説明

ディスク型記録媒体保持体

【課題】保持されたディスク型記録媒体に応じた情報を提供することを可能とし、それにより、保持されたディスク型記録媒体の大きな宣伝効果を生じさせる。
【解決手段】CDのハブ孔に嵌合する支え部材51を具備し、支え部材51がCDのハブ孔に嵌合した状態でCDを保持する保持板50を有するCDケース1において、保持板50に、記録された音声情報の再生を可能に構成され、支え部材51に対向する領域に音声情報を再生するためのスイッチ33を具備するシート状の音声情報記録/再生部30を内蔵する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のディスク型記録媒体を保持するディスク型記録媒体保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、音楽や映像は、老若男女を問わず娯楽の1つとして楽しまれており、これらは、CDやDVD等のディスク型記録媒体に記録され、販売されたり貸し出されたりする。このようなディスク型記録媒体は、熱やほこり、磨耗に強く、また、映像を記録するビデオテープよりも小型であるため、音楽や映像を記録する記録媒体として近年主流のものとなっており、プラスチックや紙等からなる収納ケースに収納された状態で、販売されたり貸し出されたりしている。
【0003】
このように、ディスク型記録媒体を収納する収納ケースにおいては、収納ケースが紙から構成されている場合は、映像の一部やミュージシャンの写真等が掲載されていたり、音楽の歌詞が掲載されていたりするものが用いられており、また、収納ケースがプラスチックから構成されている場合は、上述したような写真や歌詞が印刷されたものが収納ケースにディスク型記録媒体とともに収納されているものが用いられている。
【0004】
ところが、このように写真や歌詞が掲載されているだけでは、近年の多様性を求める消費者にとって魅力的なものとは言えず、ディスク型記録媒体の販売量は、そのディスク型記録媒体に記録された音楽や映像そのものの人気に頼るしかなかった。そこで、イメージやムードを高めるために、振動したり触れたりした場合に発光素子が発光する電飾発光機能を有するCDケースが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。このように、ディスク型記録媒体を収納するCDケースに電飾発光機能を付与することにより、ディスク型記録媒体に記録された音楽や映像に興味がない消費者もそのディスク型記録媒体を手にとって見ることとなり、宣伝効果を生じさせることができるようになる。
【特許文献1】特開2003−12081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したようにディスク型記録媒体を収納するCDケースに電飾発光する機能を付与したものにおいては、振動したり触れたりした場合に発光素子が発光するだけであるため、CDケースに収納されたディスク型記録媒体に記録された音楽や映像に関する情報を消費者に訴えることができず、そのため、CDケースが発光して消費者がそのCDケースに興味を起こさせることができるものの、そのCDケースに収納されたディスク型記録媒体には興味を起こさせることができず、大きな宣伝効果を生じさせることができるとは言い難い。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、保持されたディスク型記録媒体に応じた情報を提供することを可能とし、それにより、保持されたディスク型記録媒体の大きな宣伝効果を生じさせることができるディスク型情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
ディスク型記録媒体のハブ孔に嵌合する支え部を具備し、前記支え部が前記ハブ孔に嵌合した状態で前記ディスク型記録媒体を保持する保持板を有するディスク型記録媒体保持体において、
前記保持板は、記録された音声情報の再生を可能に構成され、前記支え部に対向する領域に前記音声情報を再生するための操作部を具備するシート状の音声情報記録/再生手段を有することを特徴とする。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、ディスク型記録媒体が、ハブ孔に支え部が嵌合した状態で保持板に保持されており、ディスク型記録媒体をディスク型記録媒体保持体から離脱する場合、支え部を押しながらディスク型記録媒体を離脱させることになるが、保持板は、記録された音声情報の再生を可能に構成されたシート状の音声情報記録/再生手段を有し、記録された音声情報を再生するための操作部が、支え部に対向する領域に設けられているので、支え部を押しながらディスク型記録媒体を離脱させる際、操作部が操作されることになり、それにより、音声情報記録/再生手段に記録された音声情報が再生される。
【0009】
このように、ディスク型記録媒体をディスク型記録媒体保持体から離脱するための支え部が押された際に、音声情報記録/再生手段に記録された音声情報が再生されるので、音声情報記録/再生手段に、保持されたディスク型記録媒体に応じた情報を記録しておけば、保持されたディスク型記録媒体の大きな宣伝効果を生じさせることができる。
【0010】
また、前記音声情報記録/再生手段は、再生された音声情報を外部に出力する音声情報出力部を有し、
前記保持板は、前記ディスク型記録媒体が当接する当接面を具備し、該当接面のうち前記音声情報出力部に対向する領域に穴部を有する構成とすることも考えられる。
【0011】
この場合、ディスク型記録媒体がディスク型記録媒体保持体に保持された状態では、保持板に設けられた穴部がディスク型記録媒体によって塞がれた状態となっており、ディスク型記録媒体がディスク型記録媒体保持体から離脱すると、保持板に設けられた穴部が表出した状態となり、音声情報出力部から出力された音声情報が穴部を介して外部に伝達されることになり、再生された音声情報が伝達されやすくなる。
【0012】
また、前記保持板を挟み込むように折り畳み可能に連接した2枚の表面板と、
前記保持板及び前記2枚の表面板と連接し、前記2枚の表面板が折り畳まれた場合と見開かれた場合とで異なる折り状態を具備し、該折り状態によって、前記2枚の表面板が折り畳まれた場合に、前記保持板を前記2枚の表面板に挟み込まれる領域に位置させ、前記2枚の表面板が見開かれた場合に、前記保持板をその少なくとも一部が前記2枚の表面板に対向しない領域に移動させる折り片部とを有する構成とすることも考えられる。
【0013】
この場合、2枚の表面板を見開くと、保持板の少なくとも一部が2枚の表面板から飛び出すような状態となり、さらに強いインパクトを与えることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明においては、ディスク記録媒体を保持する保持板が、記録された音声情報の再生を可能に構成された音声情報記録/再生手段を有し、記録された音声情報を再生するための操作部が、ディスク記録媒体のハブ孔に嵌合する支え部に対向する領域に設けられている構成としたため、音声情報記録/再生手段に、保持されたディスク型記録媒体に応じた情報を記録しておくことにより、支え部を押しながらディスク型記録媒体を離脱させようとするだけで、保持されたディスク型記録媒体に応じた情報を提供することが可能となり、保持されたディスク型記録媒体の大きな宣伝効果を生じさせることができる。
【0015】
また、音声情報記録/再生手段が、再生された音声情報を外部に出力する音声情報出力部を有し、保持板が、ディスク型記録媒体が当接する当接面のうち音声情報出力部に対向する領域に穴部を有する構成としたものにおいては、ディスク型記録媒体がディスク型記録媒体保持体から離脱すると、保持板に設けられた穴部が表出した状態となり、音声情報出力部から出力された音声情報が穴部を介して外部に伝達されることになり、再生された音声情報を伝達しやすくすることができる。
【0016】
また、保持板を挟み込むように折り畳み可能に連接した2枚の表面板と、保持板及び2枚の表面板と連接し、2枚の表面板が折り畳まれた場合と見開かれた場合とで異なる折り状態を具備し、この折り状態によって、2枚の表面板が折り畳まれた場合に、保持板を2枚の表面板に挟み込まれる領域に位置させ、2枚の表面板が見開かれた場合に、保持板をその少なくとも一部が2枚の表面板に対向しない領域に移動させる折り片部とを有する構成としたものにおいては、2枚の表面板を見開くと、保持板の少なくとも一部が2枚の表面板から飛び出すような状態となり、さらなる強いインパクトを与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明のディスク記録媒体保持体の実施の一形態となるCDケースを示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示した保持板50内部の構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。また、図2は、図1に示した保持板50の積層状態を示す図である。
【0019】
本形態は図1に示すように、ディスク型記録媒体であるCDを保持する保持板50と、保持板50を挟み込むようにまち部71を介して折り畳み可能に連接した2枚の表面板70a,70bと、保持板50及び表面板70a,70bと連接し、2枚の表面板70a,70bの折り畳み状態に応じて保持板50の表面板70a,70bに対する相対位置を変化させる折り片部60とから構成されている。
【0020】
表面板70a,70bは、まち部71を介して折り畳み可能に連接しており、まち部71にて折り畳まれた場合、保持板50及び折り片部60を挟み込む。
【0021】
折り片部60は、6つの片部61a〜61fが折り部62a〜62fを介して折り畳み可能に連接して構成されている。片部61aは、表面板70aの折り畳み状態内側の面に接着剤(不図示)等によって接着されており、それにより、表面板70aと折り片部60とが連接している。片部61bは、折り部62aを介して片部61aと連接し、また、折り部62bを介して片部61cと連接し、また、折り部62eを介して片部61eと連接している。片部61cは、折り部62cを介して片部61dと連接し、また、折り部62fを介して片部61fと連接している。片部61eは、折り部62dを介して片部61fと連接している。また、片部61fが、保持板50を構成する表面シート10aと一体構造となっていることにより、保持板50と折り片部60とが連接している。また、片部61dは、表面板70bの折り畳み状態内側の面に接着剤(不図示)等によって接着されており、それにより、表面板70bと折り片部60とが連接している。
【0022】
保持板50は図1及び図2に示すように、記録された音声情報の再生が可能なシート状の音声情報記録/再生部30が、紙基材等の柔軟性を有し、かつ薄型の基材からなる2枚の支持シート20a,20bに挟み込まれ、また、音声情報記録/再生部30を挟み込んだ支持シート20a,20bが、その外形が支持シート20a,20bと同一形状であって、紙基材等の柔軟性を有し、かつ薄型の基材からなる2枚の表面シート10a,10bに挟み込まれて構成されている。なお、表面シート10a,10b、支持シート20a,20b及び音声情報記録/再生部30は、支持シート20a,20bの表裏に施された粘着加工によって互いに接着されている。この粘着加工は、支持シート20a,20bの表裏に両面テープを貼付することや、ホットメルト型接着剤を塗布すること等によって行うことが考えられる。
【0023】
音声情報記録/再生部30は、音声情報が記録されるICチップを具備するIC基板32と、IC基板32に記録された音声情報を再生する際に操作される操作部である薄型のスイッチ33と、ピエゾ素子41、振動板42及びフィルムシート(不図示)からシート状に構成され、再生された音声情報を出力するための音声情報出力部40と、IC基板32に接続され、IC基板32に電源を供給するための薄型のコイン電池31とから構成されている。なお、IC基板32と、コイン電池31及びピエゾ素子41とはそれぞれ、はんだ溶接されたリード線を介して互いに電気的に接続されている。また、スイッチ33は、フィルム基板35上に搭載され、このフィルム基板35上に形成された配線パターン34a,34bとIC基板32とについても、はんだ溶接されたリード線を介して互いに電気的に接続されている。IC基板32内のICチップは、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力する制御を行うものであって、コイン電池31によって電源が供給されるポート端子や、グランド電位に接続されたポート端子や、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40に出力するためのポート端子や、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子等を有し、このうち、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子がグランド電位となった場合、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力する。フィルム基板35上に形成された配線パターン34a,34bは、配線パターン34aの一端が、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子に接続され、また、配線パターン34bの一端が、IC基板32を介してコイン電池31のグランド電位に接続されている。
【0024】
表面シート10aは、CDを保持した場合にCDが当接する当接面を構成するものであって、スイッチ33と対向する領域に、保持するCDのハブ孔に嵌合する支え部材51が設けられている。この支え部材51は、紙材やウレタン系、プラスチック、アクリル、布等、CDのハブ孔に嵌合することによりCDを保持可能とするものから構成されていればよいが、支え部材51を介してスイッチ33が押下される程度の柔軟性を有するものである必要がある。また、音声情報出力部40と対向する領域に、音声情報出力部40から出力された音声を外部に出力するための微細な穴が羅列されてなる音声出力領域11が形成されている。このように微細な穴が羅列されてなる音声出力領域11が形成されているため、音声情報出力部40がその表裏を表面シート10a,10bで覆われた状態であっても、音声情報出力部40から出力される音量の低下を補うことができる。なお、音声出力領域11においては、例えば、レーザ加工によって、0.1mm径の穴が縦横2.0mm間隔で形成されている。そのため、抜き加工や針等によって穴を形成する場合と比べてバリが発生せず、その後そのバリによって穴が塞がれてしまうことはない。
【0025】
支持シート20aにおいては、音声情報記録/再生部30と積層された場合に、音声情報出力部40、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35に対向する領域に穴部21が形成されている。
【0026】
支持シート20bにおいては、音声情報記録/再生部30と積層された場合に、音声情報出力部40に対向する領域に穴部22が形成され、また、コイン電池31に対向する領域に穴部23が形成され、また、IC基板32に対向する領域に穴部24が形成されている。
【0027】
このように、支持シート20aの、音声情報出力部40、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35と対向する領域に穴部21が形成され、また、支持シート20bの、音声情報出力部40、コイン電池31及びIC基板32と対向する領域に穴22〜24がそれぞれ形成されることにより、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及び音声情報出力部40が設けられている領域と他の領域とで厚さの差が小さくなり、それにより、音声情報記録/再生部30を内蔵しながらも表面シート10a,10bの平坦性が向上する。さらには、音声情報記録/再生部30の最も厚い部分の厚さに対して、支持シート20a,20bの厚さを合計した厚さを同等、若しくは厚くすることにより、表面シート10a,10bをほぼ平坦な状態とすることができる。また、支持シート20a,20bを表面シート10a,10bに挟み込むことにより、保持板50の剛性が高めることができる。
【0028】
図3は、図1及び図2に示した支持シート20a,20bと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図であり、(a)は支持シート20aと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図、(b)は支持シート20bと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図である。
【0029】
図3(a)に示すように、支持シート20aの音声情報出力部40、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35と対向する領域に形成された穴部21は、これら音声情報出力部40、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35を含む大きさとなっている。
【0030】
また、図3(b)に示すように、支持シート20bの音声情報出力部40と対向する領域に形成された穴部22は音声情報出力部40よりも小さく、また、コイン電池31と対向する領域に形成された穴部23はコイン電池31よりも大きく、また、IC基板32と対向する領域に形成された穴部24はIC基板32よりも大きくなっている。
【0031】
以下に、上記のように構成されたCDケース1の使用方法について説明する。
【0032】
図4は、図1〜図3に示したCDケース1の使用方法を説明するための図であり、(a)は2枚の表面板70a,70bを折り畳んだ状態を示す外観図、(b)は2枚の表面板70a,70bを見開いた状態を示す外観図である。
【0033】
CD2がCDケース1に収納された状態においては、CD2のハブ孔2aに保持板50の支え部材51が嵌合し、保持板50にCDが当接している。そして、図4(a)に示すように、2枚の表面板70a,70bがまち部71にて折り畳まれた状態となって販売されたり、貸し出されたりしている。
【0034】
2枚の表面板70a,70bがまち部71にて折り畳まれた状態においては、折り部62aが、片部61aと片部61bとのなす角度が約0度となるように谷折りとなり、また、折り部62bが、片部61bと片部61cとのなす角度が約0度となるように山折りとなり、また、折り部62eが、片部61bと片部61eとのなす角度が約0度となるように山折りとなり、また、折り部62dが、片部61eと片部61fとのなす角度が約0度となるように谷折りとなり、また、折り部62fが、片部61cと片部61fとのなす角度が約0度となるように山折りとなり、また、折り部62cが、片部61cと片部61dとのなす角度が約0度となるように谷折りとなる。すると、この折り片部60の折り状態によって、片部62fに連接した保持板50は、2枚の表面板70a,70bにその全体が挟み込まれる位置となり、保持板50に保持されたCD2は、2枚の表面板70a,70bに挟み込まれて外部から保護されることとなる。この際、折り片部60においては、折り部62c〜62fにて折り畳まれることにより4枚の片部61b,61d,61e,61fが重なり合う領域を有することになるが、この4枚の片部61b,61d,61e,61fに対向しない領域にCD2が保持された保持板50が存在することになるため、2枚の表面板70a,70bをまち部71にて折り畳んだ場合に、CDケース1全体の厚さの均一化が図られることになる。
【0035】
CDケース1に収納されたCD2を取り出すために2枚の表面板70a,70bを見開くと、図4(b)に示すように、片部61aと片部61bとのなす角度、片部61bと片部61cとのなす角度、片部61bと片部61eとのなす角度、片部61eと片部61fとのなす角度、片部61cと片部61fとのなす角度、及び片部61cと片部61dとのなす角度がそれぞれ180度に近づくように広がっていき、折り片部60の折り状態が変化していく。すると、片部62fに連接した保持板50は、その一部が2枚の表面板70a,70bに対向しない領域に移動し、表面板70bから飛び出したような状態となる。
【0036】
このように2枚の表面板70a,70bを見開き、保持板50が表面板70bから飛び出した状態において、保持板50に保持されているCD2を保持板50から離脱する。
【0037】
ここで、保持板50に内蔵された音声情報記録/再生部30のスイッチ33の操作による音声情報記録/再生部30の動作について説明する。
【0038】
図5は、図1に示したスイッチ33の操作による音声情報記録/再生部30の動作を説明するための図であり、(a)はフィルム基板35上の詳細な構成を示す図、(b)はスイッチ33が押下されていない状態におけるスイッチ33及びフィルム基板35の断面図、(c)はスイッチ33が押下された状態におけるスイッチ33及びフィルム基板35の断面図、(d)はスイッチ33が押下されていない状態における等価回路図、(e)はスイッチ33が押下された状態における等価回路図である。
【0039】
図5(a)に示すように、フィルム基板35には、リード線を介してIC基板32に接続された2つの配線パターン34a,34bが形成されている。この2つの配線パターン34a,34bはそれぞれ櫛状となっており、櫛の歯の部分が互い違いに対向するように形成されている。配線パターン34a,34bのうち一方の配線パターン34aは、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子に接続され、他方の配線パターン34bは、IC基板32を介してコイン電池31のグランド端子に接続されている。
【0040】
スイッチ33が押下されていない状態においては、図5(b)に示すように、スイッチ33が2つの配線パターン34a,34bに接しておらず、それにより、図5(d)に示すように、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、配線パターン34aに接続され、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子はオープン状態となっている。そのため、この状態では、メモリ領域に記録された音声情報は音声情報出力部40を介して出力されない。
【0041】
スイッチ33が押下されると、図5(c)に示すように、スイッチ33がフィルム基板35の表面に沿うように変形し、それにより、スイッチ33の裏面に塗布された導電剤33aを介して2つの配線パターン34a,34bが電気的に接続された状態となる。すると、図5(e)に示すように、配線パターン34bがIC基板32を介してコイン電池31のグランド端子に接続されているため、配線パターン34aと接続されたポート端子、すなわち、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子がコイン電池31による電源31aのグランド電位となり、メモリ領域に記録された音声情報が音声情報出力部40を介して出力されることになる。
【0042】
ここで、図1に示したCDケース1において、保持板50に保持されたCD2を保持板50から離脱させる際の作用について説明する。
【0043】
図6は、図1に示したCDケース1からCD2を離脱する際の状態を示す図である。
【0044】
図1に示したCDケース1においては、保持板50に保持されたCD2を保持板50から離脱させる場合、図6に示すように、CD2のハブ孔2aに嵌合している支え部材51を指で押さえながらCD2を離脱させることになる。この際、支え部材51に対向する領域には、上述したように音声情報記録/再生部30のスイッチ33が配置されているため、保持板50に保持されたCD2を保持板50から離脱させるために支え部材51を指で押さえると、支え部材51を介してスイッチ33が押下され、それにより、スイッチ33が図5(c)に示したような状態となり、メモリ領域に記録された音声情報が音声情報出力部40を介して出力されることになる。
【0045】
このように本形態においては、CD2を保持する保持板50に、記録された音声情報の再生を可能に構成された音声情報記録/再生部30が内蔵され、記録された音声情報を再生するためのスイッチ33が、CD2のハブ孔2aに嵌合する支え部材51に対向する領域に設けられているため、音声情報記録/再生部30のIC基板32のメモリ領域に、保持されたCD2に応じた情報を記録しておくことにより、支え部材51を押しながらCD2を離脱させようとするだけで、保持されたCD2に応じた情報を提供することが可能となる。
【0046】
また、音声情報記録/再生部30が保持板50に内蔵されることにより、表面板70a,70bや折り片部60を構成する片部61a〜61fに、保持板50の音声出力領域11のような微細な穴を形成する必要がなく、それにより、表面板70a,70bや折り片部60を構成する片部61a〜61fに情報を印字する場合に印字しにくくなることがない。保持板50は、CD2が当接するものであるため、文字情報を印字する可能性が低く、そのため、微細な穴が形成された音声出力領域11を設けても情報伝達における影響は小さい。
【0047】
また、音声情報記録/再生部30が保持板50に内蔵されることにより、表面板70a,70bに音声情報記録/再生部30を内蔵する必要がなく、そのため、表面板70a,70bをそれぞれ例えば袋状に構成することにより、音声情報記録/再生部30を内蔵しながらも、表面板70a,70bに歌詞カード等を挿入可能な構成とすることもできる。
【0048】
なお、本形態においては、保持板50のスイッチ33に対向する領域に支え部材51が設けられているが、保持板50を構成する表面シート10aの支え部材51が設けられた領域に、支え部材51よりも小さな径を有する穴部を設けることも考えられる。そのような構成とすれば、保持板50に保持されたCD2を保持板50から離脱させるために支え部材51を指で押さえた場合、その圧力がスイッチ33に伝達されやすくなり、支え部材51を弱い力で押さえた場合であっても、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報出力部40を介して出力することができるようになる。なお、保持板50の表面シート10aに設ける穴部の径を支え部材51よりも小さなものとしたのは、支え部材51を保持板50に接着剤等によって固定するために支え部材51の一部を保持板50に当接させる必要があるからである。
【0049】
また、ピエゾ素子41及び振動板42からなる音声情報出力部40の形状を大きくすることにより、メモリ領域に記録された音声情報の出力音量を大きくすることができるが、音声情報出力部40の形状を大きくすると、支持シート20a,20bにそれぞれ形成される穴部21,22の大きさも大きくする必要が生じ、それにより、保持板50の剛性が低下してしまうため、音声情報出力部40の形状は、支持シート20a,20bによる保持板50の剛性を考慮して設計することが好ましい。
【0050】
また、本形態においては、CD2を保持する保持板50が、2枚の表面板70a,70bに挟み込まれ、表面板70a,70bに連接した折り片部60の折り状態によって、2枚の表面板70a,70bが折り畳まれた場合と見開かれた場合とで2枚の表面板70a,70bに対する相対位置が変化する構成を有するCDケース1を例に挙げて説明したが、本発明は、このような構成を有するものに限らず、CD2のハブ孔2aに嵌合する支え部材51を具備し、支え部材51がCD2のハブ孔2aに嵌合した状態でCD2を保持するものであれば、ただ単に見開き型のCDケースや、保持板のみのCD保持体等であってもよい。
【0051】
また、保持板50に保持されるディスク型記録媒体としては、CD2に限らずDVD等、ハブ孔を有するものであれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のディスク記録媒体保持体の実施の一形態となるCDケースを示す図であり、(a)は外観図、(b)は(a)に示した保持板内部の構成を示す図、(c)は(b)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示した保持板の積層状態を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した支持シートと音声情報記録/再生部とを積層した状態を示す図である。
【図4】図1〜図3に示したCDケースの使用方法を説明するための図であり、(a)は2枚の表面板を折り畳んだ状態を示す外観図、(b)は2枚の表面板を見開いた状態を示す外観図である。
【図5】図1に示したスイッチの操作による音声情報記録/再生部の動作を説明するための図であり、(a)はフィルム基板上の詳細な構成を示す図、(b)はスイッチが押下されていない状態におけるスイッチ及びフィルム基板の断面図、(c)はスイッチが押下された状態におけるスイッチ及びフィルム基板の断面図、(d)はスイッチが押下されていない状態における等価回路図、(e)はスイッチが押下された状態における等価回路図である。
【図6】図1に示したCDケースからCDを離脱する際の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 CDケース
2 CD
2a ハブ孔
10a,10b 表面シート
11 音声出力領域
20a,20b 支持シート
21〜24 穴部
30 音声情報記録/再生部
31 コイン電池
31a 電源
32 IC基板
33 スイッチ
33a 導電剤
34a,34b 配線パターン
35 フィルム基板
40 音声情報出力部
41 ピエゾ素子
42 振動板
50 保持板
51 支え部材
60 折り片部
61a〜61f 片部
62a〜62f 折り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク型記録媒体のハブ孔に嵌合する支え部を具備し、前記支え部が前記ハブ孔に嵌合した状態で前記ディスク型記録媒体を保持する保持板を有するディスク型記録媒体保持体において、
前記保持板は、記録された音声情報の再生を可能に構成され、前記支え部に対向する領域に前記音声情報を再生するための操作部を具備するシート状の音声情報記録/再生手段を有することを特徴とするディスク型記録媒体保持体。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク型記録媒体保持体において、
前記音声情報記録/再生手段は、再生された音声情報を外部に出力する音声情報出力部を有し、
前記保持板は、前記ディスク型記録媒体が当接する当接面を具備し、該当接面のうち前記音声情報出力部に対向する領域に穴部を有することを特徴とするディスク型記録媒体保持体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のディスク型記録媒体保持体において、
前記保持板を挟み込むように折り畳み可能に連接した2枚の表面板と、
前記保持板及び前記2枚の表面板と連接し、前記2枚の表面板が折り畳まれた場合と見開かれた場合とで異なる折り状態を具備し、該折り状態によって、前記2枚の表面板が折り畳まれた場合に、前記保持板を前記2枚の表面板に挟み込まれる領域に位置させ、前記2枚の表面板が見開かれた場合に、前記保持板をその少なくとも一部が前記2枚の表面板に対向しない領域に移動させる折り片部とを有することを特徴とするディスク型記録媒体保持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−132401(P2009−132401A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308587(P2007−308587)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】