説明

デジタルカメラの電池収納部

【課題】 二次電池の異形状部となる誤挿入防止のキー形状のスペースを有効に利用し、金属の構造部材と反射傘のリード線を接続する腕部までの沿面距離を十分に確保する。
【解決手段】 本発明の電池ボックスとストロボユニットの構成は、二次電池に逆挿入防止のキー溝形状を設ける。電池ボックスユニットには、二次電池に設けられたキー溝形状に対応するキーがあり、キーの内側にはストロボ窓から下方向に伸びる保護壁が入り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学像を光電変換して画像データに生成し、データファイルとして記録する撮像装置、特にデジタルカメラの電池収納部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは持ち運びの際の利便性から小型化、薄型化したものが多く好まれている。そのため、レンズ鏡筒ユニット、電池ボックスユニット、ストロボユニットなどカメラ本体内部を構成する各ユニットは、小型化が求められる。そこで、強度を損なわず小型化をするために、各ユニットの構成部材には金属材料を用いることが有効である。例えばカメラ本体を覆うカバーは、金属の薄板をプレス加工した金属カバーを用いることで、強度を保ちながら薄型化の工夫をしている。
【0003】
デジタルカメラにおいてストロボユニットの周囲に金属材料を用いる場合は、ストロボユニットの回路とストロボユニット周囲に用いられる金属の構造部材との沿面距離の考慮が重要である。そのひとつとして、ストロボユニットの発光回路のトリガー信号部に対する沿面距離の確保がある。トリガー信号は、デジタルカメラ内部において最も高電圧である為に周辺の金属部材との沿面距離の確保が不十分であると、トリガー信号の電圧低下や、周囲の金属の構造部材へのリークが発生する。その結果、ストロボは、発光不良となる。しかしながら、デジタルカメラにおいて、沿面距離の確保は小型化の妨げとなる。
【0004】
デジタルカメラに用いる二次電池の大きさはカメラサイズを決定する要素である。二次電池の大きさは容量を決定する要素でもあるため、カメラサイズに対し最適な形状が求められる。そこで、デジタルカメラに用いる二次電池は一般的に角型形状をしている。このような角型二次電池は、挿入方向を間違えたとしても、使用者が誤挿入に気づくような配慮がされている。例えば、外形の一部にキー形状を設けるなどの対策によって電池ボックスへの誤挿入を防止している。また、二次電池の外形において、異形状部を設けることで、異形状部のスペースに筐体の一部を配置し、少スペース化を行う構成が提案されている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−141995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構造の二次電池は、筐体側の構造物の形状に合わせ、二次電池の形状を決定している。その結果、二次電池のサイズ全体は、大きくなってしまう。デジタルカメラにおいて二次電池は、カメラ本体内部を構成する各ユニットの配置に対し最適な大きさ、形状となるよう決定し、且つ誤挿入対策として必要な異形状部となるキー形状のスペースを有効に利用しなければ、最適な小型化とは言い難い。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みて、二次電池の異形状部となる誤挿入防止のキー形状のスペースを有効に利用し、金属製の前カバーと反射傘のリード線を接続する腕部までの沿面距離を十分に確保する。そして金属カバーで覆われたデジタルカメラにおいて、トリガーコイルからのトリガー信号のリークを防止する構造を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は金属製の前カバーだけでなく、ストロボユニットの発光回路のトリガー信号部のリーク可能性がある電池ボックスユニット内に用いられる金属の構成部材との沿面距離を十分に確保する。そして、デジタルカメラにおいて、トリガーコイルからのトリガー信号のリークを防止する構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池ボックスとストロボユニットの構成は、用いられる二次電池に逆挿入防止のキー溝形状を設ける。電池ボックスユニットには、二次電池に設けられたキー溝形状に対応するキーがあり、キーの内側のスペースにはストロボ窓から一体で下方向に伸びる保護壁が入り込む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、金属製の前カバーとストロボユニットを構成する反射傘のリード線を接続する腕部までの沿面距離を十分に確保することが可能となり、トリガーコイルからのトリガー信号のリークを防止することができる。
【0011】
また、金属カバーだけでなく周囲の金属構造部材とストロボユニットを構成する反射傘のリード線を接続する腕部との沿面距離を確保することが可能となり、トリガーコイルからのトリガー信号のリークを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例としてのデジタルカメラ10を説明する図である。
【図2】本発明の実施例に用いる二次電池21の斜視図である。
【図3】電池ボックスユニット20の構成を説明する斜視図である。
【図4(a)】ストロボユニット19の構成と電池ボックスユニット20との関係を説明する図である(その1)。
【図4(b)】ストロボユニット19の構成と電池ボックスユニット20との関係を説明する図である(その2)。
【図5】図1(a)の平面Aによる断面のストロボユニット19近傍を拡大した図である。
【図6】本発明の第2の実施例における電池ボックスユニット20とストロボユニット19を説明する図である。
【図7】図6(a)のユニットを図1(a)の平面Aによる断面のストロボユニット19近傍を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施例)
以下、本発明の第1の実施例について、図1〜5を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の第1の実施例としてのデジタルカメラ10を説明する図である。図1(a)に示すように、デジタルカメラ10は上面に電源ボタン11、レリーズボタン12、レリーズボタン12の中心軸を回転軸とするズームレバー13、モードスイッチ14がある。図1(b)はデジタルカメラ10の分解斜視図である。カメラアセンブリ15は前カバー16と後カバー17が一体となることで保護されている。前カバー16と後カバー17は小型化のため、プレス成型された金属カバーを用いている。カメラアッセンブリ15は鏡筒ユニット18、ストロボユニット19がある。また、ストロボユニット19の下には電池ボックスユニット20がある。各ユニットは締結された状態でカメラアッセンブリ15を構成している。
【0015】
図2は本発明のデジタルカメラ10に用いられる二次電池21の斜視図である。図2に示すように、二次電池21の挿入方向23において上面24には電極25がある。電極25は二次電池21内部に不図示のプリント配線板に設けられた導体からなる。上面24にはキー溝形状26が設けられている。電池ボックスユニット20と二次電池21の対応するキーによって、使用者は二次電池21を正しい方向に収納していることを確認可能である。キー溝形状26は凹形状であり、電極25が形成される不図示のプリント配線板の一部を切り欠いて形成する。よって、二次電池21は電池の容量を犠牲にすることなく、誤挿入を防止することが可能な形状となる。
【0016】
図3は、二次電池21が収納される電池ボックスユニット20の構成を説明する斜視図である。二次電池21の上面24に設けられた電極25に接触する電池接片31が電池ボックスユニット20に保持されている。電池ボックスユニット20にはロック部材32が回動自在に設けられている。二次電池21は正しく装填された場合のみ、ロック部材32によって係止される。電池ボックスユニット20の外観の一部として電池蓋33があり、使用時は電池蓋33が閉じられる。電池ボックスユニット20の二次電池21の収納部にはキー溝形状26に対応するキー部34が設けられている。二次電池21を挿入する際に誤った挿入方向、いわゆる逆挿入状況では、凸形状であるキー部34が二次電池21の下面27に干渉する。その結果、二次電池21は電池ボックスユニット20内に収納できずロック部材32で係止されない。よって二次電池21は電池ボックスユニット20に対し誤挿入されることはない。また、使用者は二次電池21を挿入する際に正しい方向で挿入したことを判別可能である。
【0017】
図4(a)は本発明に用いられるストロボユニット19の構成を説明する斜視図である。発光するキセノン管41は両端にキセノンゴム42が圧入されている。またキセノン管41の背面には反射傘43aがある。ここで、反射傘43aはキセノン管41に接している。キセノン管41の表面は導電膜があり反射傘43aを介し、ストロボ発光回路に設けられたトリガーコイルから、トリガー信号を受けて発光する。反射傘43aの一部にはストロボ発光回路のトリガーコイルにはんだ付けされたリード線を接続する腕部43bが設けられている。このトリガーコイルから反射傘43aまでのトリガー信号は高圧部である。そのため、トリガー信号と周辺の金属部に対しトリガー信号がリークしないよう沿面距離を確保しなければならない。反射傘43aとキセノンゴム42が圧入されたキセノン管41はストロボホルダー44に保持される。ストロボ窓45aは係止爪44aでストロボホルダー44によって保持されている。ストロボ窓45aにはプリズム45bが形成されている。また、ストロボ窓45aには電池ボックスユニット20との位置決めダボ46が設けられている。プリズム45bは前カバー16に設けられた開口から露出する外観面である。ストロボ発光による閃光はプリズム45bによって、デジタルカメラ10の撮影画角に対し最適な配光となる。ストロボ窓45aにはリード線を接続する腕部43bの対向する位置において沿面距離を確保するための保護壁45cが設けられている。デジタルカメラ10を正面から見て、保護壁45cはリード線を接続する腕部43bを投影上で覆う位置関係になっている。
【0018】
図4(b)は電池ボックスユニット20とストロボユニット19の関係を示す図である。ストロボ窓45aに設けられた位置決めダボ46と電池ボックスユニット20に設けられた位置決め穴38が勘合することによって、電池ボックスユニット20とストロボユニット19の位置関係が決まる。また、キー部34の内側のスペース46にはストロボ窓45aから下方向に伸びる保護壁45cの一部が挿入される。保護壁45cは反射傘43aのリード線を接続する腕部43bより前側にある。
【0019】
図5は図1(a)の平面Aによる断面のストロボユニット19近傍を拡大した図である。矢印51は前カバー16と反射傘43aに設けられたトリガーコイルからのリード線を接続する腕部43bまでの沿面距離を示している。図5の示すように、前カバー16から反射傘43aのリード線を接続する腕部43bは反射傘43aから凸になっており、反射傘43aと前カバー16の2部品だけの関係においては、反射傘43aの他の部分よりも前カバー16までの沿面距離が短い関係となる。
【0020】
保護壁45cはリード線を接続する腕部43bを投影上で覆う位置関係になっている。その結果、前カバー16から反射傘43aのリード線を接続する腕部43bまでの沿面距離51はストロボ窓45aから下方向に伸びる保護壁45cによって長くなる。また、保護壁45cの一部は二次電池21に設けられた誤挿入防止のためのキー溝形状26に対応するキー部34の内側のスペース46に挿入されており、少スペース化を可能にしている。
【0021】
以上説明したように、本実施例によれば、二次電池21の異形状部となる誤挿入防止のキー溝形状26と、電池ボックスユニット20の二次電池21の収納部に設けられたキー部34のスペース46を有効に利用する。ストロボ窓45aから下方向に伸びる保護壁45cによって前カバー16と反射傘43aのリード線を接続する腕部43bまでの沿面距離51を十分に確保する。その結果金属カバーで覆われたデジタルカメラにおいて、トリガーコイルからのトリガー信号のリークを防止することができる。
【0022】
(第2の実施例)
図6は本発明の第2の実施例における電池ボックスユニット20とストロボユニット19を説明する図である。第2の実施例におけるデジタルカメラ10、および二次電池21についてはと第1の実施例と同じである。
【0023】
図6(a)は電池ボックスユニット20とストロボユニット19の関係を示している。電池ボックスユニット20には二次電池21を排出方向に付勢する排出ばね61が取り付けられる。そのため、電池ボックスユニット20には排出ばね61を固定する固定軸62aと62bが設けられている。電池ボックスユニット20内には、収納される二次電池21に設けられたキー溝形状26に対応するキー部が設けられている。キー部の内側のスペース46には排出ばね61の一部が収まっている。
【0024】
図6(b)は排出ばね61の詳細を示している。排出ばね61の巻回部61aは固定軸62aによって固定される。排出ばね61の一端61bは固定軸62bに係止されている。排出ばね61の他端61cは二次電池21の上面24に接し、二次電池21を排出方向に付勢している。二次電池21は、正しく装填された場合、回動自在に設けられたロック部材32によって付勢力に抗し係止された状態になる。
【0025】
図7は図6(a)のユニットを図1(a)の平面Aによる断面のストロボユニット19近傍を拡大した図である。ストロボ窓45aから下方向に伸びる保護壁45cはスペース46に入り込み排出ばね61の巻回部61aと反射傘43aのリード線を接続する腕部43bまでの沿面距離63を確保している。
【0026】
以上説明したように、本実施例によれば、二次電池21を排出方向に付勢する排出ばね61の巻回部61aとその固定軸62aは二次電池21の異形状部となる誤挿入防止のキー溝形状26に対応するスペース46に配置される。ストロボ窓45aから下方向に伸びる保護壁45cは排出ばね61の巻回部61aと反射傘43aのリード線を接続する腕部43bまでの沿面距離63を確保する。その結果、トリガーコイルからのトリガー信号のリークを防止することができる。
【符号の説明】
【0027】
10、 デジタルカメラ
16、 前カバー
19、 ストロボユニット
20、 電池ボックスユニット、
26、 キー溝形状
34、 キー部
43a、反射傘
43b、腕部
45a、ストロボ窓
45c、保護壁
46、 スペース
51、 沿面距離
61、排出ばね


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置(10)の本体を覆う第一のカバー(16)と、
ストロボユニット(19)を有し、ストロボユニットは(19)はストロボ窓(45a)と反射傘(43a)を有し、ストロボ窓(45a)には保護壁(45c)が形成され、前記保護壁(45c)は反射傘(43a)の一部で形成されリード線を接続する腕部(43b)の光軸方向から見た投影を覆っていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
電源として二次電池(21)が収納される電池ボックスユニット(20)を有し、該二次電池(21)には誤挿入防止のためのキー溝形状(26)が設けられており、
電池ボックスユニット(20)には、前記キー溝形状(26)に対応するキー部(34)が形成されており、
ストロボユニットは(19)はストロボ窓(45a)を有し、ストロボ窓(45a)には保護壁(45c)が形成され、前記保護壁(45c)はキー部(34)の内側のスペース(46)に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
第一のカバー(16)は金属製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
キー溝形状(26)は二次電池(21)に設けられた電極(25)と同じ面に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像装置(10)の本体を覆う第一のカバー(16)と、
ストロボユニット(19)と電源として二次電池(21)が収納される電池ボックスユニット(20)を有し、二次電池(21)には誤挿入防止のためのキー溝形状(26)が設けられており、
電池ボックスユニット(20)には、前記キー溝形状(26)に対応するキー部(34)が形成されており、二次電池(21)を排出方向に付勢する排出ばね(61)が固定され、排出ばね(61)は巻回部(61a)を有し、
ストロボユニットは(19)はストロボ窓(45a)と反射傘(43a)を有し、ストロボ窓(45a)には保護壁(45c)が形成され、前記保護壁(45c)はキー部(34)の内側のスペース(46)に挿入され、且つ、排出ばね(61)の巻回部(61a)と反射傘(43a)の間にあることを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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