説明

ディスク装置およびディスク媒体

【課題】ディスク面の複数のサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定して記録しておくディスク装置およびディスク媒体に関し、シーク動作時に、ディスク面の全ての領域にわたって実際のリード・ライトヘッドの位置のサーボ信号を誤りなく復調することを目的とする。
【解決手段】ディスク10の内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを複数の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスク等のディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、当該サーボ信号周波数を予め記録しておくようにしたディスク装置、およびディスク媒体に関する。
【0002】
ここで、磁気ディスク装置等のディスク装置に回転可能に位置決めされているディスクは、単板STW(Servo Track Writer)として使用する場合等のように、ディスク装置から取り外し可能になっている場合がある。この場合、ディスクは、サーボ信号パターンをサーボシリンダに書き込んだ状態で単独で出荷されることがある。このようなディスクは、一般に「ディスク媒体」または「ディスクメディア」と呼ばれている。
【背景技術】
【0003】
図1は、一般のサーボ信号の配置例を示す模式図であり、図2は、一定のサーボ信号周波数で記録されたサーボ信号の磁化反転パターンと再生サーボ信号波形との関係を示す図である。
【0004】
図1に示すように、これまでの磁気ディスク装置におけるサーボ信号パターンSSPは、一般に、ディスク100の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダ200に対し、基調となるサーボ信号周波数が一定になるように記録されていた。このため、サーボ信号パターンの領域はディスク100上で扇型状に配置されていた。
【0005】
ここで、「サーボシリンダ」とは、複数のディスクが積層されて配置されている場合に、各々のディスク上でサーボ信号が形成されるべきサーボトラックであって複数のリード・ライトヘッドによって同時にアクセスすることが可能な垂直方向の複数のサーボトラックの集合体(すなわち、シリンダ状の複数のサーボトラック)を指し示す用語である。
【0006】
磁気ディスク装置は、等速回転でディスク100を回転させているので、同じ時間で回転する距離は、ディスクの内径部(インナー側)よりも外径部(アウター側)が長くなるためである。このため、アーム400により支持されているリード・ライトヘッド500を使用して、一定のサーボ信号周波数でもって同じビット数のサーボ信号パターンを記録すると、アウター側のサーボ信号パターンの占有面積がインナー側よりも大きくなってしまう。すなわち、アウター側のサーボ信号パターンの記録密度が、インナー側のサーボ信号パターンの記録密度よりも小さくなる傾向にある。
【0007】
そこで、アウター側のサーボシリンダのサーボ信号周波数を、インナー側のサーボ信号周波数よりも高くして記録を行い、アウター側のサーボ信号パターンの占有面積を相対的に減少させるために、後述のような従来技術の可変サーボ信号周波数記録方式が発明された。
【0008】
一般に、図2に示すように、ディスク面の複数のサーボシリンダに対して一定のサーボ信号周波数でサーボ信号パターンを記録すると、アウター側(外径部)/センター側(中間部)/インナー側(内径部)において、サーボ信号周波数は等しくても、サーボ信号の磁化反転パターンから再生される再生サーボ信号の波形は異なったものとなる。これは、サーボ信号パターンの記録密度が、インナー側では高くなり、アウター側では低くなって異なっているために、同一のサーボ信号パターンが書かれているにもかかわらず、再生サーボ信号の波形が異なったものとなるからである。
【0009】
それゆえに、サーボ信号の波形からサーボ情報を復調するリードチャネルでは、図3のグラフに示すように、サーボ信号パターンの記録密度に対して、サーボシリンダ情報を有するグレイコードのサーボ信号エラーレイトが変化するようになっている。グレイコードのサーボ信号エラーレイトが比較的良好な特性でディスク装置を使用することができるようにするために、サーボ信号パターンの記録密度をほぼ一定にする必要がある。
【0010】
この観点より、ディスクのインナー側からアウター側までのサーボ信号周波数を変えてサーボ信号パターンを記録するような従来技術の可変サーボ信号周波数方式を採用することにより、サーボ信号パターンの記録密度をほぼ一定にすることによって、グレイコードのエラーレイトの改善が得られることが期待される。
【0011】
ここで、参考のため、従来技術に関連した5つの特許文献を呈示する。
【0012】
【特許文献1】特開平3−130968号公報
【特許文献2】特開平5−174516号公報
【特許文献3】特開平5−94674号公報
【特許文献4】特開平10−255416号公報
【特許文献5】特許公報第2973247号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図4は、前記のような従来技術を使用したサーボ信号パターンの配置例を示す模式図である。ここでは、従来技術の中で、代表例な可変サーボ信号周波数方式を使用したサーボ信号パターンの配置例を例示することとする(もし必要であれば、前述の5つの特許文献である特開平3−130968号公報、特開平5−174516号公報、特開平5−94674号公報、特開平10−255416号公報、および特許公報第2973247号を参照されたい)。図4の例は、ディスク100の複数のサーボシリンダ200をインナー側からアウター側まで3つの領域(PP0、PP1およびPP2)に分け、領域毎に異なるサーボ信号周波数(Fs0、Fs1およびFs2)でサーボ信号パターンを記録した例である。
【0014】
図5は、従来の可変サーボ信号周波数方式でリード・ライトヘッドの推定位置に誤差が含まれていたときのリード・ライトヘッドの軌跡の一例を示す模式図であり、図6は、従来の可変サーボ信号周波数方式において異なるサーボ信号パターンの境界での再生サーボ信号波形を示す図である。
【0015】
現在のリードチャネルのサーボ信号復調機能に関していえば、予めサーボ信号復調機能が働くように設定されたサーボ信号周波数のサーボ信号しか正確に復調することができない。予めサーボ信号復調機能が働くように設定されたサーボ信号周波数からずれたサーボ信号周波数のサーボ信号も復調することが可能なリードチャネルも存在するが、許容可能な周波数ずれ範囲は非常に狭い。
【0016】
したがって、従来の可変サーボ信号周波数方式を使用すると、リード・ライトヘッド500が読み出すサーボ信号パターン(すなわち、リード・ライトヘッド500が読み込むサーボ信号パターン)のサーボ信号周波数が変わるときは、リードチャネルのサーボ信号周波数設定を予め設定する必要がある。予めサーボ信号周波数を設定するために、それまで復調してきたサーボ情報を用いて、次のサーボ信号パターン読み込み時(次のサーボ信号パターンのリード時)でのリードヘッドの位置を推定する。
【0017】
リード・ライトヘッドがシーク動作を行うとき、次のサーボ信号パターン読み込み時でのリード・ライトヘッドの位置を推定する。この推定された位置がいつも正確に推定されれば問題はない。
【0018】
しかしながら、この推定位置の値に誤差が含まれていると、例えば、推定したリード・ライトヘッドの位置が、第1のサーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンの領域PP0と第1の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンの領域PP1との境界(B01)付近であったとすると、実際にリード・ライトヘッドが到達した領域と推定されたリード・ライトヘッドの位置が属する領域とが異なる場合、実際にリード・ライトヘッドが到達した領域のサーボ信号周波数とは異なるサーボ信号周波数がリードチャネルに設定されてしまい、サーボ情報を復調することができなくなるという問題が生じる。
【0019】
低速のシーク動作中、幾つかのサーボ信号パターンを読み込む間、リード・ライトヘッドが、第1のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンの領域と第1の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンの領域との境界付近を通過するとき、リード・ライトヘッドの推定位置に誤差が含まれると、リード・ライトヘッドの推定位置の属するサーボ信号周波数の領域と、実際のリード・ライトヘッドの位置とサーボ信号周波数の領域とが異なり、リードチャネルのサーボ信号周波数設定が、実際に読み込まれるサーボ信号のサーボ信号周波数とは異なるため、サーボ信号を復調することができない。
【0020】
さらに、次のサーボ信号パターンを読み出すときは、1つ前の正確な位置情報のないままリード・ライトヘッドの位置の推定を行うため、誤差が生じた推定軌道が再度推定される。このため、実際のリード・ライトヘッドの位置とは異なったサーボ信号周波数に設定される。
【0021】
リード・ライトヘッドの実際の位置と推定位置とが、図5に示すように移動したとすると、リードチャネルのサーボ信号周波数設定に関し、1度、実際のリード・ライトヘッドの位置とは異なった領域のサーボ信号周波数に設定してしまうと、連続して、サーボ信号周波数の設定を失敗し、サーボ信号を復調することができなくなることがあり、シークエラーが発生する問題が生じてくる。
【0022】
異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンの領域の境界にリード・ライトヘッドがオントラックした状態になったとき、両隣の異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを同時に読み出すようになるため、リード・ライトヘッドにより読み出された波形は、図6に示すように、2つの領域の再生サーボ波形の合成波形となる。
【0023】
このとき、リードチャネルにサーボ信号周波数Fs0を設定すると、読み出されたサーボ信号の中のサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号の成分が雑音となってしまう。この雑音は非常にサーボ信号と相関性を有しているので、サーボ信号周波数Fs0のサーボ信号のエラーレイトが劣化してしまい、復調エラーが多発するため、リード・ライトヘッドが正確な位置にオントラックすることができなくなるという問題が生じてくる。
【0024】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、リード・ライトヘッドがシーク動作を行うときに、次のサーボ信号パターン読み込み時でのリード・ライトヘッドの位置を正確に推定することによって、ディスクの内径部から外径部までの全ての領域にわたって実際のリード・ライトヘッドの位置のサーボ信号を誤りなく復調することが可能なディスク装置およびディスク媒体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記問題点を解決するために、本発明は、ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される上記サーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、上記ディスク上に記録されるサーボ信号の記録密度が、上記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように設定され、上記複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けすると共に領域毎に上記サーボ信号周波数の設定を行うように構成されるディスク装置を提供する。
【0026】
さらに、本発明の好ましい実施態様は、ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される上記サーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、区分けした第1のサーボ信号周波数の領域と当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域との境界に、上記第1のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと上記第2のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域を設けるディスク装置を提供する。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明のディスク装置において、サーボ信号周波数の領域に配置されるサーボ信号パターンと、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域に配置されるサーボ信号パターンのうち、サーボ信号周波数が等しいサーボ信号パターンを、サーボ信号パターンの先頭部に、位相を合わせて配置するように構成される。
【0028】
また一方で、本発明の他の好ましい実施態様は、ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される上記サーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、第1のサーボ信号周波数の領域に、当該第1のサーボ信号周波数の領域に設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域、または、当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第3のサーボ信号周波数の領域で設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置するディスク装置を提供する。
【0029】
また一方で、本発明のさらに他の好ましい実施態様は、ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に中心のサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定される中心のサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される中心のサーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、上記ディスク上に記録されるサーボ信号の記録密度が、上記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように設定され、領域毎に設定された中心のサーボ信号周波数を中心として、各々の上記サーボシリンダ毎に、上記サーボ信号周波数を変えたサーボ信号パターンを配置するディスク装置を提供する。
【0030】
また一方で、本発明のさらに他の好ましい実施態様は、ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、上記ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置するディスク装置を提供する。
【0031】
さらに、本発明の好ましい実施態様は、ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号の周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号の周波数のサーボ信号パターンを配置するディスク媒体において、区分けした第1のサーボ信号周波数の領域と当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域との境界に、上記第1のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと上記第2のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域を設けるディスク媒体を提供する。
【0032】
また一方で、本発明の他の好ましい実施態様は、ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号の周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号の周波数のサーボ信号パターンを配置するディスク媒体において、第1のサーボ信号周波数の領域に、当該第1のサーボ信号周波数の領域に設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域、または、当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第3のサーボ信号周波数の領域で設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置するディスク媒体を提供する。
【0033】
また一方で、本発明のさらに他の好ましい実施態様は、ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に中心のサーボ信号の周波数を設定するディスク媒体において、上記ディスク上に記録されるサーボ信号の記録密度が、上記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように、領域毎に設定された中心のサーボ信号周波数を中心として、各々の上記サーボシリンダ毎に、上記サーボ信号周波数を変えたサーボ信号パターンを配置するディスク媒体を提供する。
【0034】
また一方で、本発明のさらに他の好ましい実施態様は、ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、上記ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置するディスク媒体を提供する。
【発明の効果】
【0035】
要約すれば、本発明では、ディスクの内径部から外径部まで記録されるサーボ信号の記録密度が、当該サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように設定され、複数のサーボシリンダを幾つかの領域に区分けすると共に領域毎に当該サーボ信号周波数の設定を行うようにすることで、リード・ライトヘッドがシーク動作を行うときに、次のサーボ信号パターン読み込み時でのリード・ライトヘッドの位置を正確に推定し、ディスクの内径部から外径部までの全ての領域にわたって実際のリード・ライトヘッドの位置のサーボ信号を誤りなく復調することが可能になる。
【0036】
さらに、本発明によれば、ディスクの内径部から外径部まで複数のサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした第1のサーボ信号周波数の領域と当該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域との境界に、第1のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと第2のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域を設けるようにしているので、リード・ライトヘッドがシーク動作を行うときに、次のサーボ信号パターン読み込み時でのリード・ライトヘッドの位置を正確に推定することができ、高いサーボ復調品質でサーボ信号を復調することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、添付図面(図7〜図38)を参照しながら、本発明の好ましい実施例の構成および動作を説明する。
【0038】
図7は、本発明の実施例に係るディスク装置の機構部の概略的構成を示す平面図、図8は、上記実施例に係るディスク装置の機構部の概略的構成を示す正面図、および、図9は上記実施例に係るディスク装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【0039】
ただし、ここでは、本発明のディスク装置の実施例として、ハードディスク等の回転するディスク(またはディスク媒体)2に対するデータの書き込みおよび読み出しを行うための磁気ディスク装置等のディスク装置1を例示している。さらに、図7および図8では、後述のような本発明の各種の実施例に係るディスク装置1の機構部が図示され、図9では、ディスク装置1の動作を制御するための制御部が図示されている。なお、これ以降、前述した構成要素と同様のものについては、同一の参照番号を付して表すこととする。
【0040】
図7および図8に示すディスク装置1は、大まかにいって、ディスク装置内のディスク10、リード・ライトヘッド15および制御部等を機械的に保護するためのディスクエンクロージャ2と、リード・ライトヘッド15によるデータ書き込み動作およびデータ読み出し動作等を制御するための制御部が実装されたプリント回路アセンブリ3とにより構成される。上記のディスクエンクロージャ2には、スピンドル11に結合されるスピンドルモータ12によって回転駆動される単一または複数のハードディスク等の回転するディスク10が同軸上に設けられている。このディスク10の回転方向(矢印A)は、サーボコントローラ26(図9参照、図9ではSVCと略記する)によりスピンドルモータ12の動作を制御することによって左回りまたは右回りのいずれも可能になっている。ディスク10の表面(または裏面)の磁気記録面には、複数のトラック(または複数のシリンダ)が形成されており、このトラックの任意の位置(セクタともよばれる)に所定のデータに対応するデータパターンが書き込まれている。
【0041】
より詳しくいえば、サーボ面サーボ方式を用いたディスク装置では、複数のディスク10の内、いずれか1つのディスクの磁気記録面が、サーボ制御用のサーボ信号に対応するサーボ信号パターンが形成されたサーボ面になっており、他のディスクの磁気記録面は、全てデータパターンが形成されたデータ面になっている。また一方で、データ面サーボ方式を用いたディスク装置では、複数のディスクの各々の磁気記録面に、データパターンおよびサーボ信号パターンの両方が形成されている。ただし、本発明の実施例では、後者のデータ面サーボ方式を用いたディスク装置を対象としている。
【0042】
さらに、図7および図8のディスク装置1においては、ディスク10の磁気記録面の任意の位置にデータを書き込むと共に、上記磁気記録面の任意の位置に書き込まれているデータを読み出すためのリード・ライトヘッド15が設けられている。このリード・ライトヘッド15は、ヘッド支持用のアーム14の先端に実装されている。このアーム14は、後述のサーボコントローラ26(図9参照)により制御されるボイスコイルモータ(通常、VCMと略記される)13によって、ディスク10の内周部の位置と外周部の位置との間を往復移動するように駆動される。これによって、ディスク10の磁気記録面でデータが書き込まれている全てのデータ領域に対するアクセスを行うことが可能になる。
【0043】
例えば、ボイスコイルモータ13によってアーム14が矢印Bの方向に回転することにより、リード・ライトヘッド15がディスク10の半径方向に移動し、所望のトラックを走査することが可能になる。
【0044】
ディスク10の外周部には、ランプ機構16が配置されており、アーム14の先端に係合してリード・ライトヘッド15をディスク10から離間させて保持するようになっている。
【0045】
さらに、ディスク装置1では、図9に示すように、磁気ディスク装置内の制御部と外部の上位システム4とを接続するためのインタフェースコネクタ(図示されていない)が設けられている。
【0046】
図9において、リード・ライトヘッド15によりディスク10から読み取られた再生信号は、ヘッドIC17に供給され、増幅された後にプリント回路アセンブリ3に供給される。
【0047】
このプリント回路アセンブリ12は、ハードディスクコントローラ(HDC)21、RAM(Random Access Memory)22、フラッシュROM(FROM:Flash Read Only Memory)23、MPU(Microprocessor Unit )24、リードチャネル(RDC)25、サーボコントローラ(SVC)26、およびドライバ27、28を含む構成である。ヘッドIC17より供給される再生信号は、プリント回路アセンブリ3上のリードチャネル25に供給され、データ情報およびサーボ位置決め情報を復調する。
【0048】
さらに、リードチャネル25により復調されたサーボ位置決め情報はMPU24に供給される。このMPU24は、フラッシュROM23に予め記憶されているプログラムにより動作し、供給されたサーボ位置決め情報を処理して得られる情報をサーボコントローラ26に供給する。そして、MPU24は、サーボコントローラ26を介してボイスコイルモータ13を制御することによって、リード・ライトヘッド15を指定されたトラック位置にシークさせる等の動作を遂行する。上記のMPU24はまた、リード・ライトヘッド15のシーク動作を実行する際に、このリード・ライトヘッド15の位置を前もって推定するためのヘッド位置推定手段として機能する。
【0049】
上記のような制御部の構成は、基本的に、一般に使用されているディスク装置の制御部の構成と同じである。
【0050】
図10は、本発明の第1の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。ただし、ここでは、単一のディスク10のサーボシリンダ20に形成されたサーボ信号パターンの様子を代表して示す。
【0051】
図10の第1の実施例においては、ディスク面上のサーボ信号が書き込まれる領域において、ディスク上のサーボ信号パターンの記録密度を変えて記録するようになっている。ここでは、サーボシリンダ20においてディスク10のインナー側からアウター側までの領域を2つの領域(P0、P1)に分ける。
【0052】
この区分けしたサーボシリンダの領域毎に、異なるサーボ信号周波数Fs0およびFs1を設定し、設定されたサーボ信号周波数に対応するサーボ信号パターンをそれぞれ配置する。
【0053】
また一方で、サーボ信号周波数は、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好になるように設定する。
【0054】
さらに、サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンを配置した領域P0とサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを配置した領域P1との境界に、サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置する領域P01を設ける。
【0055】
2つのサーボ信号パターンが存在する領域P01のサーボシリンダ上には、サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを、各々のサーボ信号パターン毎に交互に配置する。
【0056】
データ面サーボ方式に相当するエンベディッドサーボ方式では、サーボ信号パターンがデータ領域を挟んで配置されているため、リード・ライトヘッドのシーク動作時には、次のサーボ信号パターンを読み込むまで、次にサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定する必要があり、このリード・ライトヘッドの位置の推定誤差を考慮しなければならない。サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置する領域では、リード・ライトヘッドの位置を推定する際の最大位置推定誤差の2倍のサーボシリンダ数の幅を持たせるようになっている。
【0057】
図11〜図13は、それぞれ、本発明の第1の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャートのその1〜その3である。
【0058】
まず初めに、ステップS10に示すように、シークコマンドが発行されると、蓄積してあるリード・ライトヘッド位置に関するサーボ情報やVCM電流などから、次のサーボ信号パターンでのリード・ライトヘッドの位置を推定する(ステップS11)。
【0059】
サーボシリンダと領域との対応表と推定したリード・ライトヘッドの位置(サーボシリンダ)とを比較して、推定したリード・ライトヘッドの位置が属する領域を判定する(ステップS12)。
【0060】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置(図中、リード・ライトヘッド推定位置と略記することもある)が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図11のステップS13)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側であれば(図12のステップS14)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のアウター側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図12のステップS15)。
【0061】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図11のステップS13)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッド位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側であれば(図12のステップS14)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のインナー側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図12のステップS16)。
【0062】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図11のステップS13)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と異なる領域に属するときは(図12のステップS17)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数に設定する(図12のステップS18)。
【0063】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図11のステップS13)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と同じ領域に属するときは(図12のステップS17)、リードチャネルのサーボ信号周波数の設定は変更しない(図12のステップS19)。
【0064】
さらに、図13のステップS20に示すように、次のサーボ信号パターンを読み込んでサーボ復調を行う。
【0065】
ここで、サーボ復調が行えなかった(サーボシンクマーク検出エラーのため)ときは(ステップS21)、推定したリード・ライトヘッドの位置を用いてヘッド位置決めを実行する(ステップS23)。
【0066】
また一方で、サーボ復調が行えた(サーボシンクマーク検出が正常に行われたため)ときは(ステップS21)、復調した位置決め情報をメモリ(例えば、図9のRAM)内に記憶させ、新たに得られた位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(ステップS22)。
【0067】
リード・ライトヘッドの位置が、シーク目的のサーボシリンダであれば(ステップS24)、シーク動作を終了し(ステップS25)、シーク目的のサーボシリンダでなければ、再度、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定しシーク動作を繰り返す。
【0068】
図14は、本発明の第1の実施例におけるリード・ライトヘッドの推定位置を示す模式図である。この図14に基づいて、上記第1の実施例の効果を説明する。
【0069】
上記第1の実施例によれば、リード・ライトヘッドのシーク動作時において、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定した結果、推定したリード・ライトヘッドの位置が、サーボ信号周波数の領域とサーボ信号周波数の領域との境界、すなわち、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域であったときは、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、推定したリード・ライトヘッドの位置と実際にリード・ライトヘッドが到達する位置とが異なっていても、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域は推定誤差の2倍のシリンダ数を配置している。
【0070】
それゆえに、どちらか一方のサーボ信号周波数にリードチャネルのサーボ信号周波数の設定をすることで、サーボシリンダ上にサーボ信号パターン毎に交互に配置されている2つの異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを、1/2の確率で復調することが可能である。
【0071】
また一方で、低速のシーク動作時において、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域付近を通過するときに、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、リードチャネルのサーボ信号周波数が、読み込んだサーボ信号のサーボ信号周波数と異なってサーボ信号を復調することができなくても、その次に読み込むサーボ信号は、リードチャネルのサーボ信号周波数に設定してあるサーボ信号周波数であり、サーボ信号を復調することができるので、連続して幾つかのサーボ信号が復調できなくなるようなシークエラーを防止することが可能である。
【0072】
図15は、本発明の第2の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。ただし、ここでも、単一のディスク10のサーボシリンダ20に形成されたサーボ信号パターンの様子を代表して示す。
【0073】
図15の第2の実施例においては、ディスク面上のサーボ信号が書き込まれる領域において、ディスク面上のサーボ信号パターンの記録密度を変えて記録するようになっている。ここでは、サーボシリンダ20においてディスク10のインナー側からアウター側までを2つの領域(P0、P1)に分ける。
【0074】
この区分けしたサーボシリンダの領域毎に、異なるサーボ信号周波数Fs0およびFs1を設定し、設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンをそれぞれ配置する。
【0075】
また一方で、サーボ信号周波数は、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好になるように設定する。
【0076】
さらに、サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンを配置した領域P0とサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを配置した領域P1との境界に、サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置する領域P01を設ける。
【0077】
サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置した2つのサーボ信号パターンが存在する領域P01では、異なったサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを同時にリード・ライトヘッドで読み込まないように、ディスクの円周方向に連続して、間隔を開けず、2つの異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置する。
【0078】
また一方で、2つのサーボ信号パターンが存在する領域とサーボ信号周波数の領域とで領域が異なっても、同じサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンは、サーボ信号周波数の領域に配置されるサーボ信号パターンの先頭部と位相を揃えて配置する。
【0079】
エンベディッドサーボ方式では、サーボ信号パターンがデータ領域を挟んで配置されているため、リード・ライトヘッドのシーク動作時には、次のサーボ信号パターンを読み込むまで、次にサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定する必要があり、このリード・ライトヘッドの位置の推定誤差を考慮しなければならない。サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置する領域では、リード・ライトヘッドの位置を推定する際の最大位置推定誤差の2倍のサーボシリンダ数の幅を持たせるようになっている。
【0080】
図16〜図18は、それぞれ、本発明の第2の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャートのその1〜その3である。
【0081】
まず初めに、ステップS30に示すように、シークコマンドが発行されると、蓄積してあるリード・ライトヘッド位置に関するサーボ情報やVCM電流などから、次のサーボ信号パターンでのリード・ライトヘッドの位置を推定する(ステップS31)。
【0082】
サーボシリンダと領域との対応表と推定したリード・ライトヘッドの位置とを比較して、推定したリード・ライトヘッドの位置が属する領域を判定する(ステップS32)。
【0083】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図16のステップS33)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側であれば(図17のステップS34)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のアウター側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図17のステップS35)。
【0084】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図16のステップS33)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側であれば、(図17のステップS34)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のインナー側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図17のステップS36)。
【0085】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図16のステップS33)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と異なる領域に属するときは(図17のステップS37)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数に設定する(図17のステップS38)。
【0086】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図16のステップS33)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と同じ領域に属するときは(図17のステップS37)、リードチャネルのサーボ信号周波数の設定は変更しない(図17のステップS39)。
【0087】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域である場合、連続して読み込まれる2つのサーボ信号を、それぞれ復調する(図17のステップS40)。
【0088】
リードチャネルのサーボ信号周波数は、2つの異なるサーボ信号のうちのどちらか一方に設定されているため、2つのサーボ信号のうちの一方に対して、必ずサーボ信号の復調が可能である(図18のステップS41〜S44)。
【0089】
2つのサーボ信号の復調結果のうち、復調することができた(サーボシンクマークの検出が正常に行われたため)方の位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図18のステップS45)。
【0090】
推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合、次のサーボ信号パターンを読み込んでサーボ復調を実行する(図17のステップS46)。
【0091】
ここで、サーボ復調が行えなかった(サーボシンクマーク検出エラーのため)ときは(図18のステップS47)、推定したリード・ライトヘッドの位置を用いてヘッド位置決めを実行する(図18のステップS45)。
【0092】
また一方で、サーボ復調が行えた(サーボシンクマークの検出が正常に行われたため)ときは(図18のステップS47)、復調した位置決め情報をメモリ内に記憶させ(図18のステップS48)、新たに得られた位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図18のステップS49)。
【0093】
リード・ライトヘッドの位置が、シーク目的のサーボシリンダであれば(図18のステップS50)、シーク動作を終了し(図18のステップS51)、シーク目的のサーボシリンダでなければ、再度、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定しシーク動作を繰り返す。
【0094】
上記第2の実施例では、オントラックした状態にあるサーボシリンダが、サーボ信号周波数Fs0およびFs1で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域である場合、シーク動作時と同様に、連続して配置してある2つのサーボ信号周波数の異なるサーボ信号パターンを連続して読み込むことで、サーボ信号の復調を行うことができる。
【0095】
図19は、本発明の第2の実施例におけるリード・ライトヘッドの推定位置を示す模式図である。この図19に基づいて、上記第2の実施例の効果を説明する。
【0096】
上記第2の実施例によれば、リード・ライトヘッドのシーク動作時において、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定した結果、推定したリード・ライトヘッドの位置が、サーボ信号周波数の領域とサーボ信号周波数の領域との境界、すなわち、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域であったときは、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、推定したリード・ライトヘッドの位置と実際にリード・ライトヘッドが到達する位置とが異なっていても、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域は推定誤差の2倍のシリンダ数存在するようになっている。
【0097】
それゆえに、どちらか一方のサーボ信号周波数にリードチャネルのサーボ信号周波数の設定をすることで、円周方向に連続して配置されている2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを読み込み、サーボ信号の復調を行うため、必ずどちらか一方のサーボ信号パターンを復調をすることが可能である。このため、リードチャネルのサーボ信号周波数設定の要因で、サーボ信号の復調エラーが発生することはない。
【0098】
また一方で、低速のシーク動作時においても、リードチャネルのサーボ信号周波数設定の要因で、連続してサーボ信号の復調エラーが発生することはない。
【0099】
2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンの領域と領域との境界にオントラックしたときは、2つの領域で使用しているサーボ信号周波数の2つのサーボ信号パターンを配置する領域を設け、円周方向に連続して2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置しているため、リード・ライトヘッドがサーボ信号周波数の異なる2つのサーボ信号を同時に読み込むことがなく、単一のサーボ周波数のサーボ信号を読み込むことができる。
【0100】
リードチャネルのサーボ信号周波数は、2つのサーボ信号周波数のうちのどちらか一方に設定されているため、サーボ信号を復調することが可能であり、リードチャネルのサーボ信号周波数設定の要因で、サーボ信号の復調エラーが発生することはない。
【0101】
図20は、本発明の第3の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。ただし、ここでも、単一のディスク10のサーボシリンダ20に形成されたサーボ信号パターンの様子を代表して示す。
【0102】
図20の第3の実施例においては、ディスク面上のサーボ信号が書き込まれる領域において、ディスク上のサーボ信号パターンの記録密度を変えて記録するようになっている。ここでは、サーボシリンダ20においてディスク10のインナー側からアウター側までの領域を幾つかの領域(例えば、P0、P1)に分ける。
【0103】
この区分けしたサーボシリンダの領域毎に、異なるサーボ信号周波数Fs0およびFs1を設定し、設定されたサーボ信号周波数に対応するサーボ信号パターンをそれぞれ配置する。
【0104】
また一方で、サーボ信号周波数は、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好になるように設定する。
【0105】
さらに、サーボ信号周波数をFs0に設定したサーボ信号パターンの領域P0と、サーボ信号周波数をFs0に設定したサーボ信号パターンの領域P0に隣接するサーボ信号周波数をFs1に設定したサーボ信号パターンの領域P1との境界に、サーボ信号周波数をFs0およびFs1に設定したサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダに配置されている領域P01を設ける。
【0106】
サーボ信号周波数がFs0およびFs1に設定されたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダに配置されている領域P01では、両隣のサーボ信号周波数の領域に配置しているサーボ信号パターンの間隔の半分の間隔でもってサーボ信号パターンを配置する。ここでは、サーボシリンダ上のサーボ信号パターン毎に、サーボ信号周波数Fs0およびFs1のサーボ信号パターンを交互に配置する。
【0107】
また一方で、2つのサーボ信号パターンが存在する領域とサーボ信号周波数の領域とで領域が異なっても、同じサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンは、サーボ信号周波数の領域のサーボ信号パターンの先頭部と位相を揃えて配置する。
【0108】
エンベディッドサーボ方式では、サーボ信号パターンがデータ領域を挟んで配置されているため、リード・ライトヘッドのシーク動作時には、次のサーボ信号パターンを読み込むまで、リード・ライトヘッドの位置を推定する必要がある。
【0109】
2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域では、リード・ライトヘッドの位置を推定する際の最大位置推定誤差の2倍のサーボシリンダ数の幅を持たせるようになっている。
【0110】
図21〜図23は、それぞれ、本発明の第3の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャートのその1〜その3である。
【0111】
まず初めに、ステップS60に示すように、シークコマンドが発行されると、蓄積してあるリード・ライトヘッド位置に関するサーボ情報やVCM電流などから、次のサーボ信号パターンでのリード・ライトヘッドの位置を推定する(ステップS61)。
【0112】
サーボシリンダと領域との対応表と推定したリード・ライトヘッドの位置とを比較して、推定したリード・ライトヘッドの位置が属する領域を判定する(ステップS62)。
【0113】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図21のステップS63)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側であれば(図22のステップS64)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のアウター側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図22のステップS65)。
【0114】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図21のステップS63)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側であれば、(図22のステップS64)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のインナー側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図22のステップS66)。
【0115】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図21のステップS63)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と異なる領域に属するときは(図22のステップS70)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数に設定する(図22のステップS71)。
【0116】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図21のステップS63)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と同じ領域に属するときは(図22のステップS70)、リードチャネルのサーボ信号周波数の設定は変更しない(図22のステップS73)。
【0117】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域である場合、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダを中心にヘッド位置推定誤差分のサーボシリンダの範囲内であるときは(図22のステップS67)、サーボ信号パターンを読み込む(リードする)タイミングを、単一のサーボ信号周波数で書かれているサーボ信号パターンの領域でのタイミングの半分の間隔に設定する(図22のステップS68)。
【0118】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域である場合、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダを中心にヘッド位置推定誤差分のサーボシリンダの範囲外であるときは(図22のステップS67)、推定したリード・ライトヘッドの位置に最も近いような2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域に接する単一のサーボ信号周波数で書かれているサーボ信号パターンの領域のサーボ信号パターンを読み込むタイミングに設定する(図22のステップS69)。
【0119】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図21のステップS63)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と異なる領域に属するときは(図22のステップS70)、サーボ信号パターンを読み込む(リードする)タイミングを、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する単一のサーボ信号周波数で書かれているサーボパターンの領域のタイミングに設定する(図22のステップS72)。
【0120】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図21のステップS63)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と同じ領域に属するときは(図22のステップS70)、サーボ信号パターンを読み込むタイミングは変更しない(図22のステップS74)。
【0121】
さらに、図23のステップS75に示すように、次のサーボ信号パターンを読み込んでサーボ信号の復調を行う。
【0122】
ここで、サーボ信号の復調が行えなかった(サーボシンクマーク検出エラーのため)ときは(図23のステップS76)、推定したリード・ライトヘッドの位置を用いてヘッド位置決めを実行する(図23のステップS77)。
【0123】
また一方で、サーボ復調が行えた(サーボシンクマーク検出が正常に行われたため)ときは(図23のステップS76)、復調した位置決め情報をメモリ内に記憶させ、新たに得られた位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図23のステップS78)。
【0124】
リード・ライトヘッドの位置が、シーク目的のサーボシリンダであれば(図23のステップS79)、シーク動作を終了し(図23のステップS80)、シーク目的のサーボシリンダでなければ、再度、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定する。
【0125】
ついで、本発明の第3の実施例の効果を説明する。上記第3の実施例によれば、リード・ライトヘッドのシーク動作時において、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定した結果、推定したリード・ライトヘッドの位置が、サーボ信号周波数の領域とサーボ信号周波数の領域との境界、すなわち、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域であったときは、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、推定したリード・ライトヘッドの位置と実際にリード・ライトヘッドが到達する位置とが異なっていても、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域は推定誤差の2倍のシリンダ数存在するようになっている。
【0126】
それゆえに、どちらか一方のサーボ信号周波数にリードチャネルのサーボ信号周波数の設定をすることで、サーボシリンダ上に交互に配置されている2つの異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンに関し、1/2の確率でサーボ信号を復調することが可能である。
【0127】
また一方で、低速のシーク動作時においても、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域付近を通過するときに、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、リードチャネルのサーボ信号周波数が、読み込んだサーボ信号のサーボ信号周波数と異なってサーボ信号を復調することができなくても、その次に読み込むサーボ信号のサーボ信号周波数は、リードチャネルのサーボ信号周波数に設定してあるサーボ信号周波数であり、サーボ信号を復調することができるので、連続して幾つかのサーボ信号が復調できなくなるようなシークエラーを防止することが可能である。
【0128】
さらに、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域では、1/2の時間間隔で2つの異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを交互に配置しているので、1度周波数の設定要因でサーボ信号を復調することができなくても、短時間でサーボ信号を復調することができ、位置決め精度を上げることが可能である。
【0129】
図24は、本発明の第4の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。ただし、ここでも、単一のディスク10のサーボシリンダ20に形成されたサーボ信号パターンの様子を代表して示す。
【0130】
図24の第4の実施例においては、ディスク面上のサーボ信号が書き込まれる領域において、ディスク上のサーボ信号パターンの記録密度を変えて記録するようになっている。ここでは、サーボシリンダ20においてディスク10のインナー側からアウター側までの領域を4つの領域(P0、P1、P2およびP3)に分ける。
【0131】
この区分けしたサーボシリンダの領域毎に、異なる基本サーボ信号周波数Fs0、Fs1、Fs2およびFs3をそれぞれ設定する。
【0132】
また一方で、サーボ信号周波数は、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好になるように設定する。
【0133】
ここで、1つのサーボ信号周波数が書かれているサーボ信号の領域の幅は、リード・ライトヘッドのヘッド位置推定手段の最大推定誤差分に相当するサーボシリンダ数よりも大きく設定する。
【0134】
さらに、サーボ信号周波数の領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側のサーボ信号周波数の領域では、基本のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと、サーボ信号周波数の領域のアウター側に隣接するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとを連続して間隔を開けず配置する。
【0135】
さらに、サーボ信号周波数の領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側のサーボ信号周波数の領域では、基本のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと、サーボ信号周波数の領域のインナー側に隣接するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとを連続して間隔を開けず配置する。
【0136】
隣接するサーボ信号周波数の領域において、サーボ信号周波数の領域が異なっていても同じサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンは、先頭部と位相を揃えて配置する。また一方で、隣接するサーボ信号周波数の領域の境界に、リード・ライトヘッドがオントラックしたとき、同時に異なったサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを読み込まないように、ずらして配置するようになっている。
【0137】
図25〜図27は、それぞれ、本発明の第4の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャートのその1〜その3である。
【0138】
まず初めに、ステップS90に示すように、シークコマンドが発行されると、蓄積してあるリード・ライトヘッド位置に関するサーボ情報やVCM電流などから、次のサーボ信号パターンでのリード・ライトヘッドの位置を推定する(ステップS91)。
【0139】
サーボシリンダと領域との対応表と推定したリード・ライトヘッドの位置とを比較して、推定したリード・ライトヘッドの位置が属する領域を判定する(ステップS92)。
【0140】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側であれば(図25のステップS93)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のアウター側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図26のステップS94)。
【0141】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側であれば、(図25のステップS93)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のインナー側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図26のステップS95)。
【0142】
さらに、図26のステップS96に示すように、連続して読み込まれる(リードされる)2つのサーボ信号をそれぞれ復調する。ここで、リードチャネルのサーボ信号周波数は、2つのサーボ信号のうちのどちらか一方に設定されているため、2つのサーボ信号のうちのどちらか一方に関し、必ずサーボ信号を復調することが可能である(図26のステップS97〜S100)。
【0143】
2つのサーボ信号の復調結果のうち、復調することができた方の(サーボシンクマーク検出が正常に行われたため)位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図27のステップS102)。
【0144】
また一方で、復調することができないとき(サーボシンクマーク検出エラーのため)は、推定したリード・ライトヘッドの位置を用いてヘッド位置決めを実行する(図27のステップS101)。
【0145】
リード・ライトヘッドの位置が、シーク目的のサーボシリンダであれば(図27のステップS103)、シーク動作を終了し(図27のステップS104)、シーク目的のサーボシリンダでなければ、再度、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定してシーク動作を繰り返す。
【0146】
オントラックした状態のサーボシリンダが、サーボ信号周波数Fs0およびFs1で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であるときは、シーク動作時と同様に、連続して配置してある2つのサーボ信号周波数の異なるサーボ信号パターンを連続して読み込み、サーボ信号の復調を行うようになっている。
【0147】
リードチャネルのサーボ信号周波数は、サーボ信号周波数がFs0またはFs1のどちらか一方に設定されているので、どちらか一方のサーボ信号周波数(Fs0またはFs1)で書かれているサーボ信号を復調することが可能である。このサーボ信号を復調した結果を用いて、ヘッド位置決めを行うことができる。
【0148】
ついで、本発明の第4の実施例の効果を説明する。上記第4の実施例によれば、リード・ライトヘッドのシーク動作時において、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定した結果、推定したリード・ライトヘッドの位置が、サーボ信号周波数の領域とサーボ信号周波数の領域との境界付近であったときは、推定したリード・ライトヘッドの位置が属するサーボ信号周波数の領域と、実際のリード・ライトヘッドの位置が属するサーボ信号周波数の領域とが異なっていても、2つのサーボ信号周波数の領域は隣接している。 それゆえに、2つのサーボ信号周波数の領域の半分までは、お互いの基本のサーボ信号周波数のサーボ信号パターンが配置されているので、2つ連続して配置されているサーボ信号パターンを読み込んでサーボ信号を復調すれば、どちらか一方のサーボ信号周波数が書かれているサーボ信号は復調することができるため、リードチャネルのサーボ信号周波数設定の要因で、サーボ信号の復調エラーが発生することはない。
【0149】
また一方で、低速のシーク動作時においても、リードチャネルのサーボ信号周波数設定の要因で、連続してサーボ信号の復調エラーが発生するのを防止することが可能である。
【0150】
さらに、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンの領域と領域との境界にオントラックしたときは、2つの領域で使用しているサーボ信号周波数の2つのサーボ信号パターンを配置する領域を設け、円周方向に連続して2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置しているため、リード・ライトヘッドがサーボ信号周波数の異なる2つのサーボ信号を同時に読み込むことがなく、単一のサーボ周波数のサーボ信号を読み込むことができる。
【0151】
さらに、リードチャネルのサーボ信号周波数は、2つのサーボ信号周波数のうちのどちらか一方に設定されているため、サーボ信号を復調することが可能であり、リードチャネルのサーボ信号周波数設定の要因で、サーボ信号の復調エラーが発生するのを防止することが可能である。
【0152】
図28は、本発明の第5の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。ただし、ここでも、単一のディスク10のサーボシリンダ20に形成されたサーボ信号パターンの様子を代表して示す。
【0153】
図28の第5の実施例においては、ディスク面上のサーボ信号が書き込まれる領域において、ディスク上のサーボ信号パターンの記録密度を変えて記録するようになっている。ここでは、サーボシリンダ20においてディスク10のインナー側からアウター側までの領域を2つの領域(PC0、PC1)に分ける。
【0154】
この区分けしたサーボシリンダの領域毎に、異なる中心のサーボ信号周波数Fs0およびFs1を設定し、設定された中心のサーボ信号周波数に対応するサーボ信号パターンをそれぞれ配置する。
【0155】
さらに、サーボシリンダ毎に、中心のサーボ信号周波数から、リードチャネルのサーボPLL回路(例えば、図9のリードチャネル25に含まれるサーボPLL回路)における分周回路のサーボ信号周波数追従範囲でサーボ信号周波数を変化させて、サーボ信号パターンを配置する。この場合、サーボ信号パターンの記録密度が、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好な範囲になるように設定し、領域毎に設定された中心のサーボ信号周波数を中心として、各々のサーボシリンダ毎に、サーボ信号周波数を変えたサーボ信号パターンを配置するようになっている。
【0156】
さらに、中心のサーボ信号周波数をFs0に設定したサーボ信号パターンの領域PC0と、中心のサーボ信号周波数をFs0に設定したサーボ信号パターンの領域PC0に隣接する中心のサーボ信号周波数をFs1に設定したサーボ信号パターンの領域PC1との境界に、中心のサーボ信号周波数をFs0およびFs1に設定されたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダに配置されている領域PC01を設ける。
【0157】
ここで、中心のサーボ信号周波数がFs0およびFs1に設定されたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダに配置されている領域PC01では、各々のサーボ信号パターン毎に、サーボ信号周波数Fs0を中心のサーボ信号周波数に設定したサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1を中心のサーボ信号周波数に設定したサーボ信号パターンとを交互に配置する。
【0158】
エンベディッドサーボ方式では、サーボ信号パターンがデータ領域を挟んで配置されているため、リード・ライトヘッドのシーク動作時には、次のサーボ信号パターンを読み込むまで、リード・ライトヘッドの位置を推定する必要がある。
【0159】
2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域では、リード・ライトヘッドの位置を推定する際の最大位置推定誤差の2倍のサーボシリンダ数の幅を持たせるようになっている。
【0160】
図29〜図31は、それぞれ、本発明の第5の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャートのその1〜その3である。
【0161】
まず初めに、ステップS110に示すように、シークコマンドが発行されると、蓄積してあるリード・ライトヘッド位置に関するサーボ情報やVCM電流などから、次のサーボ信号パターンでのリード・ライトヘッドの位置を推定する(ステップS111)。
【0162】
サーボシリンダと領域との対応表と推定したリード・ライトヘッドの位置とを比較して、推定したリード・ライトヘッドの位置が属する領域を判定する(ステップS112)。
【0163】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図29のステップS113)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側であれば(図30のステップS114)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のアウター側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図30のステップS115)。
【0164】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図29のステップS113)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側であれば、(図30のステップS114)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のインナー側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図30のステップS116)。
【0165】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図29のステップS113)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と異なる領域に属するときは(図30のステップS117)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッド位置の属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数に設定する(図30のステップS118)。
【0166】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図29のステップS113)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と同じ領域に属するときは(図30のステップS117)、リードチャネルのサーボ信号周波数の設定は変更しない(図30のステップS119)。
【0167】
さらに、図31のステップS120に示すように、次のサーボ信号パターンを読み込んでサーボ信号の復調を行う。
【0168】
ここでは、各々のサーボシリンダ毎にサーボ信号周波数を変えているが、リードチャネルのサーボPLL回路における分周回路のサーボ信号周波数追従範囲内であるので、サーボ信号のサーボ信号周波数に追従することができ、サーボ信号の復調を行うことが可能である。
【0169】
サーボ信号の復調が行えなかった(サーボシンクマーク検出エラーのため)ときは(図31のステップS121)、推定したリード・ライトヘッドの位置を用いてヘッド位置決めを実行する(図31のステップS123)。
【0170】
また一方で、サーボ復調が行えた(サーボシンクマーク検出が正常に行われたため)ときは(図31のステップS121)、復調した位置決め情報をメモリ内に記憶させ、新たに得られた位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図31のステップS122)。
【0171】
リード・ライトヘッドの位置が、シーク目的のサーボシリンダであれば(図31のステップS124)、シーク動作を終了し(図31のステップS125)、シーク目的のサーボシリンダでなければ、再度、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定する。
【0172】
図32は、本発明の第5の実施例におけるリード・ライトヘッドの推定位置を示す模式図である。この図32に基づいて、上記第5の実施例の効果を説明する。
【0173】
上記5の実施例によれば、リード・ライトヘッドのシーク動作時において、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定した結果、推定したリード・ライトヘッドの位置が、サーボ信号周波数の領域とサーボ信号周波数の領域との境界、すなわち、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域であったときは、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、推定したリード・ライトヘッドの位置と実際にリード・ライトヘッドが到達する位置とが異なっていても、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域は推定誤差の2倍のシリンダ数存在するようになっている。
【0174】
それゆえに、どちらか一方のサーボ信号周波数にリードチャネルのサーボ信号周波数の設定をすることで、サーボシリンダ上に交互に配置されている2つの異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンに関し、1/2の確率でサーボ信号を復調することが可能である。
【0175】
また一方で、低速のシーク動作時においても、新たに設けた2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域付近を通過するときに、推定したリード・ライトヘッドの位置に推定誤差が含まれ、リードチャネルのサーボ信号周波数が、読み込んだサーボ信号のサーボ信号周波数と異なってサーボ信号を復調することができなくても、その次に読み込むサーボ信号のサーボ信号周波数は、リードチャネルのサーボ信号周波数に設定してあるサーボ信号周波数であり、サーボ信号を復調することができるので、連続して幾つかのサーボ信号が復調できなくなるようなシークエラーを防止することが可能である。
【0176】
ここでは、各々のサーボシリンダ毎にサーボ信号周波数を変えることによって、ディスク面上のサーボ信号パターンの記録密度の範囲をさらに狭くすることができ、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性の良好な範囲でディスクを使用することが可能である。
【0177】
図33は、本発明の第5の実施例で使用できないサーボPLL回路の引き込み可能なサーボ信号周波数範囲を示す図であり、図34は、本発明の第5の実施例で使用するサーボPLL回路の引き込み可能なサーボ信号周波数範囲を示す図である。
【0178】
これらの図33および図34を参照しながら、上記第5の実施例で各々のサーボシリンダ毎にサーボ信号周波数の設定を変える場合のサーボPLL回路の引き込み可能なサーボ信号周波数範囲に関して、さらに詳しく説明することとする。
【0179】
上記第5の実施例では、サーボ信号周波数の各々の領域内にて設定された中心のサーボ信号周波数からサーボ信号周波数をサーボシリンダ毎に変動させてサーボ信号パターンを配置する場合、中心のサーボ信号周波数から変動させるサーボ信号周波数範囲は、サーボPLL回路のサーボ信号周波数追従範囲に限定しないことが望ましい。逆にいえば、サーボ信号周波数の領域の最大外径側と最小内径側のサーボ信号パターンの記録密度が、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好な範囲に収まるように設定することが好ましい。
【0180】
リードチャネルが復調可能なサーボ信号周波数に関していえば、図33に示すように、ディスク装置内に実装されるサーボPLL回路の規模が制限されることによって、離散的なサーボ信号周波数(例えば、Fsa、FsbおよびFsc)にしか設定することができない。このため、リードチャネルのサーボPLL回路を使用してサーボ信号周波数を変化させた場合、リードチャネルでは復調することができないサーボ信号周波数の範囲(すなわち、サーボ信号周波数追従不可能な範囲)が存在することになる。
【0181】
このような不都合な事態に対処するために、図34では、リードチャネルのサーボPLL回路により設定される複数のサーボ信号周波数(例えば、Fsa、FsbおよびFsc)の変動範囲が重なるように、サーボ信号周波数追従範囲を予め設定しておく。このようにすれば、サーボPLL回路が追従可能なサーボ信号周波数の変動範囲が、ディスク面の全てのサーボ信号周波数帯域において重なるようになり、リードチャネルのサーボPLL回路により設定される1つのサーボ信号周波数と当該サーボ信号周波数に隣接する他のサーボ信号周波数との間で、追従することができないサーボ信号周波数帯域が存在しないようになる。
【0182】
換言すれば、1つのサーボ信号周波数の領域において、サーボ信号周波数を変える範囲が広く、各々の領域に設定してある中心のサーボ信号周波数に対してリードチャネルの設定がなされた場合、1つのサーボ信号周波数では追従不可能であっても、中心のサーボ信号周波数の隣のサーボ信号周波数に対してリードチャネルを再設定することで、サーボPLL回路によるサーボ信号周波数追従が可能になるので、サーボ信号の復調を誤りなく行うことができる。
【0183】
この結果、さらに広いサーボ信号周波数範囲で、サーボ信号周波数の領域の最大外径側と最小内径側のサーボ信号パターンの記録密度が、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好な範囲になるように設定することができるようになる。
【0184】
図35は、本発明の第6の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。ただし、ここでも、単一のディスク10のサーボシリンダ20に形成されたサーボ信号パターンの様子を代表して示す。
【0185】
図35の第6の実施例においては、ディスク面上のサーボ信号が書き込まれる領域において、ディスク面上のサーボ信号パターンの記録密度を変えて記録するようになっている。ここでは、サーボシリンダ20においてディスク10のインナー側からアウター側までを2つの領域(P0、P1)に分ける。
【0186】
この区分けしたサーボシリンダの領域毎に、異なるサーボ信号周波数Fs0およびFs1を設定し、設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンをそれぞれ配置する。
【0187】
この場合、各々の領域の中心のサーボ信号周波数に関していえば、各々の領域の最大外径側と最小内径側のサーボ信号パターンの記録密度が、サーボシンクマークのエラーレイト特性やグレイコードのエラーレイト特性やバースト値の分散特性が比較的良好な範囲になるように設定する。
【0188】
さらに、サーボ信号周波数をFs0に設定したサーボ信号パターンの領域P0と、サーボ信号周波数をFs0に設定したサーボ信号パターンの領域P0に隣接するサーボ信号周波数をFs1に設定したサーボ信号パターンの領域P1との境界に、中心のサーボ信号周波数をFs0およびFs1に設定されたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダに配置されている領域P01を設ける。
【0189】
サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置した2つのサーボ信号パターンが存在する領域P01では、異なったサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを同時にリード・ライトヘッドで読み込まないように、ディスクの円周方向に連続して、間隔を開けず、2つの異なるサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置する。
【0190】
また一方で、2つのサーボ信号パターンが存在する領域とサーボ信号周波数の領域とで領域が異なっても、同じサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンは、サーボ信号周波数の領域に配置されるサーボ信号パターンの先頭部と位相を揃えて配置する。
【0191】
エンベディッドサーボ方式では、サーボ信号パターンがデータ領域を挟んで配置されているため、リード・ライトヘッドのシーク動作時には、次のサーボ信号パターンを読み込むまで、次にサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定する必要があり、このリード・ライトヘッドの位置の推定誤差を考慮しなければならない。サーボ信号周波数Fs0で書かれたサーボ信号パターンとサーボ信号周波数Fs1で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置する領域では、リード・ライトヘッドの位置を推定する際の最大位置推定誤差の2倍のサーボシリンダ数の幅を持たせるようになっている。
【0192】
ここでは、ディスク10のインナー側からアウター側まで、サーボ信号周波数を変えるサーボ信号パターンの他に、さらに、ディスク10のインナー側からアウター側まで単一のサーボ信号周波数Fs2で書かれたサーボ信号パターンをサーボシリンダ上(例えば、領域PS2)に一箇所配置するようになっている。
【0193】
図36〜図38は、それぞれ、本発明の第6の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャートのその1〜その3である。
【0194】
まず初めに、ステップS130に示すように、シークコマンドが発行されると、蓄積してあるリード・ライトヘッド位置に関するサーボ情報やVCM電流などから、次のサーボ信号パターンでのリード・ライトヘッドの位置を推定する(ステップS131)。
【0195】
サーボシリンダと領域との対応表と推定したリード・ライトヘッドの位置とを比較して、推定したリード・ライトヘッドの位置が属する領域を判定する(ステップS132)。
【0196】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図36のステップS133)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのアウター側であれば(図37のステップS134)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のアウター側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図37のステップS135)。
【0197】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域であり(図36のステップS133)、かつ、推定したリード・ライトヘッドの位置が、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域の中心のサーボシリンダよりも、ディスクのインナー側であれば(図37のステップS134)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属する2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域のインナー側に接するサーボ信号周波数の領域に対して設定してあるサーボ信号周波数に設定する(図37のステップS136))。
【0198】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図36のステップS133)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と異なる領域に属するときは(図37のステップS138)、次のサーボ信号パターンを読み込む前に、リードチャネルのサーボ信号周波数を、推定したリード・ライトヘッドの位置の属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数に設定する(図37のステップS139)。
【0199】
また一方で、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合(図36のステップS133)、推定したリード・ライトヘッドの位置が、最新の(現在までの)位置が属しているサーボ信号周波数の領域と同じ領域に属するときは(図37のステップS138)、リードチャネルのサーボ信号周波数の設定は変更しない(図37のステップS140)。
【0200】
さらに、推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域である場合、連続して読み込まれる(リードされる)2つのサーボ信号を、それぞれ復調する(図37のステップS137)。
【0201】
リードチャネルのサーボ信号周波数は、2つの異なるサーボ信号のうちのどちらか一方に設定されているため、2つのサーボ信号のうちの一方に対して、必ずサーボ信号の復調が可能である(図37のステップS142およびS143と、図38のステップS144およびS145)。
【0202】
2つのサーボ信号の復調結果のうち、復調することができた(サーボシンクマークの検出が正常に行われたため)方の位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図38のステップS151)。
【0203】
推定したリード・ライトヘッドの位置が、新たにサーボ信号周波数の領域の境界に配置した2つのサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが存在する領域ではない場合、次のサーボ信号パターンを読み込んでサーボ復調を実行する(図37のステップS141)。
【0204】
ここで、サーボ信号の復調が行えなかった(サーボシンクマーク検出エラーのため)場合(図38のステップS146)、サーボ信号の復調エラーが、シークエラー判定回数以上連続して発生しないときは(図38のステップS148)、推定したリード・ライトヘッドの位置を用いてヘッド位置決めを実行する(図38のステップS151)。
【0205】
また一方で、サーボ復調が行えた(サーボシンクマークの検出が正常に行われたため)ときは(図38のステップS146)、復調した位置決め情報をメモリ内に記憶させ(図38のステップS147)、新たに得られた位置決め情報を用いてヘッド位置決めを実行する(図38のステップS152)。
【0206】
リード・ライトヘッドの位置が、シーク目的のサーボシリンダであれば(図38のステップS153)、シーク動作を終了し(図38のステップS154)、シーク目的のサーボシリンダでなければ、再度、次のサーボ信号パターンを読み込むときのリード・ライトヘッドの位置を推定しシーク動作を繰り返す。
【0207】
また一方で、サーボ信号の復調エラーが、シークエラー判定回数以上連続して発生し、サーボ信号の復調が行えなかった場合(図38のステップS148)、サーボ信号周波数の設定エラーが生じていると判定し、ディスクのインナー側からアウター側まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを読み込むために、リードチャネルのサーボ信号周波数を、インナー側からアウター側まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンのサーボ信号周波数(Fs2)に設定する(図38のステップS149)。
【0208】
さらに、ディスクのインナー側からアウター側までサーボシリンダ上に一箇所配置している単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを読み込んで、リード・ライトヘッドの位置情報のリカバリを行うようにしている(図38のステップS150)。ここで、再度、リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボ信号周波数になるようにリードチャネルのサーボ周波数を設定し直し、シーク動作を続ける。
【0209】
ついで、本発明の第6の実施例の効果を説明する。外部からの力などによって、急激にリード・ライトヘッドの位置が大きくずれてしまうと、リード・ライトヘッドの位置が異なるサーボ信号周波数の領域に移動してしまい、リードチャネルにて設定されているサーボ信号周波数と、実際にリード・ライトヘッドから読み込まれるサーボ信号のサーボ信号周波数とが大きく異なるために、サーボ信号を復調することができなくなる場合がある。
【0210】
シーク動作時にシークエラーが発生したときには、最小内径側のサーボシリンダの位置のような、位置決め情報なしでリード・ライトヘッドが移動可能であってサーボ信号周波数が判明している場所に、一度リード・ライトヘッドを移動させ再度リード・ライトヘッドの位置決めをしなくてはならない。
【0211】
上記第6の実施例では、インナー側からアウター側までの複数のサーボシリンダ上に、サーボ信号周波数を変えるサーボ信号パターンの他に、インナー側からアウター側まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを1つ配置するようになっている。
【0212】
このようにすれば、リードチャネルにて設定されているサーボ信号周波数設定と、読み込むべきサーボ信号のサーボ信号周波数とがずれたときでも、サーボ信号周波数の領域にかかわらず、リードチャネルのサーボ信号周波数を単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンのサーボ信号周波数に設定することによって、単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンから位置情報をリカバリすることができる。それゆえに、例えば最小内径側のサーボシリンダ等の特定のサーボシリンダに移動しなくても、再度、リード・ライトヘッドの位置が属する領域のサーボ信号周波数に設定することができ、リードチャネルのサーボ信号周波数の再設定を短時間で行うことが可能である。
【0213】
前述の第1〜第6の実施例に適用されるディスク装置に実装されるディスクは、単板STWとして使用する場合等のように、ディスク装置から取り外し可能になっている場合がある。この場合のディスクは、ディスク装置から独立したディスク媒体として、第1〜第6の実施例にて使用されるサーボ信号パターンをサーボシリンダに書き込んだ状態で出荷することが可能である。
【0214】
(付記1) ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される前記サーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、
前記ディスク上に記録されるサーボ信号の記録密度が、前記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように設定され、前記複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けすると共に領域毎に前記サーボ信号周波数の設定を行うように構成されることを特徴とするディスク装置。
【0215】
(付記2) ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号の周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定される前記サーボ信号の周波数のサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定されるサーボ信号周波数を記憶しておくようにしたディスク装置において、
区分けした第1のサーボ信号周波数の領域と該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域との境界に、前記第1のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと前記第2のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域を設けることを特徴とするディスク装置。
【0216】
(付記3) 2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域のサーボシリンダの数を、リード・ライトヘッドのシーク動作を実行する際に用いるヘッド位置推定手段における該リード・ライトヘッドの推定位置の最大推定誤差分以上のサーボシリンダ数とすることを特徴とする付記2記載のディスク装置。
【0217】
(付記4) サーボ信号周波数の領域に配置されるサーボ信号パターンと、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域に配置されるサーボ信号パターンのうち、サーボ信号周波数が等しいサーボ信号パターンを、サーボ信号パターンの先頭部に、位相を合わせて配置することを特徴とする付記2記載のディスク装置。
【0218】
(付記5) 2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域において、両隣のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で同じサーボ位置決め情報を書いた2つのサーボ信号パターンを、連続して配置することを特徴とする付記2記載のディスク装置。
【0219】
(付記6) 連続して配置されている周波数の異なる2つのサーボ信号パターンを読み出すことによって得られるサーボ信号を連続して復調し、前記サーボ信号パターンのうちの前記サーボ位置決め情報を復調することができた方の復調結果を使用して前記リード・ライトヘッドのヘッド位置決めを行うことを特徴とする付記5記載のディスク装置。
【0220】
(付記7) リード・ライトヘッドがシーク動作を行う場合、
次にサーボ信号パターンを読み出すときの前記リード・ライトヘッドの位置を推定し、
推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダが、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域であれば、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域に隣接するサーボ信号周波数の領域のうち、最後にサーボ位置決め情報を復調したリード・ライトヘッド位置が属する領域から離れている方のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数に設定し、
また一方で、推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダが、最後にサーボ位置決め情報を復調したリード・ライトヘッドの位置の属する領域と同じ領域であれば、現在のサーボ信号周波数の設定を行うこととし、異なった領域であれば、推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダが属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数の設定を行うことを特徴とする付記2記載のディスク装置。
【0221】
(付記8) リード・ライトヘッドがシーク動作を行う場合、
次にサーボ信号パターンを読み出すときの前記リード・ライトヘッドの位置を推定し、
推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダが、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域であれば、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域に隣接するサーボ信号周波数の領域のうち、推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダに近いサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数の設定を行うこととし、
推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダが、最後にサーボ位置決め情報を復調したリード・ライトヘッドの位置の属する領域と同じ領域であれば、現在のサーボ信号周波数の設定を行うこととし、異なった領域であれば、推定された前記リード・ライトヘッドの位置に対応するサーボシリンダが属するサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数の設定を行うことを特徴とする付記2記載のディスク装置。
【0222】
(付記9) 2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域において、両隣のサーボ信号周波数の領域の2つのサーボ信号周波数で、同じサーボ位置決め情報が書かれている2つのサーボ信号パターンを、各々の前記サーボ信号パターン毎に交互に、当該サーボシリンダ上に配置することを特徴とする付記2記載のディスク装置。
【0223】
(付記10) ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される前記サーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、
第1のサーボ信号周波数の領域に、該第1のサーボ信号周波数の領域に設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域、または、該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第3のサーボ信号周波数の領域で設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置することを特徴とするディスク装置。
【0224】
(付記11) ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に中心のサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定される中心のサーボ信号周波数にそれぞれ対応するサーボ信号パターンを配置し、領域毎に設定される中心のサーボ信号周波数を予め記憶しておくようにしたディスク装置において、
前記ディスク上に記録されるサーボ信号の記録密度が、前記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように、領域毎に設定された中心のサーボ信号周波数を中心として、各々の前記サーボシリンダ毎に、前記サーボ信号周波数を変えたサーボ信号パターンを配置することを特徴とするディスク装置。
【0225】
(付記12) サーボPLL回路の分周器の設定により離散的に設定されるサーボ信号周波数を中心として、周波数追従によりリカバリすることができる周波数範囲が、前記サーボ信号周波数の設定により、空いている周波数帯域を作らず、連続的に前記周波数帯域をカバーすることが可能であることを特徴とする付記11記載のディスク装置。
【0226】
(付記13) 前記サーボ信号周波数の領域内で変化させるサーボ信号周波数の最大範囲は、サーボPLL回路のサーボ信号周波数の周波数追従によりリカバリすることができる範囲であることを特徴とする付記11記載のディスク装置。
【0227】
(付記14) ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、前記ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置することを特徴とするディスク装置。
【0228】
(付記15) ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号の周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号の周波数のサーボ信号パターンを配置するディスク媒体において、
前記ディスク面上に記録されるサーボ信号の記録密度が、前記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように設定され、前記複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けすると共に領域毎に前記サーボ信号の周波数の設定を行うようになっていることを特徴とするディスク媒体。
【0229】
(付記16) ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号の周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号の周波数のサーボ信号パターンを配置するディスク媒体において、
区分けした第1のサーボ信号周波数の領域と該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域との境界に、前記第1のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと前記第2のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンとが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域を設けることを特徴とするディスク媒体。
【0230】
(付記17) 2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域のサーボシリンダの数を、リード・ライトヘッドのシーク動作を実行する際の該リード・ライトヘッドの推定位置の最大推定誤差分以上のサーボシリンダ数とすることを特徴とする付記16記載のディスク媒体。
【0231】
(付記18) サーボ信号周波数の領域に配置されるサーボ信号パターンと、2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域に配置されるサーボ信号パターンのうち、サーボ信号周波数が等しいサーボ信号パターンを、サーボ信号パターンの先頭部に、位相を合わせて配置することを特徴とする付記16記載のディスク媒体。
【0232】
(付記19) 2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域において、両隣のサーボ信号周波数の領域のサーボ信号周波数で同じサーボ位置決め情報を書いた2つのサーボ信号パターンを、連続して配置することを特徴とする付記16記載のディスク媒体。
【0233】
(付記20) 2つの異なるサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンが同一のサーボシリンダ上に配置されている領域において、両隣のサーボ信号周波数の領域の2つのサーボ信号周波数で、同じサーボ位置決め情報が書かれている2つのサーボ信号パターンを、各々の前記サーボ信号パターン毎に交互に、当該サーボシリンダ上に配置することを特徴とする付記16記載のディスク媒体。
【0234】
(付記21) ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号の周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定されるサーボ信号の周波数のサーボ信号パターンを配置するディスク媒体において、
第1のサーボ信号周波数の領域に、該第1のサーボ信号周波数の領域に設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンと該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第2のサーボ信号周波数の領域、または、該第1のサーボ信号周波数の領域に隣接する第3のサーボ信号周波数の領域で設定されたサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを同一のサーボシリンダ上に配置することを特徴とするディスク媒体。
【0235】
(付記22) ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成される複数のサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に中心のサーボ信号の周波数を設定するディスク媒体において、
前記ディスク上に記録されるサーボ信号の記録密度が、前記サーボ信号の復調特性が比較的良好な範囲に入るように、領域毎に設定された中心のサーボ信号周波数を中心として、各々の前記サーボシリンダ毎に、前記サーボ信号周波数を変えたサーボ信号パターンを配置することを特徴とするディスク媒体。
【0236】
(付記23) 前記サーボ信号周波数の領域内で変化させるサーボ信号周波数の最大範囲は、前記サーボ信号周波数の周波数追従によりリカバリすることができる範囲であることを特徴とする付記22記載のディスク媒体。
【0237】
(付記24) ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、前記ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置することを特徴とするディスク媒体。
【図面の簡単な説明】
【0238】
【図1】一般のサーボ信号パターンの配置例を示す模式図である。
【図2】一定のサーボ信号周波数で記録されたサーボ信号の磁化反転パターンと再生サーボ信号波形との関係を示す図である。
【図3】サーボ信号パターン密度に対するサーボ信号エラーレイトの変化の様子を示すグラフである。
【図4】従来技術を利用したサーボ信号パターンの配置例を示す模式図である。
【図5】従来の可変サーボ信号周波数方式でリード・ライトヘッドの推定位置に誤差が含まれていたときのリード・ライトヘッドの軌跡の一例を示す模式図である。
【図6】従来の可変サーボ信号周波数方式において異なるサーボ信号パターンの境界での再生サーボ信号波形を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係るディスク装置の機構部の概略的構成を示す平面図であるである。
【図8】本発明の実施例に係るディスク装置の機構部の概略的構成を示す正面図である。
【図9】本発明の実施例に係るディスク装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。
【図11】本発明の第1の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図12】本発明の第1の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図13】本発明の第1の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その3)である。
【図14】本発明の第1の実施例におけるリード・ライトヘッドの推定位置を示す模式図である。
【図15】本発明の第2の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。
【図16】本発明の第2の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図17】本発明の第2の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図18】本発明の第2の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その3)である。
【図19】本発明の第2の実施例におけるリード・ライトヘッドの推定位置を示す模式図である。
【図20】本発明の第3の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。
【図21】本発明の第3の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図22】本発明の第3の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図23】本発明の第3の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その3)である。
【図24】本発明の第4の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。
【図25】本発明の第4の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図26】本発明の第4の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図27】本発明の第4の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その3)である。
【図28】本発明の第5の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。
【図29】本発明の第5の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図30】本発明の第6の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図31】本発明の第5の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その3)である。
【図32】本発明の第5の実施例におけるリード・ライトヘッドの推定位置を示す模式図である。
【図33】本発明の第5の実施例で使用できないサーボPLL回路の引き込み可能なサーボ信号周波数範囲を示す図である。
【図34】本発明の第5の実施例で使用するサーボPLL回路の引き込み可能なサーボ信号周波数範囲を示す図である。
【図35】本発明の第6の実施例におけるサーボ信号パターンの配置図である。
【図36】本発明の第6の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その1)である。
【図37】本発明の第6の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その2)である。
【図38】本発明の第6の実施例におけるシーク動作を説明するためのフローチャート(その3)である。
【符号の説明】
【0239】
1 ディスク装置
2 ディスクエンクロージャ
3 プリント回路アセンブリ
4 上位システム
10 ディスク
11 スピンドル
12 スピンドルモータ
13 ボイスコイルモータ
14 アーム
15 リード・ライトヘッド
16 ランプ機構
17 ヘッドIC
20 サーボシリンダ
21 ハードディスクコントローラ
22 RAM
23 フラッシュROM
24 MPU
25 リードチャネル
26 サーボコントローラ
27 ドライバ
28 ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクの内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを幾つかの領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、前記ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置することを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
ディスク面の内径部から外径部まで同心円状に形成されるサーボシリンダを所定の領域に区分けし、区分けした領域毎に異なるサーボ信号周波数を設定し、各々の領域内には、領域毎に設定したサーボ信号周波数のサーボ信号パターンを配置すると共に、同一のサーボシリンダ上に、前記ディスクの内径部から外径部まで単一のサーボ信号周波数で書かれたサーボ信号パターンを配置することを特徴とするディスク媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2007−149342(P2007−149342A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71277(P2007−71277)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【分割の表示】特願2002−116600(P2002−116600)の分割
【原出願日】平成14年4月18日(2002.4.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】