説明

デジタル放送受信機

【課題】 多チャンネルデジタル放送において、番組自体の内容データ以外の放送に関するデータを用いて受信予約可能なデジタル放送受信機を提供する。
【解決手段】 デジタル放送受信器1は、放送波からデジタル放送を受信するチューナ24と、前記放送波とは別に、前記デジタル放送の番組の案内データを取得する通信手段24と、前記番組の案内データ、およびユーザが設定した条件に基づき、番組表のデータを作成し、前記作成された番組表のデータから番組の受信予約が可能な再生制御装置28とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多チャネルデジタル放送の放送波を受信するデジタル放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データ多重化を伴うデジタル放送方式を用いた多チャネル放送の1つとして、デジタル衛星放送が行われている。デジタル衛星放送の日本規格では1本以上の搬送波が用いられ、1放送波につき複数のチャネルが割当てられている。多チャネルのデジタル放送では、1放送波に多数チャネルを割当て可能であり、さらにベースバンド信号に番組データ以外のデータを多重可能なので、従来のアナログ放送には無い新たな受信機能の提供が可能である。
【0003】
多チャネルデジタル放送のチャネル数は、従来のアナログ放送のチャネル数以上であることが多い。このため多チャネルデジタル放送の受信機では、新たな受信機能の1つとして、視聴者の番組の選択作業の簡略化のために、所謂EPG(Electronic Program Guide:電子番組ガイド)を用いた手動選局操作が可能になっている。EPGは、少なくとも、放送予定の番組の表題と該番組の放送チャネルと該番組の放送日時との組を目視表示したものである。EPGの元になるEPGデータは、番組のデータと共に、放送波のベースバンド信号に含まれている。
【0004】
多チャネルデジタル放送の受信機は、放送波の受信後、該放送波を復調し、この結果得られたベースバンド信号を復号化して、各チャネルの番組のデータとEPGデータとを得る。受信機は、EPGデータに基づいてEPGを作成し、受像機の画面に表示させる。手動選局時に、視聴者は、受信機に備えられている操作装置を操作して、EPG内の所望番組に関する記述がある部分にポインタまたはカーソルを移動させる。ポインタが重なった部分に記述がある番組の放送チャネルが選局されて、該チャネルの番組のデータが抽出され、該番組が再生される。
【0005】
特開平11−220666号公報は、デジタル衛星放送の受信装置を開示している。前記受信装置は、EPGデータとともに放送局から送信される番組の属性情報に基づいて、放送波を復調して得られているEPGデータ内の各番組のガイドデータを取捨選択する。視聴者が予め設定しているユーザ情報と属性情報が一致する番組のガイドデータだけが選択される。選択された番組のガイドデータだけを用いて、番組表が作成される。また特開平11−220673号公報は、デジタル衛星放送の受信装置に備えられる番組表表示装置を開示している。前記番組表表示装置は、全チャネルのうち、チャネルの番組の視聴時間が基準時間以上であるチャネルを、ユーザ番組表に自動的に更新登録している。ユーザ番組表を用いた番組表表示機能が視聴者によって選択された場合、前記番組表表示装置は、放送波を復調して得られているEPGデータ内の各番組のガイドデータのうち、ユーザ番組表に登録されているチャネルの番組のガイドデータだけを用いて、番組表を作成する。
【0006】
特開平10−276421号公報は、EPGデータに基づく番組表を用いた新規機能を有するデジタル衛星放送の受信装置を開示している。前記デジタル放送受信装置は、放送波を復調して得られているEPGデータに基づく番組表以外に、該受信装置における視聴履歴を参照して、過去に視聴した番組の一覧表を、モニタ画面に表示させる。かつ該一覧を視聴した操作者からの指示に応じて、一覧表内から所望の番組を選択し、選択された番組の識別データを、再放送をリクエストするためのデータとして放送局に送信する。
【0007】
本件出願人は、特開平10−290171号公報において、データ多重化を伴う多チャネル放送の他の1つであるDAB(Digital Audio Broadcasting)の受信システムを提案している。DABの放送波のベースバンド信号は、日本デジタル衛星放送のEPGデータに相当するデータとして、所謂プログラムタイプコードを含んでいる。特開平10−290171号公報の受信システムでは、自動制御のために、視聴を希望する番組の予約内容がメモリに予め記憶されており、該番組の開始時刻になると、該番組の受信および出力が自動的に開始される。また特開平10−327111号公報は、DABの受信機における自動制御時の番組受信方法を開示している。特開平10−327111号公報の受信機は、ユーザが事前に指定しているプログラムタイプの番組が現在放送中であるか否かを、DABの放送波から復調されるプログラムタイプコードに基づいて判断し、プログラムタイプの複数の番組が放送中である場合、放送中の該番組を視聴者が選択可能になるように、放送中の複数の番組が或る旨を提示する。
【0008】
また特開平11−234228号公報は、FM文字多重放送に代表されるような、既存放送の放送信号にデータ放送の放送信号を多重させる構成のデータ放送システムを開示している。前記データ放送システムでは、端末装置として、ファクシミリ装置を用いている。端末装置として用いられるファクシミリ装置は、受信した番組のデータを復元して記録紙に印刷している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、多チャネルデジタル放送において、番組自体の内容データ以外の放送に関するデータを用いて受信予約可能なデジタル放送受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(1)は、放送波からデジタル放送を受信するチューナと、
前記放送波とは別に、前記デジタル放送の番組の案内データを取得する取得手段と、
前記番組の案内データ、およびユーザが設定した条件に基づき、番組表のデータを作成する番組表作成手段と、
前記作成された番組表のデータから番組の受信予約が可能な制御手段とを備えることを特徴とするデジタル放送受信機である。
【発明の効果】
【0011】
本発明(1)によれば、デジタル放送の受信機であって、放送波とは別にデジタル放送の番組の案内データを取得し、番組の案内データ、およびユーザが設定した条件に基づき、番組表のデータが作成されて、作成された番組表のデータから番組の受信予約が可能になり、デジタル放送受信機の使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の一形態であるデジタル放送受信機(以後単に「受信機」と称する)1を含む多チャネルデジタル放送の放送システム2の構成を示すブロック図である。図2は、図1の受信機1の構成を示すブロック図である。図1と図2とを合わせて説明する。図1では、多チャネルデジタル放送が無線伝送方式を採用している。
【0013】
放送システム2は、受信機1の他に、2局以上の放送局3と送信設備4と通信センタである提供源5とを含む。放送システム2においては、1本以上の搬送波が用意されており、各搬送波に複数のチャネルが割当てられており、各チャネルは放送局3に個別に割当てられている。単一チャネルに割当てられる放送局3は、地域毎に異なっていても良い。搬送波毎に、1局以上の放送局3の番組自体の内容データを該放送局3に割当てられているチャネルに応じて多重化することによって、該搬送波の変調に用いられるベースバンド信号が構成されている。好ましくは、該放送局3の放送に関するデータである放送関連データが、さらに多重化されている。ベースバンド信号に基づいてデジタル変調された搬送波である1本以上の放送波が、送信設備4から無線伝送路に送出される。
【0014】
番組の内容データは、たとえば該番組の映像のデータおよび該番組の音響のデータのうちの少なくとも一方である。任意の放送局3の放送関連データは、該放送局3が放送する番組を案内するための案内データを少なくとも含み、放送局3自身の定義データをさらに含む。任意の放送局3自身の定義データは、該放送局3の局名、該放送局3のサービスエリア、該放送局3の所在地名、および該放送局3が全国局とローカル局とのどちらであるかを、示している。番組の案内データは、受信機1における多チャネルデジタル放送の番組表の作成の基礎として用いられるデータであり、該番組に関する所謂EPGデータで実現される。
【0015】
提供源5は、放送システム2に属する複数の放送局3の放送に関するデータである放送関連データを、多チャネルデジタル放送とは別系統の通信(以後単に「別系統通信」と称する)を用いて、受信機1に提供している。このために提供源5は、中央演算処理装置(以後「CPU」と称する)11と、メモリ12と、別系統通信のための通信装置13とを含む。提供源5のCPU11は提供源5のメモリ12に記憶されている制御ソフトウエアに基づいて動作し、これによって該CPU11は、少なくとも、放送局3の放送関連データの提供を制御する提供制御装置14として働く。放送局3の放送関連データは、各放送局3自身からそれぞれ提供されて、提供源5のメモリ12に記憶されている。提供制御装置14は、放送関連データの提供が外部から通信装置を介して要求されたならば、該要求に応答してメモリ12内の放送関連データを通信装置13を用いて送出する。また放送関連データの提供要求に応答し、メモリ12内の放送局3の放送関連データを提供制御装置14が適宜編集し、編集結果が通信装置13を用いて送出されてもよい。
【0016】
提供源5から放送関連データが提供される放送局3は、たとえば、日本国内の全放送局3であり、詳しくは、サービスエリアが日本国内全域に亙る全国局と、サービスエリアが日本国内の一部の地域に限定されているローカル局との両方が含まれる。提供源5は、たとえば、所謂Webサーバとして機能可能であり、かつ放送関連データを公開するためのサイトが開設されているコンピュータで実現される。このようなコンピュータは、インターネット等のコンピュータネットワークに接続されており、後述する受信機1の通信装置23が前記別系統通信の通信網を経由してアクセス可能に構成される。提供源5は、放送局3が開設していても良く、放送関連データの提供を目的とするサービス事業者が開設していても良い。別系統通信は、たとえば、携帯電話およびPHSに代表されるような、双方向のデータ授受が可能な公衆無線通信で実現される。
【0017】
受信機1は、CPU21、メモリ22、通信装置23、多チャネルデジタル放送用のチューナ24、操作装置25、番組の再生装置26を含む。受信機1のCPU21は受信機1のメモリ22に記憶されている制御ソフトウエアに基づいて動作し、これによって該CPU21は、少なくとも、チューナを制御するための再生制御装置28として働く。受信機1の通信装置23は、提供源5の通信装置13との間で前記別系統通信を行うための装置である。別系統通信が上記の公衆無線通信で実現される場合、受信機1の通信装置23は、たとえば、携帯電話端末またはPHS端末等の移動可能な無線通信端末で実現される。操作装置25は、機能の割当てがCPU21によって制御可能な複数の機能キー31、所謂ファンクションキーまたはソフトウエアキーを含む。再生装置26は、音響の再生装置32であるスピーカ等と、映像の再生装置33である表示装置とを含む。
【0018】
受信機1のチューナ24のアンテナ34は、放送システム2の送信設備4から無線伝送されている1以上の放送波を含む電磁波を受信する。受信機1では、たとえば、受信機1への電力投入時から放送波が受信されている。チューナ24は、番組再生時に、受信機1が対応している前記多チャネルデジタル放送の規格に応じた処理によって、アンテナ34が受信した放送波からいずれか1つの番組の内容データを選択的に復調抽出し、再生装置26に与える。チューナ24の具体的構成は、受信機1が対応している多チャネルデジタル放送の規格に応じて決定される。再生装置26は、チューナ24から与えられた番組のデータに基づき、該番組の音響および映像を再生出力する。
【0019】
再生制御装置28は、提供源5が提供している放送局3の放送関連データを、受信機1の通信装置23を用いて提供源5から入手している。さらに再生制御装置28は、提供源5から入手した放送関連データに基づき、チューナ24における番組の内容データの復調抽出を制御している。このように図1の受信機1では、放送局3からの放送波の受信に代わって、受信機1と提供源5との間での別系統通信によって、放送局3の放送関連データが入手される。これによって受信機1は、放送波の過去の受信状況に関わらず、放送局3の放送関連データに基づくチューナ24の制御が可能になる。また放送局3の放送関連データが別系統通信によって入手されるので、受信機1は、放送波によって伝送されている放送局3の放送関連データを常に監視しておく必要がなくなり、かつ該放送局3の放送関連データを不定期に得ることが容易に可能になる。
【0020】
好ましくは、再生制御装置28は、チューナ24による放送波の受信開始時に、受信機1内の通信装置23を用いて、放送局3の放送関連データを自動的に入手する。この結果、放送波の受信開始時から放送局3の放送関連データの入手完了時までの時間のロスが無くなる。これによって、放送波から放送関連データを入手する場合と異なり、放送波受信開始直後であっても放送局3の放送関連データに基づき所望の番組がスムーズに再生されるので、受信機1の使い勝手が向上する。
【0021】
番組の案内データは、受信機1における多チャネルデジタル放送の番組表の作成の基礎として用いられるデータであり、該番組に関する所謂EPGデータで実現される。詳しくは、番組の案内データは、該番組の表題、該番組の放送開始日時、該番組の放送チャネル、該番組の大分類および小分類、番組説明、番組に関するキーワードを含む。番組の大分類は、該番組が属す大まかなジャンルを示し、たとえば該番組が映画であるかスポーツ番組であるか等を示す。番組の小分類は、該番組が属す大まかなジャンルの下で該番組が属す細かなジャンルを示し、たとえば番組の大分類がスポーツ番組であれば該番組がサッカー番組であるか野球番組であるか等を示す。番組説明は、該番組の内容および該番組の粗筋等を示すテキストデータであり、番組の説明文や出演者名等が文字で示されている。
【0022】
番組の案内データに基づき作成される番組表は、たとえば、再生制御装置28において、視聴者の操作に基づく手動選局の制御に用いられる。手動選局制御を伴う番組再生手順は、概略的には以下の通りである。最初に再生制御装置28は、番組の案内データに基づいて番組表のデータを作成し、作成された番組表のデータを再生装置26に与えて、該番組表を画像化または音響化させる。視聴者は、再生装置26を用いて提示される番組表内に記述されている全番組のうちの1つを選択して、選択した番組を個別指定するための所定操作を操作装置25に対して行う。前記所定操作に応答し、再生制御装置28は、番組表作成に用いられた案内データによって案内される全番組のうちから該所定操作によって指定されている番組を選択し、該選択された番組の案内データが示す該番組の放送チャネルをチューナ24に選局させる。これによって、選局中のチャネルの番組のデータをチューナ24が選択的に復調抽出して再生装置26に与えるので、該番組の画像および音響が再生される。
【0023】
提供源5から提供される放送局3の放送関連データが放送予定の番組の案内データを含む場合、放送波から復調抽出される放送関連データ内の案内データに代わって、受信機1の通信装置23を用いて提供源5から入手されている全放送局3の放送関連データ内の案内データに基づき、再生制御装置28が番組表のデータを生成する。これによって、放送波の過去の受信状況に関わらず番組表のデータの生成が可能になるので、放送波の過去の受信状況に関わらず、番組表のデータに基づくチューナ24の制御が可能になる。特に、チューナ24におけるチャネルの選局制御を、放送波の受信開始直後に番組表を用いて行うことが、可能になる。
【0024】
番組表は、記述すべき番組の案内データの少なくとも一部分を所定配列で並べたものである。多チャネルデジタル放送の標準の番組表は、受信機が案内データを入手している全ての番組について、番組毎に、表題と放送チャネルと放送日時とが記述され、かつ番組に関する記述がチャネル順または日時順に配列されている。放送システム2に属する複数の放送局3の放送関連データを提供源5がまとめて提供しているので、受信機1が該放送局3の番組を再生可能かどうかに関わらず、再生制御装置28によって作成される標準の番組表には、放送システム2に属する複数の放送局3の番組が記述される。このために、放送局数および番組数がそれぞれ増えるほど、標準の番組表から所望の番組を判別するのが難しくなる。
【0025】
効率的な番組選択が可能な番組表の作成のために、受信機1において、好ましくは、標準の番組表とは異なる番組表であるユーザ番組表の生成条件が予め設定されている。ユーザ番組表の生成条件は、ユーザ番組表に記述すべき番組の選択条件および番組に関する記述の番組表内での配列条件とのうちの少なくとも一方条件を最低限含む。番組表の生成条件の1つが上記の選択条件であれば、ユーザ番組表は、入手済の放送局3の放送関連データ内に案内データが含まれる全番組のうち、該選択条件に適合した番組に関する記述だけを含む。かつ番組表生成条件の他の1つが上記の配列条件であれば、ユーザ番組表内の番組に関する記述が、標準の番組表の配列から該配列条件に応じて並替えられている。この場合再生制御装置28は、ユーザ番組表の生成条件と提供源5から入手されている放送局3の放送関連データ内の案内データとに基づいて、標準の番組表に代わってユーザ番組表のデータを生成する。
【0026】
ユーザ番組表の生成条件は、たとえば、視聴者によって予め直接設定されていて、生成条件記憶装置に記憶されている。また、番組視聴に関する視聴者の好みを示すユーザプロファイルを予め記憶しているユーザプロファイル記憶装置を受信機がさらに含み、前記再生制御装置28がユーザ番組表の生成条件をユーザプロファイルに基づいて設定してもよい。図2の構成では、受信機1のメモリ22が、生成条件記憶装置とユーザプロファイル記憶装置とを兼ねている。好ましくは、視聴者による直接設定の生成条件よりもユーザプロファイル起因の生成条件のほうが、条件が細分化されている。たとえば直接設定の生成条件が番組の案内データ内の大分類を元にする選択および並替えを行わせるように設定されているならば、ユーザプロファイル起因の生成条件は、番組の案内データ内の小分類を元にする選択および並替えを行わせるように設定されている。また好ましくは、直接設定の生成条件が配列条件を主として含み、ユーザプロファイル起因の生成条件が選択条件を主として含む。
【0027】
視聴者による直接設定の生成条件内の番組の配列条件として、たとえば、大分類のジャンル別の配列が設定されているならば、ユーザ番組表内において、番組の案内データ内に大分類として記述されるジャンル毎に該番組の記述が分類され、大分類のジャンル毎に該ジャンルの番組の記述が配列される。前記配列条件は、他には、放送日時順の配列であってもよい。また前記直接設定の生成条件内の番組の選択条件は、好ましくは、番組の案内データ内の大分類を用いて番組の選択が可能なように設定される。たとえば、前記選択条件として所定ジャンルが設定されているならば、入手済の放送局3の放送関連データ内に案内データが含まれる番組のうち、案内データ内に大分類として記述されるジャンルが所定ジャンルと一致する番組の案内データだけが選択され、選択された番組だけがユーザ番組表内に記述される。ユーザプロファイル起因の生成条件として、たとえば、視聴が好まれる番組に関連するキーワードが設定されている場合、各番組の案内データに対して該キーワードの検索を行い、案内データ内に該キーワードが含まれる番組番組だけがユーザ番組表内に記述される。
【0028】
図3は、視聴者によって直接設定された生成条件が用いられる場合の再生制御装置28における番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。図3の番組表提示処理のためには、該図3の処理に先立ち、視聴者によって直接設定されている生成条件が操作装置25等を用いて受信機1に直接入力されて、受信機1のメモリ22に記憶される。視聴者への番組表の提示が必要になると、ステップA0からステップA1に進む。ステップA1において再生制御装置28は、自動的に、受信機1の通信装置23を用いる別系統通信を提供源5との間で行い、これによって放送局3の放送関連データを提供源5から入手する。ユーザ番組表作成時には、放送局3の放送関連データに代わって、放送局3の放送関連データ内に含まれる全番組の案内データだけが、入手されてもよい。
【0029】
ステップA2において再生制御装置28は、入手されている放送局3の放送関連データ内の番組の案内データと、生成条件記憶装置であるメモリ22に記憶されている視聴者による直接設定の生成条件とに基づき、ユーザ番組表のデータを作成する。たとえば、入手済の放送局3の放送関連データ内の全番組の案内データ内の大分類に基づき、該全番組のうちから前記直接設定の生成条件内の選択条件に適合する番組が選択され、選択された各番組に関する記述を前記直接設定の生成条件内の配列条件に応じて並替えることによって、前記直接設定の生成条件に基づくユーザ番組表のデータが作成される。ステップA3において再生制御装置28は、生成されているユーザ番組表のデータを再生装置26に与える。これによってユーザ番組表は画像化および音響化されて、視聴者に提示される。ユーザ番組表提示後、ステップA4で図3の処理は終了する。図3の処理以後、再生制御装置28は、ユーザ番組表を用いる処理に移行する。
【0030】
以上のように、視聴者による直接設定の生成条件を用いてユーザ番組表が作成される場合、ユーザ番組表に記述すべき番組を視聴者の好みに応じて限定したり、ユーザ番組表内の番組記述の配列順を視聴者の好みに応じて設定したりすることが可能になるので、受信機1は、標準の番組表よりも番組選択が容易なユーザ番組表を自動的に作成可能である。これによって番組表のデータによる番組選択性が向上するので、受信機1の使い勝手が向上する。ユーザ番組表を用いる処理としては、たとえば、ユーザ番組表を用いる番組選択処理、およびユーザ番組表を用いる番組予約処理が挙げられる。
【0031】
図4は、ユーザプロファイル起因の生成条件を用いる場合の再生制御装置28における番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。図4の番組表提示処理のためには、図4の処理に先立ち、視聴者によって設定されているユーザプロファイルが、操作装置25等を用いて受信機1に入力されて、受信機1のメモリ22に記憶される。番組表の提示が必要になると、ステップB0からステップB1に進む。ステップB1において再生制御装置28は、図3のステップA1と同手順で、放送局3の放送関連データを提供源5から自動的に入手する。
【0032】
ステップB2において再生制御装置28は、入手されている放送局3の放送関連データ内の番組の案内データと、ユーザプロファイル記憶装置であるメモリ22に記憶されているユーザプロファイル起因の生成条件とに基づき、ユーザ番組表のデータを作成する。ユーザプロファイル起因の生成条件は、ユーザ番組表のデータ作成直前に設定されてもよく、図4の番組表提示処理開始に先だって設定されていて受信機1のメモリ22に記憶されており、ステップB2の時点では該メモリ22から読出されるだけでもよい。ステップB3において再生制御装置28は、図3のステップA3と同手順で、データが生成されているユーザ番組表を画像化および音響化して、視聴者に提示する。ユーザ番組表提示後、ステップB4で図4の処理は終了する。図4の処理以後、図3の処理と同様に、再生制御装置28はユーザ番組表を用いる処理に移行する。
【0033】
以上説明したように、入手済の放送局3の放送関連データ内の案内データだけでなくユーザプロファイル起因の生成条件に基づいて、ユーザ番組表のデータが生成される。これによって、多数の選択肢を含みかつ視聴者の好みに応じた効率的な番組選択が可能な番組表のデータが生成可能になるので、受信機1の使い勝手が向上する。またユーザプロファイルに基づいて生成条件が設定される場合、視聴者は、生成条件を直接設定する必要がなく、自己の番組視聴の好みを直接示すユーザプロファイルだけを作成すれば良い。このように、番組視聴の好みを反映する番組表のデータ作成に先だって視聴者自身が事前に用意すべき資料が簡略化されているので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。
【0034】
受信機1のメモリ22は、ユーザプロファイルを1つだけでなく複数記憶していてもよい。ユーザプロファイルが複数記憶されている場合、再生制御装置28は、ユーザプロファイル毎に、ユーザプロファイル起因の生成条件を個別設定する。また受信機1のメモリ22は、1以上のユーザプロファイルと視聴者による直接設定の生成条件との両方を記憶していてもよい。このように複数通りの生成条件が存在する場合、再生制御装置28は、生成条件を用いるユーザ番組表のデータの生成を、生成条件毎に行う。このためには、図3のステップA3および図4のステップB3で説明したユーザ番組表のデータの生成処理を、生成条件毎に相互並行してまたは連続して行えばよい。
【0035】
ユーザ番組表の生成条件が複数ある場合、受信機1は、構成が相互に異なる複数のユーザ番組表を生成可能になる。特に、ユーザプロファイルが複数ある場合、反映されている番組視聴の好みが相互に異なる番組表のデータの作成が容易になる。たとえば、ユーザプロファイルが視聴者毎に設定されている場合、視聴者の好みに応じた効率的な番組選択が可能な番組表のデータが視聴者毎に生成されているので、視聴者は自己のユーザプロファイルに応じた番組表を利用することが可能になる。このように受信機1は、効率的な番組選択が可能な複数通りの番組表のデータの生成が可能なので、使い勝手がより向上する。
【0036】
提供源5の提供制御装置14は、好ましくは、自己が提供している放送局3の放送関連データ内の案内データに基づいてカスタム番組表のデータを生成し、かつ該カスタム番組表のデータを提供源5の通信装置13を用いる別系統通信によって提供している。カスタム番組表は、提供源5が提供可能な放送局3の放送関連データよりもデータ量の少ない番組表である。この場合再生制御装置28は、放送局3の放送関連データに代わってカスタム番組表のデータを受信機1の通信装置23を用いて入手し、入手されているカスタム番組表のデータに基づきチューナ24を制御する。これによって、放送局3の放送関連データに基づき再生制御装置28が番組表のデータを作成する手間が省かれるので、番組表のデータを迅速に視聴者に提示することができる。またこれによって、通信装置23を用いて提供源5から入手されるデータのデータ量が減少するので、データ入手に要する時間およびデータ入手にかかる費用が減少する。
【0037】
カスタム番組表は、たとえば、前述のユーザ番組表と等価な構成になっている。この場合提供制御装置14は、たとえば、各種の生成条件またはユーザプロファイルを自己の通信装置を用いて受信機1から入手し、入手された生成条件またはユーザプロファイルを用い、ユーザ番組表のデータの生成手順と同手順で、カスタム番組表のデータを生成する。生成条件およびユーザプロファイルは、受信機1からのカスタム番組表入手の要求時に入手されてもよく、該要求時に先だって入手されて提供源5のメモリ12に記憶されていてもよい。すなわち提供源5のメモリ12は、生成条件の記憶装置およびユーザプロファイルの記憶装置を兼ねる。以上のように、各種の生成条件またはユーザプロファイルを用いてカスタム番組表のデータが生成されるならば、データ量が少ないだけでなく視聴者の好みに応じた効率的な番組選択が可能なカスタム番組表が得られるので、該カスタム番組表のデータを入手した受信機1の使い勝手が向上する。
【0038】
また、ユーザプロファイルが複数有る場合およびユーザプロファイル起因の生成条件と直接設定された生成条件とがある場合であるような、複数の生成条件が用意されている場合、好ましくは、生成条件毎にカスタム番組表のデータが生成され、生成された複数のカスタム番組表のデータ全てが提供源5から受信機1に与えられる。これによって受信機1は、生成条件の異なる複数のユーザ番組表がある場合と同様に、効率的な番組選択が可能な複数通りの番組表のデータが使用可能になるので、使い勝手がより向上する。
【0039】
提供源5がカスタム番組表のデータを作成している場合、好ましくは、受信機1の再生制御装置28は、1以上のカスタム番組表のデータの入手と1以上のユーザ番組表のデータの作成との両方を行い、これら複数の番組表のうちのいずれか1つを選択して、選択された番組表をチューナ24の制御に用いる。図5は、再生制御装置28におけるユーザ番組表とカスタム番組表とを併用する構成の番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。図5の番組表提示処理のためには、図3および図4の番組表提示処理と同様に、図5の処理開始に先立ち、生成条件およびユーザプロファイルのうちの少なくとも一方が受信機1のメモリ22に記憶され、かつ該少なくとも一方が提供源5のメモリ12に記憶される。提供源5のメモリ12の記憶内容と受信機1のメモリ22の記憶内容とは、一致していてもよく異なっていても良い。視聴者への番組表の提示が必要になると、ステップC0からステップC1に進む。
【0040】
ステップC1において再生制御装置28は、図3のステップA1と同手順で、放送局3の放送関連データを提供源5から自動的に入手する。ステップC2において再生制御装置28は、図3のステップA2および図4のステップA3の少なくとも一方と同手順で、1以上のユーザ番組表のデータを作成する。各ユーザ番組表のデータは、視聴者によって直接設定された生成条件およびユーザプロファイル起因の生成条件のいずれか一方に基づいて、それぞれ生成されていればよい。ステップC3において再生制御装置28は、通信部を用いて提供源5との間で別系統通信を行い、該通信によって提供源5からカスタム番組表のデータを自動的に入手する。カスタム番組表のデータの入手と放送局3の放送関連データの入手とは、どちらが先に行われてもよい。
【0041】
ステップC4において再生制御装置28は、ステップC2で得られる1以上のユーザ番組表とステップC3で得られる1以上のカスタム番組表とのうち、いずれか1つの番組表の提示が指示されるのを待つ。いずれか1つの番組表の提示指示があれば、該指示に応答して、ステップC5において再生制御装置28は、図3のステップA3と同手順で、該いずれか1つの番組表を視聴者に提示する。番組表提示後、ステップC6で図5の処理は終了し、選択されている前記いずれか1つの番組表を用いる処理に移行する。
【0042】
以上説明したように、受信機1において、該受信機1内で生成されているユーザ番組表のデータと提供源5で生成されているカスタム番組表のデータとのうちのいずれか一方番組表のデータが、チューナ24の制御に用いられる。これによって受信機1自体に登録されている番組表のデータと提供源5に登録されているカスタム番組表のデータとが分隔て無く利用されるので、受信機1の操作の一意性が保たれ、かつ受信機1の視聴者の混乱を防ぐことが可能になる。
【0043】
図3および図4で説明した番組表提示処理において、好ましくは、再生制御装置28は、操作装置25に用意されている機能キー31に、ユーザ番組表の提示指示を割当てている。ステップA2,B2の番組表のデータの作成後、再生制御装置28は、ユーザ番組表の提示指示が割当られる機能キー31の押下を待ち、該機能キー31の押下に応答してステップA3,B3へ移行し、該ユーザ番組表を提示する。このように放送関連データの提供源5からの入手とユーザ番組表のデータ作成とを先行して行っておけば、機能キー31の押下時に即座にユーザ番組表を表示可能になるので、ユーザ番組表を用いる処理が迅速に可能になる。また上述したカスタム番組表のデータ入手時には、好ましくは、ユーザ番組表のデータ生成時と同様に、操作装置25の機能キー31に該カスタム番組表の提示指示が割当てられ、カスタム番組表のデータ入手後、該機能キー31の押下に応答して該カスタム番組表が提示される。これによって、ユーザ番組表の場合と同様に、カスタム番組表のデータの提供源5からの入手を先行して行っておけば、カスタム番組表を用いる処理が迅速に可能になる。
【0044】
また、ユーザ番組表の生成条件が複数有る場合、提供源5が複数通りのカスタム番組表のデータを生成する場合、1以上のユーザ番組表の生成と1以上のカスタム番組表の入手とが併用される場合、受信機は、視聴者に提示な複数の番組表のデータを得る。提示可能な番組表が複数ある場合、再生制御装置28は、番組表提示処理に際し、操作装置25の複数の機能キー31に提示可能な番組表の提示指示を個別に割当てている。たとえば、ユーザプロファイルが複数有る場合またはユーザプロファイル起因の生成条件と直接設定された生成条件とがある場合等、ユーザ番組表の生成条件が複数有る場合には、図6に示すように、各生成条件を用いてそれぞれ生成されているユーザ番組表の提示指示が機能キー31に個別に割当てられている。またたとえば、ユーザ番組表のデータ作成とカスタム番組表のデータ入手とが併用される場合、図7に示すように、ユーザ番組表の提示指示とカスタム番組表の提示指示とが機能キー31に個別に割当てられている。
【0045】
提示可能な番組表の提示指示が機能キー31に個別に割当てている場合、作成または入手によって提示可能な番組表のデータが得られた後、再生制御装置28は、提示可能な番組表の提示指示が割当られる機能キー31の押下を待ち、いずれか1つの該機能キー31の押下に応答して、該機能キー31に割当てられている番組表を提示する。この結果、提示可能な番組表が複数有る場合でも、番組表の選択および番組表提示の指示が、ワンタッチで可能になる。このように、提示可能な番組表の提示指示が機能キー31に直接割当てられている場合のほうが、該番組表の提示指示に階層メニュー等を用いる場合よりも、指示が容易になるので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。
【0046】
提供源5のメモリ12に記憶されているユーザプロファイルに起因する生成条件に基づきカスタム番組表のデータが生成されている場合、好ましくは、該ユーザプロファイルは、受信機1における番組再生の履歴の特徴に応じて補正更新される。図8は、提供源5のメモリ12内のユーザプロファイルの補正更新処理を説明するためのフローチャートである。
【0047】
受信機1では、ステップD1に記すように、稼働中に、受信機1における番組再生の履歴が、番組履歴記憶装置に随時蓄積記憶されている。番組再生の履歴は、たとえば、受信機1への操作履歴、またはチューナ24による番組の内容データの復調抽出の履歴である。図2では、受信機1のメモリ22が番組履歴記憶装置を兼ねている。受信機1の再生制御装置28は、ステップD2に記すように、番組再生の履歴の特徴が得られるように該履歴を集計し、該履歴の集計結果を通信装置23を用いて提供源5に対して送信する。番組再生の履歴の送信は、周期的に行われてもよく、または他の理由に基づき受信機1から提供源5への通信が行われる際に共に行われてもよい。前者であれば、ユーザプロファイルが最新の視聴者の番組視聴の好みを常に反映することができ、後者であれば通信の負荷の増加が抑えられる。
【0048】
番組再生の履歴の集計結果が与えられると、ステップD3において、提供源5の提供制御装置14が、番組再生の履歴の集計結果を分析して、視聴者の番組視聴の好みの変化を分析結果として得る。たとえば分析時には、良く視聴する番組のジャンルの変化が判定される。集計結果の分析完了後、ステップD4において、提供制御装置14は、提供源5のメモリ12に記憶されていてかつ番組再生の履歴の集計結果の送信元の受信機1に対応付けられているユーザプロファイルを、分析結果に基づき補正更新する。補正更新時には、既存のユーザプロファイルと分析結果とに基づき該ユーザプロファイル自体を書換えてメモリ12に再登録しても良く、分析結果に基づき付加情報を生成して該付加情報を既存のユーザプロファイルに関連付けつつメモリ12に新たに登録してもよい。たとえば、視聴者の番組視聴の好みの変化が大きければ、ユーザプロファイル自体が新規作成されて登録され、該変化が小さければ、付加情報が新規に登録される。また受信機1が移動可能である場合、視聴者の番組視聴の好みの変化が受信機1の移動に起因するものであれば、付加情報が新規登録される。補正更新完了後、ステップD5で図8の処理が終了する。
【0049】
図8の処理の結果、視聴者の番組視聴の最新の好みが提供源5のメモリ12内のユーザプロファイルに常に反映されるので、視聴者の番組視聴の好みが時間経過に伴って変化する場合であっても、該ユーザプロファイルを視聴者自身が再設定する必要が無い。これによって、提供源5のメモリ12内のユーザプロファイルの視聴者による再設定の手間を省くことが可能になるので、受信機1の使い勝手が向上する。
【0050】
受信機1の再生制御装置28は、好ましくは、提供源5からのデータ入手に先だって、放送関連データを入手すべき放送局3を指定するための放送局指定条件を、通信装置23を用いて提供源5に対して与える。この場合、提供源5は、自己が提供可能な放送局3の放送関連データ内の、放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データだけを、別系統通信を用いて受信機1に提供する。この結果、受信機1と提供源5との間で授受されるデータが、受信機1が設定する放送局指定条件に基づいて制限されるので、受信機1にとって不要なデータの授受が省略可能になるため、受信機1と提供源5との間で授受されるデータのデータ量が減少する。これによって、受信機1と提供源5との間の別系統通信にかかる時間が短くなり、かつ該別系統通信にかかる費用が減少する。
【0051】
放送局指定条件の1つは、受信機1のチューナ24が受信可能な放送局3、すなわち受信機1のチューナ24が放送波から内容データを復調抽出可能な番組を放送する放送局3を指定している。このような放送局3は、たとえば、受信機1が対応している放送の種類、受信機1のアンテナ34の向き、および受信機1における放送受信の契約状態等にそれぞれ応じ定まるので、受信機毎に異なる。放送局指定条件の他の1つは、受信機1のチューナ24の位置である。この場合、受信機1の位置は、該位置で受信不能な放送局3を除く条件として用いられる。たとえば、受信機1の位置をサービスエリア内に含まない放送局3以外の残余の放送局3だけが、放送局指定条件によって指定されていると見なされる。
【0052】
放送局指定条件は、放送関連データの要求と同時に受信機1から提供源5に与えられても良く、該要求に先立って受信機1から提供源5に与えられて提供源5のメモリ12に登録されており、かつ放送関連データ要求時に該メモリ12から読出されても良い。たとえば、受信可能な放送局3を直接指定している放送局指定条件が提供源5に予め登録されており、また受信機1が固定されている場合には、受信機の位置も提供源5に予め登録される。受信機1の位置は、放送関連データの要求と同時に提供源5に与えられるのが好ましい。放送局指定条件が受信機単位に設定されている場合、提供源5は自己が提供する放送関連データを入手可能な複数の受信機1の放送局指定条件を、メモリ12に登録している。
【0053】
受信機1が移動可能であれば、受信機の現在位置は時間経過に伴い変化する可能性がある。放送局指定条件の1つがチューナ24の現在位置である場合、好ましくは、再生制御装置28は、データ入手の直前に、現在位置のデータを、受信機1の通信装置23を用いて提供源5に与える。提供源5は、受信機1から与えられている現在位置で受信不能な放送局3の放送関連データ以外の残余のデータだけを提供する。このようにデータ授受を省略すべきデータがチューナ24の現在位置に基づいて選択される場合、提供すべきデータを全放送局3の放送関連データ内から的確に取捨選択することができる。また現在位置がデータ入手の直前に提供源5に通知されているので、受信機1が移動可能な構成であっても、提供すべきデータを的確に取捨選択することができる。
【0054】
図9は、放送局指定条件を用いる番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。ステップE1において受信機1の再生制御装置28は、提供源5からのデータ入手に先立ち、受信機1の通信装置23を用いる別系統通信によって、自己の放送局指定条件を提供源5に対して与え、かつ該放送局指定条件の登録を該提供源5に要求する。受信機1からの登録要求に応答し、ステップE2において提供源5の提供制御装置14は、受信機1から与えられた放送局指定条件を提供源5のメモリ12に登録する。
【0055】
番組表を提示すべき状況が生じたならば、ステップE3において再生制御装置28は、自己の放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データの提供を、前記別系統通信によって提供源5に要求する。好ましくは、放送関連データの提供要求とともに、受信機1の現在位置等の放送局指定条件が、提供源5に通知される。受信機1からの提供要求に応答し、提供制御装置14は、ステップE4において、該要求元の受信機1の放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データを自己が提供可能な放送局3の放送関連データから選択し、該選択されている放送関連データをステップE5で別系統通信によって受信機1に提供する。放送関連データ選択に用いられる放送局指定条件は、提供源5に登録済の放送局指定条件と提供要求と共に与えられる放送局指定条件との少なくとも一方条件であればよい。
【0056】
再生制御装置28は、ステップE5で提供されている放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データを、ステップE6において、受信機1の通信装置23を用いる別系統通信によって提供源5から入手する。再生制御装置28は、ステップE7において、入手されている放送局3の放送関連データに基づいて番組表のデータを生成する。ステップE7で生成される番組表は、標準の番組表でもよく上記のユーザ番組表でもよい。番組表のデータ作成後、図3のステップA4と同手順で該番組表が視聴者に提示される。番組表提示後、図9の処理は終了し、以後番組表を用いる処理に移行する。
【0057】
図9の番組表提示処理では、放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データに基づき、受信機1が番組表のデータを生成している。図9の番組表提示処理では、放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データを提供する代わりに、該放送関連データに基づいて提供源5がカスタム番組表のデータを作成し、該カスタム番組表のデータを受信機1に提供してもよい。この場合受信機1は、提供源5から入手したカスタム番組表のデータをそのまま再生装置26に与えて該カスタム番組表を提示させる。これによって、授受されるデータ量が削減されるだけでなく、受信機1の再生制御装置28が番組表のデータを作成する手間が省かれるので、番組表のさらなる迅速な提示が可能になる。
【0058】
受信機1の再生制御装置28は、また好ましくは、提供源5からのデータ入手に先だって、復調抽出すべき番組の検索のための番組検索条件を、受信機1の通信装置23を用いる別系統通信によって提供源5に与える。この場合提供源5の提供制御装置14は、自己が提供可能な放送局3の放送関連データから番組検索条件に適合する番組の案内データを検索し、検索された該案内データを別系統通信によって受信機1に提供する。再生制御装置28は、番組検索条件に適合する番組の案内データを前記別系統通信によって提供源5から入手する。かつ再生制御装置28は、入手されている番組の案内データに基づき、該番組の内容データが復調抽出されるように、チューナ24を制御する。このように内容データを復調抽出すべき番組の案内データが、受信機1ではなく提供源5において、提供源5から提供可能な放送局3の放送関連データ内から検索されるので、再生制御装置28の負荷が軽減される。番組検索条件は、チャネルと放送日時との組合わせデータ等、番組を直接指定するデータでもよく、曲名および役者名等、番組を検索するためのキーワードでもよい。
【0059】
番組検索条件に適合する番組の案内データに基づくチューナ24の制御を行う処理としては、放送中の番組の案内データに基づき該番組をすぐに自動的に再生させる即時再生処理と、放送前の番組の案内データに基づいて再生を予約し、かつ該予約された番組の放送が開始されたならば該番組を自動的に再生させる予約再生処理とが挙げられる。予約再生処理のために、受信機は、視聴が予約されている番組の放送開始日時と放送チャネルとを指定している予約データを記憶するための予約データ記憶装置をさらに含む。図2の受信機1では、メモリ22が予約データ記憶装置を兼ねている。また番組検索条件は、好ましくは、前述の放送局指定条件とともに用いられる。
【0060】
番組検索条件を用いる番組の自動再生処理時において、好ましくは、再生制御装置28は、案内データ入手の直前に、チューナ24の現在位置を別系統通信によって提供源5に通知する。この場合提供源5は、通知されているチューナ24の現在位置に基づき、全放送局3のうちの該現在位置で番組の内容データの復調抽出が可能な放送局3の放送関連データ内の前記番組検索条件に適合する番組の案内データを検索して別系統通信を用いて提供する。これによって、サービスエリアの狭い放送局3の放送に対しても、番組の特定が可能になる。後述する図10の例では、現在位置は、放送局指定条件の1つを兼ねており、番組検索データと共に提供源5に与えられている。
【0061】
提供源5からの番組の案内データの入手後、該番組が放送中であれば、即時再生処理として、該案内データに基づき該番組の内容データの復調抽出が即座に自動的に開始される。前記番組が未放送であれば、予約再生処理として、該番組の放送開始日時と放送チャネルとを指定する予約データが作成され、かつ該放送開始日時が現在日時と一致した後に、該番組の内容データの復調抽出が開始される。このように、提供源5から提供される番組の案内データに基づき該番組の内容データが自動的に復調抽出される場合、番組検索条件送信後、視聴者による操作が無くても番組の内容データが復調抽出されるので、受信機1の使い勝手が良くなる。
【0062】
図10は、放送局指定条件と番組検索条件との両方を用いる番組の第1の自動再生処理を説明するためのフローチャートである。ステップF1,F2において受信機1と提供源5との間では、図9のステップE1,E2と同手順で、受信機1の放送局指定条件が提供源5のメモリ12に登録される。番組を自動再生すべき状況が生じたならば、ステップFにおいて受信機1の再生制御装置28は、番組検索条件を別系統通信によって提供源5に与え、かつ該番組検索条件と自己の放送局指定条件とに適合した番組の案内データの提供を該別系統通信によって提供源5に要求する。好ましくは、放送関連データの提供要求とともに、受信機1の現在位置等の放送局指定条件が、提供源5に通知される。
【0063】
受信機1からの提供要求に応答し、提供源5の提供制御装置14は、ステップF4において、該提供要求元の受信機1の放送局指定条件に適合する放送局3の放送関連データを、提供源5が提供可能な放送局3の放送関連データから図9のステップE4と同手順で選択し、選択されている放送関連の放送関連データのうちから番組検索条件に適合する番組の案内データを検索する。検索されている番組の案内データは、ステップF5において、別系統通信によって受信機1に提供する。ステップE6において受信機1の再生制御装置28は、自己の放送局指定条件および番組検索条件に適合する番組の案内データを、別系統通信によって提供源5から入手する。
【0064】
ステップF7において再生制御装置28は、提供源5から案内データが与えられている番組が2以上あるか否かを判断する。2以上の番組の案内データが提供源5から入手されている場合、ステップF8において再生制御装置28は、該2以上の番組の案内データに基づき番組表のデータを作成し、該番組表のデータを再生装置26に与えて視聴者に提示させる。番組表提示後、再生制御装置28は、標準の番組表表示時と同様に視聴者からの指示を待ち、番組表に記載されるいずれかの番組を指定する指示がなされたならば、該指示に応答して該いずれかの番組のデータを再生対象として選択する。提供源5から単一の番組の案内データだけが入手されている場合、該番組のデータが再生対象として選択され、ステップF8,9の処理が飛ばされる。このように、2以上の番組の自動再生および再生予約を、該案内データに基づく番組表を用いて選択的に行うことが可能になるので、受信機1の使い勝手がさらに良くなる。
【0065】
再生対象の番組の案内データの選択後、ステップF10において再生制御装置28は、該案内データに基づいて該番組が現在放送中であるか否かを判断する。たとえば、再生対象の番組の案内データ内の番組放送開始日時が現在日時以前であれば、該番組が放送中であると判断される。再生制御装置28は、再生対象の番組が放送中であれば、ステップF11において該番組の案内データに基づく番組の自動再生処理を開始させ、再生対象の番組が放送前であれば、ステップF12において該番組の案内データに基づく番組の予約再生処理を開始させる。ステップF11,F12の処理後、ステップF13で図10の処理が終了する。以上の処理によって、放送局指定条件に適合する放送局3が放送中または放送予定の全番組のうち、番組検索条件に適合する番組が自動的に再生される。
【0066】
図10の例では、ステップF8において番組検索条件に適合する番組の案内データに基づく番組表が提示された後、該番組表を用いて番組の自動受信処理が行われている。これに限らず、ステップF8の番組表提示後、該番組表を前述した標準の番組表、ユーザ番組表、およびカスタム番組表の代わりに用いて、これら3種の番組表のうちの少なくとも1つを用いる処理と等価な処理を行ってもよい。またステップF8における番組表作成時には、標準の作成条件に従っても良く、ユーザ番組表の生成条件に従ってもよい。
【0067】
図11は、放送局指定条件と番組検索条件との両方を用いる番組の第2の自動再生処理を説明するためのフローチャートである。ステップG1,G2において受信機1と提供源5との間では、図10のステップF1,F2と同手順で、受信機1の放送局指定条件が提供源5のメモリ12に登録される。番組を自動再生すべき状況が生じたならば、ステップG3において受信機1の再生制御装置28は、ステップE3と同手順で、番組検索条件の提供源5への送付と、該番組検索条件と自己の放送局指定条件とに適合した番組の案内データの提供要求とを行う。さらに提供要求時に、再生制御装置28は、番組検索条件に基づく曖昧検索を、提供源5に対して許可する。
【0068】
受信機1からの提供要求に応答し、提供源5の提供制御装置14は、ステップG4において、図10のステップF4と同手順で、放送局指定条件および番組検索条件に適合する番組の案内データを検索する。ステップG5において提供制御装置14は、放送局指定条件および番組検索条件に適合する番組の案内データが検索されたか否かを判断する。1以上の番組の案内データが検索されていれば、ステップG6,G7において、図10のステップF5,F6と同手順で、該番組の案内データが提供源5から提供されて受信機1に入手される。
【0069】
放送局指定条件および番組検索条件に適合する番組の案内データが1つも検索されていない場合、提供制御装置14は、ステップG8において、曖昧検索を行う。すなわち、番組検索条件が拡張され、かつ、放送局指定条件に適合した放送局3の放送関連データの中から拡張された番組検索条件に適合する番組の案内データが検索される。受信機1から送付されている番組検索条件がキーワードである場合、拡張後の番組検索条件は、たとえば、元の該キーワードに他のキーワードを加えた新規キーワードであってもよく、該元のキーワードに関連するキーワード単体であってもよい。前記他のキーワードおよび前記関連するキーワードは、少なくとも1つの番組の案内データが検索されるように、提供制御装置14が決定する。曖昧検索によって番組の案内データが検索されれば、ステップG9,G10において、図10のステップF5,F6と同手順で、放送局指定条件および拡張後の番組検索条件に適合する番組の案内データが、提供源5から提供されて受信機1に入手される。
【0070】
ステップG11において再生制御装置28は、提供源5から案内データが与えられている番組が2以上あるか否かを判断する。提供源5から2以上の番組の案内データが入手されている場合、ステップG12において再生制御装置28は、ステップF8と同手順で、該2以上の番組の案内データに基づき番組表のデータを作成して提示させる。番組表提示後、ステップG13において番組表を用いる処理に移行する。番組表を用いる処理は、前述した標準の番組表、ユーザ番組表および、カスタム番組表のうちのいずれかを用いる処理と等しくてもよく、図10のステップF8〜F12で説明した自動受信処理でもよい。提供源5から単一の番組の案内データだけが入手されている場合、ステップG14において再生制御装置28は、ステップF11と同手順で、該番組の案内データに基づく該番組の自動受信処理を行い、ステップG15で図11の処理が終了する。
【0071】
以上説明したように、提供源5において、番組検索条件に適合する番組の案内データが検索されない場合、拡張された該番組検索条件に適合する番組の案内データが放送関連データ内から検索される。これによって、番組検索条件に基づく検索時に案内データが全く検索されないという事態が防がれるので、受信機1において、番組の案内データに基づく再生制御装置28の動作に関する選択の余地を残すことができる。
【0072】
図9〜図11の例では、チューナ24の設定および視聴契約に係る一部の放送局指定条件が、提供源5からのデータ入手に先立ち、提供源5に登録されている。受信機が移動しない場合、受信機の現在位置も、提供源5に登録されていてもよい。この場合、データ要求時の受信機の通信負荷が軽減する。受信機が移動体等に搭載されていて移動可能な場合、一部の放送局指定条件が提供源5に登録されているならば、好ましくは、データ要求時に、チューナ24の現在位置等である他の放送局指定条件が送付される。受信機1が移動可能な場合、これに限らず、受信機1における放送波受信開始後、全ての放送局指定条件がまとめて、提供源5に周期的に送付されて登録されてもよい。このようにチューナ24の現在位置が周期的またはデータ要求時に提供源5に通知される場合、チューナ24の移動に伴う放送波の受信環境の変化を提供源5における放送関連データの選択結果および案内データの検索結果に反映させることができるので、提供源5が提供すべきデータがより的確に選ばれる。
【0073】
受信機1が移動体に搭載されて移動可能である場合、移動体の現在位置の検知装置を含むナビゲーション装置等が移動体に備えられていれば、該現在位置検知装置によって検知される移動体の現在位置を受信機1の再生制御装置28が取得し、取得した現在位置をチューナ24の現在位置として用いる。また受信機1自体が自己の現在位置の検知装置を備えていても良い。現在位置検知装置としては、GPS(Grobal Positioning System)の受信機、および推測航法による位置検知装置が挙げられる。
【0074】
また、放送局3のサービスエリアを少なくとも示す該放送局3の定義データが放送波のベースバンド信号に含まれる場合、再生制御装置28は、サービスエリアの狭い放送局3の定義データを放送波から復調抽出するようにチューナ24を制御し、定義データが復調抽出されている放送波のサービスエリア内の位置を該チューナ24の現在位置として推定する。サービスエリアの狭い放送局3としては、たとえばローカル局が用いられる。再生制御装置28は、具体的には、現在位置でアンテナ34が受信している全帯域の放送波からローカル局の番組の内容データまたは該ローカル局の定義データをチューナ24に復調抽出させる。いずれかのローカル局の定義データまたは該ローカル局の番組の内容データが復調抽出されたならば、該ローカル局の定義データに基づき該ローカル局のサービスエリアを判断して、該サービスエリア内の位置が現在位置であると推定する。
【0075】
このようにサービスエリアの狭い放送局3の番組の受信状況によって現在位置を推定する場合、現在位置の検知装置が無くてもチューナ24の現在位置を検知可能なので、受信機1の大型化が防がれ、かつ該受信機1の製造コストの増加が抑えられる。また上記の場合、放送局指定条件として現在位置を用いる代わりに、現在位置推定時に実際に番組の内容データが受信されている放送局3を指定する情報を用いても良い。これによって確実に番組を再生可能な放送局3の指定が容易になる。
【0076】
図12は、受信機1の再生制御装置28において、図9〜図11の処理中のチューナ24の現在位置の取得処理を説明するためのフローチャートである。チューナ24の現在位置を提供源5に通知する必要が生じると、ステップH0からステップH1に進む。ステップH1において再生制御装置28は、ナビゲーション装置内または受信機1内の現在位置検知装置から再生制御装置28への現在位置の通知が可能か否かを判断する。受信機1を含むシステムが現在位置検知装置を備えていれば、ステップH2において再生制御装置28は、該現在位置検知装置から現在位置のデータを取得する。受信機1を含むシステムに現在位置検知装置が無ければ、ステップH3において再生制御装置28は、サービスエリアの狭い放送を受信して、受信結果に基づき現在位置を推定する。ステップH2,H3の処理後、ステップH4で図12の処理が終了する。このように、現在位置検知装置の有無に応じて再生制御装置28が現在位置の取得方法を自動的に代えているので、図12の受信機1は、所定位置に据置かれる場合および移動体に搭載される場合のどちらでも、現在位置に基づく処理を的確に行うことができる。
【0077】
図13は、受信機1の再生制御装置28における番組の即時再生処理を説明するためのフローチャートである。即時再生処理のステップに移行すると、ステップK0かステップK1に進む。ステップK1において再生制御装置28は、自動再生すべき番組の案内データに基づき、該番組の放送チャネルを選局させ、かつ選局されたチャネルの番組の内容データの復調抽出を開始させる。これによって、自動再生すべき番組の内容データが放送波から復調抽出されて再生装置26に与えられて、番組が再生される。ステップK2において再生制御装置28は、自動再生中である旨の提示のために、現在実行中の自動再生の根拠となっている案内データの内容を、再生装置26を用いて視聴者に提示する。たとえば図14に示すように、「現在の受信情報(自動受信)」のような自動再生中である旨を示す規定のメッセージ文と、現在再生中の番組の放送日時および表題が、再生装置26が再生中の番組の画像に重ねてまたは番組の画像と入換わりに表示される。この結果、視聴者の好みと異なる番組の案内データが検索提供されている場合、または番組検索条件に基づく検索の結果が正しくとも視聴者が誤認識をしている場合、これらを視聴者に知らせることができるので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。
【0078】
ステップK3において再生制御装置28は、視聴者からの番組の自動再生中断の指示を待つ。自動再生中断の指示前に自動再生中の番組が終了した場合、そのままステップK5で図13の処理が終了する。視聴者は、番組の再生中断を指示する場合、該中断指示のための所定操作を操作装置25に対して行う。前記所定操作に応答し、ステップK4で再生制御装置28は、チューナ24における案内データに基づく番組の内容データの復調抽出を中断させる。中断後、ステップK5で図13の処理が終了する。この結果、データの復調抽出中の番組が視聴者の好みのものではない場合、該番組の内容データの復調抽出を即座に取消すことが可能になるので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。番組の自動再生の中止の指示は、好ましくは、図14に示すように操作装置25の機能キー31に割当てられており、該機能キー31の押下が該自動再生の中止指示のための所定操作と見なされる。この結果、各種番組表の提示指示が機能キー31に割当てられている場合と同様に、自動再生の中止指示がワンタッチで可能になるので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。
【0079】
図13の処理終了後、再生制御装置28は、たとえば、チューナ24および再生装置26の動作状態を、図13の処理開始直前の状態に戻す。また自動受信すべき番組の案内データが2以上ある場合、再生制御装置28は、自動受信すべき全番組に優先順位を設定し、優先順位が最大の番組から順次、図13の自動受信処理を行う。或る番組に関する図13の処理の終了後、優先順位が該或る番組の次である他の番組に関する図13の処理を開始する。これによって即時再生処理終了後も視聴者の操作を必要としないので、受信機1の使い勝手が向上する。
【0080】
図15は、受信機1の再生制御装置28における番組の予約再生処理を説明するためのフローチャートである。予約再生処理のステップに移行すると、ステップL0からステップL1に進む。ステップL1において再生制御装置28は、番組の案内データに基づき該番組の予約データを作成して、予約データ記憶装置に記憶させる。番組の予約データは、該番組の放送開始日時と該番組の放送チャネルとを少なくとも指定している。ステップL2において再生制御装置28は、予約データが有る旨を再生装置26を用いて視聴者に提示する。これによって、視聴者が予約データの有無を確認することが容易になるので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。
【0081】
ステップL3において再生制御装置28は、該予約データが指定している予約中の番組の放送開始日時と現在日時とを比較する。現在日時が予約中の番組の放送開始日時以前であれば、ステップL4において再生制御装置28は、予約内容の表示指示のための所定操作の有無を判断する。予約内容の表示指示のための所定操作がなされている場合、ステップL5において再生制御装置28は、予約データの内容を再生装置26を用いて視聴者に提示する。これによって、予約されている番組が好みのものであるかどうかを視聴者が容易に確認可能なので、受信機1の使い勝手がさらに向上する。
【0082】
予約データの内容提示後、ステップL6において再生制御装置28は、提示中の予約データに基づく予約再生の中断指示所定操作の有無を判断する。予約再生の中断指示のための所定操作がなされている場合、ステップL7において再生制御装置28は、該予約再生のための予約データを消去する。データ消去後、ステップL7からステップL3に戻るステップL3〜L7の処理は、再生制御装置28における予約再生以外の他の処理と並行して、周期的に行われる。
【0083】
ステップL3において予約再生すべき番組の放送開始日時が現在日時と一致したならば、再生制御装置28は、ステップL8において、予約データが指定する放送チャネルの番組の内容データを復調抽出するように、チューナ24を制御する。復調抽出された番組の内容データは、再生装置26に自動的に与えられ、該番組が再生される。以上の処理によって、放送局指定条件に適合する放送局3が放送中または放送予定の全番組のうち、番組検索条件に適合する番組が自動的に再生される。
【0084】
好ましくは、予約データの内容開示の指示および予約再生の中断指示は、図16に示すように、操作装置25内の機能キー31にそれぞれ割当てられている。これによって予約データの内容開示および予約再生中断をそれぞれワンタッチで指示することができるので、受信機1の操作性が向上する。また好ましくは、予約データがあり、開示指示が可能な場合だけ該機能キー31に予約データの内容開示の指示が割当てられ、かつ該予約データの内容開示の指示が割当てられた場合だけ、該機能キー31の割当て内容を示す提示として予約データが有る旨が提示される。これによって、受信機1の操作性がさらに向上する。このような機能キー31への指示の割当て手順は、予約データの内容開示に限らず、予約キャンセル、即時受信キャンセル、番組表選択、および番組表の提示において用いられてもよい。
【0085】
本実施の形態の受信機1は本発明の受信機の例示であり、主要な構成および動作が等しければ、他の様々な形で実現することができる。特に受信機1の各構成部品の詳細な構成および動作は、同じ効果が得られるならば、上述の構成および動作に限らず他の構成および動作によって実現されてもよい。図1および図2の受信機1は、無線伝送された放送波をチューナが受信して処理する構成になっているが、これに限らず、有線伝送された放送局をチューナが処理する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の一形態であるデジタル放送受信機を含む多チャネルデジタル放送の放送システムの模式図である。
【図2】図1の放送システム内のデジタル放送受信機の構成を示すブロック図である。
【図3】図2のデジタル放送受信機における番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2のデジタル放送受信機における番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2のデジタル放送受信機における番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図2のデジタル放送受信機における、2種類のユーザ番組表の機能キーへの割当て状態を示す図である。
【図7】図2のデジタル放送受信機における、2種類のユーザ番組表とカスタム番組表との機能キーへの割当て状態を示す図である。
【図8】図1の放送システム内の提供源においてカスタム番組表作成に用いるユーザプロファイルの補正更新処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図2のデジタル放送受信機における番組表提示処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】図2のデジタル放送受信機における番組の自動再生処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図2のデジタル放送受信機における番組の自動再生処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】図2のデジタル放送受信機におけるチューナの現在位置の取得処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】図2のデジタル放送受信機における番組の即時再生処理を詳細に説明するためのフローチャートである。
【図14】図2のデジタル放送受信機における番組の即時自動再生の提示状態を示す図である。
【図15】図2のデジタル放送受信機における番組の予約再生処理を詳細に説明するためのフローチャートである。
【図16】図2のデジタル放送受信機における番組の予約再生の提示状態を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1 デジタル放送受信機(受信機)
2 放送システム
3 放送局
5 提供源
22 メモリ
23 通信装置
24 チューナ
25 操作装置
26 再生装置
28 再生制御装置
31 機能キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波からデジタル放送を受信するチューナと、
前記放送波とは別に、前記デジタル放送の番組の案内データを取得する取得手段と、
前記番組の案内データ、およびユーザが設定した条件に基づき、番組表のデータを作成する番組表作成手段と、
前記作成された番組表のデータから番組の受信予約が可能な制御手段とを備えることを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記番組の案内データ、およびユーザが設定した条件に基づく番組表のデータを含む複数の番組表のデータを有し、選択された番組表のデータから番組の受信予約が可能であることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信機。
【請求項3】
前記ユーザが設定した条件は、復調履歴であることを特徴とする請求項1または2記載のデジタル放送受信機。
【請求項4】
前記番組の受信予約がある場合は、番組予約があることを通知する通知手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のデジタル放送受信機。
【請求項5】
前記番組の受信予約をキャンセルするキャンセル手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のデジタル放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−259489(P2007−259489A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−144151(P2007−144151)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【分割の表示】特願2000−125565(P2000−125565)の分割
【原出願日】平成12年4月26日(2000.4.26)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】