説明

ディスプレー付き自動販売機

【課題】種々多様なコンテンツを同時に表示することが可能であり、訴求力を高めるコンテンツを表示すると同時に、商品レプリカに替えて商品の動画や静止画を表示して広告宣伝することで販売促進効果を待たせる。
【解決手段】自動販売機において、その前面パネルにディスプレーを有しており、その画面表示がソフトウェアによる制御により複数の要素画面に分割可能で、さらに個々の要素画面は自在に多様なサイズに設定することができ、それぞれの画面に種々のコンテンツ、を同時に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は消費者に対し高い訴求力を持つディスプレー付き自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動販売機は、その前面のパネル上部にその自動販売機で販売している商品
サンプルやレプリカが展示されており、販売商品が見栄え良く明示されることによ
り、購買者に買い易くしている。しかし、従来の自動販売機では、他社の自動販売
機との差別化に限界があった。例えば、自動販売機を目立つデザインにするとか、または目玉商品のポスターを追加するとか、また一部には小さな動画映像を表示するディスプレーを備えることで差別化を図るなどの策を講じてはいたが、その効果は十分とは言えず限定的なものであった。
【0003】
自動販売機での商品販売においては、商品を積載したトラックで市中の自動販売機
設置場所を回り、購入され減少した商品を補充することにより、自動販売機内部の
在庫切れが発生しないようにメンテナンスしているが、販売された商品の種類と数
量は、現地に行き商品の補充をする時に初めて把握できるに過ぎなかった。
【0004】
さらに、自動販売機での商品の販売は、季節の変わり目に夏季向けや冬季向けのも
のを入れ替えることにより季節毎の販売量の最大化を図るが、その時は、市中の自
動販売機設置場所を巡回し商品と展示用レプリカを交換し、回収した古い商品やレ
プリカは廃棄またはその他の方法で処理するしかなかった。以上のように、季節の
変わり目の商品の入れ替え時には、すべての自動販売機に対して、大きなコストを
かけて対応するしかなかった。
【0005】
ディスプレーを備えた自動販売機は特開平10−21457にも見られ、そこでは
強誘電性液晶を用いて、高速電場応答性やメモリ特性を活かし、電力消費の小さい、
大画面で視野角が広くコントラストも良好な高品質液晶ディスプレーを活用するこ
とで、商品情報と宣伝広告情報とを同じ表示部に交互に切換え表示させることがで
き、ある程度の宣伝効果はあった。しかしながら強誘電性液晶はその制御が難しく
取り扱いも困難な物質であるため、実用性の観点からは十分なものではなかった。
しかも、画面分割の手法をとっていないため、商品情報と企業情報を同時に表示す
ることは出来ず、通行人へのアピールは強いものではなかった。
【0006】
また、この発明は感知センサーを備え、人が近づくと感知センサーが作動して商品 情報又は宣伝広告情報を表示できるようになっているが、大画面ディスプレーを使
用する場合においては大画面そのものが大きい訴求効果を持っているため、通行人 が自動販売機に近づく前にその存在に気が付いてディスプレーに注目することにな るため、近付いてから作動するセンサーの効果は小さいと言える。さらに、この発
明においては、表示部に複数の選択用タッチパネルを設け、それにより見たい情報 を選択して情報画像を表示させる機構も有しているが、自動販売機から離れて立っ ている人に対しては訴求効果を発揮しないことからも、販売への寄与は期待し難い。
【0007】
特開2000−172925(P2000−172925A)においては、自動販
売機に情報画像及び文字を表示するカラーデイスプレイを備えていて、インターネ
ットなどで送信される変化する情報を受信して表示することができ、それなりの訴
求効果は期待できるが、商品の販売を促進する目的の商品情報や企業情報は無く、
販売促進に関する効果は限定的である。同様に、タッチパネルを内蔵して、画面か
ら直接、好みの情報を選択して見ることが出来ても、やはり商品情報などは表示さ
れず、販売促進に対する効果は限定的であった。
【0008】
さらには、特開2002−109625(P2002−109625A)にあるよ
うに、中央にオーダー情報処理装置を備え、ネットワークを介して複数の自動販売
装置から商品注文情報を受信し、商品補充活動を円滑に処理するために活用してい
るが、商品販売の訴求力を高める用途ではなく、欠品を発生させない程度の効果し
か期待できなかった。
【0009】
また、特開2008−59092(P2008−59092A)に見られるように、
タッチセンサを備え、表示部に表示された商品画像がタッチされたことをタッチセ
ンサにより検知すると、その商品画像に対応する商品を搬出するようにした自動販
売機も考案されているが、これはタッチパネルの本来の機能のみを追求したタッチ
パネル付きの自動販売機に関するもので、製品の売れ行き情報のフィードバックに
は繋がらず、商品補充活動への貢献も無ければ、売れ筋商品のマーケティング情報
にもなり得ない。
【0010】
また、特開2001−307220(P2001−307220A)ではインター ネットと接続した自動販売機でディスプレーも備えてはいるが、そのディスプレー
は主として料金決済を行うことを目的として使用しており、顧客の商品購買への訴 求効果は期待できない。
【0011】
特開2010−33307(P2010−33307A)においても、ディスプレ ーを用いて画像や音声を発信することにより通行人にアピールする手段は持ってい
るが、その目的は携帯電話を用いて自動販売機の消費動向をリアルタイムで入手す ることに特定しており、クーポン情報のやり取りを実施するために必要な程度の機 能が期待されているに過ぎないため、ディスプレーを用いて通行人に対して訴求力
発揮し販売を促進するという効果は期待できず、また販売情報のモニターを携帯電 話を通じて行うマーケティングは、目的達成の為に顧客に操作を依存する要素が大 きく、効果が上がりにくい欠点がある。
【0012】
特表2004−517385(P2004−517385A)もディスプレーを備 え、この装置の利用方法・利用者の健康状態・広告画面のいずれかを含んで画面表
示するが、通行人を積極的に訴求するためにディスプレーが使われている訳ではな
い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−21457
【特許文献2】特開2000−172925(P2000−172925A)
【特許文献3】特開2002−109625(P2002−109625A)
【特許文献4】特開2008−59092(P2008−59092A)
【特許文献5】特開2001−307220(P2001−307220A)
【特許文献6】特開2010−33307(P2010−33307A)
【特許文献7】特表2004−517385(P2004−517385A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来の自動販売機は、通常はその前面のパネル上部に商品サンプルやレプリカが展
示されている程度の装飾で、人通りが多くて人目に触れやすい場所に設置されては
いるが、そういった商品販売に有利な場所は限定的であり、また、そのような場所
には複数の競合メーカーの自動販売機が並んで設置されていることも多く、自社の
自販機を他社のものと差別化することは極めて困難であった。一部には小さな動画
映像を表示するディスプレーを備えているものもあるが、大型ではなく、しかも同
じ画面を単調に繰り返し表示するだけで、訴求効果を得るのは困難であった。また、
従来の自動販売機では商品レプリカを自動販売機の前面上部に展示するのが一般的
であり、そのレプリカの作製や、季節の変わり目の販売商品入れ替えの時には、新
旧の対応するレプリカの入れ替えについても多大なコストと労力を費やしていた。
【0015】
さらに、自動販売機での商品販売においては、商品を補填した後、ある程度の期間
内で販売できないと賞味期限までの残日数が少なくなり、一度充填した商品を労力
をかけて回収して処分するなど、自動販売機の中の商品の鮮度管理と鮮度維持にか
けるコストは膨大なものとなっていた。自動販売機での販売においては店頭販売と
異なり、賞味期限が迫った商品をすべての自動販売機に対して、人手をかけて価格
変更処置をするなどの対応は簡単ではなかった。
【0016】
自動販売機で販売された商品の種類と数量は、人手をかけて販売機設置場所を巡回
して商品の補填をする時になって初めて把握できるが、そのため、結果的に不要な
商品を大量に準備して巡回したり、必要であった商品が不足したりと、補填のため
の巡回を効率良くすることが困難であった。さらに現行の自動販売機では、自動販
売機の前面パネルの商品選択スウィッチを押すことで商品を購入しているが、やや
もすると押し間違いが発生し易く、購入者が希望しない商品を買ってしまったり、
間違って買った時には新たに買い直して余計な出費がかかるようなケースもあった。
【0017】
自動販売機の前面パネルにディスプレーを有する先進的な自動販売機の場合におい
ては、主として通行する人に相対する前面パネルに設置する場合が多い。しかしな
がら、前面パネルは製品補充のために片側のヒンジを支点としてドアの様に開閉す
ることから、その前面パネルにディスプレーを設置すると、その重量のために自動
販売機自体のヒンジ部や筐体の補強が必要となり、さらなる重量アップとコストア
ップが避けられなかった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、以上のような自動販売機における種々の問題点を考慮し、それらの問題
点に工夫と改善を加え、自動販売機による販売手法を通じて総合的な利益追求を可
能ならしめる自動販売機を提供するものである。自動販売機の前面パネルの上部に、
商品サンプルやレプリカに替えて高分解能の大型ディスプレーを設け、高精細で高
品質の美麗な動画や静止画を表示することにより、通行人の目を引き訴求力を高め
ることが可能となる。また、大型ディスプレーの大きな画面は要素画面に分割して
用いることができ、種々多様なコンテンツを同時に表示することが可能であり、訴
求力を高めるコンテンツを表示すると同時に、商品レプリカに替えて商品の動画や
静止画を表示して広告宣伝することで販売促進効果を待たせることができる。
【0019】
また、画像の中にQRコードを表示し、それを購買者がQRコード読み取り用の携
帯端末、例えば携帯電話などで読み取り、それを通じて商品の詳しい情報や企業情
報が掲載された携帯ウェブサイトにアクセスすることも、通行人のニーズを満たし
自動販売機の前に立ち止まらせる効果が大きく、有効である。インターネットを利
用して各自動販売機の表示内容を管理運用することにより、遠隔地にて遠くにある
自動販売機の表示内容を適宜変更できるため、多くの労力とコストを削減可能であ
る。
【0020】
また、タッチパネル機能付きディスプレーを用いることで、老若男女を問わず購買
者が操作方法を直感的に理解しやすく、簡単な操作で確実に商品購入ができる。操
作としては、購入者が製品を購入したい時に指定されたエリアを押すかまたは触れ
ることによりその商品を購入することができるため、買い間違い等の問題は発生し
にくい。さらにタッチパネルでの購入操作がそのまま販売情報としてインターネッ
トを経由して遠隔地で入手できるため、その情報により商品画像の表示変更や価格
の変更も含めて遠隔操作できる利点がある。加えて、入力装置と表示装置が一体化
されるため、装置の小型化や簡素化、低コスト化が期待できる。
【0021】
自動販売機の前面パネルにディスプレーを設置する場合のヒンジ部や筐体部の補強
については、前面パネルを左右両側に観音開きで開閉できる構造にすることで、製
品補充のために前面パネルを開閉しても両側のヒンジ部に重量が分散されるため、
個々のヒンジ部においては重量負担が軽減され、同時に筐体自身への重量負担も大
きく軽減することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、これまでの自動販売機はその前面パネルの上部に商品サンプルを展示し、購買者がそれを見て商品を購入するという、極めて受動的な販売手法しか取
り得なかった。それに対し本発明は、高精細のディスプレーを有効に活用すること
で通行人の注意を積極的に引きつけ、商品の魅力を強くアピールして、通行人をよ
り一層高い確率で購買行動に導くことができる。また、購買者の購買操作が簡便に
なるだけでなく、販売情報をオンタイムで把握でき、それを基に価格の最適化を適
宜実施するなど、表示内容を遠隔地から変更し、販売量の調整ができることから、
品切れを出さずに在庫を適切に管理でき、季節商品の入れ替えや鮮度管理も低コス
トで実施できるなど、総じて販売を伸ばしながら利益の最大化を図ることが可能と
なる。また、前面パネルを左右両側に観音開きで開閉できる構造にし、比較的小型
のディスプレーを左右の前面パネルに適切に分散して配置することにより、広告宣
伝に活用して自動販売機に対する訴求効果を高めるためのディスプレーと、商品購
入のためのタッチパネル機能を有するディスプレーを併設することができ、極めて
多様な機能を低コストで合わせ持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態を示す自動販売機の正面図である。
【図2】ディスプレーの一実施形態の正面図である。
【図3】公衆回線網を利用したオンライン運用の一実施形態である。
【図4】タッチパネル機能付き第二ディスプレー併設の場合の一実施形態である。
【図5】店舗位置を示した地図付きディスプレーの一実施形態である。
【図6】タッチパネル機能付きディスプレーを有し、観音開きできる前面パネルの 場合の一実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
請求項1の発明の一実施形態を図1に示す。飲料の自動販売機1の前面パネル2の
上部に液晶ディスプレーが設置されている。従来の一般的な自動販売機ではこの部
分に商品サンプルのレプリカが陳列されているが、ほぼ同じ位置に、視覚的訴求力
があり十分な大きさを持ったディスプレー3が設置されている。通行人がそれを見
て自動販売機の前に立ち、そのディスプレー2の下部にある分割された要素画面7
の個々の商品画像表示部を見て、欲しい商品を表示している画面内の金額を金銭投
入口に入れ、同画面内の番号に相当する商品選択スウィッチ4を押すと商品が製品
取り出し口6に排出される。
【0025】
ディスプレーのタイプとしては、実用化され市販されている家庭用テレビの主流と
なっている高分解能で高精細のフルカラーディスプレー、例えば、液晶方式、プラ
ズマ方式、有機EL方式、LED方式、等のいずれの方式でも使用可能であるが、
高精細の液晶表示部の背面に低消費電力のLED発光のバックライトを組み合わせ
で構成するディスプレーパネルが、高性能で低消費電力のディスプレーとして有効
である。高分解能のフルカラーディスプレーを用いているため、高品質で美麗な映
像や画像を表示でき、一般の商品サンプルやレプリカの並んだ自動販売機に比べ大
きく差別化することが可能である。ディスプレーは分割されて小サイズで複数の要
素画面7を用いるため、自動販売機のサイズをフルに利用して可能な限り大きいも
のが、訴求力の改善と商品の紹介を同時に追求することが出来て好ましい。
【0026】
他方、コスト的観点からみても、従来の自動販売機で一般的に使用されている商品
レプリカの作製や新旧入れ替えにおいては多大なコストと多大な労力を要していた。
本発明による方式ではそれらを一切用いないディスプレー表示であるため、これま
で費やしていたコストを削減でき、トータル的な自動販売機のコスト低減が可能と
なる。しかも、商品サンプル等の廃材が全く出ないことで、極めて環境に優しい広
告宣伝方法と言える。
【0027】
ディスプレーは画面の分割技術を駆使することにより、消費者の視覚に強くアピー
ルして訴求効果を一層高める画面を表示すると同時に、別の画面で商品の魅力をア
ピールできるため、通行人の購買行動に繋がり易い。要素画面に分割する方法は、
基本的には矩形であるが、画面数や要素画面のサイズに関していかようにも分割可
能であり、また、各要素画面の使用方法も、音声の割り当てについても何ら制約は
無い。ディスプレーの画面は分割され、小さな要素画面に区切られるため、ディス
プレーのサイズは出来る限り大きい方が好ましいが、訴求力が十分であればサイズ
の大きさを譲歩して小型のディスプレーを使用したり、また分解能を譲歩して低分
解能のディスプレーやモノクロ表示のディスプレーを使用することで、低コストを
優先することも可能である。
【0028】
ディスプレーの一部の要素画面を広告宣伝枠として貸出し、広告メディアとしてレ
ンタルビジネスも可能である。また、企業宣伝や商品宣伝の画像の中にQRコード
を表示しておき、それを購買者が、読み取り用の携帯端末、例えば携帯電話で読み
取り、それを通じて商品の更なる詳細情報や詳しい企業情報にアクセスすることも
可能である。これにより、商品の購買活動に拍車がかかり販売が拡大するとか、ア
クセスした企業の携帯ウェブサイトから、メール会員登録してメール会員になりリ
ピーターとして、それ以降の長期で安定した購買行動に繋がる可能性も期待できる。
【0029】
ディスプレー表示に関する実施形態例を図2に示す。先ず、ディスプレー画面内上
段の目につき易い場所に横長の画面を設け文字ニュース画面11とし、ホットニュ
ースやインターネットを通じて入手できるRSSヘッドラインニュース等の文字情
報を流すと、通行人の注意を引きつける効果が大きい。そのすぐ下の比較的大きな
画面をTV画面12に割り当て、チューナーを通じてテレビ放送を放映するのも高
い訴求効果が期待できる。国民的人気のある大相撲やサッカー、野球の中継等、高
視聴率番組を選んで放映することで、通行者が思わず足を止めるほど効果が期待出
来る。放送番組を録画したものを上映してもよい。また往年の名番組や名場面も放
映できる。通行人はその画面を目に止め、自動販売機の前で立ち止まり、商品販売
の機会が高まる。
【0030】
TV画面12の横を広告宣伝画面13に割り当てる。自動販売機のオーナー企業が
自社の広告宣伝やキャンペーン商品の情報を動画で宣伝してもよい。また、人気の
ビデオやアニメなどのDVDの映像や、人気モデルの静止画写真、イラストレーシ
ョン等についても、訴求力を高める効果が期待できる。あるいはローカルに設置さ
れたカメラによるビデオ映像やDVDの映像を表示することもできる。また、HT
MLでウェブページをそのまま表示したり、FLASHでウェブ上のSWF形式も表
示可能で、通行者の注意を引く効果が期待できる。やや大きめのTV画面を部分を、
テレビ放送に代えて広告宣伝、広告宣伝画面を利用することもできる。また、音声
はTV画面に割り当てるのが一般的ではあるが、TV画面を無音にして広告宣伝画
面に音声を割り当てることもできる。
【0031】
さらには、図5に示すようにディスプレー画面の大半を近隣の地図画面41に充て、
通行人が現在地を確認したり、そこに掲載されている近隣の店舗情報を利用するこ
とで自動販売機の前に立ち止まる機会を格段に高め、商品の販売に大きく貢献する
ことが期待できる。この場合、地図に掲載されている店舗の広告宣伝画面42を地
図画面とは別の要素画面に表示し、積極的にそれらの店舗の広告宣伝をアピールす
ることにより、通行人の自動販売機の利用度が増し、商品販売に加え、広告宣伝料
の追加収入も期待される。
【0032】
このように、注目される画面が満載されているディスプレーの画面上に、分割画面
をフルに活用して自動販売機で販売している商品の広告宣伝コンテンツの映像や画
像を盛り込んで表示することで、商品の販売量の大きな増加が期待できる。商品表
示画面14は小区画の要素画面の集合であり、自動販売機で販売している商品を一
区画ずつ割り当て、商品写真と共に価格と数字を表示しておいて、買いたい商品が
表示されている要素画面に表示されている価格の金銭を金銭投入口5から入れ、商
品表示画面14に表示してある数字に対応するディスプレーの下部にある商品選択
スウィッチを押すと、商品の購入が出来る。商品表示画面14にタッチパネルスウ
ィッチ機能を付与しておくことで商品購入を可能とすることもできる。
【0033】
各自動販売機を極めて効率良く管理運用するためにインターネットを使用する実際的な一実施形態を図3に示す。請求項2にあるように、インターネットを通じて中央の編集用パーソナルコンピューター21がコンテンツ管理用サーバー22に接続されており、同様にインターネットに接続している各自動販売機23を運用する仕組みを表している。コンテンツ管理用サーバー22はインターネットを経て自動販売機23の内部のルーター24とセットトップボックス25とを経てディスプレー26に接続されている。表示に必要な情報、コンテンツはコンテンツ管理用サーバー22に保存されており、設定された表示スケジュールに沿って個々のディスプレーのセットトップボックスの記憶デバイスに取り込まれ運用される。
【0034】
ルーター24は自動販売機の内部または外部に設置されており、遠隔地にあるコン
テンツ管理用サーバー22と自動販売機内のセットトップボックス25をネットワ
ーク環境を介して繫いでプライベートなネットワークを構築すると同時に、セキュ
リティ確保の為にも有用である。自動販売機の管理運用においては、ディスプレー
の全体画面を要素画面に分割するための制御情報、即ち個々の要素画面に表示する
商品やブランド、企業等の宣伝広告用のコンテンツ情報、必要に応じて映像や画像
の音声情報、表示するコンテンツの選択、それらの表示スケジュールの管理、等を
含む表示に必要な情報を、自動販売機の内部に備えておいた記憶媒体にダウンロー
ドして即時に表示変更をしたり、あるいは表示に必要な情報を事前に送信しておき
記憶媒体に一時的に記憶させておき、指定した表示スケジュールに従って表示させ
ることも可能である。
【0035】
個々の自動販売機の設置場所、あるいは自動販売機のそばを通り過ぎる通行人のタ
イプ、近くに学校やイベント施設があるかどうか、近隣のイベントの開催状況、等
に併せて、自動販売機ごとの個別のキャンペーンを実施するとか、商品価格を変更
するなど、利益の最大化を求めて戦略的に自動販売機の販売を管理運用することが
可能となる。
【0036】
請求項3にあるように、図1に示す大画面のディスプレー3とは別に第2ディスプ
レーとしてタッチパネル機能付きディスプレーを併設するか、あるいは大画面のデ
ィスプレー3の全部または一部にタッチパネル機能を持たせておくことで、購入者
が任意の商品を選択した後にその商品が表示されたディスプレー画面を押すかまた
は触れる操作をすることにより、簡便な操作で購入者が商品を購入することができ
る。この場合、表示装置と入力装置が一体化されていて購入者が画面上の商品画像
に対して直接入力動作をするため、購買者が操作方法を直感的に理解しやすい。ま
た入力装置と表示装置が一体化されるため、装置の小型化や簡素化が期待できるな
どの利点がある。タッチパネルの方式としては、現在実用化されている、静電容量
方式 、抵抗膜方式、超音波表面弾性波方式、等、ディスプレーのタイプに合わせて
最適のものを選んで使用することができる。
【0037】
図1のディスプレー3の下方に第2ディスプレーとしてタッチパネル機能付きのデ
ィスプレーを設けた場合の実施形態例を図4に示す。タッチパネル機能付きディス
プレー35は画面を小区画の要素画面に区切り、商品表示画面36として使用する。
自動販売機で販売している各商品を要素画面の一区画ずつに割り当て、商品写真、
又は動画と共にその商品の価格を表示しておき、その価格の金銭を金銭投入口5か
ら支払い、購入を希望する商品が表示されている区画の要素画面を触れることによ
り商品の購入が出来る。さらにタッチパネル機能を拡大活用して、商品の販売情報、
即ち、時間、場所、販売数量に加え、コンテンツの内容別による販売情報をオンラ
インにて収集できるため、それらの情報を短時間でまとめて速やかに新たな販売戦
略に展開できることから、営業活動を効率的に進めることもできる。
【0038】
このように本発明では、編集用パーソナルコンピューターを用いて、遠隔地より自
動販売機で販売する商品の価格を容易に変更することが可能であるため、販売の価
格戦略をタイムリーに展開できて売り上げや利益の最大化を図ることが可能である。
例えば、賞味期限の残日数が少なくなってきた商品ロットや、季節の変わり目の商
品入れ替え時等で在庫削減が必要な時、また目玉商品のキャンペーンを実施したい
時など、個別の自動販売機の設置場所に行くことなく、全自動販売機に対してオン
ラインで個別の価格変更がタイムリーに実施出来るため、これまでのような大量の
在庫処分によるコストを発生することなく、利益の最大化が追求できる。
【0039】
前述のタッチパネル機能付きディスプレーを使用する場合、図4に示すフェリカ・
リーダー・ライター-携帯用37、あるいはフェリカ・リーダー・ライター-スイカ
用38などを利用することで、現金が無くても商品購入が出来るため、購入者の利
便性が大きく改善されると共に、価格変更に伴う釣銭の返金機構の変更なども不要
となるため、遠隔地からの管理運用の効率が極めて高くなる利点もある。
【0040】
図6に示すように、前面の左右パネル51が左右の分割線52のところから分かれ
ており、ドアハンドル55を持って左右両側に観音開きで開閉できる構造にすると、
比較的小型のディスプレーを左右の前面パネルに複数台併設できるため、ディスプ
レーコストが大幅に節減でき、しかも、広告宣伝用のディスプレー53と、製品を
購入するためのタッチパネル機能を有するディスプレー54を併設することができ
ることから、極めて多様な機能を、多くのコストをかけること無く合わせ持つこと
ができる。
【符号の説明】
【0041】
1・・・自動販売機
2・・・前面パネル
3・・・ディスプレー
4・・・商品選択スウィッチ
5・・・金銭投入口
6・・・商品取り出し口
【0042】
11・・文字ニュース画面
12・・TV画面
13・・広告宣伝画面
14・・商品表示画面
【0043】
21・・編集用パーソナルコンピューター
22・・コンテンツ管理用サーバー
23・・自動販売機
24・・ルーター
25・・セットトップボックス
26・・ディスプレー
【0044】
31・・文字ニュース画面
32・・TV画面
33・・企業広告画面
34・・販促商品画面
35・・タッチパネル機能付きディスプレー
36・・商品表示画面
37・・フェリカ・リーダー・ライター-携帯用
38・・フェリカ・リーダー・ライター-スイカ用
【0045】
41・・地図画面
42・・店舗の広告宣伝画面
【0046】
51・・前面の左右パネル
52・・前面の左右パネルの分離線
53・・企業広告・新製品・販促製品表示画面
54・・タッチパネル機能付き商品表示画面
55・・前面パネル観音開きドアハンドル
56・・商品取り出し口


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機において、その前面パネルにディスプレーを有しており、その画面表示が
ソフトウェアによる制御により複数の要素画面に分割可能で、さらに個々の要素画面
は自在に多様なサイズに設定することができ、それぞれの画面に種々のコンテンツ、
例えば放映中のテレビ映像、ニュース等の文字情報、地図情報、動画や静止画、写真
画面等を同時に表示することでそのディスプレーの訴求力を格段に高める目的に加え、
自動販売機で販売する商品を魅力的に宣伝する目的の両方を兼ね備え、それらを同時
並行的に表示できることを特徴とするディスプレー付き自動販売機。
【請求項2】
上記ディスプレー付き自動販売機において、必要に応じてルーターやセットトップボ
ックスを経由して該自動販売機のディスプレーをインターネットに接続し、コンテン
ツ管理用のサーバー内に保管されている該ディスプレーの表示に必要な情報、即ち、
該ディスプレーの画面分割の方法、個々の画面に表示するコンテンツの内容、表示す
るコンテンツの選択、及びそれらの表示スケジュール、等の情報を、遠隔地からのオ
ンライン操作により該自動販売機内に備えられた記憶媒体にダウンロードし、所望の
コンテンツを指定した表示スケジュールに従って表示させることができることを特徴
とするディスプレー付き自動販売機。
【請求項3】
請求項2に記述された自動販売機において、ディスプレー画面の全面あるいはその一
部、またはそのディスプレーとは別に併設された第2ディスプレーがタッチパネル機
能を有し、購入者が任意の商品を選択した後に、その商品を購入するために指定され
たタッチパネル画面上の特定のエリアに触れる操作を通して購入者がその商品を購入
することができ、そのタッチパネル操作による販売情報をオンラインにて遠隔地で収
集でき、且つ、得られた販売情報に応じてディスプレー上の表示内容をオンラインで
変更することができることを特徴とするタッチパネル機能付き自動販売機。
【請求項4】
請求項2及び3に記述された自動販売機において、その前面パネルが観音開きで左右
両側に開閉できる構造になっており、左右のパネルのいずれかまたは両方に1台また
は複数台のディスプレーが装備されていて、それらのディスプレーの内、少なくとも
1台が商品を選択して購入するためのタッチパネル機能を有することを特徴とする自
動販売機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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