デジタル画像化した標識の印刷方法及び装置
デジタル画像の印刷標識の種々の方法及び流体送出システムについて説明する。印刷媒体に着色材料を塗布する1つの方法には、着色材料によりケーブルの外部の表面の少なくとも一部分を塗装するために流体送出システム使用する工程と、次に印刷媒体の近傍でケーブルの塗装部分を配置する工程が必要である。空気流を、着色材料をケーブルの外部表面から除去して印刷媒体に付着するように、着色材料で塗装したケーブルの一部分に向けて方向付けする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2006年2月3日に出願された米国の暫定的な特許出願番号No.60/743,225から優先権を受け継いでいる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は様々な種類の標識系及び様々な種類の標識系の印刷方法に関する。
【背景技術】
【0003】
標示は一般に道路に沿って使用され自動車両の運転者及び歩行者に情報を表示している。標識、高速道路の標識の1種には、通常、文字を印刷又は配置している反射性シート又は再帰反射性シートが含まれる。文字は自動車両の運転者又は歩行者にとって重要な情報を提供し、再帰性反射シートは夜間に鮮明に表示することができる。再帰性反射シートは、光が発生した方向に相当量の入射光を戻すことができる。自動車の前照灯からの光を標識で再帰反射し、情報が通過する自動車運転者及び歩行者により容易に判読されることができる。
【0004】
高速道路の標識を含む多くの種類の標識は、大型の文字を収めるためにサイズがかなり大きくなる傾向がある。文字は、通常、文字をスクリーン印刷又は切り抜き(カットアウト)手法を用いて適用する。スクリーン印刷では、陽性又は陰性の文字画像を最初にスクリーンに施す。多くの場合、この処理については感光性のスクリーンの非遮蔽部分を光に曝し、感光していない遮蔽領域を擦ることによって除去することによって行われる。その後、インクを感光性材料を除去したスクリーンの開口部を通過させ、再帰反射性シートに強制的に押し出す。スクリーン印刷は、「停止」及び「譲れ」標識などのより日常的な道路標識を作製するための選択方法である。しかしながら、スクリーン印刷の注文製作の、又は固有の標識(例えば、高速道路及び道路標識)は、個々の標識に対して個別のスクリーンの製作が必要になるので、高価で効率が悪い。
【0005】
注文製作の、又は独特の標識を必要とする場合、切り抜き文字法を頻繁に使用する。切り抜き文字法では、米国ミネソタ州セントポールの3M社が製造している登録商標スコッチカル(Scotchcal)及び電子カット(ElectroCut)グラフィックフィルム(Graphic Films)のような在庫材料から各文字を打ち抜き、又は文字を電子的に切り抜くことによって製作する。通常、切り抜き文字は接着剤を使用して下側にある再帰反射性シートに固着する。スクリーン印刷と切り抜き文字法によって、高速道路標識に文字を配置する好適な方法が提供されるが、これらの方法は処理時間がかかり工程も多少面倒になる傾向にある。
【0006】
感熱方式の印刷は、基板に文字を形成するために、広く普及し商業的に成功した技術になっている。また、熱転写印刷、非インパクト式印刷、感熱グラフィック印刷、及びサーモグラフィーと呼ばれる、感熱方式の印刷とは、熱を利用して担体から感熱印刷受容基板に着色剤を転写する処理のことである。感熱方式の印刷はスクリーン印刷又は切り抜き文字法の使用と比較してより高速であり、より面倒が少なくなり比較的簡単に実施できる。
【0007】
感熱方式の印刷は、反射性若しくは再帰反射性シートに情報を印刷する高速手段を提供するが、この印刷方法にも欠点がある。おそらく最大の欠点はリボンの費用であり、リボンは技術的には予備乾燥したインクであり、薄いポリエステル担体と一緒に付いて来る。リボンは、全体の標識領域に等しい領域で比較的高い比率で使用されるが、標識の説明文字部分に等しい領域で使用されるだけはない。リボンのポリエステル担体部分の全てが無駄になり、標識に転写されなかったインクも全て無駄になる。
【0008】
別の欠点としては、既知の感熱印刷装置が大型のシートを処理できないことである。現在、既知の感熱方式の印刷装置では、一般的に90センチメートルより広い幅のシートの印刷が不可能である。従って、90センチメートルより広い標識が所望の場合、別個のシートを感熱方式で印刷して、次にこれらのシートを結合して完全な標識を作製する。
【0009】
既知の感熱方式の印刷システムに関する別の欠点には、幅広のリボンに皺が寄る傾向があり、その結果、着色剤の転写が不均一になりグラフィック解像度が低品質になる。さらに、既知のシステムでは、非常に効率的な方法でリボンを使用しない。プリンタが印刷する基板の幅より狭い幅を有する領域で感熱方式の印刷を行うと、印刷される画像の幅に相当するリボンの部分だけを使用するという結果になる。リボンの未使用の部分は、使用済み部分と共に廃棄され、無駄となる。付加的に、熱転写印刷は、好ましくはトップコートの使用が必要であり、得られる物品の費用が増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
さらに、殆どの屋外使用には非常に耐久性のあるインクの使用が要求されるので、屋外使用のデジタル印刷標識は困難であった。非常に耐久性のあるインクの殆どは高粘度である。従来のデジタル印刷システムでは、高耐久性及び高粘度のインクで、能率的に効果的に印刷することはできていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、標識及びナンバープレートを含む様々な種類の標識系の印刷方法に関する。本方法は、従来の標識の印刷方法より能率的であり、より費用効率が高い。また、本出願は、これらの方法を使用して印刷する様々な種類の標識系、及び、これらの種類の標識系を印刷する様々な種類の装置に関する。
【0012】
本願のいくつかの実施形態は、着色材料を細長い構造体の少なくとも一部分に塗布する工程と、基板の近傍に細長い構造体を位置決めする工程と、 前記着色材料を塗布した前記細長い構造体の一部分における流体の流れを少なくとも着色材料の一部分が前記基板に付着して標識系を形成するように方向付ける工程と、を含む画像を形成する方法に関する。本願の他の実施形態は、これらの方法で作製した標識系に関連する。
【0013】
本願の他の実施形態は、着色材料により線状部材の少なくとも一部分を塗装する工程と、前記線状部材を基板の近傍で位置決めする工程と、 前記線状部材の塗装部分における流体の流れを前記着色材料の少なくとも一部分が前記線状構造体から取り除かれ、前記基板に付着して基板にパターンを形成するように方向付ける工程と、を含む標識系に画像をデジタル印刷する方法に関する。本願の他の実施形態は、これらの方法で作られた標識系に関連する。
【0014】
本願の別の実施形態は光学的活性シート、及び着色材料を含む標識系に関し、その着色材料は、外気又は室内温度(摂氏約25度(℃))における粘度が約0.001〜約2パスカル秒(約1〜約2000センチポアズ)であり、シートの少なくとも一部分にデジタル印刷され、画像を形成する。例示的な標識系には、単語、文字、シンボル、絵柄、図、画像、数字、あるいはそれらの組み合わせ若しくは変化形が含まれる。さらに、いくつかの実施形態では、標識系は屋外使用が可能で、良好な耐久性と耐候性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使用する時、「細長い構造体」、「ケーブル」、「電線」、又は「線状部材」という用語は互換性を持って使用され、電線、ケーブル、多数の電線、ロープ、コード、糸、より線、ロッド、鋸歯車、又はそれらの組み合わせ若しくはバリエーションを意味している。
【0016】
本明細書で使用する時、「着色材料」という用語は、全ての有色(又は、非有色の)インク、染料、塗料、又はそれらの組み合わせ若しくはバリエーションを意味する。
【0017】
本明細書で使用する時、「印刷媒体」及び「基板」という用語は、互換性を持って使用され、当分野で任意の印刷媒体若しくは基板を意味していて、紙、プラスチック、ポリマー、合成紙、金属箔、ビニル、不織材料、布、ガラス、木材、セメント、金属、フィルム、光学的シート、又は、それらの組み合わせ若しくはバリエーションが含まれるが、これらに限定されない。例えば、印刷媒体又は基板は、剛性の、柔軟な、又は可撓性の材料であってよい。
【0018】
本明細書で使用する時、「標識系」という用語には、標識(屋外の標識(例えば、高速道路の標識、道路標識等)及び屋内の標識、(例えば、建物内部標識(例えば、非常口標識系、消火器標識系等))、路外標識(例えば、駐車場標識系、駐車禁止標識系、消防車専用車線標識系等)、ナンバープレート、看板、及びトラック側線等)が含まれる。
【0019】
本明細書で使用する時、「流体送出システム」、「プリンタ」、「塗料噴射装置」又はこれらの変化形若しくは組み合わせについては、互換性を持って使用されている。
【0020】
いくつかの好ましい流体送出システムは、(1)細長い構造体を着色材料で塗装することができる十分な時間、着色材料の容器に細長い構造体を浸す工程と、(2)着色材料を塗装する所定の印刷媒体の近傍に細長い構造体を位置決めする工程と、(3)細長い構造体の少なくとも着色材料の一部分を移して所定の印刷媒体上に付着させるために、塗装された細長い構造体に接触するように流体の流れを方向付けする工程と、及び(4)画像を形成するために、制御された方法で流体送出システム及び/又は印刷媒体を移動する工程と、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ケーブルの速度及び流体の流れの力/圧力、及び又は流体送出システムの移動量を、所望の画像解像度を確実に実現するために、プロセッサ、制御器、マイクロプロセッサ、又は他の計算装置によって、デジタル制御又はデジタル制御することができる。流体送出システムは、従来のインクジェット印刷ヘッドに関する機械的制限を殆ど受けないので、高粘度インクの用途に適合することが可能である。高粘度インク用の従来の塗装装置と比較すると、流体送出システムでは、印刷媒体上の画像若しくは表示位置及び液滴径(従って塗装重量)の両方の点から、制御送出が可能である。従って、流体送出システムは、印刷媒体又は基板の高粘度インクの位置及び塗布重量のさらなる制御を可能にする。米国特許番号5,994,893、5,972,111、6,089,160、6,090,445、6,190,454、6,319,555、6,398,869、及び6,786,971では、さらに詳細にこのプリンタ技術を説明し、参考のため本明細書に組み込む。
【0022】
図1は、概ね図中の10に示される上記の種類の流体送出システムの一実施形態の斜視図である。図2は、図1の流体送出システムの側面図である。本明細書に定義される外接溝38を有するプリー13を、モータ14の軸15に固着する。細長いフレーム部材32を平板12に従属させる共に、固着して、インク槽24内に延在する。回転可能な、又は固定ガイド34は細長いフレーム部材32の末端37に取り付ける。ガイド34は、ケーブル36の連続ループがホイール13の回転中に滑動することができるガイド34に外接する溝40を有する円筒型の回転不可能な部材として示す。ケーブル36をホイール13に外接する溝38に配置すると共に、ガイド34に外接する溝40に配置する。
【0023】
細長い槽の保持部材16を平板12に取り付け、そこにはフランジ18と細長い槽の保持部材16との間に切欠20を画定するフランジ18が含まれる。切欠20を、インク槽24の上口縁22を受容するように構成する。底板26を、ネジ式軸33にネジ止めするネジ付きナット31で細長い槽の保持部材16の末端28に固着する。ネジ付きシャフト33を、細長い槽の保持部材16の末端28に固着する。底板26をインク槽24の底30に接すると共にフランジ18と底板26の間でインク槽を保持する。
【0024】
空気供給ホース42をノズル体44に固着すると共に、ケーブル36の位置に向けているノズルオリフィス46を介して供給ホースによって空気を供給する。長手方向のスロット50を画定するケーブルガイド48を、オリフィス46に最も近い位置に位置付けする。ノズルオリフィスを通過する空気が実質的にケーブル36をノズルオリフィス46の前面から移動しないように、又はケーブル36を実質的に振動させないように、ケーブル36を、スロット50内で支えると共に、ノズルオリフィス46に対して相対的位置に保持する。
【0025】
軸15の回転を、一般的に図1の57に示すように、制御器によって制御することができる。任意の種類の制御器が使用可能である。一実施形態では、制御器には、モータの軸15の回転の選択を指示する離散信号を供給することができるマイクロプロセッサ又は他の装置のような信号発生装置52からの信号を受信するモジュール56内に回路54が含まれる。回路54は信号発生器52からの信号(単数又は複数)を受信して、受信した信号(単数又は複数)に従って軸15を回転する。
【0026】
運転中に、インク槽24内のインクをケーブル36によって吸い上げて 、ノズルオリフィス46の前面のホイール13の、矢印で指示している方向の、回転によって送る。ノズルオリフィス46を通って送風した空気は、インクをケーブル36から印刷媒体58に向かって分散する、又は吸引する、又は送る。インク槽のインクの粘度、ケーブル36の断面直径、及びホイール13の直径に応じて、比較的正確なインク量を印刷媒体に塗布する。さらに、送出するインクがノズルを通過しない場合、インクの固形物含有率及び/又は 粘度が、従来のプリンタの許容値より高いことがあり得る。
【0027】
図3は、概して図3の100に示す上記の種類の流体送出システムの別の実施形態の正面図である。図4は、図3の流体送出システム100の側面図である。流体送出システム100を、複数のこのような流体送出システムに固着している、部分図に示すフレーム又は平板101に好ましくは取付ける。流体送出システム100には、巻き取り及び巻き戻し能力を有する と共に、ノズル体103の前面で引き寄せる電線102を含み、具体的には、ノズル体103内に画定した1対のノズルオリフィス104から発出する空気流の通路における電線102を指す。
【0028】
空気供給ホース105をノズル体103に固着し、空気をノズルオリフィス104を経由して供給する。ノズルオリフィス104は、電線102の区分に向けられていて、それによって空気を通過させる。長手方向のスロット112を画定する電線ガイド110(電線バイアス用アイドラー)をノズルオリフィス104の非常に近い位置に配置する。ノズルオリフィスを通過する空気が実質的に電線102をノズルオリフィス104の前面から移動しないように、又は電線102を実質的に振動させないように、電線102をスロット112内で支えると共に、ノズルオリフィス104に対する相対的位置に保持する。
【0029】
この実施形態では、単一のホイール116によって電線102の送り、かつ巻き取りの両方が行われる。電線102をホイール116から容器又は塗料槽118に送り、回転可能な若しくは固定アイドラー又はガイド120の周囲を少なくとも部分的に通って、ノズルオリフィス104を通過して、電線ガイド110を通過し、回転可能な若しくは固定ガイド198の周囲を少なくとも部分的に通って、ホイール116に巻き戻す。ガイド120は基部124に回転可能に取付けられた略円筒型のホイールを含む。テフロン(登録商標)又はデルリン(登録商標)を含む#10−32ソケット型頭部ネジから形成されたこの例示的な実施形態では、ガイド120が車軸126に応じて回転可能である。同様に、ガイド120は、内部に溝又はスロットが存在する非円筒型で回転不可能な部材を含む場合がある。その部材では細長い構造体、この実施形態では電線102、がホイール116の回転に応じて摺動する。複数の突起物又はパドル130を、ガイド120に取付けた軸132に取付ける又は一体に形成することができる。外周溝136を経由する電線102の移動によってガイド120が回転するに伴い、パドル130は塗料槽134内の着色材料を混合する。ガイド120の回転に伴い混合若しくは攪拌させる不規則な形状の表面を作製するために、当業者は、パドル130がフィン若しくは他の突起物を有するか又はホイール126の表面にスロット若しくは溝が形成されてもよいと理解できるであろう。
【0030】
ガイド120を、フレーム若しくは平板140に従属する細長い部材138によって、塗料槽118内の定位置に維持する。細長い部材138を、ドクターブレードのようなスクレープ取付部材144を介して平板140に固着する。ガイド120を細長い部材138の末端に固着する。
【0031】
電線102を、例えば、それぞれネジ付き締め金具154と156、又は当技術分野で周知の他の方法を用いて電線の両端150と152でホイール116に固着する。電線102を、大形開口部160を通過させてホイール116の向こう側に進み、電線102の供給端152からホイール116に巻き付けて、塗料送出システム100の種々の構成要素の周囲を通し、小型の開口部を通過させて、巻き取り端150のホイール116に戻り固着する。好ましくは、電線102は、約0.0102〜約0.058センチメートル(約0.004〜約0.020インチ)の直径(他の寸法の電線も同様に動作するが)を有する単一の撚り線を含み、その長さは、ホイール116の周囲を数回巻き付けることができる長さである。
【0032】
図4は、図示されるように、図3の塗料送出システム100の側面図を示し、ホイール116は2つの外周溝170と172を画定する。最初の外周溝170はホイール116の供給側を画定すると共に別の外周溝172は巻き取り側を画定する。モータ176のようなデジタル制御可能な駆動機構を、ホイール116を回転し、電線102を前に送るために使用する。モータ176は、ステップモータ、サーボモータ、直流モータ、又は当技術分野で周知の他の装置でもよく、そこでは、ホイール116の回転による送りを選択的に及び/又は付加的に制御できる。好ましくは、図4の180に示すように、プロセッサ又は制御器に電子的に接続及びそれらによって制御するモータ176は、モータ176の軸186の選択的回転を指示するように離散信号を発生することができるマイクロプロセッサ又は他の装置を採用したパソコンのような電子モジュール182及び信号発生装置184を含む。電子モジュール182の回路は、信号発生装置184からの1つ以上の信号を受信し、信号(単数又は複数)に従ってモータの軸186を回転する。当業者は、このような回路が信号発生装置184に組み込まれること、又は信号発生装置184の構成要素がモジュール182に組み込まれることを理解するであろう。
【0033】
モータ176がステップモータ176である場合、信号(単数又は複数)を1つ以上の電子パルスの形態で送信し、各パルスがステップモータ176の軸186が回転すべき単一のステップ又は特定のステップ数を指示する。通常のステップモータによって、モータの電圧要求に応じた電圧により作動させる各ステップを用いて、1回転あたり200ステップを提供する。従って、ホイール116の1/2回転の位置に電線102が引き寄せる塗料の量を付着させたい場合、100パルスを信号発生器184により送信して、次にモジュール182が、ステップモータ176がその軸186を1ステップ回転させるために必要なステップモータ176の電圧要求に応じた電圧に各パルスを変換して、軸186は100ステップ回転する。
【0034】
電源供給ライン190をモジュール182に接続して、モータ176の軸186の回転に必要な電圧を供給する。モータ176を駆動する好適な方法は、信号発生器184によって求めた時間計算によって、流体送出システム100に軸186の全ての送りを実施し、それによって流体送出システム100内の計算装置の必要性を除去することができる。このような時間計算には、公知の誤差拡散、確率的選別、又はブルーノイズアルゴリズムを使用してもよい。従って、比較的正確な位置における計量された着色材料を付着するための印刷媒体に対する流体送出システム100の空間運動に加えて、着色材料の同一色の全ての電線102の送りを、モータ176を駆動するモジュール182に接続した論理回線を駆動する信号発生装置184によって実施する。直流サーボモータを使用する場合、信号発生装置184から送信された信号をモジュール182によって、直流モータの軸186を所望の部分に回転させるために必要な電圧に変換すると共に、光学エンコーダのようなフィードバック装置をモジュール182によって、回転を正確に制御するために使用する。また、塗料の粗原料計量を、フィードバックを用いることなくモータに動力の継続時間を単純に提供することによって、実行できることが考えられる。
【0035】
電線102はノズル体103の前面を通り、それに関連して電線102を電線ガイド110によって保持する。図に示すように、電線ガイド110は、電線を、ノズル体103から、従ってノズルオリフィス104から、例えば、約0.1016センチメートル(約0.040インチ)のような所望の距離Dに保持する。さらに、電線ガイド110は、バイアス電線ガイド198と共に、電線ガイド110における電線に対する湾曲を付与することによって、ノズルオリフィスの前面で電線102上の張力を保持して、その結果、ノズルオリフィスに対する相対的位置に電線を保持する。
【0036】
電線102をホイール116に巻き戻し、かつ巻き直す時、回転可能な電線バイアスガイド198を提供することによって、バイアスガイド198の両側の電線張力を電線102上で維持してもよい。このようにすると、電線102をバイアス装置上での不均等な引き下げから防ぐことができる(スプリング192及び電線102をバイアスガイド198の飛び出しから防ぐことができるように)。バイアスガイド198は、重要である。それは、電線102が外周溝170と172との間を巻き付けたり巻き戻したりする時に、外周溝170と172との間に延在する電線102の長さは変化するからである。ガイド198を、好ましくは90°L字型継手に形成された細長いガイド支持部材194に固着する。従って、ガイド198を、外周溝172の中心近くに電線102を送るように位置付けられる。当然、電線102上の張力を維持するために、ガイド198を電線102の経路に沿った他の箇所に位置付けられてもよい。支持部材194が矢印で指示された方向に移動(例えば、摺動)することができるように、指示部材194を平板101に固着する。支持部材194の周囲に位置付けられたコイルスプリングのようなバイアス装置192を、ホイール116から離れたバイアスガイド198に対して使用する。従って、バイアス装置192のスプリング力に応じて、流体送出システム100の操作中に電線102内で所望の張力を維持することができる。他のバイアス装置又は部材及び支持構造体を、装置の操作過程中に電線102内で張力を維持するために使用できることは、当業者は、理解するであろう。
【0037】
言うまでもなく、電線102の制限された量のみを必然的にホイール116に巻き付けることができる。外周溝170から外周溝172までの電線の1パスが全体の印刷用途を完了するために足りる十分な電線102を提供することは可能であるが、一方、特に任意の実質的範囲の印刷作業に対して、電線102を印刷過程の実行中に外周溝170の中に巻き直す必要があるということはかなり可能性が高い事実である。印刷媒体全面に亘り、流体送出システム100の各パス後に電線102を巻き直すことが好ましい。巻き直しサイクルでは、電線102をスクレーパ装置(又はドクターブレード)200を通過させて外周溝170内のホイール116に巻き直しするとき、ドクターブレードのようなスクレーパ装置200が二次の電線102のワイピングを行う。電線を送られているときの電線102のワイピング、及び電線を巻き直しされている時の電線102のワイピングの、両方のワイピングを提供するスクレーパ装置200は、2つの別個のスクレーパ装置(又はドクターブレード)を含むことができるということが知られている。塗料槽118を経由して電線102を引く場合、電線102を着色材料により再塗装するので、電線102の二次ワイピングは明らかに重要である。穴204は、外周溝170と電線102を一直線に合わせるために電線ガイドを提供する。さらに、ワイピング装置210を穴206内の電線102の周囲に備えるように、穴204のサイズは穴206より小さいことが好ましい。ワイピング装置210には、電線102の周囲に、穴204を通過できない、又はスクレーパ装置200を通過できないサイズの結び目を作製した、例えば、デンタルフロスのようなストリング材料が含まれてもよい。図5に示すように、スポンジ及び他の不織布及び、電線102から任意の残留着色材料を実質的に拭き取ることができる材料又は電線102の反対側に位置するドクターブレードのような他のワイピング装置を使用することができることを、当業者は理解するであろう。外周溝170が実質的に塗料を含んでいない状態を保つために、電線を外周溝170の中に巻き直す時、ワイピング装置210は実質的に残留着色材料を電線102から除去する。
【0038】
図1〜4の流体送出システムの印刷ヘッドには、別の実装を含むことができる。例えば、印刷ヘッドには不連続な電線を含むことができると共に、例えば空気供給のオン/オフを行う、又は常時空気供給の状態を維持するために空気式電磁弁を使用することができる。
【0039】
図5は、流体送出システムの一部分の別の実施形態の概略図である。この実施例では、1組のドクターブレード360をケーブル102に隣接して位置付けられている。いくつかの実施例では、各ドクターブレード360を、電線102から約0.0254〜約0.000254 センチメートル(0.01〜0.0001インチ)の間隔でおく。1つの好適な実施形態では、実施例1〜6を調製するために使用されているが、各ドクターブレードを、電線102から0.0254 センチメートル(0.001インチ)の間隔でおく。また、図5は、流体が射出して電線102の着色材料を印刷媒体(図示せず)に転写しているオリフィス362を示している。オリフィス362には種々の直径の又は形状があり、それらのオリフィスは種々の位置に配置でき、及びオリフィスには好ましくは1〜100インチ(約2.54〜約254センチメートル)の範囲の多数のオリフィスが含まれることは、所望のグラフィック及び印刷効果に基づいて当業者には理解される。図5に示す(及び以下の実施例で使用している)オリフィス362は、電線102と一直線になっている中心穴であり、ピラミッド形態のオリフィス362と一直線になっている2つのより小さい直径の穴364を有する。例示的なオリフィスの直径は、約0.0127〜約0.127センチメートル(0.005〜0.05インチ)の間にある。図5に示す例示的実施形態は、実施例1〜6の調製に使用されているが、直径が0.0584センチメートル(0.023インチ)のオリフィス362、及び直径が0.0508センチメートル(0.02インチ)の穴364を含む。
【0040】
ケーブル36又は102には、単一の若しくは複数の撚り線の材料が含まれてもよい。ケーブル36又は102を形成する例示的な材料には、例えば、ステンレス鋼、バネ金属、ニッケル/チタン合金、及び/又は他の金属又は合金;及び、ケブラ、グラファイト、ナイロンのような材料、又は可撓性があると共に実質的に高抗張力を有する他の材料が含まれる。ケーブル36及び102には、例えば、鋼製ピアノ線、ワイヤーフープ、無端ケーブルから形成した、又はフォトエッチング技法によってフラットシート/シム材料から形成したループ、バンド、リボン、又は、回転自在なアイドラー、スプール、ホイールから駆動スプール、若しくはホイール、又は液化着色剤を塗布することができる任意の他の構造体上に巻き付け可能な材料を有する比較的に薄肉の構造体が含まれる。
【0041】
流体送出システムでは、着色材料を塗料槽から、着色材料を電線及び塗布する表面に吹き付ける流体噴流まで運搬するために、電線又はケーブルを使用する。表面に塗布するインクの量と品質は、特に電線供給速度、着色材料の流動学的性質、空気の流れ、オリフィスの幾何構造、及びとりわけ印刷ヘッドから表面までの距離に左右される。少なくとも1つの流体ノズルに対するケーブル又は電線の運動が、実質的に基板に方向付けした着色材料の量を制御し、基板上のパターン形成を可能にする。
【0042】
印刷媒体にインクを塗布する他の例示的な方法には、所望の解像度における着色シートへのグラフィックの印刷を含む。着色シートは背景色を提供し、シートに印刷する着色材料はグラフィック又は表示物を提供する。
【0043】
印刷媒体にインクを塗布する他の例示的な方法には、1色以上のインクを使用することが含まれる。これらの方法を、例えば、最終的な画像色を変更する、多重色で画像を作製する、又は種々の着色インクで画像部分に陰影をつけるために使用することができる。インクの多重色の使用には、単一色のインク及び透明なインク層、並びに、各々は有色であると共に異なる色である2つ以上のインクの使用が含まれる。
【0044】
印刷媒体にインクを塗布する他の例示的な方法には、単一のインク層を使用する、又は多数のインク層を使用するグラフィックの印刷が含まれる。これらの種々の方法は種々の効果をもたらす。特に、それらの方法には、基板のインクの色密度を変更する方法(例えば、色の暗さを増す);基板にパターン(例えば、格子縞盤)を作製する方法;又は、使用されている2色の組み合わせである最終画像を実現するために基板の色の混合する方法(例えば、シートの部分を赤色インクで塗装し赤色インクがまだ乾いていない間に、黄色インクで少なくとも赤色インクの部分を塗装して、一般的に、2つのインクを使用した位置に橙色の画像効果を作製する方法)が含まれる。
【0045】
良好な画質を実現するために、印刷されたインクの液滴を、所望の程度の固体充填剤を提供するように、許容範囲に広げなければならない。インクの液滴が所望の範囲に広がらない場合、無充填領域が低減された色密度に貢献し、バンド効果(すなわち、インクの液滴の横列間の空隙)を結果としてもたらす。一方、インクの液滴が広がりすぎた場合、解像度の損失及び低品質のエッジ明瞭度が明らかになり、多色グラフィックの場合に色間にじみが発生する。画質を、米国特許番号4,914,451号に記載しているように、色密度を参照して、かつ最終インクドット径に関して定性的に表わすことができる。流体 送出システムでは、インクの過剰飛散を招くことがあり、この過剰飛散は、システムの特定の用途では望ましくないことがあるが、それは、過剰飛散が必要でない場所にインクを提供する可能性があるからである。ピクセルに印刷する場合、ドクターブレード外にインクを引き出し、オリフィスの前面に移動するように電線を送る。システムに印刷の停止を命令した場合、電線は停止する。一実施形態では、空気が印刷工程中に常時オリフィスの外に流出する。この主効果によって、電線上を移動するインクによる印刷行への過剰飛散の大半が生成される。単純に電線の送りを停止しても、オリフィスの前面でインクが停止しない。この効果は、重力のためオリフィスの上の電線からのインクの滴り、又はインクのベンチュリ効果及び凝集力のためドクターブレードの電線とのバックアップ(詰まり)の外に引き出されたインクのいずれかによる。
【0046】
この潜在的に不所望な効果の発生頻度を最小にする1つの従来技術による方法には、インクの飛沫、飛散、又は過剰飛散の発生頻度を最小にする印刷媒体として、吸収性材料を使用することが含まれる。しかしながら、標識系の印刷の好ましい印刷媒体のいくつかは、非吸収性である。従って、本出願の発明者らは、上記に説明した流体送出システムの種類を使用して、非吸収性材料に高解像度画像を印刷することができるシステムを作製するために、流体送出システムの操作パラメータ、インク粘度と固形物含有率、及び、所望の印刷媒体の特性の微調整を行った。
【0047】
プリンタは、特にインクがオリフィスを通過しない、高粘度インク又は高固形物含有率を有するインクを印刷するために、独自に認定を得ている。特に、流体送出システムでは、従来のスクリーン印刷用の非常に低粘度のインク及び従来のインクジェット印刷用の非常に高粘度のインクを印刷することができる。さらに、流体送出システムでは、従来のインクジェット印刷又はスクリーン印刷の両方のための非常に大きな粒径を有するインクを印刷することができる。インクジェット印刷用のインクの最大粘度は、通常、摂氏約25度(℃)の温度で0.2パスカル秒(20センチポアズ)であり、インクジェット印刷用の最大粒径は、通常1〜2ミクロン(マイクロメートル)である。スクリーン印刷のインクは、通常、摂氏約25度(℃)の温度で0.8パスカル秒(800センチポアズ)であり、スクリーン印刷では、125ミクロン(マイクロメートル)までの粒径を有するインクを印刷することができる。相対的に、流体送出システムでは、周囲温度又は室内温度で0.01〜2パスカル秒(1センチポアズ〜2000センチポアズ)の間の粘度を有するインクを印刷することができ、加えて、約0〜600ミクロン(マイクロメートル)の間の粒径を有するインクを印刷する能力がある。
【0048】
この範囲に入る例示的な市販のインクの一覧表には、下記のインクが含まれる:3M社 プロセスカラーシリーズ 700、3M社 プロセスカラーシリーズ 880−00、3M社 プロセスカラーシリーズ 880i、3M社 プロセスカラーシリーズ 990、3M社 スコッチライト透明スクリーンインクシリーズ 2900、3M社 スクリーンインクシリーズ 1900、3M社 スクリーンプリンティングインクシリーズ 9700UV、Nazdar 3500シリーズ UV ビネックス(Vinex) スクリーンインク、エイブリィデニソン(Avery Dennison)シリーズ 4930 シリーズインク(10年間−1コンポーネントソルベントインク*)、Sericol UVTS シリーズインク、Nazdar UVTS シリーズインク、 エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標)UVTS−Sericol Ultraviolet Curable Printing Inks(紫外線硬化性インキ)、エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標) UVTS−Nazdar Ultraviolet Curable Printing Inks(紫外線硬化性インキ)、Kiwalite KTシリーズスクリーンプロセスインク、エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標) 10TS Series Two−Component Printing Inks For Traffic Sign Products、Sericol Sinvacure UV Curable Screen Ink(紫外線硬化性スクリーンインク)、エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標) 7TS Series Ink One Component Solvent Ink System For Traffic Sign Prodcuts、及び Ink Dezyne VP−000 Seires Vinyl Plus Screen Ink。
【0049】
標識系を形成するために基板に形成できる画像は、例えば、単語、文字、シンボル、絵柄、図(schematics)、画像、数字、パターン、及びそれらの組み合わせ若しくは変化形の任意の種類である。画像は、鮮明な、透明な、又は不透明であり、着色材料も、また、鮮明な、透明な、又は不透明である。さらに、基板及び画像は、無色であってもよく、無地色又は色のパターンを含んでもよい。さらに、基板及び画像は、透過性、反射性、非反射性、又は再帰反射性であってもよい。
【0050】
以下の実施例では、上記に説明している種類の流体送出システムを使用したいくつかの例示的な標識系の構造について説明する。以下の実施例では、標識系の物理的性質のいくつかについても説明する。
【0051】
実施例1〜6では、図3及び図4の装置を使用して、図5のオリフィス及びドクターブレードを使用して、及びソフトウェア(登録商標)WireJet TC (Tri−Color)4.80版を使用して行った。実施例の全てで使用している電線の直径は、0.02302センチメートル(0.008インチ)であった。表Iでは、実施例1〜6の各々で使用された操作パラメータを説明している。
【0052】
【表1】
【0053】
∞ 「空気圧力」は、オリフィスに適用する調整された空気圧力を意味する。
【0054】
§ 「「基板からの距離」は、電線と印刷媒体との間の距離を意味する。
【0055】
Σ 「ドクターブレード間隔」は、2つの半分のドクターブレード及び電線との間の全体の間隔を意味し、ドクターブレードの縁部と電線との間の空隙のサイズを求める。
【0056】
Ψ 「空気式電磁弁」「有」は、電線の運動中の空気がオン/オフに関わらず、電線が移動している時は空気を送り、電線が移動してない時は空気を送らない、空気式電磁弁を含む流体送出システムを意味する。「空気式電磁弁」「無」は、流体送出システム内に空気式電磁弁が存在していない事実を意味する。
【0057】
Ф 「塗料噴射」は、電線を2.54センチ(1インチ)移動するためにコンピュータによって発生したパルス数を計算するために使用しているパラメータを意味する。塗料噴射は、1パルスあたり移動した電線の移動量に直接関連する、このように塗料噴射における増加は1パルスあたり移動した電線の移動増加量に直接関連し、減少した塗料噴射は1パルスあたり移動した電線の移動減少量に関連する。
【0058】
【数1】
【0059】
実施例1
3M社より3M(商標)ダイアモンド等級(商標)VIP反射性シートシリーズ(Reflective Sheeting Series)3990(以下、「3990 シート」と称する)で市販の1枚の白色シートを、左から右まで(以下、「幅(width)」又は「幅(wide)」と称する)の測定値が22.86センチメートル(9インチ)、最上部から最下部まで(以下、「長さ(length)」又は「「長さ(long)」と称する)の測定値が27.94センチメートル(11インチ)に切断した。 3M(商標)888I グリーンプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の緑色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラー1部(体積)、MEK1部の割合で希釈した。3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラーの粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)社製同期電動式粘度計型式HATを使用して測定した結果、摂氏約25度(℃)の温度で約1〜1.2パスカル秒(1000〜1200センチポアズ)であった。3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラーの固形物含有率は、約30〜41パーセントである。実施例1のように、MEKで希釈した3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラーの粘度と固形物含有率は、それぞれ100センチポアズ(上記のように測定した)及び約15〜21パーセントであった。
【0060】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3990シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3990シートに印刷した。実施例1のシートに形成した画像の走査画像を、図6に示す。その画像を、「反転」画像として説明することができ、そこではそのインク(3M(商標)社製888Iグリーンプロセスカラー)が背景色(この場合、緑色背景)を印刷するために使用され、次に、それによって画像(この場合、文字「G」)を生成し、その画像はシート(この場合、白色)と同じ色である。画像の全体のサイズは、幅6.985センチメートル(2.75インチ)、長さ6.09センチメートル(2.4インチ)である。文字「G」のサイズは、幅6.09センチメートル(2.4インチ)、長さ6.5024センチメートル(2.56インチ)である。
【0061】
実施例2
実施例2は、流体送出システムのいくつかの操作パラメータが表1に説明したように異なったことを除いて、実施例1で説明したように行った。実施例2のシートに形成した画像の走査画像を、図7に示す。
【0062】
実施例3
実施例3は、流体送出システムのいくつかの操作パラメータが表1に説明したように異なったことを除いて、実施例1で説明したように行った。実施例3で形成した画像の走査画像を、図8に示す。シートに形成した画像は、図8に示すように「G」の全体ではなく、「G」の上部である。
【0063】
実施例4
1枚の白色3990シートを、幅60.96センチメートル(24インチ)、長さ25.4センチメートル(10インチ)のサイズに切断した。商標名3M(商標)888I グリーンプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の緑色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M888I グリーンプロセスカラー1部(体積)、MEK1部の割合で希釈した。これらの溶液の粘度と固形物含有率は、上記の実施例1で説明した値と同じであった。
【0064】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3990シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3990シートに印刷した。3990シートに形成した画像の概略図は、図9aに示す。その画像を、「反転」画像として通常説明することができ、そこではそのインク(3M(商標)社製888Iグリーンプロセスカラー)が背景色(この場合、緑色背景)を印刷するために使用され、次に、それによって画像(この場合、言葉「STAKE ST」)を生成し、その画像はシート(この場合、白色)と同じ色である。画像の全体のサイズは、幅15.24センチメートル(6インチ)、長さ55.88センチメートル(22インチ)である。 画像の「STAKE」部分のサイズは、幅29.464センチメートル(11.6インチ)、長さ8.255センチメートル(3.25インチ)であり、画像の「ST」部分のサイズは、幅7.112センチメートル(2.8インチ)、長さ5.588センチメートル(2.2インチ)である。印刷と乾燥に続いて、印刷シートを鋏を使用して切断し、幅52.705センチメートル(20.75インチ)、長さ13.716センチメートル(5.4インチ)の所望の最終標識系サイズを得る。 実施例4のシートに形成した画像の1部である走査画像を図9bに示す。
【0065】
実施例5
1枚の白色3990シートを、幅45.212センチメートル(17.8インチ)、長さ14.224センチメートル(5.6インチ)のサイズに切断した。商標名3M(商標)888I グリーンプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の緑色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M(商標)888I グリーンプロセスカラー1部(体積)、MEK1部の割合で希釈した。これらの溶液の粘度と固形物含有率は、実施例1で説明した値と同じであった。
【0066】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3990シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3990シートに印刷した。3990シートに形成した画像の概略図は、図10aに示す。その画像を、「反転」画像として通常説明することができ、そこではそのインク(3M(商標)社製888Iグリーンプロセスカラー)が背景色(この場合、緑色背景)を印刷するために使用され、次に、それによって画像(この場合、単語「TEST」)を生成し、その画像はシート(この場合、白色)と同じ色である。画像のサイズは、幅40.64センチメートル(16インチ)、長さ12.065センチメートル(4.75インチ)である。画像の「TEST」部分のサイズは、幅22.225センチメートル(8.75インチ)、長さ6.985センチメートル(2.75インチ)である。実施例5のシートに形成した画像の1部である走査画像を、図10bに示す。
【0067】
実施例6
商標名3M(商標)ダイアモンド等級VIP 反射性シートシリーズ(Reflective Sheeting Series)3991(以後、「3991 シート」と称する)で3M社より市販の、1枚の黄色シートを、幅76.2センチメートル(30ンチ)、長さ45.72センチメートル(18インチ)に切断した。商標名3M(商標)885N ブラックプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の黒色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M888I インク1部(体積)、MEK1部の割合(体積)で希釈した。3M社製885N ブラックプロセスカラーの粘度は、摂氏約25度(℃)で約1〜1.2パスカル秒(1000〜1200センチポアズ)であり、実施例1で使用したサンプルの粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)社製同期電動式粘度計型式HAT製品を使用して測定した結果、摂氏約25度(℃)で1.84パスカル秒(1840センチポアズ)であった。 3M(商標)社製885N ブラックプロセスカラーの固形物含有率は、約33〜35パーセントであった。MEKで希釈した3M(商標)社製885N ブラックプロセスカラーの粘度と固形物含有率は、ブルックフィールド(Brookfield)社製同期電動式粘度計型式HAT製品を使用して摂氏約25度(℃)で測定した結果、それぞれ0.04パスカル秒(40センチポアズ)と約16〜18パーセントであった。
【0068】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3991シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3991シートに印刷した。3991シートに形成した画像の概略図は、図11aに示す。黄色シートに印刷した画像は、黒色矢印であったが、そこでは、黒色インクを矢印の画像及び矢印の上下の水平線の境界を印刷するために使用した。矢印の先端から尾部までの寸法は、左から右までが50.8センチメートル(20インチ)であり、最上部から最下部までが8.89センチメートル(3.5インチ)であった。左から右まで測定した矢印の羽根部は、19.05センチメートル(7.5インチ)であり、羽根の両端(最上部から最下部まで)間は、24.13センチメートル(9.5インチ)であった。最上部から最下部までが1.27センチメートル(0.5インチ)、左から右までが60.96センチメートル(24インチ)の測定値を有する黒色線を印刷すると、最上部から最下部の境界までが2.54センチメートル(1インチ)であった。そこで、切り取られたシートは幅66.04センチメートル(26インチ)及び長さ36.068センチメートル(14,2インチ)の測定値を有する。実施例6のシートに形成した画像の1部である走査画像を、図11bに示す。
【0069】
実施例1〜6で形成した印刷シートを、腕を伸ばしたところで保持し、未印刷シートとインク領域のコントラストに注意して目視検査を行った。
【0070】
実施例1〜3で形成した標識系を比較すると、3つの変数が実施例1と2の間で変化した:空気圧力が低下した;塗料噴射パラメータが増加した;及び、印刷行間隔が減少した。実施例2で作製した標識系は、目視で実施例1で作製した標識系と比較して、より純色を示し、より少ない過剰飛散を示した。実施例2と3の間で変化した唯一のパラメータは、空気圧力が上昇したことであった。実施例3で形成した標識系の目視審査によって、実施例3で調製した標識系より高いコントラスト、良好なエッジ解像力、及びより均一な質感若しくは離散回線が見えない充填物を示したことがわかった。
【0071】
実施例4で使用した操作パラメータは、実施例3で使用したパラメータと同じであった。しかしながら、実施例4では、道路標識として使用可能な種類であるより大きいサイズの標識系の調製が必要であった。実施例4の結果によって、高いコントラスト、良好な境界解像力、及び均一な質感を示す道路標識を作製したことが示された。
【0072】
実施例5で使用した操作パラメータは、電線が移動している時は空気供給をON状態にして、電線がオリフィスの前面を移動していない時は空気供給をOFF状態にするように空気式電磁弁を使用したことを除いて、実施例4で使用したパラメータと同じであった。実施例5で形成した標識系の目視検査では、実施例3と4で形成した標識系と比較して、空気式電磁弁を使用して作製した標識系の境界品質が向上したことを示唆している。
【0073】
実施例6で形成した標識系には、異なるインク及び異なる基板又は印刷媒体の使用が必要であった。さらに、実施例6は、(シートに背景を印刷するよりも)画像そのものをシートに印刷することで作製された。実施例5と6の間で変化した操作パラメータは、印刷行間隔のみである。実施例6の標識系の目視検査では、実施例5で形成した標識と比較して、境界品質が向上したことがわかった。印刷されていない背景と印刷された矢印画像により、実施例6の標識は、当業界の標識製造業者によって路面表示のために作製された標識に類似していた。
【0074】
特に、着色材料及び基板に応じて、種々の方法を使用してかつ上述の流体送出システムを使用して印刷することができる種々の種類の標識系は、「屋外使用に対して耐久性のある」ものといえる。これは、温度の極限に耐える耐温度性(耐熱性)、露点から豪雨までの範囲の湿気に対する耐湿性(耐水性)、及び太陽光の紫外線照射のもとでの変色における安定性(耐変色性)などの標識系物品の能力を意味する。耐久性の閾値は、標識系の物品が曝される可能性のある状態に左右されるため、変化する。しかしながら、最低でも本出願の標識系物品は、周囲温度(摂氏25度(℃))の水に24時間浸けた時に、また摂氏約−40〜60度(℃)(華氏140度(°F)の範囲の温度(湿潤若しくは乾燥状態)に曝した時にも、層状に剥離しない、又は劣化しない。
【0075】
交通制御の標識系の場合、好ましくは標識系物品が少なくとも1年間の耐候試験に耐え、さらに好ましくは少なくとも3年間の耐候試験に耐えることができるように、標識系物品は好ましくは十分に耐久性を有する。少なくともある程度、このことについては、規格ASTM D4956−05によって求められる。この規格 ASTM D4956−05は、交通制御用再帰反射性シートの標準仕様であり、アプリケーションに依存する再帰反射性シートのいくつかの種類の最小性能要件である初期及びそれに続く両方の促進屋外耐候試験について説明している。初めに、反射基板の反射係数に適合するか、又はそれを上回る。I型白色シート(「工学技術級」)の場合、最小再帰反射係数は、観測角0.2°と入射角−4°において、0.070カンデラ/ルクス/平方メートル(cd/lx/m2)(70cd/fc/ft2)であるが、III型白色シート(「高輝度」)の場合、最小再帰反射係数は、観測角0.2°と入射角−4°において、250カンデラ/ルクス/平方メートル(cd/lx/m2)(250cd/fc/ft2)である。さらに、型IX白色シートの場合、最小再帰反射係数は、観測角0.2°と入射角−4°において、0.380カンデラ/ルクス/平方メートル(cd/lx/m2)(380cd/fc/ft2)である。さらに、収縮、柔軟性、接着力、耐衝撃性、及び光沢についても、好ましくは最低要件を満たす。12、24、又は36ヶ月間の促進屋外耐候試験後、シートの種類、インクの種類、及び用途に応じて、再帰反射性シートは好ましくは、指定の試験期間後に、亀裂、剥がれ、穴あき、発泡、縁部の持ち上がり、巻き上がり、又は8ミリメートル未満の収縮若しくは膨張について相当の変化・異常がないことが必要である。さらに、風雨に曝された再帰反射物品は、好ましくは少なくとも最小再帰反射係数及び耐変色性を示す。例えば、永久的な標識用途に開発された型I「工学技術級」再帰反射性シートは、24ヶ月間の屋外耐候試験後、初期の最小再帰反射係数の少なくとも50パーセントを維持し、永久的な標識用途に開発された型III及びIX「高輝度」型再帰反射性シートは、36ヶ月間の屋外耐候試験後に、要件を満たすために、初期の最小再帰反射係数の少なくとも80パーセントを維持する必要がある。着色シートの再帰反射数値の初期及び耐候試験後の係数に関する目標値については、規格 ASTM−D4956−05に記載している。
【0076】
シートに印刷したインクの耐久性について、インクが適切にデジタル印刷され、結果として得られた印刷の特徴が所望の機械的、化学的、目視の、及び耐久性のある特性を備えるために、インクは厳しい性能要件を満足しなければならない。インク又はデジタル印刷の画像の屋外耐久性は、通常、接着剤の重量平均分子量(Mw)とインク内の接着剤濃度に関連する。低分子量のバインダ(単数又は複数)及び/又は比較的低濃度のバインダ(単数又は複数)を含む組成物は、一般的に、より高濃度のバインダ及び/又はより高分子重量のポリマーを含む組成物と比較して、より低い耐久性である。いくつかの実施形態では、下塗り組成物及びインク組成物の両方が脂肪族である時、屋外用途の強化した耐久性のには、結果として芳香族成分を実質的に含まなくなる。さらに、インクは、好ましくは、所望の解像度であって、さらに所望の基板に正確で耐久性のある画像を形成できる、シートへのインクの適用を可能にする粘度を有する。
【0077】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱せず、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】流体送出システムの一実施形態の斜視図。
【図2】図1の流体送出システムの側面図。
【図3】流体送出システムの代替の実施形態の正面図。
【図4】図3の流体送出システムの側面図。
【図5】オリフィス及び1組のドクターブレードに隣接して位置付けられた穴を含む流体送出システムの一例示的な実施形態の概略図。
【図6】本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の走査画像。
【図7】本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の走査画像。
【図8】本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の走査画像。
【図9a】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図9b】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図10a】図 10a及び10bは、それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図10b】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図11a】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図11b】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2006年2月3日に出願された米国の暫定的な特許出願番号No.60/743,225から優先権を受け継いでいる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は様々な種類の標識系及び様々な種類の標識系の印刷方法に関する。
【背景技術】
【0003】
標示は一般に道路に沿って使用され自動車両の運転者及び歩行者に情報を表示している。標識、高速道路の標識の1種には、通常、文字を印刷又は配置している反射性シート又は再帰反射性シートが含まれる。文字は自動車両の運転者又は歩行者にとって重要な情報を提供し、再帰性反射シートは夜間に鮮明に表示することができる。再帰性反射シートは、光が発生した方向に相当量の入射光を戻すことができる。自動車の前照灯からの光を標識で再帰反射し、情報が通過する自動車運転者及び歩行者により容易に判読されることができる。
【0004】
高速道路の標識を含む多くの種類の標識は、大型の文字を収めるためにサイズがかなり大きくなる傾向がある。文字は、通常、文字をスクリーン印刷又は切り抜き(カットアウト)手法を用いて適用する。スクリーン印刷では、陽性又は陰性の文字画像を最初にスクリーンに施す。多くの場合、この処理については感光性のスクリーンの非遮蔽部分を光に曝し、感光していない遮蔽領域を擦ることによって除去することによって行われる。その後、インクを感光性材料を除去したスクリーンの開口部を通過させ、再帰反射性シートに強制的に押し出す。スクリーン印刷は、「停止」及び「譲れ」標識などのより日常的な道路標識を作製するための選択方法である。しかしながら、スクリーン印刷の注文製作の、又は固有の標識(例えば、高速道路及び道路標識)は、個々の標識に対して個別のスクリーンの製作が必要になるので、高価で効率が悪い。
【0005】
注文製作の、又は独特の標識を必要とする場合、切り抜き文字法を頻繁に使用する。切り抜き文字法では、米国ミネソタ州セントポールの3M社が製造している登録商標スコッチカル(Scotchcal)及び電子カット(ElectroCut)グラフィックフィルム(Graphic Films)のような在庫材料から各文字を打ち抜き、又は文字を電子的に切り抜くことによって製作する。通常、切り抜き文字は接着剤を使用して下側にある再帰反射性シートに固着する。スクリーン印刷と切り抜き文字法によって、高速道路標識に文字を配置する好適な方法が提供されるが、これらの方法は処理時間がかかり工程も多少面倒になる傾向にある。
【0006】
感熱方式の印刷は、基板に文字を形成するために、広く普及し商業的に成功した技術になっている。また、熱転写印刷、非インパクト式印刷、感熱グラフィック印刷、及びサーモグラフィーと呼ばれる、感熱方式の印刷とは、熱を利用して担体から感熱印刷受容基板に着色剤を転写する処理のことである。感熱方式の印刷はスクリーン印刷又は切り抜き文字法の使用と比較してより高速であり、より面倒が少なくなり比較的簡単に実施できる。
【0007】
感熱方式の印刷は、反射性若しくは再帰反射性シートに情報を印刷する高速手段を提供するが、この印刷方法にも欠点がある。おそらく最大の欠点はリボンの費用であり、リボンは技術的には予備乾燥したインクであり、薄いポリエステル担体と一緒に付いて来る。リボンは、全体の標識領域に等しい領域で比較的高い比率で使用されるが、標識の説明文字部分に等しい領域で使用されるだけはない。リボンのポリエステル担体部分の全てが無駄になり、標識に転写されなかったインクも全て無駄になる。
【0008】
別の欠点としては、既知の感熱印刷装置が大型のシートを処理できないことである。現在、既知の感熱方式の印刷装置では、一般的に90センチメートルより広い幅のシートの印刷が不可能である。従って、90センチメートルより広い標識が所望の場合、別個のシートを感熱方式で印刷して、次にこれらのシートを結合して完全な標識を作製する。
【0009】
既知の感熱方式の印刷システムに関する別の欠点には、幅広のリボンに皺が寄る傾向があり、その結果、着色剤の転写が不均一になりグラフィック解像度が低品質になる。さらに、既知のシステムでは、非常に効率的な方法でリボンを使用しない。プリンタが印刷する基板の幅より狭い幅を有する領域で感熱方式の印刷を行うと、印刷される画像の幅に相当するリボンの部分だけを使用するという結果になる。リボンの未使用の部分は、使用済み部分と共に廃棄され、無駄となる。付加的に、熱転写印刷は、好ましくはトップコートの使用が必要であり、得られる物品の費用が増加する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
さらに、殆どの屋外使用には非常に耐久性のあるインクの使用が要求されるので、屋外使用のデジタル印刷標識は困難であった。非常に耐久性のあるインクの殆どは高粘度である。従来のデジタル印刷システムでは、高耐久性及び高粘度のインクで、能率的に効果的に印刷することはできていない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、標識及びナンバープレートを含む様々な種類の標識系の印刷方法に関する。本方法は、従来の標識の印刷方法より能率的であり、より費用効率が高い。また、本出願は、これらの方法を使用して印刷する様々な種類の標識系、及び、これらの種類の標識系を印刷する様々な種類の装置に関する。
【0012】
本願のいくつかの実施形態は、着色材料を細長い構造体の少なくとも一部分に塗布する工程と、基板の近傍に細長い構造体を位置決めする工程と、 前記着色材料を塗布した前記細長い構造体の一部分における流体の流れを少なくとも着色材料の一部分が前記基板に付着して標識系を形成するように方向付ける工程と、を含む画像を形成する方法に関する。本願の他の実施形態は、これらの方法で作製した標識系に関連する。
【0013】
本願の他の実施形態は、着色材料により線状部材の少なくとも一部分を塗装する工程と、前記線状部材を基板の近傍で位置決めする工程と、 前記線状部材の塗装部分における流体の流れを前記着色材料の少なくとも一部分が前記線状構造体から取り除かれ、前記基板に付着して基板にパターンを形成するように方向付ける工程と、を含む標識系に画像をデジタル印刷する方法に関する。本願の他の実施形態は、これらの方法で作られた標識系に関連する。
【0014】
本願の別の実施形態は光学的活性シート、及び着色材料を含む標識系に関し、その着色材料は、外気又は室内温度(摂氏約25度(℃))における粘度が約0.001〜約2パスカル秒(約1〜約2000センチポアズ)であり、シートの少なくとも一部分にデジタル印刷され、画像を形成する。例示的な標識系には、単語、文字、シンボル、絵柄、図、画像、数字、あるいはそれらの組み合わせ若しくは変化形が含まれる。さらに、いくつかの実施形態では、標識系は屋外使用が可能で、良好な耐久性と耐候性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使用する時、「細長い構造体」、「ケーブル」、「電線」、又は「線状部材」という用語は互換性を持って使用され、電線、ケーブル、多数の電線、ロープ、コード、糸、より線、ロッド、鋸歯車、又はそれらの組み合わせ若しくはバリエーションを意味している。
【0016】
本明細書で使用する時、「着色材料」という用語は、全ての有色(又は、非有色の)インク、染料、塗料、又はそれらの組み合わせ若しくはバリエーションを意味する。
【0017】
本明細書で使用する時、「印刷媒体」及び「基板」という用語は、互換性を持って使用され、当分野で任意の印刷媒体若しくは基板を意味していて、紙、プラスチック、ポリマー、合成紙、金属箔、ビニル、不織材料、布、ガラス、木材、セメント、金属、フィルム、光学的シート、又は、それらの組み合わせ若しくはバリエーションが含まれるが、これらに限定されない。例えば、印刷媒体又は基板は、剛性の、柔軟な、又は可撓性の材料であってよい。
【0018】
本明細書で使用する時、「標識系」という用語には、標識(屋外の標識(例えば、高速道路の標識、道路標識等)及び屋内の標識、(例えば、建物内部標識(例えば、非常口標識系、消火器標識系等))、路外標識(例えば、駐車場標識系、駐車禁止標識系、消防車専用車線標識系等)、ナンバープレート、看板、及びトラック側線等)が含まれる。
【0019】
本明細書で使用する時、「流体送出システム」、「プリンタ」、「塗料噴射装置」又はこれらの変化形若しくは組み合わせについては、互換性を持って使用されている。
【0020】
いくつかの好ましい流体送出システムは、(1)細長い構造体を着色材料で塗装することができる十分な時間、着色材料の容器に細長い構造体を浸す工程と、(2)着色材料を塗装する所定の印刷媒体の近傍に細長い構造体を位置決めする工程と、(3)細長い構造体の少なくとも着色材料の一部分を移して所定の印刷媒体上に付着させるために、塗装された細長い構造体に接触するように流体の流れを方向付けする工程と、及び(4)画像を形成するために、制御された方法で流体送出システム及び/又は印刷媒体を移動する工程と、を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ケーブルの速度及び流体の流れの力/圧力、及び又は流体送出システムの移動量を、所望の画像解像度を確実に実現するために、プロセッサ、制御器、マイクロプロセッサ、又は他の計算装置によって、デジタル制御又はデジタル制御することができる。流体送出システムは、従来のインクジェット印刷ヘッドに関する機械的制限を殆ど受けないので、高粘度インクの用途に適合することが可能である。高粘度インク用の従来の塗装装置と比較すると、流体送出システムでは、印刷媒体上の画像若しくは表示位置及び液滴径(従って塗装重量)の両方の点から、制御送出が可能である。従って、流体送出システムは、印刷媒体又は基板の高粘度インクの位置及び塗布重量のさらなる制御を可能にする。米国特許番号5,994,893、5,972,111、6,089,160、6,090,445、6,190,454、6,319,555、6,398,869、及び6,786,971では、さらに詳細にこのプリンタ技術を説明し、参考のため本明細書に組み込む。
【0022】
図1は、概ね図中の10に示される上記の種類の流体送出システムの一実施形態の斜視図である。図2は、図1の流体送出システムの側面図である。本明細書に定義される外接溝38を有するプリー13を、モータ14の軸15に固着する。細長いフレーム部材32を平板12に従属させる共に、固着して、インク槽24内に延在する。回転可能な、又は固定ガイド34は細長いフレーム部材32の末端37に取り付ける。ガイド34は、ケーブル36の連続ループがホイール13の回転中に滑動することができるガイド34に外接する溝40を有する円筒型の回転不可能な部材として示す。ケーブル36をホイール13に外接する溝38に配置すると共に、ガイド34に外接する溝40に配置する。
【0023】
細長い槽の保持部材16を平板12に取り付け、そこにはフランジ18と細長い槽の保持部材16との間に切欠20を画定するフランジ18が含まれる。切欠20を、インク槽24の上口縁22を受容するように構成する。底板26を、ネジ式軸33にネジ止めするネジ付きナット31で細長い槽の保持部材16の末端28に固着する。ネジ付きシャフト33を、細長い槽の保持部材16の末端28に固着する。底板26をインク槽24の底30に接すると共にフランジ18と底板26の間でインク槽を保持する。
【0024】
空気供給ホース42をノズル体44に固着すると共に、ケーブル36の位置に向けているノズルオリフィス46を介して供給ホースによって空気を供給する。長手方向のスロット50を画定するケーブルガイド48を、オリフィス46に最も近い位置に位置付けする。ノズルオリフィスを通過する空気が実質的にケーブル36をノズルオリフィス46の前面から移動しないように、又はケーブル36を実質的に振動させないように、ケーブル36を、スロット50内で支えると共に、ノズルオリフィス46に対して相対的位置に保持する。
【0025】
軸15の回転を、一般的に図1の57に示すように、制御器によって制御することができる。任意の種類の制御器が使用可能である。一実施形態では、制御器には、モータの軸15の回転の選択を指示する離散信号を供給することができるマイクロプロセッサ又は他の装置のような信号発生装置52からの信号を受信するモジュール56内に回路54が含まれる。回路54は信号発生器52からの信号(単数又は複数)を受信して、受信した信号(単数又は複数)に従って軸15を回転する。
【0026】
運転中に、インク槽24内のインクをケーブル36によって吸い上げて 、ノズルオリフィス46の前面のホイール13の、矢印で指示している方向の、回転によって送る。ノズルオリフィス46を通って送風した空気は、インクをケーブル36から印刷媒体58に向かって分散する、又は吸引する、又は送る。インク槽のインクの粘度、ケーブル36の断面直径、及びホイール13の直径に応じて、比較的正確なインク量を印刷媒体に塗布する。さらに、送出するインクがノズルを通過しない場合、インクの固形物含有率及び/又は 粘度が、従来のプリンタの許容値より高いことがあり得る。
【0027】
図3は、概して図3の100に示す上記の種類の流体送出システムの別の実施形態の正面図である。図4は、図3の流体送出システム100の側面図である。流体送出システム100を、複数のこのような流体送出システムに固着している、部分図に示すフレーム又は平板101に好ましくは取付ける。流体送出システム100には、巻き取り及び巻き戻し能力を有する と共に、ノズル体103の前面で引き寄せる電線102を含み、具体的には、ノズル体103内に画定した1対のノズルオリフィス104から発出する空気流の通路における電線102を指す。
【0028】
空気供給ホース105をノズル体103に固着し、空気をノズルオリフィス104を経由して供給する。ノズルオリフィス104は、電線102の区分に向けられていて、それによって空気を通過させる。長手方向のスロット112を画定する電線ガイド110(電線バイアス用アイドラー)をノズルオリフィス104の非常に近い位置に配置する。ノズルオリフィスを通過する空気が実質的に電線102をノズルオリフィス104の前面から移動しないように、又は電線102を実質的に振動させないように、電線102をスロット112内で支えると共に、ノズルオリフィス104に対する相対的位置に保持する。
【0029】
この実施形態では、単一のホイール116によって電線102の送り、かつ巻き取りの両方が行われる。電線102をホイール116から容器又は塗料槽118に送り、回転可能な若しくは固定アイドラー又はガイド120の周囲を少なくとも部分的に通って、ノズルオリフィス104を通過して、電線ガイド110を通過し、回転可能な若しくは固定ガイド198の周囲を少なくとも部分的に通って、ホイール116に巻き戻す。ガイド120は基部124に回転可能に取付けられた略円筒型のホイールを含む。テフロン(登録商標)又はデルリン(登録商標)を含む#10−32ソケット型頭部ネジから形成されたこの例示的な実施形態では、ガイド120が車軸126に応じて回転可能である。同様に、ガイド120は、内部に溝又はスロットが存在する非円筒型で回転不可能な部材を含む場合がある。その部材では細長い構造体、この実施形態では電線102、がホイール116の回転に応じて摺動する。複数の突起物又はパドル130を、ガイド120に取付けた軸132に取付ける又は一体に形成することができる。外周溝136を経由する電線102の移動によってガイド120が回転するに伴い、パドル130は塗料槽134内の着色材料を混合する。ガイド120の回転に伴い混合若しくは攪拌させる不規則な形状の表面を作製するために、当業者は、パドル130がフィン若しくは他の突起物を有するか又はホイール126の表面にスロット若しくは溝が形成されてもよいと理解できるであろう。
【0030】
ガイド120を、フレーム若しくは平板140に従属する細長い部材138によって、塗料槽118内の定位置に維持する。細長い部材138を、ドクターブレードのようなスクレープ取付部材144を介して平板140に固着する。ガイド120を細長い部材138の末端に固着する。
【0031】
電線102を、例えば、それぞれネジ付き締め金具154と156、又は当技術分野で周知の他の方法を用いて電線の両端150と152でホイール116に固着する。電線102を、大形開口部160を通過させてホイール116の向こう側に進み、電線102の供給端152からホイール116に巻き付けて、塗料送出システム100の種々の構成要素の周囲を通し、小型の開口部を通過させて、巻き取り端150のホイール116に戻り固着する。好ましくは、電線102は、約0.0102〜約0.058センチメートル(約0.004〜約0.020インチ)の直径(他の寸法の電線も同様に動作するが)を有する単一の撚り線を含み、その長さは、ホイール116の周囲を数回巻き付けることができる長さである。
【0032】
図4は、図示されるように、図3の塗料送出システム100の側面図を示し、ホイール116は2つの外周溝170と172を画定する。最初の外周溝170はホイール116の供給側を画定すると共に別の外周溝172は巻き取り側を画定する。モータ176のようなデジタル制御可能な駆動機構を、ホイール116を回転し、電線102を前に送るために使用する。モータ176は、ステップモータ、サーボモータ、直流モータ、又は当技術分野で周知の他の装置でもよく、そこでは、ホイール116の回転による送りを選択的に及び/又は付加的に制御できる。好ましくは、図4の180に示すように、プロセッサ又は制御器に電子的に接続及びそれらによって制御するモータ176は、モータ176の軸186の選択的回転を指示するように離散信号を発生することができるマイクロプロセッサ又は他の装置を採用したパソコンのような電子モジュール182及び信号発生装置184を含む。電子モジュール182の回路は、信号発生装置184からの1つ以上の信号を受信し、信号(単数又は複数)に従ってモータの軸186を回転する。当業者は、このような回路が信号発生装置184に組み込まれること、又は信号発生装置184の構成要素がモジュール182に組み込まれることを理解するであろう。
【0033】
モータ176がステップモータ176である場合、信号(単数又は複数)を1つ以上の電子パルスの形態で送信し、各パルスがステップモータ176の軸186が回転すべき単一のステップ又は特定のステップ数を指示する。通常のステップモータによって、モータの電圧要求に応じた電圧により作動させる各ステップを用いて、1回転あたり200ステップを提供する。従って、ホイール116の1/2回転の位置に電線102が引き寄せる塗料の量を付着させたい場合、100パルスを信号発生器184により送信して、次にモジュール182が、ステップモータ176がその軸186を1ステップ回転させるために必要なステップモータ176の電圧要求に応じた電圧に各パルスを変換して、軸186は100ステップ回転する。
【0034】
電源供給ライン190をモジュール182に接続して、モータ176の軸186の回転に必要な電圧を供給する。モータ176を駆動する好適な方法は、信号発生器184によって求めた時間計算によって、流体送出システム100に軸186の全ての送りを実施し、それによって流体送出システム100内の計算装置の必要性を除去することができる。このような時間計算には、公知の誤差拡散、確率的選別、又はブルーノイズアルゴリズムを使用してもよい。従って、比較的正確な位置における計量された着色材料を付着するための印刷媒体に対する流体送出システム100の空間運動に加えて、着色材料の同一色の全ての電線102の送りを、モータ176を駆動するモジュール182に接続した論理回線を駆動する信号発生装置184によって実施する。直流サーボモータを使用する場合、信号発生装置184から送信された信号をモジュール182によって、直流モータの軸186を所望の部分に回転させるために必要な電圧に変換すると共に、光学エンコーダのようなフィードバック装置をモジュール182によって、回転を正確に制御するために使用する。また、塗料の粗原料計量を、フィードバックを用いることなくモータに動力の継続時間を単純に提供することによって、実行できることが考えられる。
【0035】
電線102はノズル体103の前面を通り、それに関連して電線102を電線ガイド110によって保持する。図に示すように、電線ガイド110は、電線を、ノズル体103から、従ってノズルオリフィス104から、例えば、約0.1016センチメートル(約0.040インチ)のような所望の距離Dに保持する。さらに、電線ガイド110は、バイアス電線ガイド198と共に、電線ガイド110における電線に対する湾曲を付与することによって、ノズルオリフィスの前面で電線102上の張力を保持して、その結果、ノズルオリフィスに対する相対的位置に電線を保持する。
【0036】
電線102をホイール116に巻き戻し、かつ巻き直す時、回転可能な電線バイアスガイド198を提供することによって、バイアスガイド198の両側の電線張力を電線102上で維持してもよい。このようにすると、電線102をバイアス装置上での不均等な引き下げから防ぐことができる(スプリング192及び電線102をバイアスガイド198の飛び出しから防ぐことができるように)。バイアスガイド198は、重要である。それは、電線102が外周溝170と172との間を巻き付けたり巻き戻したりする時に、外周溝170と172との間に延在する電線102の長さは変化するからである。ガイド198を、好ましくは90°L字型継手に形成された細長いガイド支持部材194に固着する。従って、ガイド198を、外周溝172の中心近くに電線102を送るように位置付けられる。当然、電線102上の張力を維持するために、ガイド198を電線102の経路に沿った他の箇所に位置付けられてもよい。支持部材194が矢印で指示された方向に移動(例えば、摺動)することができるように、指示部材194を平板101に固着する。支持部材194の周囲に位置付けられたコイルスプリングのようなバイアス装置192を、ホイール116から離れたバイアスガイド198に対して使用する。従って、バイアス装置192のスプリング力に応じて、流体送出システム100の操作中に電線102内で所望の張力を維持することができる。他のバイアス装置又は部材及び支持構造体を、装置の操作過程中に電線102内で張力を維持するために使用できることは、当業者は、理解するであろう。
【0037】
言うまでもなく、電線102の制限された量のみを必然的にホイール116に巻き付けることができる。外周溝170から外周溝172までの電線の1パスが全体の印刷用途を完了するために足りる十分な電線102を提供することは可能であるが、一方、特に任意の実質的範囲の印刷作業に対して、電線102を印刷過程の実行中に外周溝170の中に巻き直す必要があるということはかなり可能性が高い事実である。印刷媒体全面に亘り、流体送出システム100の各パス後に電線102を巻き直すことが好ましい。巻き直しサイクルでは、電線102をスクレーパ装置(又はドクターブレード)200を通過させて外周溝170内のホイール116に巻き直しするとき、ドクターブレードのようなスクレーパ装置200が二次の電線102のワイピングを行う。電線を送られているときの電線102のワイピング、及び電線を巻き直しされている時の電線102のワイピングの、両方のワイピングを提供するスクレーパ装置200は、2つの別個のスクレーパ装置(又はドクターブレード)を含むことができるということが知られている。塗料槽118を経由して電線102を引く場合、電線102を着色材料により再塗装するので、電線102の二次ワイピングは明らかに重要である。穴204は、外周溝170と電線102を一直線に合わせるために電線ガイドを提供する。さらに、ワイピング装置210を穴206内の電線102の周囲に備えるように、穴204のサイズは穴206より小さいことが好ましい。ワイピング装置210には、電線102の周囲に、穴204を通過できない、又はスクレーパ装置200を通過できないサイズの結び目を作製した、例えば、デンタルフロスのようなストリング材料が含まれてもよい。図5に示すように、スポンジ及び他の不織布及び、電線102から任意の残留着色材料を実質的に拭き取ることができる材料又は電線102の反対側に位置するドクターブレードのような他のワイピング装置を使用することができることを、当業者は理解するであろう。外周溝170が実質的に塗料を含んでいない状態を保つために、電線を外周溝170の中に巻き直す時、ワイピング装置210は実質的に残留着色材料を電線102から除去する。
【0038】
図1〜4の流体送出システムの印刷ヘッドには、別の実装を含むことができる。例えば、印刷ヘッドには不連続な電線を含むことができると共に、例えば空気供給のオン/オフを行う、又は常時空気供給の状態を維持するために空気式電磁弁を使用することができる。
【0039】
図5は、流体送出システムの一部分の別の実施形態の概略図である。この実施例では、1組のドクターブレード360をケーブル102に隣接して位置付けられている。いくつかの実施例では、各ドクターブレード360を、電線102から約0.0254〜約0.000254 センチメートル(0.01〜0.0001インチ)の間隔でおく。1つの好適な実施形態では、実施例1〜6を調製するために使用されているが、各ドクターブレードを、電線102から0.0254 センチメートル(0.001インチ)の間隔でおく。また、図5は、流体が射出して電線102の着色材料を印刷媒体(図示せず)に転写しているオリフィス362を示している。オリフィス362には種々の直径の又は形状があり、それらのオリフィスは種々の位置に配置でき、及びオリフィスには好ましくは1〜100インチ(約2.54〜約254センチメートル)の範囲の多数のオリフィスが含まれることは、所望のグラフィック及び印刷効果に基づいて当業者には理解される。図5に示す(及び以下の実施例で使用している)オリフィス362は、電線102と一直線になっている中心穴であり、ピラミッド形態のオリフィス362と一直線になっている2つのより小さい直径の穴364を有する。例示的なオリフィスの直径は、約0.0127〜約0.127センチメートル(0.005〜0.05インチ)の間にある。図5に示す例示的実施形態は、実施例1〜6の調製に使用されているが、直径が0.0584センチメートル(0.023インチ)のオリフィス362、及び直径が0.0508センチメートル(0.02インチ)の穴364を含む。
【0040】
ケーブル36又は102には、単一の若しくは複数の撚り線の材料が含まれてもよい。ケーブル36又は102を形成する例示的な材料には、例えば、ステンレス鋼、バネ金属、ニッケル/チタン合金、及び/又は他の金属又は合金;及び、ケブラ、グラファイト、ナイロンのような材料、又は可撓性があると共に実質的に高抗張力を有する他の材料が含まれる。ケーブル36及び102には、例えば、鋼製ピアノ線、ワイヤーフープ、無端ケーブルから形成した、又はフォトエッチング技法によってフラットシート/シム材料から形成したループ、バンド、リボン、又は、回転自在なアイドラー、スプール、ホイールから駆動スプール、若しくはホイール、又は液化着色剤を塗布することができる任意の他の構造体上に巻き付け可能な材料を有する比較的に薄肉の構造体が含まれる。
【0041】
流体送出システムでは、着色材料を塗料槽から、着色材料を電線及び塗布する表面に吹き付ける流体噴流まで運搬するために、電線又はケーブルを使用する。表面に塗布するインクの量と品質は、特に電線供給速度、着色材料の流動学的性質、空気の流れ、オリフィスの幾何構造、及びとりわけ印刷ヘッドから表面までの距離に左右される。少なくとも1つの流体ノズルに対するケーブル又は電線の運動が、実質的に基板に方向付けした着色材料の量を制御し、基板上のパターン形成を可能にする。
【0042】
印刷媒体にインクを塗布する他の例示的な方法には、所望の解像度における着色シートへのグラフィックの印刷を含む。着色シートは背景色を提供し、シートに印刷する着色材料はグラフィック又は表示物を提供する。
【0043】
印刷媒体にインクを塗布する他の例示的な方法には、1色以上のインクを使用することが含まれる。これらの方法を、例えば、最終的な画像色を変更する、多重色で画像を作製する、又は種々の着色インクで画像部分に陰影をつけるために使用することができる。インクの多重色の使用には、単一色のインク及び透明なインク層、並びに、各々は有色であると共に異なる色である2つ以上のインクの使用が含まれる。
【0044】
印刷媒体にインクを塗布する他の例示的な方法には、単一のインク層を使用する、又は多数のインク層を使用するグラフィックの印刷が含まれる。これらの種々の方法は種々の効果をもたらす。特に、それらの方法には、基板のインクの色密度を変更する方法(例えば、色の暗さを増す);基板にパターン(例えば、格子縞盤)を作製する方法;又は、使用されている2色の組み合わせである最終画像を実現するために基板の色の混合する方法(例えば、シートの部分を赤色インクで塗装し赤色インクがまだ乾いていない間に、黄色インクで少なくとも赤色インクの部分を塗装して、一般的に、2つのインクを使用した位置に橙色の画像効果を作製する方法)が含まれる。
【0045】
良好な画質を実現するために、印刷されたインクの液滴を、所望の程度の固体充填剤を提供するように、許容範囲に広げなければならない。インクの液滴が所望の範囲に広がらない場合、無充填領域が低減された色密度に貢献し、バンド効果(すなわち、インクの液滴の横列間の空隙)を結果としてもたらす。一方、インクの液滴が広がりすぎた場合、解像度の損失及び低品質のエッジ明瞭度が明らかになり、多色グラフィックの場合に色間にじみが発生する。画質を、米国特許番号4,914,451号に記載しているように、色密度を参照して、かつ最終インクドット径に関して定性的に表わすことができる。流体 送出システムでは、インクの過剰飛散を招くことがあり、この過剰飛散は、システムの特定の用途では望ましくないことがあるが、それは、過剰飛散が必要でない場所にインクを提供する可能性があるからである。ピクセルに印刷する場合、ドクターブレード外にインクを引き出し、オリフィスの前面に移動するように電線を送る。システムに印刷の停止を命令した場合、電線は停止する。一実施形態では、空気が印刷工程中に常時オリフィスの外に流出する。この主効果によって、電線上を移動するインクによる印刷行への過剰飛散の大半が生成される。単純に電線の送りを停止しても、オリフィスの前面でインクが停止しない。この効果は、重力のためオリフィスの上の電線からのインクの滴り、又はインクのベンチュリ効果及び凝集力のためドクターブレードの電線とのバックアップ(詰まり)の外に引き出されたインクのいずれかによる。
【0046】
この潜在的に不所望な効果の発生頻度を最小にする1つの従来技術による方法には、インクの飛沫、飛散、又は過剰飛散の発生頻度を最小にする印刷媒体として、吸収性材料を使用することが含まれる。しかしながら、標識系の印刷の好ましい印刷媒体のいくつかは、非吸収性である。従って、本出願の発明者らは、上記に説明した流体送出システムの種類を使用して、非吸収性材料に高解像度画像を印刷することができるシステムを作製するために、流体送出システムの操作パラメータ、インク粘度と固形物含有率、及び、所望の印刷媒体の特性の微調整を行った。
【0047】
プリンタは、特にインクがオリフィスを通過しない、高粘度インク又は高固形物含有率を有するインクを印刷するために、独自に認定を得ている。特に、流体送出システムでは、従来のスクリーン印刷用の非常に低粘度のインク及び従来のインクジェット印刷用の非常に高粘度のインクを印刷することができる。さらに、流体送出システムでは、従来のインクジェット印刷又はスクリーン印刷の両方のための非常に大きな粒径を有するインクを印刷することができる。インクジェット印刷用のインクの最大粘度は、通常、摂氏約25度(℃)の温度で0.2パスカル秒(20センチポアズ)であり、インクジェット印刷用の最大粒径は、通常1〜2ミクロン(マイクロメートル)である。スクリーン印刷のインクは、通常、摂氏約25度(℃)の温度で0.8パスカル秒(800センチポアズ)であり、スクリーン印刷では、125ミクロン(マイクロメートル)までの粒径を有するインクを印刷することができる。相対的に、流体送出システムでは、周囲温度又は室内温度で0.01〜2パスカル秒(1センチポアズ〜2000センチポアズ)の間の粘度を有するインクを印刷することができ、加えて、約0〜600ミクロン(マイクロメートル)の間の粒径を有するインクを印刷する能力がある。
【0048】
この範囲に入る例示的な市販のインクの一覧表には、下記のインクが含まれる:3M社 プロセスカラーシリーズ 700、3M社 プロセスカラーシリーズ 880−00、3M社 プロセスカラーシリーズ 880i、3M社 プロセスカラーシリーズ 990、3M社 スコッチライト透明スクリーンインクシリーズ 2900、3M社 スクリーンインクシリーズ 1900、3M社 スクリーンプリンティングインクシリーズ 9700UV、Nazdar 3500シリーズ UV ビネックス(Vinex) スクリーンインク、エイブリィデニソン(Avery Dennison)シリーズ 4930 シリーズインク(10年間−1コンポーネントソルベントインク*)、Sericol UVTS シリーズインク、Nazdar UVTS シリーズインク、 エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標)UVTS−Sericol Ultraviolet Curable Printing Inks(紫外線硬化性インキ)、エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標) UVTS−Nazdar Ultraviolet Curable Printing Inks(紫外線硬化性インキ)、Kiwalite KTシリーズスクリーンプロセスインク、エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標) 10TS Series Two−Component Printing Inks For Traffic Sign Products、Sericol Sinvacure UV Curable Screen Ink(紫外線硬化性スクリーンインク)、エイブリィデニソン(Avery Dennison)(登録商標) 7TS Series Ink One Component Solvent Ink System For Traffic Sign Prodcuts、及び Ink Dezyne VP−000 Seires Vinyl Plus Screen Ink。
【0049】
標識系を形成するために基板に形成できる画像は、例えば、単語、文字、シンボル、絵柄、図(schematics)、画像、数字、パターン、及びそれらの組み合わせ若しくは変化形の任意の種類である。画像は、鮮明な、透明な、又は不透明であり、着色材料も、また、鮮明な、透明な、又は不透明である。さらに、基板及び画像は、無色であってもよく、無地色又は色のパターンを含んでもよい。さらに、基板及び画像は、透過性、反射性、非反射性、又は再帰反射性であってもよい。
【0050】
以下の実施例では、上記に説明している種類の流体送出システムを使用したいくつかの例示的な標識系の構造について説明する。以下の実施例では、標識系の物理的性質のいくつかについても説明する。
【0051】
実施例1〜6では、図3及び図4の装置を使用して、図5のオリフィス及びドクターブレードを使用して、及びソフトウェア(登録商標)WireJet TC (Tri−Color)4.80版を使用して行った。実施例の全てで使用している電線の直径は、0.02302センチメートル(0.008インチ)であった。表Iでは、実施例1〜6の各々で使用された操作パラメータを説明している。
【0052】
【表1】
【0053】
∞ 「空気圧力」は、オリフィスに適用する調整された空気圧力を意味する。
【0054】
§ 「「基板からの距離」は、電線と印刷媒体との間の距離を意味する。
【0055】
Σ 「ドクターブレード間隔」は、2つの半分のドクターブレード及び電線との間の全体の間隔を意味し、ドクターブレードの縁部と電線との間の空隙のサイズを求める。
【0056】
Ψ 「空気式電磁弁」「有」は、電線の運動中の空気がオン/オフに関わらず、電線が移動している時は空気を送り、電線が移動してない時は空気を送らない、空気式電磁弁を含む流体送出システムを意味する。「空気式電磁弁」「無」は、流体送出システム内に空気式電磁弁が存在していない事実を意味する。
【0057】
Ф 「塗料噴射」は、電線を2.54センチ(1インチ)移動するためにコンピュータによって発生したパルス数を計算するために使用しているパラメータを意味する。塗料噴射は、1パルスあたり移動した電線の移動量に直接関連する、このように塗料噴射における増加は1パルスあたり移動した電線の移動増加量に直接関連し、減少した塗料噴射は1パルスあたり移動した電線の移動減少量に関連する。
【0058】
【数1】
【0059】
実施例1
3M社より3M(商標)ダイアモンド等級(商標)VIP反射性シートシリーズ(Reflective Sheeting Series)3990(以下、「3990 シート」と称する)で市販の1枚の白色シートを、左から右まで(以下、「幅(width)」又は「幅(wide)」と称する)の測定値が22.86センチメートル(9インチ)、最上部から最下部まで(以下、「長さ(length)」又は「「長さ(long)」と称する)の測定値が27.94センチメートル(11インチ)に切断した。 3M(商標)888I グリーンプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の緑色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラー1部(体積)、MEK1部の割合で希釈した。3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラーの粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)社製同期電動式粘度計型式HATを使用して測定した結果、摂氏約25度(℃)の温度で約1〜1.2パスカル秒(1000〜1200センチポアズ)であった。3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラーの固形物含有率は、約30〜41パーセントである。実施例1のように、MEKで希釈した3M(商標)社製888I グリーンプロセスカラーの粘度と固形物含有率は、それぞれ100センチポアズ(上記のように測定した)及び約15〜21パーセントであった。
【0060】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3990シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3990シートに印刷した。実施例1のシートに形成した画像の走査画像を、図6に示す。その画像を、「反転」画像として説明することができ、そこではそのインク(3M(商標)社製888Iグリーンプロセスカラー)が背景色(この場合、緑色背景)を印刷するために使用され、次に、それによって画像(この場合、文字「G」)を生成し、その画像はシート(この場合、白色)と同じ色である。画像の全体のサイズは、幅6.985センチメートル(2.75インチ)、長さ6.09センチメートル(2.4インチ)である。文字「G」のサイズは、幅6.09センチメートル(2.4インチ)、長さ6.5024センチメートル(2.56インチ)である。
【0061】
実施例2
実施例2は、流体送出システムのいくつかの操作パラメータが表1に説明したように異なったことを除いて、実施例1で説明したように行った。実施例2のシートに形成した画像の走査画像を、図7に示す。
【0062】
実施例3
実施例3は、流体送出システムのいくつかの操作パラメータが表1に説明したように異なったことを除いて、実施例1で説明したように行った。実施例3で形成した画像の走査画像を、図8に示す。シートに形成した画像は、図8に示すように「G」の全体ではなく、「G」の上部である。
【0063】
実施例4
1枚の白色3990シートを、幅60.96センチメートル(24インチ)、長さ25.4センチメートル(10インチ)のサイズに切断した。商標名3M(商標)888I グリーンプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の緑色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M888I グリーンプロセスカラー1部(体積)、MEK1部の割合で希釈した。これらの溶液の粘度と固形物含有率は、上記の実施例1で説明した値と同じであった。
【0064】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3990シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3990シートに印刷した。3990シートに形成した画像の概略図は、図9aに示す。その画像を、「反転」画像として通常説明することができ、そこではそのインク(3M(商標)社製888Iグリーンプロセスカラー)が背景色(この場合、緑色背景)を印刷するために使用され、次に、それによって画像(この場合、言葉「STAKE ST」)を生成し、その画像はシート(この場合、白色)と同じ色である。画像の全体のサイズは、幅15.24センチメートル(6インチ)、長さ55.88センチメートル(22インチ)である。 画像の「STAKE」部分のサイズは、幅29.464センチメートル(11.6インチ)、長さ8.255センチメートル(3.25インチ)であり、画像の「ST」部分のサイズは、幅7.112センチメートル(2.8インチ)、長さ5.588センチメートル(2.2インチ)である。印刷と乾燥に続いて、印刷シートを鋏を使用して切断し、幅52.705センチメートル(20.75インチ)、長さ13.716センチメートル(5.4インチ)の所望の最終標識系サイズを得る。 実施例4のシートに形成した画像の1部である走査画像を図9bに示す。
【0065】
実施例5
1枚の白色3990シートを、幅45.212センチメートル(17.8インチ)、長さ14.224センチメートル(5.6インチ)のサイズに切断した。商標名3M(商標)888I グリーンプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の緑色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M(商標)888I グリーンプロセスカラー1部(体積)、MEK1部の割合で希釈した。これらの溶液の粘度と固形物含有率は、実施例1で説明した値と同じであった。
【0066】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3990シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3990シートに印刷した。3990シートに形成した画像の概略図は、図10aに示す。その画像を、「反転」画像として通常説明することができ、そこではそのインク(3M(商標)社製888Iグリーンプロセスカラー)が背景色(この場合、緑色背景)を印刷するために使用され、次に、それによって画像(この場合、単語「TEST」)を生成し、その画像はシート(この場合、白色)と同じ色である。画像のサイズは、幅40.64センチメートル(16インチ)、長さ12.065センチメートル(4.75インチ)である。画像の「TEST」部分のサイズは、幅22.225センチメートル(8.75インチ)、長さ6.985センチメートル(2.75インチ)である。実施例5のシートに形成した画像の1部である走査画像を、図10bに示す。
【0067】
実施例6
商標名3M(商標)ダイアモンド等級VIP 反射性シートシリーズ(Reflective Sheeting Series)3991(以後、「3991 シート」と称する)で3M社より市販の、1枚の黄色シートを、幅76.2センチメートル(30ンチ)、長さ45.72センチメートル(18インチ)に切断した。商標名3M(商標)885N ブラックプロセスカラーは、3M社、米国ミネソタ州セントポール、から市販の黒色インクをメチルエチルケトン(MEK)を使用して、3M888I インク1部(体積)、MEK1部の割合(体積)で希釈した。3M社製885N ブラックプロセスカラーの粘度は、摂氏約25度(℃)で約1〜1.2パスカル秒(1000〜1200センチポアズ)であり、実施例1で使用したサンプルの粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)社製同期電動式粘度計型式HAT製品を使用して測定した結果、摂氏約25度(℃)で1.84パスカル秒(1840センチポアズ)であった。 3M(商標)社製885N ブラックプロセスカラーの固形物含有率は、約33〜35パーセントであった。MEKで希釈した3M(商標)社製885N ブラックプロセスカラーの粘度と固形物含有率は、ブルックフィールド(Brookfield)社製同期電動式粘度計型式HAT製品を使用して摂氏約25度(℃)で測定した結果、それぞれ0.04パスカル秒(40センチポアズ)と約16〜18パーセントであった。
【0068】
表Iで説明した操作パラメータで操作する上記の装置を、3991シート上で画像を形成するために使用した。インクの1つの層を、3991シートに印刷した。3991シートに形成した画像の概略図は、図11aに示す。黄色シートに印刷した画像は、黒色矢印であったが、そこでは、黒色インクを矢印の画像及び矢印の上下の水平線の境界を印刷するために使用した。矢印の先端から尾部までの寸法は、左から右までが50.8センチメートル(20インチ)であり、最上部から最下部までが8.89センチメートル(3.5インチ)であった。左から右まで測定した矢印の羽根部は、19.05センチメートル(7.5インチ)であり、羽根の両端(最上部から最下部まで)間は、24.13センチメートル(9.5インチ)であった。最上部から最下部までが1.27センチメートル(0.5インチ)、左から右までが60.96センチメートル(24インチ)の測定値を有する黒色線を印刷すると、最上部から最下部の境界までが2.54センチメートル(1インチ)であった。そこで、切り取られたシートは幅66.04センチメートル(26インチ)及び長さ36.068センチメートル(14,2インチ)の測定値を有する。実施例6のシートに形成した画像の1部である走査画像を、図11bに示す。
【0069】
実施例1〜6で形成した印刷シートを、腕を伸ばしたところで保持し、未印刷シートとインク領域のコントラストに注意して目視検査を行った。
【0070】
実施例1〜3で形成した標識系を比較すると、3つの変数が実施例1と2の間で変化した:空気圧力が低下した;塗料噴射パラメータが増加した;及び、印刷行間隔が減少した。実施例2で作製した標識系は、目視で実施例1で作製した標識系と比較して、より純色を示し、より少ない過剰飛散を示した。実施例2と3の間で変化した唯一のパラメータは、空気圧力が上昇したことであった。実施例3で形成した標識系の目視審査によって、実施例3で調製した標識系より高いコントラスト、良好なエッジ解像力、及びより均一な質感若しくは離散回線が見えない充填物を示したことがわかった。
【0071】
実施例4で使用した操作パラメータは、実施例3で使用したパラメータと同じであった。しかしながら、実施例4では、道路標識として使用可能な種類であるより大きいサイズの標識系の調製が必要であった。実施例4の結果によって、高いコントラスト、良好な境界解像力、及び均一な質感を示す道路標識を作製したことが示された。
【0072】
実施例5で使用した操作パラメータは、電線が移動している時は空気供給をON状態にして、電線がオリフィスの前面を移動していない時は空気供給をOFF状態にするように空気式電磁弁を使用したことを除いて、実施例4で使用したパラメータと同じであった。実施例5で形成した標識系の目視検査では、実施例3と4で形成した標識系と比較して、空気式電磁弁を使用して作製した標識系の境界品質が向上したことを示唆している。
【0073】
実施例6で形成した標識系には、異なるインク及び異なる基板又は印刷媒体の使用が必要であった。さらに、実施例6は、(シートに背景を印刷するよりも)画像そのものをシートに印刷することで作製された。実施例5と6の間で変化した操作パラメータは、印刷行間隔のみである。実施例6の標識系の目視検査では、実施例5で形成した標識と比較して、境界品質が向上したことがわかった。印刷されていない背景と印刷された矢印画像により、実施例6の標識は、当業界の標識製造業者によって路面表示のために作製された標識に類似していた。
【0074】
特に、着色材料及び基板に応じて、種々の方法を使用してかつ上述の流体送出システムを使用して印刷することができる種々の種類の標識系は、「屋外使用に対して耐久性のある」ものといえる。これは、温度の極限に耐える耐温度性(耐熱性)、露点から豪雨までの範囲の湿気に対する耐湿性(耐水性)、及び太陽光の紫外線照射のもとでの変色における安定性(耐変色性)などの標識系物品の能力を意味する。耐久性の閾値は、標識系の物品が曝される可能性のある状態に左右されるため、変化する。しかしながら、最低でも本出願の標識系物品は、周囲温度(摂氏25度(℃))の水に24時間浸けた時に、また摂氏約−40〜60度(℃)(華氏140度(°F)の範囲の温度(湿潤若しくは乾燥状態)に曝した時にも、層状に剥離しない、又は劣化しない。
【0075】
交通制御の標識系の場合、好ましくは標識系物品が少なくとも1年間の耐候試験に耐え、さらに好ましくは少なくとも3年間の耐候試験に耐えることができるように、標識系物品は好ましくは十分に耐久性を有する。少なくともある程度、このことについては、規格ASTM D4956−05によって求められる。この規格 ASTM D4956−05は、交通制御用再帰反射性シートの標準仕様であり、アプリケーションに依存する再帰反射性シートのいくつかの種類の最小性能要件である初期及びそれに続く両方の促進屋外耐候試験について説明している。初めに、反射基板の反射係数に適合するか、又はそれを上回る。I型白色シート(「工学技術級」)の場合、最小再帰反射係数は、観測角0.2°と入射角−4°において、0.070カンデラ/ルクス/平方メートル(cd/lx/m2)(70cd/fc/ft2)であるが、III型白色シート(「高輝度」)の場合、最小再帰反射係数は、観測角0.2°と入射角−4°において、250カンデラ/ルクス/平方メートル(cd/lx/m2)(250cd/fc/ft2)である。さらに、型IX白色シートの場合、最小再帰反射係数は、観測角0.2°と入射角−4°において、0.380カンデラ/ルクス/平方メートル(cd/lx/m2)(380cd/fc/ft2)である。さらに、収縮、柔軟性、接着力、耐衝撃性、及び光沢についても、好ましくは最低要件を満たす。12、24、又は36ヶ月間の促進屋外耐候試験後、シートの種類、インクの種類、及び用途に応じて、再帰反射性シートは好ましくは、指定の試験期間後に、亀裂、剥がれ、穴あき、発泡、縁部の持ち上がり、巻き上がり、又は8ミリメートル未満の収縮若しくは膨張について相当の変化・異常がないことが必要である。さらに、風雨に曝された再帰反射物品は、好ましくは少なくとも最小再帰反射係数及び耐変色性を示す。例えば、永久的な標識用途に開発された型I「工学技術級」再帰反射性シートは、24ヶ月間の屋外耐候試験後、初期の最小再帰反射係数の少なくとも50パーセントを維持し、永久的な標識用途に開発された型III及びIX「高輝度」型再帰反射性シートは、36ヶ月間の屋外耐候試験後に、要件を満たすために、初期の最小再帰反射係数の少なくとも80パーセントを維持する必要がある。着色シートの再帰反射数値の初期及び耐候試験後の係数に関する目標値については、規格 ASTM−D4956−05に記載している。
【0076】
シートに印刷したインクの耐久性について、インクが適切にデジタル印刷され、結果として得られた印刷の特徴が所望の機械的、化学的、目視の、及び耐久性のある特性を備えるために、インクは厳しい性能要件を満足しなければならない。インク又はデジタル印刷の画像の屋外耐久性は、通常、接着剤の重量平均分子量(Mw)とインク内の接着剤濃度に関連する。低分子量のバインダ(単数又は複数)及び/又は比較的低濃度のバインダ(単数又は複数)を含む組成物は、一般的に、より高濃度のバインダ及び/又はより高分子重量のポリマーを含む組成物と比較して、より低い耐久性である。いくつかの実施形態では、下塗り組成物及びインク組成物の両方が脂肪族である時、屋外用途の強化した耐久性のには、結果として芳香族成分を実質的に含まなくなる。さらに、インクは、好ましくは、所望の解像度であって、さらに所望の基板に正確で耐久性のある画像を形成できる、シートへのインクの適用を可能にする粘度を有する。
【0077】
本発明の様々な改良及び変更が、本発明の精神及び範囲から逸脱せず、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】流体送出システムの一実施形態の斜視図。
【図2】図1の流体送出システムの側面図。
【図3】流体送出システムの代替の実施形態の正面図。
【図4】図3の流体送出システムの側面図。
【図5】オリフィス及び1組のドクターブレードに隣接して位置付けられた穴を含む流体送出システムの一例示的な実施形態の概略図。
【図6】本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の走査画像。
【図7】本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の走査画像。
【図8】本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の走査画像。
【図9a】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図9b】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図10a】図 10a及び10bは、それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図10b】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図11a】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【図11b】それぞれ、本明細書に記載した種類の流体送出システムを使用して印刷した標識系の概略図及び走査画像。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識系に画像を形成する方法であって、
着色材料を細長い構造体の少なくとも一部分に塗布する工程と、
基板の近傍に前記細長い構造体を位置決めする工程と、
前記着色材料を塗布した前記細長い構造体の一部分における流体の流れを少なくとも前記着色材料の一部分が前記基板上に付着して前記標識系を形成するように方向付ける工程と、を含む画像を形成する方法。
【請求項2】
前記細長い構造体の送りを電子制御することをさらに含む、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項3】
前記細長い構造体の送りをデジタル制御することをさらに含む、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項4】
前記標識系が標識又はナンバープレートのいずれかである、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項5】
前記標識系が屋外で使用可能である、請求項4に記載の画像を形成する方法。
【請求項6】
前記細長い構造体が、電線、ケーブル、ロープ、コード、糸、より線、ロッド、鋸歯車、これらの2つ以上、又はこれらの組合せ若しくは変形物のいずれかである、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項7】
前記着色材料が、有色又は非有色のインク、染料、塗料、又はこれらの組み合わせ若しくは変形物である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項8】
前記着色材料の粘度が、室温で約0.001〜約2パスカル秒(1〜2000センチポアズ)である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項9】
前記流体の流れが空気を含む、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項10】
前記着色材料の固形物含有率が、50%未満である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項11】
前記着色材料の粒径が、約600ミクロン(マイクロメートル)未満である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項12】
複数の着色材料が、前記基板に適用される、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の画像を形成する方法によって形成される標識系。
【請求項14】
標識系にデジタル印刷して画像を形成する方法であって、
着色材料により少なくとも線状部材の一部分を塗装する工程と、
前記線状部材を基板の近傍に位置決めする工程と、
前記線状部材の塗装部分における流体の流れを前記着色材料の少なくとも一部分が前記線状構造体から取り除かれ、前記基板に付着して前記基板にパターンを形成するように方向付ける工程と、を含む画像を形成する方法。
【請求項15】
前記パターンが、単語、文字、シンボル、絵柄、図、画像、数字、あるいはそれらの組み合わせ若しくは変形物の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項16】
前記着色材料の粘度が、室温で約0.001〜約2パスカル秒(1〜2000センチポアズ)である、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項17】
前記着色材料の粘度が、室温で約0.025〜約0.8パスカル秒(25〜800センチポアズ)である、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項18】
前記着色材料の粒径が、約600ミクロン(マイクロメートル)未満である、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項19】
請求項14に記載の画像を形成する方法によって形成される標識系。
【請求項20】
光学的活性シートと、
室温で粘度が約0.025〜約2パスカル秒(約25〜約2000センチポアズ)であり、前記シートの少なくとも一部分にデジタル印刷され画像を形成する着色材料と、を含む標識系。
【請求項1】
標識系に画像を形成する方法であって、
着色材料を細長い構造体の少なくとも一部分に塗布する工程と、
基板の近傍に前記細長い構造体を位置決めする工程と、
前記着色材料を塗布した前記細長い構造体の一部分における流体の流れを少なくとも前記着色材料の一部分が前記基板上に付着して前記標識系を形成するように方向付ける工程と、を含む画像を形成する方法。
【請求項2】
前記細長い構造体の送りを電子制御することをさらに含む、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項3】
前記細長い構造体の送りをデジタル制御することをさらに含む、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項4】
前記標識系が標識又はナンバープレートのいずれかである、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項5】
前記標識系が屋外で使用可能である、請求項4に記載の画像を形成する方法。
【請求項6】
前記細長い構造体が、電線、ケーブル、ロープ、コード、糸、より線、ロッド、鋸歯車、これらの2つ以上、又はこれらの組合せ若しくは変形物のいずれかである、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項7】
前記着色材料が、有色又は非有色のインク、染料、塗料、又はこれらの組み合わせ若しくは変形物である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項8】
前記着色材料の粘度が、室温で約0.001〜約2パスカル秒(1〜2000センチポアズ)である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項9】
前記流体の流れが空気を含む、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項10】
前記着色材料の固形物含有率が、50%未満である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項11】
前記着色材料の粒径が、約600ミクロン(マイクロメートル)未満である、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項12】
複数の着色材料が、前記基板に適用される、請求項1に記載の画像を形成する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の画像を形成する方法によって形成される標識系。
【請求項14】
標識系にデジタル印刷して画像を形成する方法であって、
着色材料により少なくとも線状部材の一部分を塗装する工程と、
前記線状部材を基板の近傍に位置決めする工程と、
前記線状部材の塗装部分における流体の流れを前記着色材料の少なくとも一部分が前記線状構造体から取り除かれ、前記基板に付着して前記基板にパターンを形成するように方向付ける工程と、を含む画像を形成する方法。
【請求項15】
前記パターンが、単語、文字、シンボル、絵柄、図、画像、数字、あるいはそれらの組み合わせ若しくは変形物の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項16】
前記着色材料の粘度が、室温で約0.001〜約2パスカル秒(1〜2000センチポアズ)である、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項17】
前記着色材料の粘度が、室温で約0.025〜約0.8パスカル秒(25〜800センチポアズ)である、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項18】
前記着色材料の粒径が、約600ミクロン(マイクロメートル)未満である、請求項14に記載の画像を形成する方法。
【請求項19】
請求項14に記載の画像を形成する方法によって形成される標識系。
【請求項20】
光学的活性シートと、
室温で粘度が約0.025〜約2パスカル秒(約25〜約2000センチポアズ)であり、前記シートの少なくとも一部分にデジタル印刷され画像を形成する着色材料と、を含む標識系。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【公表番号】特表2009−525178(P2009−525178A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553380(P2008−553380)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/002947
【国際公開番号】WO2007/092342
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/002947
【国際公開番号】WO2007/092342
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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