。なお、図に示すバリ14は、誇張して表現されたものである。
【0026】
このように構成された切断刃10を、バリ14を上方に向けた状態でカッター部5に取り付けることで、テープカッター1が構成されている。
このように構成することで、テープカッター1は、テープ2を切断するためのカッター部5に、テープ2が繰り出される方向に沿った平面部11と、該平面部に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部12と、を有する切断刃10が取り付けられた構造とすることができる。
【0027】
この切断刃10の端面部12は、テープ2が繰り出される方向に沿って板面が延びる金属板13を帯鋸21によって切断することで、切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、帯鋸21の移動方向に向けたバリ14を形成するように構成されている。このように構成された切断刃10によってテープ2を切断する際には、図7に示すように、平面部11に沿って繰り出されたテープ2が、平面部11において仮止めされた後、端面部12の上縁の凸部15において係止され、この状態でテープ2を下方に引っ張ることで、凸部15によってテープ2に切り込みが設けられ、その切り込みに沿ってテープ2の幅方向に略直線状に切断されるようにできる。
【0028】
また、切断刃10の刃先が金属板13の平面部11から上方に突出していないので、刃先に手が触れる機会が少なく、安全性が高い。
本実施形態に係るテープカッター1において、切断刃10の端面部12は、金属板や合成樹脂製の板状部材を、目の粗い裁断刃で切断された際の切断面として形成することができるので、金型や特別な成型装置を使用する必要がない。
また、金属板13を一方向に移動する帯鋸21によって切断することで、帯鋸21の移動方向に向けたバリが形成されるようにしたので、このようにして製造された切断刃10を、バリを上方に向けた状態で、カッター部6に取り付けることで、切れ味のよい切断刃10を有したテープカッター1を製造することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る切断刃10は、金属板13を帯鋸21で切断することによって製造できるので、付け替え用の切断刃10を即座に提供することが可能である。
また、本実施形態に係るテープカッター1の製造は、テープカッター1の本体6を形成する工程と、金属板13を帯鋸21によって切断して切断刃10を製造する工程と、切断刃10を、テープ2が繰り出される方向に刃先を向けた状態で、テープカッター1のカッター部5に取り付ける工程と、を別個に行なうことが可能なので、大規模な工場や設備を必要としない。
【0030】
なお、本実施形態に係るテープカッター1は、切断刃10がテープカッター1の本体部6に対して着脱可能なものであってもよく、このように構成することで、切断刃10が磨耗又は破損した場合、新たな切断刃10を取り付けて使用することができる。
また、テープカッター1の本体部6は、ロール状のテープを保持する保持部と、前記テープが繰り出される空間部と、前記テープを切断するカッター部とを有するものであれば如何なる形状のものでもよく、例えば、図8に示すように、リール状の保持部3’の回転軸を本体正面部6a’と台座部8’とに設けられた軸受で支承するような構造であってもよい。
【0031】
本実施形態においては、金属板13を帯鋸21で切断することによって、金属製の切断刃10を製造したが、プラスチック板などの平面部材を帯鋸21で切断することによって製造してもよい。
また、本発明に係るテープ用切断刃は、接着テープ用のテープカッターに限らず、ロール状に巻回されたあらゆる材質のテープ用の切断刃として使用することができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係るテープカッター1’を、図9を参照して説明する。
このテープカッター1’のテープ用切断刃10’は、金属板13’を折り曲げて平面部11’を構成した点、金属板13’の上面に仮止め部16を設けた点を除き、第1実施形態に係るテープ用切断刃10と同様の構成である。
また、第2実施形態に係るテープカッター1’は、金属板13’を折り曲げて構成された平面部11’が下方に向かうように、テープ用切断刃10’が本体のカッター部5に取り付けられている点を除き、第1実施形態に係るテープカッター1と同様である。
【0033】
即ち、このテープカッター1’のテープ用裁断刃10’は、金属板13’の先端部近傍において、端面部12と平行に折り曲げられており、その折り曲げられた領域をもって、テープ2の繰り出される方向に沿った平面部11’としている。
この平面部11’の折り曲げ角度は、水平方向に対して2度〜30度(好ましくは、3度〜10度)であり、このように下方に向けて平面部11’を傾斜させることによって、刃先に手が触れるのを防止している(図10参照)。
【0034】
そして、平面部11’が設けられている側とは反対側(テープカッター1’の保持部3の側)の金属板13’上には、仮止め部16が上方に向けて突設されている。
この仮止め部16は、保持部3から繰り出されたテープ2を係止させ、テープ2の接着面において仮止めするための部位であり、保持部3から繰り出されたテープ2が、平面部11’の傾斜角よりも僅かに小さい角度をもって、平面部11’へと供給されるように設計されている。
テープ2を所望の長さに繰り出した後、この仮止め部16に係止させることによって、必要な長さのテープ2を刃先へと円滑に導くことができる。
【0035】
本実施形態におけるテープ用切断刃10’も、第1実施形態と同様の裁断機20を用いて製造することができる(図3参照)。
即ち、第1実施形態と同様の方法で、金属板13’を帯鋸20で切断することによって、先ず、その切断面において凸凹形状のギザ面からなる端面部12を形成する。
【0036】
その後、端面部12の近傍において、金属板13’を折り曲げ、傾斜状の平面部11’を形成する。
そして、平面部11’の端面部12側が下方に向かうように、そのテープ用切断刃10’をカッター部5に取り付ける。
その後、金属板13’の上面に別部材からなる仮止め部16を接合する。
【0037】
この仮止め部16は、平面部11’の傾斜角よりも僅かに小さい角度をもって、テープ2が平面部11’に供給されるような位置及び高さに設計されているので、テープを所望の長さに繰り出した後、この仮止め部16においてテープ2を一旦係止させ、その先端の刃先においてテープを切断することができる。
これによって、ロール状のテープ2を繰り出して切断するための一連の作業を円滑に行なうことができる。
特に、このテープカッター1’を接着テープ用のテープディスペンサーとして使用する場合は、仮止め部16において仮止めされたテープ2が、傾斜度の高い平面部11’において再度仮止めされるので、テープ2を幅方向に正確に切断することができるようになる。
【0038】
なお、図12(a)は、図10及び図11に示すテープカッター1’によって切断されたテープ片2’であり、図12(b)は、図14に示す従来品によって切断されたテープ片2’である。
本実施形態では仮止め部16を別部材によって構成したが、図13に示すように、金属板13”の他端部を上方に向けて屈曲させ、上方に突出した部位を仮止め部16”としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、事務、調理、鉱工業、及び農林水産業など、様々な産業分野におけるテープ素材の切断に使用されるテープカッター、テープ用切断刃、テープカッターの製造方法、及びテープ用切断刃の製造方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るテープカッターを示す斜視図である。
【図2】上記テープカッターに取り付けられるテープ用切断刃を示す斜視図である。
【図3】上記テープ用切断刃を製造するための帯鋸の取り付けられた裁断機を示す側面図である。
【図4】帯鋸と金属板の関係を示す説明図であり、(a)は側方から見た状態を示し、(b)は切断地点における状態を示す。
【図5】歯先の両側に突起部を設けた帯鋸における、金属板との関係を示す説明図であり、(a)は側方から見た状態を示し、(b)は切断地点における状態を示す。
【図6】帯鋸で金属板を切断する状態と、そのX−X線矢視断面を示す説明図である。
【図7】上記テープカッターの使用状態を示す斜視図である。
【図8】上記テープカッターの本体部の変形例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るテープカッターを示す説明図である。
【図10】上記テープカッターにテープ用切断刃が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】上記テープカッターによってテープを切断する状態を示す側面図である。
【図12】(a)は本発明に係る上記テープカッターで切断されたテープ片であり、(b)は従来のテープカッターで切断されたテープ片を示す。
【図13】上記実施形態に係るテープカッターの仮止め部の変形例を示す説明図である。
【図14】従来の鋸刃状のテープカッターを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1、1’・・・テープカッター
2、2’・・・テープ
3・・・保持部
4・・・空間部
5・・・カッター部
6・・・本体部
7・・・鋸刃状の切断刃
8・・・台座部
10、10’・・・テープ用切断刃
11、11’・・・平面部
12・・端面部
13、13’・・・金属板
14・・・バリ
15・・・凸部
16、16”・・・仮止め部(係止部)
20・・・裁断機
21、21’・・・帯鋸
22・・・ベース
23・・・鋸車23
24・・・裁断歯
25,25’・・・歯先
26・・・歯底
27・・・突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状のテープを所望の長さに切断するためのテープカッター、テープ用切断刃、及びそれらの製造方法に関し、特に、製造コストを低減できるテープカッター、テープ用切断刃、テープカッターの製造方法、及びテープ用切断刃の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着テープや食品用ラップフィルムなどのロール状に巻回されたテープを繰り出して切断するためのテープカッターにあっては、図14に示すテープカッター1のように、ロール状のテープ2を保持する保持部3と、テープ2が繰り出される空間部4と、テープ2を切断するカッター部5と、からなる本体部6に、鋸刃状の切断刃7(所謂、ギザ刃)が装着されたものが多い。
このような鋸刃状の切断刃7を有するテープカッター1においては、テープ2を所望の長さに繰り出した後、鋸刃の先端部をテープ2に突き刺して位置決めした状態で、下側に向けてテープ2を引っ張ることによって、テープ2を幅方向に切断するようになっている。
【0003】
しかし、このような切断刃7においては、刃先が上に向けて突出しているので、刃先に手が触れる危険性があり、安全性が低い。
また、刃先が上方に向けて凸凹状なので、テープ2の切断線が鋸刃状になってしまい、切断されたテープ2’を接合物に貼り付けた際の見た目が悪い。
そこで、直線状に切断することができ、安全性の高いテープカッターとして、テープの繰り出し方向に沿った第1の面と、それに隣接する第2の面とがなす直線状の刃先線と、この刃先線を分断する複数のスリットとを備えたものが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−176612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のテープカッターの切断刃を、例えば金属板によって製造する際には、直線状の刃先線を形成する工程と、その刃先線を分断する複数のスリットを形成する工程と、の2つの工程を経る必要があるので、製造工程が複雑化する。
また、スリットを形成するための金型が必要となるので、製造コストが嵩み、少ないロッド数での生産には不向きである。
【0005】
そこで、本発明は、安全性が高く、テープを幅方向に向けて略直線状に切断できるテープ用切断刃を、低コストで製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るテープカッターは、テープを繰り出して切断するためのテープカッターであって、前記テープを切断するためのカッター部に、テープが繰り出される方向に沿った平面部と、該平面部に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部と、を有する切断刃を取り付けたことを特徴とするものである。
この場合、前記端面部は、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸の移動方向に向けたバリを形成するように構成され、前記バリを上方に向けた状態で、前記切断刃を前記カッター部に取り付けたものであってもよい。
また、前記板状部材を下方に向けて所定角度折り曲げることで前記平面部を構成し、繰り出されたテープが前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部に供給されるように前記テープを係止させる係止部を設けてもよい。
【0007】
本発明に係るテープ用切断刃は、ロール状に巻回されたテープを切断するための切断刃であって、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部と、該平面部に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部と、を有することを特徴とするものである。
この場合、前記端面部は、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸の移動方向に向けたバリを形成したものであってもよい。
【0008】
本発明に係るテープカッターの製造方法は、ロール状のテープを保持する保持部と前記テープが繰り出される空間部と前記テープを切断するカッター部とからなる本体部を形成する工程と、板状部材を帯鋸によって切断することで当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に前記帯鋸の移動方向に向けたバリを有するテープ用切断刃を形成する工程と、該テープ用切断刃を前記テープが繰り出される方向に刃先を向けた状態で前記カッター部に取り付ける工程と、を含んで構成されるものである。
この場合、帯鋸によって切断された前記板状部材を所定角度折り曲げる工程を加え、前記板状部材の折り曲げられた平面部が下方に向かうように、前記テープ用切断刃を前記カッター部に取り付けてもよい。
そして、前記保持部から繰り出されたテープが前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部に供給されるように前記テープを係止させる係止部を設ける工程を加えてもよい。
【0009】
本発明に係るテープ用切断刃の製造方法は、ロール状のテープを保持する保持部と前記テープが繰り出される空間部と前記テープを切断するカッター部とからなるテープカッターの本体部に取り付けられるテープ用切断刃の製造方法であって、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸の移動方向に向けたバリを形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係るテープカッターによれば、テープが繰り出される方向に沿った平面部と、それに隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部と、を有する切断刃を、カッター部に取り付けたので、平面部に沿って繰り出されたテープは、平面部材の先端のギザ面の上縁部において係止され、この状態でテープを下方に引っ張ることで、ギザ面の凸部によってテープに切り込みが設けられ、その切り込みに沿ってテープの幅方向に略直線状に切断される。
切断刃の凸凹状の端面部は、金属製又は合成樹脂製の板状部材を、鋸状の裁断刃で切断された際の切断面として形成することができるので、金型や特別な成型装置を使用することなく、簡単な工程にて安価に製造することができる。
【0011】
請求項2に係るテープカッターは、刃先となる端面部を、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、帯鋸の移動方向に向けたバリが形成されるようにしたので、製造に際して特別な金型を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けたので、切れ味を良くすることができる。
【0012】
請求項3に係るテープカッターは、板状部材を下方に向けて所定角度折り曲げることによって、テープ用切断刃の刃先が下に向くようにしたので、刃先に手が触れ難く、安全性が高い。
また、平面部の傾斜よりもよりも僅かに小さい角度をもって平面部に供給されるようにテープを係止させる係止部を設けたので、テープを所望の長さに繰り出した後、この係止部に係止させることによって、テープを刃先へと円滑に導くことができる。
【0013】
請求項4に係るテープ用切断刃は、テープが繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部と、それに隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部を有するので、平面部に沿って繰り出されたテープは、その先端のギザ面において係止され、下方向にテープを引っ張ることで、テープの幅方向に沿って、略直線状に切断することができる。
凸凹状の端面部は、目の粗い裁断刃で切断された際の切断面として形成することができるので、金型や特別な成型装置を使用することなく、簡単な工程にて安価に製造することができる。
【0014】
請求項5に係るテープ用切断刃は、刃先となる端面部を、板状部材を帯鋸によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、帯鋸の移動方向に向けたバリが形成されるように構成したので、製造に際して特別な金型等を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けることで、切れ味を良くすることができる。
【0015】
請求項6に係るテープカッターの製造方法は、テープカッターの切断刃を製造する際に、板状部材を帯鋸で切断することで、切断面に凸凹状のギザ面を形成したので、特別な金型を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けるので、切れ味の良いテープカッターを簡単かつ安価に製造することができる。
【0016】
請求項7に係るテープカッターの製造方法は、板状部材を所定角度折り曲げ、その折り曲げられた平面部が下方に向かうように、テープ用切断刃をカッター部に取り付けるため、刃先が下に向くようになる。
このため、刃先に手が触れ難く、安全性の高いテープカッターを製造することができる。
【0017】
請求項8に係るテープカッターの製造方法は、平面部の傾斜よりもよりも僅かに小さい角度をもって平面部に供給されるようにテープを係止させる係止部を設けたので、テープを所望の長さに繰り出した後、この係止部に係止させることができる。
係止部においてテープを一旦係止させた後、テープ用切断刃の刃先でテープを切断するので、テープの切断が容易である。
【0018】
請求項9に係るテープ用切断刃の製造方法は、テープ用切断刃を製造する際に、板状部材を帯鋸で切断することで、切断面に凸凹状のギザ面を形成したので、特別な金型を必要としない。
また、一方向に移動する帯鋸によって板状部材を切断したので、帯鋸の移動方向に向けてバリを形成することができ、このバリを上方に向けた状態でカッター部に取り付けることで、切れ味の良いテープ用切断刃を簡単かつ安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決しうるものであれば他の態様も実施可能である。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係るテープカッター1を示す斜視図である。
このテープカッター1は、ロール状の背着テープ2を繰り出して切断するためのもので、テープ2を保持する保持部3と、テープ2が繰り出される空間部4と、テープ2を切断するカッター部5とからなる本体部に、テープ2を切断するための切断刃10を取り付けたものである。
【0021】
このテープカッターの本体部6は、合成樹脂製の材料によって一体成形されたものであり、台座部8の上方にテープ2が環装されるリール状の保持部3が設けられ、テープ2が繰り出される空間部4を介して、保持部3から所定距離離れた位置にカッター部5が突設されている。
このカッター部5の先端には、本発明の実施形態に係るテープ用切断刃10が取り付けられており、この切断刃10によって、保持部3から繰り出された接着テープ2を切断するようになっている。
【0022】
この切断刃10は、カッター部5の上端部に、刃先を横方向(即ち、接着テープが繰り出される方向)に向けた状態で取り付けられている。
以下、本実施形態に係るテープ用切断刃10の構成を、図2を参照して詳述する。
【0023】
本実施形態に係るテープ用の切断刃10は、テープ2が繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部11と、この平面部11に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部12と、を有し、平面部11に沿って繰り出されたテープ2を端面部12の凹凸によって切断するものである。
この切断刃10は、例えば図3に示す裁断機20を用いて、金属板13を帯鋸21によって切断することによって製造することができる。
【0024】
この裁断機20は、被裁断物(13)が載置されるベース22と、一対の鋸車23と、鋸車23の回転によって循環移動される帯鋸21と、を含んで構成されるもので、無端の帯鋸21を一方向Aに移動させ、移動中の帯鋸21の刃先に向けて被裁断物を移動させることによって切断するものである。
この帯鋸21の刃先には、複数の裁断歯24が連続的に形成されており(図4参照)、このような裁断歯24に向けて金属板13を移動させることによって、裁断歯24の歯先25に位置する部位と歯底26に位置する部位との切断高さの相違により、金属板13の移動方向Bに沿って凸凹状の切断面が形成される(図2参照)。
【0025】
この場合、図5に示すように、歯先25’の両側方に、僅かに突出する鋭利な突起部27が設けられた帯鋸21’を使用することによって、切断面を、大きな凸凹形状のギザ面にすることができる(図6参照)。
また、帯鋸21は循環移動しているので、帯鋸21の移動方向Aに向けて、バリ14を金属板13に形成することができる。なお、図に示すバリ14は、誇張して表現されたものである。
【0026】
このように構成された切断刃10を、バリ14を上方に向けた状態でカッター部5に取り付けることで、テープカッター1が構成されている。
このように構成することで、テープカッター1は、テープ2を切断するためのカッター部5に、テープ2が繰り出される方向に沿った平面部11と、該平面部に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部12と、を有する切断刃10が取り付けられた構造とすることができる。
【0027】
この切断刃10の端面部12は、テープ2が繰り出される方向に沿って板面が延びる金属板13を帯鋸21によって切断することで、切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、帯鋸21の移動方向に向けたバリ14を形成するように構成されている。このように構成された切断刃10によってテープ2を切断する際には、図7に示すように、平面部11に沿って繰り出されたテープ2が、平面部11において仮止めされた後、端面部12の上縁の凸部15において係止され、この状態でテープ2を下方に引っ張ることで、凸部15によってテープ2に切り込みが設けられ、その切り込みに沿ってテープ2の幅方向に略直線状に切断されるようにできる。
【0028】
また、切断刃10の刃先が金属板13の平面部11から上方に突出していないので、刃先に手が触れる機会が少なく、安全性が高い。
本実施形態に係るテープカッター1において、切断刃10の端面部12は、金属板や合成樹脂製の板状部材を、目の粗い裁断刃で切断された際の切断面として形成することができるので、金型や特別な成型装置を使用する必要がない。
また、金属板13を一方向に移動する帯鋸21によって切断することで、帯鋸21の移動方向に向けたバリが形成されるようにしたので、このようにして製造された切断刃10を、バリを上方に向けた状態で、カッター部6に取り付けることで、切れ味のよい切断刃10を有したテープカッター1を製造することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る切断刃10は、金属板13を帯鋸21で切断することによって製造できるので、付け替え用の切断刃10を即座に提供することが可能である。
また、本実施形態に係るテープカッター1の製造は、テープカッター1の本体6を形成する工程と、金属板13を帯鋸21によって切断して切断刃10を製造する工程と、切断刃10を、テープ2が繰り出される方向に刃先を向けた状態で、テープカッター1のカッター部5に取り付ける工程と、を別個に行なうことが可能なので、大規模な工場や設備を必要としない。
【0030】
なお、本実施形態に係るテープカッター1は、切断刃10がテープカッター1の本体部6に対して着脱可能なものであってもよく、このように構成することで、切断刃10が磨耗又は破損した場合、新たな切断刃10を取り付けて使用することができる。
また、テープカッター1の本体部6は、ロール状のテープを保持する保持部と、前記テープが繰り出される空間部と、前記テープを切断するカッター部とを有するものであれば如何なる形状のものでもよく、例えば、図8に示すように、リール状の保持部3’の回転軸を本体正面部6a’と台座部8’とに設けられた軸受で支承するような構造であってもよい。
【0031】
本実施形態においては、金属板13を帯鋸21で切断することによって、金属製の切断刃10を製造したが、プラスチック板などの平面部材を帯鋸21で切断することによって製造してもよい。
また、本発明に係るテープ用切断刃は、接着テープ用のテープカッターに限らず、ロール状に巻回されたあらゆる材質のテープ用の切断刃として使用することができる。
【実施例2】
【0032】
次に、本発明の第2実施形態に係るテープカッター1’を、図9を参照して説明する。
このテープカッター1’のテープ用切断刃10’は、金属板13’を折り曲げて平面部11’を構成した点、金属板13’の上面に仮止め部16を設けた点を除き、第1実施形態に係るテープ用切断刃10と同様の構成である。
また、第2実施形態に係るテープカッター1’は、金属板13’を折り曲げて構成された平面部11’が下方に向かうように、テープ用切断刃10’が本体のカッター部5に取り付けられている点を除き、第1実施形態に係るテープカッター1と同様である。
【0033】
即ち、このテープカッター1’のテープ用裁断刃10’は、金属板13’の先端部近傍において、端面部12と平行に折り曲げられており、その折り曲げられた領域をもって、テープ2の繰り出される方向に沿った平面部11’としている。
この平面部11’の折り曲げ角度は、水平方向に対して2度〜30度(好ましくは、3度〜10度)であり、このように下方に向けて平面部11’を傾斜させることによって、刃先に手が触れるのを防止している(図10参照)。
【0034】
そして、平面部11’が設けられている側とは反対側(テープカッター1’の保持部3の側)の金属板13’上には、仮止め部16が上方に向けて突設されている。
この仮止め部16は、保持部3から繰り出されたテープ2を係止させ、テープ2の接着面において仮止めするための部位であり、保持部3から繰り出されたテープ2が、平面部11’の傾斜角よりも僅かに小さい角度をもって、平面部11’へと供給されるように設計されている。
テープ2を所望の長さに繰り出した後、この仮止め部16に係止させることによって、必要な長さのテープ2を刃先へと円滑に導くことができる。
【0035】
本実施形態におけるテープ用切断刃10’も、第1実施形態と同様の裁断機20を用いて製造することができる(図3参照)。
即ち、第1実施形態と同様の方法で、金属板13’を帯鋸20で切断することによって、先ず、その切断面において凸凹形状のギザ面からなる端面部12を形成する。
【0036】
その後、端面部12の近傍において、金属板13’を折り曲げ、傾斜状の平面部11’を形成する。
そして、平面部11’の端面部12側が下方に向かうように、そのテープ用切断刃10’をカッター部5に取り付ける。
その後、金属板13’の上面に別部材からなる仮止め部16を接合する。
【0037】
この仮止め部16は、平面部11’の傾斜角よりも僅かに小さい角度をもって、テープ2が平面部11’に供給されるような位置及び高さに設計されているので、テープを所望の長さに繰り出した後、この仮止め部16においてテープ2を一旦係止させ、その先端の刃先においてテープを切断することができる。
これによって、ロール状のテープ2を繰り出して切断するための一連の作業を円滑に行なうことができる。
特に、このテープカッター1’を接着テープ用のテープディスペンサーとして使用する場合は、仮止め部16において仮止めされたテープ2が、傾斜度の高い平面部11’において再度仮止めされるので、テープ2を幅方向に正確に切断することができるようになる。
【0038】
なお、図12(a)は、図10及び図11に示すテープカッター1’によって切断されたテープ片2’であり、図12(b)は、図14に示す従来品によって切断されたテープ片2’である。
本実施形態では仮止め部16を別部材によって構成したが、図13に示すように、金属板13”の他端部を上方に向けて屈曲させ、上方に突出した部位を仮止め部16”としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、事務、調理、鉱工業、及び農林水産業など、様々な産業分野におけるテープ素材の切断に使用されるテープカッター、テープ用切断刃、テープカッターの製造方法、及びテープ用切断刃の製造方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るテープカッターを示す斜視図である。
【図2】上記テープカッターに取り付けられるテープ用切断刃を示す斜視図である。
【図3】上記テープ用切断刃を製造するための帯鋸の取り付けられた裁断機を示す側面図である。
【図4】帯鋸と金属板の関係を示す説明図であり、(a)は側方から見た状態を示し、(b)は切断地点における状態を示す。
【図5】歯先の両側に突起部を設けた帯鋸における、金属板との関係を示す説明図であり、(a)は側方から見た状態を示し、(b)は切断地点における状態を示す。
【図6】帯鋸で金属板を切断する状態と、そのX−X線矢視断面を示す説明図である。
【図7】上記テープカッターの使用状態を示す斜視図である。
【図8】上記テープカッターの本体部の変形例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るテープカッターを示す説明図である。
【図10】上記テープカッターにテープ用切断刃が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】上記テープカッターによってテープを切断する状態を示す側面図である。
【図12】(a)は本発明に係る上記テープカッターで切断されたテープ片であり、(b)は従来のテープカッターで切断されたテープ片を示す。
【図13】上記実施形態に係るテープカッターの仮止め部の変形例を示す説明図である。
【図14】従来の鋸刃状のテープカッターを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1、1’・・・テープカッター
2、2’・・・テープ
3・・・保持部
4・・・空間部
5・・・カッター部
6・・・本体部
7・・・鋸刃状の切断刃
8・・・台座部
10、10’・・・テープ用切断刃
11、11’・・・平面部
12・・端面部
13、13’・・・金属板
14・・・バリ
15・・・凸部
16、16”・・・仮止め部(係止部)
20・・・裁断機
21、21’・・・帯鋸
22・・・ベース
23・・・鋸車23
24・・・裁断歯
25,25’・・・歯先
26・・・歯底
27・・・突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ(2)を繰り出して切断するためのテープカッター(1)であって、
前記テープ(2)を切断するためのカッター部(5)に、テープ(2)が繰り出される方向に沿った平面部(11)と、該平面部(11)に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部(12)と、を有する切断刃(10)を取り付けたことを特徴とするテープカッター。
【請求項2】
前記端面部(12)は、板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を形成するように構成され、
前記バリ(14)を上方に向けた状態で、前記切断刃(10)を前記カッター部(5)に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のテープカッター。
【請求項3】
前記板状部材(13)を下方に向けて所定角度折り曲げることで前記平面部(11)を構成し、繰り出されたテープ(2)が前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部(11)に供給されるように前記テープ(2)を係止させる係止部(16)を設けたことを特徴とする請求項2に記載のテープカッター。
【請求項4】
ロール状に巻回されたテープ(2)を切断するための切断刃(1)であって、
テープ(2)が繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部(11)と、該平面部(11)に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部(12)と、を有することを特徴とするテープ用切断刃。
【請求項5】
前記端面部(12)は、テープ(2)が繰り出される方向に沿って板面が延びる板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を形成するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載のテープ用切断刃。
【請求項6】
ロール状のテープを保持する保持部(3)と、前記テープ(2)が繰り出される空間部(4)と、前記テープ(2)を切断するカッター部(5)と、からなる本体部(6)を形成する工程と、
板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を有するテープ用切断刃(10)を形成する工程と、
該テープ用切断刃(10)を、前記テープ(2)が繰り出される方向に刃先を向けた状態で、前記カッター部(5)に取り付ける工程と、
を含んで構成されることを特徴とするテープカッターの製造方法。
【請求項7】
帯鋸(21)によって切断された前記板状部材(13)を所定角度折り曲げる工程を含み、
前記板状部材(13)の折り曲げられた平面部(11)が下方に向かうように、前記テープ用切断刃(10)を前記カッター部(5)に取り付けることを特徴とする請求項6に記載のテープカッターの製造方法。
【請求項8】
前記保持部(3)から繰り出されたテープ(2)が前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部(11)に供給されるように前記テープ(2)を係止させる係止部(16)を設ける工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のテープカッターの製造方法。
【請求項9】
ロール状のテープを保持する保持部(3)と、前記テープ(2)が繰り出される空間部(4)と、前記テープ(2)を切断するカッター部(5)と、からなるテープカッター(1)の本体部(6)に取り付けられるテープ用切断刃(10)の製造方法であって、
板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を形成することを特徴とするテープ用切断刃の製造方法。
【請求項1】
テープ(2)を繰り出して切断するためのテープカッター(1)であって、
前記テープ(2)を切断するためのカッター部(5)に、テープ(2)が繰り出される方向に沿った平面部(11)と、該平面部(11)に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部(12)と、を有する切断刃(10)を取り付けたことを特徴とするテープカッター。
【請求項2】
前記端面部(12)は、板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を形成するように構成され、
前記バリ(14)を上方に向けた状態で、前記切断刃(10)を前記カッター部(5)に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載のテープカッター。
【請求項3】
前記板状部材(13)を下方に向けて所定角度折り曲げることで前記平面部(11)を構成し、繰り出されたテープ(2)が前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部(11)に供給されるように前記テープ(2)を係止させる係止部(16)を設けたことを特徴とする請求項2に記載のテープカッター。
【請求項4】
ロール状に巻回されたテープ(2)を切断するための切断刃(1)であって、
テープ(2)が繰り出される方向に沿って板面が延びる平面部(11)と、該平面部(11)に隣接する凸凹状のギザ面からなる端面部(12)と、を有することを特徴とするテープ用切断刃。
【請求項5】
前記端面部(12)は、テープ(2)が繰り出される方向に沿って板面が延びる板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を形成するように構成されたことを特徴とする請求項4に記載のテープ用切断刃。
【請求項6】
ロール状のテープを保持する保持部(3)と、前記テープ(2)が繰り出される空間部(4)と、前記テープ(2)を切断するカッター部(5)と、からなる本体部(6)を形成する工程と、
板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を有するテープ用切断刃(10)を形成する工程と、
該テープ用切断刃(10)を、前記テープ(2)が繰り出される方向に刃先を向けた状態で、前記カッター部(5)に取り付ける工程と、
を含んで構成されることを特徴とするテープカッターの製造方法。
【請求項7】
帯鋸(21)によって切断された前記板状部材(13)を所定角度折り曲げる工程を含み、
前記板状部材(13)の折り曲げられた平面部(11)が下方に向かうように、前記テープ用切断刃(10)を前記カッター部(5)に取り付けることを特徴とする請求項6に記載のテープカッターの製造方法。
【請求項8】
前記保持部(3)から繰り出されたテープ(2)が前記所定角度よりも僅かに小さい角度をもって前記平面部(11)に供給されるように前記テープ(2)を係止させる係止部(16)を設ける工程を含むことを特徴とする請求項7に記載のテープカッターの製造方法。
【請求項9】
ロール状のテープを保持する保持部(3)と、前記テープ(2)が繰り出される空間部(4)と、前記テープ(2)を切断するカッター部(5)と、からなるテープカッター(1)の本体部(6)に取り付けられるテープ用切断刃(10)の製造方法であって、
板状部材(13)を帯鋸(21)によって切断することで、当該切断面に凸凹状のギザ面を形成すると共に、前記帯鋸(21)の移動方向に向けたバリ(14)を形成することを特徴とするテープ用切断刃の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−89244(P2010−89244A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264666(P2008−264666)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000104087)カール事務器株式会社 (63)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000104087)カール事務器株式会社 (63)
【Fターム(参考)】
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