説明

デイスプレイストリップ

【課題】
袋の最外層がヒートシーラブルでない延伸(好ましくは、2軸延伸)されたポリエチレンテレフタレートフィルムで構成された袋を、容易にヒートシールにより取り付けることができ、かつ、袋の取外しがスムースにできるデイスプレイストリップを得る。
【解決手段】
商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのデイスプレイストリップであって、前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と、前記袋がヒートシールにより取り付けられるシーラント層と、からなり、
前記シーラント層の最外層(a)は、
(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは
(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステル
から構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スナック食品等の商品が封入された複数の袋を並べて取り付け、吊り下げて
展示販売するためのデイスプレイストリップ、および、デイスプレイストリップと、該デイスプレイストリップに取り付けられた袋とから構成される商品展示体に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭において、スナック菓子等の食品を充填した袋を陳列棚に並べて展示販売するのではなく、商品を充填した袋を帯状のデイスプレイストリップに並べて取り付け、吊り下げて展示販売する方式はすでに知られている。この展示販売方式は、食品包装袋を棚に陳列して販売する方式に比べて、商店のスペースを要しないことから注目されている。
特許文献1では、2軸延伸ポリマーフィルムのような機械的性質の優れたフィルムを基材層とし、ヒートシール性とイージーピール性とを併せもつフィルムをシーラント層として、これらのフィルムを積層したデイスプレイストリップが開示されている。
特許文献1には、袋の最外層が2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにより構成されている場合、ヒートシールにより、デイスプレイストリップに取り付けるためには、袋の最外層の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、ヒートシーラブル2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましいことが開示されている。
しかしながら、袋の最外層がヒートシーラブル2軸延伸フィルムで形成された袋は一般的ではなく、デイスプレイストリップの適用範囲を狭くするという問題がった。
また、特許文献1では、デイスプレイストリップのシーラント層としては、接着成分と凝集破壊成分とから構成され、接着成分としては,袋の最外層がポリプロピレンフィルムから形成されることが多いことに鑑みて、ポリオレフィン系ポリマーが例示されている。
しかし、これらのポリオレフィン系ポリマーでシーラント層が構成されたデイスプレイストリップに、袋の最外層がポリエチレンテレフタレートフィルムから構成された袋をヒートシールにより取り付けることは容易ではなかった。
また、ヒートシールにより取り付けられた袋をデイスプレイストリップから最外層が2軸延伸ポリエステルから形成された袋の場合、袋の取外し時に糸引きが起こり、剥離がスムースにできないという問題もあった。
【特許文献1】特許4018053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明が解決しよとする課題は、商品が封入された袋、なかでも、袋の最外層が延伸(好ましくは2軸延伸)されたポリエチレンテレフタレートフィルム、特に、
袋の最外層がヒートシーラブルでない延伸(好ましくは、2軸延伸)されたポリエチレンテレフタレートフィルムで構成された袋を、容易にヒートシールにより取り付けることができ、かつ、袋の取外しがスムースにできるデイスプレイストリップを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのデイスプレイストリップであって、前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と、前記袋がヒートシールにより取り付けられるシーラント層とからなり、
前記シーラント層の最外層(a)は、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成されていることを特徴とする、デイスプレイストリップを得ることにより解決される。(本発明第1の構成)
【0005】
前記シーラント層は、前記最外層(a)と、ポリエステルと凝集破壊成分とからなる、前記最外層の内側にある層(b)と、から構成されていることが、袋の外観を傷めることなく袋を取外すことが可能であるので好ましい。
【0006】
前記基材層と、前記シーラント層との間に、取外した袋を再取り付けするための粘着剤層が形成されていることが、袋を取外した後、袋を元に戻すことができる点で好ましい。
【0007】
前記基材層は、2軸延伸ポリエステルから構成されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の第2の構成は、
商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのデイスプレイストリップと、前記デイスプレイストリップに取り付けられた袋と、からなる商品展示体において、
前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と、前記袋がヒートシールにより取り付けられるシーラント層と、からなり、
前記シーラント層の最外層(a)は、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成されていることを特徴とする商品展示体である。
【0009】
前記袋は、最外層が2軸延伸ポリエステルから形成された袋であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、シーラント層の最外層(a)を、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムで構成することにより、商品が封入された袋、なかでも、袋の最外層が延伸(好ましくは,2軸延伸)されたポリエステルフィルムで構成された袋を、ヒートシールにより容易に取り付けることができ、しかも、袋を取外すとき、なめらかな剥離感で、デイスプレイストリップから袋を取外すことができる。この場合、袋の最外層の2軸延伸ポリエステルフィルムは、ヒートシーラブルでなくても、本発明のデイスプレイストリップに取り付けることができる。
【0011】
さらに、シーラント層を、前記最外層(a)と、ポリエステルと凝集破壊成分とからなる、前記最外層の内側にある層(b)と、から構成することにより、袋の外観を損傷することなく、デイスプレイストリップから袋を取外すことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(デイスプレイストリップの基本構成)
図1に示すように、本発明のデイスプレイストリップ1は、スナック食品等の食品を充填した複数の袋2を並べて取り付けて展示販売するために、通常、細長い帯状の形態を有し、袋が取り付けられる本体部と、本体部の上に、フック3等に引っ掛けて
吊り下げるためのホール部(孔)4が設けられているがこれに限定されない。商品が封入された袋を並べて取り付けて展示販売することが出来ればいかなる形態でもよい。
本発明において、商品が封入された袋の取り付けは,ヒートシールにより行われるため、本発明のデイスプレイストリップは、少なくとも、ストリップとしての基本性能を与える基材層と袋をヒートシールにより取り付けることを可能にするシーラント層とを有する。基材層とシーラント層とは、それぞれの層を構成するフィルムを通常のラミネート技術により積層一体化されている。さらに、必要に応じて、販売時点で一旦取り外された袋の再取り付けを可能にするため、基材層とシーラント層の間に粘着剤層を設ける、また、商品情報を提供するための印刷層を設けることなどが行われる。
【0013】
(商品展示体の基本構成)
本発明において、商品展示体とは、スーパーマーケット、商店等で展示販売されるために、デイスプレイストリップと、該デイスプレイストリップに取り付けられた商品が封入された袋と、から構成されたものをいう。商品が封入された袋は、最初の取り付けはヒートシールにより行われるが、販売時点で一度取り外した袋の再取り付けを、粘着剤により行う場合がある。
【0014】
(デイスプレイストリップの基材層)
上記のように、本発明のデイスプレイストリップにおいて、基材層は、デイスプレイストリップとして要求される、多数の袋の吊り下げと、その取外しを可能とする強度的性質、ヒートシールによる袋の取り付けを可能とする耐熱性等の性質を有する必要があるので、例えば、シーラント層を構成するポリエステルよりも耐熱性のある延伸フィルム(特に、2軸延伸フィルム)、金属箔、紙またはこれらの積層物等が用いられる。なかでも、本発明においては、シーラント層の主成分はポリエステルであるため、基材層が延伸ポリエステルフィルム、特に、2軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。基材層の厚さとしては、通常、20〜200μmであることが好ましい。20μm未満であると強度的に不十分である場合があり、また、200μmを超えると、ヒートシールにより袋を取り付ける際に熱が基材層を介して与えられるので、シーラント層に十分な熱が伝わらないおそれがある。上記基材層は1層だけで構成されてもよいが、2層以上の多層化されていてもよい。とくに、フックに引っ掛けるためのホール部周辺を補強するための補強材として、ホール部周辺または基材層全体に、織布、不織布、割布等の繊維層を必要に応じて導入することができる。
【0015】
(デイスプレイストリップのシーラント層)
本発明において、デイスプレイストリップに、商品が封入された袋をヒートシールにより取り付け可能にするために、上記基材層の上にシーラント層が形成される。シーラント層としては、ヒートシール性のある低融点ポリマーから形成されるのが好ましいが、
さらに、下記の点が要求される。
(1)デイスプレイストリップに取り付けられた袋が、商店まで搬送され,商店で吊り下げられて販売される過程でデイスプレイストリップから脱落しないように保持されていなければならない。
(2)一方,販売時点で袋が取外されるときには,購入者がスムースに取外せることが要求される。ヒートシール性を有するシーラント層フィルムは、袋の取外し時に伸びやすく、糸引き現象が起こり、購入者に対する印象が良くないという問題がある。さらに、袋の取外し時に、袋の外観損傷がないことが好ましい。
上記の2点については従来技術においても考慮されていたが、袋のなかでも、袋の最外層が、延伸ポリエステルから構成された袋については、上記の両者を満足するものは得られていなかった。本発明おいては、シーラント層を、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、かつ、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成することを特徴としている。これにより、最外層が、特に、2軸延伸ポリエステルで構成された袋は、袋の最外層にヒートシーラブル層がなくても、十分な保持力で取り付けられるとともに、取外し時には、糸引き現象がなくスムースに取外すことができる。さらに、シーラント層を2層構造として、上記シーラント層の内層に、低融点ポリエステルと凝集破壊成分とからなるイージーピール層を設けることにより、袋の外観を傷めることなく袋の取外しが可能となる。
【0016】
(シーラント層の厚さ)
本発明において、デイスプレイストリップのシーラント層の厚さは、20〜100μmの範囲内にあることが好ましい。20μm未満では十分な接着ができなく、また、100μmを超えると必要以上の厚さとなってコスト高となる。本発明において,シーラント層は、1層のみから構成されていてもよいが、2層またはそれ以上に多層化されていてもよい。2層で構成される場合には、上記(a)層を構成するフィルムと(b)層を構成するフィルムとが予め積層されたものを用いるのが、デイスプレイストリップの製造が容易となるので好ましい。(a)層と(b)層のいずれも、それぞれ10〜80μmの範囲内の厚さを有しているのが好ましい。本発明において、シーラント層は、デイスプレイストリップの全面に形成されていてもよいが、部分的に形成されていてもよい。
【0017】
(デイスプレイストリップの粘着剤層)
本発明のデイスプレイストリップにおいて、販売時点で、顧客が取外した袋を元に戻したいことがあり、このために、シーラント層と基材層の間に粘着剤層を設けることが好ましい。粘着剤層の形成については、特許文献2に開示されている技術が、本発明においても適用可能である。
【特許文献2】特許3973661号公報
【0018】
(シーラント層の最外層:a層)
本発明において、シーラント層の最外層(ヒートシールにより袋が取り付けられる層)は、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成されている。
本発明において(a)層に用いられるポリエステルは、1)融点が160℃以下の低融点ポリエステル、または、2)明確な結晶融点を示さない非晶性ポリエステルであって、ガラス転移点が100℃以下のものである。このように、ガラス転移点100℃以下のポリエステルを用いると、ヒートシール温度でヒートシール性を有することから、好ましく用いられる。
【0019】
(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下で、かつ結晶融点を持たない非晶性ポリエステルは、例えば、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸などを用い、多価アルコールとして、エチレングリコール、ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチルロールプロパン等を用い、適宜選択,組み合わせて重合することにより得ることができる。
【0020】
低融点ポリエステルとしては、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとから構成されるポリエステル(融点:116℃)、テレフタル酸と1,3−ブタンジオールとから構成されるポリエステル(融点:約80℃)、テレフタル酸と1,2−プロピレングリコールとから構成されるポリエステル(融点:約122℃)、ポリブチレンサクシネート(融点、116℃)、ポリブチレンアジペート(融点:69℃)などを例示することができる。
【0021】
また、ガラス転移点100℃以下の非晶性ポリエステルとしては、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、多価アルコール成分として、エチレングリコールを主成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノールを加えて共重合して得られる非晶性ポリエステル(市販品:PETG(商品名)、ハイトロンPG)を例示することができる。
【0022】
シーラント層フィルムのヤング率は、袋の取外し性の点から重要であり、ヤング率がこれより低いフィルムでシーラント層を構成した場合には、袋の取外し時に、シーラント層ポリマーが袋に付着して糸引きが起こり、スムースな取外しができなく、購買者に不快感を与えるという問題が発生する。本発明では、800MPa以上(好ましくは,1200MPa以上)のヤング率のシーラントフィルムを用いるので、上記の問題がなく、スムースな取外しができる。なお、ヤング率は、ヒートシール性の点から4000MPa以下であることが好ましい。シーラント層のヤング率の値は、シーラント層を構成するポリマー素材、フィルム形成条件(製膜、延伸等)により所望の値に調整される。
【0023】
本発明において、シーラント層フィルムのヤング率は袋の取外し性の点から選択されるので、デイスプレイストリップから袋が取外される方向であるデイスプレイストリップの長手方向におけるヤング率を意味する。通常の積層体の製造方法から、デイスプレイストリップのシーラント層を構成するフィルムの長手方向(縦方向)に相当する。
【0024】
なお、本発明における融点およびガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値である。試料をDSC装置にセットし,300℃で5分間加熱後急冷し、10℃/分で昇温しつつDSC測定をし、得られたDSCチャートから、結晶融解に基づくピーク温度から融点を、ガラス状態からゴム状態への転移に基づく変化の温度からガラス転移点を読み取ることができる。ヤング率は、ASTM試験方法D882により測定する値である。
【0025】
(シーラント層の内層:b層)
本発明においては、シーラント層の最外層を上記の(a)層により形成するとともに、その内層に、イージーピール性層を設けることが、袋の最表面のヒートシールにより取り付けられた面を傷めることなく、袋を取外すことができることから好ましい。
(b)層は、ポリエステルを主成分として、これに凝集破壊成分を加えることにより構成される。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートのような高融点ポリエステルを用いることもできるが、好ましくは、低融点(180℃以下,好ましくは,160℃以下)のポリエステルまたは低ガラス転移点(100℃以下)の非晶性ポリエステルが好ましい。なかでも、(b)層を構成するポリエステルは、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸などを用い、また、多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、2−メチルー1,3−プロパンジオール、ペンタンジオール、3−メチルペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパンなどを用いて製造することができる。(a)層に用いられるポリエステルとして例示したポリエステルは、(b)層のポリエステルとしても好ましく用いられる。本発明において、(b)層に用いられるポリエステルは、上記(a)層に用いられるポリエステルと同一でもよく、異なっていても良い。
【0026】
凝集破壊成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテンー1、エチレンプロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体などのポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0027】
上記ポリエステルに凝集破壊成分を公知の方法でブレンドすることにより(b)層を形成することができる。(b)層を構成する低融点ポリエステルと凝集破壊成分(好ましくは,ポリオレフィン系樹脂)との混合比率は,ポリエステル92〜80重量%、ポリオレフィン系樹脂8〜20重量%の範囲内で選ばれるのが好ましい。
【0028】
(デイスプレイストリップの製造)
本発明のデイスプレイストリップは、上記の基材層を構成する2軸延伸フィルム等の基材とシーラント層を構成するフィルムとを積層することにより製造するのが好ましい。積層は、基材層となる基材とシーラント層を構成するフィルムを、ポリエチレン樹脂を介するサンドラミネート、接着剤層を用いるドライラミネートにより行われる。
基材層とシーラント層との間に粘着剤層を設ける場合には、特許文献2に記載されているように、基材層上に粘着剤層を形成し、その上にシーラント層フィルムをラミネートするのが好ましい。粘着剤層とシーラント層間の剥離性を高めるために、シーラント層フィルム面にシリコーン樹脂を塗布するのが好ましい。
本発明において、最外層のシーラント層は、前記のようなポリエステルフィルム(a層)から構成されるが、シーラント層は、上記(a)層単独でもよいが、上記(a)層を最外層として、その内側にポリエステルと凝集破壊成分とからなる層(b)を設けても良い。
(a)層と(b)層とは、予め積層一体化されたフィルムを用いるのが好ましいが,基材層の上に(b)層を積層した後に、(a)層をラミネートすることも可能である。なお、本発明において、(b)層を設けることなく、凝集破壊成分を(a)層に加えて、(a)層にイージーピール性を付与することも可能である。
また、本発明において、基材層に、織布、割布(ワリフ)、不織布等を導入する場合には,基材層を構成するフィルム、紙等に、上記の布等を積層したものに、シーラント層を積層することが好ましい。
【0029】
(袋の基本構成)
本発明において、デイスプレイストリップに取り付けられる袋は、最表面が延伸フィルム(好ましくは,2軸延伸フィルム、特に、2軸延伸ポリエステルフィルム)で形成されているものが用いられる。スナック食品等を充填する袋は、通常、2軸延伸フィルムにより形成されているので、本発明のデイスプレイストリップは、通常のスーパマーケット、コンビニエンスストア、食料品店、駅売店において広く使用することができる。
【0030】
スナック食品等の食品を充填する袋としては、縦・横ピロー包装機、なかでも、縦ピロー包装機により製造されたものが用いられるがこれに限定されない。食品を包装する袋は,通常、強度等の機械的性質を与える基材層、袋形成のためのシール性能を与えるシーラント層、食品の品質を保持するための、酸素・水蒸気バリア性を与えるバリア層、商品情報を示す印刷層から構成されるが、袋内面側から袋表面側へ、シーラント層/バリア層/印刷層/基材層の順に個々の基材が積層された、積層構造を有する包装フィルムにより形成されることが多い。各層間の積層は、ポリエチレンを介したサンドラミネート、接着剤を用いるドライラミネートにより行われる。バリア層の形成は,通常、金属(アルミニウム)、または酸化物(参加珪素、酸化アルミ等)蒸着が用いられる。袋は、シーラント層が20〜100μm、基材層が20〜100μm、袋全体としては、40〜150μm、好ましくは、50〜100μmの厚さを有している。
【0031】
(袋のシーラント層)
本発明において用いられる袋のシーラント層は、袋の内面側に配置され,所定箇所をヒートシールされて袋を形成する。シーラント層を構成するフィルムは、公知技術により選択することが可能であり,通常、無延伸ポリプロピレンフィルム、直鎖低密度ポリエチレンフィルム、エチレンープロピレン共重合体フィルム、低融点ポリエステルフィルム、ヒートシーラブル2軸延伸ポリエステルフィルム等が用いられる。
【0032】
(袋の基材層)
本発明のデイスプレイストリップに最も好ましく用いられるのは、袋の最表面が延伸(特に2軸延伸)ポリエステルフィルムで構成された袋である。デイスプレイストリップのシーラント層が、ポリオレフィン系ポリマーフィルムで形成されている場合には、袋の最表面層が、2軸延伸ポリエステルフィルムで構成されている場合には接着性を有さず、ヒートシールにより袋を取り付けることができなかった。このため、袋の最表面の2軸延伸ポリエステルフィルムに、低融点ヒートシーラブル層(低融点ポリエステル・ヒートシール層やホットメルトポリマーからなる薄いポリマー層等)を有するフィルムを用いる必要があった。本発明において、(a)層として、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムを用いると、袋の最外表面がヒートシーラブル層を有しない2軸延伸ポリエステルフィルム等の延伸フィルムであっても、ヒートシールによりデイスプレイストリップに取り付けることができる。このため、スナック食品等の食品を充填したポリエステル系の袋であれば,どのような袋でも取り付け可能となるので、本発明のデイスプレイストリップの適用範囲が大幅に広くなった。
【0033】
(袋の製造)
上記包装フィルムは、包装機に供給され、折り曲げられながら,フィルム長手方向両端面がシールされて筒状となり、食品が充填されながら、所定間隔で横シールが形成され、切断されて袋が形成される。本発明において、商品展示体を構成する袋は,上記に限らず、公知の技術により作られた、ヒートシールによりデイスプレイストリップに取り付け可能な袋であればいずれも用いられる。
【0034】
(袋のデイスプレイストリップへの取り付け)
本発明に係るデイスプレイストリップに、食品等を封入した袋の取り付けは,公知の
アプリケータを用いて行うことができる。公知のアプリケータの一例としては、特許文献3に示されている装置が挙げられるが、これに限定されない。デイスプレイストリップへの袋の取り付けは,特許文献3に示されているように製袋包装工程と連続して行うのが、生産の効率性から好ましい。
特許文献3に記載されているアプリケ−タにより、袋を取り付ける場合,アプリケータのアームが、包装袋の上部両側端を把持して、ヒータ面上に供給されたデイスプレイストリップの所定の位置に袋の上端部を移動させ、押圧体が上から、袋上端部が重ねられたデイスプレイストリップの部位を押圧してヒートシールを行う。効率的にヒートシールを行うために、ヒータ面の温度は,シーラント層ポリマーの融点よりも高く、デイスプレイストリップ基材層の耐熱性を考慮して,160〜220℃の範囲内の温度で,200〜800msec程度の時間行われる。
【0035】
本発明に係るデイスプレイストリップが、シーラント層の(a)層が(1)融点160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成されていると、最外層が2軸延伸ポリエステルフィルムで構成されている袋を容易に迅速に取り付けることができる。
【0036】
袋は、図2aに示すようにデイスプレイストリップ1に取り付けられるが、すなわち、
デイスプレイストリップ1のホール部4が下になるように、かつ、袋2の背面2bを上側にして取り付けられ、その後、図2bに示すように、デイスプレイストリップ1は上下反転され、袋も表裏反転して、ホール部4を上にし袋2を表2aにして、フック3に取り付けられて展示される。このようにすることによって、袋2の上側端部は、図2cに示すような形態でデイスプレイストリップ1に取り付けられるので、袋2を掴んで下方向に引っ張ることにより、袋をデイスプレイストリップから容易に取外すことが出来る。
【特許文献3】特許第3830437号公報
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例により限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)[基材層]と、
ポリエステルフィルム(ジカルボン酸成分としてテレフタール酸;グリコール成分としてエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールを70:30の割合で配合したものを用いて共重合して得られる非晶性ポリエステルから形成されるフィルム)(厚さ:30μm)(ガラス転移点:約80℃、ヤング率:1700MPa)[シーラント層]とをポリエステル系接着剤を介してドライラミネートにより積層し、35mm幅にスリットして、デイスプレイストリップを形成する。
一方、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:12μm)[基材層]と無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ:25μm)とをポリエステル系接着剤を介してドライラミネートして包装フィルムを作製する。この包装フィルムを縦型包装機に供給して、包装袋(幅:15cm、長さ:20cm)を形成し、この袋を、アプリケータ(株式会社イシダ製、F−SPA)により、前記のデイスプレイストリップに取り付ける。ヒートシール条件は、シール温度:200℃、シール時間:300msecである。
【0039】
(実施例2)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)[基材層]と、ハイトロンPGフィルム(厚さ:30μm)(ガラス転移点約80℃:ヤング率:1700MPa)[タマポリ(株)製][シーラント層]とを、低密度ポリエチレン樹脂を介在させるサンドイッチラミネートにより積層した。ついで、35mm幅にスリットして、デイスプレイストリップを得る。実施例1と同様にして袋を取り付ける。
【0040】
(比較例1)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)[基材層]と直鎖低密度ポリエチレンフィルム(厚さ:30μm)[東セロ(株)製][シーラント層]とを積層して積層フィルムを作製後、35mm幅にスリット加工を行い、デイスプレイストリップを得る。実施例1と同様にして袋を取り付ける。
【0041】
(比較例2)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)[基材層]とヒロダインフィルム7573T(厚さ:30μm)[ヤスハラケミカル(株)製][シーラント層]とをポリエチレン(厚さ:30μm)を介して積層後、35mm幅にスリット加工して、デイスプレイストリップを作製する。実施例1と同様にして袋を取り付ける。
【0042】
(評価方法)
(1)
ヒートシール強度の測定
デイスプレイストリップと袋間のヒートシール強度をJIS
K7127(プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法)に基づき測定した。10個のサンプルの平均値を表1に示す。
【0043】
(2)吊り下げ試験
5個の袋(内容量:100g)を取り付けたデイスプレイストリップを吊り下げ,落下の有無を確認するテストを行う。
【0044】
(3)取外し性
5個の袋(内容量:100g)を取り付けたデイスプレイストリップから、袋を手で下方に引っ張り取外した。そのときの取外しがスムースであるかどうか観察をした。
【0045】
評価結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1から明らかであるように、実施例のサンプルが好結果を与える。上記いずれの実施例においても、剥離はなめらかであった。
【0048】
比較例1に示すように、直鎖低密度ポリエチレンをシーラント層とするデイスプレイストリップには、最外層が2軸延伸ポリエステルである袋を取り付けることができなく、また、比較例2に示すように、エチレン酢酸ビニル系のホットメルト樹脂からなる接着剤ではよくない結果である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、商品が封入された袋、なかでも、最外層がポリエステルで構成された袋を、ヒートシールにより容易に取り付けることのできるデイスプレイストリップが提供されるので、包装材料分野、食品包装分野、包装食品流通分野等において広く利用される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】デイスプレイストリップを用いた展示例を示す図である。
【図2】本発明のデイスプレイストリップに取り付けた袋を取外す際の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 デイスプレイストリップ
2 商品を封入した袋




【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのデイスプレイストリップであって、前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と、前記袋がヒートシールにより取り付けられるシーラント層と、からなり、
前記シーラント層の最外層(a)は、
(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは
(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステル
から構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成されていることを特徴とする、
デイスプレイストリップ。
【請求項2】
前記シーラント層は、
前記最外層(a)と、
ポリエステルと凝集破壊成分とからなる、前記最外層の内側にある層(b)と、
から構成されている、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項3】
前記基材層と、前記シーラント層との間に、取外した袋を再取り付けするための粘着剤層が形成されている、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項4】
前記基材層が,2軸延伸ポリエステルフィルムで構成されている、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項5】
商品が封入された袋を複数並べて取り付けて展示するためのデイスプレイストリップと、前記デイスプレイストリップに取り付けられた袋と、からなる商品展示体において、
前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と、前記袋がヒートシールにより取り付けられるシーラント層と、からなり、
前記シーラント層の最外層(a)は、(1)融点が160℃以下のポリエステルまたは(2)ガラス転移点が100℃以下の非晶性ポリエステルから構成された、デイスプレイストリップの長さ方向のヤング率が800MPa以上であるポリエステルフィルムから形成されていることを特徴とする商品展示体。
【請求項6】
前記袋は、最外層が2軸延伸ポリエステルから形成された袋である、請求項5に記載の商品展示体。






【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−227283(P2009−227283A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71809(P2008−71809)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】