説明

デジタルカメラ

【課題】 音声メッセージを文字に変換して被写体画像に合成するデジタルカメラにおいて、合成された文字の視認性を高める。
【解決手段】 デジタルカメラ1は、撮影光学部11を通じて取り込んだ光を撮影処理部12で電気信号に変換し、その電気信号を画像処理部13で所定形式の画像データに変換する。音声入力部21に入力された音声メッセージは音声認識部22で認識され、テキストに変換される。テキスト変換されたメッセージは文字出力部23に送られ、所定フォントの文字画像とされて画像処理部13に送られ、被写体画像に合成される。被写体画像に合成されるのは縁取り文字である。文字は画像内の合焦箇所以外の場所に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは、大容量の記録媒体を装填することにより多数の画像を記録することができ、気に入らない画像は自由に削除でき、現像料金も不要であるといった特質を備えることから、メモ代わりに気軽に使用されるようになっている。単に撮影を行うだけでなく、撮影時に発した音声を文字化して被写体画像に合成することができるようにして、メモとしての機能を一層強化したデジタルカメラも提案されている。特許文献1、2にその例を見ることができる。
【特許文献1】特開平2000−56385号公報(第2−4頁、図1−5)
【特許文献2】特開平2003−348410号公報(第3−5頁、図1−2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、音声メッセージを文字に変換して被写体画像に合成するデジタルカメラにおいて、合成された文字の視認性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)上記目的を達成するために本発明は、音声メッセージを文字に変換して被写体画像に合成するデジタルカメラにおいて、前記文字が縁取り文字であることを特徴としている。
【0005】
この構成によると、文字を画像内で目立たせることができる。また、文字本体とその縁取り部分とを、明度において、あるいは色相において、あるいはその両方において、大きく異ならせることにより、背景の如何を問わず文字を認識させることができる。
【0006】
(2)また本発明は、上記構成のデジタルカメラにおいて、前記文字は画像内の合焦箇所以外の場所に配置されることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、撮影者にとり重要な意味を持つ合焦箇所を避けて文字が配置されるから、文字が画像の価値を損なうようなことがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、画像と共に伝えたいメッセージを、背景に埋没することのない、視認性の高い文字として画像内に残すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図1、2に基づき説明する。図1はデジタルカメラのブロック構成図、図2は画像の例である。
【0010】
デジタルカメラ1は次の構成要素を備える。すなわちシステムコントローラ10、撮影光学部11、撮影処理部12、画像処理部13、LCDドライバ14、再生表示部15、制御表示部16、ファインダ光学部17、ファインダ表示部18、入力部19、記録部20、マイクロフォン21、音声認識部22、文字出力部23、及び電源部24である。
【0011】
システムコントローラ10は、デジタルカメラ1の動作を統括するものであって、LSIにROM、RAM等を組み合わせて構成される。
【0012】
撮影光学部11は、レンズとオートフォーカス機構を含む。
【0013】
撮影処理部12は、CCD等の撮像素子と、撮像素子の生成する電気信号を所定形式の画像データに変換する変換部を含む。
【0014】
画像処理部13は、撮影処理部12から送られてきた画像データを処理する専用LSIと、これに付属するROM、RAM等からなる。
【0015】
LCDドライバ14は、撮像した画像を液晶表示パネルにより構成される再生表示部15上に再生するためのものである。
【0016】
制御表示部16は、再生表示部15と同じく液晶表示パネルにより構成され、デジタルカメラ1の状態や設定内容を表示する。
【0017】
ファインダ光学部17は、撮影しようとする画像をファインダを通じて認識させる。
【0018】
ファインダ表示部18は、ファインダの視野内に各種情報や撮影データを表示する。
【0019】
入力部19は、各種のキーやダイヤルからなり、デジタルカメラ1に対し撮影者の指示を入力するのに用いる。シャッターボタンもここに含まれる。
【0020】
記録部20は、画像を保存するものであり、メモリカードのような交換可能な記録媒体により構成される。
【0021】
音声入力部21はマイクロフォンを含む。
【0022】
音声認識部22は、音声入力部21から送られてきた音声データを認識し、デジタル変換処理し、テキストデータに変換する専用LSIと、これに付属するROM、RAM等からなる。
【0023】
文字出力部23は、音声認識部22から送られてきたテキストデータより所定フォントの文字を生成し、画像処理部13に出力する。
【0024】
電源部24は、デジタルカメラ1の動作に必要な電力を供給するものであり、二次電池又は一次電池と、電圧等の調整回路により構成される。
【0025】
上記構成のデジタルカメラ1で撮影を行う際、画像の中にメッセージを文字で残したい場合は、そのメッセージを音声入力部21に語りかける。語りかけのタイミングは、シャッターボタンを押しながらでもよく、シャッターボタンを押してからでもよく、シャッターボタンを押す前でもよい。
【0026】
音声入力部21を通じて入力された音声メッセージは音声認識部22で認識され、テキスト変換される。テキスト変換されたメッセージは文字出力部23に送られ、所定フォントの文字とされて画像処理部13に送られ、被写体画像に合成される。被写体画像と文字は記録部20に保存される。画像は再生表示部15で確認することができる。
【0027】
文字の合成について詳細に説明する。被写体画像は第1層として記憶され、文字は第2層として記憶される。表示するときは第1層の前方に第2層を表示する。文字を表示させたくないときは第1層のみを表示させればよい。文字のフォントは記憶され、記録部20から読み出された文字は大きさや色などのフォント変更が可能である。
【0028】
図2の画像では、被写体の画像に「桜島:雲の帽子」という文字が合成されている。合成された文字は白文字に黒の縁取り文字である。黒の縁取りにより、道路の白線があっても文字を容易に認識することができる。
【0029】
文字を目立たせるための手段として、縁取り文字に代え、図3のように文字フォントが占める矩形領域の背景色を透明でなく有色にして視認性を向上させる方法も考えられるが、この方法は縁取り文字に比べて被写体画像の中で隠れてしまう部分が多くなり、好ましくない。
【0030】
文字本体と縁取り部分とは、明度において、あるいは色相において、あるいはその両方において、大きく異ならせる。
【0031】
明度を異ならせるケースでは、図2のように文字本体を白、縁取り部分を黒とする例の他、文字本体を黒、縁取り部分を白とする例が考えられる。色相を異ならせるケースでは、赤と青緑、青と橙といった補色の組み合わせにする例が考えられる。明度と色相を共に異ならせるケースでは、藍と黄の組み合わせにする例が考えられる。
【0032】
上記のような縁取り文字を用いれば、文字本体か縁取り部分か、少なくともいずれか一方が背景に対し際立つことになるので、背景の如何を問わず文字を認識させることができる。どのような構成の縁取り文字を使用するかについては、背景に応じて自動的に選択されるようにすることもできるし、撮影者が任意に選択できるようにすることもできる。
【0033】
文字は画像内の合焦箇所(オートフォーカスでピントが合った箇所)以外の場所に配置される。合焦箇所は撮影者にとり重要な意味を持つ画像領域であることが多い。その合焦箇所を避けて文字が配置されるから、文字が画像の価値を損なうことはない。
【0034】
通常、合焦箇所は画像中央部分なので、文字はその周辺(四辺、四隅)に配置されることになる。どの場所を文字配置場所として優先するかは撮影者が予め設定しておく。図2は合焦箇所が画像中央部分で、文字配置箇所として右下が指定されている例である。
【0035】
合焦箇所が画像中央部分でないときもある。例えば図4のように、風景を背景として右方に人物像を配置し、その人物像の顔の部分にピントを合わせたときなどがそうである。このような場合には文字配置箇所を自動的に左下とする。
【0036】
デジタルカメラ1は時計機能を備え、撮影した日時を自動的に被写体画像に合成することができる。この場合、日時は第3層として記憶し、第2層の文字に近接させて、但し重ならないようにして表示する。
【0037】
図5のように画像が横長から縦長に変化したときは、その変化に応じて文字配置場所も自動的に変わるようにしておく。画像が横長から縦長に変化したこと、すなわちデジタルカメラ1を90゜回転させて構えたことは、デジタルカメラ1に重力センサを設けておくことにより簡単に認識できる。
【0038】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また本発明はカメラ付携帯電話機にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明はデジタルカメラに広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】デジタルカメラのブロック構成図
【図2】画像の例
【図3】本発明によらない画像の例
【図4】合焦箇所が画像中央部分でない画像の例
【図5】縦長の画像の例
【符号の説明】
【0041】
1 デジタルカメラ
10 システムコントローラ
11 撮影光学部
12 撮影処理部
13 画像処理部
14 LCDドライバ
15 再生表示部
21 音声入力部
22 音声認識部
23 文字出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声メッセージを文字に変換して被写体画像に合成するデジタルカメラにおいて、
前記文字が縁取り文字であることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記文字は画像内の合焦箇所以外の場所に配置されることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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