説明

ディスク強制排出機能付ディスクプレーヤ

【課題】ディスクプレーヤの作動中にディスク駆動機構が各種の原因により異常が発生し、利用者がイジェクト釦を押下してもディスクがイジェクトされなくなった時、簡単な操作によって確実にディスクのイジェクトを行うことができるようにする。
【解決手段】ディスクプレーヤのディスクイジェクト作動を制御するイジェクト制御部34と、内部のデータをリセットするデータリセット部とを備えた駆動機構制御部31と、ディスクプレーヤの総合制御を行うと共に、駆動機構制御部に対して作動指示を出力する主制御部1とを備え、主制御部では、利用者が所定時間内に所定回数イジェクト釦を連打する等の所定の操作を行ったことを検出した時、機構駆動制御手段に対して内部のデータをリセットする指示を出力した後、ディスクを強制的にイジェクトする指示出力を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVDのディスクを再生して出力するディスクプレーヤに関し、特にディスクプレーヤに挿入したディスクが、イジェクト釦を押下しても何らかの原因でイジェクトされないとき、安全に且つ確実にイジェクトすることができるようにしたディスク強制排出機能付ディスクプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
CDのディスクを再生して出力するCDプレーヤについては、各種形式のオーディオデータを記録したCDが普及することにより、それらの各種CDを再生して出力するCDプレーヤが普及している。また、DVDのディスクを再生して出力するDVDプレーヤについては、各種の記録形式の映像及び音声を記録したDVDディスクについて、それらを再生して出力するDVDプレーヤが広く普及している。また、CDとDVDの両方を再生するディスクプレーヤも普及している。以降これらのCDプレーヤ及びDVDプレーヤ等の、各種ディスクを再生して出力するプレーヤを総称して「ディスクプレーヤ」と呼ぶ。
【0003】
上記のようなディスクプレーヤは多くの技術開発によって急速に進歩して高性能化し、再生性能、操作性等が向上している。しかしながら、現在でも各種の原因によって、プレーヤに挿入したディスクが、プレーヤが備えているディスクイジェクト釦を押しても排出されないことが多々生じている。
【0004】
即ち、現在広く使用されているディスクプレーヤは、例えば図5(a)に車載用のディスクプレーヤの外観を示すように、機体のほぼ中央に設けたディスク駆動部に対して、ディスク挿入・排出口から図示するようにディスクを挿入して、これを回転駆動し、ピックアップによってディスクの所定の位置のデータを読み取って再生し出力する。このディスクを取り出すには、機体に備えたイジェクト釦を押下し、ディスクの回転の停止後にディスクを押し出して排出している。
【0005】
このディスクプレーヤにおいて、ディスクが挿入されているか、或いは排出されて内部に存在しているかは、図中発光・受光素子A〜Cとして示しているような各位置に図5(b)(c)に示すような発光素子と受光素子を1対ずつ配置している。それにより同図(b)に示すように、発光素子からの光を受けている受光素子の信号を検出し、受光している時には発光素子と受光素子との間にディスクが存在しないものと認識する。それに対して同図(c)に示すように、発光素子と受光素子の間にディスクが挿入される時には、受光素子は発光素子からの光を受光しないため、発光素子と受光素子との間にディスクが存在するものと認識する。
【0006】
上記のような発光素子と受光素子によって、両者間にディスクが存在するか否かを検出する時、例えば図6に示すように、ディスクの種類によってはディスクに光透過部分を備えたものも存在する。同図(a)にはそのようなディスクの例としてクリーニングディスクの一例を示しており、ディスクの表面を略視した図を示している。
【0007】
その一部に同図(b)に拡大して示すように、ディスクの一部に透明部分が存在するものがある。ディスクプレーヤにこのディスクを挿入した時、この透明部分に発光・受光素子が位置する際には、受光素子において発光素子の光をこの透明部分を透過した光を受光するため、少なくともこの部分にはディスクが挿入されていないものと認識する。
【0008】
そのため、例えば図6(c)に示すように、ディスクがほとんど排出されていることにより、発光・受光素子AとBでディスクの存在を検出しても、発光・受光素子Cではディスクの存在を検出しない状態と同様の状態となる。即ち、同図(d)に示すようにディスクが挿入されているにもかかわらず、発光・受光素子Cが前記のようにディスクの存在を認識しないことにより、現在は同図(c)のようにディスクを排出している状態であると誤検出する。
【0009】
そのため、図6(d)のような状態でディスクのイジェクト釦を押下しても、ディスクプレーヤはディスクを排出しているにもかかわらずイジェクト指示を行っているものと判断して、イジェクト動作を行うことがない。そのため利用者はイジェクト釦をしばらく押しているような長押しを行う等、強制的にディスクの排除を指示する操作を繰り返すこととなる。
【0010】
上記のように、ディスクがプレーヤ内に挿入されているにもかかわらず、イジェクト釦を押下してもディスクが排出されない状態は、後述する図7において異常発生の主な原因として示しているように、
(a)静電ノイズ等の外乱の影響により機構駆動制御部が異常状態になる
(b)潜在的なソフト不具合により、フリーズ状態になる
(c)機構内に西日等の光線の差し込みによりディスク挿入の非検出
(d)センサ破損、ディスク塗装剥がれ等のディスク透明部によりディスク非検出
等、種々の原因が存在しうる。
【0011】
なお、イジェクト操作釦が長時間押圧されるなどして、通常のイジェクト操作と異なる搬出操作が行われたときに、搬送モータを間欠的に作動させ、ディスクや異物などが、筐体の挿入口から徐々にゆっくり排出させることにより、ディスクや異物が挿入口から落下する前に、手で保持して取り去ることができるようにした技術は特許文献1に開示されている。また、スロットローディング式のディスク装置において、電源オン直後に一度イジェクト動作を行って初期化動作をし、ディスク装置をスムースに起動することができるようにした技術は特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−293584号公報
【特許文献2】特開2006−323903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記のようにディスクプレーヤにおいては各種の原因により、ディスクが挿入された状態でイジェクト釦を何回押下してもディスクが排出されない状態を生じる。図7にはこのような状態を、ディスクプレーヤにおいて主たる制御部であって、プレーヤ全体の制御を行っている主制御部と、その主制御部の指示の元にディスクをプレーヤに挿入し、また排出すると共に、ディスクを回転する各種機構を制御する機構駆動制御部についてのタイムチャートで示している。
【0014】
図7に示す従来のディスクプレーヤにおいては、利用者によるディスクプレーヤのイジェクト釦を押下することによる主制御部に対するディスクのイジェクト指示は、主制御部が機構駆動制御部に対してディスクを排出する指示を行い、機構駆動制御部ではその指示に従ってディスクを排出しようとする。
【0015】
しかしながら、図示するように、また前記のような各種の原因によって、イジェクト指示の前にディスクプレーヤに異常が発生しており、ディスク駆動機構の制御部がディスクイジェクトの作動制御を行わず、ディスクはイジェクトされない状態が発生する。
【0016】
この時利用者はイジェクト指示に対してディスクプレーヤがその通りに作動しないことに気が付き、例えばイジェクト釦を3秒、或いは5秒と長押し、或いは何回もイジェクト釦を押下する操作を行うことが多い。主制御部ではイジェクト釦からのこのような信号により利用者はディスクの強制的な排出を要求する操作を行っていることを検出して、機構駆動制御部に対してディスクイジェクトの作動を行う指示を出力するものの、機構駆動制御部においては前記異常発生により、ディスク駆動機構は作動せず、ディスクはイジェクトされることが無い。
【0017】
そのため利用者は主電源スイッチを切り、全てやり直そうとするものの、ディスクプレーヤの多くのものは主電源スイッチを切ってもリジューム機能により電源を切る直前の各種の作動状態を記憶しており、その後電源を入れても全ての作動を元に戻して回復させるため、ディスクがイジェクトされない状態がそのまま継続する。
【0018】
更にその後の対策として、多くのディスクプレーヤが備えている、特別のときに操作するリセット釦を道具等で押下して初期化することもある。しかしながらこのような初期化を行うと、利用者がそれまで設定した各種のプレーヤ作動モード、利用者専用のデータ等も全て消えてしまい、再びそのような設定を行わなければならず、したがってこの操作をたびたび行うことはできない。
【0019】
即ち、従来のディスクプレーヤにおいては、例えば図8に示すような機能ブロックから構成されているため、前記のような問題を生じる。即ち、図8に示す従来のディスクプレーヤにおいては、ディスクプレーヤ全体の制御を行う主制御部51と、この主制御部51の指示によってディスク81に記録されたオーディオや画像のデータを処理して出力するオーディオ画像制御部61と、種々のモータによって駆動される各種機構を、前記主制御部51の指示によって作動制御する機構駆動制御部71とを主として備えている例を示している。
【0020】
図示する主制御部51は、ディスクプレーヤ全体を総合的に制御するディスクプレーヤ総合制御部52を備え、このディスクプレーヤ総合制御部52からオーディオ画像制御部61に対して指示を行うオーディオ画像制御指示部54と、同様にディスクプレーヤ総合制御部52から機構駆動制御部71に対して指示を行う機構駆動制御指示部55とを備えた例を示している。
【0021】
オーディオ画像制御部61においては、ディスク回転モータ83で回転するディスク81から、ピックアップ84によって読み込んだオーディオデータ及び画像データに対して所望の処理を行い、増幅器67からスピーカ68にオーディオを出力し、モニタ69に画像を出力している。そのため、オーディオ画像制御部61では、回転するディスク81から所望のデータを読み込むピックアップ84の制御を行うピックアップ作動制御部62を備えている。
【0022】
更にこのオーディオ画像制御部61には、ディスクからRF信号を取り込むRF信号取込部63と、取り込んだRF信号からオーディオデータや画像データを再生するデータ再生部64と、オーディオデータや画像データに対して所望の波形成形等を行う波形成形部65と、モニタ69に出力するための画像処理を行う画像処理部66とを備えた例を示している。
【0023】
一方機構駆動制御部71には、ディスクを挿入し排出する制御を行うディスク挿排駆動制御部72を備え、その中のディスク挿入制御部73ではディスク挿入口から挿入されるディスクをディスク回転モータ83で回転する回転テーブル82上に載置する作動を行う。また、挿入されたディスクを主として利用者がディスクのイジェクト釦89を押下したことを検出して作動するディスクイジェクト制御部74を備えている。
【0024】
これらの制御に際しては、発光素子86と受光素子85からなる発光・受光素子の信号を取り込み、ディスクの挿入状態、排出状態を前記図5に示すように検出し、制御を行っている。また、この機構駆動制御部71にはディスク81を回転駆動するディスク回転モータ83の駆動制御を行うディスク回転制御部75を備えている。
【0025】
主制御部51においては、前記のようにディスクプレーヤ総合制御部52を備え、所定のソフトウェアによってディスクプレーヤ全体の総合的な制御を行うものであるが、その中に本発明の課題と関連する部分として、総合制御部内データリセット部53を備えている。
【0026】
ここでは前記図7で述べたように、ディスクプレーヤの何らかの異常により挿入しているディスクがディスクのイジェクト釦を押しても排出することができなくなった時、ディスクプレーヤのリセット釦を押すと、このディスクプレーヤ総合制御部52における総合制御部内データリセット部53が作動して、ディスクプレーヤ全体のリセット作動を行い、初期化することとなる。
【0027】
図8に示す主制御部51の機構駆動制御指示部55においては、前記のように機構駆動制御部71に対して作動指示を行うものであるが、特にディスクの挿入及び排出に関して、発光素子86と受光素子85の信号を取り込むと共に、ディスク排出レバー87を駆動するディスク排出モータ88の作動を検出する。それにより、ディスク挿入検出部56ではディスクの挿入を検出し、ディスクイジェクト検出部57ではディスクの排出を検出する。
【0028】
また、イジェクト釦押下検出部59では機体に備えたイジェクト釦89に対する利用者のイジェクト指示を検出し、ディスクイジェクト指示部58では機構駆動制御部71のディスク挿排駆動制御部72におけるディスクイジェクト制御部84に対して、ディスクを排出する指示を行う。
【0029】
従来のディスクプレーヤでは、前記のような機能ブロックからなることにより、ディスクイジェクト釦89を利用者が押下したとき、ディスクプレーヤ総合制御部52の制御の元で作動する機構駆動制御指示部55では、通常はディスクイジェクト指示部58が前記のように機構駆動制御部71に対してディスクのイジェクト作動指示を行って、所望の作動を行う。
【0030】
それに対して前記各種の原因でイジェクト釦を押下してもディスクの排出が行われない時には、後はいくらイジェクト釦を押しても、ディスクプレーヤ総合制御部52が前記指示を行い、前記作動を繰り返すだけで、ディスクの排出を行うことはできない。また、ディスクプレーヤのリセット釦を押下した時には、前記のようにディスクプレーヤ総合制御部の各種データをリセットするための総合制御部内データリセット部53によって、ディスクプレーヤの全てのデータを初期化してしまう、という問題がある。
【0031】
したがって本発明は、ディスクプレーヤの作動中にディスク駆動機構が各種の原因により異常が発生し、利用者がイジェクト釦を押下してもディスクがイジェクトされなくなった時、簡単な操作によって確実にディスクのイジェクトを行うことができるようにしたディスク強制排出機能付ディスクプレーヤを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明に係るディスク強制排出機能付ディスクプレーヤは、前記課題を解決するため、ディスクプレーヤのディスクイジェクト作動を制御するイジェクト制御手段と、内部のデータをリセットするデータリセット手段とを備えた駆動機構制御手段と、ディスクプレーヤの総合制御を行うと共に、少なくとも前記駆動機構制御手段に対して作動指示を出力する主制御手段とを備え、前記主制御手段では、利用者によるディスクのイジェクト釦に対する所定の操作を行ったことを検出した時、機構駆動制御手段に対して内部のデータをリセットするデータリセット指示を出力することを特徴とする。
【0033】
また、本発明に係る他のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤは、前記ディスク強制排出機能付ディスクプレーヤにおいて、前記利用者によるディスクのイジェクト釦に対する所定の操作が、所定回数連続してイジェクト釦を押下する操作であることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係る他のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤは、前記ディスク強制排出機能付ディスクプレーヤにおいて、前記利用者によるディスクのイジェクト釦に対する所定の操作が、所定時間内に所定回数イジェクト釦を押下する操作であることを特徴とする。
【0035】
また、本発明に係る他のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤは、前記ディスク強制排出機能付ディスクプレーヤにおいて、前記データリセット指示により、前記機構駆動制御手段のCPUを初期化することを特徴とする。
【0036】
また、本発明に係る他のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤは、前記ディスク強制排出機能付ディスクプレーヤにおいて、前記主制御手段では、前記データリセット指示の出力に続いて、機構駆動制御手段に対してディスクを強制的にイジェクトする作動の指示を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明は上記のように構成したので、ディスクプレーヤの作動中にディスク駆動機構が各種の原因により異常が発生し、利用者がイジェクト釦を押下してもディスクがイジェクトされなくなった時、簡単な操作によって確実にディスクのイジェクトを行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例の作動フロー図である。
【図3】本発明においてイジェクトキーを押下する時の作動を示す図である。
【図4】本発明における主制御部と機構駆動制御部との関連を示すタイムチャートである。
【図5】ディスクプレーヤにおいてディスクの挿入・排出を検出する発光・受光素子の配置及び作動を示す説明図である。
【図6】ディスクプレーヤの異常発生の1因となるディスクの一部に透明部分があるディスクと、そのディスク挿入時の問題を示す図である。
【図7】従来のディスクプレーヤにおける主制御部と機構駆動制御部について、異常発生時の作動を示すタイムチャートである。
【図8】従来のディスクプレーヤにおける、本発明の課題に関連する部分を中心に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0039】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明の機能ブロック図であり、本発明を各種の態様で実施することができるようにした機能ブロック図を示している。したがって本発明においては、これらの機能部の内任意のものを選択して、各種の態様で実施することができる。なお同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0040】
図1における機能ブロック図は、前記図8に示す従来例の機能ブロック図と対応付けて示しており、特に前記従来の例とは主制御部1における構駆動制御指示部5に、ディスク強制イジェクト制御部8を備え、後述する各種の作動によって機構駆動制御部31に対して、機構駆動制御部リセット指示部15、及び機構駆動制御部強制イジェクト作動指示部16から指示信号を出力している点、また、機構駆動制御部31には前記指示に対応するため、ディスクイジェクト制御部34にディスク強制イジェクト駆動部35を備えると共に、機構駆動制御部内データリセット部37を備えた点で異なっている機能ブロック図の例を示している。
【0041】
したがってその他の部分は前記図8に示す従来例の機能ブロック図と同様であり、ディスクプレーヤ全体の制御を行う主制御部1と、この主制御部1の指示によってディスク41に記録されたオーディオや画像のデータを処理して出力するオーディオ画像制御部21と、種々のモータによって駆動される各種機構を、前記主制御部1の指示によって作動制御する機構駆動制御部31とを主として備えている。
【0042】
主制御部1は、ディスクプレーヤ全体を総合的に制御するディスクプレーヤ総合制御部2を備え、このディスクプレーヤ総合制御部2からオーディオ画像制御部21に対して作動指示を行うオーディオ画像制御指示部4と、同様にディスクプレーヤ総合制御部2から機構駆動制御部31に対して指示を行う機構駆動制御指示部5とを備えている。
【0043】
オーディオ画像制御部21においては、ディスク回転モータ43で回転するディスク41からピックアップ44によって読み込んだオーディオデータ及び画像データに対して所望の処理を行い、増幅器27からスピーカ28にオーディオを出力し、モニタ29に画像を出力している。そのため、オーディオ画像制御部21では回転するディスク41から所望のデータを読み込むピックアップ44の制御を行うピックアップ作動制御部22を備えている。
【0044】
このオーディオ画像制御部21には、ディスクからRF信号を取り込むRF信号取込部23と、取り込んだRF信号からオーディオデータや画像データを再生するデータ再生部24と、オーディオデータや画像データに対して所望の波形成形等を行う波形成形部25と、モニタ29に出力するための画像処理を行う画像処理部26とを備えていることは前記図8の従来例と同様である。
【0045】
一方機構駆動制御部31には、ディスクを挿入し排出する制御を行うディスク挿排駆動制御部32を備え、その中のディスク挿入制御部33では、ディスク挿入口から挿入されるディスクをディスク回転モータ43で回転する回転テーブル42上に載置するためのディスク挿入制御部33と、挿入されたディスクを主として利用者がイジェクト釦49を押下したことを検出して作動するディスクイジェクト制御部34とを備えている。
【0046】
このディスクイジェクト制御部34には、後述する主制御部1の機構駆動制御指示部5における機構駆動制御部強制イジェクト作動指示部16からの指示により、現在の各種作動にかかわらず全てに優先したディスクのイジェクト作動を行うための、ディスク強制イジェクト駆動部35を備えている。
【0047】
またこの機構駆動制御部31には、ディスク41を回転駆動するディスク回転モータ43の駆動制御を行うためのディスク回転制御部36を備えている。更に、機構駆動制御部内データリセット部37を備え、この機構駆動制御部31内において各種作動の制御を行っているCPUを初期化し、各種作動を行うために記憶しているデータを全てリセットする。この時にリセットされるデータは、主制御部1の後述するようなディスクプレーヤ総合制御部2に備えている総合制御部内データリセット部3でリセットするデータとは大きく異なり、単に機構を駆動するために必要とされるデータをリセットするに過ぎない。また、ここで機構駆動制御部31内の作動制御を行っているCPUの初期化を行うため、ソフトウェアの問題により作動がフリーズしている時でもそれを解消することができる。
【0048】
一方、主制御部1においては、前記のようにディスクプレーヤ総合制御部2を備え、所定のソフトウェアによってディスクプレーヤ全体の総合的な制御を行うものであるが、その中に前記従来のものと同様に総合制御部内データリセット部3を備え、ディスクプレーヤにおける利用者がこのディスクプレーヤの使用に際して設定した種々のデータを全てリセットして初期化する。
【0049】
なお、この総合制御部内データリセット部3でデータをリセットすると、その後元通りの状態にするには多くの手数を要するため、ディスクプレーヤで多発し易いディスクのイジェクト不能時には、本発明においてはこの部分のリセットを行うことなく、前記のように機構駆動制御部31の機構駆動制御部内データリセット部37で、機構駆動制御に必要なデータのみをリセットするようにしている。
【0050】
図1に示す主制御部1の機構駆動制御指示部5においては、前記のように機構駆動制御部31に対して作動指示を行うものであるが、本発明においては特にディスク強制イジェクト制御部8を備え、利用者がイジェクト釦49を操作したことを検出するイジェクト釦押下検出部6と、ディスク排出ゴムローラー47を駆動するディスク排出モータ48の作動を検出するディスクイジェクト検出部7の信号を取り込んでいる。
【0051】
ディスク強制イジェクト制御部8にはイジェクト釦初回押下後過時間計測部9を備え、利用者がイジェクト釦49を最初に押下した時からの経過時間を計測する。なお、この時にイジェクト釦を押下した初回であるか否かは、後述するようにイジェクト釦が押されてから例えば2秒間等の所定時間が経過してから、それ以降にイジェクト釦を押した時、それを初回の押下とする。したがってこのイジェクト釦初回押下後経過時間計測部9による計測は、後述するイジェクト釦初回押下後所定時間経過検出部10で所定時間が経過したことを検出した際にはその計測値をリセットする。
【0052】
イジェクト釦初回押下後所定時間経過検出部10では、前記イジェクト釦初回押下後経過時間計測部9で計測した経過時間が、所定時間設定部11で設定した例えば2秒間を経過したか否かを検出する。その検出結果による経過したか否かのデータは、後述するイジェクト釦所定時間内所定回数押下検出部13に出力する。
【0053】
イジェクト釦押下回数計数部12では、利用者がイジェクト釦49を押下した回数を計数するものであり、この計数に際しても前記イジェクト釦初回押下後所定時間経過検出部10で所定時間が経過する時間内でのイジェクト釦押下回数を計測するものであり、したがって前記所定時間が経過した時にはその回数の計測結果はリセットする。
【0054】
イジェクト釦所定時間内所定回数押下検出部13では、前記イジェクト釦初回押下後所定時間経過検出部10において未だ所定時間が経過していないと判別している時、イジェクト釦押下回数計数部12で計数したイジェクト釦押下回数が、イジェクト釦押下所定回数設定部14で設定した、例えば3回等の所定回数になったか否かを検出する。
【0055】
イジェクト釦所定時間内所定回数押下検出部13において、前記のように例えば2秒等の所定時間内に、利用者がイジェクト釦を例えば3回等の所定回数押下したことを検出した時、即ち利用者が所定の速度で所定回数連打したことを検出した時には、その信号を機構駆動制御部リセット指示部15と、機構駆動制御部強制イジェクト作動指示部16に出力する。
【0056】
機構駆動制御部リセット指示部15では、機構駆動制御部31に対して、機構駆動制御部31で記憶しているデータをリセットする指示を行い、それにより機構駆動制御部31の機構駆動制御部内データリセット部37によって、この機構駆動制御部31で記憶しているデータのリセットを行う。このような機構駆動制御部31に記憶しているデータは、機構を駆動するために必要なデータに過ぎず、前記のように主制御部1のディスクプレーヤ総合制御部2内の各種データとは異なり、これを消去しても利用者にとって、またプレーヤの作動にとって大きな影響はない。
【0057】
機構駆動制御部強制イジェクト作動指示部16では、前記機構駆動制御部リセット指示部15に対応した処理がなされた後に、機構駆動制御部31に対して、ディスクを強制的にイジェクトする作動を行う指示を出力する。それにより機構駆動制御部31では、ディスク挿排駆動制御部32のディスクイジェクト制御部34における、ディスク強制イジェクト駆動部35において、ディスク排出モータ48を他の処理に優先して駆動し、ディスク排出ゴムローラー47を回動して、挿入されているディスクを強制的に排出する。
【0058】
前記のような機能ブロックからなる本発明においては、例えば図2に示す作動フローにしたがって順に作動させることにより本発明を実施することができる。即ち図2に示すディスクをディスクプレーヤから排出するディスクイジェクト処理の例においては、最初イジェクト釦を押下したか否かの判別から行っている(ステップS1)。ここで未だ利用者がイジェクト釦を押下していないと判別した時には、この作動を繰り返して待機する。
【0059】
ステップS1において利用者がイジェクト釦を押下したと判別した時には、イジェクト釦押下回数をカウントし(ステップS2)、その回数を1回とする(ステップS3)。次いでステップS4に進んで、タイマカウント開始後例えば2秒等の所定時間が経過したか否かを判別する。ここで未だ所定時間が経過していないと判別した時にはステップS5に進み、イジェクト釦を押下したか否かを判別する。
【0060】
ステップS5においてイジェクト釦を押下していないと判別した時には、再びステップS4に戻って、タイマカウント開始後所定時間が経過したか否かを判別し、経過した時にはステップS11に進んで、本発明によるディスクの強制排除処理を行わない。
【0061】
また、ステップS5においてイジェクト釦を押下したと判別した時、及び前記のように再度ステップS4に戻って、未だ所定時間が経過していない時にステップS5に進んでイジェクト釦を押下したと判別した時には、ステップS6に進み、イジェクト押下回数カウントを1回プラスする。したがって、前記のようにステップS1から順にこのステップS9に来た時には、イジェクト釦押下回数カウントは2回となる。
【0062】
その後ステップS7において、イジェクト回数は3回等の所定回数になったか否かを判別する。ここでは、前記のように未だ2回である場合には所定回数にはなっていないと判別し、ステップS4に戻ってタイマカウント開始後所定時間が経過したか否かのチェックを行う。ここで再び未だ所定時間が経過していないと判別した時には前記のようにステップS5でイジェクト釦を押下したか否かを判別する。それに対してステップS4でその後の処理中に所定時間が経過したと判別した時には、本発明のディスクの強制排除処理は行わないことは前記の通りである。
【0063】
また、前記のようにステップS4に戻り、未だ所定時間が経過していないと判別した時にステップS5においてイジェクト釦を押下したと判別した時にはステップS6において、イジェクト釦押下回数カウントを1回プラスする。前記一連の処理を行う時には、ここではイジェクト釦押下回数は3回となる。
【0064】
したがってその後ステップS7に進む時には、前記のように所定回数が3回である場合には、ここでイジェクト回数は所定回数になったと判別し、ステップS8に進んで、ディスクプレイーヤの主制御部により機構駆動制御部に対して、CPUを初期化しリセットをする指示を出力する。このリセット指示により、機構駆動制御部のCPUは初期化される。それにより、機構駆動制御部のソフトウェアがフリーズ状態にあっても、ソフトウェアが正常に動作するようになる。
【0065】
更にその後ステップS9において、ディスクプレーヤ主制御部により機構駆動制御部に対して強制イジェクト作動を行う指示を出力する。それによりステップS10に示すように、機構駆動制御部により、内部記憶データのリセットと、ディスクの強制イジェクトの作動を行う。以降は本発明のディスクイジェクト処理としてはステップS1に戻って、再度のイジェクト釦を押下したか否かの判別を行うこととなる。
【0066】
前記処理により、最初のイジェクト釦の押下後2秒等の所定時間内に最初のイジェクト釦の押下を含めて3回等の所定回数になった時、即ち2秒以内に3回のイジェクト釦の連打があった時には、機構駆動制御部内のデータをリセットし、ディスクの強制イジェクト作動を行う。この作動により、前記所定時間を3秒にし、所定回数を4回にする等、任意に設定して実行することができる。
【0067】
前記のようなイジェクト釦の連打による作動を図3に示している。即ち、図3においてはイジェクト釦としてのキーがOFFの状態からキーを3回押下した状態を示している。ここで最初の通常状態でキーがOFFである時から、最初にキーをONした時、タイマのカウントが開始される。なお、通常の場合はこの1回目のキーON時にイジェクト作動が行われる。
【0068】
その後前記のようにキーのON、OFFが繰り返され、図示の例では3回目のキーON操作を行ってキーOFFになった時、所定時間の2秒間経過していなかったことにより、強制的なイジェクトが発動している。なお、前記例以外に、3回目のキーONを行った瞬間に、所定時間の2秒以内である時には、強制イジェクトを発動するようにしても良い。
【0069】
また、前記のように所定時間内に所定回数のイジェクト釦の連打があった時にはディスクの強制イジェクトが行われ、タイマ及びイジェクト釦押下回数をリセットするものであるが、前記のような連打が行われなかった時には、所定時間が経過した時、タイムアウトでタイマのクリアがなされることは前記作動フローのとおりである。
【0070】
上記のような本発明について、前記従来例を示す図7と同様のタイムチャートで示した図が図4である。同図においては前記図7と同様に主制御部と機構駆動制御部とを備え、イジェクト釦を押下したことを検出して主制御部が機構駆動制御部に対してイジェクト要求を行う時、各種の異常発生によりディスクの駆動機構は動作せず、ディスクはイジェクトされない状態は図7と同様である。
【0071】
本発明においてはその後、利用者がイジェクト釦を所定時間内に所定回数連打することにより、主制御部は機構駆動制御部に対して、第1に機構駆動制御部のリセット処理の指示を行い、それによってディスクプレーヤの駆動機構は異常状態から正常状態に復帰する。また、第2に強制イジェクト要求を行うことにより、正常状態に戻った機構駆動制御部は自動的にディスクのイジェクト作動を行うこととなる。
【0072】
本発明は前記のような作動を行うことにより、従来のようにディスクがイジェクトされなくなった時、主制御部のデータのリセットを行う必要がなく、利用者にとって大きな問題の生じない機構駆動制御部のリセットを行うのみで正常復帰させることができる。それにより、利用者がその後イジェクト釦を押下すると、前記のように正常復帰した機構駆動制御部によって、確実にディスクのイジェクト作動を行うことができる。
【0073】
また、前記のように正常復帰した後、続いてディスクの強制排除を自動的に行うようにすることもでき、利用者のその後の操作を待つことなくディスクをイジェクトすることもできる。その際に通常の利用者がディスクがイジェクトされない時に行うイジェクト釦の連打を検出することによって強制イジェクトを行うので、自然な操作によってディスクの強制的なイジェクトを容易に行うことができる。
【0074】
この時行う利用者のイジェクト釦の操作は、前記のように所定時間内に所定回数イジェクト釦を押下することを検出する以外にも、例えばイジェクト釦を連続的に所定回数以上押下した時、これを検出してディスクの強制排除を行う等、種々の態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 主制御部
2 ディスクプレーヤ総合制御部
3 総合制御部内データリセット部
4 オーディオ画像制御指示部
5 機構駆動制御指示部
6 イジェクト釦押下検出部
7 ディスクイジェクト検出部
8 ディスク強制イジェクト制御部
9 イジェクト釦初回押下後経過時間計測部
10 イジェクト釦初回押下後所定時間経過検出部
11 所定時間設定部
12 イジェクト釦押下回数計数部
13 イジェクト釦所定時間内所定回数押下検出部
14 イジェクト釦押下所定回数設定部
15 機構駆動制御部リセット指示部
16 機構駆動制御部強制イジェクト作動指示部
21 オーディオ画像制御部
22 ピックアップ作動制御部
23 RF信号取込部
24 データ再生部
25 波形成形部
26 画像処理部
27 増幅器
28 スピーカ
29 モニタ
31 機構駆動制御部
32 ディスク挿排駆動制御部
33 ディスク挿入制御部
34 ディスクイジェクト制御部
35 ディスク強制イジェクト駆動部
36 ディスク回転制御部
37 機構駆動制御部内データリセット部
41 ディスク
42 回転テーブル
43 ディスク回転モータ
44 ピックアップ
45 受光7素子
46 発光素子
47 ディスク排出ゴムローラー
48 ディスク排出モータ
49 イジェクト釦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクプレーヤのディスクイジェクト作動を制御するイジェクト制御手段と、内部のデータをリセットするデータリセット手段とを備えた駆動機構制御手段と、
ディスクプレーヤの総合制御を行うと共に、少なくとも前記駆動機構制御手段に対して作動指示を出力する主制御手段とを備え、
前記主制御手段では、利用者によるディスクのイジェクト釦に対する所定の操作を行ったことを検出した時、機構駆動制御手段に対して内部のデータをリセットするデータリセット指示を出力することを特徴とするディスク強制排出機能付ディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記利用者によるディスクのイジェクト釦に対する所定の操作は、所定回数連続してイジェクト釦を押下する操作であることを特徴とする請求項1記載のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤ。
【請求項3】
前記利用者によるディスクのイジェクト釦に対する所定の操作は、所定時間内に所定回数イジェクト釦を押下する操作であることを特徴とする請求項1記載のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記データリセット指示により、前記機構駆動制御手段のCPUを初期化することを特徴とする請求項1記載のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記主制御手段では、前記データリセット指示の出力に続いて、機構駆動制御手段に対してディスクを強制的にイジェクトする作動の指示を出力することを特徴とする請求項1記載のディスク強制排出機能付ディスクプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−178200(P2012−178200A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41015(P2011−41015)
【出願日】平成23年2月27日(2011.2.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)