説明

ディスク装置及び情報処理装置等

【課題】ディスク装置の保証範囲外におけるヘッドの浮上量の余裕を充分に活用しつつ、保証範囲外の環境で正常に使用することを可能としたディスク装置、及び情報処理装置等を提供する。
【解決手段】リング状の情報記録領域を有するディスク41と、該ディスク41上を非接触で移動し該ディスク41への情報の書き込み又は読み出しを行うためのヘッド42と、を備えるディスク装置4において、前記情報記録領域411は、前記ディスク41の内周側の第一情報記録領域411cと、該第一情報記録領域よりも外周側にある第二情報記録領域411a及び411bと、を有し、前記第二情報記録領域411a及び411bには、高地又は低圧環境下において所定の情報処理装置により使用されるべき第二情報が記録され、前記第一情報記録領域411cには、前記第二情報以外の第一情報が記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、リング状の情報記録領域を有するディスクと、該ディスク上を非接触で移動すると共に該ディスクへの情報の書き込み又は読み出しを行うためのヘッドと、を備えるディスク装置等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のディスク装置として、ハードディスクドライブ(以下、「HDD(Hard Disk Drive)という)が知られている。HDDのヘッド(磁気ヘッド)は、ディスクの回転による空気の動圧により発生した空気膜上を浮上し、該ディスクに直接接触しない状態(例えば、当該ヘッドとディスクとが0.1μm以内の隙間を保つ)でデータの読み書きがなされるように設定されている。ところが、HDDは、呼吸口より外気圧と内部気圧が等しくなるように構成されているため、使用される気圧(高度)により発生する上記動圧が変化し、場合によっては、ヘッドがディスクに接触する事態も発生し得る。このため、通常のHDDでは、ディスク全域にわたりヘッドがディスクに直接接触すること無く、信頼性を保証できる保証範囲として最大高度(動作時の衝撃、振動に耐えられる動圧が発生できる気圧、例えば3,000m(0.7気圧に相当))以下の範囲を規定している。
【0003】
このようなHDDにおける記録データ及びヘッド等の保護に関する技術として、特許文献1には、ディスク装置で環境仕様違反が発生した場合、その環境仕様違反の種類に適合し、且つホスト装置またはユーザの意向に沿った対策をとることができるシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−109293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、HDDの構造上、ディスクは一定回転数で駆動されるため、ディスクの内周側と外周側とではヘッドの相対速度に差があり、内周側に比較して外周側の方がディスクとヘッドの相対速度が速くなっており、図1に示すように、同一の気圧下において、ディスクからのヘッドの浮上量は、外周側より内周側の方が小さくなっている。このため、通常のHDDにおける上記保証範囲は、ディスクの内周側を基準として設定されている。従って、ディスクの外周側ではヘッドの浮上量に余裕(図1のハッチング部分)があり、当該保証範囲を超えても実際には充分な動圧を確保できる範囲がある。
【0005】
上述した特許文献1の技術では、保証範囲外の気圧(特許文献1の図3参照)であっても(設計マージン範囲)、対策実行によりHDDを正常に使用できる場合もあるが、ディスクの内周側と外周側とでヘッドの浮上量が異なることを考慮した対策は採られていない。従って、ディスクの外周側におけるヘッドの浮上量の余裕を充分に活用することは困難である。
【0006】
そこで、本願は、このような問題の解消を課題の一つとし、ディスク装置の保証範囲外におけるヘッドの浮上量の余裕を充分に活用しつつ、保証範囲外の環境で正常に使用することを可能としたディスク装置、及び情報処理装置等を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、リング状の情報記録領域を有するディスクと、該ディスク上を非接触で移動し該ディスクへの情報の書き込み又は読み出しを行うためのヘッドと、を備えるディスク装置であって、前記情報記録領域は、前記ディスクの内周側の第一情報記録領域と、該第一情報記録領域よりも外周側にある第二情報記録領域と、を有し、前記第二情報記録領域には、高地又は低圧環境下において所定の情報処理装置により使用されるべき第二情報が記録され、前記第一情報記録領域には、前記第二情報以外の第一情報が記録されることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、移動体に設けられ、請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスク装置を備える情報処理装置であって、現在位置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記取得された位置情報に応じた地図データを前記ディスクにおける前記情報記録領域から読み出し、当該地図データを用いて地図表示処理を行う地図表示処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、移動体に設けられ、請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスク装置を備える情報処理装置における情報処理方法であって、現在位置の高度を検出する工程と、前記検出された高度に応じた地図データを前記ディスクにおける前記情報記録領域から読み込み、当該地図データを用いて地図表示処理を行う工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項7に記載の情報処理プログラムの発明は、移動体に設けられ、請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスク装置を備えるコンピュータを、現在位置の高度を検出する高度検出手段、及び前記検出された高度に応じた地図データを前記ディスクにおける前記情報記録領域から読み込み、当該地図データを用いて地図表示処理を行う地図表示処理手段として機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願の最良の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、移動体の一例としての車両に搭載されたナビゲーション装置に対して本願を適用した場合の実施形態である。また、本願の情報処理装置は、ナビゲーション装置の一部を構成する。
【0012】
図2は、本実施形態に係るナビゲーション装置の概要構成例を示す図である。図3は、HDDの概要構成例を示す図である。
【0013】
図2に示すように、ナビゲーション装置Sは、GPS(Global Positioning System)受信部1、センサ部2、通信部3、HDD4、表示部5、音声出力部6、操作部7、及びシステム制御部8等を備えて構成されている。
【0014】
GPS受信部1は、衛星軌道上に配置され地球を周回するGPS衛星から出力される航法電波をGPSアンテナを介して受信し、受信した信号に基づいて測位し、測位データ(経度、緯度、及び高度情報)を、システム制御部8へ出力するようになっている。
【0015】
センサ部2は、例えば、車速パルスに基づき車両の速度を検出する速度センサ、地磁気を利用して車両の走行方位を検出する方位センサ(ジャイロセンサ)、車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の走行距離を検出する距離センサ等を備えており、これらのセンサによって検出された各データ(速度データ、方位データ、加速度データ、走行距離データ等)を、システム制御部8へ出力するようになっている。
【0016】
通信部3は、システム制御部8の制御の下、アンテナを介して移動体通信網(基地局を含む)等に接続された所定のサーバと通信を行うことが可能になっている。
【0017】
ディスク装置の一例としてのHDD4は、図3に示すように、ディスク(ハードディスク)41、ヘッド(磁気ヘッド)42、アクチュエータ43、スピンドルモータ44、サーボ制御部45、及びデータ処理部46等を備えて構成されている。
【0018】
ディスク41は、同心円状の多数のデータトラックが配置されたリング状の情報記録領域(記録面)411を有している。図3の例では、情報記録領域411は、ディスク41の内周側の情報記録領域411c(第一情報記録領域の一例)と、該情報記録領域411cよりも外周側にある情報記録領域411a及び411b(第二情報記録領域の一例)と、有している。すなわち、情報記録領域411は、ディスク41の外周側から内周側にかけて、情報記録領域411a〜411cの3段階に区分されている。なお、図3の例では、3段階に区分される例を示したが、これに限定されるものではなく、2段階、又は4段階以上に区分されるものであっても良い。
【0019】
情報記録領域411aには、当該ナビゲーション装置Sの起動時にシステム制御部8により読み込まれ使用されるプログラム(例えば、ナビゲーション装置Sにおける地図表示処理、経路探索処理及び経路案内処理を実行するためのプログラム)及びデータ、並びにユーザ毎に固有のユーザデータ(例えば、当該ユーザのID、ユーザにより設定された設定情報、及び走行履歴情報等)(高地又は低圧環境下においてナビゲーション装置Sにより使用されるべき第二情報の一例)が記録されている。
【0020】
また、情報記録領域411aと情報記録領域411cとの間に位置する情報記録領域411bには、所定の高度(例えば、保証範囲の境である3,000m)以上における高地の地図データ(高地又は低圧環境下においてナビゲーション装置Sにより使用されるべき第二情報の一例)が記録されている。なお、所定の高度以上における高地の地図データが情報記録領域411aに記録されるように構成しても良い。
【0021】
そして、情報記録領域411cには、情報記録領域411a及び情報記録領域411bに記録されるプログラム及びデータ以外の、例えば、上記所定の高度未満における低地の地図データ等(第二情報以外の第一情報の一例)が記録されている。なお、情報記録領域411cには、低地の地図データに加え、低地のみで使用されるプログラム及びデータが記録されても良い。
【0022】
ここで、高地の地図データ及び低地の地図データは共に、表示部5における画面上に地図を表示するための地図画像データ、及び各地点の座標(緯度及び経度に対応する地図上における座標(X,Y))を示すデータ等を含んでおり、例えば、地図上における複数の行政区画の境界を示す複数の行政界データ(各行政区画に対応する住所を含む)、地図上における道路を示す道路データ(各道路名、道路幅等の情報を含む)、地図上における複数の施設(例えば、ガソリンスタンド、店舗、駐車場等)等を示す複数の施設データ(各施設名、及び施設の住所等を含む)、及び河川や山岳の平面図等の形状を示す形状データ(河川や山岳の名称等を含む)等を含んでいる。
【0023】
このような地図データは、地図表示処理、経路探索処理又は経路案内処理において適宜システム制御部8からの指示に応じてディスク41から読み出され当該システム制御部8へ出力される。
【0024】
また、ディスク41は、スピンドルモータ44により回転駆動される。また、アクチュエータ43は、該アクチュエータ43の駆動源となるボイスコイルモータ(図示せず)を有しており、該ボイスコイルモータにより回動される。また、サーボ制御部45は、システム制御部8の制御の下、スピンドルモータ44及びボイスコイルモータの駆動制御を行うようになっている(なお、トラッキングサーボはヘッド42からの信号を基にかけられる)。
【0025】
ヘッド42は、ディスク41への情報(データ又はプログラム)の書き込み又は該ディスク41からの情報の読み出しに用いられる。また、ヘッド42は、アクチュエータ43の先端に取り付けられており、当該アクチュエータ43の回動(角度回転)に従ってディスク41上を非接触で半径方向に移動するようになっている。
【0026】
また、ヘッド42は、データ処理部46と接続されている。ヘッド42により読み出された情報に係る信号は、データ処理部46により増幅され所定の復号化処理等が行われた後、例えばシステム制御部8へ出力される。一方、ディスク41に書き込むべき情報に係る信号は、例えばシステム制御部8からデータ処理部46に入力され、所定の符号化処理が行われた後、ヘッド42によりディスク41上の所定の情報記録領域(システム制御部8により指示された目標トラック位置)に書き込まれるようになっている。
【0027】
なお、図3の例では、単一のディスク41を備えたHDD4を示しているが、ディスク41が複数枚積層配置されたHDD4であっても良い。
【0028】
表示部5は、例えば、描画処理部、バッファメモリ及びディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ、又は有機ELディスプレイ等)等を備えており、描画処理部が、システム制御部8の制御の下、上記地図データ等をバッファメモリに展開、描画した後、ディスプレイにおける画面上に表示する。また、当該画面には、システム制御部8の制御の下、ユーザに対して各種指示を促すための例えば指示ボタンも表示される。
【0029】
音声出力部6は、例えば、DAC(デジタル/アナログ信号変換器)、アンプ、スピーカ等を備えており、システム制御部8から出力された車両走行時の案内等に係る音声データをDACによりD/A変換した後、アンプにより増幅してスピーカから音波として出力する。
【0030】
操作部7は、ユーザからの各種指示等を受け付けるための複数の指示ボタン(操作ボタン)を有しており、ユーザにより押下された指示ボタンに対応する指示信号をシステム制御部8へ出力する。なお、操作部7は、各種操作ボタンが設けられたリモコン(図示せず)との間で赤外線通信を行い、当該リモコンからの指示信号を受信してシステム制御部8へ出力するものであっても良い。
【0031】
システム制御部8は、演算機能を有するCPU、作業用RAM、各種データやプログラムを記憶するROM等を備えており、当該ナビゲーション装置Sにおける構成要素全体を統括制御する。そして、システム制御部8は、CPUが例えばHDD4におけるディスク41に記録されたプログラム(本願の情報処理プログラムを含む)を読み込み実行することにより、本願の位置情報取得手段、地図表示処理手段、地図データ取得手段、及び記録制御手段等として機能し、所定の処理(例えば、地図表示処理、経路探索処理及び経路案内処理等)を行うようになっている。
【0032】
かかるシステム制御部8における処理を、図4を参照して説明する。
【0033】
図4は、システム制御部8における処理の一例を示すフローチャートである。
【0034】
先ず、例えばナビゲーション装置Sが起動されると(例えば電源オンによる)、システム制御部8は、HDD4に指令を与えることにより、ディスク41における情報記録領域411aから地図表示処理等を実行するためのプログラムを読み込み、初期設定を行う(ステップS1)。
【0035】
ここで、例えば、当該ナビゲーション装置Sを搭載した車両がHDD4の保証範囲外の高地にあるときに、当該ナビゲーション装置Sが起動された場合、地図表示処理等を実行するためのプログラムは、内周側の情報記録領域411cより外周側に位置する情報記録領域411aから読み込まれることになるので、当該保証範囲外の低気圧環境下において、ヘッド42がディスク41の内周側の情報記録領域411cにアクセスすることを制限でき、ヘッド42とディスク41が不慮に接触することを防止することができる。
【0036】
次いで、システム制御部8は、GPS受信部1からの測位データを現在位置の位置情報として取得する(ステップS2)。なお、取得された現在位置の位置情報は、センサ部2からのデータを用いて適宜補正される。
【0037】
次いで、システム制御部8は、取得した位置情報に応じた地図データ(例えば、現在位置周辺(例えば、半径1km以内))を情報記録領域411b又は411cから読み出し、当該地図データを用いて地図表示処理を行う(ステップS3)。当該地図表示処理においては、読み出された地図データ及び自車両を示すマークのデータが表示部5に送られ、画面上に地図が表示されると共に、当該地図上における現在位置に対応する箇所に自車両を示すマークが表示される。
【0038】
このとき、例えば、当該車両がHDD4の保証範囲外の高地を走行中にあれば、その周辺の地図は高地の地図データということになり、当該地図データは内周側の情報記録領域411cより外周側に位置する情報記録領域411bから読み込まれることになるので、当該保証範囲外の低気圧環境下において、ヘッド42がディスク41の内周側の情報記録領域411cにアクセスすることを制限でき、ヘッド42とディスク41が不慮に接触することを防止することができる。
【0039】
ステップS4におけるその他の処理では、例えばユーザからの操作部7を介した指示に基づき経路探索処理が行われる。経路探索処理が行われた場合には、当該探索された目的地までの経路案内処理が上記ステップS2〜S3の処理と共に行われることになる。
【0040】
なお、図4に示す処理は、例えばユーザからの終了指示や電源オフ指示があった場合に終了されることになる。
【0041】
以上説明したように、上記実施形態によれば、HDD4におけるディスク41の内周側の情報記録領域411cよりも外周側にある情報記録領域411a又は411bに、高地又は低圧環境下においてナビゲーション装置Sにより使用されるべき情報(例えば、当該ナビゲーション装置Sの起動時にシステム制御部8により使用されるプログラム、及び所定の高度以上における高地の地図データ等)を記録し、情報記録領域411cに、情報記録領域411a及び情報記録領域411bに記録されるプログラム及びデータ以外の情報が記録するように構成したので、当該HDD4が保証範囲外の低気圧(高地)環境下において使用された場合であっても、ヘッド42がディスク41の内周側の情報記録領域411cにアクセスすることを制限でき、ヘッド42とディスク41が不慮に接触することを極力防止(例えば、データ損失を極力防止)することができる。また、低気圧(高地)環境下においてナビゲーション装置Sが起動できないという不具合を極力回避することができる。従って、HDD4の保証範囲外におけるヘッドの浮上量の余裕(特に外周側)を充分に活用しつつ、保証範囲外の環境で信頼性を確保しつつ正常にHDD4を使用することができる。
【0042】
また、ディスク41においてアクセスされる地図データの物理的位置をナビゲーション装置Sの現在位置に依存させることができる。
【0043】
また、上記実施形態は、気圧計、圧力センサ等を使用してHDD4の保証範囲の気圧であるか否かを判定することなく、一般的なナビゲーション装置Sに備えられているGPS受信部1により現在位置を取得すれば良いので、コストを抑えることができる。
【0044】
なお、上記実施形態において、情報記録領域411をディスク41の外周側から内周側にかけて3以上の段階に区分し、夫々の情報記録領域には高度に応じて段階的に分けられた地図データが記録され、且つ外周側の情報記録領域ほど、より高い高度における地図データが記録されるように構成しても良い。この構成によれば、HDD4の保証範囲外におけるヘッドの浮上量の余裕をより一層活用することができる。
【0045】
また、上記実施形態において、バージョンアップされた地図データ又は新規地図データが、外部機器(例えば、移動体通信網等に接続された所定のサーバ)又は記録媒体(例えば、CD−ROMやカード型不揮発性メモリ)等)により、ナビゲーション装置Sに供給される場合も考えられる。この場合、当該地図データに高度種別(例えば、高地又は低地)を示す情報を付加しておく。そして、システム制御部8は、外部機器(例えば、移動体通信網等に接続された所定のサーバ)又は記録媒体(例えば、CD−ROMやカード型不揮発性メモリ)等)から地図データ(例えば、バージョンアップされた地図データ又は新規地図データ)を取得(例えば、通信部3を通じて取得又は図示しないCD−ROMドライブ等を通じて取得)した場合に、当該取得した地図データに付加された高度種別を示す情報に基づいて当該地図データを情報記録領域に記録するように制御するように構成しても良い。例えば、高度種別が高地であるか低地であるかを判別し、高地であった場合には、当該地図データを情報記録領域411a又は411bに記録する一方、低地であった場合には、当該地図データを情報記録領域411cに記録する。この構成によれば、後から地図データが供給される場合であっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、上記実施形態を補足する機能として、システム制御部8は、GPS受信部1から取得した高度情報に基づき、予め設定された高度(例えば、ディスク41の外周側でもヘッドの浮上量に余裕がなくなる高度)以上になったか否かを判別し、当該高度以上になった場合には、HDD4へのデータの読み書きを禁止(ロック)するように構成すれば、HDD4の保証範囲外におけるヘッドの浮上量の余裕を充分に活用しつつ、ヘッド42とディスク41が不慮に接触することを確実に防止することができる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、車両に搭載されたナビゲーション装置に対して本願等を適用した場合の例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、通信ナビゲーション端末と、当該通信ナビゲーション端末がアンテナ及び移動体通信ネットワーク(無線基地局等を含む)を介して接続される通信センタ装置と、を含んで構成された通信ナビゲーションシステムに対して適用可能である。また、車両に搭載され、HDD及びGPS受信部を備えたその他の電子機器に対しても本願を適用可能である。
【0048】
また、上記実施形態においては、移動体の例として車両とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、HDD及びGPS受信部を備えた携帯電話機、PHS、PDA等に対して本願を適用することも可能である。なお、携帯電話機、PHSにおいてはGPS以外に例えば最寄りの基地局情報を得ることで自機の高度情報を得ることもできる。
【0049】
また、上記実施形態においては、ディスク装置の例としてHDDを適用した場合について説明したが、リング状の情報記録領域を有するディスクと、該ディスク上を非接触で移動すると共に該ディスクへの情報の書き込み又は読み出しを行うためのヘッドと、を備える装置であればHDD以外のものに対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ヘッドの浮上量と、ディスクの記録位置(内周から外周)と、高度(気圧)との関係を示す図である。
【図2】本実施形態に係るナビゲーション装置の概要構成例を示す図である。
【図3】HDDの概要構成例を示す図である。
【図4】システム制御部8における処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 GPS受信部
2 センサ部
3 通信部
4 HDD
5 表示部
6 音声出力部
7 操作部
8 システム制御部
41 ディスク
42 ヘッド
43 アクチュエータ
44 スピンドルモータ
45 サーボ制御部
46 データ処理部
411 情報記録領域
S ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の情報記録領域を有するディスクと、該ディスク上を非接触で移動し該ディスクへの情報の書き込み又は読み出しを行うためのヘッドと、を備えるディスク装置であって、
前記情報記録領域は、前記ディスクの内周側の第一情報記録領域と、該第一情報記録領域よりも外周側にある第二情報記録領域と、を有し、
前記第二情報記録領域には、高地又は低圧環境下において所定の情報処理装置により使用されるべき第二情報が記録され、前記第一情報記録領域には、前記第二情報以外の第一情報が記録されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、
前記第二情報には、所定の高度以上における高地の地図データ、前記情報処理装置の起動時に使用されるプログラム又はデータ、及びユーザ毎に固有のユーザデータのうちの少なくとも何れか一つのデータが含まれることを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク装置において、
前記情報記録領域は、前記ディスクの外周側から内周側にかけて3以上の段階に区分されており、夫々の情報記録領域には高度に応じて段階的に分けられた地図データが記録され、且つ前記外周側の情報記録領域ほど、より高い高度における地図データが記録されることを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
移動体に設けられ、請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスク装置を備える情報処理装置であって、
現在位置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記取得された位置情報に応じた地図データを前記ディスクにおける前記情報記録領域から読み出し、当該地図データを用いて地図表示処理を行う地図表示処理手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
外部機器又は記録媒体から地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記取得された地図データに付加された高度種別を示す情報に基づいて、当該地図データを前記情報記録領域に記録するように制御する記録制御手段と、
を更に備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
移動体に設けられ、請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスク装置を備える情報処理装置における情報処理方法であって、
現在位置の高度を検出する工程と、
前記検出された高度に応じた地図データを前記ディスクにおける前記情報記録領域から読み込み、当該地図データを用いて地図表示処理を行う工程と、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
移動体に設けられ、請求項1乃至3の何れか一項に記載のディスク装置を備えるコンピュータを、
現在位置の高度を検出する高度検出手段、及び
前記検出された高度に応じた地図データを前記ディスクにおける前記情報記録領域から読み込み、当該地図データを用いて地図表示処理を行う地図表示処理手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理プログラムがコンピュータ読み取り可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−243344(P2008−243344A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86693(P2007−86693)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】