説明

ディスク・ドライブ装置のテスト方法

【課題】スクイーズ・マージン・テストの信頼性を向上する。
【解決手段】本発明の一実施形態にかかるスクイーズ・マージン・テストにおいて、HDD1は、データ・トラックDtr_kのデータを、ターゲット位置Tt1において書き込む。データ・トラックDtr_k+1側のライト・インヒビット値はInt2である。データ・トラックDtr_kのデータを書き込んだ後、HDD1は、データ・トラックDtr_k+1のデータを、ターゲット位置Tt2において書き込む。HDD1は、データ・トラックDtr_k、Dtr_k+1を互いに近づけて書き込む。これによって、スクイーズ・ライトが起きる可能性が高い条件でテストすることができ、テストの信頼性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスク・ドライブ装置のテスト方法に関し、特に、隣接データ・トラック間の書き込みマージン・テストに関する。
【背景技術】
【0002】
データ記憶装置として、光ディスクや磁気テープなどの様々な態様のメディアを使用する装置が知られているが、その中で、ハード・ディスク・ドライブ(Hard Disk Drive:HDD)は、コンピュータの記憶装置として広く普及し、現在のコンピュータ・システムにおいて欠かすことができない記憶装置の一つとなっている。更に、コンピュータにとどまらず、動画像記録再生装置、カーナビゲーション・システム、あるいはデジタル・カメラなどで使用されるリムーバブルメモリなど、HDDの用途は、その優れた特性により益々拡大している。
【0003】
ヘッド素子部によりデータの記録再生を行うHDDは、磁気ディスク上に形成されたサーボ・データに基づき、ヘッド素子部の位置決め制御を行う。磁気ディスク上で同心円状に形成されたトラックのそれぞれは複数のサーボ・セクタを備え、各サーボ・セクタはサーボ・データとユーザ・データから構成されている。サーボ・データは、HDDの製造工程において、磁気ディスク上にサーボ・ライタ等により記録される。
【0004】
近年、磁気ディスクの記憶容量が増加しその記録密度が高密度化するにつれ、データ・トラック及びサーボ・トラックの間隔(Track Per Inch:TPI)、データ・セクタの間隔(Bit Per Inch:BPI)が狭くなってきている。BPIの増加は、SNRの点からの制限が存在するため、主にTPIを増加することで記録密度の向上が図られている。このため、データ・トラックのトラック間隔が減少、つまりTPIが増加し、それに伴いデータ書き込みにおけるヘッド素子部の半径方向の揺らぎに対するマージン(以下、スクイーズ・マージン)が減少してきている。
【0005】
実際のデータ書き込みにおいて、ヘッド素子部はターゲット位置に正確に位置決めされているわけではなく、半径方向において揺れながらターゲット位置上をフォローイングする。このため、スクイーズ・マージンが小さい過ぎる場合、ヘッド素子部がターゲット・トラックの隣接データ・トラックを上書きする(スクイーズ・ライト:Squeeze Write)可能性が高くなる。
【0006】
一方、製造公差のため、スクイーズ・マージンは製造されるHDD毎に変化する。このため、HDDの製造工程においては、スクイーズ・マージンが小さすぎるHDDを発見するためのテストを行う。特定のHDDのテスト結果が小さすぎるスクイーズ・マージンを示す場合、そのHDDは欠陥品として出荷製品群から外される。
【0007】
典型的な、HDD製造工程は、その製造スループットを上げるため、全てのデータ・トラックではなく、磁気ディスクの記録面から選択した一部のデータ・トラックについてスクイーズ・マージン・テストを実行する。例えば、HDDは、磁気ディスク記録面上において、外周側、中央及び内周側の3つのデータ・トラックを任意に選択し、そこにデータを書き込む。さらに、選択された各データ・データ・トラックの両側において、選択された各データ・トラックに近づけて隣接データ・トラックのデータを書き込む。隣接トラックを近づける距離は、その隣接トラックの実際のデータ書き込みにおける許容範囲内である。
【0008】
なお、スクイーズ・マージン・テストとは異なるが、磁気ディスクのオフトラック・マージンを測定する方法が、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平6−84149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、HDD製造工程のスループットを上げるため、そのテスト時間を短縮することが要求されている。その一方で、ユーザの使用下におけるスクイーズ・ライトは、ユーザ・データの消去を引き起こすことになるため、確実に防止することが重要である。従って、スクイーズ・マージンが小さ過ぎる記録ディスクもしくはHDDを、テスト工程において迅速、確実に発見することが要求される。
【0010】
しかし、これまでのスクイーズ・マージン・テストにおいては、テストを行うデータ・トラックの選択、あるいは、その選択されたデータ・トラックについてのスクイーズ・テスト手法について、十分な検討をしていなかった。このため、TPIの増加に従って、スクイーズ・マージンが小さい磁気ディスク/HDDが製造工程において見落とされ、ユーザのもとに出荷される可能性が増大している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの態様に係るディスク・ドライブ装置のテスト方法は、記録ディスク上の第1データ・トラックにおいて第1データを書き込み、前記第1データ書き込み後に隣接する第2データ・トラックにおいて第2データを書き込み、前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取られた第1データから、前記第2データによるその第1データの消去状態を検出し、通常データ書き込みにおける前記第1データ・トラックのターゲット位置をTn1、前記第2データ・トラックのターゲット位置をTn2、前記第1データの書き込みにおけるターゲット位置をTt1、前記第2データの書き込みにおけるターゲット位置をTt2、前記第2データ・トラックへの通常データ書き込みにおける、前記第1データ・トラック側のインヒビット値をIn1、とする場合に次の関係が満たされる、|Tn1−Tn2|−|Tt1−Tt2| ≧ Inn1。データ・トラックのターゲット位置間の距離をこのように設定することで、よりスクイーズ・ライトがおきやすい厳しい条件でテストすることができ、テストの信頼性を向上することができる。ここで、Tn1=Tt1もしくはTn2=Tt2であることができる。
【0012】
あるいは、|Tn1−Tn2| > |Tn1−Tt2|、|Tn1−Tn2| > |Tn2−Tt1|の関係を満たすことが好ましい。二つのデータ・トラックの双方を互いに近づけることで、実動作に沿った厳しい条件でテストすることができきる。さらに、前記第1データの書き込みにおける、前記第2データ側のインヒビット値をInt2、前記第2データの書き込みにおける、前記第1データ側のインヒビット値をInt1とする場合において、さらに次の関係が満たされることが好ましい、Inn1+Inn2=|Tn1−Tt1|+Int2+|Tn2−Tt2|+Int1。これによってより厳しい条件でテストすることができる。さらに、前記第1データの書き込みにおける、前記第2データ側のインヒビット値をInt2、前記第2データの書き込みにおける、前記第1データ側のインヒビット値をInt1とする場合において、さらに次に関係が満たされることが好ましい、Inn1=|Tn2−Tt2|+Int1、Inn2=|Tn1−Tt1|+Int2。これによって、実動作に沿ったより厳しい条件でテストすることができる。
【0013】
さらに、通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/4以内の範囲にあることが好ましい。あるいは、前記第2データ・トラックの前記第1データ・トラック側におけるイレーズ・バンド幅がその反対側のイレーズ・バンド幅以上であることが好ましい。これらによってより厳しい条件でテストすることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係るディスク・ドライブ装置のテスト方法は、記録ディスク上の第1データ・トラックにおいて第1データを書き込み、前記第1データ書き込み後に隣接する第2データ・トラックにおいて第2データを書き込み、前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取られた第1データから、前記第2データによるその第1データの消去状態を検出し、通常データ書き込みにおける前記第1データ・トラックのターゲット位置をTn1、前記第2データ・トラックのターゲット位置をTn2、前記第1データの書き込みにおけるターゲット位置をTt1、前記第2データの書き込みにおけるターゲット位置をTt2とする場合に次の関係が満たされる、|Tn1−Tn2| > |Tn1−Tt2|、|Tn1−Tn2| > |Tn2−Tt1|。両方のデータ・トラックのターゲット位置を互いに近づけて書き込むことで、実動作に沿ったより厳しい条件でのテストを行うことができる。
【0015】
さらに、通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/4以内の範囲にあり、前記第2データ・トラックの前記第1データ・トラック側におけるイレーズ・バンド幅がその反対側のイレーズ・バンド幅以上であることが好ましい。これによってより厳しい条件でのテストを行うことができる。
【0016】
本発明の他の態様は、サーボ・データにおける複数のバーストを使用して生成する位置信号値に基づいてヘッドの位置決めを行い、通常動作において、使用するバーストをターゲットの位置信号値に従って切り替えるディスク・ドライブ装置のテスト方法であって、第1データ・トラックの第1データを書き込み、前記第1データ書き込み後に、前記第1データ・トラックに隣接する第2データ・トラックの第2データを書き込み、前記第1データ・トラックのターゲット位置と前記第2データ・トラックのターゲット位置と間の間隔は、通常データ書き込みにおけるターゲット位置間隔よりも小さく、前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取られた第1データから、前記第2データによるその第1データの消去状態を検出し、通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/4以内の範囲にあるものである。第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値が上述の範囲にあることによって、よりスクイーズ・ライトがおきやすい厳しい条件でテストすることができ、テストの信頼性を向上することができる。
【0017】
通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/8以内の範囲にあることが好ましい。あるいは、通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値近傍にあることが好ましい。これらによって、より厳しい条件でテストすることができる。
【0018】
本発明の他の態様にかかるディスク・ドライブ装置のテスト方法は、記録ディスク上で選択された第1データ・トラックにおいて第1データを書き込み、前記第1データ書き込み後に、隣接する第2データ・トラックにおいて通常動作書き込みよりも前記第1トラックに近づけて第2データを書き込み、その第2データ・トラックの前記第1データ・トラック側におけるイレーズ・バンド幅がその反対側のイレーズ・バンド幅以上であり、前記第1データ・トラックについての前記第2データ・トラックの反対側隣接トラックにデータを書き込むことなく、前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取った第1データから前記第2データによるその第1データの消去状態を検出するものである。イレーズ・バンド幅が上述の関係を満たすことで、より厳しい条件でのテストを行うことができるとともに、一方のデータ・トラックのみでデータ消去することでテスト時間を短縮することができる。
【0019】
前記第2のデータ・トラックは前記第1のデータ・トラックの内周側にあり、さらに、記録ディスク上で選択された第3データ・トラックにおいて第3データを書き込み、前記第3データ書き込み後に、その外周側で隣接する第4データ・トラックにおいて通常動作書き込みよりも前記第3トラックに近づけて第4データを書き込み、その第4データ・トラックの内周側イレーズ・バンド幅がその外周側のイレーズ・バンド幅以上であり、前記第3データ・トラックの内周側隣接データ・トラックにデータを書き込むことなく、前記第4データ書き込みの後に前記第3データを読み取り、その読み取った第3データから前記第4データによるその第3データの消去状態を検出することが好ましい。異なるトラック位置でのテストを追加することでテストの信頼性を向上することができる。さらに、イレーズ・バンド幅が上述の関係を満たすことでより厳しい条件でのテストを行い、一方のデータ・トラックのみでデータ消去することでテスト時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スクイーズ・マージンの少ない記録ディスクを特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明を適用可能な実施の形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0022】
以下においては、ディスク・ドライブ装置の一例であるハードディスク・ドライブ(HDD)を例として、本発明の実施形態を説明する。本形態のHDDは、その製造工程において、選択されたデータ・トラックについて、スクイーズ・マージンのテストを実行する。本形態のHDDは、製品として実装される制御回路及び機械機構を使用して、自らそのテストを実行する。従って、本形態のスクイーズ・マージンのテストについて説明する前に、最初にHDDの全体構成の概略を説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態に係るHDD1の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、HDD1は、密閉されたエンクロージャ10内に、記録ディスクの一例である磁気ディスク11、ヘッド素子部12、アーム電子回路(AE:Arm Electronics)13、スピンドル・モータ(SPM)14、ボイス・コイル・モータ(VCM)15、そしてアクチュエータ16を備えている。
【0024】
HDD1は、さらに、エンクロージャ10の外側に固定された回路基板20を備えている。回路基板20上には、リード・ライト・チャネル(R/Wチャネル)21、モータ・ドライバ・ユニット22、ハードディスク・コントローラ(HDC)とMPUの集積回路(以下、HDC/MPU)23及びRAM24などの各ICを備えている。尚、各回路構成は一つのICに集積すること、あるいは、複数のICに分けて実装することができる。
【0025】
外部ホスト51からのユーザ・データは、HDC/MPU23によって受信され、R/Wチャネル21、AE13を介して、ヘッド素子部12によって磁気ディスク11に書き込まれる。また、磁気ディスク11に記憶されているユーザ・データはヘッド素子部12によって読み出され、そのユーザ・データは、AE13、R/Wチャネル21を介して、HDC/MPU23から外部ホスト51に出力される。
【0026】
磁気ディスク11は、SPM14に固定されている。SPM14は所定の角速度で磁気ディスク11を回転する。HDC/MPU23からの制御データに従って、モータ・ドライバ・ユニット22がSPM14を駆動する。各ヘッド素子部12はスライダ(不図示)に固定されている。以下において、このアセンブリをヘッド・スライダと呼ぶ。ヘッド・スライダはアクチュエータ16の先端部に固定されている。アクチュエータ16はVCM15に連結され、揺動軸を中心に揺動することによって、ヘッド素子部12(ヘッド・スライダ)を回転する磁気ディスク11上においてその半径方向に移動する。モータ・ドライバ・ユニット22は、HDC/MPU23からの制御データ(以下、DACOUTと呼ぶ)に従ってVCM15を駆動する。
【0027】
ヘッド素子部12には、磁気ディスク11への記録データに応じて電気信号を磁界に変換するライト素子、及び磁気ディスク11からの磁界を電気信号に変換するリード素子を備えている。ライト素子のライト電流値は、HDC/MPU23がセットした制御値に従って変化する。なお、磁気ディスク11は、1枚以上あればよく、記録面は磁気ディスク11の片面あるいは両面に形成することができる。
【0028】
AE13は、複数のヘッド素子部12の中から磁気ディスク11へのアクセスを行う1つのヘッド素子部12を選択し、選択されたヘッド素子部12により再生される再生信号を一定のゲインで増幅(プリアンプ)し、R/Wチャネル21に送る。また、R/Wチャネル21からの記録信号を選択されたヘッド素子部12に送る。R/Wチャネル21は、リード処理において、AE13から供給されたリード信号を一定の振幅となるように増幅し、取得したリード信号からデータを抽出し、デコード処理を行う。読み出されるデータは、ユーザ・データとサーボ・データを含む。デコード処理されたリード・ユーザ・データは、HDC/MPU23に供給される。また、ライト処理において、R/Wチャネル21はHDC/MPU23から供給されたライト・データをコード変調し、更にコード変調されたライト・データをライト信号に変換してAE13に供給する。
【0029】
HDC/MPU23において、MPUはRAM24にロードされたコードに従って動作する。HDD1の起動に伴い、RAM24には、MPU上で動作するコードの他、制御及びデータ処理に必要とされるデータが磁気ディスク11あるいはROM(不図示)からロードされる。HDC/MPU23は、リード/ライト処理制御、コマンド実行順序の管理、サーボ信号を使用したヘッド素子部12のポジショニング制御(サーボ制御)、インターフェース制御、ディフェクト管理などのデータ処理に関する必要な処理の他、HDD1の全体制御を実行する。特に、本形態のHDC/MPU23は、スクイーズ・マージン・テストの実行制御を行う。この点については、後に詳述する。
【0030】
図2を参照して、磁気ディスク11上の記録データについて説明する。図2に示すように、磁気ディスク11の記録面には、磁気ディスク11の中心から半径方向に放射状に延び、所定の角度毎に離間して形成された複数のサーボ領域111と、隣り合う2つのサーボ領域111の間にデータ領域112が形成されている。各サーボ領域111には、ヘッド素子部12の位置決め制御を行うためのサーボ・データが記録される。各データ領域112には、ユーザ・データが記録される。磁気ディスク11の記録面には、半径方向に所定幅を有し、同心円状に形成された複数のデータ・トラックが形成される。ユーザ・データは、データ・トラックに沿って記録される。一つのデータ・トラックは、サーボ領域111間に複数のデータ・セクタ(ユーザ・データの記録単位)を備えている。
【0031】
各複数データ・トラックは、磁気ディスク11の半径方向の位置に従って、複数のゾーン113にグループ化されている。1つのデータ・トラックに含まれるデータ・セクタの数は、ゾーンのそれぞれに設定される。図2においては、3つのゾーン113a−113cが例示されている。同様に、磁気ディスク11は、半径方向に所定幅を有し、同心円状に形成された複数のサーボ・トラックを備えている。各サーボ・トラックは、データ領域112で分離された複数のサーボ・データから構成されている。
【0032】
本形態のHDD1は、自ら磁気ディスク11の欠陥テストを実行する。本明細書において、これをSRST(Self Run Self Test)と呼ぶ。HDD1は、その機械的機構と製品として実装される制御回路とを使用してSRSTを実行する。このSRSTにおける一つとテスト工程として、HDD1はスクイーズ・マージンのテストを実行する。
【0033】
HDD1の製造工程は、ヘッド・スライダとアクチュエータ16のアセンブリであるヘッド・スタック・アセンブリや、磁気ディスク11などの必要な部品をエンクロージャ10内に実装して、ヘッド・ディスク・アセンブリ(HDA)を製造する。さらに、上述の必要な回路が実装された制御回路基板20をそのHDAの外側に装着する。SRSTは、この製品としてのHDD1が組み立てられた段階において、HDD1が自らの回路及び機械的機構を使用して実行する。
【0034】
SRSTは、スクイーズ・マージン・テストの他に、磁気ディスク11の記録面について、表面解析テスト(Surface Analysis Test:SAT)やフィル・データ(Fill Data)など、いくつかのタイプの欠陥検出テストを行う。概略を説明すると、SATは磁気ディスク11の各データ・トラックにデータを書き込み、さらに書き込んだデータを読み出すことによって磁気ディスク上の欠陥を特定する。フィル・データは、磁気ディスク11へのライト処理を実行し、ライト・エラーを引き起こすサーボ・トラック及びそれに対応するデータ・セクタを特定する。
【0035】
本形態のスクイーズ・マージン・テストは、磁気ディスク11の記録面から選択された一部のデータ・トラックにテストを行う。その好ましい一態様は、図3(a)−(c)に示すように、隣接する二つのデータ・トラックについてスクイーズ・マージン・テストを実行する。図3(a)は、通常のデータ・トラックの状態を模式的に示している。本例は、データ・トラックDtr_kに第1データを書き込んだ後に、データ・トラックDtr_k+1に第2データを書き込む。そして、データ・トラックDtr_kのデータを読み取って、その消去状態を検出することによって、スクイーズ・ライトの有無を特定する。従って、データ・トラックDtr_kの第1データがスクイーズ・ライトされるデータであり、データ・トラックDtr_k+1の第2データがスクイーズ・ライトするデータである。
【0036】
スクイーズ・マージン・テストは、データ・トラックDtr_kとデータ・トラックDtr_k+1との距離を、通常のデータ書き込みよりも近くする。つまり、各データ・トラックのターゲット位置の距離が、通常のデータ書き込みよりも近い。データ・トラックを近づける態様の一つは、図3(b)に示すように、データ・トラックDtr_kを通常のターゲット・アドレス位置に書き込み、データ・トラックDtr_k+1のターゲット位置をDtr_k側に近づける。他の態様は、図3(c)に示すように、データ・トラックDtr_k及びデータ・トラックDtr_k+1の双方のターゲット位置を互いに近づける。
【0037】
本例の特徴の一つは、データ・トラックDtr_kとデータ・トラックDtr_k+1とを近づける距離である。従来のスクイーズ・マージン・テストは、図3(b)に示すようにスクイーズ・ライトするデータ・トラックDtr_k+1のみを、そのデータ・トラックDtr_k+1の通常データ書き込みにおける許可範囲内において近づけている。一方、本態様のスクイーズ・マージン・テストは、データ・トラックDtr_kとデータ・トラックDtr_k+1とは、1データ・トラックの許容範囲を超えて近づける。
【0038】
ここで、通常データ書き込みにおける許容範囲及びその許容範囲を規定するライト・インヒビット(Write Inhibit)値について説明する。ターゲット・サーボ・アドレス(ターゲット位置)からの許可範囲外にヘッド素子部が位置する場合、HDC/MPU23はデータ書き込みを行わない。つまり、ヘッド素子部12が読み出すサーボ・アドレスが、ターゲット・サーボ・アドレスからの許可範囲内にあることを条件として、HDC/MPU23は磁気ディスク11にデータを書き込む。
【0039】
そこで、まず、サーボ・アドレスについて説明する。図4(a)は、サーボ・データのデータ・フォーマットを模式的に示している。サーボ・データは、サーボAGC(Auto Gain Control:AGC)、サーボ・アドレス・マーク(SAM)、グレイ・コードからなりサーボ・トラックを特定するサーボ・トラックID(SERVO TRACK)、サーボ・トラック内におけるサーボ・セクタを特定するサーボ・セクタID(SERVO SECTOR)、そして細かい位置制御をするためのバースト・パターンを備えている。
【0040】
HDD1は、サーボAGCを使用して信号同期を取ると共にその読み出し振幅を使用してAGCのゲイン値を決定する。SAMは、R/Wチャネル21がサーボ・データを処理するためのタイミングを与える。サーボ・トラック番号は各サーボ・トラックを特定し、サーボ・セクタIDはサーボ・トラック内における各サーボ・セクタを特定する。
【0041】
バースト・パターンは、円周方向位置、半径方向位置の異なる4つのバーストA、B、C、Dからなっている。リード素子122はバーストA、B、C、Dの順に読み取る。また、各バーストは、バーストA、B、C、Dの順で内周側から配列されている。各バーストの再生信号の振幅によって、サーボ・トラック内の相対位置を決定することができる。図4(b)に示すように、サーボ・トラック内の相対位置は、半径方向に256分割された位置誤差信号(Position Error Signal:PES)とよばれる値で表される。PESはバースト・パターンによって決定され、例えば、|A−B|/(A+B)を使用して算出される。
【0042】
サーボ・トラック内において、内周(ID)側端がPES0であり、外周(OD)側端がPES255である。隣接サーボ・トラックのPES0とPES256との位置は同一である。各サーボ・トラックの中心はPES128である。本明細書において、サーボ・アドレスは、サーボ・トラックID、サーボ・セクタID及びPESによって特定される。磁気ディスク11の半径方向のサーボ・アドレスは、サーボ・トラックIDとPESとによって特定される。
【0043】
続いて、通常書き込み処理における許可範囲について具体的に説明する。図5は、この許可範囲とヘッド素子部12の位置(読み出されたサーボ・アドレス)の一例を示している。許可範囲は、ターゲット・サーボ・アドレスの内周側及び外周側における二つの境界PES値(ライト・インヒビット値)によって規定される。HDC/MPU23は、ヘッド素子部12(リード素子122)がターゲット・サーボ・アドレス(TARGET)からライト・インヒビット値(WRITE INHIBIT)以上離れると、ライト処理を停止(アボート)する。
【0044】
図5において、許可範囲のライト・インヒビット値は、内周側及び外周側においてXPES(Xは正の整数、例えば35PES)である。なお、内周側と外周側におけるライト・インヒビット値は異なる設計とすることもできる。HDC/MPU23は、サーボ・ゲインの変化を補償するようにターゲット・サーボ・アドレスに従って一方の許可範囲を選択する。図5の各円114a−114fは、ヘッド素子部12が読み取った各サーボ・データから計算したヘッド位置(サーボ・アドレス)を表している。
【0045】
ヘッド素子部12が読み取ったPES値がターゲット・サーボ・アドレス(ターゲット位置)から内周もしくは外周側にライト・インヒビット値以上離れると、HDC/MPU23はデータ書き込みを行わない。つまり、データ書き込み前であればHDC/MPU23はデータ書き込みを開始せず、データ書き込み中であればそれを停止する。このように、PES値が、ターゲット・サーボ・アドレスを基準として、ライト・インヒビット値内にあることが、データ書き込みの条件となる。
【0046】
ライト・インヒビット値を使用してライトの禁止/許可を行うことで、隣接データ・トラックへのデータ書き込み(スクイーズ・ライト)を防止する。具体的には、114fのヘッド位置にヘッド素子部12が移動した場合、HDC/MPU23が、データ書き込みを禁止する。他の位置においては、データ書き込みは禁止されず、許可される。
【0047】
必要なスクイーズ・マージンが存在する場合、ライト・インヒビット値を使用した制御によってスクイーズ・ライトを防止することができる。しかし、製造公差のために十分はスクイーズ・マージンが確保されていない場合、スクイーズ・ライトが起こりうる。スクイーズ・マージンが小さい磁気ディスク11もしくはHDD1を確実に発見するには、通常データ書き込みにおいてスクイーズ・ライトを起こしやすい条件下において、テストを実行することが重要である。
【0048】
通常データ書き込みにおいて、隣接データ・トラックの一方が他方に近づくのみならず、両方のデータ・トラックが互いに近づきうる。従来のスクイーズ・マージン・テストは、スクイーズ・ライトされるデータ・トラックにデータを書き込んだ後、隣接データ・トラックを通常データ書き込みの許可範囲で近づけてデータを書き込む。例えば、通常データ書き込み処理のライト・インヒビット値が35PESである場合、隣接データ・トラックのターゲット・サーボ・アドレスを30PES分スクイーズ・ライトされるデータ・トラックに近づけ、5PESのライト・インヒビット値でデータを書き込む。
【0049】
しかし、上述のように、隣接するデータ・トラックが互いに近づく場合、データ・トラック間隔がより小さくなり、スクイーズ・ライトを引き起こす可能性がさらに高くなる。そこで、本形態は、両方の隣接データ・トラックが互いに近づいた状態でデータ書き込みされることを考慮したスクイーズ・マージン・テストを行う。その一つの態様において、HDD1は、図3(b)に示したように、データ・トラックDtr_k+1を通常データ書き込みのライト・インヒビット値を超えて、データ・トラックDtr_kに近づけて書き込む。
【0050】
図6は、図3(b)の例における、ターゲット・サーボ・アドレスとライト・インヒビット値を具体的に示している。HDD1は、データ・トラックDtr_kのデータを、通常データ書き込みと同一のターゲット位置において書き込む。つまり、通常データ書き込みにおけるターゲット位置(ターゲット・サーボ・アドレス)Tn1と、本テストにおけるターゲット位置Tt1が同一である。一方、本テストにおけるデータ・トラックDtr_k+1側のライト・インヒビット値Int2は、通常データ書き込みにおけるライト・インヒビット値Inn2よりも小さい。この点については後に説明する。なお、反データ・トラックDtr_k+1側のライト・インヒビット値は特に限定されないが、通常データ書き込みと同一でよい。
【0051】
データ・トラックDtr_kのデータを書き込んだ後、HDD1はデータ・トラックDtr_k+1のデータを書き込む。このときのデータ書き込み位置は、通常データ書き込みにおける許容範囲よりもデータ・トラックDtr_kに近づいている。HDD1は、ターゲット位置Tt2において、データ・トラックDtr_k側のライト・インヒビット値Int1の範囲で、データ・トラックDtr_k+1のデータを書き込む。明らかに、Int1<Inn1となる。なお、データ・トラックDtr_kの反対側におけるライト・インヒビット値は特に限定されないが、Int1でよい。
【0052】
このとき、
|Tn1−Tn2|−|Tt1−Tt2|≧Inn1 (1)
の関係が成立する。|Tn1−Tn2|は通常データ書き込みにおける隣接トラックのターゲット位置間隔、|Tt1−Tt2|はスクイーズ・マージン・テストにおける隣接トラックのターゲット位置間隔である。この差分が、データ・トラックDtr_k+1のデータ・トラックDtr_k側における通常ライト・インヒビット値以上である。
【0053】
|Tn1−Tn2|−|Tt1−Tt2|=Inn1 (2)
の場合、ターゲット位置Tt2は通常データ書き込みにおける許容範囲境界上に位置するが、書き込み位置はライト・インヒビット値Int1の範囲で通常データ書き込みよりもデータ・トラックDtr_kに近づく。より厳しい条件におけるテストを行うためには、
|Tn1−Tn2|−|Tt1−Tt2|>Inn1 (3)
の条件において、HDD1はデータ・トラックDtr_k+1のデータを書き込むことが好ましい。典型的にはInn2とInn1とは同一であるが、Inn2のほうが大きい場合、より厳しい条件でテストするため、上記各式のInn1をInn2に置き換えることが好ましい。
【0054】
上述のように、Int2<Inn2の関係が成立する。これは、データ・トラックDtr_k+1の書き込み位置が通常データ書き込みの許可範囲を超えるため、Int2=Inn2の場合には、データ・トラックDtr_kの書き込み位置とデータ・トラックDtr_k+1の書き込み位置とが、通常データ書き込みにおいて起こりえないほど近づくことがあるからである。
【0055】
正確なテストのためには、テストにおける隣接データ・トラックの書き込み位置は、最も近い場合においても、通常データ書き込みと同一であることが重要である。従って、
|Inn2−Int2|≧(|Tt2−Tn2|+Int1)−Inn1 (4)
の関係を満たすことが重要である。
【0056】
好ましくは、
|Inn2−Int2|=(|Tt2−Tn2|+Int1)−Inn1 (5)
となる。数式(5)は、テストにおいてデータ・トラックDtr_kに最も近づきうるデータ・トラックDtr_k+1の書き込み位置と、通常データ書き込みにおける最も近づきうる位置との距離が、テストと通常データ書き込みにおけるデータ・トラックDtr_kのライト・インヒビット値の差に等しいことを示している。また、同様の理由から次の式が満足する。
|Tt2−Tn2|<Inn1+Inn2 (6)
【0057】
上述のように、一方のデータ・トラックのターゲット位置を通常動作の許可範囲よりも隣接データ・トラック側によせることによって、スクイーズ・ライトが起きやすいより厳しい状態におけるテストを行うことができる。また、上述の好ましい例のように2データ・トラックでテストを行うこと場合、従来の3データ・トラックを使用したテストよりもテスト時間を短縮することができる。
【0058】
なお、上述のスクイーズ・マージン・テストは、データ・トラック全てにデータを書き込むが、その一部に書き込み、テストを行ってもよい。また、上述においては、第2データ・トラックを近づけたが、第2データ・トラックの通常ターゲットとテスト・ターゲットを同一(Tt2=Tn2)とし、第1データ・トラックのターゲット位置を第2データ・トラックに近づけてもよい。
【0059】
図6の例は、スクイーズ・ライトするデータ・トラックDtr_k+1のターゲット位置Tt2のみを変化させ、データ・トラックDtr_kのターゲット位置Tt1は通常データ書き込みにおけるターゲット位置Tn2と同一である。しかし、実際のデータ書き込みにおいては、一方のデータ・トラックがライト・インヒビット値よりも近づくことはなく、両方のデータ・トラックがライト・インヒビット値内で互いに近づく。従って、スクイーズ・マージン・テストにおいても、この通常動作に従ったテストを行うことが好ましい。
【0060】
従って、スクイーズ・マージン・テストにおいて、図3(c)に示したように、データ・トラックDtr_k+1のターゲット位置Tt2とデータ・トラックDtr_kのターゲット位置Tt1とを互いに近づけることが好ましい。隣接データ・トラックのターゲット位置を、通常データ書き込みよりも互いに近づけることで、より厳しい条件でスクイーズ・マージン・テストを行うことができ、より確実に欠陥磁気ディスク11もしくはHDD1を発見することができる。
【0061】
図7を参照して、図3(c)の例のように、隣接データ・トラックのターゲット位置を互いに近づける場合における好ましい態様を具体的説明する。HDD1は、データ・トラックDtr_kのデータを、ターゲット位置Tt1において書き込む。データ・トラックDtr_k+1側のライト・インヒビット値はInt2である。反対側のインヒビット値は特に限定されないが、Int2と同一でよい。なお、Int2<Inn2である。例えば、Inn2は35、Int2は5であり、|Tt1−Tn1|が30である。
【0062】
データ・トラックDtr_kのデータを、書き込んだ後、HDD1は、データ・トラックDtr_k+1のデータを、ターゲット位置Tt2において書き込む。データ・トラックDtr_k側のライト・インヒビット値はInt1である。反対側のインヒビット値は特に限定されないが、Int1と同一でよい。なお、Int1<Inn1である。例えば、Inn1は35、Int1は5であり、|Tt2−Tn2|が30である。
【0063】
なお、データ・トラックを近づける点からはターゲット値間の間隔及びInt1、2を小さい値に設定することが好ましい。しかし、Int1、2が小さすぎるとテスト・データ書き込みのリトライを繰り返しその時間が長くなるため、テスト時間の短縮の点を考慮して設計することが好ましい。
【0064】
ここで、スクイーズ・マージン・テストにおけるデータ・トラックDtr_kのターゲット位置Tt1は、通常データ書き込みにおけるターゲット位置Tn1よりもデータ・トラックDtr_k+1に近いので、次の関係が成立する。
|Tn1−Tn2|>|Tt1−Tn2| (7)
つまり、ターゲット位置Tt1とターゲット位置Tn2と間隔は、ターゲット位置Tn1とターゲット位置Tn2との間隔よりも小さい。
【0065】
同様に、スクイーズ・マージン・テストにおけるデータ・トラックDtr_k+1のターゲット位置Tt2は、通常データ書き込みにおけるターゲット位置Tn2よりもデータ・トラックDtr_kに近いので、次の関係が成立する。
|Tn1−Tn2|>|Tt2−Tn1| (8)
つまり、ターゲット位置Tt1とターゲット位置Tn2と間隔は、ターゲット位置Tn1とターゲット位置Tn2との間隔よりも小さい。
【0066】
実動作においてスクイーズ・ライトが起きやすい厳しい条件でテストを行うため、通常データ書き込みにおける許可範囲の境界と、スクイーズ・マージン・テストにおける許可範囲の境界とは、等しいことが好ましい。つまりデータ・トラックDtr_kのデータ書き込みにおいて、好ましくは、
Inn2=|Tt1−Tn1|+Int2 (9)
が成立する。また、データ・トラックDtr_k+1のデータ書き込みにおいて、
Inn1=|Tt2−Tn2|+Int1 (10)
が成立することが好ましい。
【0067】
図7は、これら数式(9)及び(10)が成立する好ましい例を示している。HDD1の通常動作と条件を同一にするため、図7のように、スクイーズ・マージン・テストと通常データ書き込みとは、それぞれの許可範囲の境界が等しいことが好ましい。しかし、隣接データ・トラックを互いに近づける点からは、図6を参照して説明したように、一方のデータ・トラックを通常動作よりも他方のデータ・トラックに近づけてもよい。従って、
Inn1+Inn2=|Tt2−Tn2|+|Tt1−Tn1|+Int1+Int2 (11)
の関係が成立する条件でスクイーズ・マージン・テストを行ってもよい。
【0068】
以上のように、隣接データ・トラックのターゲット値の双方を互いに近づけることで、通常動作に近くより厳しい状態におけるテストを行うことができる。また、上述の好ましい例のように2データ・トラックでテストを行うこと場合、従来の3データ・トラックを使用したテストよりもテスト時間を短縮することができる。なお、上述のスクイーズ・マージン・テストは、データ・トラック全てにデータを書き込むが、その一部に書き込み、テストを行ってもよい。また、テストにおける隣接データ・トラックの許可範囲の距離は通常データ書き込みと同一であることが好ましいが、設計によって変えてもよい。
【0069】
上述においては、磁気ディスク11上で選択したデータ・トラックについての好ましいテスト方法を説明したが、次に、テスト・データ・トラックの好ましい選択方法について説明する。以下において、データ・トラック・ピッチとサーボ・トラック・ピッチとが異なる磁気ディスク11について説明する。このHDD1における好ましい一つのテスト方法は、ターゲット・サーボ・アドレスのPES値が64PESもしくは192PESにより近いデータ・トラックをテスト・トラックとして選択する。選択トラックについて具体的に説明する前に、まず、磁気ディスク11上のデータ・フォーマットについて説明する。
【0070】
図8は、データ領域112とサーボ領域111の一部を模式的に示している。なお、図8は模式図であって、実際のフォーマットを正確に反映するものではない。本形態の磁気ディスク11は、データ・トラック・ピッチとサーボ・トラック・ピッチとが異なるアダプティブ・フォーマットに従ってデータを記録している。データ・トラック・ピッチがサーボ・トラック・ピッチよりも大きく、スクイーズ・ライトやオフトラック・ライトを防止し信頼性を向上する。
【0071】
さらに、図8は、データ読み取り時及びデータ書き込み時のライト素子121とリード素子121の位置を模式的に示している。本例において、ヘッド素子部12が磁気ディスク11上に位置するときに、ライト素子とリード素子とは、半径方向に異なる位置にある。このライト素子とリード素子の半径方向の位置の差異(距離)はリード・ライト・オフセットとよばれている。
【0072】
図8において、ライト素子121aとリード素子122aとは、データ読み取り時におけるヘッド位置を示し、ライト素子121bとリード素子122bとは、データ書き込み時におけるヘッド位置を示している。具体的には、リード素子122aはデータ・トラックDTr_mをリードする位置に位置決めされている。一方、リード素子122bは、ライト素子121bがデータ・トラックDTr_m-2にユーザ・データを書き込むための位置に位置決めされている。
【0073】
このように、データ・トラック・ピッチとサーボ・トラック・ピッチとが異なる場合、ヘッド素子部12のターゲット位置は、常にはサーボ・トラックの中心とならず、ターゲット位置によってサーボ・トラック内の位置が異なる。そのため、ヘッド素子部12の位置決め制御のために、ターゲット位置に従って、異なるバーストを使用することが必要とされる。
【0074】
図4(b)に戻って、サーボ・トラック内の位置は、半径方向に256分割されたPES値で表される。PESは、バースト・パターンによって決定される。具体的には、本形態のHDD1は、バーストA及びバーストBを使用して計算するメインPES(MPES)と、バーストC及びバーストDを使用して計算するセカンダリPES(SPES)とを、位置決め制御において使用する。MPESは|A−B|/(A+B)を使用して算出される。また、SPESは、|C−D|/(C+D)を使用して算出される。ここで、各アルファベットは、各バーストの読み出し振幅値を表している。HDC/MPU23は、ヘッド位置に従って使用するPESを変更する。
【0075】
具体的には、HDC/MPU23は、ヘッド素子部12が読み出したターゲット・サーボ・アドレスがPES64〜PES192の間にある場合にMPESを使用する。読み出したサーボ・アドレスがそれ以外の領域にある場合に、HDD1はSPESを使用する。図4(b)に示すように、半径方向におけるバーストAとバーストBの境界は、PES128にある。なお、ヘッド素子部12の位置決めを行うターゲット・サーボ・アドレスにしたがって、トラック・フォローイング時に使用するMPESとSPESとを切り替えてもよい。
【0076】
従って、HDD1は、PES128を中心とするPES64〜PES192の間においてMPESを使用する。一方、半径方向におけるバーストCとバーストDの境界は、PES0(255)にある。従って、HDD1は、PES0を中心とするPES192〜PES64の間においてMPESを使用する。PES64及び192については、設計に従ってMPES及びSPESのいずれかを使用する。
【0077】
図9は、PESとヘッド素子部12の実際の物理移動量との関係を示している。図5に示すように、64PESと192PESの近傍において、PESと物理移動量との関係が他の領域と異なり、関係の歪が存在する。具体的には、64PESと192PESの近傍において、PES変化量に対する物理移動量の変化率が増加する。
【0078】
理想的な状態においては、PESと物理移動量は線形関係となる。しかし、実際の製品においては、これらは厳密な線形関係を満たさない。そのため、実際に読み取ったバースト信号から計算された値を補正することが必要となる。図9は、この補正されたPESと物理移動量との関係を示している。MPESとSPESとは、異なるバーストを使用するため、実際のHDD1においてはこれらの値が連続せず、補正によってこれらの値を連続させることが必要となる。64PESと192PESの近傍における歪は、この補正のために生じている。特に、トラック・ピッチが小さくなるにつれて、この非連続性が顕著になる。
【0079】
図9から理解されるように、64PES及び192PESの近傍においては、物理移動量の変化に応じたPESの変化量が小さい。つまり、実際はヘッド素子部12が磁気ディスク11の半径方向に大きく移動しているにもかかわらず、PESはそれほど大きく変化しない。本明細書において、物理移動量に対するPESの変化量をサーボ・ゲインと呼ぶ。つまり、64PES及び192PESの近傍において、サーボ・ゲインが低下している。
【0080】
HDC/MPU23は、サーボ・データ、つまりPESを使用してヘッド素子部12の現在位置を特定する。上述のように、64PES及び192PESの近傍においてサーボ・ゲインが低下している。つまり、物理移動量の大きな変化がPESに現れないため、HDC/MPU23は、64PES及び192PESの近傍において、物理移動量の大きな変化を正確に検出することができない。
【0081】
従って、64PES及び192PESの近傍において、スクイーズ・ライトがおきる可能性が高い。エラー・ディスクもしくはエラーHDDをより確実に発見するには、スクイーズ・ライトがおきる可能性が高い条件においてスクイーズ・マージン・テストを行うことが好ましい。従って、テスト・データ・トラックとしては、ターゲット・サーボ・アドエレスが、64PESもしくは192PESにより近いPES値を含むものが好ましい。なお、この範囲で選択されるデータ・トラックは、スクイーズ・ライトされるデータ・トラックもしくはスクイーズ・ライトするデータ・トラックのいずれでもよい。
【0082】
そこで、本形態のHDD1は、図10に示すように、テスト・データ・トラックのターゲット・サーボ・アドレスのPES値が、64PESと中心としてOD側及びID側における各32PES範囲内にあるもの、もしくは、192PESと中心としてOD側及びID側における各32PES範囲内にあるものを選択する。例えば、図10において、64PESを中心として、32PESから96PESの間の領域である。ここで、32PESはバーストを切り替える隣接位置である64PESと192PESとの間の距離(間隔)の1/4である。この領域内のPES値は、他の領域のPES値よりも64PESもしくは192PESに近い。
【0083】
さらに好ましくは、テスト・データ・トラックのターゲット・サーボ・アドレスのPES値が、64PESと中心としてOD側及びID側における各16PES範囲内にあるもの、もしくは、192PESと中心としてOD側及びID側における各16PES範囲内にあるものを選択する。ここで、16PESはバーストを切り替える隣接位置である64PESと192PESとの間の距離(間隔)の1/8である。バーストを切り替位置により近いデータ・トラックを選択することで、より厳しい条件下でのテストが可能となる。
【0084】
最も好ましくは、ターゲット・サーボ・アドレスのPES値が、64PESもしくは192PESと実質的に一致するデータ・トラックを選択する。しかし、HDDの設計によっては、磁気ディスク上の望む位置に64PESもしくは192PESのデータ・トラックが存在しない場合もある。従って、64PESもしくは192PESの近傍範囲、具体的には、±5PES範囲内にターゲット・サーボ・アドレスが含まれるデータ・トラックを選択することが好ましい。これは、64PESと192PESとの間の距離(間隔)のおよそ1/25である。
【0085】
上述のように、データ・トラック・ピッチとサーボ・トラック・ピッチとが異なる磁気ディスクにおいて、バースト切り替え位置近傍にターゲット・サーボ・アドレスを備えるテスト・トラックにおいてスクイーズ・マージン・テストを行うことによって、実動作においてスクイーズ・ライトが起こる可能性が高い条件下でテストを行うことができる。なお、図6もしくは図7を参照して説明したテスト方法において、上述のデータ・トラックを選択することが好ましいが、これらを別のテスト方法として個別に使用することができる。
【0086】
次に、スクイーズ・ライトされるデータ・トラックとスクイーズ・ライトするデータ・トラックの選択方法について好ましい態様を説明する。図6及び図7を参照して説明したように、二つの隣接データ・トラックを選択してスクイーズ・マージン・テストを行う場合、内周側もしくは外周側の一方のデータ・トラックを先に書き込み、その後に他方のデータ・トラックを書き込む。後からデータを書き込むデータ・トラックにおけるヘッドのイレーズ・バンドが内周側と外周側で異なる場合、広いイレーズ・バンドが先に書き込まれたデータ側にあることが好ましい。
【0087】
つまり、図3の例においては、データ・トラックDtr_k+1の外周側のスクイーズ・バンドが内周側よりも広いことが好ましい。言い換えれば、この関係が満足するように、二つのデータ・トラックを選択することが好ましい。これによって、スクイーズ・ライトの可能性が高い条件でのテストを行うことができる。また、このような条件でスクイーズ・ライトするデータ・トラックを選択した場合、その反対側のデータ・トラック(図3におけるデータ・トラックDtr_k−1)にテスト・データを書き込む必要がない。これによって、テスト時間を短縮することができる。
【0088】
データ・トラックとイレーズ・バンドとの関係について、図11及び12を参照して説明する。図11に示すように、磁気ディスク11の記録面をOD、MD及びIDの各領域に分割する。図12(a)、(b)及び(c)は、ヘッド・スキューとイレーズ・バンドとの関係を模式的に示している。図12(a)はヘッド素子部12がID領域のトラックに位置決めされている状態、図12(b)はヘッド素子部12がMD領域のトラック118に位置決めされている状態、図12(c)はヘッド素子部12がOD領域のトラックに位置決めされている状態を示している。
【0089】
磁気ディスク11へのデータ書き込みにおいて、ライト素子121は、二つの磁極124a、124bの間にライト磁界を生成する。この磁界は、磁極124a、124bの対向面間のみならず、その外側へも広がる。イレーズ・バンド115a、115bは、データを書き込む本来のデータ・トラック116bの外側において、磁極124a、124b間の外側に広がる磁界によってデータ消去される領域である。
【0090】
データ・トラックに対するヘッド素子部12の角度であるヘッド・スキュー角は、図12(a)においてマイナス、図12(b)において0、そして図12(c)においてプラスである。図12(a)−(c)から理解されるように、イレーズ・バンド115a、115bの幅は、ヘッド・スキュー角によって変化する。図12(b)におけるヘッド・スキュー角0のときのイレーズ・バンド115a、115bの幅を基準として、図12(a)に示したID側トラックにおいては、外周側のイレーズ・バンド115bが広く、内周側のイレーズ・バンド115aが狭い。一方、図12(c)に示したODトラックにおいては、内周側のイレーズ・バンド115aが広く、外周側のイレーズ・バンド115bが狭い。
【0091】
典型的なスクイーズ・マージン・テストは、ID領域、MD領域、OD領域からデータ・トラックを選択し、そのデータ・トラックについてテストを行う。従って、スクイーズ・マージン・テストにおいて、例えば、ID領域のデータ・トラックを選択した場合、後にデータを書き込むデータ・トラックとして、データを書き込んだデータ・トラックの内周側のデータ・トラックを選択することが好ましい。図12(a)の例においては、HDD1は、データ・トラック116bにデータを書き込んだ後に、データ・トラック116aにデータを書き込む。
【0092】
一方、OD領域のデータ・トラックを選択した場合、後にデータを書き込むデータ・トラックとして、データを書き込んだデータ・トラックの外周側のデータ・トラックを選択することが好ましい。図12(c)の例においては、HDD1は、データ・トラック116bにデータを書き込んだ後に、データ・トラック116cにデータを書き込む。
【0093】
MD領域のデータ・トラックを選択した場合、そのデータ・トラックの位置によって、後にデータを書き込むデータ・トラックが変化する。つまり、後にデータを書き込むデータ・トラックがデータ・トラック118よりも内周側にある場合、そのデータ・トラックはデータを先に書き込むデータ・トラックよりも内周側隣接トラックであることが好ましい。一方、後にデータを書き込むデータ・トラックがデータ・トラック118よりも外周側にある場合、そのデータ・トラックはデータを先に書き込むデータ・トラックの外周側隣接トラックであることが好ましい。
【0094】
このように、データ・トラックのイレーズ・バンドに従って、後からデータを書きこむデータ・トラックを決定することによって、実動作においてスクイーズ・ライトが起きる可能性が高い条件においてテストを行い、スクイーズ・マージンの不足する磁気ディスク11もしくはHDD1をより確実に特定することができる。また、2つの隣接データ・トラックについてテストを行い、スクイーズ・ライトされるデータ・トラックの片側のみにテスト・データを書き込み、その両側にテスト・データを書き込まないことで、テスト時間の短縮を図ることができる。
【0095】
なお、データ・トラックとヘッド・スキュー角の関係は、HDDの設計によって変化する。例えば、ヘッド・スキュー角が常にマイナスであるように設計すること、あるいは、ヘッド・スキュー0のデータ・トラックを、最内周側近くもしくは最外周側近くとなるように設計することができる。このような場合においても、後からデータを書き込むデータ・トラックのイレーズ・バンドの幅に従って、データ・トラックを選択すればよい。
【0096】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、HDDに好適であるが、他のディスク・ドライブに適用することができる。あるいは、HDDの製造工程におけるテストについて上に説明したが、出荷後のHDDが電源ON時の初期化処理などにおいて、上述のテストを行ってもよい。
【0097】
上述において、PES及びイレーズ・バンドに従ったテスト・トラックの選択方法、さらには選択され隣接データ・トラックのテスト方法を説明した。テスト時間の短縮及びテスト信頼性向上の点からは、これらの条件及び手法を併せて使用することが好ましいが、各手法を独立に使用することももちろん可能である。つまり、PES及び/もしくはイレーズ・バンドに従って選択したデータ・トラックについて従来のテストを行うこと、あるいは、図6、7を参照して説明したテストを行うことができる。あるいは、図6、7を参照して説明したテストを、任意に選択したデータ・トラックについて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態において、HDDの全体構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本実施形態において、磁気ディスクの記録面の記録データの状態を模式的に示す図である。
【図3】本実施形態のスクイーズ・マージン・テストにおいて、隣接データ・トラックを近づける様子を模式的に示している。
【図4】本実施形態において、サーボ・データのデータ・フォーマットを模式的に示す図である。
【図5】本実施形態において、許可範囲とヘッド素子部の位置(読み出されたサーボ・アドレス)の一例を示す図である。
【図6】本実施形態のスクイーズ・マージン・テストにおいて、片方の隣接トラックのみを他方の近づける例を模式的に示す図である。
【図7】本実施形態のスクイーズ・マージン・テストにおいて、両側の隣接トラックを互いに近づける例を模式的に示す図である。
【図8】本実施形態において、データ読み取り時及びデータ書き込み時のライト素子とリード素子の位置を模式的に示す図である。
【図9】本実施形態において、PESとヘッド素子部の実際の物理移動量との関係を模式的に示す図である。
【図10】本実施形態において、PESに従って選択されるテスト・トラックの範囲を模式的に示す図である。
【図11】本実施形態において、データ・トラックに対するヘッド・スキューとデータ・トラック位置との関係を模式的に示す図である。
【図12】本実施形態において、ヘッド・スキューとイレーズ・バンドとの関係を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0099】
10 エンクロージャ、11 磁気ディスク、12 ヘッド素子部
13 アーム・エレクトロニクス、14 スピンドル・モータ
15 ボイス・コイル・モータ、16 アクチュエータ、20 回路基板
21 R/Wチャネル、22 モータ・ドライバ・ユニット、23 HDC/MPU
24 RAM、51 ホスト、111 サーボ領域、112 データ領域
113a−c ゾーン、115a、b イレーズ・バンド
116a−c データ・トラック、118 ヘッド・スキューがゼロのデータ・トラック
121a、b ライト素子、122a、b リード素子、124a、b 磁極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ディスク上の第1データ・トラックにおいて第1データを書き込み、
前記第1データ書き込み後に隣接する第2データ・トラックにおいて第2データを書き込み、
前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取られた第1データから、前記第2データによるその第1データの消去状態を検出し、
通常データ書き込みにおける前記第1データ・トラックのターゲット位置をTn1、前記第2データ・トラックのターゲット位置をTn2、
前記第1データの書き込みにおけるターゲット位置をTt1、前記第2データの書き込みにおけるターゲット位置をTt2、
前記第2データ・トラックへの通常データ書き込みにおける、前記第1データ・トラック側のインヒビット値をIn1、
とする場合に次の関係が満たされる、
|Tn1−Tn2|−|Tt1−Tt2| ≧ Inn1
ディスク・ドライブ装置のテスト方法。
【請求項2】
Tn1=Tt1もしくはTn2=Tt2である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに次の関係が満たされる、
|Tn1−Tn2| > |Tn1−Tt2|
|Tn1−Tn2| > |Tn2−Tt1|
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1データの書き込みにおける、前記第2データ側のインヒビット値をInt2、
前記第2データの書き込みにおける、前記第1データ側のインヒビット値をInt1とする場合において、さらに次に関係が満たされる、
Inn1+Inn2=|Tn1−Tt1|+Int2+|Tn2−Tt2|+Int1
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1データの書き込みにおける、前記第2データ側のインヒビット値をInt2、
前記第2データの書き込みにおける、前記第1データ側のインヒビット値をInt1とする場合において、さらに次に関係が満たされる、
Inn1=|Tn2−Tt2|+Int1
Inn2=|Tn1−Tt1|+Int2
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらに、通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/4以内の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記第2データ・トラックの前記第1データ・トラック側におけるイレーズ・バンド幅がその反対側のイレーズ・バンド幅以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
記録ディスク上の第1データ・トラックにおいて第1データを書き込み、
前記第1データ書き込み後に隣接する第2データ・トラックにおいて第2データを書き込み、
前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取られた第1データから、前記第2データによるその第1データの消去状態を検出し、
通常データ書き込みにおける前記第1データ・トラックのターゲット位置をTn1、前記第2データ・トラックのターゲット位置をTn2、
前記第1データの書き込みにおけるターゲット位置をTt1、前記第2データの書き込みにおけるターゲット位置をTt2、
とする場合に次の関係が満たされる、
|Tn1−Tn2| > |Tn1−Tt2|
|Tn1−Tn2| > |Tn2−Tt1|
ディスク・ドライブ装置のテスト方法。
【請求項9】
さらに、通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/4以内の範囲にあり、
前記第2データ・トラックの前記第1データ・トラック側におけるイレーズ・バンド幅がその反対側のイレーズ・バンド幅以上である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
サーボ・データにおける複数のバーストを使用して生成する位置信号値に基づいてヘッドの位置決めを行い、通常動作において、使用するバーストを位置信号値に従って切り替えるディスク・ドライブ装置のテスト方法であって、
第1データ・トラックの第1データを書き込み、
前記第1データ書き込み後に、前記第1データ・トラックに隣接する第2データ・トラックの第2データを書き込み、前記第1データ・トラックのターゲット位置と前記第2データ・トラックのターゲット位置と間の間隔は、通常データ書き込みにおけるターゲット位置間隔よりも小さく、
前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取られた第1データから、前記第2データによるその第1データの消去状態を検出し、
通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/4以内の範囲にある、方法。
【請求項11】
通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値からその内周側及び外周側のそれぞれの隣接切り替え位置信号値までの1/8以内の範囲にある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
通常動作における前記第1あるいは第2データ・トラックのターゲット位置の位置信号値は、使用するバーストを切り替える切り替え位置信号値近傍にある、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
記録ディスク上で選択された第1データ・トラックにおいて第1データを書き込み、
前記第1データ書き込み後に、隣接する第2データ・トラックにおいて通常動作書き込みよりも前記第1トラックに近づけて第2データを書き込み、その第2データ・トラックの前記第1データ・トラック側におけるイレーズ・バンド幅がその反対側のイレーズ・バンド幅以上であり、
前記第1データ・トラックについての前記第2データ・トラックの反対側隣接トラックにデータを書き込むことなく、前記第2データ書き込みの後に前記第1データを読み取り、その読み取った第1データから前記第2データによるその第1データの消去状態を検出する、
ディスク・ドライブ装置のテスト方法。
【請求項14】
前記第2のデータ・トラックは前記第1のデータ・トラックの内周側にあり、
さらに、記録ディスク上で選択された第3データ・トラックにおいて第3データを書き込み、
前記第3データ書き込み後に、その外周側で隣接する第4データ・トラックにおいて通常動作書き込みよりも前記第3トラックに近づけて第4データを書き込み、その第4データ・トラックの内周側イレーズ・バンド幅がその外周側のイレーズ・バンド幅以上であり、
前記第3データ・トラックの内周側隣接データ・トラックにデータを書き込むことなく、前記第4データ書き込みの後に前記第3データを読み取り、その読み取った第3データから前記第4データによるその第3データの消去状態を検出する、
請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−220204(P2007−220204A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39627(P2006−39627)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】