説明

ディスプレイ画面調整装置

【課題】マルチディスプレイを構成する複数のディスプレイのうち、調整対象のディスプレイを視覚的に明確に認識させること。
【解決手段】複数のディスプレイから構成されたマルチディスプレイにおいて、外部機器から入力される画面調整要求信号を解析する信号解析部と、その解析結果に基づいて自己のディスプレイの画面を調整する画面調整部と、隣接するディスプレイとの間で情報通信をする通信部と、入力された画面調整要求信号が、自己のディスプレイを調整対象として選択するものであると判断した場合に、自己のディスプレイに隣接するディスプレイの画面上に、調整対象指図表示をさせるための指示要求信号を生成し、所定の隣接ディスプレイに送信する指示生成部と、通信部が自己のディスプレイに指図表示をさせることを要求する指示要求信号を受信した場合、自己のディスプレイに調整対象指図表示をする指図表示部とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスプレイ画面調整装置に関し、特に、マルチディスプレイにおいて、画面調整を行っているディスプレイを識別する機能を有するディスプレイ画面調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、不特定多数の人が見ることを目的として、駅や展示場等に大画面のディスプレイ装置が設置されている。このような大画面のディスプレイ装置の1つとして、1台の大画面のディスプレイ装置だけではなく、独立した別々の比較的小さなディスプレイ装置を複数台マトリクス状に配置して、全体として1つの大画面の表示装置を構成したマルチディスプレイ装置が用いられている。
【0003】
このような複数台のディスプレイ装置(単に、ディスプレイ、あるいはモニターとも呼ぶ)から構成されるマルチディスプレイ装置(単に、マルチディスプレイとも呼ぶ)の画面調整、すなわち種々の映像特性の調整を行う場合、調整しようとするディスプレイを選択し、1台のディスプレイごとに、順次目視しながら行っている。
【0004】
たとえば、特許文献1には、マルチディスプレイ装置の映像特性の調整を行う際にその調整を行う特定のディスプレイを容易に選択するために、通常のパーソナルコンピュータにより形成され、調整信号を出力するマルチディスプレイ用調整装置6と、出力された調整信号により、マルチディスプレイ装置の各ディスプレイ装置の映像特性を調整する調整装置5とを備え、各ディスプレイ装置とは異なる上記装置6の画面6aにディスプレイ配列13を表示させて、外部のマウスの操作により特定のディスプレイ13aを選択させ、装置6の画面6a上でさらに選択されたディスプレイの調整項目を選択させた後、選択されたディスプレイ13aの識別番号および調整項目に対する調整信号を、調整装置5に送出するマルチディスプレイ用調整装置が提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、1つのリモートコントローラを用いて、遠隔操作によりマルチディスプレイを構成する各ディスプレイ装置に対する個別の画面調整を行うマルチディスプレイの画面調整方法が記載されている。特に、表示キー入力により、すべてのディスプレイ装置に同一の調整用詳細情報画面を表示させ、その後特定のID番号を入力することによりそのID番号に対応する特定のディスプレイ装置のみに画面調整メニューを表示させてそのメニューが表示された特定のディスプレイ装置の画面調整を行い、他のディスプレイ装置は、所定の初期画面に戻すようにして、各ディスプレイ装置の画面調整の作業を効率よく行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−219869号公報
【特許文献2】特開2006−254275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、パーソナルコンピュータを用いて、調整するディスプレイ装置を選択して画面調整を行う場合には、その選択操作等は、パーソナルコンピュータの画面を見て行わなければならず、実際のマルチディスプレイを見ただけでは、現在調整対象となっているディスプレイがどれであるかを把握するのが難しい。
特に、マルチディスプレイを構成するディスプレイの数が多くなればなるほど、調整対象がどのディスプレイなのか、見つけるのが難しく、調整後も意図どおりにうまく調整されているのかどうかも見分けがつきにくいという問題がある。
【0008】
また、1つのリモートコントローラを用いて調整対象のディスプレイを選択する場合は、選択対象のディスプレイが選択された後は、その選択されたディスプレイそのものに、画面調整メニューが表示されるので、現在調整対象となっているディスプレイがどれであるかがわかる。ただし、調整対象のディスプレイを選択するためには、作業者は、一斉表示された調整用詳細情報画面を見ながら調整しようとするディスプレイ装置のID番号を確認して、そのID番号をキー入力しなければならず、作業者の確認と選択のための操作負担が大きい。さらに、マルチディスプレイを構成するディスプレイの数が多くなればなるほど、この確認と選択のための操作はより面倒なものとなる。
【0009】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、マルチディスプレイの各ディスプレイの調整をするときに、調整対象のディスプレイの選択の容易化と、選択後、現在画面調整をしているディスプレイがどれであるかがより明確となるように、識別表示をすることが可能なディスプレイ画面調整装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、複数のディスプレイから構成されたマルチディスプレイの画面調整をするために、各ディスプレイごとに備えられたディスプレイ画面調整装置であって、外部機器から入力される画面調整要求信号を解析する信号解析部と、前記信号解析部の解析結果に基づいて自己のディスプレイの画面を調整する画面調整部と、隣接する他のディスプレイとの間で情報通信をする通信部と、前記信号解析部が、前記入力された画面調整要求信号が、自己のディスプレイを調整対象として選択するものであると判断した場合に、自己のディスプレイに隣接する他のディスプレイの画面上に、調整対象指図表示をさせるための指示要求信号を生成し、所定の隣接ディスプレイに送信する指示生成部と、前記通信部が自己のディスプレイに指図表示をさせることを要求する前記指示要求信号を受信した場合、自己のディスプレイに調整対象指図表示をする指図表示部とを備えたことを特徴とするディスプレイ画面調整装置を提供するものである。
これによれば、調整対象として選択された自己のディスプレイに隣接する他のディスプレイの画面上に、調整対象指図表示がされるので、画面調整を行う操作者が、現在の調整対象であるディスプレイを、視覚的に明確に認識できる。
【0011】
ここで、調整対象指図表示は、調整対象のディスプレイが存在する方向を指し示す図形表示であることを特徴とする。たとえば、この表示は後述するような矢印表示である。
また、前記マルチディスプレイは、横方向および縦方向に複数台のディスプレイを並べ、マトリクス状に配置したディスプレイ群から構成されることを特徴とする。
さらに、前記調整対象指図表示をさせるディスプレイは、調整対象ディスプレイに隣接する少なくとも2つ以上のディスプレイであることを特徴とする。
【0012】
また、前記マルチディスプレイが、横方向および縦方向にマトリクス状に配置された複数のディスプレイから構成される場合、調整対象として選択されたディスプレイの左方向または右方向にあるディスプレイのうちいずれか一つのディスプレイと、調整対象として選択されたディスプレイの上方向または下方向にあるディスプレイのうちいずれか一つのディスプレイに、前記調整対象指図表示をさせることを特徴とする。
これにより、マトリクス状に配置されたディスプレイからなるマルチディスプレイにおいて、現在調整対象のディスプレイを、明確に認識できる。
【0013】
また、前記調整対象として選択されたディスプレイには、所定の画面調整項目を表示させることを特徴とする。
さらに、前記外部機器は、前記画面調整要求信号をワイヤレスで送信可能な機器であることを特徴とする。外部機器は、たとえば図1に示すリモコンである。
【0014】
また、前記外部機器は、前記マトリクス状に配置された複数のディスプレイのうち、上下左右のいずれかの方向に移動して、調整対象のディスプレイを選択するための移動ボタンからなるディスプレイ選択部を備え、前記ディスプレイ選択部のいずれかの移動ボタンを押下げることにより、調整対象のディスプレイを所望のディスプレイに変更することを特徴とする。
【0015】
ここで、前記ディスプレイ選択ボタンのいずれかの移動ボタンを押下げることにより、調整対象ディスプレイが、第1のディスプレイから第2のディスプレイに変更された場合、第1のディスプレイが調整対象ディスプレイであったときに表示されていた調整対象指図表示を消去し、調整対象となった第2のディスプレイに所定の画面調整項目を表示させ、第2のディスプレイに隣接するディスプレイのいずれかに、前記調整対象指図表示をさせることを特徴とする。
これによれば、操作者は容易な操作をするだけで、調整対象のディスプレイを変更することができ、操作負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、整調対象として選択された自己のディスプレイに隣接する他のディスプレイの画面上に、調整対象指図表示をさせるので、画面調整を行う操作者は、調整対象ディスプレイを、視覚的に明確に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明のマルチディスプレイの一実施例の概略構成図である。
【図2】この発明のマルチディスプレイを構成するディスプレイの画面調整装置の一実施例の構成ブロック図である。
【図3】この発明のマルチディスプレイを構成するマトリクス状に配置されたディスプレイの一実施例の接続形態の説明図である。
【図4】この発明のマルチディスプレイの表示内容の一実施例の説明図である。
【図5】この発明のマルチディスプレイに表示される矢印表示の一実施例の説明図である。
【図6】この発明のリモコンの一実施例の説明図である。
【図7】この発明の調整対象変更操作時における画面表示の変化の一実施例の説明図である。
【図8】この発明の調整対象変更操作時における画面表示の変化の一実施例の説明図である。
【図9】この発明の調整対象の選択処理と指図表示処理の一実施例のフローチャートである。
【図10】この発明の調整対象の選択処理と指図表示処理の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<この発明のマルチディスプレイの構成>
図1に、この発明のマルチディスプレイの一実施例の概略構成図を示す。
図1において、この発明のマルチディスプレイ11は、16個のディスプレイ12(D1−D16)を、縦方向に4台、横方向に4台並べて、マトリクス状に配置したディスプレイ群から構成される。
各ディスプレイ12は、後述する図2に示したような機能ブロックを有するものである。
【0019】
また、マルチディスプレイ11は、リモコン21からのワイヤレスの光信号を受光する受光部13を備える。受光した光信号に基づいて、各ディスプレイの動作、特にディスプレイの選択処理や画面調整処理が行われる。
図1では、マルチディスプレイ11は、16個のディスプレイからなるものを図示しているが、これに限るものではなく、縦2台、横2台からなる2×2のマトリクス配置、3×3のマトリクス配置、3×4のマトリクス配置などでもよく、一般にn×mのマトリクス配置のマルチディスプレイでもよい。
【0020】
リモコン21は、後述する画面調整要求信号をワイヤレスで送信可能な外部機器であり、マルチディスプレイ11の動作を制御する光信号を、受光部13に対して送信するものであり、発光部22と、入力部23とを備える。
発光部22からは、光が出射されるが、出射される光の波長等は特に限定するものではない。
たとえば、可視光,赤外線などのいずれを用いてもよい。あるいは、無線通信で用いる周波数帯の電磁波を用いてもよい。
また、光信号の規格、光信号にのせるデータのフォーマット、通信のプロトコル等は、特に限定するものではなく、現在市販されているものと同じものを用いればよい。
入力部23は、マルチディスプレイ11に対して、その動作を制御するための指示を入力する部分であり、キーボード,マウスなど種々の入力デバイスを用いることができ、特に限定するものではない。
たとえば、この発明では、後述する図6に示すようなリモコンを用いることができる。
【0021】
図2に、マルチディスプレイを構成する1つのディスプレイ12の画面調整装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
1つのディスプレイ12は、主として、制御部101,表示部102,表示制御部103,記憶部104,通信部105とから構成される。
この発明では、マルチディスプレイの画面調整をするために、各ディスプレイごとに、それぞれ画面調整装置を備える。
また、1つの画面調整装置は、主として、制御部101,記憶部104,および通信部105とから構成される部分に相当する。
ここで、表示部102は、映像を表示する部分であり、LCD,有機EL,PDP,CRTなどが用いられる。
表示制御部103は、表示部102に表示される映像のデータを制御部101から受け、その映像データを表示メモリ上に展開して視聴できるデータに変換して、表示部102に与える部分である。
【0022】
記憶部104は、ディスプレイ12の表示に必要な種々の情報を記憶する部分であり、たとえば、マルチディスプレイ11を構成する各ディスプレイの配置情報121や、表示部102に表示させる表示内容そのものである表示情報122を記憶する。
配置情報121には、自己のID番号(n)、マルチディスプレイのマトリクス構成の横方向の台数(A)、縦方向の台数(B)などが含まれる。表示情報122には、たとえば、画面調整項目の一覧表示(OSD(On-Screen Display)情報)、上下左右のそれぞれの方向を示す矢印画像などが含まれる。
【0023】
この他にも、記憶部104には、受光部13から送られてきた光信号に含まれる要求信号のデータ、他のディスプレイへ送信する指示情報(コマンド)、画面調整に用いられるデータ、制御部および通信部の動作手順を示したプログラムなどが記憶される。
記憶部104は、RAM,ROM,フラッシュメモリ,ハードディスクなどの各種記憶装置のいずれを用いてもよい。たとえば、ID番号や設定情報など消えては困る情報は、不揮発性のメモリであるフラッシュメモリやハードディスクに記憶され、表示情報や画面調整中に生成されるデータなどはRAMに記憶される。また、ディスプレイの画面調整用プログラムや、通信部を介して通信を行う制御プログラムなどは、ROMやハードディスクに記憶される。
【0024】
通信部105は、他のディスプレイ12と情報通信を行う部分であり、制御部101によって生成された指示情報を、他のディスプレイに送信する部分である。複数台のディスプレイ12どおしの通信の接続形態は種々のものが考えられるが、ここでは、隣接する2台のディスプレイと通信可能なように接続された形態(すなわち、ディジーチェーン接続)とする。
【0025】
図3は、通信部に着目したマルチディスプレイ11を構成する各ディスプレイの配置接続の一実施例の説明図である。
たとえば、ディスプレイD03の通信部(105−D03)は、隣接する2つのディスプレイD02とD04の通信部105と接続される。すなわち、ある1つのディスプレイは、すべてのディスプレイと相互に通信するのではなく、隣接する他のディスプレイとの間で情報通信をする。
この場合、ディジーチェーンの最初と最後のディスプレイ(D01,D13)は、隣接する1台のディスプレイとのみ接続される。
また、受光部13は、最初のディスプレイD01と接続され、受光部13が受信した光信号は、そのディスプレイD01の通信部105−D01を介して、そのディスプレイD01の制御部101に与えられるものとする。
【0026】
図3の構成では、受光部13から与えられた光信号は、まず第1のディスプレイD01の通信部(105−D01)を介して受信される。その後、ディスプレイD01の制御部101が、その光信号の内容を解析して、必要に応じて、他のディスプレイ(D02〜D16)に対する要求信号を生成し、第2のディスプレイD02の通信部105に送信する。
この要求信号を受信した第2のディスプレイD02は、この要求信号の解析を行って、必要ならば要求信号をさらに第3のディスプレイD03に送信する。
以下、同様に、図3の場合は、要求信号は、ディスプレイD03,D04,D08,D07,D06,D05,D09,D10,D11,D12,D16,D15,D14,D13の順に、伝達されることになる。
【0027】
制御部101は、受光部13によって受信した光信号に基づいて、マルチディスプレイに対する画面調整処理を行う部分である。
この発明では、制御部101は、主として、信号解析部111,指示生成部112,画面調整部113,指図表示部114とを備える。
制御部101は、CPU,ROM,RAM,I/Oコントローラ,タイマー等を備えたマイクロコンピュータから構成することができ、ROM等に格納された制御プログラムに基づいて、CPUが、各種ハードウェアを有機的に動作させることにより、上記したような信号解析部などが行う機能を実行させる。
【0028】
信号解析部111は、外部機器(リモコン)から入力され受光部13によって受信された光信号の内容を解析する部分である。たとえば、光信号の内容に、自己のディスプレイに対する画面調整要求信号が含まれているかどうか、解析する。
入力された要求信号が、自己のディスプレイに対する画面調整要求であれば、画面調整部113に対して、その調整要求をするように指示を与える。
さらに、信号解析部が、入力された画面調整要求信号が、自己のディスプレイを調整対象として選択するものであると判断した場合に、自己のディスプレイに隣接する他のディスプレイの画面上に、調整対象指図表示をさせるための指示要求信号を生成して、この指示要求信号を、所定の隣接ディスプレイに送信する。
【0029】
また、受信した光信号の内容が、他のディスプレイに対する指示であれば、指示生成部112に対して他のディスプレイに対する指示要求信号を生成するように要求する。
また、この発明では、通信部105が自己のディスプレイに指図表示をさせることを要求する指示要求信号を受信した場合、指図表示部114によってその指示要求信号に従って自己の表示部102に調整対象指図表示をする。
さらに、自己のディスプレイの画面調整要求を受信した場合、矢印を表示させる隣接ディスプレイを特定し、その特定したディスプレイに対して、矢印表示要求を送信する。
【0030】
指示生成部112は、他のディスプレイへ与える指示情報を生成し、通信部105を介して、その生成した指示情報を送信する部分である。生成される指示情報とは、たとえば上記した指示要求信号である。
【0031】
画面調整部113は、画面調整要求を受信した場合に、信号解析部の解析結果に基づいて、自己のディスプレイの画面調整を実行する部分である。画面調整そのものは、従来から行われているものと同様の処理を行えばよい。
たとえば、調整対象として選択された自己のディスプレイの画面に、画面調整項目と現在の調整状態を表示させ、リモコンの入力操作により、調整すべき項目を1つ選択させ、その選択された項目についての調整処理を行うようにする。
指図表示部114は、自己のディスプレイに、調整対象指図表示をする部分である。すなわち、通信部を介して、自己のディスプレイに指図表示をさせることを要求する指示要求信号を受信した場合に、自己の表示部102に、調整対象指図表示(矢印表示)をする部分である。
【0032】
以上がこの発明の1つのディスプレイ12の構成ブロックの説明である。
この発明では、1つのディスプレイの画面調整を行う場合に、調整対象のディスプレイの選択操作を行うことにより、調整対象のディスプレイに隣接する複数のディスプレイの画面上に、調整対象のディスプレイを指図する表示(調整対象指図表示)を行うことを特徴とする。
すなわち、調整対象のディスプレイとは異なり、隣接する少なくとも2つ以上のディスプレイの画面上に、その調整対象のディスプレイが存在する方向を指し示す表示を行う。
図4に、この発明のマルチディスプレイの表示内容の一実施例の説明図を示す。
【0033】
たとえば、図4(a)に示すように、調整対象として選択されたディスプレイがD01の場合、隣接する2つのディスプレイD02とD05に、調整対象指図表示として、「矢印」を表示させる。
ここで、調整対象のディスプレイD01の下方のディスプレイD05には、ディスプレイD01のある方向を示す「上方向の矢印」を表示し、右方のディスプレイD02には、ディスプレイD01のある方向を示す「左方向の矢印」を表示する。すなわち、調整対象に隣接するディスプレイには、その調整対象のディスプレイが存在する方向を指し示す図形表示をする。
このような表示を行えば、操作者がマルチディスプレイ11を実際に見ながら、これから調整しようとしているディスプレイ12を、視覚的に明確に認識することができる。
特に、選択された調整対象のディスプレイに何も表示しない場合、あるいは、調整対象のディスプレイと他のディスプレイとに同じ画面を表示しているような場合に、隣接ディスプレイに上記のような調整対象指図表示(矢印表示)をすれば、調整対象のディスプレイを明確に認識できる。
【0034】
また、調整対象として選択されたディスプレイD01の画面上には、図4(b)に示すような画面調整項目を示した表示画面(OSD表示)を表示する。
表示される画面調整の各項目のデータは、そのディスプレイD01の現在の調整データを示すものである。
このように、調整対象のディスプレイD01には、図4(b)のようなOSD表示をし、かつその調整対象ディスプレイD01に隣接するディスプレイ(D02,D05)に、図4(a)のような調整対象指図表示をすれば、マルチディスプレイを構成するディスプレイの数が多数の場合でも、操作者が、明確に、調整対象ディスプレイを認識できる。
調整対象指図表示は、図4(a)のように矢印の表示に限るものではなく、調整対象のディスプレイがこれであることがわかるような他の表示(図形,文字,記号など)でもよい。また、他のディスプレイの画面上の表示と、明確に区別できるような色彩および模様を用いた表示をしてもよい。
【0035】
<矢印表示の説明>
図5に、調整対象を指図する矢印表示をした他の実施例の説明図を示す。
図5(a)は、図3のディスプレイD07を調整対象として選択した場合の矢印表示の例を示したものである。
ここでは、ディスプレイD07に隣接する4つのディスプレイ(D03,D06,D08,D11)のうち、2つのディスプレイ(D06,D11)に、矢印表示をした場合を示している。矢印の方向は、調整対象のディスプレイが存在する方向を指し示す方向である。
また、図5(b)は、図3のディスプレイD13を調整対象として選択した場合の矢印表示の例を示したものである。ここでは、隣接する2つのディスプレイ(D09,D14)に、矢印表示をしている。
このように、マルチディスプレイ11が、横方向および縦方向にマトリクス状に配置された複数のディスプレイ12から構成される場合、調整対象として選択されたディスプレイの左方向または右方向にあるディスプレイのうちいずれか一つのディスプレイと、調整対象として選択されたディスプレイの上方向または下方向にあるディスプレイのうちいずれか一つのディスプレイに、調整対象指図表示をさせる。
【0036】
<リモコンの説明>
図6に、この発明のリモコン21の一実施例の説明図を示す。
リモコン21は、図1に示したように、発光部22と、入力部23とを備えたものであり、入力部23の特定のボタン(キー)を押下げることにより、発光部22から所定の光が出射される。
入力部23は、複数のボタン(キー)から構成されるが、たとえば、図6に示すように、調整項目選択ボタン25と、ディスプレイ選択ボタン26とを備える。ただし、この他のボタンを備えてもよく、マルチディスプレイ全体の電源をON/OFFするキーや、ディスプレイ選択の確定用キー,画面調整要求キー,矢印表示消去キーなどを備えてもよい。
【0037】
図6では、調整項目およびディスプレイのいずれの選択ボタン(25,26)も、上下左右の移動方向を示すボタン(移動ボタン)から構成される。
たとえば、調整項目選択ボタン25の下方向の移動ボタンを押下げると、図4(b)に示した調整項目のうち、現在選択されている項目の一つ下の調整項目が選択されることになる。
また、ディスプレイ選択ボタン26の右方向の移動ボタンを押下げると、調整対象のディスプレイが、一つ右方向にずれることになる。
【0038】
ディスプレイ選択ボタン26は、調整対象のディスプレイを選択するための複数個の移動ボタンからなり、上下左右の方向を示すいずれかの移動ボタンを押し下げることにより、マトリクス状に配置された複数のディスプレイのうち、上下左右のいずれかの方向にあるディスプレイに、調整対象のディスプレイを移動させる。
このような移動を示す操作により、容易に調整対象のディスプレイを、操作者の所望のディスプレイに変更することができる。
【0039】
また、このように調整対象のディスプレイが、第1のディスプレイから第2のディスプレイに変更された場合、変更前の第1のディスプレイが調整対象であったときに表示されていた調整対象指図表示(矢印表示)を消去する。
そして、新たに調整対象となった第2のディスプレイに図4(b)のような所定の画面調整項目を表示させ、さらに、第2のディスプレイに隣接するディスプレイのいずれかに、調整対象指図表示(矢印表示)をさせる。後述する図7と図8に、このディスプレイ変更時の一実施例を示している。
【0040】
各ディスプレイには、ID番号が予め付与されているので、そのID番号をテンキーなどを用いて操作者が直接入力するようにしてもよい。
しかし、ディスプレイの数が多い場合は、調整しようとしているディスプレイのID番号が何番であるかを確認する必要があり、操作者にとっては面倒であり、操作負担が大きい。
それに比べて、マルチディスプレイを見ながら、調整対象のディスプレイを選択するために、上下左右の移動ボタンを用いる場合は、何度も押し下げる必要がある場合もあるが、視覚的にわかりやすい操作方法であり、操作者の操作負担は比較的少ないと考えられる。
【0041】
<調整対象ディスプレイの選択処理の説明>
図7と図8に、リモコン操作による調整対象のディスプレイの選択処理の一実施例の説明図を示す。ここでは、調整対象変更操作時における画面変化の例を示している。
図7では、図3のディスプレイD05からディスプレイD06へ、調整対象を移動させる場合の説明図を示している。
図7(a)は、現在の選択されている調整対象のディスプレイがD05である場合の表示状態を示している。
このとき、調整対象であるディスプレイD05には、図4(b)に示した画面が表示され、さらに、隣接する2つのディスプレイ(D06,D09)に、矢印表示がされている。これにより、現在の調整対象が、ディスプレイD05であることが明確に認識できる。
【0042】
図7(a)の表示状態において、操作者が、リモコン21において、ディスプレイ選択ボタン26のうち、右方向移動ボタンを押し下げたとする。
このとき、図7(b)のように、表示状態が変更される。すなわち、調整対象が、ディスプレイD05の右側にあるディスプレイD06へ変更され、ディスプレイD06の画面上に、図4(b)の表示がされる。さらに、調整対象のディスプレイD06に隣接する2つのディスプレイ(D07,D10)に、矢印表示がされる。
これにより、調整対象がディスプレイD05からD06に変更になったことが明確に視認できる。
このような表示変更は、操作者の操作(右方向移動ボタンの押下げ)と対応するものであり、操作者にとっては非常にわかりやすい操作である。
【0043】
図8は、調整対象のディスプレイを、図3のディスプレイD11から、ディスプレイD07へ変更する場合の表示状態の変化を示している。
図8(a)には、変更前の表示状態を示しており、調整対象のディスプレイD11に図4(b)の表示をし、隣接する2つのディスプレイ(D12,D15)に矢印表示をしている。
このとき、操作者が、ディスプレイ選択ボタン26のうち、上方向への移動ボタンを押下げたとすると、図8(b)のような表示状態となる。すなわち、図4(b)の表示がされる調整対象がディスプレイD07となり、これに隣接する2つのディスプレイ(D08,D11)に、矢印表示がされる。
【0044】
なお、図5,図7および図8の実施例では、いずれも隣接する2つのディスプレイのみに矢印表示をしているが、これに限るものではなく、上下左右すべての方向に隣接する4つのディスプレイに矢印表示をしてもよい。あるいは、3つの隣接ディスプレイでもよい。
また、操作者が希望する場合で、調整対象が十分に視認可能であれば、隣接する4つのディスプレイのうち、いずれか1つのディスプレイのみに矢印表示をしてもよい。
このような矢印表示するディスプレイの数と位置は、操作者が予め設定できるようにしてもよい。
【0045】
また、調整作業中に、矢印表示を、連続的に点灯表示させておくのではなく、調整対象のディスプレイが選択された時点から一定時間(たとえば、一分間)、矢印を点滅表示させてもよい。これにより、選択対象がよりわかりやすくなると考えられる。
また、調整対象が決定され、実際に画面調整をしているときには、リモコンの特定ボタンの押下げにより、矢印表示を消去するようにしてもよい。
また、逆に、矢印表示を消去した状態のときに、調整対象を明確にしたい場合は、リモコンの特定ボタンを押下げることにより、一時的に消去されていた矢印表示を復活させてもよい。すなわち、矢印表示の点灯,点滅,消灯を、操作者の意図的な操作により制御してもよい。
【0046】
<調整対象の選択処理と指図表示処理>
図9および図10に、この発明の調整対象の選択処理と指図表示処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここで、マルチディスプレイ11は、横方向にA台のディスプレイ12を配置し、縦方向にB台のディスプレイ12を配置し、合計A×B台のディスプレイ12からなるマトリクス構成とする。
また、各ディスプレイ12に、1から始まる連続的なID番号(n)をそれぞれ付与するものとし、左上のディスプレイのID番号を「1」とし、右下のディスプレイのID番号を「A×B」とする。
横方向に同一列のA台のディスプレイにおいては、最も左側のディスプレイのID番号が最も小さく、その右側のディスプレイのID番号は、順次1ずつ増加し、最も右側のディスプレイのID番号が最も大きいものとする。
さらに、ある列の最も右側のディスプレイのID番号を「n」とすると、縦方向に一つ下の列の最も左側のディスプレイのID番号を「n+1」とする。
上記のようなルールで、マルチディスプレイを構成するすべてのディスプレイ12に、1から始まる連続的なID番号を予め付与し、各ディスプレイの記憶部104に記憶しておく。
たとえば、ID番号が「5」のディスプレイD05の記憶部104には、自己のディスプレイのID番号として、「5」が予め記憶される。
【0047】
また、リモコンから送信された光信号に基づいて、画面調整項目の選択や、調整対象のディスプレイの選択などの処理が行われる。
以下の実施例では、光信号に含まれて送信される要求信号としては、調整要求信号,矢印表示の指示要求信号,矢印消去要求信号があるものとする。また、矢印表示の指示要求には、矢印の方向(左,右,上,下のいずれか)を示す情報を含めるものとする。ただし、4つの方向ごとにそれぞれ別の指示要求信号を用いてもよい。
さらに、これらの要求信号には、要求を行うディスプレイのID番号を含めてもよく、すべてのディスプレイに対して同じ要求信号を送る場合には、すべてを意味する情報(たとえばALL)を含めてもよい。
【0048】
また、図6のリモコンでは、ディスプレイ選択ボタン26には、上下左右の移動キーしかなく、直接ID番号をリモコンから入力することはできないので、すべてのディスプレイに共通の変数Mを持たせ、この変数Mと、自己のID番号nとを比較して、自己のディスプレイに対する要求信号かどうかをチェックしてもよい。
変数Mは、電源投入時に、すべてのディスプレイにおいて、たとえば、1に初期化しておく。
【0049】
この場合、リモコン21のディスプレイ選択ボタン26の左方向移動ボタンが押下げられた場合、たとえば、Mの値を−1する情報を含めた要求信号を、リモコン21から受光部13へ送信する。
また、右方向移動ボタンが押下げられた場合、Mの値を+1する情報を含めた要求信号を、送信する。
さらに、ディスプレイ選択ボタン26の上方向移動ボタンが押下げられた場合は、横方向のディスプレイの数(A)によって減ずる値は異なるので、上方向の移動を示す情報を含めた要求信号を送信する。この場合、各ディスプレイの制御部101が、受信した上方向の移動を示す情報と、現在のMの値とから、指示されたディスプレイのID番号を求めればよい。
たとえば、図3の4×4の16台のディスプレイからなるマトリクス状のマルチディスプレイ11では、上方向への移動の場合は、M−4を求めればよい。ただし、現在のMが、M=1〜3の場合は、(M−4)+16を求めればよい。
また、下方向移動ボタンが押下げられた場合は、下方向の移動を示す情報を含めた要求信号を送信すればよい。この場合、指示されたディスプレイのID番号として、現在のMが1〜12の場合はM+4を求め、あるいはM=13〜16の場合は(M+4)−16を求めればよい。
【0050】
図9および図10の処理は、各ディスプレイの制御部101が、それぞれの記憶部104に予め記憶された制御プログラムに基づいて行うものである。
図9のステップS1において、制御部101が、3つの変数(A,B,n)に、初期値を設定する。
ただし、固定値として予め設定されている場合は、このステップS1は必要なく、その固定値をそのまま用いればよい。
ここで、上記したように、Aは横方向のディスプレイの台数、Bは縦方向のディスプレイの台数、nは自己のディスプレイのID番号である。
たとえば、図3に示したマルチディスプレイ11では、A=4,B=4であり、nはそれぞれのディスプレイごとに異なる整数値が設定される。
【0051】
ステップS2において、制御部101の信号解析部111が、リモコン21からの光信号が受信されるか否か常にチェックし、受信した場合は、受信した光信号に含まれるデータを解析する。
この解析により、受信した光信号が、どの要求信号であるかがわかり、どのディスプレイに対する要求であるかが認識される。
【0052】
ステップS3において、信号解析部111が、受信したデータが、調整要求信号であり、かつその要求信号に自己のID番号nを選択する情報が含まれているか、チェックする。
受信した光信号が調整要求信号でない場合、あるいは、調整要求信号であっても自己のID番号nを選択するものでない場合は、図10のステップS16へ進む。
【0053】
この要求信号が直接ID番号を含む場合は、この受信したID番号と、記憶部104に予め記憶された自己のID番号nとを比較することにより、自己のID番号が選択されたか否かをチェックできる。
しかし、上記したように、受信した要求信号に、ID番号が含まれず、リモコンの移動方向ボタンに対応した共通の変数Mを増減する情報が含まれている場合は、この受信した情報から、上下左右のいずれかの移動を考慮した変数Mの値を求め、このMの値を、要求信号で要求されたディスプレイのID番号とみなして、記憶部104に予め記憶された自己のID番号nと比較することにより、自己のID番号が選択されたか否かをチェックする。
【0054】
このような処理により、受信した調整要求信号が、自己のID番号nを選択するものである場合は、ステップS4へ進む。
ステップS4において、画面調整部113が、表示部102に、図4(b)に示したような画面調整項目を表示する。これにより、リモコン21の操作により指定された調整対象のディスプレイ12の表示画面に、調整項目のリストが表示される。
ステップS5からS11における処理により、指示生成部112が、矢印表示をさせる隣接ディスプレイを決め、その決定した隣接ディスプレイに、矢印表示をさせるための指示要求信号を送信する。
【0055】
ステップS5において、自己ID番号(n)/横方向台数(A)を計算し、その余りを求め、1と比較する。
たとえば、自己ID番号がn=5で、横方向台数がA=4である場合、余りは1となる。このとき余りが1以上なので(余り≧1)、ステップS6へ進む。一方、余りが1より小さい場合は、ステップS7へ進む。
【0056】
ステップS6において、指示生成部112が、ID番号がn+1のディスプレイに対して、左方向矢印表示をさせるための指示要求信号を送信する。
たとえば、自己のID番号(n)が5の場合で、横方向台数(A)が4の場合、余りは1となるので、ステップS6へ進む。ここで、指示生成部112は、自己のID番号(n=5)に1を加えたID番号6を含み、左方向を指図することを意味する指示要求信号を生成し、ID番号6(=n+1)のディスプレイに対して、左方向矢印表示をさせる指示要求信号を送る。これにより、調整対象であるディスプレイD05の右隣のID番号6のディスプレイD06には、左方向を指図する矢印表示がされる。
その後ステップS8へ進む。
【0057】
一方、ステップS7において、ID番号がn−1のディスプレイに対して、右方向矢印表示をさせる指示要求信号を送信する。
たとえば、n=8、A=4の場合、余り=0なので、ステップS7において、指示生成部112が、ID番号7(=n−1)のディスプレイに対して、右方向矢印表示をさせる指示要求信号を送信する。これにより、調整対象であるディスプレイD08の左隣のID番号7のディスプレイD07には、右方向を指図する矢印表示がされる。
【0058】
ステップS8において、自己ID番号nが、横方向台数Aよりも大きいか否か、チェックする。
n>Aの場合、ステップS9へ進み、そうでない場合ステップS10へ進む。
ステップS9において、数式n>A×(B−1)を満たすか否か、チェックする。
この数式が満たされている場合、ステップS11へ進み、そうでない場合はステップS10へ進む。
ステップS10において、指示生成部112が、ID番号がn+Aのディスプレイに対して、上方向矢印表示をさせる指示要求信号を送信する。
一方、ステップS11において、指示生成部112が、ID番号がn−Aのディスプレイに対して、下方向矢印表示の指示要求信号を送信する。
【0059】
たとえば、n=3,A=4の場合、n>Aでないので、ステップS10へ進み、ID番号が7(=n+A)のディスプレイD07に対して、上方向矢印表示の指示要求信号を送信する。
また、n=9,A=4,B=4の場合、n>Aであるが、n>A×(B−1)でないので、ステップS10へ進み、ID番号が13(=n+A)のディスプレイD13に対して、上方向矢印表示の指示要求信号を送信する。
あるいは、n=15,A=4,B=4の場合、n>A、かつn>A×(B−1)なので、ステップS11へ進み、ID番号が11(=n−A)のディスプレイD11に対して、下方向矢印表示の指示要求信号を送信する。
【0060】
ステップS12において、信号解析部111が、リモコン21からの新たな調整要求信号が受信されていないかどうかチェックし、調整要求信号が受信された場合は、他のID番号が選択されているか否か、チェックする。
他のID番号が選択された場合は、ステップS14へ進み、そうでない場合、すなわち自己のID番号を選択したものである場合は、ステップS13へ進む。
ステップS13において、画面調整部が、自己のディスプレイの画面調整処理を実行する。
この処理では、たとえば、輝度,色合い,表示位置,表示サイズなどを調整する処理が行われる。
その後ステップS12へ戻り、さらに自己のID番号が選択されている限り、ステップS13の自己のディスプレイの画面調整を続行する。
【0061】
ステップS12において、リモコン操作により、新たな調整要求信号が受信され、それが、他のID番号を選択するものである場合、ステップS14へ進み、自己のディスプレイの表示部102に表示されている表示をすべて消去する。ここでは、調整対象のディスプレイに表示されている表示が消去される。
ステップS15において、指示生成部112が、矢印表示の消去を意味する指示情報を作成し、すべての他のディスプレイに対して、この指示を示す要求信号(矢印消去要求)を送信する。
この消去要求信号を受信したディスプレイは、そのディスプレイに矢印が表示されている場合は、その矢印表示を消去することになる。
その後、図10のステップS16へ進む。
【0062】
図10のステップS16において、通信部105を介して、隣接する他のディスプレイとの間の情報通信によって自己のディスプレイに指図表示をさせることを要求する指示要求信号が受信されるか否か、チェックする。ここで、受信した要求信号が、自己への要求信号か否か、チェックする。すなわち、自己のID番号を選択するものか否か、チェックする。
自己への要求信号の場合は、ステップS23へ進み、そうでない場合はステップS17へ進む。
ステップS17において、受信した要求信号が、全ディスプレイを対象とする要求信号か否か、チェックする。
全ディスプレイ対象の要求信号の場合、ステップS18へ進み、そうでない場合は、ステップS22へ進む。
【0063】
ステップS18において、受信した要求信号が、矢印消去要求か否か、チェックする。
矢印消去要求であった場合は、ステップS19へ進み、そうでない場合は、ステップS21へ進む。
ステップS19において、現在、自己のディスプレイにおいて、矢印表示をしているか否か、チェックする。矢印表示をしている場合、ステップS20へ進み、そうでない場合は、ステップS22へ進む。
【0064】
ステップS20において、現在表示している矢印表示を消去し、ステップS22へ進む。
ステップS21において、受信した要求信号は、矢印消去要求ではないので、その要求信号の要求内容に対応した処理を実行する。
その後、ステップS22へ進む。
【0065】
ステップS22において、受信した要求信号を、次のID番号のディスプレイに送信する。
ここで、自己のID番号がnの場合、次のID番号であるn+1のディスプレイに、要求信号を送信する。
その後、図9のステップS2へ戻る。
【0066】
ステップS23において、信号解析部111が、受信した自己への要求信号が、指示要求信号のうち、矢印表示要求であるか否か、チェックする。
自己のディスプレイへの矢印表示要求である場合は、ステップS24へ進み、そうでない場合はステップS26へ進む。
ステップS24において、信号解析部111が、矢印表示要求によって指示された矢印方向を確認し、上下左右どちらの方向かを決定する。
ステップS25において、指図表示部114が、自己のディスプレイに、確認した矢印方向を向く矢印の表示をする。
たとえば、左方向を指示する矢印表示要求であった場合は、左方向矢印表示をする。
この後、図9のステップS2へ戻る。
【0067】
ステップS26において、受信した要求信号は、矢印表示要求ではないので、受信した要求信号に示された要求内容に対応した処理を実行する。
その後、図9のステップS2へ戻る。
以上が、この発明の選択処理と指図表示処理の一実施例の内容である。
【0068】
また、この発明では、ディスプレイ選択ボタンで、容易にディスプレイの選択変更ができるので、必ずしもID番号の順番に画面調整を行わなくてもよく、一度調整が終了したディスプレイを再度調整したい場合でも、そのディスプレイに容易に戻ることができる。
また、任意の順番で画面調整を行った場合、画面調整が終了したディスプレイがどれであるかがわからなくなる場合もあるので、画面調整が終了したディスプレイと、そうでないディスプレイとが区別できるような表示をすることが好ましい。
たとえば、画面調整済みのディスプレイの画面上に「調整済」という文字表示をしたり、あるいは、その画面の背景色を、画面調整をまだしていないディスプレイと異なる色にするようにしてもよい。
これによれば、マルチディスプレイを構成するディスプレイが多数ある場合でも、漏れなく、すべてのディスプレイの画面調整をすることができる。
【符号の説明】
【0069】
11 マルチディスプレイ
12 ディスプレイ
13 受光部
21 リモコン
22 発光部
23 入力部
25 調整項目選択部
26 ディスプレイ選択部
101 制御部
102 表示部
103 表示制御部
104 記憶部
105 通信部
111 信号解析部
112 指示生成部
113 画面調整部
114 指図表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスプレイから構成されたマルチディスプレイの画面調整をするために、各ディスプレイごとに備えられたディスプレイ画面調整装置であって、
外部機器から入力される画面調整要求信号を解析する信号解析部と、
前記信号解析部の解析結果に基づいて自己のディスプレイの画面を調整する画面調整部と、
隣接する他のディスプレイとの間で情報通信をする通信部と、
前記信号解析部が、前記入力された画面調整要求信号が、自己のディスプレイを調整対象として選択するものであると判断した場合に、自己のディスプレイに隣接する他のディスプレイの画面上に、調整対象指図表示をさせるための指示要求信号を生成し、所定の隣接ディスプレイに送信する指示生成部と、
前記通信部が自己のディスプレイに指図表示をさせることを要求する前記指示要求信号を受信した場合、自己のディスプレイに調整対象指図表示をする指図表示部とを備えたことを特徴とするディスプレイ画面調整装置。
【請求項2】
前記調整対象指図表示は、調整対象のディスプレイが存在する方向を指し示す図形表示であることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項3】
前記マルチディスプレイは、横方向および縦方向に複数台のディスプレイを並べ、マトリクス状に配置したディスプレイ群から構成されることを特徴とする請求項1または2記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項4】
前記調整対象指図表示をさせるディスプレイは、調整対象ディスプレイに隣接する少なくとも2つ以上のディスプレイであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項5】
前記マルチディスプレイが、横方向および縦方向にマトリクス状に配置された複数のディスプレイから構成される場合、調整対象として選択されたディスプレイの左方向または右方向にあるディスプレイのうちいずれか一つのディスプレイと、調整対象として選択されたディスプレイの上方向または下方向にあるディスプレイのうちいずれか一つのディスプレイに、前記調整対象指図表示をさせることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項6】
前記調整対象として選択されたディスプレイには、所定の画面調整項目を表示させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項7】
前記外部機器は、前記画面調整要求信号をワイヤレスで送信可能な機器であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項8】
前記外部機器は、前記マトリクス状に配置された複数のディスプレイのうち、上下左右のいずれかの方向に移動して、調整対象のディスプレイを選択するための移動ボタンからなるディスプレイ選択部を備え、
前記ディスプレイ選択部のいずれかの移動ボタンを押下げることにより、調整対象のディスプレイを所望のディスプレイに変更することを特徴とする請求項3,4または5に記載のディスプレイ画面調整装置。
【請求項9】
前記ディスプレイ選択ボタンのいずれかの移動ボタンを押下げることにより、調整対象ディスプレイが、第1のディスプレイから第2のディスプレイに変更された場合、第1のディスプレイが調整対象ディスプレイであったときに表示されていた調整対象指図表示を消去し、調整対象となった第2のディスプレイに所定の画面調整項目を表示させ、第2のディスプレイに隣接するディスプレイのいずれかに、前記調整対象指図表示をさせることを特徴とする請求項8記載のディスプレイ画面調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−114828(P2012−114828A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264000(P2010−264000)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】