説明

デジタルカメラ保持具

【課題】 デジタルカメラを安定して自立させると共に俯角または仰角を任意に設定可能にするデジタルカメラ保持具を実現する。
【解決手段】 デジタルカメラ200の底面にねじ締結されるプレート10と、前記プレート10に設けた一対の対向した立設部11に回動自在に取り付く第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30とからなり、第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30をそれぞれ任意の回動位置に止める手段として、プレート10が備える第1の立設部11と前記第1の略コの字形脚20との当接部間、及び前記立設部11と前記第2の略コの字形脚30との当接部間にそれぞれ湾曲したワッシャを配設し締結ピンで連繋した構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラを安定して自立させると共にレンズ光軸の俯角または仰角を任意に設定可能にするデジタルカメラ保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラを保持し、カメラボディの水平方向回転角度やカメラレンズ光軸の仰角または俯角等を所望に設定する器材として一般に三脚が用いられている。最近では極薄で小型のデジタルカメラが広く普及しているが、カメラボディの厚みが薄く、平坦な設置面以外では自立しにくい。たとえ自立できても不安定で、デジタルカメラのレンズ光軸を任意の角度に設定しにくかった。これを解決するものとして、デジタルカメラ用クレードルの可動壁を簡易三脚として兼用するデジタルカメラ保持具が特開2003−032528号公報に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2003−032528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のカメラ三脚は重くてかさばり携帯に不便である。小さな手提げバッグやカメラ用袋にも入らなかった。特許文献1におけるクレードルは、従来の三脚に較べ小型軽量に構成されているが、それでも数百グラムの重さを有している。また、前記クレードルの可動壁をデジタルカメラ底面側に折り畳めず、嵩が大きい。デジタルカメラに前記クレードルを装着したまま持ち歩く場合も嵩ばり、携帯に不向きである。さらに、前記クレードルをデジタルカメラに装着したままではカメラ操作性を阻害する恐れが多分にあった。
【0005】
本発明のデジタルカメラ保持具は、デジタルカメラの底面にねじ締結した状態でデジタルカメラの底面側に脚部を折り畳んで嵩を小さくし携帯に便利にすること、従来のデジタルカメラ用手提げ袋内に容易に収納できること、重さ10グラム程度の超軽量保持具を実現すること、デジタルカメラの底面にねじ締結した状態で操作性を何ら阻害しないこと、さらには、平面だけでなく凹凸面においても安定して自立でき、かつデジタルカメラの仰角または俯角を任意に設定できること等を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるデジタルカメラ保持具は、デジタルカメラの底面にねじ締結されるプレートと、前記プレートに設けた立設部に回動自在に取り付く第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚とからなり、前記第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚をそれぞれ任意の回動位置に止めることができ、前記デジタルカメラを任意の角度に保持可能にしたことを特徴としたもので、これにより重さ10グラム程度の超軽量を実現できる。デジタルカメラの底面にねじ締結した状態で操作性を何ら阻害しない。さらには平面だけでなく凹凸面においても安定して自立でき、デジタルカメラの仰角または俯角を任意に設定できる。
【0007】
さらに本発明にかかるデジタルカメラ保持具は上記構成において、デジタルカメラ底面側に第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚を折り畳み可能としたことを特徴としたもので、これによりデジタルカメラの底面にプレートをねじ締結した状態で第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚を折り畳んで嵩を小さくできる。また、デジタルカメラ用手提げ袋内に容易に収納できる。さらに、デジタルカメラの底面にねじ締結した状態でも操作性を何ら阻害しない。
【0008】
さらに本発明にかかるデジタルカメラ保持具は上記構成において、第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚をそれぞれ任意の回動位置に止める手段として、プレートが備える立設部と前記第1の略コの字形脚との当接部間、及び前記立設部と前記第2の略コの字形脚との当接部間にそれぞれ摩擦部材を配設したことを特徴としたもので、これにより保持具の構成が簡単になり低価格を実現できる。
【0009】
さらに本発明にかかるデジタルカメラ保持具は上記構成において、摩擦部材を弾性オーリング、弾性平ワッシャ、金属製スプリングワッシャ、湾曲した金属ワッシャの内、いずれか一つとしたことを特徴としたもので、これにより保持具の構成が簡単になり低価格及び重さを10グラム程度の超軽量を実現できる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成により本発明のデジタルカメラ保持具は、デジタルカメラの底面にねじ締結した状態でデジタルカメラ底面側に折り畳めるので嵩を小さくできる。また、デジタルカメラ用手提げ袋内に容易に収納できる。さらに、重さを10グラム程度以下にでき超軽量を実現できる。さらに、デジタルカメラの底面に保持具をねじ締結した状態でも操作性を何ら阻害しない。さらに、平面だけでなく凹凸面においても安定して薄型のデジタルカメラを自立できる。さらに、デジタルカメラの仰角または俯角を任意に設定できる。さらに、構成部品が少なく取り扱いが簡便で故障が少ない。そして低価格を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】 本発明の一実施例におけるデジタルカメラ保持具の正面図
【図2】 図1の平面図
【図3】 図1の底面図
【図4】 図1の左側面図
【図5】 図1を構成するプレートの平面図
【図6】 図5の側面図
【図7】 図1を構成する締結ねじの正面図
【図8】 図1を構成する締結ピンの正面図
【図9】 図1を構成する摩擦部材の平面図
【図10】 図9の側面図
【図11】 図1を構成する第1の略コの字形脚の平面図
【図12】 図11の側面図
【図13】 図1を構成する第2の略コの字形脚の平面図
【図14】 図13の側面図
【図15】 デジタルカメラの底面に本発明のデジタルカメラ保持具を取り付け自立させた状態の側面図
【図16】 本発明のデジタルカメラ保持具によりデジタルカメラを俯角方向に傾けた状態の側面図
【図17】 本発明のデジタルカメラ保持具によりデジタルカメラを仰角方向に傾けた状態の側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかるデジタルカメラ保持具100は上述の通りである。図1〜図4及び図15〜図17に示す本発明のデジタルカメラ保持具100は、デジタルカメラ200の底面にねじ締結されるプレート10と、前記プレート10に設けた一対の対向した立設部11、11に回動自在に取り付く第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30とからなる。前記第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30はそれぞれ独立して任意の回動位置に止めることができ、前記デジタルカメラ200のレンズ光軸を任意の仰角または俯角に設定可能にした。
【0013】
図5、図6に本発明のデジタルカメラ保持具100を構成するプレート10を示す。プレート10は少なくとも一対の対向した第1の立設部11、11を配設してなる。一対の対向した立設部11、11は貫通孔14、15をそれぞれ備えてなる。貫通孔14に第1の略コの字形脚20を、貫通孔15に第2の略コの字形脚30を締結ピン50を用いて回動可能に取り付けてなる。前記プレート10は金属板をプレス加工で所望の形状に成形するか、樹脂部材を射出成形するなど任意の手段で構成すればよい。樹脂部材としてはポリスチレン、塩化ビニール、ABS等任意の樹脂部材を用いることができる。
【0014】
プレート10に第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を回動可能に、かつそれぞれの脚が独立して任意の回動位置に止める手段は、プレート10が備える第1の立設部11、11と前記第1の略コの字形脚20との当接部間、及び前記立設部11、11と前記第2の略コの字形脚30との当接部間にそれぞれ摩擦部材を計4個配設し、締結ピン50で連繋する構成とするのが好ましい。締結ピン50の一例を図8に示す。軸の一

【0015】
前記摩擦部材は、ゴムまたは樹脂部材からなる弾性オーリング、ゴムまたは樹脂部材からなる弾性平ワッシャ、金属製スプリングワッシャ、湾曲した金属製ワッシャの内、いずれか一つとするのが望ましい。なお、摩擦部材を配設することに代え、第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30の所定部位にゴム塗料を塗布する構成としてもよい。
【0016】
さらに、本発明にかかるデジタルカメラ保持具は、デジタルカメラ200の底面側にプレート10の対向した第1の立設部11、11を配設する構成としている。これは第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30をデジタルカメラ200の底面側に薄型に折り畳み可能とするためである。なお、プレート10に設けた立設部12、12と前記第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30とが相互に重ならないよう構成してなることは言うまでもない。
とする為である。
【0017】
図11〜図14に第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を示す。第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30は、金属部材たとえば軟鋼製板材、アルミニウム板などをプレス加工またはレーザー加工して形成するのが望ましい。軟鋼の場合は防錆処理たとえばニッケルメッキ、塗装等を施すのが望ましい。アルミニウムの場合はアルマイト処理を施すのが望ましい。なお、第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を樹脂部材で射出成形してよいことは自明である。
【実施例】
【0018】
図1〜図6に本発明のデジタルカメラ保持具を構成するプレート10を示す。プレート10は厚さ1mmの略矩形アルミニウム板をプレス加工により四辺を折り曲げ加工し、第1の対向した立設部11,11及び第2の対向した立設部12,12を高さ4mm程度に設けた。プレート10の外形寸法は70mm×18mm×立設部の高さ4mmとした。第1の対向した立設部11,11には貫通孔14、15を設けた。前記貫通孔14、15は第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を取り付ける為それぞれ対称位置に配設している。なお、第2の対向した立設部12、12はプレート10の強度を確保するため設けたものである。
【0019】
デジタルカメラ底面に配設される雌ねじの位置はメーカによって異なる。この為、前記プレート10は任意のメーカのデジタルカメラに取り付け可能とする長穴13(幅5mm×55mm長さ)を備えてなる。なお、プレート10は形状加工後に金色にアルマイト処理した。
【0020】
図11〜図14に示す第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30は、厚さ1mmのアルミニウム板をプレス加工により略コの字形に成形し金色のアルマイト処理を施した。脚の幅は略4mmとした。第1の対向した立設部11、11への取り付けに際し、立設部11、11と前記第1の略コの字形脚20との当接部間、及び前記立設部11、11と前記第2の略コの字形脚30との当接部間にそれぞれ湾曲した金属ワッシャ60を計

った。
【0021】
上記構成のプレート10をデジタルカメラ200の底面に締結ねじ40により取り付けた状態を図1〜図3に示す。プレート10の第1の対向した立設部11、11をデジタルカメラ200の底面側に配設することにより図3及び図4に示す様に、前記第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30をコンパクトに折り畳み嵩を小さくできる。勿論、第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を任意の回転角度位置に開脚することができる。
【0022】
前記第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を折り畳んだ状態において、プレート10に設けた立設部12、12と前記第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30とが相互に重ならないよう構成している。さらに、図4の折り畳んだ状態及び図15の開脚した状態において、第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30の端面がプレート10の底面に当接するよう構成してなる。
【0023】
図4の折り畳み状態にあった第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30を、それぞれ180度開脚しデジタルカメラ200を真っ直ぐ自立させた状態の側面図を図15に示す。前記第1の略コの字形脚20及び第2の略コの字形脚30が180度開脚することによりデジタルカメラの設置面積が実質的に増え、デジタルカメラ200の重心は開脚面積内に位置する。その結果、デジタルカメラ200は安定して自立する。設置面に若干の凹凸や傾き等があってもデジタルカメラは倒れない。
【0024】
図16は、第1の略コの字形脚20を略150度、第2の略コの字形脚30を180度開脚することによりデジタルカメラ200のレンズ光軸を俯角方向に傾けた状態の側面図を示す。図17は、第1の略コの字形脚20を180度、第2の略コの字形脚30を略150度開脚することによりデジタルカメラ200のレンズ光軸を仰角方向に傾けた状態の側面図を示す。このように本発明のデジタルカメラ保持具100はデジタルカメラ200を安定して自立させると共に任意の角度に傾けることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明はデジタルカメラを自立させたり任意の角度に傾けることの他に、液晶テレビ等の映像機器、ラジオ等の音響機器など各種薄型の電子機器を自立させる保持具として、または任意の俯角や仰角を設定する保持具として用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
10 プレート
11 第1の対向した立設部
12 第2の対向した立設部
13 長穴
14、15、21、31、61 貫通孔
20 第1の略コの字形脚
30 第2の略コの字形脚
40 締結ねじ
41 ねじ頭
42 ドライバー溝
43 ねじ部
50 締結ピン
51 フランジ部
52 カシメ軸部
60 湾曲したワッシャ
100 デジタルカメラ保持具
200 デジタルカメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルカメラの底面にねじ締結されるプレートと、前記プレートに設けた立設部に回動自在に取り付く第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚とからなり、前記第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚をそれぞれ任意の回動位置に止めることができ、前記デジタルカメラを任意の角度に保持可能にしたことを特徴とするデジタルカメラ保持具。
【請求項2】
デジタルカメラの底面側に第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚を折り畳み可能としたことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ保持具。
【請求項3】
第1の略コの字形脚及び第2の略コの字形脚をそれぞれ任意の回動位置に止める手段として、プレートが備える立設部と前記第1の略コの字形脚との当接部間、及び前記立設部と前記第2の略コの字形脚との当接部間にそれぞれ摩擦部材を配設したことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のデジタルカメラ保持具。
【請求項4】
摩擦部材を弾性オーリング、弾性平ワッシャ、スプリングワッシャ、湾曲した金属製ワッシャの内、いずれか一つとしたことを特徴とする請求項3記載のデジタルカメラ保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−68603(P2012−68603A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227925(P2010−227925)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(595082412)株式会社アスク (31)
【Fターム(参考)】