ディスペンサ
【課題】簡単に取り外すことのできるフロントパネルを備えたディスペンサを提供する。
【解決手段】ネジ42を取り外し、フック50がコネクタ部60に係合した状態で、フロントパネル2を前方に向かって回動させる。フロントパネル2が前方に向かって回動すると、コネクタ部60の頂部60aへのフック50の当接片53の当接位置がずれ、最終的に、係合片54のほぼ全面が側面部60bに接する状態となる。これにより、フロントパネル2は、前方に最大限傾いた状態を維持される。この状態で上方から覗きこむことにより、操作部25に接続されているリード線のコネクタを取り外し、フロントパネル2を上方に動かしてコネクタ部60からフック50を外すことにより、本体部10からフロントパネル2が取り外される。
【解決手段】ネジ42を取り外し、フック50がコネクタ部60に係合した状態で、フロントパネル2を前方に向かって回動させる。フロントパネル2が前方に向かって回動すると、コネクタ部60の頂部60aへのフック50の当接片53の当接位置がずれ、最終的に、係合片54のほぼ全面が側面部60bに接する状態となる。これにより、フロントパネル2は、前方に最大限傾いた状態を維持される。この状態で上方から覗きこむことにより、操作部25に接続されているリード線のコネクタを取り外し、フロントパネル2を上方に動かしてコネクタ部60からフック50を外すことにより、本体部10からフロントパネル2が取り外される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスペンサに係り、特に、ディスペンサの前面に設けられたフロントパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された従来のディスペンサは、その前面に、水平方向に開閉可能なパネルが設けられ、その背後にさらに、内部の機器を隔離するカバー部が設けられている。例えば、メンテナンスの際には、パネルを開いた後、カバー部を取り外すことにより、ディスペンサの正面から内部の機器が見えるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−97780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバー部には、内部の機器に接続されたリード線がつながっているためカバー部を取り外しにくく、カバー部を取り外す際にリード線に無理な力が加わってしまい損傷してしまうおそれがあるといった問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、簡単に取り外すことのできるフロントパネルを備えたディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディスペンサは、本体部と、本体部の前面に設けられたフロントパネルと、フロントパネルを本体部に取り付ける取付手段と、本体部の前面を閉じた状態でフロントパネルを本体部に固定する固定手段とを備えたディスペンサであって、取付手段は、フロントパネルに設けられた少なくとも1つのフックと、本体部に設けられ、フックが係合するコネクタ部とを備え、固定手段を解除すると、フックとコネクタ部とが係合した状態でフロントパネルをディスペンサの前方に向かって傾けることができると共に、フロントパネルが傾いた状態を維持することができる。
フックは、フロントパネルに取り付けるための取付片と、取付片の端部に接続されてコネクタ部の頂部に当接する当接片と、当接片の端部に接続された係合片であって、係合片の端部がコネクタ部の側面部に当接する係合片とを備える。
本体部の側面に位置する側面部と、側面部の端縁部に接続されて本体部の前面に位置する前面部とを有するサイドパネルをさらに備え、前面部の端縁部には、端縁部に対して凹んだ少なくとも1つの切欠部が設けられ、フロントパネルは側面部を備え、フロントパネルの側面部の端縁部には、端縁部に対して突出した少なくとも1つの突出部が設けられ、フロントパネルが本体部の前面を閉じた状態で、フロントパネルの側面部の端縁部が前面部に接すると共に突出部が切欠部に挿入され、突出部と切欠部との間に隙間が存在する。
フロントパネルは、上面部と、上面部よりも下方に設けられた仕切り板とを備えてもよい。
仕切り板は、ディスペンサの前方に向かって下方に傾斜してもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、固定手段を解除すると、フックとコネクタ部とが係合した状態でフロントパネルを前方に向かって傾けることができ、さらにその傾いた状態を維持することができる。この状態であれば、本体部の内部を見ながらリード線等とフロントパネルとのコネクタを外すことができ、その後、フロントパネルを上方に動かしてコネクタ部からフックを外すことにより、本体部からフロントパネルが取り外されるので、フロントパネルを簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態に係るディスペンサの斜視図である。
【図2】この実施の形態に係るディスペンサにおいて、カバー部材が取り外された状態の斜視図である。
【図3】この実施の形態に係るディスペンサのフロントパネルの裏側斜視図である。
【図4】この実施の形態に係るディスペンサのフロントパネルに取り付けられたフックの断面図である。
【図5】この実施の形態に係るディスペンサのフロントパネルの取り付けを説明するために、ディスペンサの一部の部品を取り除いた状態の斜視図である。
【図6】この実施の形態に係るディスペンサの固定フレームの斜視図である。
【図7】この実施の形態に係るディスペンサにおいて、フロントパネルを閉じた状態の断面部分拡大図である。
【図8】この実施の形態に係るディスペンサにおいて、フロントパネルが前方に向かって傾く原理を説明するために、ディスペンサの一部の部品を取り除いた状態の斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態に係るディスペンサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、ディスペンサ1は、本体部10と、本体部10内に格納された製氷機や飲料冷却機構等の内部機器11とを有し、飲料及び氷片の少なくとも一方を注出するものである。飲料には、例えばお茶、ジュース、スープ等が含まれる。尚、この実施の形態では、「前方」及び「後方」はそれぞれ、ディスペンサ1を基準にして、ディスペンサ1の裏面側から正面側に向かう方向を「前方」とすると共にディスペンサ1の正面側から裏面側に向かう方向を「後方」とする。
【0010】
本体部10の前面の上部にはフロントパネル2が設けられており、フロントパネル2には、カバー部材3が着脱自在に取付けられている。フロントパネル2の下方には、操作レバー4が設けられている。操作レバー4は、例えばコップを押し当てる等の利用者による操作が行われるものであり、操作レバー4の操作により、飲料や氷が注出される。本体部10の前面の下部には、コップからこぼれ落ちる等した飲料や氷を受けるためのドレンパン5が設けられている。
【0011】
図2に示されるように、フロントパネル2の正面部2aには、正面部2aの他の部分に比べて窪んだ格納区画20が設けられている。格納区画20内には、ディスペンサ1の動作を制御する制御操作部21と、飲料や氷が注出される注出部22と、磁石23とが配置されている。
【0012】
カバー部材3は、格納区画20を覆うようにフロントパネル2に取付けられる。すなわち、制御操作部21は、フロントパネル2にカバー部材3が取付けられることで、カバー部材3により隠される。制御操作部21がカバー部材3によって隠されることで、ディスペンサ1の動作設定を利用者が不必要に変更することが回避される。
【0013】
注出部22は、飲料注出ノズル22aと氷片注出ノズル22bとを含むものであり、利用者による操作レバー4の操作に応じて、飲料及び氷片を注出する。この注出部22も、上述の制御操作部21とともにカバー部材3により隠される。
【0014】
磁石23は、格納区画20の上部に配置されている。カバー部材3の背面には、磁石23に対応する受金3aが設けられている。磁石23に受金3aが吸着されることで、カバー部材3がフロントパネル2に対して固定される。
【0015】
図3に示されるように、フロントパネル2は、前方に向かって凸状に湾曲した正面部2aと、正面部2aの上縁部に接続され後方に向かって延びる上面部2bと、正面部2aの下縁部に接続され後方に向かって延びる下面部2cと、正面部2aの左右の側縁部に接続され後方に向かって延びる左右の側面部2d及び2eとを備えている。左右の側面部2d及び2eそれぞれの後方縁部2d1及び2e1にはそれぞれ、後方に向かって突出した突出部43が2つずつ設けられている。
【0016】
正面部2aの中央付近には、本体部10内に格納された内部機器11(図1または2参照)からの図示しないリード線が接続される操作部25が設けられている。上面部2bのやや下方には、上面部2bと平行に仕切り板40が設けられ、仕切り板40は、左右の側面部2d及び2eに接続されている。仕切り板40は、上面部2bよりもわずかに長く後方に向かって延びている。仕切り板40の下面には、断面がコの字状の2つの上部ネジ止め部41が、正面部2aの裏面から後方に向かって互いに平行に延びると共に仕切り板40よりも後方に突出するように設けられている。上部ネジ止め部41には、仕切り板40よりも後方に突出した部分に、後述するネジ42(図5または7参照)が挿入される孔41aが設けられている。ここで、上部ネジ止め部41とネジ42とは、固定手段を構成する。
【0017】
フロントパネル2の後方側の下端部には、2つのフック50がネジ49によって取り付けられている。図4に示されるように、フック50は、フロントパネル2(図3参照)に取り付けるための取付片51を有している。取付片51には、ネジ49(図3参照)が挿入される孔52が設けられている。取付片51の下端部51aには、取付片51と垂直に当接片53が接続されている。当接片53の端部53aには、当接片53と鋭角の角度θをなすように係合片54が接続されている。係合片54の端部54aには、係合片54と垂直につまみ片55が接続されている。
【0018】
図5に示されるように、本体部10には、フック50が係合する板状のコネクタ部60が設けられている。フック50の当接片53がコネクタ部60の頂部60aに当接すると共に係合片54の端部がコネクタ部60の側面部60bに当接することにより、フック50がコネクタ部60に係合される。フック50のコネクタ部60に対する係合位置を位置決めするために、フック50の幅よりもほんのわずかだけ長い間隔をあけて平行に設けられた一対の位置決め部61,61がコネクタ部60の側面部60bから後方に向かって延びるように設けられている。ここで、フック50と、コネクタ部60とは、フロントパネル2を本体部10に取り付けるための取付手段を構成する。
【0019】
また、本体部10の上部には、固定フレーム70が設けられている。固定フレーム70には、ネジ42によって上部ネジ止め部41が固定されている。これにより、フロントパネル2は、ディスペンサ1の前面を閉じた状態で本体部10に固定される。図6に示されるように、固定フレーム70には、固定フレーム70を本体部10に取り付けたときに水平な状態となる水平面部71と、水平面部71に垂直に接続された垂直面部72とを備えている。水平面部71には、ネジ42(図5参照)が挿入される孔74が設けられている。垂直面部72は、固定フレーム70を本体部10に取り付けたときに、水平面部71から鉛直方向下向きに延びるような状態になり、その下端部には、一端から他端に向かって傾斜するようにガイド部73が接続されている。
【0020】
図7に示されるように、フロントパネル2が本体部10の前面を閉じた状態で本体部10に固定されている場合、フロントパネル2の上面部2bの後方縁部2b1は、本体部10のトップパネル80の前方縁部80b付近を下方に垂直に折り曲げた折り曲げ部81に接している。従って、後方縁部2b1と折り曲げ部81との間には、わずかな隙間82が存在する。前方縁部80bは、仕切り板40に接している。これにより、フロントパネル2の正面部2a及び上面部2bと、仕切り板40と、折り曲げ部81とが、コンパートメント89を形成する。
【0021】
例えば、利用者が誤ってコップの中の飲料をトップパネル80の上にこぼしたとすると、飲料の一部が隙間82を介して、本体部10とフロントパネル2との間に浸入してしまう。浸入した飲料は、折り曲げ部81に沿って流下し、仕切り板40に達する。すなわち、浸入した飲料は、コンパートメント89に少なくとも一時的に溜められる。この実施の形態では、仕切り板40は、上面部2bと平行であるが、前方に向かって下方に傾斜するように設ければ、コンパートメント89における飲料の貯留性能が向上する。
【0022】
コンパートメント89へ溜められた飲料の量が増加すると、飲料の一部が、前方縁部80bと仕切り板40との間のわずかの隙間を介して、固定フレーム70の水平面部71上に落下する。水平面部71においても一時的に飲料を溜めておくことはできるが、飲料の量が増加すれば、垂直面部72に沿って流下し、ガイド部73に達する。ガイド部73は、一方の端部に向かって傾斜しているので(図6参照)、この傾斜に沿って飲料が流れ、一方の端部から落下する。図示されていないが、この一方の端部の下方に、排水機構を設けておけば、隙間82を介して浸入した飲料が、内部機器11や操作部25(図1参照)を濡らすことなく排水される。これにより、トップパネル80の上に飲料をこぼしても、内部機器11や操作部25が濡れて漏電するのを防止できる。
【0023】
次に、メンテナンス等で本体部10の内部を見えるようにするための作業について説明する。
フロントパネル2を取り外して内部機器11を正面から見えるようにするには、まずトップパネル80を取り外し、ネジ42を取り外す(固定手段の解除)。すると、図8に示されるように、フック50がコネクタ部60に係合した状態で、フロントパネル2を前方に向かって回動させることができる。フロントパネル2が前方に向かって回動すると、コネクタ部60の頂部60aへのフック50の当接片53の当接位置がずれ、最終的に、係合片54のほぼ全面が側面部60bに接する状態となる。これにより、フロントパネル2は、前方に最大限傾いた状態を維持される。
【0024】
フロントパネル2が前方に傾いた状態を維持していれば、上方から覗きこむことにより、操作部25に接続されている図示しないリード線のコネクタを取り外すことができる。リード線のコネクタを取り外したら、フロントパネル2を上方に動かしてコネクタ部60からフック50を外すことにより、本体部10からフロントパネル2が取り外される。
【0025】
メンテナンス等の作業終了後にフロントパネル2を本体部10に取り付けるには、この逆の手順を行う。すなわち、フロントパネル2を前方に傾けながら、フック50を位置決め部61,61間でコネクタ部60に係合させた後、操作部25にリード線を接続し、フロントパネル2を後方に回動させて本体部10の前面を閉じる。そして、図5に示されるように、ネジ42で上部ネジ止め部41を固定フレーム70に固定することにより、フロントパネル2が本体部10の前面を閉じた状態で取り付けられる。
【0026】
このように、ネジ42を取り外すと、フック50とコネクタ部60とが係合した状態でフロントパネル2を前方に向かって傾けることができ、さらにその傾いた状態を維持することができる。この状態であれば、本体部10の内部を見ながらリード線等とフロントパネル2とのコネクタを外すことができ、その後、フロントパネル2を上方に動かしてコネクタ部60からフック50を外すことにより、本体部10からフロントパネル2が取り外されるので、フロントパネル2を簡単に取り外すことができる。
【0027】
図9に示されるように、ディスペンサ1は、本体部10の側面に位置する側面部91と、側面部91の端縁部91aに側面部91とは垂直に接続されて本体部10の前面に位置する前面部92とを有するサイドパネル90を備えている。前面部92には、その端縁部92aに2つの窪んだ切欠部93が形成されている。フロントパネル2の側面部2eの後方縁部2e1は、前面部92に接しており、側面部2eに設けられた2つの突出部43がそれぞれ、2つの切欠部93内に挿入されている。突出部43と切欠部93との間には、隙間94が形成されている。尚、図9には示されていないが、フロントパネルの側面部2d側の構成も同じ構成になっている。
【0028】
サイドパネル90は、フロントパネル2の側面部2d及び2eの後方縁部2d1(図3参照)及び2e1がサイドパネル90の前面部92に重なるように接して設けられていることにより、本体部10に対して前面部92をネジ固定する必要がなくなる。また、この構成により、サイドパネル90に必要な強度を下げることができ、従来のディスペンサのように、前面部92に相当する部分の端縁部をさらにハゼ折りすることが不要となる。さらに、メンテナンス作業者が水平方向に力を加えれば、フロントパネル2及びトップパネル80を取り外さなくてもサイドパネル90のみを取り外すことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ディスペンサ、2 フロントパネル、2b (フロントパネルの)上面部、2d,2e (フロントパネルの)側面部、2d1,2e1 (フロントパネルの側面部の)後方縁部[フロントパネルの側面部の端縁部]、10 本体部、40 仕切り板、41 上部ネジ止め部[固定手段]、42 ネジ[固定手段]、43 突出部、50 フック[取付手段]、51 取付片、51a (取付片の)端部、53 当接片、53a (当接片の)端部、54 係合片、54a (係合片の)端部、60 コネクタ部[取付手段]、60a (コネクタ部の)頂部、60b (コネクタ部の)側面部、90 サイドパネル、91 (サイドパネルの)側面部、91a (サイドパネルの側面部の)端縁部、92 (サイドパネルの)前面部、92a (サイドパネルの前面部の)端縁部、93 切欠部、94 隙間。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスペンサに係り、特に、ディスペンサの前面に設けられたフロントパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された従来のディスペンサは、その前面に、水平方向に開閉可能なパネルが設けられ、その背後にさらに、内部の機器を隔離するカバー部が設けられている。例えば、メンテナンスの際には、パネルを開いた後、カバー部を取り外すことにより、ディスペンサの正面から内部の機器が見えるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−97780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバー部には、内部の機器に接続されたリード線がつながっているためカバー部を取り外しにくく、カバー部を取り外す際にリード線に無理な力が加わってしまい損傷してしまうおそれがあるといった問題点があった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、簡単に取り外すことのできるフロントパネルを備えたディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るディスペンサは、本体部と、本体部の前面に設けられたフロントパネルと、フロントパネルを本体部に取り付ける取付手段と、本体部の前面を閉じた状態でフロントパネルを本体部に固定する固定手段とを備えたディスペンサであって、取付手段は、フロントパネルに設けられた少なくとも1つのフックと、本体部に設けられ、フックが係合するコネクタ部とを備え、固定手段を解除すると、フックとコネクタ部とが係合した状態でフロントパネルをディスペンサの前方に向かって傾けることができると共に、フロントパネルが傾いた状態を維持することができる。
フックは、フロントパネルに取り付けるための取付片と、取付片の端部に接続されてコネクタ部の頂部に当接する当接片と、当接片の端部に接続された係合片であって、係合片の端部がコネクタ部の側面部に当接する係合片とを備える。
本体部の側面に位置する側面部と、側面部の端縁部に接続されて本体部の前面に位置する前面部とを有するサイドパネルをさらに備え、前面部の端縁部には、端縁部に対して凹んだ少なくとも1つの切欠部が設けられ、フロントパネルは側面部を備え、フロントパネルの側面部の端縁部には、端縁部に対して突出した少なくとも1つの突出部が設けられ、フロントパネルが本体部の前面を閉じた状態で、フロントパネルの側面部の端縁部が前面部に接すると共に突出部が切欠部に挿入され、突出部と切欠部との間に隙間が存在する。
フロントパネルは、上面部と、上面部よりも下方に設けられた仕切り板とを備えてもよい。
仕切り板は、ディスペンサの前方に向かって下方に傾斜してもよい。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、固定手段を解除すると、フックとコネクタ部とが係合した状態でフロントパネルを前方に向かって傾けることができ、さらにその傾いた状態を維持することができる。この状態であれば、本体部の内部を見ながらリード線等とフロントパネルとのコネクタを外すことができ、その後、フロントパネルを上方に動かしてコネクタ部からフックを外すことにより、本体部からフロントパネルが取り外されるので、フロントパネルを簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態に係るディスペンサの斜視図である。
【図2】この実施の形態に係るディスペンサにおいて、カバー部材が取り外された状態の斜視図である。
【図3】この実施の形態に係るディスペンサのフロントパネルの裏側斜視図である。
【図4】この実施の形態に係るディスペンサのフロントパネルに取り付けられたフックの断面図である。
【図5】この実施の形態に係るディスペンサのフロントパネルの取り付けを説明するために、ディスペンサの一部の部品を取り除いた状態の斜視図である。
【図6】この実施の形態に係るディスペンサの固定フレームの斜視図である。
【図7】この実施の形態に係るディスペンサにおいて、フロントパネルを閉じた状態の断面部分拡大図である。
【図8】この実施の形態に係るディスペンサにおいて、フロントパネルが前方に向かって傾く原理を説明するために、ディスペンサの一部の部品を取り除いた状態の斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態に係るディスペンサの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、ディスペンサ1は、本体部10と、本体部10内に格納された製氷機や飲料冷却機構等の内部機器11とを有し、飲料及び氷片の少なくとも一方を注出するものである。飲料には、例えばお茶、ジュース、スープ等が含まれる。尚、この実施の形態では、「前方」及び「後方」はそれぞれ、ディスペンサ1を基準にして、ディスペンサ1の裏面側から正面側に向かう方向を「前方」とすると共にディスペンサ1の正面側から裏面側に向かう方向を「後方」とする。
【0010】
本体部10の前面の上部にはフロントパネル2が設けられており、フロントパネル2には、カバー部材3が着脱自在に取付けられている。フロントパネル2の下方には、操作レバー4が設けられている。操作レバー4は、例えばコップを押し当てる等の利用者による操作が行われるものであり、操作レバー4の操作により、飲料や氷が注出される。本体部10の前面の下部には、コップからこぼれ落ちる等した飲料や氷を受けるためのドレンパン5が設けられている。
【0011】
図2に示されるように、フロントパネル2の正面部2aには、正面部2aの他の部分に比べて窪んだ格納区画20が設けられている。格納区画20内には、ディスペンサ1の動作を制御する制御操作部21と、飲料や氷が注出される注出部22と、磁石23とが配置されている。
【0012】
カバー部材3は、格納区画20を覆うようにフロントパネル2に取付けられる。すなわち、制御操作部21は、フロントパネル2にカバー部材3が取付けられることで、カバー部材3により隠される。制御操作部21がカバー部材3によって隠されることで、ディスペンサ1の動作設定を利用者が不必要に変更することが回避される。
【0013】
注出部22は、飲料注出ノズル22aと氷片注出ノズル22bとを含むものであり、利用者による操作レバー4の操作に応じて、飲料及び氷片を注出する。この注出部22も、上述の制御操作部21とともにカバー部材3により隠される。
【0014】
磁石23は、格納区画20の上部に配置されている。カバー部材3の背面には、磁石23に対応する受金3aが設けられている。磁石23に受金3aが吸着されることで、カバー部材3がフロントパネル2に対して固定される。
【0015】
図3に示されるように、フロントパネル2は、前方に向かって凸状に湾曲した正面部2aと、正面部2aの上縁部に接続され後方に向かって延びる上面部2bと、正面部2aの下縁部に接続され後方に向かって延びる下面部2cと、正面部2aの左右の側縁部に接続され後方に向かって延びる左右の側面部2d及び2eとを備えている。左右の側面部2d及び2eそれぞれの後方縁部2d1及び2e1にはそれぞれ、後方に向かって突出した突出部43が2つずつ設けられている。
【0016】
正面部2aの中央付近には、本体部10内に格納された内部機器11(図1または2参照)からの図示しないリード線が接続される操作部25が設けられている。上面部2bのやや下方には、上面部2bと平行に仕切り板40が設けられ、仕切り板40は、左右の側面部2d及び2eに接続されている。仕切り板40は、上面部2bよりもわずかに長く後方に向かって延びている。仕切り板40の下面には、断面がコの字状の2つの上部ネジ止め部41が、正面部2aの裏面から後方に向かって互いに平行に延びると共に仕切り板40よりも後方に突出するように設けられている。上部ネジ止め部41には、仕切り板40よりも後方に突出した部分に、後述するネジ42(図5または7参照)が挿入される孔41aが設けられている。ここで、上部ネジ止め部41とネジ42とは、固定手段を構成する。
【0017】
フロントパネル2の後方側の下端部には、2つのフック50がネジ49によって取り付けられている。図4に示されるように、フック50は、フロントパネル2(図3参照)に取り付けるための取付片51を有している。取付片51には、ネジ49(図3参照)が挿入される孔52が設けられている。取付片51の下端部51aには、取付片51と垂直に当接片53が接続されている。当接片53の端部53aには、当接片53と鋭角の角度θをなすように係合片54が接続されている。係合片54の端部54aには、係合片54と垂直につまみ片55が接続されている。
【0018】
図5に示されるように、本体部10には、フック50が係合する板状のコネクタ部60が設けられている。フック50の当接片53がコネクタ部60の頂部60aに当接すると共に係合片54の端部がコネクタ部60の側面部60bに当接することにより、フック50がコネクタ部60に係合される。フック50のコネクタ部60に対する係合位置を位置決めするために、フック50の幅よりもほんのわずかだけ長い間隔をあけて平行に設けられた一対の位置決め部61,61がコネクタ部60の側面部60bから後方に向かって延びるように設けられている。ここで、フック50と、コネクタ部60とは、フロントパネル2を本体部10に取り付けるための取付手段を構成する。
【0019】
また、本体部10の上部には、固定フレーム70が設けられている。固定フレーム70には、ネジ42によって上部ネジ止め部41が固定されている。これにより、フロントパネル2は、ディスペンサ1の前面を閉じた状態で本体部10に固定される。図6に示されるように、固定フレーム70には、固定フレーム70を本体部10に取り付けたときに水平な状態となる水平面部71と、水平面部71に垂直に接続された垂直面部72とを備えている。水平面部71には、ネジ42(図5参照)が挿入される孔74が設けられている。垂直面部72は、固定フレーム70を本体部10に取り付けたときに、水平面部71から鉛直方向下向きに延びるような状態になり、その下端部には、一端から他端に向かって傾斜するようにガイド部73が接続されている。
【0020】
図7に示されるように、フロントパネル2が本体部10の前面を閉じた状態で本体部10に固定されている場合、フロントパネル2の上面部2bの後方縁部2b1は、本体部10のトップパネル80の前方縁部80b付近を下方に垂直に折り曲げた折り曲げ部81に接している。従って、後方縁部2b1と折り曲げ部81との間には、わずかな隙間82が存在する。前方縁部80bは、仕切り板40に接している。これにより、フロントパネル2の正面部2a及び上面部2bと、仕切り板40と、折り曲げ部81とが、コンパートメント89を形成する。
【0021】
例えば、利用者が誤ってコップの中の飲料をトップパネル80の上にこぼしたとすると、飲料の一部が隙間82を介して、本体部10とフロントパネル2との間に浸入してしまう。浸入した飲料は、折り曲げ部81に沿って流下し、仕切り板40に達する。すなわち、浸入した飲料は、コンパートメント89に少なくとも一時的に溜められる。この実施の形態では、仕切り板40は、上面部2bと平行であるが、前方に向かって下方に傾斜するように設ければ、コンパートメント89における飲料の貯留性能が向上する。
【0022】
コンパートメント89へ溜められた飲料の量が増加すると、飲料の一部が、前方縁部80bと仕切り板40との間のわずかの隙間を介して、固定フレーム70の水平面部71上に落下する。水平面部71においても一時的に飲料を溜めておくことはできるが、飲料の量が増加すれば、垂直面部72に沿って流下し、ガイド部73に達する。ガイド部73は、一方の端部に向かって傾斜しているので(図6参照)、この傾斜に沿って飲料が流れ、一方の端部から落下する。図示されていないが、この一方の端部の下方に、排水機構を設けておけば、隙間82を介して浸入した飲料が、内部機器11や操作部25(図1参照)を濡らすことなく排水される。これにより、トップパネル80の上に飲料をこぼしても、内部機器11や操作部25が濡れて漏電するのを防止できる。
【0023】
次に、メンテナンス等で本体部10の内部を見えるようにするための作業について説明する。
フロントパネル2を取り外して内部機器11を正面から見えるようにするには、まずトップパネル80を取り外し、ネジ42を取り外す(固定手段の解除)。すると、図8に示されるように、フック50がコネクタ部60に係合した状態で、フロントパネル2を前方に向かって回動させることができる。フロントパネル2が前方に向かって回動すると、コネクタ部60の頂部60aへのフック50の当接片53の当接位置がずれ、最終的に、係合片54のほぼ全面が側面部60bに接する状態となる。これにより、フロントパネル2は、前方に最大限傾いた状態を維持される。
【0024】
フロントパネル2が前方に傾いた状態を維持していれば、上方から覗きこむことにより、操作部25に接続されている図示しないリード線のコネクタを取り外すことができる。リード線のコネクタを取り外したら、フロントパネル2を上方に動かしてコネクタ部60からフック50を外すことにより、本体部10からフロントパネル2が取り外される。
【0025】
メンテナンス等の作業終了後にフロントパネル2を本体部10に取り付けるには、この逆の手順を行う。すなわち、フロントパネル2を前方に傾けながら、フック50を位置決め部61,61間でコネクタ部60に係合させた後、操作部25にリード線を接続し、フロントパネル2を後方に回動させて本体部10の前面を閉じる。そして、図5に示されるように、ネジ42で上部ネジ止め部41を固定フレーム70に固定することにより、フロントパネル2が本体部10の前面を閉じた状態で取り付けられる。
【0026】
このように、ネジ42を取り外すと、フック50とコネクタ部60とが係合した状態でフロントパネル2を前方に向かって傾けることができ、さらにその傾いた状態を維持することができる。この状態であれば、本体部10の内部を見ながらリード線等とフロントパネル2とのコネクタを外すことができ、その後、フロントパネル2を上方に動かしてコネクタ部60からフック50を外すことにより、本体部10からフロントパネル2が取り外されるので、フロントパネル2を簡単に取り外すことができる。
【0027】
図9に示されるように、ディスペンサ1は、本体部10の側面に位置する側面部91と、側面部91の端縁部91aに側面部91とは垂直に接続されて本体部10の前面に位置する前面部92とを有するサイドパネル90を備えている。前面部92には、その端縁部92aに2つの窪んだ切欠部93が形成されている。フロントパネル2の側面部2eの後方縁部2e1は、前面部92に接しており、側面部2eに設けられた2つの突出部43がそれぞれ、2つの切欠部93内に挿入されている。突出部43と切欠部93との間には、隙間94が形成されている。尚、図9には示されていないが、フロントパネルの側面部2d側の構成も同じ構成になっている。
【0028】
サイドパネル90は、フロントパネル2の側面部2d及び2eの後方縁部2d1(図3参照)及び2e1がサイドパネル90の前面部92に重なるように接して設けられていることにより、本体部10に対して前面部92をネジ固定する必要がなくなる。また、この構成により、サイドパネル90に必要な強度を下げることができ、従来のディスペンサのように、前面部92に相当する部分の端縁部をさらにハゼ折りすることが不要となる。さらに、メンテナンス作業者が水平方向に力を加えれば、フロントパネル2及びトップパネル80を取り外さなくてもサイドパネル90のみを取り外すことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ディスペンサ、2 フロントパネル、2b (フロントパネルの)上面部、2d,2e (フロントパネルの)側面部、2d1,2e1 (フロントパネルの側面部の)後方縁部[フロントパネルの側面部の端縁部]、10 本体部、40 仕切り板、41 上部ネジ止め部[固定手段]、42 ネジ[固定手段]、43 突出部、50 フック[取付手段]、51 取付片、51a (取付片の)端部、53 当接片、53a (当接片の)端部、54 係合片、54a (係合片の)端部、60 コネクタ部[取付手段]、60a (コネクタ部の)頂部、60b (コネクタ部の)側面部、90 サイドパネル、91 (サイドパネルの)側面部、91a (サイドパネルの側面部の)端縁部、92 (サイドパネルの)前面部、92a (サイドパネルの前面部の)端縁部、93 切欠部、94 隙間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
該本体部の前面に設けられたフロントパネルと、
該フロントパネルを前記本体部に取り付ける取付手段と、
前記本体部の前面を閉じた状態で前記フロントパネルを前記本体部に固定する固定手段と
を備えたディスペンサであって、
該取付手段は、
前記フロントパネルに設けられた少なくとも1つのフックと、
前記本体部に設けられ、前記フックが係合するコネクタ部と
を備え、
前記固定手段を解除すると、前記フックと前記コネクタ部とが係合した状態で前記フロントパネルを前記ディスペンサの前方に向かって傾けることができると共に、前記フロントパネルが傾いた状態を維持することができるディスペンサ。
【請求項2】
前記フックは、
前記フロントパネルに取り付けるための取付片と、
該取付片の端部に接続されて前記コネクタ部の頂部に当接する当接片と、
該当接片の端部に接続された係合片であって、該係合片の端部が前記コネクタ部の側面部に当接する係合片と
を備える、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記本体部の側面に位置する側面部と、
該側面部の端縁部に接続されて前記本体部の前面に位置する前面部と
を有するサイドパネルをさらに備え、
前記前面部の端縁部には、該端縁部に対して凹んだ少なくとも1つの切欠部が設けられ、
前記フロントパネルは側面部を備え、該フロントパネルの側面部の端縁部には、該端縁部に対して突出した少なくとも1つの突出部が設けられ、
前記フロントパネルが前記本体部の前面を閉じた状態で、前記フロントパネルの側面部の端縁部が前記前面部に接すると共に前記突出部が前記切欠部に挿入され、該突出部と該切欠部との間に隙間が存在する、請求項1または2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記フロントパネルは、
上面部と、
該上面部よりも下方に設けられた仕切り板と
を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記仕切り板は、前記ディスペンサの前方に向かって下方に傾斜している、請求項4に記載のディスペンサ。
【請求項1】
本体部と、
該本体部の前面に設けられたフロントパネルと、
該フロントパネルを前記本体部に取り付ける取付手段と、
前記本体部の前面を閉じた状態で前記フロントパネルを前記本体部に固定する固定手段と
を備えたディスペンサであって、
該取付手段は、
前記フロントパネルに設けられた少なくとも1つのフックと、
前記本体部に設けられ、前記フックが係合するコネクタ部と
を備え、
前記固定手段を解除すると、前記フックと前記コネクタ部とが係合した状態で前記フロントパネルを前記ディスペンサの前方に向かって傾けることができると共に、前記フロントパネルが傾いた状態を維持することができるディスペンサ。
【請求項2】
前記フックは、
前記フロントパネルに取り付けるための取付片と、
該取付片の端部に接続されて前記コネクタ部の頂部に当接する当接片と、
該当接片の端部に接続された係合片であって、該係合片の端部が前記コネクタ部の側面部に当接する係合片と
を備える、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記本体部の側面に位置する側面部と、
該側面部の端縁部に接続されて前記本体部の前面に位置する前面部と
を有するサイドパネルをさらに備え、
前記前面部の端縁部には、該端縁部に対して凹んだ少なくとも1つの切欠部が設けられ、
前記フロントパネルは側面部を備え、該フロントパネルの側面部の端縁部には、該端縁部に対して突出した少なくとも1つの突出部が設けられ、
前記フロントパネルが前記本体部の前面を閉じた状態で、前記フロントパネルの側面部の端縁部が前記前面部に接すると共に前記突出部が前記切欠部に挿入され、該突出部と該切欠部との間に隙間が存在する、請求項1または2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記フロントパネルは、
上面部と、
該上面部よりも下方に設けられた仕切り板と
を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記仕切り板は、前記ディスペンサの前方に向かって下方に傾斜している、請求項4に記載のディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−225571(P2012−225571A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93667(P2011−93667)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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