説明

ディジタル制御自動バイアス制御回路

【課題】光変調器から出力される光信号に含まれる低周波成分の位相を安定に検出する、簡単な回路構成のディジタル制御自動バイアス制御回路を提供すること。
【解決手段】ディジタル制御自動バイアス制御回路100は、矩形波的に変化する電気信号が重畳されたDCバイアス電圧を光変調器104に印加し、光変調器104から出力された光信号に含まれる低周波成分の位相を検出することにより、光変調器104に印加されるDCバイアス電圧を最適値に制御するように動作する。光変調器104から出力された光信号を電気信号に変換し、ディジタル制御自動バイアス制御回路100内のコンパレータ回路108で2値のディジタル信号に変換する。光変調器104に印加した低周波信号とコンパレータ出力の位相を位相比較器109で比較し、位相の符号によって光変調器104へ印加されるDCバイアス電圧をステップ的に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル制御自動バイアス制御回路の実現方法に関し、より詳細には、制御のための低周波信号を2値のディジタル信号として検出して光変調器を制御するディジタル制御自動バイアス制御回路の実現方法。
【背景技術】
【0002】
光デュオバイナリ、DPSK(Differential Phase Shift Keying)などの信号フォーマットの光信号をマッハツェンダー(MZ)型のLN変調器を用いて発生させる場合、光変調器の動作バイアス点を制御する必要がある。従来のバイアス電圧の制御方法は、光変調器のバイアス端子にDCバイアス電圧と低周波信号を重畳して印加し、光変調器から出力される光信号に含まれる低周波信号成分の振幅と位相を検出し、これらが所望の値をとるように制御している。(特許文献1参照)。
【0003】
図15に、従来の光デュオバイナリ変調方式の光変調器を制御する自動バイアス制御(ABC)の回路構成を示す。光デュオバイナリ変調方式においては、光変調器の動作点(バイアス電圧)を、光変調器の光変調特性において光出力が最小となる点に制御する。以下にその方法を例にとって説明する(特許文献2参照)。
【0004】
半導体レーザ(LD)1501から出力された光は光変調器1504に入力し、駆動信号発生部1502の出力に応じて動作する駆動回路1503によって変調され、光信号として出力される。このとき、光変調器1504内部の進行波電極の出力端に接続された低周波重畳回路1512を介して光変調器1504のバイアス電圧が印加される。同時に、低周波重畳回路1512においては、駆動回路1503から供給され、光変調器1504内の進行波電極を伝搬したRF信号を終端器1513で終端している。
【0005】
低周波発振器1511の出力を光変調器1504のバイアス電圧に低周波重畳回路1512を介して重畳すると、光変調器1504の出力側に接続された光分岐回路1505の一方の出力端に接続されたPD1506に、低周波発振器1511の周波数と同期した信号が得られる。この信号を、位相比較器1508で元の低周波信号と位相比較し、この信号をローパスフィルタ(LPF)1509で平滑化して誤差信号を取り出す。この誤差信号を帰還制御回路でバイアス供給回路1510に帰還することにより、バイアス電圧制御を行う。但し、ここでは光変調器1504を非差動の駆動回路で駆動する構成となっているが、差動の駆動回路およびこれに対応した光変調器1504を用いることが可能であり、周知技術として広い分野で用いられている。
【0006】
図16に、従来の自動バイアス制御回路におけるPD1506からバイアス供給回路1510までの回路構成を示す。光分岐した変調信号をPD1506に入力し、生成された電気信号を制御回路に入力する。モニタ信号のうちAC成分を取り出し増幅器1507により後段の位相比較器1508が動作可能なレベルまで増幅する。位相比較器1508をアナログ回路で実現する場合には、ロックインアンプなどで通常用いられている位相敏感検出回路と同一の構成を採用している。その内部は、増幅器1507により増幅されたモニタ信号を、二つに分岐し、正相バッファアンプ1508aおよび逆相バッファアンプ1508bでバッファリングした後、アナログスイッチ1508cを用いて二つのバッファの信号をスイッチングする。スイッチングの周期は低周波発振器1511の発振周波数で決まり、移相器1601にて検出された低周波信号とスイッチングのタイミング(位相)を調整する。
【0007】
図16に示す回路は、低周波発振器1511の発振周波数に同期して動作する全波整流回路として動作するので、この出力をローパスフィルタ(LPF)で平滑することにより、低周波信号と同期した振幅および位相(極性)を有するDC信号が、制御回路の誤差信号として得られる。この信号を、フィードバック制御回路1602を通して、バイアス電圧の制御量をアナログ信号として割り出し、バイアス供給回路1510を制御していた。
【0008】
尚、上述の光変調器の制御方法は、元々特許文献2に示すようにNRZ変調方式用に考案されたものである。上述した光デュオバイナリ変調方式とNRZ変調方式それぞれに適用する自動バイアス制御回路において異なる部分は、光信号に低周波信号を重畳する構成だけであり、検出された低周波信号から光変調器を制御する制御信号を生成する部分の構成は、光デュオバイナリ変調方式、NRZ変調方式のいずれにも適用可能である。ここでは便宜的に光デュオバイナリ変調方式を例に挙げて説明しているが、光デュオバイナリ変調方式における制御信号を生成する構成は、そのままNRZ変調方法式における制御信号を生成する構成として適用可能である。
【0009】
上記の制御回路をアナログ回路で実現する際には、低周波発振器、フィルタ回路、同期検波回路などが必要であり、通常用いられている動作周波数(数百Hz)では実現のために大きな容量やインダクタンスなどが必要である等の理由により回路の小型化が困難であった。
【0010】
そこで、上記の欠点を解決するため、アナログ処理を行っていた位相比較器部分およびバイアス供給回路部分をディジタル化する構成も提案されている。図17に、従来のディジタル回路で構成された位相比較器およびバイアス供給回路の構成図を示す。基本的な動作原理はアナログ回路と同等であるが、検出した低周波信号成分を増幅し多値のディジタル信号へAD変換器1702を用いてA/D変換した後には、波形整形、位相比較、積分などの動作をディジタル的な信号処理を用いて行うことが特徴である。これらの信号処理は、比較的複雑な処理が要求されるが、集積度の高い処理系を用いることによって制御回路の小型化を図ることができる。また、低周波成分が重畳されたバイアス電圧もディジタル制御回路の内部で生成し、DA変換器及びレベル変換回路を用いて構成することができる。
【0011】
このようにして、比較的小型の回路構成で光デュオバイナリ変調方式の光変調器を制御する自動バイアス制御回路を実現することが可能となった。このような制御回路はFPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)やDSP(Digital Signal Processor)などを用いて実現することが可能である。
【0012】
自動バイアス制御回路のディジタル化は、回路の小型化だけではなく、自動バイアス制御回路の制御精度の向上も期待できる。自動バイアス制御回路の制御精度はAD変換された信号の品質に依存し、通常、AD変換前のモニタ信号の低周波成分の検出精度に依存する。モニタ信号の低周波信号成分は、最適バイアス電圧付近では振幅が減少することが知られており、微小な信号の検出にも強いディジタル回路の方が制御精度の面でも有利である。
【0013】
【特許文献1】特許第2642499号明細書
【特許文献2】特許第3723358号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来の構成は、制御回路内部における信号処理が検出した低周波信号を多値のディジタル信号として扱っている点で、本質的にはアナログ処理と等価であるため、光変調信号から検出される低周波信号成分に各種要因からの雑音成分が乗り易く、AD変換器が誤動作しやすかった。
【0015】
また、検出される低周波成分に雑音が乗っていない場合にも、AD変換器の基準電圧の揺らぎ、ドリフト、AD変換器のアナログ入力回路の入力バイアスオフセットなどが誤差の原因となって誤動作しやすかった。
【0016】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、光変調器から出力される光信号に含まれる低周波成分をコンパレータにより2値のディジタル信号として検出することにより、低周波成分の位相を低い誤り率での安定な検出を可能にする、非常に簡単な回路構成のディジタル制御自動バイアス制御回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光変調器駆動信号生成部の生成する駆動信号に基づいて変調を行うマッハツェンダー型光変調器を制御するディジタル制御自動バイアス制御回路であって、前記駆動信号に比べて振幅の小さい低周波信号を発生する低周波発振回路と、前記低周波信号が前記マッハツェンダー型光変調器から出力される第1変調信号に含まれるように、前記光変調器駆動信号に重畳する低周波重畳回路と、光信号である前記第1変調信号を電気信号である第2変調信号に変換する受光素子と、前記第2変調信号に含まれる前記低周波信号成分を2値のディジタル信号として検出する低周波信号検出回路と、検出された当該低周波信号の位相に基づいて光変調器の動作点を制御する動作点制御回路と
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディジタル制御自動バイアス制御回路において、前記低周波信号検出回路は、基準電圧端子と信号電圧端子に対し、共通の電圧源から参照電圧を供給する回路構成を取る比較回路を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のディジタル自動バイアス制御回路において、前記低周波信号検出回路は、前記比較回路の前段に設けられたローパスフィルタもしくはバンドパスフィルタを含むことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のディジタル制御自動バイアス制御回路において、前記低周波信号検出回路は、前記比較回路の後段に雑音の除去を行うディジタルフィルタを含むことを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のディジタル制御自動バイアス制御回路において、前記動作点制御回路は、動作点の制御する幅を、検出された低周波信号の位相が反転するごとに小さくしていき、安定状態では設定可能な最小幅に設定することを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載のディジタル制御自動バイアス制御回路において、前記低周波信号検出回路は、前記第2変調信号の振幅が安定した時点で波形整形を行う波形整形回路を含むことを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至6のいずれかに記載のディジタル制御自動バイアス制御回路において、前記比較回路は、ヒステリシス特性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光変調器から出力される光信号に含まれる低周波信号をコンパレータにより2値のディジタル信号として検出することにより、高精度な自動バイアス制御回路を、非常に簡単な回路構成で実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
特許文献1にも記載されているように、光変調器へ印加されるバイアス電圧の最適値より高い電圧が印加される場合と低い電圧が印加される場合とを比較すると、光変調器から出力される光信号に含まれる低周波成分の位相が反転することが知られている。従って、光変調器に印加されるバイアス電圧をスキャンしながら光信号に含まれる低周波成分の位相を検出し、その低周波成分の位相が反転するバイアス電圧を求めることができれば、自動バイアス制御が実現できる。すなわち、低周波成分のうちAC成分を取得し、瞬時的にその成分が基準信号に対して同相か逆相かを弁別できれば、結果として検出された低周波成分の位相を知ることができる。これは、コンパレータと位相比較器を用いることで実現可能である。
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、本発明の実施形態1に係るデュオバイナリ変調方式におけるディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図を示す。半導体レーザ(LD)101から出力された光はマッハツェンダー型光変調器104に入力し、駆動回路103およびディジタル制御自動バイアス制御回路100から印加されるバイアス電圧によって駆動される光変調器104で変調されて光信号として出力される。駆動回路103は駆動信号発生回路102から出力される駆動信号に基づいて動作する。ディジタル制御自動バイアス制御回路100は、矩形波的に変化する電気信号が重畳されたDCバイアス電圧を光変調器104に印加し、光変調器104から出力された光信号に含まれる低周波成分を検出することによって、光変調器104に印加されるDCバイアス電圧を最適値に制御するように動作する。光変調器104から出力された光信号は光分岐器105で分岐されて受光器(PD)106で電気信号に変換され、ディジタル制御自動バイアス制御回路100内のローパスフィルタ107aに入力される。ローパスフィルタ107aの出力を増幅器107bで所望の電圧振幅まで増幅した後、増幅器107bの出力がコンパレータ回路108に入力される。コンパレータ回路108は、信号に含まれる低周波成分を抽出して後続のディジタル論理回路が動作するレベルの2値のディジタル信号comp_outを生成する。
【0027】
次にコンパレータ回路108の出力は位相比較回路109に入力され、分周器111から出力されるclk_pilot_out信号と同相か逆相かの比較を行い、その結果をdownreg信号として加減算器110に出力する。加減算器110の出力は、downregの論理により位相比較前の値に対して加算もしくは減算され、加減算器110の出力data_outがバイアス電圧制御用DAC113の出力電圧に反映される。バイアス電圧供給回路114は、バイアス電圧制御用DAC113の出力電圧、および分周器111より出力される低周波信号clk_pilot_out信号から光変調器104へ印加されるバイアス電圧信号を生成する。
【0028】
図2(a)に従来のコンパレータ回路の構成図を示し、(b)に実施形態1に係るLPF兼アンプ回路107とコンパレータ回路108の構成図を示す。光変調器104から出力された光信号の分岐光がPD106で電気信号に変換され、入力されるようにそれぞれのコンパレータ回路に接続されている。PD106からの信号pdinは、振幅が小さくかつ検出回路の雑音や波形歪の影響を受けている。従来のコンパレータ回路は、検出される低周波成分に雑音が重畳していない場合にも、
【0029】

【0030】
なり、抵抗値のばらつきを考慮するとOPアンプOPA1の両入力端子において等電位にはならなかった。例えば、R1=R2=R3=R4=100kΩで設計した際に、R1のみ設計値から1%ずれたものを使用した場合、VCCを+3.3Vの場合OPアンプOPA1の両入力端子の電位差は、約16.5mVとなる。また、コンパレータ回路の基準電圧の揺らぎ、ドリフト、コンパレータ回路自体の入力バイアスオフセット等も識別誤差の原因となりうる構成であった。例えば、基準電圧のドリフトもしくは入力バイアス電圧のオフセットがある場合、仮にPD106で検出された低周波成分の振幅が零でない場合にもコンパレータ回路の出力が零となってしまうため、この条件で最適バイアス値と判断されてしまい、結果として最適バイアス電圧の検出誤差の原因となりうる。
【0031】
一方、本実施形態1に係るコンパレータ回路108では、図2(b)に示すように基準電圧端子と信号電圧端子が同一DC電位となる回路構成をとっている。OPアンプOPA2の出力端子はコンパレータ108に接続され、LPF兼アンプ回路107からの信号がコンパレータ108に入力される。コンパレータ108の入力端は、コンデンサC4に接続され、コンデンサC4はもう一方をOPアンプOPA3の反転入力端子、抵抗R5と接続されている。抵抗R5は抵抗R6と接続され、抵抗R6はOPアンプOPA3の非反転入力端子と接続されている。抵抗R5、R6は抵抗R7、R8とも接続され、抵抗R7は一方を接地され、抵抗R8はコンデンサC5と電源VCCに接続されている。
【0032】
このような構成では、OPアンプOPA3の反転入力端子および非反転入力端子には殆ど電流が流れ込まないため、その電位は電源電圧が抵抗R7とR8で分割された電位に等しくなり、結果として両入力端子において等電位になる。従って、PD106で検出された低周波成分の振幅が零でなければ、PD106の出力信号pdinのAC成分によってOPアンプOPA3がスイッチングされ、OPアンプOPA3の出力は、接地電位(0V)と電源電圧(VCC)の間で変化する信号となる。これにより、OPアンプOPA3の出力端子から出力される信号がコンパレータ108の出力信号となり、位相比較回路109に出力される。
【0033】
さらに、コンパレータ回路108の前段にLPF兼アンプ回路107を挿入することにより、低周波成分に重畳した雑音の除去を行い、雑音成分の影響の大きい最適バイアス電位付近での検出精度を高めている。このLPFのカットオフ周波数は、低周波信号の周波数程度で十分であり、一般的なAD変換回路のエイリアス除去フィルタと等価である。
図3(a)〜(c)に、コンパレータ108への入力信号pdinから出力信号comp_outへの変換精度と信号のS/Nの関係を示す。各々の図の一番下のトレースがpdinを示しており、雑音振幅を0.2mVppと一定の値にした際の正味の入力信号の強度をそれぞれ(a)0.02mV、(b)0.05mV、(c)0.1mVと変化させときの波形を示す。この図のように信号振幅より雑音振幅が大きい場合の波形を直接コンパレータ108に入力しても、雑音によりコンパレータの出力がスイッチングされるため、元のclk_pilot_out成分の波形が再生できない。図の中央のトレースは、カットオフ周波数が低周波信号の約2倍のLPFを透過した後の波形を示す。この波形を見ると、(b)の場合にかろうじて低周波信号成分が再生されていることが分かる。図の一番上のトレースは、LPF107aの出力をコンパレータ108に入力した際のコンパレータの出力を示す。(b)と(c)の場合でほぼ元のclk_pilot_outの信号が再生されているものの、(b)は立ち上がりと立ち下がりエッジのジッタが目立つ。一方、(a)の場合にはコンパレータ108の識別誤りが目立っており、この状態では自動バイアス制御回路を精度良く動作させることは困難である。
【0034】
図4に、フィルタリング強度毎の信号強度と識別誤りの関係を示す。LPFを用いることにより、LPFを用いない場合に比べ、信号強度に対する信号識別精度を大幅に向上させることが可能である。
【0035】
実施形態1においては、コンパレータ回路108の前段にLPF兼アンプ回路107を設けたが、LPFの代わりに、その透過帯域に低周波信号の周波数を含むバンドパスフィルタ(BPF)を挿入しても同様の効果が得られる。
【0036】
図5に、コンパレータ回路108の出力comp_outに応じて光変調器104に印加されるバイアス電圧が制御される原理をタイムチャートで示す。clk_pilot_outは分周器111で生成される低周波信号であり、コンパレータ回路108の出力comp_outと位相比較する際の基準となる。位相比較器109は、comp_outとclk_pilot_outの信号レベルを比較することにより、例えば、同相の場合”1”レベルを出力し、逆相の場合”0”レベルをdownreg信号として出力する。加減算器110は、例えばdownreg信号が”1”の場合、その出力ディジタルデータ値を1減じ、”0”の場合には1加算する。図5の例では、最初の4ステップは同相であるため加減算器110の出力を順次増加させているが、5ステップ目で光変調器104の最適バイアス電圧より高くなったため、受光器106で検出される低周波成分の位相が反転し、結果としてコンパレータ回路108の出力がclk_pilot_outに対して逆相に変化している様子を示している。その結果、加減算器110の出力を減ずることによって、最適バイアス電圧の周りにバイアス電圧が制御される。
【0037】
ディジタル制御自動バイアス制御回路100は、このような動作を繰り返すことにより、光信号に含まれる低周波成分の位相が反転するバイアス電圧の探索を行う。この際、バイアス電圧のステップ的な変化の量を十分小さくとることで光変調器104 のバイアス電圧値を最適値に安定化させることができる。
【0038】
上記の説明では、clk_pilot_outとcomp_outの位相比較の結果の論理、および、上記位相比較結果の論理が得られた際の加減算器110のdata_outの加減算の方向について、説明の都合上固定したが、実際に本ディジタル制御自動バイアス制御回路を実施するうえでは、上記の設定は任意で構わない。
【0039】
また、位相比較の結果によって加算するか減算するかの方向の設定によっては、現在印加されているバイアス電圧の最近傍の最適バイアス電圧に収束しない可能性があるが、光変調器104の変調特性が2Vπ周期で変化しているため、同一方向にバイアス電圧をスキャンしていくと、本自動バイアス制御回路は必ず次の最適電圧で収束する。
【0040】
また、動作点の制御する幅を、検出された低周波信号の位相が反転するごとに小さくしていき、安定状態では設定可能な最小幅になるように設定することもできる。これにより、自動バイアス制御回路のロックまでの時間を短縮でき、かつバイアス電圧の揺らぎを最小にすることができる。
【0041】
また、光変調器104は、マッハツェンダー型であれば、これを構成する材料としてニオブ酸リチウム(LN)等を主成分とするものやインジウム燐等の半導体を主成分とするものであっても構わない。また、光変調器の構造として特許文献1に示すようなプッシュプル型の構造であっても構わないし、マッハツェンダー構造の片側のアームを駆動する構造であっても構わない。
【0042】
(実施形態2)
図6に、本発明の実施形態2に係る波形整形回路を備えたディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図を示す。実施形態1と同様に、光変調器104から出力された光信号は光分岐器105で分岐されて受光器(PD)106で電気信号pdinに変換される。PD106で生成されたpdinは、ディジタル制御自動バイアス制御回路100内のLPF兼増幅器107で所望のレベルおよび帯域の信号とした後、コンパレータ回路108に入力される。
【0043】
コンパレータ回路108は、pdinに含まれる低周波成分を抽出して後続のディジタル論理回路が動作するレベルの2値ののディジタル信号comp_outに変換し、波形整形器115に入力する。
【0044】
コンパレータ回路108に入力される信号に雑音成分が乗っている場合、雑音電圧の振幅によってコンパレータ回路108のレベル識別動作が起こる場合もあるので、波形の立上り、立下りのエッジでバースト的な雑音が乗る場合がある。実施形態1では、図5に示すようにclk_pilot_out信号と位相比較を行うcomp_out信号が回路雑音などの影響により、信号の立ち上がり(もしくは立下り)のレベルが不確定になったり、立ち上がり(もしくは立ち下がり)のタイミングにジッタを生じたりして、位相比較結果に誤りを生じる可能性があった。
【0045】
そこで、実施形態2においてはコンパレータ回路108の出力を一旦ディジタル的に波形整形してから位相比較を行う構成とした。図7に、本実施形態における各部の信号と波形整形のタイミングを模式的に示す。波形整形の同期信号として、ディザ信号出力clk_pilot_outの2倍の周波数のcsbを用いる。csbは、分周器111で生成され、clk_pilot_outとcsbの立下りのタイミングが一致している。コンパレータ回路108の出力comp_outに対してcsbの立ち上がりエッジのタイミングにおいて波形整形を行うと、時間、振幅軸ともに波形整形された信号pdinregが波形整形器115から得られる。このような操作が可能なのは、光変調器104のモニタポートで得られる信号のレベルが、低周波信号clk_pilot_outのほぼ中央では大抵の動作条件でほぼ確定しているためである。
【0046】
また、図7に示すように低周波信号clk_pilot_outの立ち下がりエッジとcsbの立下りエッジが一致しているため、波形整形器115の出力csbの立ち上がりエッジは、必ず低周波信号出力clk_pilot_outの立ち下がりエッジと位相が90度ずれた状態で生成される。また、図7に示すようにpdinに伝搬遅延が生じた場合でも、その伝播遅延量はclk_pilot_outの繰返し周期Tに対して非常に小さいため、波形整形器115において確実に波形整形を行なうことが可能である。
【0047】
図8に、位相比較結果downregが生成される過程を示す。位相比較器109は、波形整形器115で生成された波形整形後の信号pdinregを低周波信号出力clk_pilot_outの立ち上がりエッジのタイミングでサンプリングすることによって位相の比較を行う。pdinregとclk_pilot_outは前項の波形整形器115の時点で必ず位相が90度ずれた状態で生成されるため、位相比較の際にpdinregのパルスの中心を捉えることが出来る。位相比較器109は、このようにして得られた位相比較結果をdownregとして生成する。
【0048】
波形整形および位相比較にはDフリップフロップ回路(D−FF)等のディジタル回路を用いることができる。
【0049】
この後のバイアス電圧の制御を実施形態1と同様に行うことにより、光変調器104のバイアス電圧値を最適値に安定化させることができる。
【0050】
(実施形態3)
図9に、本発明の実施形態3に係るヒステリシス特性を有するコンパレータ回路を備えたディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図を示す。実施形態1、2と同様に、光変調器104から出力された光信号は光分岐器105で分岐されて受光器(PD)106で電気信号pdinに変換される。PD106で生成されたpdinは、ディジタル制御自動バイアス制御回路100内のLPF兼アンプ回路107を介してヒステリシス特性を有するコンパレータ回路116に入力される。
【0051】
コンパレータ回路116は、ヒステリシス特性を有することで、回路雑音などによる誤動作を減らすことができる。ヒステリシスの幅は、除去すべき雑音のレベル(振幅)と、ヒステリシスにより生ずるLNバイアス電圧が不定となる電圧範囲のバランスにより決定する。
【0052】
図10に、ヒステリシス特性を有するコンパレータ回路116の動作の様子を示す。ここでは、ヒステリシス特性を持たせたことによる効果を示すため、高い周波数成分の雑音が乗っている例について示した。(a)〜(e)のそれぞれについて、一番下のトレースがコンパレータ回路116への入力、中央がヒステリシスのない場合のコンパレータ回路の出力、一番上がヒステリシスを有するコンパレータ回路116の出力を示す。(a)〜(e)はそれぞれ低周波成分と雑音成分の振幅の比が、0.1、0.25、0.375、0.5、1の場合の波形を示す。ここでは、コンパレータ回路の識別電位は0V(低周波成分の振幅の中点)であり、動作速度は無限大とした。ヒステリシスがない場合、低周波信号の振幅が雑音の振幅と同程度になる(図10(e))まで正常に識別されない。一方、ヒステリシス特性を設けると低周波成分と雑音成分の振幅の比が0.375より高い部分でほぼ正常に識別されるようになる。ここでヒステリシスの幅は雑音の振幅の0.6倍とした。これから仮に、コンパレータ回路116に入力されるモニタ信号に雑音が乗っていても、ヒステリシス電圧レベルを越えなければ出力comp_outはスイッチングしないことがわかる。
【0053】
図11に、雑音の振幅で規格化したヒステリシスの幅をパラメータに取った場合のコンパレータ回路116の識別率のデータ振幅/雑音振幅依存性(等価的な入力信号のS/N)を示す。図11には、ヒステリシスの幅が0、0.4、0.5、0.6、0.8の場合についての結果を示す。ヒステリシスのない場合(ヒステリシスの幅が零)では、識別率はS/Nに応じてほぼ線形に増加する。一方、ヒステリシスの幅を大きめに取ると低いS/Nの場合にも識別率を上げることが可能である。
【0054】
但し、雑音成分を含む入力信号の最大振幅を超えるような値にヒステリシスの値を設定するとコンパレータがスイッチングしなくなるので注意が必要である。このとき、本実施形態に係るディジタル制御自動バイアス制御回路100の動作としては、検出された低周波信号の位相が、clk_pilot_outに対して確実に同相か逆相かを判断できるまでは、印加されるバイアス電圧が同一方向にスキャンされることになる。特許文献1で述べられているように、光変調器104に印加されるバイアス電圧が最適値から離れるに従って光検出器106で検出される低周波成分の振幅が大きくなるため、コンパレータ回路116に入力される信号の振幅があらかじめ設定されたヒステリシスの幅を越えてはじめてスイッチングされるようになる。自動バイアス制御回路の安定状態では、最適バイアス電圧の設定値の周りに、ある振幅でバイアス電圧が振動することになる。振動の振幅は、主に位相比較の結果によりバイアス供給回路114を通じて光変調器104に印加されるDCバイアス電圧の変化のステップの大きさ、もしくはコンパレータ回路116のヒステリシスの幅で決まるが、この幅が送信信号の品質を劣化させない範囲で決定することが重要である。
【0055】
この後のバイアス電圧の制御は実施形態1または2と同様に行うことにより、光変調器104のバイアス電圧値を最適値に安定化させることができる。
【0056】
(実施形態4)
図12に、本発明の実施形態4に係るディジタルフィルタを備えたディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図を示す。実施形態1、2と同様に、光変調器104から出力された光信号は光分岐器105で分岐されて受光器(PD)106で電気信号pdinに変換される。PD106で生成されたpdinは、ディジタル制御自動バイアス制御回路100内のLPF兼アンプ回路107を介してコンパレータ回路108に入力される。
【0057】
本実施形態4においては、回路雑音などの影響を受けたコンパレータ回路108の出力の信号品質を、ディジタルフィルタを用いて改善を行う。ここではその一実施形態について説明する。まず、コンパレータ回路108の出力comp_outをD−FF(Delay−Flip Flop)701にてサンプリングする。ここでは、サンプリング周波数を低周波信号ckl_pilot_outの周波数の2n倍(nは整数)とする。サンプリング用のクロック信号には、波形整形用クロック信号csbをクロック逓倍回路704により整数倍したものを用いる。D−FF701の出力はn段のシフトレジスタ702に入力される。シフトレジスタ702のデータ転送のタイミングもサンプリング用クロック信号で制御される。次に、シフトレジスタ702の各段の出力を取り出してn個の出力を平均回路703においてディジタル的に平均化し、さらに四捨五入回路705を通す。ここで平均化回路703および四捨五入回路705の動作タイミングもD−FF701のサンプリングのタイミングと一致している。これにより、四捨五入回路705からサンプリング周波数と同期した”1”もしくは”0”のディジタル出力を得、波形整形回路115を用いて波形整形を行う。波形整形は、実施形態2と同様に同期クロック信号csbと同期して行う。ディジタル回路を用いた平均化は、アナログ的な波形を平均化した場合と同様に信号のS/Nを改善する効果を有する。
【0058】
図13(a)〜(h)に、ディジタルフィルタの導入効果を示すシミュレーション結果を示す。雑音の振幅を0.2(pp値)に固定した際に、信号の振幅を0.05から0.2まで変えた場合のディジタル平均化回路の出力波形を示した。入力したデータパタンは、繰返し周期0.2の”1010”パタンである。図13(a)〜(h)は、最下段がコンパレータへの入力波形、中段がコンパレータ出力波形、最上段が平均回路703の出力波形を示し、(a)、(c)、(e)、(g)がそれぞれ平均回数4、(b)、(d)、(f)、(h)がそれぞれ平均回数16の結果を示す。コンパレータへの入力信号のS/Nが低い場合には、コンパレータの出力波形が正確に再現されていないが、コンパレータ出力を平均化処理することにより、元の波形が平均化を行わない場合よりも高い精度で再現されていることが分かる。
【0059】
波形整形回路115の出力は、実施形態2と同様に位相比較を行い、光変調器104のバイアス電圧の制御に使用される。
【0060】
(実施形態5)
図14に、本発明の実施形態5に係るNRZ光変調方式に適用するディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図を示す。実施形態1〜4と同様に、光変調器104から出力された光信号は、光分岐器105で分岐されて受光器106で電気信号pdinに変換される。PD106で生成されたpdinは、ディジタル制御自動バイアス回路100内のLPF兼アンプ回路107を介してコンパレータ回路108に入力される。コンパレータ回路108は、pdinに含まれる低周波成分を抽出して後続のディジタル論理回路が動作するレベルの2値のディジタル信号comp_outに変換し、位相比較器109に入力する。実施形態1と同様に、comp_out信号とclk_pilot_out信号の位相比較を行い、その結果をdownreg信号として出力する。downreg信号の論理によって、加減算器110の出力データの増減を行う。加減算器110の出力データに基づいてバイアス電圧制御用DAC113の出力電圧を調整する。バイアス電圧供給回路114は、上記バイアス電圧制御用DAC113の出力に応じて光変調器104へ印加されるバイアス電圧を制御する。位相比較器109、加減算器110、バイアス電圧制御用DAC113の動作は、低周波発振器112の出力clk_lowを分周器111で分周して得られたclk_pilot_outおよびcsbの二つのクロックに同期して動作する。 clk_pilot_out成分の一部は、増幅器制御回路121を介して振幅制御機能付増幅器120の出力振幅をclk_pilot_outの出力波形で変調するために使用される。NRZ変調を行う際には、上述した構成によって光変調器104で変調された光信号に低周波信号を重畳することができる。
【0061】
上述した構成のほか、実施形態2〜4で説明した構成も本形態に取り込むことが可能である。すなわち、本発明は、NRZ変調形式、光デュオバイナリ方式のいずれの形式においても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態1に係るデュオバイナリ方式におけるディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図である。
【図2】(a)は従来のコンパレータ回路の構成図であり、(b)は実施形態1に係るLPF兼アンプ回路107とコンパレータ回路108の構成図である。
【図3】LPF107aを使用した際の、(a)は入力信号の強度が0.02mVの場合の入力信号pdinから出力信号comp_outへの変換波形を示す図であり、(b)は入力信号の強度が0.05mVの場合の入力信号pdinから出力信号comp_outへの変換波形を示す図であり、(c)は入力信号の強度が0.1mVの場合の入力信号pdinから出力信号comp_outへの変換波形を示す図である。
【図4】コンパレータ回路に入力される信号の相対S/Nと識別誤り確率の関係をLPFの有無に応じて示した図である。
【図5】位相比較器の動作と加減算器の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施形態2に係る波形整形回路を備えたディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図である。
【図7】各信号と波形整形のタイミングを模式的に示す図である。
【図8】位相比較からdownregを生成する過程を示す図である。
【図9】本発明の実施形態3に係るヒステリシス特性を有するコンパレータ回路を備えたディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図である。
【図10】本発明の実施形態3に係るヒステリシスの大きさとコンパレータ回路の出力波形の関係を示す図である。
【図11】コンパレータ回路に入力される信号の等価S/Nと識別率の関係を示す図である。
【図12】本発明の実施形態4に係るディジタルフィルタを備えたディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図である。
【図13】(a)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2、(c)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2、(e)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2、(g)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2で平均回数が4回のときの波形を示し、(b)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2、(d)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2、(f)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2、(h)に信号強度0.05、ノイズ強度0.2で平均回数が16回のときのコンパレータへの入出力波形、ディジタル平均化回路の出力を示す。
【図14】本発明の実施形態5に係るNRZ光変調方式に適用するディジタル制御自動バイアス制御回路の構成図である。
【図15】従来の光デュオバイナリ変調方式の光変調器を制御する自動バイアス制御回路構成を示す図である。
【図16】従来の自動バイアス制御回路におけるPD1506からバイアス供給回路1510までの回路構成を示す図である。
【図17】従来のディジタル回路で構成された位相比較器およびバイアス供給回路の構成図を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
100 自動バイアス制御回路
101 半導体レーザ(LD)
102 駆動信号発生回路
103 駆動回路
104 光変調器
105 光分岐器
106 PD
107 LPF兼増幅器
107a ローパスフィルタ(LPF)
107b 増幅器
108 コンパレータ回路
109 位相比較器
110 加減算器
111 分周器
112 低周波発信器
113 バイアス電圧制御用DAC
114 バイアス供給回路
115 波形整形器
116 ヒステリシス特性を有するコンパレータ回路
120 振幅制御機能付増幅器
121 増幅器制御回路
701 D−FF
702 シフトレジスタ
703 平均回路
704 クロック逓倍回路
705 四捨五入回路
1501 半導体レーザ(LD)
1502 駆動信号発生部
1503 駆動回路
1504 光変調器
1505 光分岐回路
1506 PD
1507 増幅器
1508 位相比較器
1508a 正相バッファアンプ
1508b 逆相バッファアンプ
1508c アナログSW
1509 ローパスフィルタ(LPF)
1510 バイアス供給回路
1511 低周波発振器
1512 低周波重畳回路
1513 終端器
1601 移相器
1602 フィードバック制御回路
1701 バンドパスフィルタ(BPF)
1702 AD変換器
1703 波形整形回路
1704 位相比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光変調器駆動信号生成部の生成する駆動信号に基づいて変調を行うマッハツェンダー型光変調器を制御するディジタル制御自動バイアス制御回路であって、
前記駆動信号に比べて振幅の小さい低周波信号を発生する低周波発振回路と、
前記低周波信号が前記マッハツェンダー型光変調器から出力される第1変調信号に含まれるように、前記光変調器駆動信号に重畳する低周波重畳回路と、
光信号である前記第1変調信号を電気信号である第2変調信号に変換する受光素子と、
前記第2変調信号に含まれる前記低周波信号成分を2値のディジタル信号として検出する低周波信号検出回路と、
検出された当該低周波信号の位相に基づいて光変調器の動作点を制御する動作点制御回路と
を備えたことを特徴とするディジタル制御自動バイアス制御回路。
【請求項2】
前記低周波信号検出回路は、基準電圧端子と信号電圧端子に対し、共通の電圧源から参照電圧を供給する回路構成を取る比較回路を含むことを特徴とする請求項1に記載のディジタル制御自動バイアス制御回路。
【請求項3】
前記低周波信号検出回路は、前記比較回路の前段に設けられたローパスフィルタもしくはバンドパスフィルタを含むことを特徴とする請求項2に記載のディジタル自動バイアス制御回路。
【請求項4】
前記低周波信号検出回路は、前記比較回路の後段に雑音の除去を行うディジタルフィルタを含むことを特徴とする請求項2または3に記載のディジタル制御自動バイアス制御回路。
【請求項5】
前記動作点制御回路は、動作点の制御する幅を、検出された低周波信号の位相が反転するごとに小さくしていき、安定状態では設定可能な最小幅に設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディジタル制御自動バイアス制御回路。
【請求項6】
前記低周波信号検出回路は、前記第2変調信号の振幅が安定した時点で波形整形を行う波形整形回路を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のディジタル制御自動バイアス制御回路。
【請求項7】
前記比較回路は、ヒステリシス特性を有することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載のディジタル制御自動バイアス制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−242282(P2008−242282A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85475(P2007−85475)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】