説明

テープ印刷装置

【課題】様々な場所で使用可能なテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】筐体10の奥側には、永久磁石を備えたマグネットベース30が固定されており、テープ印刷装置1の底面側に磁性体(スチール机等)があると、磁力によって引き付け合い、テープ印刷装置1を当該磁性体に固定することができるようになっている。このため、机のような水平な面上に限られず、スチール棚や冷蔵庫等、強磁性を有する壁面に対して、テープ印刷装置1の底面が前記壁面に沿うような姿勢でテープ印刷装置1を固定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
文字や図形等の画像をテープに印刷するテープ印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。テープ印刷装置は、机上等の水平な面上に載置されて用いられ、ユーザがテープ印刷装置が備えるキーボード等によって所望の画像(文字等)を指定した後に印刷指示を行うと、当該画像が印刷されたテープが排出される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−237174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、テープ印刷装置を使用する機会が多い場所に、テープ印刷装置を載置するのに適したスペースがない場合には、ユーザは、他の場所でテープ作成を行うか、使用時のみ保管場所から取り出して、手に持ちながら作業を行わなければならず、利便性が損なわれていた。
【0005】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、様々な場所で使用可能なテープ印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、入力操作がなされる操作部と、前記操作部での入力操作に応じた画像をテープに印刷する印刷部とを備えたテープ印刷装置であって、当該テープ印刷装置を壁面に固定する固定手段を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【0007】
このテープ印刷装置によれば、装置の載置に適したスペースがない場所でも、装置を壁面に固定して使用することが可能となるため、利用できる場所が拡大し、利便性が向上する。
【0008】
このテープ印刷装置において、前記固定手段は、磁石の磁力によって固定することが望ましい。
【0009】
このテープ印刷装置によれば、壁面が鉄等の強磁性体である場合に、装置を容易に固定することが可能となる。このため、例えば冷蔵庫やスチール棚等に固定して利用することが可能となり、利便性が向上する。なお、磁石としては、永久磁石に限られず、電磁石等を用いてもよい。
【0010】
このテープ印刷装置において、前記固定手段は、前記磁石による磁力を変化させる切替手段を備えていることが望ましい。
【0011】
このテープ印刷装置によれば、装置を壁面から取り外す際に、磁力を弱くすることによって容易に取り外すことが可能となり、利便性がさらに向上する。
【0012】
このテープ印刷装置において、前記印刷部で印刷されたテープを切り落とす切断手段と、前記切断手段により切り落とされる前記テープの落下方向側に備えられ、落下した前記テープを受けるテープ受け部とを備えることが望ましい。
【0013】
このテープ印刷装置によれば、切り落とされたテープを受けるテープ受け部を備えるため、テープが床面に落下するのを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るテープ印刷装置について、図面を参照して説明する。
図1及び図2は、本実施形態のテープ印刷装置の概略構成を示す斜視図である。
両図に示すように、テープ印刷装置1は、筐体10の上面の手前側に複数のキーを有する操作部としてのキーボード11を備え、その奥側には、液晶表示装置等からなる表示部12を備えている。キーボード11が備えるキーには、アルファベットや数字、記号等を入力可能な文字キーの他に、テープ印刷装置1の各種動作を指定可能な制御キーが含まれる。また、表示部12は、キーボード11から入力された文字の表示や、印刷イメージの表示、或いは、各種メニュー画面等の表示に用いられる。
【0015】
筐体10の上面には、表示部12に隣接して、テープカートリッジ2を装着するための凹部13が配設されている。凹部13の開口部上には、開閉蓋14が開閉可能に備えられており、開閉蓋14を開放状態にすることで、テープカートリッジ2を着脱することが可能となっている。また、開閉蓋14には、略透明な確認窓14aが備えられており、凹部13にテープカートリッジ2が装着されているか否かを外部から視認可能になっている。凹部13の底面には、凸状のサーマルヘッド15や、搬送機構を構成する回転軸16a,16bが設けられており、凹部13にテープカートリッジ2を装着すると、テープカートリッジ2に設けられた孔状のヘッド嵌合部21にサーマルヘッド15が嵌合するとともに、回転軸16a,16bがそれぞれテープカートリッジ2の被駆動部22a,22bと係合するようになっている。
【0016】
テープカートリッジ2は、カートリッジケース20の内部に、ともに帯状のテープTとインクリボンRとを内蔵している。テープTは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等からなる基材の裏面に接着剤層が形成され、それが剥離紙によって覆われた構成になっている。テープ印刷装置1は、テープTの幅や色等が異なる複数種類のテープカートリッジ2に対応可能になっており、ユーザは、用途や好みに応じたテープカートリッジ2を使用することができる。なお、テープカートリッジ2の裏面には、内蔵するテープTの幅を識別するための複数の孔(図示せず)が設けられており、テープ印刷装置1は、凹部13の底面に備えられたマイクロスイッチ等の識別センサ(図示せず)によって、装着されたテープカートリッジ2のテープ幅を識別可能になっている。
【0017】
テープカートリッジ2を凹部13に装着すると、テープTの表面は、ヘッド嵌合部21において、インクリボンRを介してサーマルヘッド15と対向するようになっており、回転軸16a,16bを駆動してテープTやインクリボンRを送りながらサーマルヘッド15を発熱駆動することにより、キーボード11により入力された文字等をテープTの表面に印刷することができる。つまり、サーマルヘッド15、及び搬送機構(回転軸16a,16b)は、本発明の印刷部として機能する。印刷後、回転軸16a,16bをさらに回転駆動させると、テープTとインクリボンRは搬送されて、テープTはカートリッジケース20の外部に排出され、インクリボンRはカートリッジケース20の内部で巻き取られる。
【0018】
筐体10の側面には、凹部13と筐体10の外部とを連通するスリット17が設けられており、カートリッジケース20から排出された印刷済みのテープTは、スリット17を通って筐体10の外部に向けて所定量だけ搬送される。筐体10の内部には、スリット17を囲むように切断手段としてのカッタユニット18が配設されており、カッタユニット18が備えるはさみ状のカッタ(図示せず)によって、スリット17の内部を横断するテープTを切断することができる。このカッタユニット18による切断によって、テープTの印刷済みの部位がテープ片(ラベル)として切り離され、スリット17の開口部から排出される。
【0019】
筐体10の奥側には、永久磁石を備えたマグネットベース30が固定されており、テープ印刷装置1の底面側に磁性体(スチール机等)があると、磁力によって引き付け合い、テープ印刷装置1を当該磁性体に固定することができるようになっている。このため、机のような水平な面上に限られず、例えば、図3に示すように、スチール棚や冷蔵庫等、強磁性を有する壁面Wに対して、テープ印刷装置1の底面が壁面Wに沿うような姿勢でテープ印刷装置1を固定することができる。つまり、マグネットベース30は、本発明の固定手段に相当する。
【0020】
ここで、マグネットベース30について、図面を用いて詳述する。
図4は、マグネットベース30の概略構成を示す分解斜視図である。
図4に示すように、マグネットベース30は、永久磁石である円柱状のマグネット31と、マグネット31を回動自在に保持する保持部材32と、保持部材32に保持されたマグネット31を回動させるための円板状の操作部36とを備えている。
【0021】
保持部材32は、磁性体材料からなる一対の磁性ブロック34,35を備え、これらが非磁性部材33を介して結合された構成を有している。また、保持部材32の略中央には、マグネット31を収容・保持するための空間部32aが、非磁性部材33を分断するように形成されている。マグネット31の一方の底面部には、直径方向に凹部31aが形成されており、操作部36の裏面の直径方向に形成された凸部36aと係合される。このため、操作部36の操作つまみ36bを回動操作することにより、保持部材32に保持されているマグネット31を回動させることができるようになっている。
【0022】
図5(a)、(b)は、マグネットベース30の作用を説明するための説明図であり、マグネットベース30によって壁面Wに固定されたテープ印刷装置1を側面から見た状態を示している。なお、本図において、操作部36の図示は省略している。
図5(a)、(b)に示すように、マグネット31は、直径方向に着磁されている。ここで、操作部36を回動操作して、図5(a)に示すように、N極及びS極が、それぞれ磁性ブロック34,35に当接した状態、即ち、1つの磁性ブロックが1つの極のみを囲む状態にすると、N極から出た磁力線mが、順に磁性ブロック34、壁面W、磁性ブロック35を経てS極に入る磁気回路が形成される。これにより、マグネットベース30は、壁面Wに対して強い磁力で固定される。
【0023】
一方、図5(b)に示すように、操作部36を回動操作して、N極及びS極の双方が、2つの磁性ブロック34,35の両方に当接した状態にすると、N極から出た磁力線mは、磁性ブロック34,35のいずれか一方のみを経てS極に入るため、壁面Wへの漏れ磁束がほとんどなくなる。このため、この状態で壁面Wに作用する磁力は非常に小さいものとなり、壁面Wからマグネットベース30を容易に取り外すことが可能となる。このように、操作部36及び保持部材32は、マグネット31による磁力の強弱を切り替えることから、本発明の切替手段に相当する。
【0024】
なお、テープ印刷装置1を壁面Wに固定した場合に、スリット17から排出されたテープ片が床面に落下するのを抑制するために、図6に示すように、スリット17の開口部を有する筐体側面と同一面で、壁面Wに固定した状態でスリット17の下側(落下方向側)になる位置に、スリット17側に向けて開口する箱状のテープ受け部40を備え、切り落とされたテープ片がテープ受け部40内に収まるようにするのが好ましい。
【0025】
以上説明したように、本実施形態のテープ印刷装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のテープ印刷装置1によれば、マグネットベース30を備えているため、強磁性を有する壁面Wに対して、装置を容易に固定することが可能となる。このため、台所や作業現場等のように、テープ印刷装置1を載置するスペースがない場所でも、冷蔵庫やスチール棚等に固定して利用することが可能となり、利便性が向上する。
【0026】
(2)本実施形態のテープ印刷装置1によれば、マグネット31の磁力を変化させる切替手段(保持部材32及び操作部36)を備えているため、装置を壁面Wから取り外す際に、磁力を弱くすることによって容易に取り外すことが可能となり、利便性がさらに向上する。
【0027】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態では、永久磁石(マグネット31)を用いて壁面Wに固定する構成を示しているが、電磁石を用いた構成としてもよい。電磁石を用いた場合には、電流のオン/オフを切り替えることにより、磁力の有無を切り替えることが可能となるため、電流のオン/オフを切り替えるための操作スイッチや制御回路が、本発明の切替手段に相当する。
【0028】
前記実施形態では、マグネットベース30が筐体10の外側に固定された構成を示しているが、マグネットベース30を筐体10の内部に組み込む構成としてもよい。また、マグネットベース30を筐体10から着脱可能な構成として、壁面等に固定する場合にのみマグネットベース30を取り付けられるようにしてもよい。
【0029】
前記実施形態では、マグネットベース30が筐体10の奥側に備えられているが、手前側、或いは左右両側に備えるようにしてもよい。また、筐体10の底面側に、例えば板状の磁石を備えるようにしてもよい。
【0030】
前記実施形態では、固定手段として、磁力により壁面に固定する構成を示しているが、図7に示すように、テープ印刷装置1の底面等に、吊り下げ用の金具50を備え、壁面に設けられたフック等に取り付け可能な構成としてもよい。なお、金具50及びマグネットベース30の双方を備えるようにしてもよいし、それぞれを排他的に利用可能な構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態に係るテープ印刷装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】実施形態に係るテープ印刷装置の概略構成を示す斜視図。
【図3】テープ印刷装置を壁面に固定した状態を示す斜視図。
【図4】マグネットベースの概略構成を示す分解斜視図。
【図5】(a)、(b)は、マグネットベースの作用を説明するための説明図。
【図6】テープ受け部を備えたテープ印刷装置を示す斜視図。
【図7】変形例に係るテープ印刷装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0032】
1…テープ印刷装置、2…テープカートリッジ、10…筐体、11…キーボード、12…表示部、13…凹部、14…開閉蓋、15…サーマルヘッド、16a,16b…回転軸、17…スリット、18…カッタユニット、20…カートリッジケース、21…ヘッド嵌合部、22a,22b…被駆動部、30…マグネットベース、31…マグネット、31a…凹部、32…保持部材、32a…空間部、33…非磁性部材、34,35…磁性ブロック、36…操作部、36a…凸部、36b…操作つまみ、40…テープ受け部、50…金具、W…壁面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作がなされる操作部と、前記操作部での入力操作に応じた画像をテープに印刷する印刷部とを備えたテープ印刷装置であって、
当該テープ印刷装置を壁面に固定する固定手段を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ印刷装置であって、前記固定手段は、磁石の磁力によって固定することを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載のテープ印刷装置であって、前記固定手段は、前記磁石による磁力を変化させる切替手段を備えていることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のテープ印刷装置であって、前記印刷部で印刷されたテープを切り落とす切断手段と、前記切断手段により切り落とされる前記テープの落下方向側に備えられ、落下した前記テープを受けるテープ受け部とを備えたことを特徴とするテープ印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−203690(P2007−203690A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28024(P2006−28024)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】