説明

ディスク状媒体のケース

【課題】任意の形状及び寸法の外形を有しながら、収納したディスク状媒体をガタつきなく確実に収納できる紙製のケースを、材料の歩留まりを低下させずに、低い製造コストで提供する。
【解決手段】ディスク状媒体を収納する紙製のケース2であって、略四辺形の第1の面部8を有し、第1の面部8の2組の対向する2辺(8a/8b及び8c/8d)のうち少なくとも一方の対向する2辺8a/8bに少なくとも1回折り返された折り返し部分12が接続されている第1の紙部材4と、折り返し部分12を介して第1の紙部材4が接合され、第1の面部8と対向する第2の面部10を有する第2の紙部材6と、を備え、第1の面部8と、第2の面部10と、両側の折り返し部分12とによって四方を囲まれたディスク状媒体の収納空間20が形成され、折り返し部分12の間の距離が、ディスク状媒体の外形に応じて定められるディスク状媒体のケース2を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル ヴァーサタイル ディスク)、BD(ブルーレイディスク)、レコード盤を始めとするディスク状の記録媒体(ディスク状媒体)を収納するケースに関し、特に、紙製のケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から音楽を記録する媒体としてレコード盤が普及し、近年においては、音楽、画像等を記録する媒体として、CDやDVDが普及しており、更に記憶容量の大きいBDも普及し始めている。このようなディスク状の記録媒体は、紙、樹脂等から作られたケースに収納されて販売される場合が多い。
このようなディスク状媒体のケースの中でも、材料費が安く、印刷や加工も容易で軽量なため、紙製のケースが広く用いられている。
【0003】
紙製のケースでは、多くの場合、1枚の台紙を折り返して、折り返された台紙と台紙との間にディスク状媒体を収納している。よって、この収納空間内でディスク状媒体がガタつかないようにするには、ケースの外形を、ディスク状媒体の外形に合わせた形状及び大きさにする必要がある。一方、例えば書籍等の外形に合わせるため、ケースの外形をディスク状媒体の外形よりもかなり大きくした場合には、収納空間の内部の寸法が、ディスク状媒体の外形に比べてかなり大きくなるので、収納空間内でディスク状媒体がガタつく問題が生じる。また、1枚の台紙から形成するので、無駄な切り代や、無駄な折り曲げ代が生じて、材料の歩留まりが低下する恐れもある。
そこで、このような問題に対処するため、封筒形の長方形の収納空間を有する輸送用CDケースにおいて、ディスク状媒体のガタつきを抑える手段を有するケースが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−59762号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたCDケースでは、台紙をCD側に折り曲げた係止部によって、CDが長方形の収納空間の長手方向に動くのを拘束するようになっている。しかし、この係止部は、単に台紙を折り曲げただけのものであり、ある程度の外力が加わった場合には、係止が外れて、CDが収納空間内部でガタつく恐れがある。
【0006】
従って、本発明の目的は、上述の問題を解決して、任意の形状及び寸法の外形を有しながら、ディスク状媒体のガタつきを確実に抑えて収納できる紙製のケースを、材料の歩留まりを低下させずに、低い製造コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明のディスク状媒体のケースの1つの実施態様は、ディスク状媒体を収納する紙製のケースであって、略四辺形の第1の面部を有し、前記第1の面部の2組の対向する2辺のうち少なくとも一方の対向する2辺に少なくとも1回折り返された折り返し部分が接続されている第1の紙部材と、前記折り返し部分を介して前記第1の紙部材が接合され、前記第1の面部と対向する第2の面部を有する第2の紙部材と、を備え、前記第1の面部と、前記第2の面部と、前記両側の折り返し部分とによって四方を囲まれた前記ディスク状媒体の収納空間が形成され、前記折り返し部分の間の距離が、前記ディスク状媒体の外形に応じて定められることを特徴とする。
【0008】
ここで、「略四辺形」には、長方形、正方形、台形、平行四辺形を含むあらゆる四辺形が含まれ、一部に面取り部分や曲線部分等が含まれる場合も、「略四辺形」に含まれる。
本実施態様によれば、ディスク状媒体のケースが、2つの紙部材(第1の紙部材及び第2の紙部材)から構成され、ディスク状媒体の外形に応じた収納空間の大きさは、第1の紙部材で画定することができ、ケースの外形を画定する第2の紙部材は、その外形をディスク状媒体の外形に関わらず、任意に定めることができる。また、第1の紙部材及び第2の紙部材を形成するための台紙は、その用途に応じて、予め最適な大きさ、形状に裁断できるので、1枚の台紙を折り曲げる場合に比べて、無駄な切り代や、無駄な折り曲げ代が生じず、材料の歩留まりを向上させることができる。
【0009】
以上のように、本実施態様によれば、任意の形状及び寸法の外形を有しながら、収納したディスク状媒体をガタつきなく確実に収納できる紙製のケースを、材料の歩留まりを低下させずに、低い製造コストで提供することができる。
【0010】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記第1の面部の他方の対向する2辺のうち少なくとも一方の辺に折り返し部分が設けられておらず、前記ディスク状媒体を出し入れするための開口部となっていることを特徴とする。
【0011】
本実施態様によれば、収納空間内でディスク状媒体がガタつくことを確実に防止することが可能なことに加え、開口部を通して、ディスク媒体を容易に確実に出し入れすることができる。
【0012】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記ディスク状媒体の厚み寸法及び前記第1の紙部材の厚み寸法に応じて、前記折り返し部分の折り返し数が定められることを特徴とする。
【0013】
本実施態様によれば、ディスク状媒体の厚み寸法及び第1の紙部材の厚み寸法に応じて、最適な折り返し数を定めることにより、ディスク状媒体の出し入れが容易であり、かつガタつきなく収納可能な収納空間を有するケースを提供できる。
【0014】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記第2の紙部材の形状及び寸法が、前記ディスク状媒体の外形に関わらず任意に定められることを特徴とする。
【0015】
本実施態様によれば、収納したディスク状媒体をガタつきなく確実に収納できるケースでありながら、その形状及び寸法において自由度の高いケースを提供できる。
【0016】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記第2の面部に折曲部を介して所定の幅のフラップが接続され、前記フラップによって、前記収納空間に収納された前記ディスク状媒体が前記開口部と反対の方向に移動するのを拘束することを特徴とする。
【0017】
本実施態様によれば、第2の紙部材に設けられたフラップによって、収納されたディスク状媒体を拘束して、確実に収納空間内に保持することができる。
【0018】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記第1の面部の他方の対向する2辺のうち前記開口部と反対側の辺に少なくとも1回折り返された折り返し部分が接続され、該折り返し部分によって、前記収納空間に収納された前記ディスク状媒体が前記開口部と反対の方向に移動するのを拘束することを特徴とする。
【0019】
本実施態様によれば、第1の紙部材に設けられた更なる折り返し部分によって、収納されたディスク状媒体を拘束して、確実に収納空間内に保持することができる。
【0020】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記第1の面部と隣接する前記折り返し部分の面部とが貼り付けられ、前記折り返し部分の隣接する面部どうしが貼り合わされ、前記折り返し部分の最も端部に位置する面部と前記第2の面部とが貼り合わされることにより、前記第1の紙部材が前記第2の紙部材に接合されることを特徴とする。
【0021】
本実施態様によれば、折り返し部分が各層ごとに貼り合わせられた堅固な構造を有し、この折り返し部分を介して、第1の紙部材と第2の紙部材とが堅固に接合されるの、収納されたディスク状媒体を確実に係止し収納することができる。
【0022】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、1つの前記第2の紙部材に、複数の前記第1の紙部材が接合されることを特徴とする。
【0023】
本実施態様によれば、1つの第2の紙部材に、複数の第1の紙部材を接合することができるので、任意の数のディスク状媒体を収納可能なケースを提供することができる。
【0024】
本発明のディスク状媒体のケースのその他の実施態様は、前記第1の紙部材と前記第2の紙部材とが、ともに高級白板紙からなることを特徴とする。
【0025】
本実施態様によれば、ケースを高級白板紙で構成することにより、平滑性、光沢感、印刷再現性、発色等の良好なケースを提供でき、全体として意匠性、装飾性に優れたケースを提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明のディスク状媒体のケースにおいては、任意の形状及び寸法の外形を有しながら、ディスク状媒体のガタつきを確実に抑えて収納できる紙製のケースを、材料の歩留まりを低下させずに、低い製造コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るディスク状媒体のケースの第1の実施形態を示す斜視図及び部分側面図である。
【図2】本発明に係るディスク状媒体のケースの第2の実施形態を示す斜視図及び部分側面図である。
【図3】本発明に係るディスク状媒体のケースの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るディスク状媒体のケースの第3の実施形態を書籍に適用した場合の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、図面を参照しながら、本発明に係るディスク状媒体のケースの実施形態を詳細に説明する。
(本発明に係るディスク状媒体のケースの第1の実施形態の説明)
始めに、図1を用いて、本発明に係るディスク状媒体のケースの第1の実施形態の説明を行なう。ここで、図1(a)は、ディスク状媒体のケースの全体構造を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印A−Aから見た部分側面図であり、図1(c)は、第1の紙部材を第2の紙部材に接合するところを模式的に示した部分側面図である。
【0029】
本実施形態のケース2は、ディスク状媒体(図示せず)を収納する紙製のケースであって、ケース2は、第1の紙部材4と第2の紙部材6とが接合されて構成されている。第1の紙部材4は、略四辺形(本実施形態では長方形)の第1の面部8を有し、第1の面部8の2組の対向する2辺(8a/8b及び8c/8d)のうち少なくとも一方の対向する2辺8a/8bに2回折り返された折り返し部分12が接続されている。また、第2の紙部材6には、折り返し部分12を介して第1の紙部材4が接合され、第1の面部8と対向する第2の面部10を有する。
これにより、第1の紙部材4の第1の面部8及び両側の折り返し部分12と、第2の紙部材6の第2の面部10と、によって四方を囲まれたディスク状媒体の収納空間20が形成されている。
【0030】
第1の紙部材4を第2の紙部材6に接合する方法を更に詳細に述べれば、図1(c)に示すように、第1の紙部材4を構成する台紙の展開状態において、第1の面部8と隣接する折り返し部分12の面部12aとが貼り合わされ、折り返し部分12の隣接する面部12bと面部12cとが貼り合わされ、折り返し部分12の最も端部に位置する面12d部と第2の紙部材6の第2の面部10とが貼り合わされることにより、両紙部材4、6が互いに接合される。
これにより、折り返し部分12は、各層ごとに貼り合わせられた堅固な構造を有し、この折り返し部分12を介して第1の紙部材4と第2の紙部材6とが堅固に接合されるので、収納されたディスク状媒体を確実に係止して収納することができる。
【0031】
また、第1の紙部材4の第1の面部8の他方の対向する2辺8c/8dのうち、一方の辺8cには折り返し部分が接続されておらず、ディスク状媒体を出し入れするための開口部30を形成している。この開口部30を通して、容易に確実に、ディスク媒体を収納空間20内に収め、収納空間20から取り出すことができる。
【0032】
本実施形態では、開口部30が設けられた辺8cと反対側の辺8dにも、折り返し部分は接続されていない。一方、第2の紙部材6の第2の面部10には、折曲部26を介して、ディスク状媒体の厚み寸法に対応した所定の幅のフラップ14が接続され、更に、折曲部28を介して、第3の面部16が接続されている。
このフラップ14によって、収納空間20内に収納されたディスク状媒体が、開口部30と反対の方向に移動するのを拘束することができる。つまり、第1の紙部材4の第1の面部8及び両側の折り返し部分12と、第2の紙部材6の第2の面部10と、フラップ14とによって、収納空間20に収納されたディスク状媒体は、開口部30を除く方向へ動くことが拘束される。これにより、ディスク状媒体を確実に収納空間20内に保持することができる。
【0033】
ここで、両側の折り返し部分12の間の距離は、ディスク状媒体の外形に応じて定めることができる。更に詳細に述べれば、両側の折り返し部分12の間の距離は、収納するディスク状媒体の外径寸法より若干(例えば、1〜5mm)広くとられており、収納空間内20内でのディスク状媒体のガタつきを防止しながら、開口部30を介して、容易にディスク状媒体を出し入れできるようにしている。なお、折り返し部分12とディスク状媒体の外形との間の間隔は、その用途に応じて任意に定めることができる。例えば、ディスク状媒体が袋に入って状態で収納される場合には、袋の外形を考慮して、折り返し部分12の間の距離を定めることが好ましい。
【0034】
また、第1の紙部材4の第1の面部8の対向する2辺8a/8bの長さも、同様に、収納するディスク状媒体の外径寸法より若干長く(例えば、5〜10mm)なっており、収納空間内20内でのディスク状媒体のガタつきを防止しながら、開口部30を介して、容易にディスク状媒体を出し入れできるようにしている。よって、本実施形態の第1の紙部材4の第1の面部8は、略長方形または略正方形の形状を有している。ただし、第1の面部8の形状はこれに限られるものではなく、例えば、第1の面部8の開口側の辺8cが底部側の辺8dよりも若干長くなった台形の形状を有する場合も考えられる。この場合には、収納空間20を、開口部30側が広がったように形成することができるので、ディスク状媒体の出し入れをより容易にすることができる。
更に、本実施形態では、第1の紙部材4の第1の面部8の辺8cに、切り欠き部24が設けられている。これにより、使用者は切り欠き部24に指を差し入れて、より容易にディスク状媒体を出し入れすることができる。
【0035】
本実施形態では、折り返し部分12で2回折り返されているが、折り返す回数は、ディスク状媒体の厚み寸法及び第1の紙部材4の厚み寸法に応じて、最適な数を定めることができる。例えば、図2に示すように、1回折り返すこともできるし、3回以上折り返すこともできる。これにより、ディスク状媒体の出し入れが容易であり、かつガタつきなく収納可能なディスク状媒体のケース2を提供できる。
また、仮に、ディスク状媒体の厚み寸法と収納空間20の高さ寸法(厚み方向の寸法)が近接するように折り返し数を設定した場合には、第1の面部8とディスク状媒体との間の摩擦力、及び第2の面部10とディスク状媒体との間の摩擦力によって、ディスク状媒体を拘束することができるので、ディスク状媒体の外形と折り返し部分12との間のクリアランスを比較的大きめにとることができる。
【0036】
本実施形態では、第1の紙部材4及び第2の紙部材2の材料として、例えば、古紙が含まれていないパルプ100%の高級白板紙を用いることができる。この場合には、平滑性、光沢感が高く、印刷再現性、発色ともに良好なので、全体として意匠性、装飾性に優れたケース2を提供することができる。ただし、これに限られるものではなく、用途やデザインに応じて、更に安価な特板カードやコートボール紙等を用いることもできる。
【0037】
本実施形態において特筆すべきことは、第2の紙部材6の形状及び寸法を、ディスク状媒体の外形に関わらず、任意に定めることができることである。
従来の紙製のケースでは、多くの場合、1枚の台紙を折り返して、折り返された台紙と台紙との間にディスク状媒体を収納するようにしている。この場合には、収納空間内でディスク状媒体がガタつかないようにするためには、ケースの形状及び大きさを、ディスク状媒体の外形に合わせる必要がある。もし、ケースの外形をディスク状媒体の大きさよりもかなり大きくした場合には、収納空間の内部の寸法が、ディスク状媒体の外形に比べてかなり大きくなるので、収納空間内でディスク状媒体がガタつく問題が生じる。
【0038】
ここで、上記の1枚の台紙を用いてディスク状媒体のケースを構成する場合において、折り返し部分を用いて、ディスク状媒体を収納する空間を狭めることが考えられる。しかし、ケースの外形寸法が、収納するディスク状媒体の外径寸法に対してかなり大きい場合には、非常に長い折り返し部分を要するので、非常に大きな台紙を準備する必要があり現実的ではない。また、折り返し部分を得るため、台紙のかなり大きな領域を切り落とす必要があるので、材料の歩留まりも低下する。また、複数層からなる長い折り返し部分によって、ケースの重量が増す問題も生じる。
【0039】
一方、本実施形態では、第1の紙部材4及び第2の紙部材6という2つの別個の紙材料を用いており、第1の紙部材4によって、ディスク状媒体に応じた最適な大きさの収納空間20を形成することができ、ケース2全体の大きさを画定する第2の紙部材6は、ディスク状媒体の外形に関わらず、所望の形状及び寸法を採用できる。また、第1の紙部材4及び第2の紙部材6を形成するための台紙は、その用途に応じて、予め最適な大きさ、形状に裁断できるので、1枚の台紙を折り曲げる場合に比べて、無駄な切り代や、無駄な折り曲げ代が生じず、材料の歩留まりを向上することができる。
これにより、任意の形状及び寸法の外形を有しながら、ディスク状媒体のガタつきを確実に抑えて収納できる紙製のケースを、材料の歩留まりを低下させずに、低い製造コストで提供することができる。
【0040】
(本発明に係るディスク状媒体のケースの第2の実施形態の説明)
次に、図2を用いて、本発明に係るディスク状媒体のケースの第2の実施形態の説明を行なう。ここで、図2(a)は、ディスク状媒体のケースの全体構造を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印B−Bから見た部分側面図であり、図2(c)は、第1の紙部材を第2の紙部材に接合するところを模式的に示した部分側面図である。
【0041】
本実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と基本的に同一な点については説明を省略する。
図1に示す第1の実施形態においては、第2の紙部材6に1つの第1の紙部材4が接合されているが、本実施形態では、図2(a)に示すように、第2の紙部材6に2つの第1の紙部材4、4’が接合されている点で異なる。つまり、第1の実施形態においては、第3の面部16に収納空間が形成されていないが、第2の実施形態では、第3の面部16にも第1の紙部材4’が接合されて、収納空間20’が形成されている。
【0042】
更に、第1の実施形態においては、第1の紙部材4に2回折り返された折り返し部分12が形成されているが、第2の実施形態においては、第1の紙部材4に1回折り返された折り返し部分12、12’が形成されている点で異なる。
なお、本実施形態では、第2の紙部材6に2つの第1の紙部材4、4’が接合されているが、これに限られるものではなく、1つの第2の紙部材に、任意の数の第1の紙部材を接合することができ、これによって、任意の数のディスク状媒体を収納可能なケースを提供することができる。
その他の点については、本実施形態は第1の実施形態と基本的に同一であるので、更に詳な説明を省略する。
【0043】
(本発明に係るディスク状媒体のケースの第3の実施形態の説明)
次に、図3を用いて、本発明に係るディスク状媒体のケースの第3の実施形態の説明を行なう。ここで、図3(a)は、ディスク状媒体のケースの全体構造を示す斜視図であり、図3(b)は、第1の紙部材の台紙の展開状態を示した斜視図である。
【0044】
第3の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と基本的に同一な点については説明を省略する。
図1に示す第1の実施形態においては、第2の紙部材6の第2の面部10に接続されたフラップ14によって、収納空間20に収納されたディスク状媒体を係止しているが、第3の実施形態においては、第1の紙部材4の第1の面部8において、開口部30が設けられた辺8cと反対側の辺8dに、2回折り返された折り返し部分22が接続されており(図3(b)参照)、この折り返し部分22によって、収納空間に収納されたディスク状媒体を係止する点で異なる。これにより、第2の紙部材6に設けられたフラップ14を用いることなく、第1の紙部材4自体で、収納空間20の開口部30と反対側の底面を形成することができる。この第1の紙部材4に設けられた更なる折り返し部分22によって、収納されたディスク状媒体を拘束して、確実に収納空間20内に保持することができる。
なお、図3では、第2の紙部材6に、フラップや第3の面部が接続されていないが、第1、2の実施形態と同様に、第2の紙部材6にフラップや第3の面部を設けることも可能であり、その他の任意の形状を採用することができる。
【0045】
このような更なる折り返し部分を有する構造を採用することによって、ディスク状媒体の収納空間20の設置場所の自由度を増すことができる。例えば、図4に示すように、ディスク状媒体の厚み寸法さえ確保できれば、通常の書籍の裏表紙等に、第1の紙部材4を貼り付けるだけで、そこにディスク状媒体の収納空間20を形成することができる。この場合には、書籍の裏表紙を第2の紙部材6として用いることになる。その他、書籍の表紙、脊表紙、各頁等にも、第1の紙部材4を貼り付けて、ディスク状媒体の収納空間20を形成することもできる。
【0046】
(本発明に係るディスク状媒体のケースのその他の実施形態の説明)
本発明に係るディスク状媒体のケースのその他の実施形態は、上記の実施形態に限られるものではなく、その他の任意の形態が本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
2 ケース
4 第1の紙部材
6 第2の紙部材
8 第1の面部
10 第2の面部
12 折り返し部分
14 フラップ
16 第3の面部
20 収納部
22 折り返し部分
24 切り欠き部
26 折曲部
28 折曲部
30 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状媒体を収納する紙製のケースであって、
略四辺形の第1の面部を有し、前記第1の面部の2組の対向する2辺のうち少なくとも一方の対向する2辺に少なくとも1回折り返された折り返し部分が接続されている第1の紙部材と、
前記折り返し部分を介して前記第1の紙部材が接合され、前記第1の面部と対向する第2の面部を有する第2の紙部材と、
を備え、
前記第1の面部と、前記第2の面部と、前記両側の折り返し部分とによって四方を囲まれた前記ディスク状媒体の収納空間が形成され、
前記折り返し部分の間の距離が、前記ディスク状媒体の外形に応じて定められることを特徴とするディスク状媒体のケース。
【請求項2】
前記第1の面部の他方の対向する2辺のうち少なくとも一方の辺に折り返し部分が設けられておらず、前記ディスク状媒体を出し入れするための開口部となっていることを特徴とする請求項1に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項3】
前記ディスク状媒体の厚み寸法及び前記第1の紙部材の厚み寸法に応じて、前記折り返し部分の折り返し数が定められることを特徴とする請求項1または2に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項4】
前記第2の紙部材の形状及び寸法が、前記ディスク状媒体の外形に関わらず任意に定められることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項5】
前記第2の面部に折曲部を介して所定の幅のフラップが接続され、前記フラップによって、前記収納空間に収納された前記ディスク状媒体が前記開口部と反対の方向に移動するのを拘束することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項6】
前記第1の面部の他方の対向する2辺のうち前記開口部と反対側の辺に少なくとも1回折り返された折り返し部分が接続され、該折り返し部分によって、前記収納空間に収納された前記ディスク状媒体が前記開口部と反対の方向に移動するのを拘束することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項7】
前記第1の面部と隣接する前記折り返し部分の面部とが貼り付けられ、前記折り返し部分の隣接する面部どうしが貼り合わされ、前記折り返し部分の最も端部に位置する面部と前記第2の面部とが貼り合わされることにより、前記第1の紙部材が前記第2の紙部材に接合されることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項8】
1つの前記第2の紙部材に、複数の前記第1の紙部材が接合されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載のディスク状媒体のケース。
【請求項9】
前記第1の紙部材と前記第2の紙部材とが、ともに高級白板紙からなることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載のディスク状媒体のケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−202240(P2010−202240A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48610(P2009−48610)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(599091807)株式会社一九堂印刷所 (2)
【Fターム(参考)】