説明

ディスクドライブのディスクチャッキング装置

【課題】本発明はモータの回転駆動力により回転駆動されるディスクをチャッキングする装置に関するものである。
【解決手段】本発明はモータの駆動軸が組み立てられる組立孔が本体中央に貫通形成され、上記組立孔の内部面に軸押圧用突出部2が設けられ、外周に沿って複数個の第1、2配置部が切欠形成され上記ディスクの中心孔が対応挿入するチャックベース ; 上記第1配置部毎に往復移動が可能なよう配され上記チャックベースに一端が接するスプリング部材5により前方へ弾力支持される複数個のチャックピン3;及び、上記第2配置部毎に設けられ、上記ディスクの中心孔の内周面に外部面が弾力的に接するよう水平面と垂直面との間に第1、2内部曲率を有する曲率部を折り曲げ形成した複数個の弾性片を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスクドライブに備えられディスクをチャッキングして固定する装置に関するものであって、 より詳しくはディスクの中心と駆動軸の回転中心同士のズレを最小化し、モータとチャックベース同士の組立を押圧方式によりボンディング剤を使用せずに簡便且つ迅速に行えるディスクドライブのディスクチャッキング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ディスクドライブは本体を成すデッキベースと、ディスクを上記デッキベースにローディング及びアンローディングする手段と、上記ディスクローディング及びアンローディング手段によりローディングされたディスクを所定の速度で回転させる手段と、上記回転手段により回転するディスクの半径方向へ移動しながらディスクの記録面に情報を記録及び/または再生する手段とを含む。ここで、上記ディスクはトレーに搭載されローディング及びアンローディングされることができ、キャディやカートリッジに収納されデッキベースの内部に挿入及び引出することができる等と諸タイプのディスクドライブが周知である。
【0003】
さらに、上記ディスクを回転駆動させる手段にはスピンピンドルモータ(spindle motor)が、ディスクの記録面に情報を記録及び/または再生する手段にはピックアップユニット(pick-up unit)が通常的に用いられる。
【0004】
こうしたディスクドライブにおいては、スピンドルモータの回転駆動力によって一方向に回転するディスクの安全性を確保するために上記ディスクと共に回転されながら、モータが一定の速度で回転駆動する際ディスクが離脱することを防止するようディスクを固定するチャッキング装置が設けられるが、上記ディスクチャッキング装置のチャッキング性能は大変重要な核心技術である。
【0005】
図1は一般のディスクドライブに設けられるディスクチャッキング装置の構成図である。従来のディスクチャッキング装置(1)は図示するように、モータ(図示せず)の駆動力により回転するターンテーブルや、回転ケース(9)の上部面に固定設置されディスク(D)の中心孔(C)が挿入されるチャックベース(2)を備え、上記チャックベース(2)には外周に沿って切欠された複数個の配置部(2a)毎に前後移動が可能なよう配されるチャックピン(3)を備え、上記チャックベース(2)の配置部(2a)毎に設けられ上記チャックベース(2)に挿入されたディスク(D)の中心孔(C)を自己弾性力により弾力支持する弾性片(4)を複数個備えながら、上記チャックピン(3)を前方へ弾力支持するスプリング部材(5)から成る。図1において説明されない符号は上記モータが搭載される基板である。
【0006】
こうした構成を有する従来のディスクチャッキング装置(1)を用いてディスク(D)を挿入し固定する方法は、上記チャックベース(2)の上方からディスク(D)が直下方へ押し付けられると、上記チャックベース(2)の外径は上記ディスク(D)の中心孔(C)の内径より小さいが上記チャックベース(2)に組立られたチャックピン(3)の先端が外周方向へ突出しているので、上記中心孔(D)の内周面下端エッジ部が上記チャックピン(3)と干渉し接するようになる。
【0007】
そして、上記チャックピン(3)の先端上部面は下方へ緩やかな傾斜を有するテーパー面から成るので、直下方へ与えられるディスク(D)の装着力により上記チャックピン(3)は上記スプリング部材(5)を圧縮しながら後方へ退くのと同時に上記弾性片(4)も後方へ退く。
【0008】
次いで、上記ディスク(D)が回転ケース(9)の上部面に装着された環状のラバー材(6)に接すると、上記スプリング部材(5)の圧縮時発生する弾性復元力によって前方へ原状回復しようとするチャックピン(3)と自体弾性復元力を有する弾性片(4)により、上記ディスク(D)は上記チャックベース(2)に挿入された状態を維持するよう固定されるのである。
【0009】
一方、上記ディスクチャッキング装置(1)において上記ディスク(D)をチャックベース(2)に挿入するためにかかる装着力は上記チャックピン(3)を前方へ弾力支持するスプリング部材(5)の弾性力によって決定されるが、複数個のチャックピン(3)毎に備えられるスプリング部材(5)は全て同一な大きさの弾性力を有するよう備えることが好ましいが、製造工程上各スプリング部材(5)の弾性力が実質的に全て同じ大きさとなるよう作製することは現実的に難しい。
【0010】
こうして、弾性力の大きさが互いに同じでないスプリング部材(5)と、これに弾力支持されるチャックピン(3)とを有するチャックベース(2)に少なくとも3個以上設けられるチャックピン(3)のうち一部にのみ弾性力が大きく与えられると、上記ディスク(D)は弾性力が相対的に大きく与えられる方に偏心移動しながら上記ディスク(D)の中心が上記モータ(M)の回転中心に一致せず、一側へ外れ偏ってしまう調芯不良が起こる。
【0011】
こうした調芯が小さいほど光ピックアップユニットとしてデータを読み取ったり書き込む際に発生するエラー確率が下がり駆動が円滑に行われるので、調芯機能はODD用モータにおいて最も重要な要素である。
【0012】
図2は一般のディスクドライブのディスクチャッキング装置に備えられるチャックベースを示すものであり、a)は平面図で、b)は縦断面図である。
【0013】
上記チャックベース(2)には図2(a)、(b)に示すように、チャックピン(3)が組立られる切欠部(2a)の間毎にズレ発生を最小化するために外側へ弾性力を発生させる弾性片(4)を複数個設ける。
【0014】
しかし、ディスク(D)の離脱やスリップを防止するために上記スプリング部材(5)の弾性力を大きく設計してディスク(D)をチャックベース(2)から分離するのにかかる脱去力を大きくさせると、水平面(14a)と垂直面(14b)が出会う境界部位に一定の大きさの内、外部曲率(18a)(18b)を有する曲率部(18)を形成した弾性片(4)から発生する弾性力はスプリング部材(5)の弾性力より相対的に低いので、ディスク(D)の回転中心とモータの回転中心とを一致させる自動調芯(auto centering system)を行う弾性片(4)の自動調芯性能及び役目が低下もしくは喪失されるので、ピックアップユニットとしてディスク(D)の記録面に情報を記録及び/または再生する作業のエラー発生率が高くなる。
【0015】
これと共に、上記ディスク(D)の回転中心がモータの回転中心から外れ一側に偏るズレの度合いが大きくなると、ピックアップユニットの移動量が多くなり、これによってピックアップユニットを移動するのにかかる電流の消耗量も多くなる。
【0016】
また、上記弾性片(4)は内部稜に形成される曲率部(18)の内部曲率(18b)が外部曲率(18a)と同じか小さいので、上記内部曲率(18b)の中心(c1)が弾性片(4)に近接しながら上記垂直面(14b)の肉厚が薄くなり、そのため弾性力が低下すると共に外力によって破損される危険が高くなる。
【0017】
上記ディスク(D)の中心孔(C)内部面に外部面が対応して接する弾性片(4)の曲率半径(R)は上記中心孔(C)の曲率半径と同一なので、上記弾性片(4)の外部面と中心孔(C)の内周面が互いに面接触して摩擦力をかなり発生させ、それにより上記ディスク(D)を着脱する作業をスムーズに行い難いとの問題があった。
【0018】
さらに、上記チャックベース(2)の本体中心に貫通形成された組立孔(15)とモータの駆動軸(20)とを組み合わせる従来の構造は上記組立孔(15)の内周面や駆動軸(20)の外周面にボンディング剤を塗布してから、上記組立孔(15)に駆動軸(20)を挿入してボンディング接着していた。
【0019】
しかし、こうした従来のボンディング接合構造は組立孔(15)や駆動軸(20)にボンディング剤を塗布する工程が追加されなければならないので組立作業が煩わしく、ボンディング剤の追加使用により製造原価が上昇する。
【0020】
上記組立孔(15)と駆動軸(20)とがボンディング接合された構造においては外部温度や衝撃によってボンディング部位が弱まりボンディング力が低減し、ディスク(D)を着脱する繰り返し作業が頻繁になると、上記チャックベース(2)が駆動軸(20)から離脱してしまう不良を招いた。
【0021】
上記組立孔(15)と駆動軸(20)との許容間隙に塗布するボンディング剤によってディスク(D)の中心が一側に偏る調芯不良を荷重させエラー発生率が高まり、ピックアップ移動量が多くなるとの問題があった。
【0022】
さらに、上記チャックベース(2)の下部縁には薄い板厚を有するひさし(17)が外周方向へ延長して形成され、 上記チャックピン(3)と対応するひさし(17)には上記ディスク(D)の装着時下部に押し付けられるチャックピン(3)の下部端と接して支持するよう略四角断面状のピン受け(13)を一体に構成した。
【0023】
しかし、ディスク装着時上記ピン受け(13)とチャックピン(3)とが接し合いながら発生する直下方への外力が上記ピン受け(13)とひさし(17)とを連結する一つの連結部位に集中され、それにより連結部位が破損する問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって, 本発明はこうした諸問題を解決するために案出されたものであって、その目的はスプリングの弾性力の偏差により生じる調芯不良を最小化してエラー発生を抑え、ディスクと弾性片との摩擦抵抗を最小化してディスクの着脱作業をスムーズに行えるディスクドライブのディスクチャッキング装置を提供することにある。
【0025】
また、本発明の異なる目的はボンディング剤を使用せずにチャックベースと駆動軸を組立て製造原価を節減し、組立作業性を向上させ、駆動軸からのチャックベースの離脱を防止し、チャックベースの破損を防ぐことのできるディスクドライブのディスクチャッキング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を成し遂げるための技術的な手段として、本発明は
モータの回転駆動力により回転駆動されるディスクをチャッキングする装置において、
上記モータの駆動軸が組立られる組立孔が本体中央に貫通形成され、上記組立孔の内部面に軸押圧用突出部が設けられ、外周に沿って複数個の第1、2配置部が切欠形成され上記ディスクの中心孔が対応挿入されるチャックベース;
上記第1配置部毎に往復移動が可能に配され上記チャックベースに一端が接するスプリング部材により前方へ弾力支持される複数個のチャックピン;及び
上記第2配置部毎に設けられ、上記ディスクの中心孔の内周面に外部面が弾力的に接するよう水平面と垂直面との間に第1、2内部曲率を有する曲率部を折り曲げ形成した複数個の弾性片を含むディスクドライブのディスクチャッキング装置を提供する。
【0027】
好ましくは、上記第1内部曲率は上記曲率部の外部曲率の曲率半径より大きく形成され、上記曲率部の厚さが上記水平面と垂直面の厚さより厚くなるよう曲率中心が位置し、上記第1内部曲率より小さい曲率半径を有する第2内部曲率は上記弾性片の弾性力を発生させる位置が上記水平面に形成されるよう上記第1内部曲率が始まる水平面に設けられる。
【0028】
好ましくは、上記弾性片は上記ディスクの中心孔の内周面とその外部面とが垂直方向に線接触するよう上記中心孔の半径より小さい曲率半径で設けられる。
【0029】
好ましくは、上記軸押圧用突出部は各辺の長さが同一で、上記組立孔に内接する正多角形の各頂点に設けられる。
【0030】
好ましくは、上記チャックベースには上記ディスクの装着時上記チャックピンとその上部面とが対応して接するピン受けが複数個設けられ、上記ピン受けは上記チャックピンが設けられる第1配置部の外周縁に左右両端が夫々一体で連結される。
【0031】
より好ましくは、上記ピン受けの中央部は切欠形成された第1配置部の下部縁に一体で連結される左右両端の厚さより厚く形成される。
【発明の効果】
【0032】
上述したような本発明によると、ディスクの中心孔内部面に弾力的に接する弾性片を水平面、垂直面及び曲率部で構成し、上記曲率部には相異する大きさの曲率半径を有する第1、2内部曲率を形成して弾性片の弾性力により中心孔を放射方向へ均一に弾力支持することにより、チャックピン毎に備えられるスプリング部材の相異する弾性力のためディスク中心と駆動軸の回転中心とにズレが生じる調芯不良を最小化することができるので、光ピックアップユニットの移動量を減らし電流消耗量を節減で、データの読取り/書込みエラーの発生率を下げることができる。
【0033】
また、ディスクの中心孔と弾性片の外部面とが線接触することによりディスク着脱時接触摩擦を減らすことができるので、ディスクの着脱にかかる力を減少させ、中心孔と弾性片とが線接触する部位に弾性力を集中させることができるのである。
【0034】
さらに、チャックベースの組立孔内にモータの駆動軸を別途のボンディング剤を使用せず押圧組立することにより、チャックベースとモータとの組立を簡便且つ迅速に行えるので、製造原価を節減し、組立工程を単純化して作業生産性を向上させることができ、調芯発生を一層最小化させる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
【0036】
図3は本発明によるディスクドライブのディスクチャッキング装置の斜視図で、図4は本発明によるディスクドライブのディスクチャッキング装置を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【0037】
本発明の装置(100)は図3と図4に示すように、モータ(M)の回転駆動力により回転対象物であるディスク(D)を一方向に回転駆動させるディスクドライブにおいてモータ(M)の回転中心とディスク(D)中心との間隔である調芯の大きさを最小化し、ディスクの着脱を容易にし、ボンディング剤の使用を排除して製造原価を節減することができるものであって、こうした装置(100)はチャックベース(110)、チャックピン(120)及び弾性片(130)から成る。
【0038】
即ち、上記チャックベース(110)は、上記ディスク(D)の中心に円形に貫通された中心孔(C)が挿入されてディスク(D)が装着され、装着されたディスク(D)が分離される対象構造物であり、モータ(M)の駆動軸(102)と組立られモータ駆動時単独または上記ディスク(D)と相俟って一方向に回転する回転構造物である。
【0039】
こうしたチャックベース(110)は上記モータ(M)の駆動時固定子に対して一方向に回転する回転子に一体で設けられるか、上記回転子の上部面に組立られる別途のターンテーブル上に設けられることができる。
【0040】
上記チャックベース(110)が回転子に一体で設けられる場合、上記チャックベース(110)の本体中央部には、上記モータ(M)を構成する回転子の回転中心である駆動軸(102)が下部から上部へ挿入され組立られる一定の大きさの組立孔(111)が貫通形成される。
【0041】
ここで、上記組立孔(111)の内部面には、上記モータ(M)の駆動軸(102)をボンディング剤でボンディング組立せず押圧動作により簡便且つ迅速に組立できるよう上記駆動軸(102)の曲面状の外周面に対応する平面状の軸押圧用突出部(114)が複数個設けられる。
【0042】
上記軸押圧用突出部(114)は各辺の長さが同一で上記組立孔(111)に内接する正多角形の各頂点に位置するよう設けられることが好ましい。
【0043】
上記組立孔(111)内に仮想に描かれる正多角形の中心は上記組立孔(111)の中心と一致し、上記組立孔(111)とこれに押圧される駆動軸(102)の中心も一致するのである。
【0044】
ここで、上記軸押圧用突出部(114)は上記組立孔(111)に内接する正三角形の各頂点に設けられることが構造的に最も安定し理想的である。
【0045】
こうした組立孔(111)は、上記チャックベース(110)の上部面から下部側へ延長される中空円筒型中心ボス(112)に貫通形成され、上記組立孔(111)の下部端(111a)は上記駆動軸(102)の挿入組立をスムーズに行えるよう内径が下方に向かって徐々に大きくなるコーン断面状に形成されることが好ましい。
【0046】
上記中心ボス(112)の外部面には上記チャックピン(120)を前方へ弾力支持するスプリング部材(125)の一端がかかる係止片(112a)が突設される。
【0047】
さらに、上記チャックベース(110)の外部面には外周縁に沿って等間隔の角度を隔てて少なくとも3個以上の第1配置部(113)が半径方向へ切欠形成され、上記第1配置部(113)同士にも等間隔の角度を隔てて第2配置部(115)が半径方向へ切欠形成される。
【0048】
ここで、上記第1配置部(113)は上記チャックピン(120)を前後方向に滑走移動させるようガイドレール(113a)が一体に設けられる切欠部であって、上記第2配置部(115)は上記チャックベース(110)に一端が一体に連結される弾性片(130)の左右両側と一定の大きさの隙間を成すよう切欠形成される。
【0049】
さらに、上記チャックベース(110)の第1配置部(113)毎に往復移動が可能なよう組立られるチャックピン(120)は、上記ディスク(D)の着脱の度に中心孔(C)の内周面上、下部稜と上、下部面が干渉し、直下方へ与えられる装着力または直上方へ与えられる脱去力により上記ガイドレールに沿って半径方向へガイドされるよう設けられる作動部材である。
【0050】
こうしたチャックピン(120)は、上記ディスク(D)を装着する際中心孔(C)の下端が干渉する先端上部面に前方へ向かうほど徐々に下方へ緩やかな傾斜を有する上部コーナースロープ(121)が形成され、上記ディスク(D)を取り外す際中心孔(C)の上端が干渉する先端下部面には前方へ向かうほど上方に急激に傾く下部コーナースロープ(122)が形成される。
【0051】
さらに、上記上部コーナースロープ(121)が始まるチャックピン(120)の上部面には、上記チャックベース(110)の第1配置部(113)に沿って往復ガイド移動がスムーズに行われるよう上記第1配置部(113)のガイドレール(113a)に嵌められるガイド溝(129)が長手方向に長く形成される。
【0052】
上記第1配置部(113)に往復移動が可能に組立られるチャックピン(120)の本体後端には上記第1配置部(113)から離脱がされ難いよう上記第1配置部(113)に引っ掛かる翼部(123a)(123b)が左右方向に延長され、上記翼部(123a)(123b)間には上記中心ボス(112)の係止片(112a)に一端が支持されるスプリング部材(125)の他端を挟んで固定する異なる係止片(120a)が突設される。
【0053】
また、上記ディスク(D)の装着時中心孔(C)の内周面に対してその外部面が弾力的に接する弾性片(130)は、上記チャックピン(120)が装着されるチャックベース(110)の外部面に設けられた第1配置部(113)の間毎に切欠する第2配置部(115)に設けられる崖状断面の弾性部材である。
【0054】
こうした弾性片(130)は、チャックベース(110)の上部面と同一に偏平な水平面(131)と、上記ディスク(D)の中心孔(C)内部面に少なくとも一箇所以上の接点部位を形成する弧状断面の垂直面(132)から成り、上記水平面(131)と垂直面(132)との境界である曲率部(133)の内部面には相異する大きさの曲率半径を有する第1、2内部曲率(133a)(133b)が形成され、外部面には外部曲率(133c)が形成される。
【0055】
ここで、上記第1内部曲率(133a)は上記曲率部(133)の外部面に形成される外部曲率(133c)の曲率半径より大きく形成され、上記第1内部曲率(133a)の曲率中心(c2)は上記曲率部(133)の厚さ(T)を上記水平面(131)と垂直面(132)の厚さ(t1)(t2)より厚くさせられるよう上記水平面(131)と垂直面(132)に外周面が接する仮想円の中心と一致させられる。
【0056】
さらに、上記第2内部曲率(133b)は上記第1内部曲率(133a)の曲率半径より小さく形成され、上記弾性片(130)の弾性力を発生させる位置が上記水平面(131)に形成されるよう上記第1内部曲率(133a)が始まる水平面(131)の内部面に設けられ、上記第2内部曲率(133b)の曲率中心(c3)は上記第1内部曲率(133a)の曲率中心(c2)より中心ボス側へ偏る。
【0057】
この際、上記第1内部曲率(133a)の曲率半径は0.6ないし1.0mmで、第2内部曲率(133b)の曲率半径は上記水平面(131)の厚さ(t1)に対して70%程度の大きさを有するよう形成されることが好ましく、上記曲率部(133)の厚さ(T)は0.6mm以上で形成されることが好ましい。
【0058】
さらに、上記チャックベース(110)上に、円周方向に等間隔を置いて設けられる複数個のチャックピン(120)の間毎に設けられる弾性片(130)は、上記ディスク(D)の中心孔(C)内周面とその外部面とが面接触せず垂直方向に線接触するよう上記中心孔(C)の回転半径より小さい曲率で形成されることが好ましい。
【0059】
一方、上記チャックピン(120)と弾性片(130)を備えたチャックベース(110)には、上記ディスク(D)を装着する際、上記チャックピン(120)の下部面に設けられた下部コーナースロープ(122)とその上部面が対応して接するピン受け(119)を設け、上記ピン受け(119)は上記チャックピン(120)が設けられる第1配置部(113)の外周縁に左右両端が夫々一体に連結される。
【0060】
こうすれば、上記ディスク(D)を装着する際、上記チャックピン(120)の下部面に上部面が接するピン受け(119)側に伝わる外力が左右両端を通して分散され、上記ピン受け(119)の変形及び破損を防止できるであろう。
【0061】
そして、上記ピン受け(119)の上部面は、上記チャックピン(120)の下部コーナースロープ(122)に滑らかに接して上記チャックピン(120)をスライドさせるよう傾斜となるよう形成されることが好ましい。
【0062】
上記チャックピン(120)の下部コーナースロープ(122)と接するピン受け(119)の中央部は切欠形成された第1配置部(113)の下部縁に一体に連結される左右両端の厚さより厚くされることが好ましいが、これは上記ピン受け(119)の左右両端部分が上記チャックベース(110)に一体で連結されることから、ディスク着脱時下方へ押し付けられるチャックピンに接するピン受け(119)が破損することを防止すると共に、曲げ変形を最小化してディスクのハーフチャッキング現象を防止するためである。
【0063】
上記構成を有する本発明のディスクチャッキング装置(100)を利用してチャックベース(110)にディスク(D)を装着する作業は、図3に示すようにチャックベース(110)の直上部に装着しようとするディスク(D)を配し上記チャックベース(110)上にディスク(D)の中心孔(C)を一致させる。
【0064】
こうした状態において、使用者が上記ディスク(D)を直下方へ押し付け上記チャックベース(110)に装着するが、上記チャックベース(110)の外径は上記ディスク(D)の中心孔(C)の内径より小さいが、上記チャックベース(110)の第1配置部(113)に設けられたチャックピン(120)は半径方向へ先端が突出しているので、上記中心孔(C)の下端は上記チャックピン(120)の先端の上部面に設けられた上部コーナースロープ(121)に先ず干渉される。
【0065】
上記ディスク(D)の上部面に与えられる装着力により複数個のチャックピン(120)はチャックベース(110)の第1配置部(113)に沿って同時に後退し、その先端がチャックベース(110)内に挿入される共に、上記チャックピン(120)が後進移動する移動量だけ上記チャックピン(120)とチャックベース(110)の中心ボス(112)との間に配されるスプリング部材(125)は圧縮し弾性復元力を生じさせる。
【0066】
ここで、上記チャックベース(110)の第1配置部(113)の外周縁に設けられたピン受け(119)と対応するチャックピン(120)は下部面に設けられた下部コーナースロープ(122)と 上記ピン受け(119)の中央上部面とが互いに接してスライドされながら上記第1配置部(113)内に後進挿入される。
【0067】
続いて、上記チャックピン(120)の先端が上記ディスク(D)の中心孔(C)の上端を通過し超えると、上記チャックピン(120)を前方へ弾力支持??スプリング部材(125)の弾性復元力により複数個のチャックピン(120)が放射方向へ前進復帰しながら上記チャックピン(120)の下部コーナースロープ(122)と上記ディスク(D)の中心孔上端縁が接することになり、上記チャックベース(110)に装着されたディスク(D)は上記チャックピン(120)毎に備えられるスプリング部材(125)の弾性力により位置固定されるのである。
【0068】
さらに、上記チャックベース(110)のチャックピン(120)の間毎に切欠形成された第2配置部(115)に設けられる弾性片(130)は水平面(131)、垂直面(132)とそれらの間に第1、2内部曲率(133a)(133b)を有する曲率部(133)から成り、上記第1内部曲率(133a)の曲率半径は上記曲率部(133)の外部曲率(133c)より大きく、上記第1内部曲率(133a)の曲率半径より小さい曲率半径を有する第2内部曲率(133b)の曲率中心(c3)が中心ボス(112)側へ偏って位置するので、上記第2内部曲率(133b)を中心に上記弾性片(130)の下部端が放射方向へ与える弾性力が大きくなる。
【0069】
こうして、上記ディスク(D)の中心孔(C)内周面に上記弾性片(130)の外部面が接しながら中心孔を放射方向へ均一に弾力支持することにより、上記チャックピン(120)毎に備えられるスプリング部材(130)の相異する弾性力に基づき中心孔(C)の中心と上記駆動軸(102)の回転中心が相互一致せずにズレがでてくる調芯不良を最小化することができるのである。
【0070】
図5は本発明と従来の装置における調芯発生の程度を比較するグラフであって、図示したように、従来のチャッキング装置(1)ではディスク(D)の中心と駆動軸(102)の回転中心とのズレである調芯が50ないし70?と高く発生するのに比して、本発明のチャッキング装置(100)では調芯が30ないし40?と相対的に低いことが分かる。
【0071】
こうしてディスク(D)のデータを読み取ったりデータを書き込むためのピックアップユニットの移動量が従来より少なくなり、電流消耗量も低下し、エラー発生の確率も減少するのである。
【0072】
さらに、上記弾性片(130)は上記ディスク(D)の中心孔(C)の半径より小さい曲率半径を有するよう弧状断面に形成されるので、上記ディスク(D)を装着する際上記弾性片(130)の外部面は上記中心孔(C)の内周面と垂直方向に線接触する。
【0073】
こうすると、上記ディスク(D)のチャックベース(110)に固定する装着作業及び上記チャックベース(110)から分離する脱去作業の際、上記ディスク(D)と弾性片(130)との接触摩擦を中心孔(C)の内周面と弾性片(130)の外部面とが面接触する場合より減少させ、ディスクの着脱作業にかかる力を減らすことができ、上記中心孔(C)と弾性片(130)とが線接触する部位に弾性力を集中させられるのである。
【0074】
一方、上記チャックベース(110)とモータ(M)は上記チャックベース(110)の本体中央に貫通形成された組立孔(111)内に上記モータ(M)の駆動軸(102)を押圧すると、上記組立孔(111)の内部面には軸押圧用突出部(114)が複数個設けられ、上記軸押圧用突出部(114)は各辺の長さが同一な正三角形のような正多角形の頂点と内接する組立孔(111)上に設けられているので、上記組立孔(111)内に締まりばめする駆動軸(102)の中心と上記組立孔(111)の中心とが一致するのである。
【0075】
こうすると、上記チャックベース(110)とモータ(M)との組立をボンディング剤を使用せずに簡便且つ迅速に行えるので、製造原価を節減し、組立工程を単純化し作業生産性を向上させることができ、上記ディスク(D)の中心と上記駆動軸(102)の回転中心との調芯発生を上記弾性片(130)と相俟って最小化することができるのである。
【0076】
本発明は特定の実施例に係わり図示し説明したが、以下の請求範囲により具備される本発明の精神や分野を外れない限度内において本発明が多様に改造及び変化され得ることは、当業界において通常の知識を有する者であれば容易に想到することを明かしておく。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来のディスクドライブのディスクチャッキング装置の平面図である。
【図2a】一般のディスクドライブのディスクチャッキング装置に備えられるチャックベースを示すものであり、a)は平面図である。
【図2b】一般のディスクドライブのディスクチャッキング装置に備えられるチャックベースを示すものであり、b)は縦断面図である。
【図3】本発明によるディスクドライブのディスクチャッキング装置の斜視図である。
【図4a】本発明によるディスクドライブのディスクチャッキング装置を示すものであり、(a)は平面図である。
【図4b】本発明によるディスクドライブのディスクチャッキング装置を示すものであり、(b)は縦断面図である。
【図5】本発明と従来の装置における調芯発生の程度を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0078】
110 チャックベース
111 組立孔
112 中心ボス
113、115 第1、2配置部
114 軸押圧用突出部
119 ピン受け
120 チャックピン
125 スプリング部材
130 弾性片
131 第 1内部曲率
132 第 2内部曲率
133 曲率部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転駆動力により回転駆動されるディスクをチャッキングする装置において、
上記モータの駆動軸が組立られる組立孔が本体中央に貫通形成され、上記組立孔の内部面に軸押圧用突出部が設けられ、外周に沿って複数個の第1、2配置部が切欠形成され上記ディスクの中心孔が対応挿入されるチャックベース;
上記第1配置部毎に往復移動が可能に配され上記チャックベースに一端が接するスプリング部材によって前方へ弾力支持される複数個のチャックピン;及び、
上記第2配置部毎に設けられ、上記ディスクの中心孔内周面に外部面が弾力的に接するよう水平面と垂直面との間に第1、2内部曲率を有する曲率部を折り曲げ形成した複数個の弾性片を含むディスクドライブのディスクチャッキング装置。
【請求項2】
上記第1内部曲率は上記曲率部の外部曲率の曲率半径より大きく形成され、上記曲率部の厚さを上記水平面と垂直面の厚さより厚く形成するよう曲率中心が位置し、上記第1内部曲率より小さい曲率半径を有する第2内部曲率は上記弾性片の弾性力を発生させる位置が上記水平面に形成されるよう上記第1内部曲率が始まる水平面に形成されることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブのディスクチャッキング装置。
【請求項3】
上記弾性片は上記ディスクの中心孔の内周面と外部面が垂直方向に線接触するよう上記中心孔の曲率半径より小さい曲率半径で設けられることを特徴とする請求項1に記載の ディスク ドライブのディスクチャッキング装置。
【請求項4】
上記軸押圧用突出部は各辺の長さが同一で、上記組立孔に内接する正多角形の各頂点に設けられることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブのディスクチャッキング装置。
【請求項5】
上記チャックベースには上記ディスクの装着時上記チャックピンと上部面が対応して接するピン受けが複数個設けられ、上記ピン受けは上記チャックピンが設けられる第1配置部の外周縁に左右両端が夫々一体で連結されることを特徴とする請求項1に記載のディスクドライブのディスクチャッキング装置。
【請求項6】
上記ピン受けの中央部は切欠形成された第1配置部の下部縁に一体で連結される左右両端の厚さより厚く形成されることを特徴とする請求項5に記載のディスクドライブのディスクチャッキング装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−48890(P2006−48890A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308937(P2004−308937)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】