説明

デスク

【課題】情報を集団で共有し、判断するためのタッチパネル式ディスプレイを具備する会議等に使用するデスクを、使いやすい形態で提供すること。
【解決手段】会議等に使用するデスク10であって、デスクの作業エリア31にタッチパネル式ディスプレイ11を具備してなり、ネットワーク接続部33を介してデータやソフトウェアを使用したり取得したり配信したりすることが出来、タッチパネル式ディスプレイの表示可能な領域の内、任意の領域を非表示領域13に変更指定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議等に使用するデスクにおいて、ネットワーク端末機能とタッチパネル式ディスプレイ機能とを備えたデスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイや有機ELなど、発光機能を備えた薄型ディスプレイの技術開発が進んでいる。これらのディスプレイは従来のCRTに比べ薄く、軽いという特徴を有し、スマートフォンやタブレットPC、小型ゲーム機からTV、広告ディスプレイまで様々なサイズで幅広く商品化されている。
【0003】
スマートフォンやタブレットPC、小型ゲーム機においては、タッチパネルを使用した直感的な操作で、国籍や年齢層、スキルに関係なくタッチパネル式ディスプレイ情報を操作できるようになっている。また、これらのタッチパネル式ディスプレイにおいては、ネットワークを介してデータ、ソフトウェアのやりとりができるようになっている。特に最近では個々のタッチパネル式ディスプレイ端末にソフトウェアやデータを保存しなくても、これらの情報を自由に扱えるクラウドシステムの提供も始まっている。
【0004】
タッチパネル式ディスプレイには液晶タッチパネル式ディスプレイや有機ELなど、自発光やバックライトで光を発し表示情報を見やすくするものと、紙や電子ペーパーのように外光を反射して表示情報を見やすくするものがある。
このうち液晶タッチパネル式ディスプレイにおいては、液晶パネルの背面側(観察者側の反対側)に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを透過照明する方式、いわゆる、バックライト方式が採用されている。
【0005】
前記バックライト方式に採用されているバックライトユニットとしては、大別して冷陰極管(CCFL、LED)等の光源ランプを、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内で多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(いわゆる、エッジライト方式)と、導光板を用いない「直下型方式」とがある。
【0006】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットが搭載された液晶表示装置としては、例えば、図5に模式断面図で示す構成のものが一般に知られている。
【0007】
図5に示す液晶表示装置は、上部に偏光板71、73に挟まれた液晶パネル72が設けられ、その下面側に、略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板79が設置されており、該導光板の上面(光射出側)に拡散フィルム(拡散層)78が設けられている。
【0008】
さらに、この導光板79の下面に、導光板79に導入された光を効率よく上記液晶パネル72方向に均一となるように散乱して反射させるための散乱反射パターン部が印刷などによって設けられる(図示せず)と共に、散乱反射パターン部下方に反射フィルム(反射層)77が設けられている。
【0009】
また、上記導光板79には、側端部に光源ランプ76が取り付けられており、さらに、光源ランプ76の光を効率よく導光板79中に入射させるべく、光源ランプ76の背面側を覆うようにして高反射率のランプリフレクター81が設けられている。なお、上記散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したもの
であり、導光板79内に入射した光に指向性を付与し、光射出面側へと導くようになっており、高輝度化を図るための工夫である。
【0010】
さらに、最近では、光利用効率をアップして高輝度化を図るべく、図6に模式断面図で示すように、拡散フィルム78と液晶パネル72との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)74、75を設けることが提案されている。プリズムフィルム74、75は、導光板79の光射出面から射出され拡散フィルム78で拡散された光を、高効率で液晶パネル72の有効表示エリアに集光させるものである。
【0011】
上記のような液晶ディスプレイの利点としては、表示情報を劣化することなく、バックライト部分に含まれた様々な光学シートで視野角を任意に制御できることにある。また、上記のように性能を進化させたディスプレイの観察者側にタッチパネル機能を組み合わせて、タッチパネル式ディスプレイとしての性能も向上している。
【0012】
一方、デスクについては、タッチパネル式ディスプレイの発展にともなう大幅な技術進化はまだなく、デスク上にディスプレイを配置して使用されるにとどまっている。先行技術文献に示すように(特許文献1および2を参照)、個人で使用するデスクについてはディスプレイ一体型の提案がなされているが汎用性がなく、広まっているとは言いがたい。また、会議などの場では未だに多量の紙媒体を介して情報交換が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−89346号公報
【特許文献2】実開平5−43215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
タッチパネル式ディスプレイ技術とネットワーク技術の進化に伴い、人々が使用する情報量は増加する一方となっている。これは人々が集団で何らかの作業をする場合にも、共有し判断すべき情報が増えていることを意味する。しかし、個人でそれらの情報を使用する端末はあるものの、会議等の場面で使用でき、情報を集団で共有し、判断するためのタッチパネル式ディスプレイを具備するデスクはないのが現状である。
【0015】
本発明は、前記の問題点に鑑みて提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、情報を集団で共有し、判断するためのタッチパネル式ディスプレイを具備する会議等に使用するデスクを、使いやすい形態で提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、会議等に使用するデスクであって、デスクの作業エリアにタッチパネル式ディスプレイを具備してなり、ネットワーク接続部を介してデータやソフトウェアを使用したり取得したり配信したりすることが出来、タッチパネル式ディスプレイの表示可能な領域の内、任意の領域を非作用領域に変更指定できることを特徴とするデスクである。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、前記タッチパネル式ディスプレイが、自らが発する背面からの透過光により画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のデスクである。
【0018】
また、請求項3に記載の発明は、前記タッチパネル式ディスプレイがデスクの稜線にもしくはデスクの面に沿って光源を有することを特徴とする請求項2に記載のデスクである。
【0019】
また、請求項4に記載の発明は、前記タッチパネル式ディスプレイの輝度が50cd/m以上500cd/m以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のデスクである。
【0020】
また、請求項5に記載の発明は、前記タッチパネル式ディスプレイの輝度が、中心部より端部の方が高いことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のデスクである。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、前記タッチパネル式ディスプレイの発する光が、指向性を持つことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のデスクである。
【0022】
また、請求項7に記載の発明は、前記タッチパネル式ディスプレイの表層に防汚層を具備してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のデスクである。
【0023】
また、請求項8に記載の発明は、前記デスクの占有面積が2500cm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のデスクである。
【0024】
また、請求項9に記載の発明は、前記デスクの重量が1kg以上500kg以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のデスクである。
【発明の効果】
【0025】
本発明を利用すれば、会議などで情報を集団で共有し判断する場面で、ネットワーク機能を有するタッチパネル式ディスプレイを具備するデスクを、使いやすい形態で提供することが出来る。さらに、デスク使用者の目に見やすく、疲れにくい光で情報を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を構成するディスプレイのバックライト構成の一例を説明するための模式断面図である。
【図2】本発明を構成するディスプレイのバックライト構成の他の一例を説明するための模式断面図である。
【図3】本発明の基本構成を(a)(b)二例で説明するための模式斜視図である。
【図4】本発明のデスクから発する光の指向性を説明するための模式図である。
【図5】従来技術による液晶表示装置の構成の一例を説明するための模式断面図である。
【図6】従来技術による液晶表示装置の構成の他の一例を説明するための模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に従って、本発明の実施形態を説明する。
図3(a)(b)は本発明のデスクの基本構成例を示している。本発明のデスク10、20はタッチパネル式ディスプレイ11、12や物を置くスペースとなる天板を兼ねた作業エリア31、作業エリア(天板)31の位置を使用者にとって適切な高さに調節する支持部32、ネットワーク接続機能を付与するためのネットワーク接続部33からなる。天板31は、長方形や楕円形の平面形状が一般的だが、デザイン性を高めるためにこれに限らず様々な形状が選択できる。支持部32は図3(a)では4本の円柱様の立ち柱で記載してあるが、デザイン性を高めるために本数や形状は適宜選択できる。また、本来の役割からすれば、図3(b)のように壁など建屋の一部が支持部32を兼ねることもできる。支持部32には別のタッチパネル式ディスプレイを有していてもよい。ネットワーク接続部33はデスクの天板31、支持部32のどの部分に配置しても良い。図3(a)では有線LANの接続口を表記してあるが、図3(b)のように無線で通信でき、特に外観に現れない内蔵型(点線で表示)とすることもできる。デスクの駆動に必要なエネルギーは、有線・無線の外部電気や光・振動・音などのエネルギーを利用したデスク内の発電などで適宜調達することができる。
【0028】
本発明は、上記デスク10、20の作業エリア31がタッチパネル式ディスプレイ11、12を具備してなる。ここで作業エリアとは、図3(a)では、例えば天板31を兼ねることができる。天板31では、例えば打合せに必要な資料を検索、閲覧したり、必要な情報を書き込む作業を行う。さらに天板31に引き出し機構を設け、ここにタッチパネル式ディスプレイを設け操作端末としたり、キーボードや個人でのみ閲覧したい情報を表示させることも出来る。図3(b)のようなある程度の面積を有する支持部32であれば、支持部の内部に別途ディスプレイを設置し、情報を閲覧することもできる。
【0029】
タッチパネル式ディスプレイ11、12のディスプレイ部分としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、リアプロジェクションディスプレイ、電子ペーパーなどが使用できる。これらは薄型であり、軽く、デスクのタッチパネル式ディスプレイに好適である。望ましくは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイが使用できる。これらは、液晶ディスプレイのようにバックライトを用いたり、有機ELディスプレイのように素子自体からの発光を用いるなど、手段に差はあっても、ディスプレイ自らが発する背面からの透過光により画像を表示するタイプのタッチパネル式ディスプレイであり、デスクの表面に物や人の体の一部など、外光を遮蔽する物があっても、情報を明るく表示することができるので、ディスプレイ外からの外光に依存する異なるタイプの電子ペーパーなどのディスプレイより好ましい。また、使用者とディスプレイの距離が近くても美しく鮮明に見える像を表示することができる。
【0030】
次に、作業エリアにあたる天板31に具備したタッチパネル式ディスプレイ11、12について、液晶ディスプレイを用いた例に従って、詳細に説明する。天板31は、前述の引き出し機構など含め、使用者が主に使用するタッチパネル式ディスプレイ11、12を具備するため、デスクの使いやすさに大きな影響を与える。また、タッチパネル式ディスプレイであるため、ディスプレイであると同時に、操作端末でもある。さらにデスク10、20としては物や人の体の一部を置く場所でもある。上記の理由から、天板31は多くの領域がタッチパネル式ディスプレイであると同時に、場所によらず置くものを限定しない、すなわちタッチパネルが反応しない領域もある程度必要とする。この矛盾を解決するために、本発明のデスクのタッチパネル式ディスプレイ11、12は、表示可能な領域の内、使用者が任意の領域を選んで、選択した一定の領域をタッチパネルの非作用領域13、14として変更指定できることを特徴とする。なお、上記非作用領域に指定できる選択した一定の領域とは、一箇所に限定されず、複数箇所を指定することができる。
【0031】
例えば、本発明のデスクが具備するタッチパネル式ディスプレイを制御するためのソフトウェアに非作用領域13、14を設定するためのソフトウェアを盛り込む。具体例としては、ディスプレイに使用するソフトウェアが起動している時に、指等でタッチパネルの有効領域にタッチし、タッチパネル上に任意の閉鎖した円や四角などの形状を描くことにより、指等で囲んだ部分を非作用領域13、14に設定することができる。
設定した非作用領域は、ドラッグ操作で移動することが可能であり、また、適時設定を解除することも可能である。非作用領域の設定を解除された領域は、再び、通常のタッチパネルの機能を復活させることができる。さらに、タッチパネル式ディスプレイの立ち上げ時に、前回設定した非作用領域を引き継ぐか、新たに非作用領域を設定し直すか、のいずれかを選択しても良い。
【0032】
非作用領域に限らず、本発明のデスクが具備するタッチパネル式ディスプレイに表示さ
れるソフトウェアの作業ウィンドウ、入力用キーボード、テンキー等は、いずれもドラッグ操作で移動することが可能であり、適時非表示にできることが好ましい。上記の機能は現在のパソコンでも採用されている公知の機能である。
【0033】
本発明のデスクのタッチパネル式ディスプレイは、表面が平滑であることが望ましい。例えば、ガラスやプラスックなど、透明で硬度があるものが望ましい。デザイン性の向上のために天板31の表面に他の構造物を設けてもよいが、他の構造物は天板31の表面積の30%以内であることが望ましい。さらに、天板31上のタッチパネル式ディスプレイ11は表面に防汚層を有していることが望ましい。手の汚れや物を置いたことによる汚れが付きにくく、かつ、汚れの除去しやすい表面であることが求められるからであり、防汚層は公知の各種の手段で設けることができる。
【0034】
タッチパネル式ディスプレイ11は、直下型バックライトの液晶ディスプレイでも良いし、エッジライト型バックライトの液晶ディスプレイでも良い。直下型バックライトは、天板31の面、つまりデスクの面に沿って光源を配置する。また、エッジライト型バックライトは天板31の稜線、つまりデスクの稜線に沿って光源を配置する。
【0035】
図1、図2は、上述の本発明に使用するバックライト構成例を説明するための模式断面図を示している。以降、図1および図2の上側を上、下側を下と表現し、上側に相対している面を表面、下側に相対している面を裏面、と表現する。図1は、エッジライト型のバックライト構成例を示している。光源15から出射する光Kは、導光板5に入射する。その後、光は導光板5の内部を通って表面の射出面から上へ出て、拡散シート3、光学シート1、反射型偏光分離シート2、を順次透過する。光学シート1は、特定方向に平行に延在させた複数のプリズム列またはレンズ列を表面に形成した拡散集光シートであり、一定の正面輝度向上の機能を果たすものであり、公知の透明性の高い樹脂を公知の方法で一体成型して作ることができる。また、反射型偏光分離シート2は、液晶パネルの偏光板で吸収される偏光成分を持つ光を反射し、偏光板を透過する偏光成分を持つ光のみを透過させることにより、輝度を効率的に高めるものであり、例えば、DBEF(3M社登録商標)に代表されるシートが使用できる。
【0036】
最終的に、光は反射型偏光分離シート2の表面の射出面より、光学部材からの射出光Lとして射出される。光学部材からの射出光Lは、両面を偏光板21に挟まれた液晶パネル19に到達する。ここを透過した光は観察者側へと射出し、観察者はタッチパネル式ディスプレイの視認方向Sに沿って下を視認できる。なお、構成例にあげたもののみではなく、適宜光学シートを増減しても良い。
【0037】
図2は、直下型のバックライト構成例を示している。光源15からの光Kは、拡散板6に入射する。その後、拡散板6の表面の射出面から光学シート1へ到達し、最終的に、光は光学シート1の表面の射出面から上へ光学部材からの射出光Lとして射出される。光学部材からの射出光Lは、両面を偏光板21に挟まれた液晶パネル19に到達する。ここを透過した光は観察者側へと射出し、観察者はタッチパネル式ディスプレイの視認方向Sに沿って下を視認できる。なお、構成例にあげたもののみではなく、適宜光学シートを増減しても良い。なお、偏光板21を含めた液晶パネル19を広義の液晶パネルと呼ぶこともできるが、本発明の説明においては、液晶材料を含む内部構造物を2枚の透明基板で封止したパネルを液晶パネル19と称する。
【0038】
液晶ディスプレイが優れている点としては、バックライトの光分布を調整することで、液晶パネルに表示された情報を劣化させること無く、表示情報の可視範囲を調整できるところにある。本発明のデスクは、天板31の7割以上の領域がタッチパネル式ディスプレイであることを想定しているが、使用者が注視する部分や使用者がデスクを見る角度は図
4のように、ある程度限定されている。例えば、図4では、会議等の形態で複数の人が、デスクの天板31となる作業エリアを取り囲むようにして、斜線を付けた空間のいずれかの箇所から、視認したり操作したりする形態で使用する。このため、エネルギー消費を低減させるためにも、使用者が見る可能性が低い範囲に光を射出することは好ましくない。以降で本発明のデスクに望ましい発光について説明する。
【0039】
タッチパネル式ディスプレイの最高輝度値は50cd/m以上500cd/m以下であることが望ましい。500cd/mを超える輝度は、ディスプレイとして過剰な明るさを提供するものであり、本発明のデスクを長時間使うことに適さない。また、50cd/m未満の輝度では、明るさが不足して表示情報を読み取ることが困難な場合があるからである。また、タッチパネル式ディスプレイの輝度を天板31の面内の各点で測定したときには、天板31の端部の輝度が天板31の中心部の輝度より高いことが望ましい。なぜなら、使用者は一般的に天板31の端部に近く所在するためである。なお、天板31の端部表面に何らかのデザイン構造物があり、これを照射する必要が無い場合はその限りではない。また、タッチパネル式ディスプレイの発する光は指向性を持つことが望ましい。指向性の方向は、例えば図4に示すように、天板31の中央法線方向N(細い矢印)より外に向いた指向性の方向M(太い矢印)であることが望ましい。そうすることで、使用者の方向に適切に光を集中することが出来る。なお、この指向性を持たせた場合は対面端の情報を閲覧することが難しくなるが、閲覧したい場合は同じ情報を複数の使用者に向けたタッチパネル式ディスプレイの特定場所に表示できるようソフトウェアを作成すれば問題ない。
【0040】
本発明のデスクのサイズ、重量について説明する。本発明のデスクは、デスクの占有面積が2500cm以上であることが望ましい。これより小さい占有面積では、多人数で使用するには小さすぎる。上限は製造工程やデザイン性によるところが大きいが、運搬や据え付けの妥当性も考慮すれば、100000cm程度が上限である。また、デスクの重量は、1kg以上500kg以下であることが望ましい。1kgより軽いとデスクとして安定感が無く、500kgより重いとデスクの移動が簡単には出来ないため実用的ではない。
【0041】
本発明のデスクは定常的に同一人物の使用に供されるものではなく、会議など限定された時間内に、不特定多数の人間が使用することを想定している。このため、デスクのタッチパネル式ディスプレイに表示するデータや使用するソフトウェアは、デスク内の内蔵メモリーにあるものだけでは実質上不足する。これらのデータやソフトウェアは、ネットワーク接続機能を有するネットワーク接続部33を介して、自由に使用したり、取得、配信できることが必須となる。また、近年ではこれらのデータやソフトウェアをハードウェアである使用端末にダウンロードせずとも使用できる環境も整いつつあるので、使用端末に相当する本発明のデスクにおいて、上記の機能は実質上、必須となる。
【実施例】
【0042】
タッチパネル式液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーを水平に置いて本発明の天板31とし、様々な検討を行った。まず、直接照明の室内環境でこれらのディスプレイを観察したところ、いずれも見え方には問題なかった。次に間接照明の室内でこれらのディスプレイを観察したところ、発光しない電子ペーパーは表示が良く見えなかった。このことから、環境を明るい室内とすれば本発明のデスクにいずれの方式のディスプレイでも問題ないが、間接照明のように暗い室内環境におかれる可能性があるのであれば、発光する方式のディスプレイが好ましいことが分かった。
【0043】
次に、タッチパネル式液晶ディスプレイの上にペットボトル、陶器のコーヒーカップ、金属製のペン、皮製の名刺入れ、財布、かばん等、デスクに置く可能性のあるものを置い
たり、手で保持して触れたりした。その結果、誤作動をすることがあった。タッチパネルの方式には抵抗被膜方式、アナログ静電容量方式、超音波弾性波方式など様々あるが、いずれの方式でも置くものを制限しないと、誤作動の可能性がある。このことから、タッチパネルには非作用領域の設定が必須であることが分かった。また、検証中でもタッチパネル表面は汚れが付着していったため、防汚処理や、乾燥した布拭きだけで汚れが落ちる表面が望ましいことも分かった。
【0044】
デスクのサイズに関しては、2000cmから500cm刻みで6000cmまでの平板を用意し、5名の被験者に一人分のデスク領域として、最低どのサイズ以上が欲しいか聞き取り調査をした。その結果、2500cmが最も小さいサイズであったためこれを最低サイズとして選定した。重量は様々な材質のデスクの模擬品を準備し、重量を重りで0.5、1、2、5、10、20、50、100、200、500、600kgに調整して置いたり、運搬したりして検証した。その結果、0.5kgの模擬品は安定感が無かったため、使用できないと判定した。500kgの模擬品は人手での運搬が4人で出来たが、600kgになると人手での運搬が5人必要だったため、会議用デスクとしては重過ぎて使用できないと判定した。
【0045】
デスクの発光については、32型液晶ディスプレイを水平において検証した。検証にはエッジライト型と直下型のバックライトを使用した。指向性や輝度の調整は光源、光学シート、導光板などを試作し、これらを適宜組み合わせて調整した。
まず、それぞれのバックライトにおいて、ディスプレイの面全体を均一輝度に発光させたものと、デスクを想定して、使用者に対して奥側の発光を減じ、前記均一輝度と同じにした手前側の輝度の50%にし、手前側から奥側に向かって徐々に暗くなるよう調整したものを準備した。上記2つのタイプを見比べたところ、いずれも実質的に使用上問題ないことが分かった。つまり、輝度の勾配をつけた後者の方が表示上遜色なく低消費電力とできるため、好ましい。実際にはデスクは対面して使用者が座るため、デスクの中心部よりデスクの端部の方が輝度が高い方が、均一な輝度より低消費電力となるため好ましい。明暗の程度には好みがあるため、本実施例の輝度差50%〜0%の範囲で適宜調整することが好ましい。
【0046】
さらに、上記のように単にディスプレイの特定表示面の輝度を落とすよりも、発光に指向性を持たせた方がより使用者に明るく、低消費電力も兼ねたデスクとすることができる。この検証として、同様に32型液晶ディスプレイにおいて、奥側から手前側になるにつれて、輝度分布のピークがディスプレイ法線方向に近づくように、使用者側に輝度分布のピークが向くよう調整した(図4の太線矢印、指向性の方向Mを参照)。指向性を持たせずに明暗をつけた場合に比べ、使用者にとっての明るさが向上した。輝度ピークの半値幅は奥側の方が狭く、手前側は広くすることがより好ましい。
【0047】
上記の様に明暗、輝度分布を調整したディスプレイにおいて、当業界でよく知られた9点測定を実施した。ただし、測定はディスプレイ法線方向の輝度のみではなく、全方位の輝度分布を測定した。また、最高輝度は50cd/m刻みで、光源の光量で調整した。以下、最高輝度は9点測定での最高輝度を指す。測定の結果、直接照明の室内であれば、輝度分布によらず最高輝度500cd/m以下のディスプレイで十分視認できることが分かった。550cd/m以上でも視認できるが、これ以上は不快な明るさであった。一方、間接照明では輝度分布によらず最高輝度50cd/m以上が視認できることが分かった。この下は0cd/mだが、全く視認できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のデスクに用いるタッチパネル式ディスプレイに、タッチパネルを操作する洗練されたソフトウェアを用いれば、下記のようなペーパーレス会議が可能となる。まず使用
者(複数を想定)は紙資料はもたずに本発明のデスクに着席する。デスクを起動し、それぞれの手元の領域を各使用者が自分の作業領域と設定し、さらに飲み物などを置く非作用領域を設定する。これらの領域設定は任意の範囲を指で囲うようなタッチ操作が直感的で望ましい。会議に必要なデータ、データの表示に必要なソフトウェアはネットワークを介して使用できるので、あらかじめ作っておいた資料、ネットワークの情報は自由に手元に表示できる。また、その場で配布したい資料は本発明のデスクの操作でコピーし、参加者に配ることができる。たとえば、自分の手元に表示された資料を指で押さえて、配りたい相手に向かってすべらすようなタッチ操作で配布できるようにする。または、配布する相手を選択するようなアイコンを表示する。配布せず、その場限りの閲覧(閲覧者が保存できない)機能もあると望ましい。
【0049】
会議は所属の違う人間が、デスクをはさんで座り行うこともある。この場合、本発明のデスクは相手方に自分の手元の表示が見えないような指向性の光を提供することが出来る。情報を双方で共有したい場合も、相手方を覗き込む必要は無く、前述のようなデータの配布で対応することが出来る。
会議終了後は必要なデータをネットワークを介してデスク外(個人のパソコンや持ち歩き用のタブレットPC、スマートフォンなど)に保存し、デスクの電源を切って退出すれば紙資料を持ち歩く必要が無い。
【符号の説明】
【0050】
1・・・光学シート
2・・・反射型偏光分離シート
3・・・拡散シート
5・・・導光板
6・・・拡散板
10、20・・・デスク
11、12・・・タッチパネル式ディスプレイ
13、14・・・非作用領域
15・・・光源
17・・・反射板
19・・・液晶パネル
21・・・偏光板
31・・・作業エリア(天板)
32・・・支持部
33・・・ネットワーク接続部
71、73・・・偏光板
72・・・液晶パネル
74、75・・・プリズムフィルム
76・・・光源ランプ
77・・・反射フィルム
78・・・拡散フィルム
79・・・導光板
81・・・ランプリフレクタ
K・・・光源からの光
L・・・光学部材からの射出光
S・・・タッチパネル式ディスプレイの視認方向
M・・・指向性の方向
N・・・中央法線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会議等に使用するデスクであって、デスクの作業エリアにタッチパネル式ディスプレイを具備してなり、ネットワーク接続部を介してデータやソフトウェアを使用したり取得したり配信したりすることが出来、タッチパネル式ディスプレイの表示可能な領域の内、任意の領域を非作用領域に変更指定できることを特徴とするデスク。
【請求項2】
前記タッチパネル式ディスプレイが、自らが発する背面からの透過光により画像を表示することを特徴とする請求項1に記載のデスク。
【請求項3】
前記タッチパネル式ディスプレイがデスクの稜線にもしくはデスクの面に沿って光源を有することを特徴とする請求項2に記載のデスク。
【請求項4】
前記タッチパネル式ディスプレイの輝度が50cd/m以上500cd/m以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のデスク。
【請求項5】
前記タッチパネル式ディスプレイの輝度が、中心部より端部の方が高いことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のデスク。
【請求項6】
前記タッチパネル式ディスプレイの発する光が、指向性を持つことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のデスク。
【請求項7】
前記タッチパネル式ディスプレイの表層に防汚層を具備してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のデスク。
【請求項8】
前記デスクの占有面積が2500cm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のデスク。
【請求項9】
前記デスクの重量が1kg以上500kg以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のデスク。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200332(P2012−200332A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65952(P2011−65952)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】