説明

デジタルカメラ

【課題】デジタルカメラが持つ撮像機能と画像処理機能を利用し制御することで、利用者によるデジタルカメラの無線機能の切り替え作業を補佐し、より直感的な操作で無線通信環境を利用し画像印刷をできるようにする。
【解決手段】本発明は、光学レンズシステムと、撮像装置と、画像処理装置と、コントローラ部と、記憶装置と、表示装置と、操作部とを持つデジタルカメラであって、無線通信装置とアンテナ装置を搭載し、無線通信装置を用いて、撮影画像を印刷装置に通信する時、予め設定された無線接続先に関する情報を、撮像装置及び画像処理装置によって撮像し特徴抽出された印刷装置の画像情報と関連付けて設定保管をし、実際に印刷を行おうとする時は保管された無線接続先に関する情報を引き出して設定を有効にすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに関し、特に、デジタルカメラの画像を印刷する際のデジタルカメラと印刷装置との無線接続に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラには、内蔵しているメモリか、本体に挿入されているメモリ媒体に撮影した画像を保存し、その後にパーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)やプリンタ等にケーブル等で接続したり、メモリ媒体を挿入して画像データの転送を行ったりして、写真画像の保存や印刷を行うことが多い。また、最近では無線通信機能を持ち、ケーブル等が無くてもデータの転送ができる機種も出始めており、利便性が向上している事は既に知られている。
【0003】
しかし、今までのこうしたデータのやり取りもケーブルで行う分にはダイレクトにデータの移しかえを行うだけでよかった事が無線通信をサポートすることで利用者に対して、無線機能を持つ機器ごとの接続設定をたびたび行わせることになり、この作業の煩雑さに問題があった。
【0004】
特許文献1には、周辺機器と通信を行う際の操作をわかりやすくする目的で、通信手段、ここでは無線伝送機能を前提としており、この通信手段を容易に利用できるようにするために、通信相手機器を検索する機能とそこから得た情報を適切に利用者に表示し選択させるための構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1で開示した技術では、確かに無線通信機能の利便性を考慮してはいるが、無線機器との設定手順の煩雑さという問題は解消できていない。
【0006】
そこで、本発明の目的とするところは、デジタルカメラが持つ撮像機能と画像処理機能を利用し制御することで、利用者によるデジタルカメラの無線機能の切り替え作業を補佐し、より直感的な操作で無線通信環境を利用し画像印刷をできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、光学レンズシステムと、撮像装置と、画像処理装置と、コントローラ部と、記憶装置と、表示装置と、操作部とを持つデジタルカメラであって、無線通信装置とアンテナ装置を搭載し、無線通信装置を用いて、撮影画像を印刷装置に通信する時、予め設定された無線接続先に関する情報を、撮像装置及び画像処理装置によって撮像し特徴抽出された印刷装置の画像情報と関連付けて設定保管をし、実際に印刷を行おうとする時は保管された無線接続先に関する情報を引き出して設定を有効にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デジタルカメラの画像を印刷する際のデジタルカメラと印刷装置との無線による接続網の構築を直感的に構築できるという効果を奏する。また、無線LAN(Local Area Networkの略)のアドホックモードのように無線機器同士直接接続するような利用形態の時に、印刷装置にデジタルカメラを向けさせることでアンテナ感度を有効活用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの画像キャプチャ説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの無線ネットワークの構成図(その1)である。
【図4】本発明の実施形態に係るデジタルカメラの無線ネットワークの構成図(その2)である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線接続情報の設定登録の流れを示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るテスト印刷の一例である。
【図7】本発明の実施形態に係る無線設定登録データの保存イメージ図である。
【図8】本発明の実施形態に係る印刷処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】一般的なデジタルカメラの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について説明する。具体的には、デジタルカメラで印刷装置に画像データを無線送信にて転送を行う際に、以下の特徴を有する。本発明は、デジタルカメラに無線通信機能を搭載し、これを利用する時、利用者が接続手順を毎回行うのではなく、一度設定を登録したら、この時、同時に印刷装置を画像としても登録し、以降印刷を行おうとする時、いちいち設定作業をユーザにさせる事なく、印刷したい時に印刷対象の画像を選択し印刷装置をデジタルカメラ自身でキャプチャすることで自動的に印刷装置との無線接続網を構築し画像印刷作業が行われることが特徴になっている。上記特徴について、以下の図面を用いて具体的に解説する。
【0011】
まず、一般的なデジタルカメラ900の構成図を図9に示す。一般的なデジタルカメラ900は、レンズシステム901の後に、撮像素子を含んだ撮像装置902を搭載しており、ここで得た画像を画像処理装置903で処理した後、コントローラ装置904の指示により記録装置905に保存する。記録された画像は、コントローラ装置904の指示により表示装置906に表示される。これらの動作は、操作部907から利用者によって行われる操作によりその処理を実行したり、設定を変えたりすることができる。
【0012】
次に、図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの構成図である。デジタルカメラ100は、レンズシステム101の後に、撮像素子を含んだ撮像装置102を搭載しており、ここで得た画像を画像処理装置103で処理した後、コントローラ装置104の指示により記憶装置105に保存する。記録された画像は、コントローラ装置104の指示により表示装置106に表示される。これらの動作は、操作部107から利用者によって行われる操作によりその処理を実行したり、設定を変えたりすることができる。これらの機能に加えて、無線通信装置108及びアンテナ装置109が装備されている。
【0013】
次に、本発明のデジタルカメラの画像キャプチャについて説明を行う。図2は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの画像キャプチャ説明図である。通常、デジタルカメラから、画像をプリントアウト使用とする時、メモリカードを取り出して、PC経由、または、プリンタに搭載のカードインターフェースに挿入して印刷を行うか、または、デジタルカメラを直接USB(Universal Serial Busの略)で繋いでプリントアウトを行う方法が一般的であった。
【0014】
最近では、無線機能を内蔵したデジタルカメラや、メモリカードが市販されるようになり、データの転送に無線装置を用いることができるデジタルカメラも増えつつある。しかし、利用者が、無線機能を用いて印刷をしようとする時、プリンタと無線ネットワークを構築する際の手順はさまざまな手法が考えられる。
【0015】
本発明では、無線ネットワークの構築操作から、印刷の完了までの手順を、デジタルカメラで印刷先のプリンタをキャプチャすることでスタートさせることを提案する。
【0016】
まず、印刷したい画像を選択操作した後に、印刷先のプリンタ200を図2のようにキャプチャすることで、デジタルカメラ100に内蔵されたコントローラ装置104が制御し、キャプチャしたプリンタ200を画像処理した上、機種を認識しこれに対応する、接続情報を記憶装置105より取り出して、無線ネットワークに接続する。その後、予め指定された画像を指定された用紙サイズ、印刷設定でプリンタ200側にデータを送信し、印刷を完了する。
【0017】
図3は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの無線ネットワークの構成図(その1)である。図3に示すように、デジタルカメラ100が印刷先としてプリンタ200をキャプチャすると、予め記憶装置105に登録されているプリンタ200との接続を構築するための、設定プロファイルを読み出して設定するよう動作する。
【0018】
この図3の場合は、インフラストラクチャモードの無線ネットワーク300に接続するため、最初に無線アクセスポイント301に接続し、そこから印刷先のプリンタ200のIPアドレスに向けて印刷データを送信する。この時、デジタルカメラ100はインフラストラクチャモードに接続して無線通信網に繋がっているので、データの送り先の登録を複合機303に設定すれば、複合機303から印刷することも可能である。更に、端末装置302のように同じネットワーク網に繋がっている端末装置であれば、データ送信もできるように制御される。
【0019】
図4は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの無線ネットワークの構成図(その2)である。図4に示すように、デジタルカメラ100が印刷先としてプリンタ200をキャプチャすると、予め記憶装置105に登録されているプリンタ200との接続を構築するための、設定プロファイルを読み出して設定するよう動作する。
【0020】
この図4の場合は、アドホックモードの無線ネットワーク400に接続するため、プリンタ200に接続し、プリンタ200のIPアドレスに向けて直接印刷データを送信する。この接続の例では、デジタルカメラ100とプリンタ200との間を接続する方法として、無線LANの端末同士を接続するアドホックモードを取り上げているが、近距離無線であれば、例えば、無線USB、Bluetooth(登録商標)等の利用も考えられる。
【0021】
図5は、本発明の実施形態に係る無線接続情報の設定登録の流れを示したフローチャートである。詳しくは、無線設定登録を開始して、無線ネットワークに接続しテスト印刷を行った後、印刷先情報としてプリンタの画像をキャプチャし、無線接続情報を登録完了するまでの流れを示している。
【0022】
まず、無線設定の登録開始は、操作部107に設置されたボタン、または、メニューの中で設定を開始するように、利用者に操作をさせて手順を開始する(ステップS501)。
【0023】
次に、無線設定の登録は、最初に、新規/修正登録を選択(ステップS502)し、新規であれば(ステップS502のYES)、新たなデータベースを追加し必要項目を入力させる(ステップS503)。修正であれば(ステップS502のNO)、設定ファイルのリストを表示し(ステップS504)、利用者が選択したものに(ステップS505)、修正を加える(ステップS506)。
【0024】
次に、入力された内容で、テスト接続を行い(ステップS507)、接続が完了したら(ステップS508のYES)、設定内容を元にした情報をテスト印刷する(ステップS509)。ここで、テスト接続が完了しない場合は(ステップS508のNO)、ステップS506の設定ファイルの修正を行い、再度、接続テストを行う。
【0025】
この時(ステップS509)、テスト印刷の情報の中に設定内容を元にしたバーコードイメージを印字させておき、これを後日、接続先認識の補助情報として利用できるようにする。
【0026】
次に、テスト印刷が完了したら(ステップS510)、印刷先のプリンタ200をデジタルカメラ100で画像キュプチャ(ステップS511)し、この画像を画像処理して特徴情報を抽出し(ステップS512)、先に作成された無線設定と一緒に(ステップS513)、データ保管する(ステップS514)。このように、取得した接続先情報を予め用意して、データ送信先情報として管理する。
【0027】
図6は、本発明の実施形態に係るテスト印刷の一例である。詳しくは、図5のフローチャートの中で触れているテスト印刷である。デジタルカメラ100に登録したプリンタ200へ接続するための設定情報等を印刷すると同時に、デジタルカメラ100が認識できるバーコードを同時に印刷し、これをプリンタ200の表面に貼り付けることで、プリンタ200形状の画像認識で失敗した場合の対策に用いることができる。
【0028】
図7は、本発明の実施形態に係る無線設定登録データの保存イメージ図である。詳しくは、図5のフローチャートで作成している無線設定登録データのデジタルカメラ100の記憶装置105での保存イメージである。デジタルカメラ100の記憶装置105では、図7に示したように、無線設定情報、キャプチャしたプリンタの画像、設定情報から作成したバーコードイメージ等を関連付けてデータベース管理するように保管されている。
【0029】
図8は、本発明の実施形態に係る印刷処理の流れを示したフローチャートである。詳しくは、印刷手順を開始して、無線ネットワークに接続し印刷が完了するまでの流れを示している。
【0030】
まず、印刷手順の開始は、操作部107に設置された印刷開始ボタン、または、これに類する機能操作ボタンを利用者の押させることでスタートする(ステップS801)。
【0031】
次に、表示装置106に、画像データのサムネイル表示し(ステップS802)、印刷画像の選択や印刷条件等を設定する(ステップS803)。
【0032】
次に、選択が終了したら(ステップS804のYES)、印刷先のプリンタ200をデジタルカメラ100で画像キャプチャする(ステップS805)。なお、選択が終了するまで、このステップは行われる。
【0033】
ステップS805にて、画像キャプチャを行うと、取得した画像から無線接続情報を選択し、設定を行って無線接続を完了させる。無線ネットワークがアドホックモードであれば(ステップS806のYES)、アドホックモード設定で行い(ステップS807)、無線接続を完了させる(ステップS808のYES)。無線ネットワークがアドホックモードでなければ(ステップS806のNO)、インフラストラクチャモード設定で行い、無線接続を完了させる(ステップS808のYES)。なお、無線接続が完了しない場合は(ステップS808のNO)、もう一度、設定をやり直す。
【0034】
次に、無線接続が完了したら(ステップS808のYES)、画像データの送信を開始し(ステップS810)、画像データの送信が完了し(ステップS811のYES)、画像がプリントアウトされるまで(ステップS812のYES)、作業を継続する。なお、データの送信が完了しない(ステップS811のNO)場合や画像のプリントアウトが完了しない(ステップS812のNO)場合は、再度完了するように動作させる。
【0035】
本発明によれば、デジタルカメラに無線機能を搭載し、登録された接続先情報を設定する作業をデジタルカメラで印刷装置そのものをキュプチャし画像処理することで、識別し、接続設定を有効にするので、利用者は、無線接続するたびに、この手順を意識する事なく
印刷装置に画像データを転送することができる。よって、デジタルカメラの画像を印刷する際、デジタルカメラと印刷装置との無線による接続網の構築を直感的に構築することができる。
【0036】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲は趣旨、及び、その範囲から逸脱することなく、これらの実施形態や具体例に様々な修正、及び、変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
100 デジタルカメラ
101 レンズシステム
102 撮像装置
103 画像処理装置
104 コントローラ装置
105 記憶装置
106 表示装置
107 操作部
108 無線通信装置
109 アンテナ装置
200 プリンタ
300 インフラストラクチャモードの無線ネットワーク
301 無線アクセスポイント
302 端末装置
303 複合機
400 アドホックモードの無線ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開2006−203625号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学レンズシステムと、
撮像装置と、
画像処理装置と、
コントローラ部と、
記憶装置と、
表示装置と、
操作部と、
を持つデジタルカメラにおいて、
無線通信装置とアンテナ装置を搭載し、
前記無線通信装置を用いて、撮影画像を印刷装置に通信する時、予め設定された無線接続先に関する情報を、前記撮像装置及び前記画像処理装置によって撮像し特徴抽出された前記印刷装置の画像情報と関連付けて設定保管をし、実際に印刷を行おうとする時は保管された前記無線接続先に関する情報を引き出して設定を有効にする
ことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、前記撮像装置及び前記画像処理装置によって撮像し特徴抽出された前記印刷装置の画像情報は、前記撮像装置で前記印刷装置をキュプチャし、前記画像処理装置によって画像処理及び画像認識を行うことで抽出する
ことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1または2記載のデジタルカメラにおいて、前記無線通信装置に無線LANのインフラストラクチャモードを用いることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
請求項1または2記載のデジタルカメラにおいて、前記無線通信装置に無線LANのアドホックモードを用いることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項1または2記載のデジタルカメラにおいて、前記無線通信装置に無線USB規格の無線通信を用いることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
請求項1または2記載のデジタルカメラにおいて、前記無線通信装置にBluetooth規格の無線通信を用いることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデジタルカメラにおいて、前記無線接続先が他のデータ端末装置であることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデジタルカメラにおいて、前記無線接続先に関する情報をバーコードにして、これを印字し前記印刷装置の識別に利用することを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate