デバイスにおけるM−Sステレオ再生
マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)を備えるデバイスにより、ミッド−サイド(M−S)エンコードされたオーディオを再生する。DACは、デジタル化ミッドオーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、アナログミッドオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、デジタル化サイドオーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、アナログサイドオーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有し、また、デジタル化された第2のサイドオーディオ信号を受け取る第3のチャネルを備えていてもよい。第2のサイドオーディオ信号は位相反転されている。デバイスは、ハンドヘルドワイヤレス通信デバイスであってもよく、アナログミッドオーディオ信号およびアナログサイドオーディオ信号に応答して、M−Sエンコードされたサウンドを出力するトランスデューサーも備えていてもよい。
【発明の詳細な説明】
【背景】
【0001】
米国特許法第119条の下での優先権の主張
本特許出願は、“移動体デバイス上のM−Sステレオ音響”と題する、2009年6月25日に出願された仮出願第61,220,497号と、“移動体デバイス上のM−Sステレオ音響”と題する、2009年7月27日に出願され、その譲受人に譲渡された仮出願第61,228,910号とに対する優先権を主張する。
【0002】
分野
本開示は、一般的にステレオオーディオに関し、さらに詳細には、ミッド−サイド(M−S)ステレオ再生に関する。
【0003】
背景
ステレオサウンド記録技術は、サウンドソースの相対的なポジションをオーディオ記録にエンコードすることを目的とし、ステレオ再生技術は、これらの相対的なポジションの感覚で、記録されたサウンドを再生することを目的としている。ステレオシステムは、2つ以上のチャネルを伴うことができるが、オーディオ記録の分野では2チャネルシステムが主流を占めている。2本のマイクロフォンを使用するステレオ記録技術には、多くのマイクロフォン配置技術がある。しかしながら、典型的な2チャネルシステムでは、2つのチャネルは、通常、左(L)および右(R)として知られている。LチャネルおよびRチャネルは、リスナーの前面にある音場に関連する情報を伝える。特に、Lチャネルは、一般的に音場の左側に位置するサウンドについての情報を運び、Rチャネルは、一般的に音場の右側に位置するサウンドについての情報を運ぶ。LチャネルおよびRチャネルのステレオ信号を再生するための非常に人気のある手段は、間隔が離れた左右2つのラウドスピーカーにより、チャネルを出力することである。
【0004】
代替的なステレオ記録技術は、ミッド−サイド(M−S)ステレオとして知られている。M−Sステレオ記録は、1930年代から知られているものである。これは、より一般的な左右ステレオ記録技術とは異なるものである。M−Sステレオ記録では、マイクロフォン配置は、2本のマイクロフォンを伴う:音場の中央部分を捕捉するように音場の前面に面しているカージオイドマイクロフォンまたは8字型マイクロフォンであるミッドマイクロフォンと、音場の左側と右側にあるサウンドを捕捉するための、横向きに面した、すなわち、ミッドマイクロフォンの軸に垂直な、8字型マイクロフォンであるサイドマイクロフォンである。
【0005】
L−RステレオおよびM−Sステレオの2つの記録技術は、それぞれ、記録されたオーディオを1対のステレオスピーカーを通して再生するときに、リスナーに対してステレオサウンドの感覚を生成させることができる。典型的に、M−Sステレオ記録は、プレーバックの前にL−Rチャネルに変換され、その後、L−Rスピーカーを通してブロードキャストされる。以下の方程式を使用して、M−SステレオチャネルをLおよびRのステレオチャネルに変換してもよい:
Lチャネル=ミッド+サイド 式1
Rチャネル=ミッド−サイド 式2
最も商業的な2チャネルステレオサウンド記録は、数メートル間隔が離れたラウドスピーカーによる最適な再生のためにミキシングされる。ハンドヘルド移動体デバイスのような、小型の単一のユニットからステレオサウンドを再生することが望ましい場合には、このラウドスピーカーの間隔は実現可能ではない。
【概要】
【0006】
何らかのデバイス(例えば、移動体ハンドセット)の小型のサイズおよび形のために、満足の行くステレオサウンドを達成することは一般的に難しい。これらのデバイスにおいて、従来のL−Rステレオ再生は、デバイス中に典型的に含まれているラウドスピーカーに悩まされており、リスナーに対して所望のレベルのステレオ感覚を生成することができていない。実際、いくつかのデバイスには、モノスピーカーフォンのみが付いており、ここでは、既知のデバイスコンフィギュレーションを使用してのステレオサウンドがまったく可能ではなかった。したがって、相対的に小型のデバイス上でのステレオオーディオ再生を改善する必要性がある。
【0007】
ここで開示する技術は、スピーカーフォンとともに、すべての移動体ハンドセットに装備されているハンドセットスピーカーを使用して、ハンドセット上で新しくかつ改善されたステレオ音響を作ることができる。モノスピーカーフォンを有するデバイスにより、デバイスの音場を、モノ音響以外のより興味深いサウンド経験へと高めることができる。加えて、ほんの少しの付加的な計算コストで、ステレオスピーカーフォン(すなわち、2つ以上のスピーカーフォン)を持つデバイスのステレオ音場を音響的に広げることができる。
【0008】
ある態様にしたがうと、デバイスにおいてM−Sエンコードされたサウンドを出力する方法は、デバイス中に含まれているデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号およびデジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取ることを含んでいる。DACは、デジタル化されたミッドオーディオ信号およびデジタル化されたサイドオーディオ信号を、それぞれ、アナログミッドオーディオ信号とアナログサイドオーディオ信号とに変換する。ミッドチャネルサウンドは、デバイス中に含まれている第1のトランスデューサーにおいて出力され、サイドチャネルサウンドは、デバイス中に含まれている第2のトランスデューサーにおいて出力される。
【0009】
別の態様にしたがうと、M−Sエンコードされたサウンドの再生のための装置は、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)を具備している。DACは、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、アナログミッドオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、アナログサイドオーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有している。
【0010】
別の態様にしたがうと、M−Sエンコードされたサウンドの再生のための装置は、デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号に応答する第1の2分割回路と;デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号に応答する第2の2分割回路と;第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との和をとる和算器と;第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との差を決定する減算器と;和算器からのデジタル化された和オーディオ出力に応答する第1のチャネル入力と、アナログ和オーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、減算器からのデジタル化された差オーディオ出力に応答する第2のチャネル入力と、アナログ差オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有する、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)と;アナログ和オーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを生成させる第1のスピーカーと;アナログ差信号に応答して、サイドチャネルサウンドを生成させる第2のスピーカーとを具備する。
【0011】
さらなる態様にしたがうと、装置は、デジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る手段と;DACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る手段と;デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換する手段と;デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換する手段と;アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力する手段と;アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力する手段とを具備する。
【0012】
さらなる態様にしたがうと、1つ以上のプロセッサにより実行可能な1組の命令を具現化するコンピュータ読取可能媒体は、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取るためのコードと;マルチチャネルDACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取るためのコードと;デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換するためのコードと;デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換するためのコードと;アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力するためのコードと;アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力するためのコードとを含む。
【0013】
以下の図面および詳細な説明を考察すると、他の態様、特徴、および、利点が、当業者にとって明らかであるだろう、または、明らかになるだろう。このようなすべての付加的な特徴、態様、および、利点を、本説明内に含め、添付の特許請求の範囲により保護することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図は、単に例示の目的のためのものに過ぎないことを理解すべきである。さらに、図面中のコンポーネントは必ずしもスケーリングしておらず、それよりむしろ、ここで説明する技術の原理を示すことに重点が置かれている。図面では、同一の参照番号は、異なるビュー全体を通して、対応するパーツを示している。
【図1】図1は、1対のスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイスのダイヤグラムである。
【図2】図2は、3つのスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイスのダイヤグラムである。
【図3】図3は、2つのスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的な移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図4】図4は、3つのスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的な移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図5】図5は、図1および図3のデバイス中に含めることができる例示的なオーディオ回路のある詳細を示すダイヤグラムである。
【図6】図6は、図5のオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図7】図7は、図5〜図6のオーディオ回路により実行される例示的なデジタル処理の詳細を示すダイヤグラムである。
【図8】図8は、図1および図3のデバイス中に含めることができる代替的なオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図9】図9は、図1および図4のデバイス中に含めることができる別の代替的なオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図10】図10は、図9のオーディオ回路中で使用することができる差動駆動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図11】図11は、図9のオーディオ回路中で使用することができる差動DAC、差動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図12】図12は、図2および図4のデバイス中に含めることができる例示的なオーディオ回路のある詳細を示すダイヤグラムである。
【図13】図13は、図12のオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図14】図14は、図2および図4のデバイス中に含めることができる代替的なオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図15】図15は、図12〜図14のオーディオ回路中で使用することができる差動駆動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図16】図16は、図12〜図14のオーディオ回路中で使用することができる差動DAC、差動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図17】図17は、図1〜図16に関連して説明するオーディオ回路のうちのいずれかを実現するために使用することができるアーキテクチャである。
【図18】図18は、デバイスにおいて、M−Sエンコードされたサウンドを再生する方法を示すフローチャートである。
【図19】図19は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図20】図20は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、差動的にエンコードされたM−Sエンコードサウンドを再生する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図21】図21は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図22】図22は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、差動的なM−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図23】図23は、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリデバイス上で再生するために、M信号、S+信号、S−信号をアナログワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図23A】図23Aは、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリデバイス上で再生するために、M信号、S+信号のみをアナログワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図24】図24は、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリ上で再生するために、M信号、S+信号、S−信号をデジタルワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図25】図25は、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリ上で再生するために、M信号、S+信号のみをワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図26】図26は、デジタルワイヤードリンクで移動体デバイスに接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M−S信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図26A】図26Aは、デジタルワイヤードリンクで移動体デバイスに接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M−S信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【詳細な説明】
【0015】
図を参照し、図を具体化する以下の詳細な説明は、1つ以上の特定の実施形態を説明し、示している。限定するためではなく、例示および教示するために提供されているこれらの実施形態は、クレームされていることを当業者が実施できるように、十分に詳細に示され、説明されている。したがって、簡潔さのために、説明は、当業者に知られているある情報を省略することがある。
【0016】
本開示全体を通して、“例として、事例として、あるいは例示として役割を果たすこと”を意味するように、“例示的な”という単語を使用する。“例示的な”ものとしてここで説明するあらゆるものは、他のアプローチまたは特徴と比較して、必ずしも好ましいものとして、または、利益のあるものとして、解釈すべきではない。
【0017】
図1は、例えば、スピーカー14、16のような、1対のオーディオトランスデューサーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイス10のダイヤグラムである。デバイス10は、デジタルアナログ変換器(DAC)12を含んでいる。第1のスピーカー14は、ミッド(M)チャネルを出力し、第2のスピーカー16は、サイドチャネルのうちの1つ(S+)を出力する。デバイス10は、1対の類似したサイズのステレオスピーカーが生成させることができる魅力的なステレオ音場を生成させ、オーディオトランスデューサー(スピーカー14、16)はすべて、単一のボックス11中に収められている。
【0018】
デバイス10は、スピーカーボックス、ステレオシステムコンポーネント、ラップトップコンピュータ、ゲーミングコンソール、セルラ電話機や、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)や、ゲーミングデバイスや、または、これらに類するもののようなハンドヘルドデバイス等の、サウンドを再生するのに適した何らかの電子デバイスであってもよい。
【0019】
DAC12は、デジタル化されたミッド(M)オーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、デジタル化されたMオーディオ信号に応答して、アナログMオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力とを有する何らかの適切なマルチチャネルDACとすることができる。DAC12はまた、デジタル化されたサイド(S+)オーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、デジタル化されたS+オーディオ信号に応答して、アナログS+オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを含むことができる。DACは、移動局モデム(MSM)チップのようなチップ上の統合通信システム中に含めてもよい。
【0020】
移動体セルラハンドセットのような、典型的な移動体デバイスは、小型のボックスを有しており、ここでは、サイズ制限のために、2つのスピーカーをそれほど遠くに離すことができない。こうしたデバイスは、ここで開示するM−Sステレオ再生技術に適している。最も商業的に入手可能な移動体ハンドセットは、(通話を行うための)ハンドセットモードと、スピーカーフォンモード(ハンズフリー電話機通話または野外での音楽のリスニング)の双方をサポートしているので、これらの2つのタイプのスピーカーは、既に多くのハンドセット上に設置されている。音声通信には1つのチャネルで十分なので、ハンドセットスピーカーは、通常、モノである。スピーカーフォンスピーカーは、モノまたはステレオのいずれかとすることができる。
【0021】
M−Sエンコードされたサウンドを再生するためにハンドセットスピーカー32と単一のモノスピーカーフォンスピーカー34とを有するセルラ電話機30の例が、図3において示されている。いくつかのセルラ電話機で典型的なように、ハンドセットスピーカー32は、ユーザの耳のすぐ隣になるように、デバイス30の中央前面に位置しているので、ミッドチャネル出力のために使用することができる。たいていの電話機では、スピーカーフォンスピーカーは、前面発射(電話機の前面に位置している)、側面発射(電話機の側面に位置している)、または、背面に位置しているかのいずれかである。図3の例では、スピーカーフォンスピーカー34は、電話機30の背面近くに位置している。たとえ、スピーカーフォンスピーカー34がモノであったとしても、モノスピーカー34において1つのサイドチャネル(例えば、S+)を再生することができる。スピーカーフォンスピーカー34の位置が、ハンドセットスピーカー32から比較的遠くに離れている場合に、より興味深い音響を再生することができる。
【0022】
従来のセルラハンドセットでは、ハンドセットスピーカーとスピーカーフォンスピーカーを同時に使用することはないので、従来のハンドセットは、ハンドセットスピーカーとスピーカーフォンスピーカーの双方において同時にサウンドを出力するように構成されていない。スピーカーを共に使うことがない主な理由は、従来のハンドセットは、通常、(1対の)スピーカーのいずれかを駆動するように、1つのステレオデジタルアナログ変換器(DAC)のみを有しており、スピーカーをすべて同時に駆動するには付加的なDACが必要とされるからである。付加的なDACの追加は、製造コストの著しい増加を意味する。ここで開示する改良で、既存のステレオDACを持つハンドセット上で、M−Sエンコードされたステレオを再生することが可能である。ハンドセットスピーカーおよびスピーカーフォンスピーカーへのオーディオ出力は、M−Sエンコードされたステレオを再生するためにデバイス全体が利用可能であるように調整されており、既存のスピーカーフォンスピーカーだけを使用するよりも、より良好な音場を達成する。
【0023】
移動体デバイス内のスピーカーフォンスピーカーがモノである(すなわち、1つのスピーカーフォンスピーカーのみがデバイス中に含まれている)場合には、図5、図6、および、図8において示されているもののように、ここで下記でさらに説明する、この例における回路信号ルーティングを実現することができる。このケースでは、サイドチャネルを直接使用して、モノスピーカーフォンスピーカー34を駆動し、ミッドチャネルが、ハンドセットスピーカー32を駆動している。音響的に、この方法で再生される音場は、真のM−Sステレオではないが、ハンドセットスピーカー32は、ユーザに面した前面に位置しており、モノスピーカーフォン34は、デバイス30の背面に位置している可能性が高いので、合成された音響は、モノスピーカーフォンのケースを改善したものである。2つのスピーカーと、何らかの良好なステレオソースマテリアルがあると、共に働く2つのスピーカー32、34が、空間的なサウンドパターンを著しく多様化させ、前面のハンドセットスピーカー32から、ステレオ場の共通(和またはミッド)信号を分散させ、デバイスボックス中の異なる位置にある別のスピーカー34から、差(サイドチャネル)信号を分散させる。結果の音場は、1つのモノスピーカーのみを持つデバイスよりも、非常にステレオらしいものになるだろう。
【0024】
ここで図2に戻ると、この図面は、例えば、スピーカー24、26、28のような、3つのオーディオトランスデューサーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイス20のダイヤグラムである。デバイス20は、DAC22を含んでいる。第1のスピーカー24は、ミッド(M)チャネルを出力し、第2のスピーカー26は、サイドチャネルのうちの1つ(S+)を出力し、第3のスピーカー28は、他のサイドチャネル(S−)を出力する。S+オーディオチャネルおよびS−オーディオチャネルは、おおよそ180度だけ位相反転されている。スピーカー26およびスピーカー28を使用して、位相打ち消しサイドチャネルを生成させることができる。
【0025】
デバイス20は、スピーカーボックス、ステレオシステムコンポーネント、ラップトップコンピュータ、ゲーミングコンソール、セルラ電話機や、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)や、ゲーミングデバイスや、または、これらに類するもののようなハンドヘルドデバイス等の、サウンドを再生するのに適した何らかの電子デバイスであってもよい。
【0026】
DAC22は、デジタル化されたミッド(M)オーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、デジタル化されたMオーディオ信号に応答して、アナログMオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力とを有する何らかの適切なマルチチャネルDACとすることができる。DAC22はまた、デジタル化されたサイド(S+)オーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、デジタル化されたS+オーディオ信号に応答して、アナログS+オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを含んでいる。DAC22はさらに、デジタル化されたサイド(S−)オーディオ信号を受け取る第3のチャネル入力と、デジタル化されたS−オーディオ信号に応答して、アナログS−オーディオ信号を提供する第3のチャネル出力とを含んでいる。DACは、移動局モデム(MSM)チップのようなチップ上の統合通信システム中に含まれていてもよい。
【0027】
図4は、3つのスピーカー32、38、39を使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なセルラ電話機36を示すダイヤグラムである。ハンドセットスピーカー32は、電話機36の前面中央に位置しており、スピーカーフォンスピーカー38、39は、ステレオオーディオを出力するための側面発射スピーカーである。M−Sエンコードされたステレオを出力するように電話機36が構成されているときに、ハンドセットスピーカー32はMチャネルを出力し、スピーカーフォンスピーカー38、39は、位相打ち消しサイドチャネルS+およびS−を生成させるために使用される。
【0028】
ここで開示するように、移動体ハンドセット上のM−Sステレオ音響の利益は、次のように要約することができる:移動体デバイスは、従来のL−Rステレオオーディオ記録を受け入れることができる。デバイスプロセッサ上のM−Sオーディオの追加の計算負荷は最小のものである。M−S技術は、既存の移動体ハンドセットハードウェアアセット(スピーカー)をより十分に利用する。ミッドチャネルとサイドチャネルの間の利得をバランスさせることにより、出力M−Sステレオ音場を(中央の幅およびコヒーレンスに対して)調整可能である。図3〜図4に示されているような典型的なスピーカーコンフィギュレーションに対して、ステレオ拡張を容易に達成することができ、有効な音場のサイズを増加させることができる。これは、ステレオサウンドファイルをプレーするときに、音響をより享受できるように、図3において示されているもののような、モノスピーカーフォンデバイスを強化する。
【0029】
図5は、図1のデバイス10および図3のデバイス30中に含めることができる、例示的なオーディオ回路40のある詳細を示すダイヤグラムであり、MP3、WAV、あるいは、他のオーディオファイルまたはストリーミングオーディオ入力のような、従来のデジタル化されたL−RステレオエンコードされたソースからM−Sステレオオーディオを再生するためのものである。オーディオ回路40は、図6および図7に関連して下記でさらに詳細に説明するように、マルチチャネルDAC12およびスピーカー14、16とともに、オーディオチャネルを処理するための他の回路を含んでいる。オーディオ回路40は、デジタル化されたステレオLオーディオチャネル入力およびデジタル化されたステレオRオーディオチャネル入力を受け取り、入力に応答して、L−RオーディオをM−Sエンコードされたオーディオに変換し、M−Sステレオチャネルのうちの2つを出力する:ミッドスピーカー14上のMチャネルと、サイドスピーカー16上の(例において示されているような)S+チャネルまたはS−チャネルのいずれかとである。
【0030】
オーディオ回路40は、以下の関係にしたがって、LおよびRのステレオチャネルを、対応するM−Sチャネルに変換してもよい:
M=(L+R)/2 式3
S+=(L−R)/2 式4
S−=(R−L)/2 式5
方程式3〜5では、Mは、ミッドチャネルオーディオ信号を表し、Lは、左チャネルオーディオ信号を表し、Rは、右チャネルオーディオ信号を表し、S−は、位相反転されたサイドチャネルオーディオ信号を表し、S+は、反転されていないサイドチャネルオーディオ信号を表す。オーディオ回路40により、方程式3〜5の他のバリエーションを用いて、L−RステレオをM−Sステレオに変換してもよい。
【0031】
図6は、図5のオーディオ回路40のある詳細を示す概略図である。DAC12より前の信号パス(例えば、デジタルオーディオポスト処理)において、L−R(左−右)ステレオ信号は、図6中で示されている回路コンポーネントにより、M−Sステレオに翻訳される。
【0032】
オーディオ回路40は、デジタルドメイン回路42およびアナログドメイン回路44と通信するDAC12を含んでいる。たいていのステレオ媒体は、L−Rステレオフォーマットで記録されている。デジタルドメイン回路42は、LおよびRのオーディオチャネルのパルスコード変調された(PCM)オーディオを受け取る。分割器46、48は、RおよびLチャネルのPCMオーディオサンプルをそれぞれ2により分割する。Lチャネル分割器48の出力は、加算器50、52に提供される。Rチャネル分割器46の出力は、加算器52に提供され、また、Rチャネル分割器46の出力は反転されて、その後、加算器50にも提供される。
【0033】
加算器52の出力は、DAC12の第1のチャネルにMチャネルオーディオサンプルを提供し、加算器50の出力は、DAC12の第2のチャネルにS+チャネルオーディオサンプルを提供する。
【0034】
DAC12は、MチャネルサンプルをMアナログオーディオチャネル信号に変換し、S+チャネルサンプルをS+アナログオーディオチャネル信号に変換する。アナログオーディオ回路56により、Mアナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよく、アナログオーディオ回路54により、S+アナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい。アナログオーディオ回路54、56のオーディオ出力信号は、その後、スピーカー16、14にそれぞれ提供され、そこで、それらは、ユーザが聞くことができるように再生される。
【0035】
アナログオーディオ回路54、56は、フィルタリング、増幅、および、これらに類するもののようなオーディオ処理機能を、Mチャネルアナログ信号上およびS+チャネルアナログ信号上で実行してもよい。別個の回路として示されているが、アナログオーディオ回路54、56は、組み合わせて単一の回路にしてもよい。
【0036】
回路40を使用して、移動体ハンドセット上でM−Sステレオを実現すると、信号パス中でおよび/またはハードウェアオーディオルーティング中で改良を行わなければならないことがある。DACの入力および出力は、図6中で示されているように、L−R信号の代わりに、M−S信号を受け取って出力するように再構成される。ハンドセットスピーカーと1つのみのスピーカーフォンスピーカーとを有するハンドセット(例えば、図3の電話機30)では、Mチャネル出力を使用して、ハンドセットスピーカー(例えば、スピーカー32)を駆動し、S+チャネル出力を使用して、スピーカーフォンスピーカー(例えば、スピーカー34)を駆動する。
【0037】
回路40はまた、ハンドセットスピーカーと2つのスピーカーフォンスピーカーを有するハンドセット(例えば、図4の電話機36)中で用いてもよい。このケースでは、Mチャネル信号を使用して、通常は移動体デバイスの前面中央部分に位置するハンドセットスピーカー(例えば、32)を駆動する。1つのパス上でS+チャネルを使用して、好ましくは側面発射スピーカーである、ステレオスピーカーフォンスピーカーのうちの1つ(例えば、スピーカー38または39のいずれか)または双方を駆動する。
【0038】
図7は、図5〜図6のオーディオ回路40のデジタルドメイン42により実行される例示的なデジタル処理のさらなる詳細を示すダイヤグラムである。分割器46、48は、加算器50、52により加算されたときにオーバーフローを防ぐために、Lチャネル入力信号およびRチャネル入力信号のビット幅を増加させて、これらのデジタル信号を1ビット右に算術的にシフトさせる。1の補数反転器60は、Rチャネル信号の負の値が加算器50に提供されるようにする。加算器50、52により和がとられた後に、加算器出力のそれぞれは、1ビットだけ左シフトされて、オリジナルのビット幅にビット幅が減少される(ブロック62)。
【0039】
図8は、図1のデバイス10および図3のデバイス30中に含めることができる代替的なオーディオ回路70のある詳細を示す概略図である。オーディオ回路70は、MチャネルとSチャネルの間の利得を調節することにより、出力M−Sステレオ音場を(中央の幅およびコヒーレンスに対して)調整可能であるように、Mデジタルオーディオチャネル中およびS+デジタルオーディオチャネル中の利得を選択的に調節する手段を備えている。図8において示されているように、手段は、Mチャネル利得回路64と、S+チャネル利得回路66とを含んでいてもよい。Mチャネル利得回路64は、デジタルMチャネルオーディオ信号がDAC12により変換される前に、デジタルMチャネルオーディオ信号にMチャネル利得係数を適用し、S+チャネル利得回路66は、デジタルSチャネルオーディオ信号がDAC12により変換される前に、デジタルSチャネルオーディオ信号にS+チャネル利得係数を適用する。利得回路64、66のそれぞれは、それぞれの利得係数値により、それぞれのM−Sオーディオ信号を乗算するための乗算器を実現してもよい。利得係数値は、メモリ中に記憶されていてもよく、特定のデバイスにより再生されるM−S音場を調節するように調整されてもよい。利得値は、デバイスに対して経験的に決定することができ、製造の間にメモリ中に予めロードすることができる。代替的に、ユーザが、記憶されている利得係数値を調節して、出力音場を調整できるユーザインターフェースをデバイス中に含めてもよい。
【0040】
図9は、図1および図4のデバイス中に含めることができる別の代替的なオーディオ回路80のある詳細を示す概略図である。オーディオ回路80は、位相反転器86を含む第3のアナログオーディオ回路84を備えている。アナログ回路84は、DAC12からS+アナログオーディオチャネル出力を受け取り、例えば、スピーカー82のような第3のオーディオトランスデューサーに、反転されたサイドチャネル(S−)を出力する。アナログオーディオ回路84は、フィルタリング、増幅、および、これらに類するもののような、オーディオ処理機能を実行することができる。加えて、位相反転器86は、S+アナログ信号を反転させて、S−アナログ信号を生成させる。位相反転器86は、反転増幅器とすることができる。
【0041】
別個の回路として示されているが、アナログ回路54、56、84は、組み合わせて単一のアナログ回路にすることができる。
【0042】
ハンドセットスピーカーおよび2つのスピーカーフォンスピーカーを有するハンドセット(例えば、図4の電話機36)中で、回路80を用いてもよい。このケースでは、Mチャネル信号を使用して、通常は移動体デバイスの前面中央部分に位置するハンドセットスピーカー(例えば、32)を駆動する。1つのパス上でS+チャネルを使用して、好ましくは側面発射スピーカーである、ステレオスピーカーフォンスピーカーのうちの1つ(例えば、スピーカー38または39のいずれか)を駆動する。S−チャネルを使用して、他のスピーカーフォンスピーカーを駆動する。
【0043】
図10は、図9のオーディオ回路80中で使用することができる、差動駆動オーディオ増幅器92、94、96と、スピーカー14、16、82とを有する回路90を示すダイヤグラムである。Mチャネル差動増幅器92は、DAC12から非差動Mチャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動Mチャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー14を駆動し、Mチャネルサウンドを再生する。S+チャネル差動増幅器94は、DAC12から非差動S+チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S+チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー16を駆動し、S+チャネルサウンドを再生する。S−チャネル差動増幅器96は、DAC12から非差動S+チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S−チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー82を駆動し、S−チャネルサウンドを再生する。スピーカー82入力の極性は、S+チャネル信号を有効に反転させるために、S−チャネル差動増幅器の出力に対して逆になっており、それにより、S−チャネルオーディオを生成させる。
【0044】
図11は、図9のオーディオ回路80中で代替的に使用することができる、差動DAC102と、差動オーディオ増幅器104、106、108と、スピーカー14、16、82とを有する回路100を示すダイヤグラムである。DAC102は、DAC12の機能を実行するだけでなく、差動Mチャネルアナログ出力および差動S+チャネルアナログ出力を出力する。これらの差動M出力および差動S+出力が、差動増幅器104〜108を駆動する。差動増幅器104〜108の出力は、図10のスピーカー14、16、82と同じ方法で、スピーカー14、16、82に接続されている。
【0045】
図12は、図2のデバイス20中および図4のデバイス36中に含めることができる、例示的なオーディオ回路110のある詳細を示すダイヤグラムであり、MP3、WAV、あるいは、他のオーディオファイルまたはストリーミングオーディオ入力のような、従来のデジタル化されたL−RステレオエンコードされたソースからM−Sステレオオーディオを再生するためのものである。オーディオ回路110は、図13および図14に関連して下記でさらに詳細に説明するように、マルチチャネルDAC22およびスピーカー24、26、28とともに、オーディオチャネルを処理するための他の回路を含んでいる。オーディオ回路110は、デジタル化されたステレオLオーディオチャネル入力およびデジタル化されたステレオRオーディオチャネル入力を受け取り、入力に応答して、L−RオーディオをM−Sエンコードされたオーディオに変換し、3つのM−Sステレオチャネルを出力する:ミッドスピーカー24上のMチャネル、ならびに、S+チャネルスピーカー26上のS+チャネルおよびS−チャネルスピーカー28上のS−チャネルのおのおのである。L−RチャネルのM−Sチャネルへの変換は、方程式3〜5にしたがって実行することができる。
【0046】
図13は、図12のオーディオ回路110のある詳細を示す概略図である。DAC22より前の信号パス(例えば、デジタルオーディオポスト処理)において、L−R(左−右)ステレオ信号は、図6中で示されている回路コンポーネントにより、M−Sステレオに翻訳される。オーディオ回路110は、デジタルドメイン回路120およびアナログドメイン回路122と通信するDAC22を備えている。たいていのステレオ媒体は、L−Rステレオフォーマットで記録されている。デジタルドメイン回路120は、LおよびRのオーディオチャネルのパルスコード変調された(PCM)オーディオを受け取る。
【0047】
図7に関連して上記で論じたように、分割器46、48および加算器50、52により処理するデジタルオーディオ信号は、ビットシフトして、幅を増幅させて、その後、幅を減少させることができる。
【0048】
図6中で示されているコンポーネントに加えて、図13のデジタルドメイン回路120は、位相反転器112を備えており、これは、加算器50からのS+信号出力を180度だけ反転させて、S−デジタルオーディオチャネルを生成させる。位相反転器112は、S+信号を反転させるための1の補数回路を備えている。
【0049】
DAC22は、MチャネルサンプルをMアナログオーディオチャネル信号に変換し、S+チャネルサンプルをS+アナログオーディオチャネル信号に変換し、S−チャネルサンプルをS−アナログオーディオチャネル信号に変換する。アナログオーディオ回路114により、Mアナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい;アナログオーディオ回路116により、S+アナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい;アナログオーディオ回路118により、S−アナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい。アナログオーディオ回路114、116、118のオーディオ出力信号は、その後、スピーカー24、26、28にそれぞれ提供され、そこで、それらは、ユーザが聞くことができるように再生される。
【0050】
アナログオーディオ回路114、116、118は、それぞれ、Mチャネルアナログ信号上、S+チャネルアナログ信号上、および、S−チャネルアナログ信号上で、フィルタリング、増幅、およびこれらに類するもののような、オーディオ処理機能を実行してもよい。別個の回路として示されているが、アナログオーディオ回路114〜118は、組み合わせて単一の回路にしてもよい。
【0051】
回路110を使用して、移動体ハンドセット上でM−Sステレオを実現すると、信号パス中でおよび/またはハードウェアオーディオルーティング中で改良が行われなければならないことがある。DAC22の入力および出力は、図13中で示されているように、L−R信号の代わりに、M−S信号を受け取って出力するように再構成される。ハンドセットスピーカーと2つのスピーカーフォンスピーカーとを有するハンドセット(例えば、図4の電話機36)中で、回路110を用いてもよい。このケースでは、Mチャネル信号を使用して、通常は移動体デバイスの前面中央部分に位置しているハンドセットスピーカー(例えば、32)を駆動する。S+チャネルを使用して、好ましくは側面発射スピーカーである、ステレオスピーカーフォンスピーカーのうちの1つ(例えば、スピーカー38または39のいずれか)を駆動し、S−チャネルを使用して、他のスピーカーフォンスピーカーを駆動する。このような方法で、ステレオスピーカーフォンスピーカーを使用して、前後方向に対して垂直な、側面方向の音場を再生する。
【0052】
図14は、図2のデバイス20中および図4のデバイス36中に含めることができる代替的なオーディオ回路130のある詳細を示す概略図である。オーディオ回路130は、
MチャネルとSチャネルの間の利得を調節することにより、出力M−Sステレオ音場を(中央の幅およびコヒーレンスに対して)調節可能であるように、Mデジタルオーディオチャネル中およびSデジタルオーディオチャネル中の利得を選択的に調節する手段を備えている。図14において示されているように、手段は、Mチャネル利得回路132と、S+チャネル利得回路134と、S−チャネル利得回路136とを含んでいてもよい。Mチャネル利得回路132は、デジタルMチャネルオーディオ信号がDAC22により変換される前に、デジタルMチャネルオーディオ信号にMチャネル利得係数を適用し、S+チャネル利得回路134は、デジタルS+チャネルオーディオ信号がDAC22により変換される前に、デジタルS+チャネルオーディオ信号にS+チャネル利得係数を適用し、S−チャネル利得回路136は、デジタルS−チャネルオーディオ信号がDAC22により変換される前に、デジタルS−チャネルオーディオ信号にS−チャネル利得係数を適用する。利得回路132、134、136のそれぞれは、それぞれの利得係数値により、それぞれのM−Sオーディオ信号を乗算するための乗算器を実現してもよい。利得係数値は、メモリ中に記憶されていてもよく、特定のデバイスにより再生されるM−S音場を調節するように調整されてもよい。利得値は、デバイスに対して経験的に決定することができ、製造の間にメモリ中に予めロードすることができる。代替的に、ユーザが、記憶されている利得係数値を調節して、出力音場を調整することができるユーザインターフェースをデバイス中に含めてもよい。
【0053】
加えて、位相反転されたサイドチャネルの品質をさらに高めるために、信号の(S+,S−)サイドチャネル対にさまざまなステレオ向上技術を適用することができる。
【0054】
図15は、図13のオーディオ回路110〜図14のオーディオ回路130の中で使用することができる、差動駆動オーディオ増幅器142、144、146と、スピーカー24、26、28とを有する回路140を示すダイヤグラムである。Mチャネル差動増幅器142は、DAC22から非差動Mチャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動Mチャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー24を駆動し、Mチャネルサウンドを再生する。S+チャネル差動増幅器144は、DAC22から非差動S+チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S+チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー26を駆動し、S+チャネルサウンドを再生する。S−チャネル差動増幅器146は、DAC22から非差動S−チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S−チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー28を駆動し、S−チャネルサウンドを再生する。
【0055】
図16は、図13のオーディオ回路110中および図14のオーディオ回路130中で代替的に使用することができる、差動DAC152と、差動オーディオ増幅器142、144、146と、スピーカー24、26、28とを有する回路150を示すダイヤグラムである。DAC152は、DAC22の機能を実行するだけでなく、差動Mチャネルアナログ出力、差動S+チャネルアナログ出力、および、差動S−チャネルアナログ出力を出力する。これらの差動M出力、差動S+出力、および、差動S−出力が、差動増幅器154〜158を駆動する。差動増幅器154〜158の出力は、図15のスピーカー24、26、28と同じ方法で、スピーカー24、26、28に接続されている。
【0056】
図17は、図1〜図16に関連して説明したオーディオ回路40、70、80、110、130のうちのいずれかを実現するように使用することができるアーキテクチャ200である。アーキテクチャ200は、デジタルバス206により、メモリ204と、マルチチャネルDAC208と、アナログ回路210とに結合されている1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ202)を含んでいる。アーキテクチャ200はまた、スピーカー212、214、216のような、Mチャネルオーディオトランスデューサー、S+チャネルオーディオトランスデューサー、S−チャネルオーディオトランスデューサーを含んでいる。
【0057】
アナログオーディオ回路210は、スピーカー212〜216に対する出力であるM−Sアナログオーディオ信号を付加的に処理するためのアナログ回路を含んでいる。アナログオーディオ回路210により、サイドチャネルのフィルタリング、増幅、位相反転、および、他のオーディオ処理機能を実行することができる。
【0058】
プロセッサ202は、メモリ204中に記憶されているソフトウェアまたはファームウェアを実行して、図1〜図16に関連して説明したデジタルドメイン処理のうちのいずれかを行う。プロセッサ202は、ARM7(登録商標)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、ディスクリート論理、あるいは、これらの何らかの適切な組み合わせのような、何らかの適切なプロセッサまたは制御装置とすることができる。代替的に、プロセッサ202は、マルチプロセッサ−DSPの組み合わせのような、複数のプロセッサを有するマルチプロセッサアーキテクチャとして実現してもよい。例示的なマルチプロセッサアーキテクチャでは、ここで開示するオーディオ処理および変換のうちの少なくともいくつかを提供するように、DSPをプログラムすることができ、デバイスの動作全体を制御するように、マルチプロセッサをプログラムすることができる。
【0059】
メモリ204は、フラッシュメモリ、RAM、ROM、PROM、または、これらに類するもの、あるいは、先述のタイプのメモリの何らかの適切な組み合わせのような、プログラミングコードおよび/またはデータコンテンツを記憶するための何らかの適切なメモリデバイスであってもよい。別個のメモリデバイスもまた、アーキテクチャ200中に含めることができる。メモリは、L−Rオーディオ/M−Sオーディオ変換ソフトウェア219を含むM−Sオーディオプレーバックソフトウェア218を記憶する。メモリ218はまた、M−Sオーディオプレーバックソフトウェア218を使用してプレーバックするために、PCM、.wav、または、MP3のファイルのような、オーディオソースファイルを記憶してもよい。加えて、メモリ218はまた、図8および図14に関連して上記で説明した利得回路64、66、132、134、136のための利得係数値を記憶してもよい。
【0060】
ここで開示するように、プロセッサ202により実行したときに、M−Sオーディオプレーバックソフトウェア218は、L−R入力ステレオオーディオに応答して、M−Sエンコードされたステレオをデバイスに再生させる。ここで説明したように、プレーバックソフトウェア218はまた、L−Rエンコードされた入力ステレオ信号に応答して、M−Sエンコードされたステレオがハンドセットスピーカーおよびスピーカーフォンスピーカーにより出力されるように、オーディオ処理パスを再ルーティングし、デバイス中のリソースを再構成してもよい。L−Rオーディオ/M−Sオーディオ変換ソフトウェア219は、方程式3〜5にしたがって、デジタル化されたL−Rオーディオ信号をM−S信号に変換する。
【0061】
アーキテクチャ200のコンポーネントは、単一のチップ上に一体化してもよく、もしくは、アーキテクチャ200のコンポーネントは、別個のコンポーネントや、あるいは、内蔵コンポーネントとディスクリートコンポーネントの何らかの適切な組み合わせであってもよい。加えて、マルチメモリ構成のような、他のプロセッサ−メモリアーキテクチャを代替的に使用してもよい。
【0062】
図18は、M−Sエンコードされたサウンドをデバイスにおいて再生する方法を示すフローチャート300である。ブロック302において、LステレオチャネルおよびRステレオチャネルが、M−Sオーディオ信号に変換される。ここで説明する回路および/またはソフトウェアを使用して、方程式3〜5にしたがって変換を実行することができる。
【0063】
図8または図14のいずれかに関連して上記で説明したように、ブロック304において、M−Sオーディオ信号をバランスさせるために、オプション的に利得係数を適用する。
【0064】
図1および図2に関連して説明したように、ブロック306において、デジタルM−Sオーディオ信号上でデジタルアナログ変換を実行し、アナログM−Sステレオ信号を生成させる。
【0065】
ブロック308において、M−Sエンコードされた信号をデバイスにおいて再生するために、スピーカーのようなオーディオトランスデューサーが、アナログM−Sステレオ信号により駆動される。ここで説明するように、M−Sチャネルのうちの2つまたは3つのいずれかをデバイスにより再生することができる。
【0066】
図19は、ワイヤードリンク405を通して接続されている別個のアクセサリデバイス404上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生する移動体デバイス402を含むシステム400を示すダイヤグラムである。移動体デバイス402は、DAC12を含んでおり、移動体デバイス402は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図5、図6、図8、および図9に関連して上記で説明したように、移動体デバイス402は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC12を含むように構成されている。
【0067】
アクセサリデバイス404は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス404は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス404は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス404は、ワイヤードリンク405を経由して、Mチャネルアナログオーディオ出力およびS+チャネルアナログオーディオ出力をDAC12から受け取る。アクセサリデバイス404は、Mチャネルスピーカー14を駆動するためのMチャネルオーディオ増幅器410と、S+チャネルスピーカー16を駆動するためのS+チャネルオーディオ増幅器412と、S−チャネルスピーカー408を駆動するS−チャネル信号を生成させるための、S+チャネル増幅器412の出力に応答する反転オーディオ増幅器414とを含んでいる。
【0068】
図20は、ワイヤードリンク505を通して接続されている別個のアクセサリデバイス504上で、差動エンコードされたM−Sエンコードサウンドを再生する移動体デバイス502を含むシステム500を示すダイヤグラムである。移動体デバイス502は、差動DAC102を含んでおり、移動体デバイス502は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図5、図6、図8、および、図9に関連して上記で説明したように、移動体デバイス502は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理と、差動DAC102とを含むように構成されている。
【0069】
アクセサリデバイス504は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス504は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス504は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス504は、ワイヤードリンク505により、差動MチャネルおよびS+チャネルアナログオーディオ出力をDAC102から受け取る。アクセサリデバイス504は、Mチャネルスピーカー14を駆動するための差動Mチャネルオーディオ増幅器104と、S+チャネルスピーカー16を駆動するための差動S+チャネルオーディオ増幅器106と、S−チャネルスピーカー82を駆動するS−チャネル信号を生成させるための、DAC102のS+チャネル出力の出力に応答する差動S−チャネルオーディオ増幅器108とを含んでいる。差動S+チャネル信号の極性は、S+チャネル信号を有効に反転させるために、S−チャネル差動増幅器108への入力として逆にされており、それにより、S−チャネルオーディオを生成させる。
【0070】
図21は、ワイヤードリンク605を通して接続されている別個のアクセサリデバイス604上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための、M信号、S+信号、S−信号を出力する移動体デバイス602を含むシステム600を示すダイヤグラムである。移動体デバイス602は、DAC22を含んでおり、移動体デバイス602は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図12〜図14に関連して上記で説明したように、移動体デバイス602は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC22を含むように構成されている。
【0071】
アクセサリデバイス604は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス604は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス604は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス604は、ワイヤードリンク605を経由して、Mチャネルアナログオーディオ出力、S+チャネルアナログオーディオ出力、および、S−チャネルアナログオーディオ出力をDAC22から受け取る。アクセサリデバイス604は、Mチャネルスピーカー24を駆動するためのMチャネルアナログ増幅器142と、S+チャネルスピーカー26を駆動するためのS+チャネルオーディオ増幅器144と、S−チャネルスピーカー28を駆動するためのS−チャネルオーディオ増幅器146とを含んでいる。
【0072】
図22は、ワイヤードリンク705を通して接続されている別個のアクセサリデバイス706上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための、M差動信号、S+差動信号、S−差動信号を出力する移動体デバイス702を含むシステム700を示すダイヤグラムである。移動体デバイス702は、差動DAC152を含んでおり、移動体デバイス702は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図12〜図14に関連して上記で説明したように、移動体デバイス702は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理と、差動DAC152とを含むように構成されている。
【0073】
アクセサリデバイス704は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス704は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス704は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路のうちの少なくともいくつかを含んでいる。アクセサリデバイス704は、ワイヤードリンク705を経由して、差動Mチャネルアナログオーディオ出力、差動S+チャネルアナログオーディオ出力、および、差動S−チャネルアナログオーディオ出力をDAC152から受け取る。アクセサリデバイス704は、Mチャネルスピーカー24を駆動するための差動Mチャネルオーディオ増幅器154と、S+チャネルスピーカー26を駆動するための差動S+チャネルオーディオ増幅器156と、S−チャネルスピーカー28を駆動するための差動S−チャネルオーディオ増幅器158とを含んでいる。
【0074】
図23は、別個のアクセサリデバイス804上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号をアナログワイヤレスリンク805上で出力する移動体デバイス802を含むシステム800を示すダイヤグラムである。移動体デバイス802は、DAC22を含んでおり、移動体デバイス802は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図12〜図14に関連して上記で説明したように、移動体デバイス802は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC22を含むように構成されている。これに加えて、移動体デバイス802は、ワイヤレスリンク805を通してアクセサリデバイス804にMアナログチャネル、S+アナログチャネル、および、S−アナログチャネルを送信するためのワイヤレスアナログインターフェース808およびアンテナ810を含んでいる。
【0075】
アクセサリデバイス804は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス804は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス804は、移動体デバイス802からのM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路のうちの少なくともいくつかを含んでいる。アクセサリデバイス804は、Mアナログチャネル、S+アナログチャネル、および、S−アナログチャネルを移動体デバイス802から受け取るためのワイヤレスアナログインターフェース814およびアンテナ812を含んでいる。ワイヤレスインターフェース814は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス804中に含まれている増幅器およびスピーカー816に、M−Sチャネルを提供する。増幅器およびスピーカー816は、ここで図15および図21の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含んでことができる。
【0076】
図23Aは、別個のアクセサリデバイス809上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号のみをアナログワイヤレスリンク805上で出力する移動体デバイス807を含むシステム825を示すダイヤグラムである。移動体デバイス802は、DAC12を含んでいてもよく、移動体デバイス802は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図6および図8に関連して上記で説明したように、移動体デバイス807は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC12を含むように構成されている。これに加えて、移動体デバイス807は、ワイヤレスリンク805を通してアクセサリデバイス809にMアナログチャネル、S+アナログチャネルを送信するためのワイヤレスアナログインターフェース808およびアンテナ810を含んでいる。
【0077】
アクセサリデバイス809は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス809は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス809は、移動体デバイス807からのM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路のうちの少なくともいくつかを含んでいる。アクセサリデバイス809は、Mアナログチャネル、S+アナログチャネルを移動体デバイス802から受け取るためのワイヤレスアナログインターフェース814およびアンテナ812を含んでいる。ワイヤレスインターフェース814は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス809中に含まれている増幅器およびスピーカー817にM−Sチャネルを提供する。増幅器およびスピーカー817は、ここで図10および図19の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0078】
図24は、別個のアクセサリデバイス854上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号をデジタルワイヤレスリンク855上で出力する移動体デバイス852を含むシステム850を示すダイヤグラムである。移動体デバイス852は、ここで図13〜図14に関連して説明した、M−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでおり、移動体デバイス852は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス852は、ワイヤレスリンク855を通してアクセサリデバイス854にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを送信するためのワイヤレスデジタルインターフェース858およびアンテナ860を含んでいる。
【0079】
ブルートゥース(登録商標)またはWiFi(登録商標)のような、何らかの適切なワイヤレスプロトコルおよびコンポーネントを使用して、デジタルワイヤレスリンク855を実現することができる。デジタルワイヤレスリンク855を通してMデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオ、および、S−デジタルオーディオをデータとして運ぶための適切なデジタルデータフォーマットは、SPDIFまたはHDMIである。
【0080】
アクセサリデバイス854は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス854は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス854は、DACと、移動体デバイス852から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路とを含んでいる。アクセサリデバイス854は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを移動体デバイス852から受け取るためのワイヤレスデジタルインターフェース864およびアンテナ862を含んでいる。ワイヤレスデジタルインターフェース864は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス854中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー866にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明する3チャネルのDAC22、152のうちのいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図15、図16、および、図21の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0081】
図25は、別個のアクセサリデバイス904上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号のみをワイヤレスリンク905上で出力する移動体デバイス902を含むシステム900を示すダイヤグラムである。移動体デバイス902は、ここで図6および図8に関連して説明した、M−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでおり、移動体デバイス902は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス902は、ワイヤレスリンク905を通してアクセサリデバイス904にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを送信するためのワイヤレスデジタルインターフェース908およびアンテナ910を含んでいる。
【0082】
ブルートゥースまたはWi−Fiのような、何らかの適切なワイヤレスプロトコルおよびコンポーネントを使用して、デジタルワイヤレスリンク905を実現することができる。デジタルワイヤレスリンク905を通してMデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオ、および、S−デジタルオーディオをデータとして運ぶための適切なデジタルデータフォーマットは、SPDIFまたはHDMIである。
【0083】
アクセサリデバイス904は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス904は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス904は、DACと、移動体デバイス902から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス904は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを移動体デバイス902から受け取るためのワイヤレスデジタルインターフェース914およびアンテナ912を含んでいる。ワイヤレスインターフェース914は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス904中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー916にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明した2チャネルのDAC12、102のいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図10および図11の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0084】
図26は、別個のアクセサリデバイス857上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号をデジタルワイヤードリンク861上で出力する移動体デバイス853を含むシステム870を示すダイヤグラムである。移動体デバイス853は、ここで図13〜図14に関連して説明した、M−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでおり、移動体デバイス853は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス853は、ワイヤードリンク861を通してアクセサリデバイス857にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを送信するためのデジタルインターフェース859を含んでいる。
【0085】
デジタルワイヤードリンク861を通して、Mデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオ、および、S−デジタルオーディオをデータとして運ぶための、SPDIFまたはHDMIのような、何らかの適切なデジタルデータフォーマットを使用して、デジタルワイヤードリンク861を実現することができる。
【0086】
アクセサリデバイス857は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス857は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス857は、DACと、移動体デバイス853から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路とを含んでいる。アクセサリデバイス857は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを移動体デバイス853から受け取るためのデジタルインターフェース863を含んでいる。デジタルインターフェース863は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス857中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー866にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明した3チャネルのDAC22、152のいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図15、図16、および、図21の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0087】
図26Aは、別個のアクセサリデバイス913上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号のみをワイヤードリンク861上で出力する移動体デバイス903を含むシステム925を示すダイヤグラムである。移動体デバイス903は、ここで図6および図8に関連して説明したM−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでいてもよく、移動体デバイス903は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス903は、ワイヤードリンク861を通してアクセサリデバイス913にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを送信するためのデジタルインターフェース859を含んでいる。
【0088】
デジタルワイヤードリンク861を通して、Mデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオをデータとして運ぶための、SPDIFまたはHDMIのような、何らかの適切なデジタルデータフォーマットを使用して、デジタルワイヤードリンク861を実現することができる。
【0089】
アクセサリデバイス913は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス913は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス913は、DACと、移動体デバイス903から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路とを含んでいる。アクセサリデバイス913は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを移動体デバイス903から受け取るためのデジタルインターフェース863を含んでいる。デジタルインターフェース863は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス913中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー916にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明したような2チャネルのDAC12、102のいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図10および図11の増幅器およびスピーカーに対して示し、説明したこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0090】
移動体デバイスまたはアクセサリデバイスは、図19〜図26Aに関連して上記で説明した移動体デバイスとアクセサリデバイスの間のインターフェースおよび通信スキームの何らかの適切な組み合わせを含むように構成することができる。
【0091】
システム、デバイス、アクセサリ、装置、および、これらのそれぞれのコンポーネントの機能性とともに、ここで説明した方法ステップおよびブロックは、ハードウェアで、ソフトウェアで、ファームウェアで、または、これらの何らかの適切な組み合わせで実現してもよい。ソフトウェア/ファームウェアは、マイクロプロセッサ、DSP、組み込み制御装置、または、知的財産(IP)コアのような、1つ以上のデジタル回路により実行可能な1組の命令(例えば、コードセグメント)を有するプログラムであってもよい。ソフトウェア/ファームウェアで実現した場合、機能は、命令またはコードとして、1つ以上のコンピュータ読取可能媒体上に記憶されてもよく、あるいは、命令またはコードとして、1つ以上のコンピュータ読取可能媒体上に送信されてもよい。コンピュータ読取可能媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を促進する何らかの媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の双方を含む。記憶媒体は、コンピュータによりアクセスできる何らかの利用可能な媒体であってもよい。例として、これらに限定されないが、このようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、コンピュータによりアクセスでき、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを伝送または記憶するために使用できる他の何らかの媒体を含むことができる。また、あらゆる接続は、コンピュータ読取可能媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブルや、光ファイバケーブルや、撚り対や、デジタル加入者線(DSL)や、あるいは、赤外線、無線、および、マイクロ波のようなワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または、他の遠隔ソースから送信される場合には、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対、DSL、あるいは、赤外線、無線、および、マイクロ波のようなワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ここで使用したようなディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、および、ブルーレイ(登録商標)ディスクを含むが、一般的に、ディスク(disk)は、データを磁気的に再生する一方で、ディスク(disc)は、データをレーザによって光学的に再生する。先のものを組み合わせたものもまた、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含められるべきである。
【0092】
ある実施形態を説明してきた。しかしながら、これらの実施形態に対するさまざま改良が可能であり、ここで提示されている原理は、他の実施形態にも適用してもよい。例えば、ここで開示されている原理は、ここで特に説明したもの以外のデバイスに適用してもよい。加えて、特許請求の範囲から逸脱することなく、特に開示したもの以外の構成で、さまざまなコンポーネントおよび/または方法ステップ/ブロックを実現してもよい。
【0093】
これらの教示を考慮すると、他の実施形態および改良が容易に当事者の心に浮かぶだろう。それゆえ、以下の特許請求の範囲は、上記の明細書および添付の図面とともに考えるときに、このようなすべての実施形態および改良をカバーするように意図されている。
【背景】
【0001】
米国特許法第119条の下での優先権の主張
本特許出願は、“移動体デバイス上のM−Sステレオ音響”と題する、2009年6月25日に出願された仮出願第61,220,497号と、“移動体デバイス上のM−Sステレオ音響”と題する、2009年7月27日に出願され、その譲受人に譲渡された仮出願第61,228,910号とに対する優先権を主張する。
【0002】
分野
本開示は、一般的にステレオオーディオに関し、さらに詳細には、ミッド−サイド(M−S)ステレオ再生に関する。
【0003】
背景
ステレオサウンド記録技術は、サウンドソースの相対的なポジションをオーディオ記録にエンコードすることを目的とし、ステレオ再生技術は、これらの相対的なポジションの感覚で、記録されたサウンドを再生することを目的としている。ステレオシステムは、2つ以上のチャネルを伴うことができるが、オーディオ記録の分野では2チャネルシステムが主流を占めている。2本のマイクロフォンを使用するステレオ記録技術には、多くのマイクロフォン配置技術がある。しかしながら、典型的な2チャネルシステムでは、2つのチャネルは、通常、左(L)および右(R)として知られている。LチャネルおよびRチャネルは、リスナーの前面にある音場に関連する情報を伝える。特に、Lチャネルは、一般的に音場の左側に位置するサウンドについての情報を運び、Rチャネルは、一般的に音場の右側に位置するサウンドについての情報を運ぶ。LチャネルおよびRチャネルのステレオ信号を再生するための非常に人気のある手段は、間隔が離れた左右2つのラウドスピーカーにより、チャネルを出力することである。
【0004】
代替的なステレオ記録技術は、ミッド−サイド(M−S)ステレオとして知られている。M−Sステレオ記録は、1930年代から知られているものである。これは、より一般的な左右ステレオ記録技術とは異なるものである。M−Sステレオ記録では、マイクロフォン配置は、2本のマイクロフォンを伴う:音場の中央部分を捕捉するように音場の前面に面しているカージオイドマイクロフォンまたは8字型マイクロフォンであるミッドマイクロフォンと、音場の左側と右側にあるサウンドを捕捉するための、横向きに面した、すなわち、ミッドマイクロフォンの軸に垂直な、8字型マイクロフォンであるサイドマイクロフォンである。
【0005】
L−RステレオおよびM−Sステレオの2つの記録技術は、それぞれ、記録されたオーディオを1対のステレオスピーカーを通して再生するときに、リスナーに対してステレオサウンドの感覚を生成させることができる。典型的に、M−Sステレオ記録は、プレーバックの前にL−Rチャネルに変換され、その後、L−Rスピーカーを通してブロードキャストされる。以下の方程式を使用して、M−SステレオチャネルをLおよびRのステレオチャネルに変換してもよい:
Lチャネル=ミッド+サイド 式1
Rチャネル=ミッド−サイド 式2
最も商業的な2チャネルステレオサウンド記録は、数メートル間隔が離れたラウドスピーカーによる最適な再生のためにミキシングされる。ハンドヘルド移動体デバイスのような、小型の単一のユニットからステレオサウンドを再生することが望ましい場合には、このラウドスピーカーの間隔は実現可能ではない。
【概要】
【0006】
何らかのデバイス(例えば、移動体ハンドセット)の小型のサイズおよび形のために、満足の行くステレオサウンドを達成することは一般的に難しい。これらのデバイスにおいて、従来のL−Rステレオ再生は、デバイス中に典型的に含まれているラウドスピーカーに悩まされており、リスナーに対して所望のレベルのステレオ感覚を生成することができていない。実際、いくつかのデバイスには、モノスピーカーフォンのみが付いており、ここでは、既知のデバイスコンフィギュレーションを使用してのステレオサウンドがまったく可能ではなかった。したがって、相対的に小型のデバイス上でのステレオオーディオ再生を改善する必要性がある。
【0007】
ここで開示する技術は、スピーカーフォンとともに、すべての移動体ハンドセットに装備されているハンドセットスピーカーを使用して、ハンドセット上で新しくかつ改善されたステレオ音響を作ることができる。モノスピーカーフォンを有するデバイスにより、デバイスの音場を、モノ音響以外のより興味深いサウンド経験へと高めることができる。加えて、ほんの少しの付加的な計算コストで、ステレオスピーカーフォン(すなわち、2つ以上のスピーカーフォン)を持つデバイスのステレオ音場を音響的に広げることができる。
【0008】
ある態様にしたがうと、デバイスにおいてM−Sエンコードされたサウンドを出力する方法は、デバイス中に含まれているデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号およびデジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取ることを含んでいる。DACは、デジタル化されたミッドオーディオ信号およびデジタル化されたサイドオーディオ信号を、それぞれ、アナログミッドオーディオ信号とアナログサイドオーディオ信号とに変換する。ミッドチャネルサウンドは、デバイス中に含まれている第1のトランスデューサーにおいて出力され、サイドチャネルサウンドは、デバイス中に含まれている第2のトランスデューサーにおいて出力される。
【0009】
別の態様にしたがうと、M−Sエンコードされたサウンドの再生のための装置は、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)を具備している。DACは、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、アナログミッドオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、アナログサイドオーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有している。
【0010】
別の態様にしたがうと、M−Sエンコードされたサウンドの再生のための装置は、デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号に応答する第1の2分割回路と;デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号に応答する第2の2分割回路と;第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との和をとる和算器と;第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との差を決定する減算器と;和算器からのデジタル化された和オーディオ出力に応答する第1のチャネル入力と、アナログ和オーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、減算器からのデジタル化された差オーディオ出力に応答する第2のチャネル入力と、アナログ差オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有する、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)と;アナログ和オーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを生成させる第1のスピーカーと;アナログ差信号に応答して、サイドチャネルサウンドを生成させる第2のスピーカーとを具備する。
【0011】
さらなる態様にしたがうと、装置は、デジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る手段と;DACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る手段と;デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換する手段と;デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換する手段と;アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力する手段と;アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力する手段とを具備する。
【0012】
さらなる態様にしたがうと、1つ以上のプロセッサにより実行可能な1組の命令を具現化するコンピュータ読取可能媒体は、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取るためのコードと;マルチチャネルDACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取るためのコードと;デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換するためのコードと;デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換するためのコードと;アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力するためのコードと;アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力するためのコードとを含む。
【0013】
以下の図面および詳細な説明を考察すると、他の態様、特徴、および、利点が、当業者にとって明らかであるだろう、または、明らかになるだろう。このようなすべての付加的な特徴、態様、および、利点を、本説明内に含め、添付の特許請求の範囲により保護することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図は、単に例示の目的のためのものに過ぎないことを理解すべきである。さらに、図面中のコンポーネントは必ずしもスケーリングしておらず、それよりむしろ、ここで説明する技術の原理を示すことに重点が置かれている。図面では、同一の参照番号は、異なるビュー全体を通して、対応するパーツを示している。
【図1】図1は、1対のスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイスのダイヤグラムである。
【図2】図2は、3つのスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイスのダイヤグラムである。
【図3】図3は、2つのスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的な移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図4】図4は、3つのスピーカーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的な移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図5】図5は、図1および図3のデバイス中に含めることができる例示的なオーディオ回路のある詳細を示すダイヤグラムである。
【図6】図6は、図5のオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図7】図7は、図5〜図6のオーディオ回路により実行される例示的なデジタル処理の詳細を示すダイヤグラムである。
【図8】図8は、図1および図3のデバイス中に含めることができる代替的なオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図9】図9は、図1および図4のデバイス中に含めることができる別の代替的なオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図10】図10は、図9のオーディオ回路中で使用することができる差動駆動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図11】図11は、図9のオーディオ回路中で使用することができる差動DAC、差動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図12】図12は、図2および図4のデバイス中に含めることができる例示的なオーディオ回路のある詳細を示すダイヤグラムである。
【図13】図13は、図12のオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図14】図14は、図2および図4のデバイス中に含めることができる代替的なオーディオ回路のある詳細を示す概略図である。
【図15】図15は、図12〜図14のオーディオ回路中で使用することができる差動駆動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図16】図16は、図12〜図14のオーディオ回路中で使用することができる差動DAC、差動オーディオ増幅器およびスピーカーの詳細を示すダイヤグラムである。
【図17】図17は、図1〜図16に関連して説明するオーディオ回路のうちのいずれかを実現するために使用することができるアーキテクチャである。
【図18】図18は、デバイスにおいて、M−Sエンコードされたサウンドを再生する方法を示すフローチャートである。
【図19】図19は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図20】図20は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、差動的にエンコードされたM−Sエンコードサウンドを再生する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図21】図21は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図22】図22は、ワイヤードリンクを通して接続されている別個のアクセサリデバイス上で、差動的なM−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図23】図23は、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリデバイス上で再生するために、M信号、S+信号、S−信号をアナログワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図23A】図23Aは、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリデバイス上で再生するために、M信号、S+信号のみをアナログワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図24】図24は、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリ上で再生するために、M信号、S+信号、S−信号をデジタルワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図25】図25は、M−Sエンコードされたサウンドを別個のアクセサリ上で再生するために、M信号、S+信号のみをワイヤレスリンク上で出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図26】図26は、デジタルワイヤードリンクで移動体デバイスに接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M−S信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【図26A】図26Aは、デジタルワイヤードリンクで移動体デバイスに接続されている別個のアクセサリデバイス上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M−S信号を出力する移動体デバイスを示すダイヤグラムである。
【詳細な説明】
【0015】
図を参照し、図を具体化する以下の詳細な説明は、1つ以上の特定の実施形態を説明し、示している。限定するためではなく、例示および教示するために提供されているこれらの実施形態は、クレームされていることを当業者が実施できるように、十分に詳細に示され、説明されている。したがって、簡潔さのために、説明は、当業者に知られているある情報を省略することがある。
【0016】
本開示全体を通して、“例として、事例として、あるいは例示として役割を果たすこと”を意味するように、“例示的な”という単語を使用する。“例示的な”ものとしてここで説明するあらゆるものは、他のアプローチまたは特徴と比較して、必ずしも好ましいものとして、または、利益のあるものとして、解釈すべきではない。
【0017】
図1は、例えば、スピーカー14、16のような、1対のオーディオトランスデューサーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイス10のダイヤグラムである。デバイス10は、デジタルアナログ変換器(DAC)12を含んでいる。第1のスピーカー14は、ミッド(M)チャネルを出力し、第2のスピーカー16は、サイドチャネルのうちの1つ(S+)を出力する。デバイス10は、1対の類似したサイズのステレオスピーカーが生成させることができる魅力的なステレオ音場を生成させ、オーディオトランスデューサー(スピーカー14、16)はすべて、単一のボックス11中に収められている。
【0018】
デバイス10は、スピーカーボックス、ステレオシステムコンポーネント、ラップトップコンピュータ、ゲーミングコンソール、セルラ電話機や、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)や、ゲーミングデバイスや、または、これらに類するもののようなハンドヘルドデバイス等の、サウンドを再生するのに適した何らかの電子デバイスであってもよい。
【0019】
DAC12は、デジタル化されたミッド(M)オーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、デジタル化されたMオーディオ信号に応答して、アナログMオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力とを有する何らかの適切なマルチチャネルDACとすることができる。DAC12はまた、デジタル化されたサイド(S+)オーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、デジタル化されたS+オーディオ信号に応答して、アナログS+オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを含むことができる。DACは、移動局モデム(MSM)チップのようなチップ上の統合通信システム中に含めてもよい。
【0020】
移動体セルラハンドセットのような、典型的な移動体デバイスは、小型のボックスを有しており、ここでは、サイズ制限のために、2つのスピーカーをそれほど遠くに離すことができない。こうしたデバイスは、ここで開示するM−Sステレオ再生技術に適している。最も商業的に入手可能な移動体ハンドセットは、(通話を行うための)ハンドセットモードと、スピーカーフォンモード(ハンズフリー電話機通話または野外での音楽のリスニング)の双方をサポートしているので、これらの2つのタイプのスピーカーは、既に多くのハンドセット上に設置されている。音声通信には1つのチャネルで十分なので、ハンドセットスピーカーは、通常、モノである。スピーカーフォンスピーカーは、モノまたはステレオのいずれかとすることができる。
【0021】
M−Sエンコードされたサウンドを再生するためにハンドセットスピーカー32と単一のモノスピーカーフォンスピーカー34とを有するセルラ電話機30の例が、図3において示されている。いくつかのセルラ電話機で典型的なように、ハンドセットスピーカー32は、ユーザの耳のすぐ隣になるように、デバイス30の中央前面に位置しているので、ミッドチャネル出力のために使用することができる。たいていの電話機では、スピーカーフォンスピーカーは、前面発射(電話機の前面に位置している)、側面発射(電話機の側面に位置している)、または、背面に位置しているかのいずれかである。図3の例では、スピーカーフォンスピーカー34は、電話機30の背面近くに位置している。たとえ、スピーカーフォンスピーカー34がモノであったとしても、モノスピーカー34において1つのサイドチャネル(例えば、S+)を再生することができる。スピーカーフォンスピーカー34の位置が、ハンドセットスピーカー32から比較的遠くに離れている場合に、より興味深い音響を再生することができる。
【0022】
従来のセルラハンドセットでは、ハンドセットスピーカーとスピーカーフォンスピーカーを同時に使用することはないので、従来のハンドセットは、ハンドセットスピーカーとスピーカーフォンスピーカーの双方において同時にサウンドを出力するように構成されていない。スピーカーを共に使うことがない主な理由は、従来のハンドセットは、通常、(1対の)スピーカーのいずれかを駆動するように、1つのステレオデジタルアナログ変換器(DAC)のみを有しており、スピーカーをすべて同時に駆動するには付加的なDACが必要とされるからである。付加的なDACの追加は、製造コストの著しい増加を意味する。ここで開示する改良で、既存のステレオDACを持つハンドセット上で、M−Sエンコードされたステレオを再生することが可能である。ハンドセットスピーカーおよびスピーカーフォンスピーカーへのオーディオ出力は、M−Sエンコードされたステレオを再生するためにデバイス全体が利用可能であるように調整されており、既存のスピーカーフォンスピーカーだけを使用するよりも、より良好な音場を達成する。
【0023】
移動体デバイス内のスピーカーフォンスピーカーがモノである(すなわち、1つのスピーカーフォンスピーカーのみがデバイス中に含まれている)場合には、図5、図6、および、図8において示されているもののように、ここで下記でさらに説明する、この例における回路信号ルーティングを実現することができる。このケースでは、サイドチャネルを直接使用して、モノスピーカーフォンスピーカー34を駆動し、ミッドチャネルが、ハンドセットスピーカー32を駆動している。音響的に、この方法で再生される音場は、真のM−Sステレオではないが、ハンドセットスピーカー32は、ユーザに面した前面に位置しており、モノスピーカーフォン34は、デバイス30の背面に位置している可能性が高いので、合成された音響は、モノスピーカーフォンのケースを改善したものである。2つのスピーカーと、何らかの良好なステレオソースマテリアルがあると、共に働く2つのスピーカー32、34が、空間的なサウンドパターンを著しく多様化させ、前面のハンドセットスピーカー32から、ステレオ場の共通(和またはミッド)信号を分散させ、デバイスボックス中の異なる位置にある別のスピーカー34から、差(サイドチャネル)信号を分散させる。結果の音場は、1つのモノスピーカーのみを持つデバイスよりも、非常にステレオらしいものになるだろう。
【0024】
ここで図2に戻ると、この図面は、例えば、スピーカー24、26、28のような、3つのオーディオトランスデューサーを使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なデバイス20のダイヤグラムである。デバイス20は、DAC22を含んでいる。第1のスピーカー24は、ミッド(M)チャネルを出力し、第2のスピーカー26は、サイドチャネルのうちの1つ(S+)を出力し、第3のスピーカー28は、他のサイドチャネル(S−)を出力する。S+オーディオチャネルおよびS−オーディオチャネルは、おおよそ180度だけ位相反転されている。スピーカー26およびスピーカー28を使用して、位相打ち消しサイドチャネルを生成させることができる。
【0025】
デバイス20は、スピーカーボックス、ステレオシステムコンポーネント、ラップトップコンピュータ、ゲーミングコンソール、セルラ電話機や、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)や、ゲーミングデバイスや、または、これらに類するもののようなハンドヘルドデバイス等の、サウンドを再生するのに適した何らかの電子デバイスであってもよい。
【0026】
DAC22は、デジタル化されたミッド(M)オーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、デジタル化されたMオーディオ信号に応答して、アナログMオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力とを有する何らかの適切なマルチチャネルDACとすることができる。DAC22はまた、デジタル化されたサイド(S+)オーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、デジタル化されたS+オーディオ信号に応答して、アナログS+オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを含んでいる。DAC22はさらに、デジタル化されたサイド(S−)オーディオ信号を受け取る第3のチャネル入力と、デジタル化されたS−オーディオ信号に応答して、アナログS−オーディオ信号を提供する第3のチャネル出力とを含んでいる。DACは、移動局モデム(MSM)チップのようなチップ上の統合通信システム中に含まれていてもよい。
【0027】
図4は、3つのスピーカー32、38、39を使用して、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための例示的なセルラ電話機36を示すダイヤグラムである。ハンドセットスピーカー32は、電話機36の前面中央に位置しており、スピーカーフォンスピーカー38、39は、ステレオオーディオを出力するための側面発射スピーカーである。M−Sエンコードされたステレオを出力するように電話機36が構成されているときに、ハンドセットスピーカー32はMチャネルを出力し、スピーカーフォンスピーカー38、39は、位相打ち消しサイドチャネルS+およびS−を生成させるために使用される。
【0028】
ここで開示するように、移動体ハンドセット上のM−Sステレオ音響の利益は、次のように要約することができる:移動体デバイスは、従来のL−Rステレオオーディオ記録を受け入れることができる。デバイスプロセッサ上のM−Sオーディオの追加の計算負荷は最小のものである。M−S技術は、既存の移動体ハンドセットハードウェアアセット(スピーカー)をより十分に利用する。ミッドチャネルとサイドチャネルの間の利得をバランスさせることにより、出力M−Sステレオ音場を(中央の幅およびコヒーレンスに対して)調整可能である。図3〜図4に示されているような典型的なスピーカーコンフィギュレーションに対して、ステレオ拡張を容易に達成することができ、有効な音場のサイズを増加させることができる。これは、ステレオサウンドファイルをプレーするときに、音響をより享受できるように、図3において示されているもののような、モノスピーカーフォンデバイスを強化する。
【0029】
図5は、図1のデバイス10および図3のデバイス30中に含めることができる、例示的なオーディオ回路40のある詳細を示すダイヤグラムであり、MP3、WAV、あるいは、他のオーディオファイルまたはストリーミングオーディオ入力のような、従来のデジタル化されたL−RステレオエンコードされたソースからM−Sステレオオーディオを再生するためのものである。オーディオ回路40は、図6および図7に関連して下記でさらに詳細に説明するように、マルチチャネルDAC12およびスピーカー14、16とともに、オーディオチャネルを処理するための他の回路を含んでいる。オーディオ回路40は、デジタル化されたステレオLオーディオチャネル入力およびデジタル化されたステレオRオーディオチャネル入力を受け取り、入力に応答して、L−RオーディオをM−Sエンコードされたオーディオに変換し、M−Sステレオチャネルのうちの2つを出力する:ミッドスピーカー14上のMチャネルと、サイドスピーカー16上の(例において示されているような)S+チャネルまたはS−チャネルのいずれかとである。
【0030】
オーディオ回路40は、以下の関係にしたがって、LおよびRのステレオチャネルを、対応するM−Sチャネルに変換してもよい:
M=(L+R)/2 式3
S+=(L−R)/2 式4
S−=(R−L)/2 式5
方程式3〜5では、Mは、ミッドチャネルオーディオ信号を表し、Lは、左チャネルオーディオ信号を表し、Rは、右チャネルオーディオ信号を表し、S−は、位相反転されたサイドチャネルオーディオ信号を表し、S+は、反転されていないサイドチャネルオーディオ信号を表す。オーディオ回路40により、方程式3〜5の他のバリエーションを用いて、L−RステレオをM−Sステレオに変換してもよい。
【0031】
図6は、図5のオーディオ回路40のある詳細を示す概略図である。DAC12より前の信号パス(例えば、デジタルオーディオポスト処理)において、L−R(左−右)ステレオ信号は、図6中で示されている回路コンポーネントにより、M−Sステレオに翻訳される。
【0032】
オーディオ回路40は、デジタルドメイン回路42およびアナログドメイン回路44と通信するDAC12を含んでいる。たいていのステレオ媒体は、L−Rステレオフォーマットで記録されている。デジタルドメイン回路42は、LおよびRのオーディオチャネルのパルスコード変調された(PCM)オーディオを受け取る。分割器46、48は、RおよびLチャネルのPCMオーディオサンプルをそれぞれ2により分割する。Lチャネル分割器48の出力は、加算器50、52に提供される。Rチャネル分割器46の出力は、加算器52に提供され、また、Rチャネル分割器46の出力は反転されて、その後、加算器50にも提供される。
【0033】
加算器52の出力は、DAC12の第1のチャネルにMチャネルオーディオサンプルを提供し、加算器50の出力は、DAC12の第2のチャネルにS+チャネルオーディオサンプルを提供する。
【0034】
DAC12は、MチャネルサンプルをMアナログオーディオチャネル信号に変換し、S+チャネルサンプルをS+アナログオーディオチャネル信号に変換する。アナログオーディオ回路56により、Mアナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよく、アナログオーディオ回路54により、S+アナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい。アナログオーディオ回路54、56のオーディオ出力信号は、その後、スピーカー16、14にそれぞれ提供され、そこで、それらは、ユーザが聞くことができるように再生される。
【0035】
アナログオーディオ回路54、56は、フィルタリング、増幅、および、これらに類するもののようなオーディオ処理機能を、Mチャネルアナログ信号上およびS+チャネルアナログ信号上で実行してもよい。別個の回路として示されているが、アナログオーディオ回路54、56は、組み合わせて単一の回路にしてもよい。
【0036】
回路40を使用して、移動体ハンドセット上でM−Sステレオを実現すると、信号パス中でおよび/またはハードウェアオーディオルーティング中で改良を行わなければならないことがある。DACの入力および出力は、図6中で示されているように、L−R信号の代わりに、M−S信号を受け取って出力するように再構成される。ハンドセットスピーカーと1つのみのスピーカーフォンスピーカーとを有するハンドセット(例えば、図3の電話機30)では、Mチャネル出力を使用して、ハンドセットスピーカー(例えば、スピーカー32)を駆動し、S+チャネル出力を使用して、スピーカーフォンスピーカー(例えば、スピーカー34)を駆動する。
【0037】
回路40はまた、ハンドセットスピーカーと2つのスピーカーフォンスピーカーを有するハンドセット(例えば、図4の電話機36)中で用いてもよい。このケースでは、Mチャネル信号を使用して、通常は移動体デバイスの前面中央部分に位置するハンドセットスピーカー(例えば、32)を駆動する。1つのパス上でS+チャネルを使用して、好ましくは側面発射スピーカーである、ステレオスピーカーフォンスピーカーのうちの1つ(例えば、スピーカー38または39のいずれか)または双方を駆動する。
【0038】
図7は、図5〜図6のオーディオ回路40のデジタルドメイン42により実行される例示的なデジタル処理のさらなる詳細を示すダイヤグラムである。分割器46、48は、加算器50、52により加算されたときにオーバーフローを防ぐために、Lチャネル入力信号およびRチャネル入力信号のビット幅を増加させて、これらのデジタル信号を1ビット右に算術的にシフトさせる。1の補数反転器60は、Rチャネル信号の負の値が加算器50に提供されるようにする。加算器50、52により和がとられた後に、加算器出力のそれぞれは、1ビットだけ左シフトされて、オリジナルのビット幅にビット幅が減少される(ブロック62)。
【0039】
図8は、図1のデバイス10および図3のデバイス30中に含めることができる代替的なオーディオ回路70のある詳細を示す概略図である。オーディオ回路70は、MチャネルとSチャネルの間の利得を調節することにより、出力M−Sステレオ音場を(中央の幅およびコヒーレンスに対して)調整可能であるように、Mデジタルオーディオチャネル中およびS+デジタルオーディオチャネル中の利得を選択的に調節する手段を備えている。図8において示されているように、手段は、Mチャネル利得回路64と、S+チャネル利得回路66とを含んでいてもよい。Mチャネル利得回路64は、デジタルMチャネルオーディオ信号がDAC12により変換される前に、デジタルMチャネルオーディオ信号にMチャネル利得係数を適用し、S+チャネル利得回路66は、デジタルSチャネルオーディオ信号がDAC12により変換される前に、デジタルSチャネルオーディオ信号にS+チャネル利得係数を適用する。利得回路64、66のそれぞれは、それぞれの利得係数値により、それぞれのM−Sオーディオ信号を乗算するための乗算器を実現してもよい。利得係数値は、メモリ中に記憶されていてもよく、特定のデバイスにより再生されるM−S音場を調節するように調整されてもよい。利得値は、デバイスに対して経験的に決定することができ、製造の間にメモリ中に予めロードすることができる。代替的に、ユーザが、記憶されている利得係数値を調節して、出力音場を調整できるユーザインターフェースをデバイス中に含めてもよい。
【0040】
図9は、図1および図4のデバイス中に含めることができる別の代替的なオーディオ回路80のある詳細を示す概略図である。オーディオ回路80は、位相反転器86を含む第3のアナログオーディオ回路84を備えている。アナログ回路84は、DAC12からS+アナログオーディオチャネル出力を受け取り、例えば、スピーカー82のような第3のオーディオトランスデューサーに、反転されたサイドチャネル(S−)を出力する。アナログオーディオ回路84は、フィルタリング、増幅、および、これらに類するもののような、オーディオ処理機能を実行することができる。加えて、位相反転器86は、S+アナログ信号を反転させて、S−アナログ信号を生成させる。位相反転器86は、反転増幅器とすることができる。
【0041】
別個の回路として示されているが、アナログ回路54、56、84は、組み合わせて単一のアナログ回路にすることができる。
【0042】
ハンドセットスピーカーおよび2つのスピーカーフォンスピーカーを有するハンドセット(例えば、図4の電話機36)中で、回路80を用いてもよい。このケースでは、Mチャネル信号を使用して、通常は移動体デバイスの前面中央部分に位置するハンドセットスピーカー(例えば、32)を駆動する。1つのパス上でS+チャネルを使用して、好ましくは側面発射スピーカーである、ステレオスピーカーフォンスピーカーのうちの1つ(例えば、スピーカー38または39のいずれか)を駆動する。S−チャネルを使用して、他のスピーカーフォンスピーカーを駆動する。
【0043】
図10は、図9のオーディオ回路80中で使用することができる、差動駆動オーディオ増幅器92、94、96と、スピーカー14、16、82とを有する回路90を示すダイヤグラムである。Mチャネル差動増幅器92は、DAC12から非差動Mチャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動Mチャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー14を駆動し、Mチャネルサウンドを再生する。S+チャネル差動増幅器94は、DAC12から非差動S+チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S+チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー16を駆動し、S+チャネルサウンドを再生する。S−チャネル差動増幅器96は、DAC12から非差動S+チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S−チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー82を駆動し、S−チャネルサウンドを再生する。スピーカー82入力の極性は、S+チャネル信号を有効に反転させるために、S−チャネル差動増幅器の出力に対して逆になっており、それにより、S−チャネルオーディオを生成させる。
【0044】
図11は、図9のオーディオ回路80中で代替的に使用することができる、差動DAC102と、差動オーディオ増幅器104、106、108と、スピーカー14、16、82とを有する回路100を示すダイヤグラムである。DAC102は、DAC12の機能を実行するだけでなく、差動Mチャネルアナログ出力および差動S+チャネルアナログ出力を出力する。これらの差動M出力および差動S+出力が、差動増幅器104〜108を駆動する。差動増幅器104〜108の出力は、図10のスピーカー14、16、82と同じ方法で、スピーカー14、16、82に接続されている。
【0045】
図12は、図2のデバイス20中および図4のデバイス36中に含めることができる、例示的なオーディオ回路110のある詳細を示すダイヤグラムであり、MP3、WAV、あるいは、他のオーディオファイルまたはストリーミングオーディオ入力のような、従来のデジタル化されたL−RステレオエンコードされたソースからM−Sステレオオーディオを再生するためのものである。オーディオ回路110は、図13および図14に関連して下記でさらに詳細に説明するように、マルチチャネルDAC22およびスピーカー24、26、28とともに、オーディオチャネルを処理するための他の回路を含んでいる。オーディオ回路110は、デジタル化されたステレオLオーディオチャネル入力およびデジタル化されたステレオRオーディオチャネル入力を受け取り、入力に応答して、L−RオーディオをM−Sエンコードされたオーディオに変換し、3つのM−Sステレオチャネルを出力する:ミッドスピーカー24上のMチャネル、ならびに、S+チャネルスピーカー26上のS+チャネルおよびS−チャネルスピーカー28上のS−チャネルのおのおのである。L−RチャネルのM−Sチャネルへの変換は、方程式3〜5にしたがって実行することができる。
【0046】
図13は、図12のオーディオ回路110のある詳細を示す概略図である。DAC22より前の信号パス(例えば、デジタルオーディオポスト処理)において、L−R(左−右)ステレオ信号は、図6中で示されている回路コンポーネントにより、M−Sステレオに翻訳される。オーディオ回路110は、デジタルドメイン回路120およびアナログドメイン回路122と通信するDAC22を備えている。たいていのステレオ媒体は、L−Rステレオフォーマットで記録されている。デジタルドメイン回路120は、LおよびRのオーディオチャネルのパルスコード変調された(PCM)オーディオを受け取る。
【0047】
図7に関連して上記で論じたように、分割器46、48および加算器50、52により処理するデジタルオーディオ信号は、ビットシフトして、幅を増幅させて、その後、幅を減少させることができる。
【0048】
図6中で示されているコンポーネントに加えて、図13のデジタルドメイン回路120は、位相反転器112を備えており、これは、加算器50からのS+信号出力を180度だけ反転させて、S−デジタルオーディオチャネルを生成させる。位相反転器112は、S+信号を反転させるための1の補数回路を備えている。
【0049】
DAC22は、MチャネルサンプルをMアナログオーディオチャネル信号に変換し、S+チャネルサンプルをS+アナログオーディオチャネル信号に変換し、S−チャネルサンプルをS−アナログオーディオチャネル信号に変換する。アナログオーディオ回路114により、Mアナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい;アナログオーディオ回路116により、S+アナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい;アナログオーディオ回路118により、S−アナログオーディオチャネル信号をさらに処理してもよい。アナログオーディオ回路114、116、118のオーディオ出力信号は、その後、スピーカー24、26、28にそれぞれ提供され、そこで、それらは、ユーザが聞くことができるように再生される。
【0050】
アナログオーディオ回路114、116、118は、それぞれ、Mチャネルアナログ信号上、S+チャネルアナログ信号上、および、S−チャネルアナログ信号上で、フィルタリング、増幅、およびこれらに類するもののような、オーディオ処理機能を実行してもよい。別個の回路として示されているが、アナログオーディオ回路114〜118は、組み合わせて単一の回路にしてもよい。
【0051】
回路110を使用して、移動体ハンドセット上でM−Sステレオを実現すると、信号パス中でおよび/またはハードウェアオーディオルーティング中で改良が行われなければならないことがある。DAC22の入力および出力は、図13中で示されているように、L−R信号の代わりに、M−S信号を受け取って出力するように再構成される。ハンドセットスピーカーと2つのスピーカーフォンスピーカーとを有するハンドセット(例えば、図4の電話機36)中で、回路110を用いてもよい。このケースでは、Mチャネル信号を使用して、通常は移動体デバイスの前面中央部分に位置しているハンドセットスピーカー(例えば、32)を駆動する。S+チャネルを使用して、好ましくは側面発射スピーカーである、ステレオスピーカーフォンスピーカーのうちの1つ(例えば、スピーカー38または39のいずれか)を駆動し、S−チャネルを使用して、他のスピーカーフォンスピーカーを駆動する。このような方法で、ステレオスピーカーフォンスピーカーを使用して、前後方向に対して垂直な、側面方向の音場を再生する。
【0052】
図14は、図2のデバイス20中および図4のデバイス36中に含めることができる代替的なオーディオ回路130のある詳細を示す概略図である。オーディオ回路130は、
MチャネルとSチャネルの間の利得を調節することにより、出力M−Sステレオ音場を(中央の幅およびコヒーレンスに対して)調節可能であるように、Mデジタルオーディオチャネル中およびSデジタルオーディオチャネル中の利得を選択的に調節する手段を備えている。図14において示されているように、手段は、Mチャネル利得回路132と、S+チャネル利得回路134と、S−チャネル利得回路136とを含んでいてもよい。Mチャネル利得回路132は、デジタルMチャネルオーディオ信号がDAC22により変換される前に、デジタルMチャネルオーディオ信号にMチャネル利得係数を適用し、S+チャネル利得回路134は、デジタルS+チャネルオーディオ信号がDAC22により変換される前に、デジタルS+チャネルオーディオ信号にS+チャネル利得係数を適用し、S−チャネル利得回路136は、デジタルS−チャネルオーディオ信号がDAC22により変換される前に、デジタルS−チャネルオーディオ信号にS−チャネル利得係数を適用する。利得回路132、134、136のそれぞれは、それぞれの利得係数値により、それぞれのM−Sオーディオ信号を乗算するための乗算器を実現してもよい。利得係数値は、メモリ中に記憶されていてもよく、特定のデバイスにより再生されるM−S音場を調節するように調整されてもよい。利得値は、デバイスに対して経験的に決定することができ、製造の間にメモリ中に予めロードすることができる。代替的に、ユーザが、記憶されている利得係数値を調節して、出力音場を調整することができるユーザインターフェースをデバイス中に含めてもよい。
【0053】
加えて、位相反転されたサイドチャネルの品質をさらに高めるために、信号の(S+,S−)サイドチャネル対にさまざまなステレオ向上技術を適用することができる。
【0054】
図15は、図13のオーディオ回路110〜図14のオーディオ回路130の中で使用することができる、差動駆動オーディオ増幅器142、144、146と、スピーカー24、26、28とを有する回路140を示すダイヤグラムである。Mチャネル差動増幅器142は、DAC22から非差動Mチャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動Mチャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー24を駆動し、Mチャネルサウンドを再生する。S+チャネル差動増幅器144は、DAC22から非差動S+チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S+チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー26を駆動し、S+チャネルサウンドを再生する。S−チャネル差動増幅器146は、DAC22から非差動S−チャネルオーディオ信号を受け取り、次に、差動S−チャネルアナログオーディオ信号を出力して、差動スピーカー28を駆動し、S−チャネルサウンドを再生する。
【0055】
図16は、図13のオーディオ回路110中および図14のオーディオ回路130中で代替的に使用することができる、差動DAC152と、差動オーディオ増幅器142、144、146と、スピーカー24、26、28とを有する回路150を示すダイヤグラムである。DAC152は、DAC22の機能を実行するだけでなく、差動Mチャネルアナログ出力、差動S+チャネルアナログ出力、および、差動S−チャネルアナログ出力を出力する。これらの差動M出力、差動S+出力、および、差動S−出力が、差動増幅器154〜158を駆動する。差動増幅器154〜158の出力は、図15のスピーカー24、26、28と同じ方法で、スピーカー24、26、28に接続されている。
【0056】
図17は、図1〜図16に関連して説明したオーディオ回路40、70、80、110、130のうちのいずれかを実現するように使用することができるアーキテクチャ200である。アーキテクチャ200は、デジタルバス206により、メモリ204と、マルチチャネルDAC208と、アナログ回路210とに結合されている1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ202)を含んでいる。アーキテクチャ200はまた、スピーカー212、214、216のような、Mチャネルオーディオトランスデューサー、S+チャネルオーディオトランスデューサー、S−チャネルオーディオトランスデューサーを含んでいる。
【0057】
アナログオーディオ回路210は、スピーカー212〜216に対する出力であるM−Sアナログオーディオ信号を付加的に処理するためのアナログ回路を含んでいる。アナログオーディオ回路210により、サイドチャネルのフィルタリング、増幅、位相反転、および、他のオーディオ処理機能を実行することができる。
【0058】
プロセッサ202は、メモリ204中に記憶されているソフトウェアまたはファームウェアを実行して、図1〜図16に関連して説明したデジタルドメイン処理のうちのいずれかを行う。プロセッサ202は、ARM7(登録商標)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、ディスクリート論理、あるいは、これらの何らかの適切な組み合わせのような、何らかの適切なプロセッサまたは制御装置とすることができる。代替的に、プロセッサ202は、マルチプロセッサ−DSPの組み合わせのような、複数のプロセッサを有するマルチプロセッサアーキテクチャとして実現してもよい。例示的なマルチプロセッサアーキテクチャでは、ここで開示するオーディオ処理および変換のうちの少なくともいくつかを提供するように、DSPをプログラムすることができ、デバイスの動作全体を制御するように、マルチプロセッサをプログラムすることができる。
【0059】
メモリ204は、フラッシュメモリ、RAM、ROM、PROM、または、これらに類するもの、あるいは、先述のタイプのメモリの何らかの適切な組み合わせのような、プログラミングコードおよび/またはデータコンテンツを記憶するための何らかの適切なメモリデバイスであってもよい。別個のメモリデバイスもまた、アーキテクチャ200中に含めることができる。メモリは、L−Rオーディオ/M−Sオーディオ変換ソフトウェア219を含むM−Sオーディオプレーバックソフトウェア218を記憶する。メモリ218はまた、M−Sオーディオプレーバックソフトウェア218を使用してプレーバックするために、PCM、.wav、または、MP3のファイルのような、オーディオソースファイルを記憶してもよい。加えて、メモリ218はまた、図8および図14に関連して上記で説明した利得回路64、66、132、134、136のための利得係数値を記憶してもよい。
【0060】
ここで開示するように、プロセッサ202により実行したときに、M−Sオーディオプレーバックソフトウェア218は、L−R入力ステレオオーディオに応答して、M−Sエンコードされたステレオをデバイスに再生させる。ここで説明したように、プレーバックソフトウェア218はまた、L−Rエンコードされた入力ステレオ信号に応答して、M−Sエンコードされたステレオがハンドセットスピーカーおよびスピーカーフォンスピーカーにより出力されるように、オーディオ処理パスを再ルーティングし、デバイス中のリソースを再構成してもよい。L−Rオーディオ/M−Sオーディオ変換ソフトウェア219は、方程式3〜5にしたがって、デジタル化されたL−Rオーディオ信号をM−S信号に変換する。
【0061】
アーキテクチャ200のコンポーネントは、単一のチップ上に一体化してもよく、もしくは、アーキテクチャ200のコンポーネントは、別個のコンポーネントや、あるいは、内蔵コンポーネントとディスクリートコンポーネントの何らかの適切な組み合わせであってもよい。加えて、マルチメモリ構成のような、他のプロセッサ−メモリアーキテクチャを代替的に使用してもよい。
【0062】
図18は、M−Sエンコードされたサウンドをデバイスにおいて再生する方法を示すフローチャート300である。ブロック302において、LステレオチャネルおよびRステレオチャネルが、M−Sオーディオ信号に変換される。ここで説明する回路および/またはソフトウェアを使用して、方程式3〜5にしたがって変換を実行することができる。
【0063】
図8または図14のいずれかに関連して上記で説明したように、ブロック304において、M−Sオーディオ信号をバランスさせるために、オプション的に利得係数を適用する。
【0064】
図1および図2に関連して説明したように、ブロック306において、デジタルM−Sオーディオ信号上でデジタルアナログ変換を実行し、アナログM−Sステレオ信号を生成させる。
【0065】
ブロック308において、M−Sエンコードされた信号をデバイスにおいて再生するために、スピーカーのようなオーディオトランスデューサーが、アナログM−Sステレオ信号により駆動される。ここで説明するように、M−Sチャネルのうちの2つまたは3つのいずれかをデバイスにより再生することができる。
【0066】
図19は、ワイヤードリンク405を通して接続されている別個のアクセサリデバイス404上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生する移動体デバイス402を含むシステム400を示すダイヤグラムである。移動体デバイス402は、DAC12を含んでおり、移動体デバイス402は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図5、図6、図8、および図9に関連して上記で説明したように、移動体デバイス402は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC12を含むように構成されている。
【0067】
アクセサリデバイス404は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス404は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス404は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス404は、ワイヤードリンク405を経由して、Mチャネルアナログオーディオ出力およびS+チャネルアナログオーディオ出力をDAC12から受け取る。アクセサリデバイス404は、Mチャネルスピーカー14を駆動するためのMチャネルオーディオ増幅器410と、S+チャネルスピーカー16を駆動するためのS+チャネルオーディオ増幅器412と、S−チャネルスピーカー408を駆動するS−チャネル信号を生成させるための、S+チャネル増幅器412の出力に応答する反転オーディオ増幅器414とを含んでいる。
【0068】
図20は、ワイヤードリンク505を通して接続されている別個のアクセサリデバイス504上で、差動エンコードされたM−Sエンコードサウンドを再生する移動体デバイス502を含むシステム500を示すダイヤグラムである。移動体デバイス502は、差動DAC102を含んでおり、移動体デバイス502は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図5、図6、図8、および、図9に関連して上記で説明したように、移動体デバイス502は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理と、差動DAC102とを含むように構成されている。
【0069】
アクセサリデバイス504は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス504は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス504は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス504は、ワイヤードリンク505により、差動MチャネルおよびS+チャネルアナログオーディオ出力をDAC102から受け取る。アクセサリデバイス504は、Mチャネルスピーカー14を駆動するための差動Mチャネルオーディオ増幅器104と、S+チャネルスピーカー16を駆動するための差動S+チャネルオーディオ増幅器106と、S−チャネルスピーカー82を駆動するS−チャネル信号を生成させるための、DAC102のS+チャネル出力の出力に応答する差動S−チャネルオーディオ増幅器108とを含んでいる。差動S+チャネル信号の極性は、S+チャネル信号を有効に反転させるために、S−チャネル差動増幅器108への入力として逆にされており、それにより、S−チャネルオーディオを生成させる。
【0070】
図21は、ワイヤードリンク605を通して接続されている別個のアクセサリデバイス604上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための、M信号、S+信号、S−信号を出力する移動体デバイス602を含むシステム600を示すダイヤグラムである。移動体デバイス602は、DAC22を含んでおり、移動体デバイス602は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図12〜図14に関連して上記で説明したように、移動体デバイス602は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC22を含むように構成されている。
【0071】
アクセサリデバイス604は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス604は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス604は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス604は、ワイヤードリンク605を経由して、Mチャネルアナログオーディオ出力、S+チャネルアナログオーディオ出力、および、S−チャネルアナログオーディオ出力をDAC22から受け取る。アクセサリデバイス604は、Mチャネルスピーカー24を駆動するためのMチャネルアナログ増幅器142と、S+チャネルスピーカー26を駆動するためのS+チャネルオーディオ増幅器144と、S−チャネルスピーカー28を駆動するためのS−チャネルオーディオ増幅器146とを含んでいる。
【0072】
図22は、ワイヤードリンク705を通して接続されている別個のアクセサリデバイス706上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するための、M差動信号、S+差動信号、S−差動信号を出力する移動体デバイス702を含むシステム700を示すダイヤグラムである。移動体デバイス702は、差動DAC152を含んでおり、移動体デバイス702は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図12〜図14に関連して上記で説明したように、移動体デバイス702は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理と、差動DAC152とを含むように構成されている。
【0073】
アクセサリデバイス704は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス704は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス704は、M−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路のうちの少なくともいくつかを含んでいる。アクセサリデバイス704は、ワイヤードリンク705を経由して、差動Mチャネルアナログオーディオ出力、差動S+チャネルアナログオーディオ出力、および、差動S−チャネルアナログオーディオ出力をDAC152から受け取る。アクセサリデバイス704は、Mチャネルスピーカー24を駆動するための差動Mチャネルオーディオ増幅器154と、S+チャネルスピーカー26を駆動するための差動S+チャネルオーディオ増幅器156と、S−チャネルスピーカー28を駆動するための差動S−チャネルオーディオ増幅器158とを含んでいる。
【0074】
図23は、別個のアクセサリデバイス804上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号をアナログワイヤレスリンク805上で出力する移動体デバイス802を含むシステム800を示すダイヤグラムである。移動体デバイス802は、DAC22を含んでおり、移動体デバイス802は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図12〜図14に関連して上記で説明したように、移動体デバイス802は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC22を含むように構成されている。これに加えて、移動体デバイス802は、ワイヤレスリンク805を通してアクセサリデバイス804にMアナログチャネル、S+アナログチャネル、および、S−アナログチャネルを送信するためのワイヤレスアナログインターフェース808およびアンテナ810を含んでいる。
【0075】
アクセサリデバイス804は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス804は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス804は、移動体デバイス802からのM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路のうちの少なくともいくつかを含んでいる。アクセサリデバイス804は、Mアナログチャネル、S+アナログチャネル、および、S−アナログチャネルを移動体デバイス802から受け取るためのワイヤレスアナログインターフェース814およびアンテナ812を含んでいる。ワイヤレスインターフェース814は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス804中に含まれている増幅器およびスピーカー816に、M−Sチャネルを提供する。増幅器およびスピーカー816は、ここで図15および図21の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含んでことができる。
【0076】
図23Aは、別個のアクセサリデバイス809上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号のみをアナログワイヤレスリンク805上で出力する移動体デバイス807を含むシステム825を示すダイヤグラムである。移動体デバイス802は、DAC12を含んでいてもよく、移動体デバイス802は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。図6および図8に関連して上記で説明したように、移動体デバイス807は、M−Sエンコードされたアナログオーディオ信号を生成させるためのデジタルドメインオーディオ処理およびDAC12を含むように構成されている。これに加えて、移動体デバイス807は、ワイヤレスリンク805を通してアクセサリデバイス809にMアナログチャネル、S+アナログチャネルを送信するためのワイヤレスアナログインターフェース808およびアンテナ810を含んでいる。
【0077】
アクセサリデバイス809は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス809は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス809は、移動体デバイス807からのM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路のうちの少なくともいくつかを含んでいる。アクセサリデバイス809は、Mアナログチャネル、S+アナログチャネルを移動体デバイス802から受け取るためのワイヤレスアナログインターフェース814およびアンテナ812を含んでいる。ワイヤレスインターフェース814は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス809中に含まれている増幅器およびスピーカー817にM−Sチャネルを提供する。増幅器およびスピーカー817は、ここで図10および図19の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0078】
図24は、別個のアクセサリデバイス854上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号をデジタルワイヤレスリンク855上で出力する移動体デバイス852を含むシステム850を示すダイヤグラムである。移動体デバイス852は、ここで図13〜図14に関連して説明した、M−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでおり、移動体デバイス852は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス852は、ワイヤレスリンク855を通してアクセサリデバイス854にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを送信するためのワイヤレスデジタルインターフェース858およびアンテナ860を含んでいる。
【0079】
ブルートゥース(登録商標)またはWiFi(登録商標)のような、何らかの適切なワイヤレスプロトコルおよびコンポーネントを使用して、デジタルワイヤレスリンク855を実現することができる。デジタルワイヤレスリンク855を通してMデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオ、および、S−デジタルオーディオをデータとして運ぶための適切なデジタルデータフォーマットは、SPDIFまたはHDMIである。
【0080】
アクセサリデバイス854は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス854は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス854は、DACと、移動体デバイス852から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路とを含んでいる。アクセサリデバイス854は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを移動体デバイス852から受け取るためのワイヤレスデジタルインターフェース864およびアンテナ862を含んでいる。ワイヤレスデジタルインターフェース864は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス854中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー866にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明する3チャネルのDAC22、152のうちのいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図15、図16、および、図21の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0081】
図25は、別個のアクセサリデバイス904上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号のみをワイヤレスリンク905上で出力する移動体デバイス902を含むシステム900を示すダイヤグラムである。移動体デバイス902は、ここで図6および図8に関連して説明した、M−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでおり、移動体デバイス902は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス902は、ワイヤレスリンク905を通してアクセサリデバイス904にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを送信するためのワイヤレスデジタルインターフェース908およびアンテナ910を含んでいる。
【0082】
ブルートゥースまたはWi−Fiのような、何らかの適切なワイヤレスプロトコルおよびコンポーネントを使用して、デジタルワイヤレスリンク905を実現することができる。デジタルワイヤレスリンク905を通してMデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオ、および、S−デジタルオーディオをデータとして運ぶための適切なデジタルデータフォーマットは、SPDIFまたはHDMIである。
【0083】
アクセサリデバイス904は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス904は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス904は、DACと、移動体デバイス902から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路を含んでいる。アクセサリデバイス904は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを移動体デバイス902から受け取るためのワイヤレスデジタルインターフェース914およびアンテナ912を含んでいる。ワイヤレスインターフェース914は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス904中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー916にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明した2チャネルのDAC12、102のいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図10および図11の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0084】
図26は、別個のアクセサリデバイス857上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号、S−信号をデジタルワイヤードリンク861上で出力する移動体デバイス853を含むシステム870を示すダイヤグラムである。移動体デバイス853は、ここで図13〜図14に関連して説明した、M−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでおり、移動体デバイス853は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス853は、ワイヤードリンク861を通してアクセサリデバイス857にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを送信するためのデジタルインターフェース859を含んでいる。
【0085】
デジタルワイヤードリンク861を通して、Mデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオ、および、S−デジタルオーディオをデータとして運ぶための、SPDIFまたはHDMIのような、何らかの適切なデジタルデータフォーマットを使用して、デジタルワイヤードリンク861を実現することができる。
【0086】
アクセサリデバイス857は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス857は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス857は、DACと、移動体デバイス853から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路とを含んでいる。アクセサリデバイス857は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネル、および、S−デジタルチャネルを移動体デバイス853から受け取るためのデジタルインターフェース863を含んでいる。デジタルインターフェース863は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス857中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー866にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明した3チャネルのDAC22、152のいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図15、図16、および、図21の増幅器およびスピーカーに対して示され、説明されているこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0087】
図26Aは、別個のアクセサリデバイス913上で、M−Sエンコードされたサウンドを再生するために、M信号、S+信号のみをワイヤードリンク861上で出力する移動体デバイス903を含むシステム925を示すダイヤグラムである。移動体デバイス903は、ここで図6および図8に関連して説明したM−S変換のためのデジタルドメインオーディオ処理を含んでいてもよく、移動体デバイス903は、コンピュータ、ゲーミングデバイス、ラジオ、セルラ電話機、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、または、これらに類するもののような、サウンドを再生するための何らかの適切な移動体デバイスとすることができる。これに加えて、移動体デバイス903は、ワイヤードリンク861を通してアクセサリデバイス913にMデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを送信するためのデジタルインターフェース859を含んでいる。
【0088】
デジタルワイヤードリンク861を通して、Mデジタルオーディオ、S+デジタルオーディオをデータとして運ぶための、SPDIFまたはHDMIのような、何らかの適切なデジタルデータフォーマットを使用して、デジタルワイヤードリンク861を実現することができる。
【0089】
アクセサリデバイス913は、移動体デバイスのボックスの一部ではない何らかの適切な電子デバイスとすることができる。例えば、アクセサリデバイス913は、ヘッドセットまたは別個のスピーカーボックスとすることができる。本質的に、アクセサリデバイス913は、DACと、移動体デバイス903から受け取ったM−Sチャネルを再生するためのアナログオーディオ処理回路とを含んでいる。アクセサリデバイス913は、Mデジタルチャネル、S+デジタルチャネルを移動体デバイス903から受け取るためのデジタルインターフェース863を含んでいる。デジタルインターフェース863は、M−Sエンコードされたステレオを再生するために、アクセサリデバイス913中に含まれているDAC、増幅器およびスピーカー916にM−Sチャネルを提供する。DACは、ここで説明したような2チャネルのDAC12、102のいずれかとすることができ、増幅器およびスピーカーは、ここで図10および図11の増幅器およびスピーカーに対して示し、説明したこれらのコンポーネントを含むことができる。
【0090】
移動体デバイスまたはアクセサリデバイスは、図19〜図26Aに関連して上記で説明した移動体デバイスとアクセサリデバイスの間のインターフェースおよび通信スキームの何らかの適切な組み合わせを含むように構成することができる。
【0091】
システム、デバイス、アクセサリ、装置、および、これらのそれぞれのコンポーネントの機能性とともに、ここで説明した方法ステップおよびブロックは、ハードウェアで、ソフトウェアで、ファームウェアで、または、これらの何らかの適切な組み合わせで実現してもよい。ソフトウェア/ファームウェアは、マイクロプロセッサ、DSP、組み込み制御装置、または、知的財産(IP)コアのような、1つ以上のデジタル回路により実行可能な1組の命令(例えば、コードセグメント)を有するプログラムであってもよい。ソフトウェア/ファームウェアで実現した場合、機能は、命令またはコードとして、1つ以上のコンピュータ読取可能媒体上に記憶されてもよく、あるいは、命令またはコードとして、1つ以上のコンピュータ読取可能媒体上に送信されてもよい。コンピュータ読取可能媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を促進する何らかの媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の双方を含む。記憶媒体は、コンピュータによりアクセスできる何らかの利用可能な媒体であってもよい。例として、これらに限定されないが、このようなコンピュータ読取可能媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、コンピュータによりアクセスでき、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを伝送または記憶するために使用できる他の何らかの媒体を含むことができる。また、あらゆる接続は、コンピュータ読取可能媒体と適切に呼ばれる。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブルや、光ファイバケーブルや、撚り対や、デジタル加入者線(DSL)や、あるいは、赤外線、無線、および、マイクロ波のようなワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または、他の遠隔ソースから送信される場合には、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対、DSL、あるいは、赤外線、無線、および、マイクロ波のようなワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。ここで使用したようなディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、および、ブルーレイ(登録商標)ディスクを含むが、一般的に、ディスク(disk)は、データを磁気的に再生する一方で、ディスク(disc)は、データをレーザによって光学的に再生する。先のものを組み合わせたものもまた、コンピュータ読取可能媒体の範囲内に含められるべきである。
【0092】
ある実施形態を説明してきた。しかしながら、これらの実施形態に対するさまざま改良が可能であり、ここで提示されている原理は、他の実施形態にも適用してもよい。例えば、ここで開示されている原理は、ここで特に説明したもの以外のデバイスに適用してもよい。加えて、特許請求の範囲から逸脱することなく、特に開示したもの以外の構成で、さまざまなコンポーネントおよび/または方法ステップ/ブロックを実現してもよい。
【0093】
これらの教示を考慮すると、他の実施形態および改良が容易に当事者の心に浮かぶだろう。それゆえ、以下の特許請求の範囲は、上記の明細書および添付の図面とともに考えるときに、このようなすべての実施形態および改良をカバーするように意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスにおいてミッド−サイド(M−S)エンコードされたサウンドを出力する方法において、
前記デバイス中に含まれているデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取ることと、
前記DACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取ることと、
前記DACが、前記デジタル化されたミッドオーディオ信号および前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を、それぞれ、アナログミッドオーディオ信号とアナログサイドオーディオ信号とに変換することと、
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第1のトランスデューサーにおいて、ミッドチャネルサウンドを出力することと、
前記アナログサイドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第2のトランスデューサーにおいて、サイドチャネルサウンドを出力することとを含む方法。
【請求項2】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を反転して、位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号を生成させることと、
前記DACが、前記位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号を位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に変換することと、
前記位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第3のトランスデューサーにおいて、前記位相シフトされたサイドチャネルサウンドを出力することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号は、180度だけシフトされている請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記アナログサイドオーディオ信号を反転させて、位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号を生成させることと、
前記位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第3のトランスデューサーにおいて、位相シフトされたサイドチャネルサウンドを出力することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号は、180度だけシフトされている請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号と、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号と、前記アナログミッドオーディオ信号と、前記アナログサイドオーディオ信号と、先述の信号の何らかの適切な組み合わせとからなるグループから選択した信号の利得を調節することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスは、ワイヤレス通信ハンドセットである請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1のトランスデューサーは、前記ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているハンドセットスピーカーであり、通話の間にユーザの耳に当てるためのものである請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2のトランスデューサーは、前記ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているスピーカーフォンスピーカーである請求項7記載の方法。
【請求項10】
ミッド−サイド(M−S)エンコードされたサウンドの再生のための装置において、
デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、前記デジタル化されたミッドオーディオ信号に応答して、アナログミッドオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号に応答して、アナログサイドオーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有する、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)を具備する装置。
【請求項11】
前記アナログサイドオーディオ信号の位相をシフトさせる位相反転器をさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記位相反転器は、前記アナログサイドオーディオ信号の位相を180度だけシフトさせる請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号の位相をシフトさせる位相反転器をさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項14】
前記位相反転器は、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号の位相を180度だけシフトさせる請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記マルチチャネルDACは、前記位相反転器の出力に結合され、前記位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号に応答する第3のチャネル入力と、位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号を提供する第3のチャネル出力とを備える請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを生成させるように構成されている第1のトランスデューサーと、
前記アナログサイド信号に応答して、サイドチャネルオーディオを生成させるように構成されている第2のトランスデューサーとをさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項17】
前記第1のトランスデューサーは、ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているハンドセットスピーカーであり、通話の間にユーザの耳に当てるためのものである請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第2のトランスデューサーは、ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているスピーカーフォンスピーカーである請求項16記載の装置。
【請求項19】
位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に応答して、位相シフトされたチャネルサウンドを生成させるように構成されている第3のトランスデューサーをさらに具備する請求項16記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、ハンドセットモードおよびスピーカーフォンモードで並行して動作するように構成されているワイヤレス通信ハンドセットである請求項10記載の装置。
【請求項21】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号、前記アナログミッドオーディオ信号、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号、または、前記アナログサイドオーディオ信号に利得係数を適用する利得回路をさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項22】
アクセサリデバイスにおける再生のために、前記アナログミッド信号および前記アナログサイド信号を前記アクセサリデバイスに転送するように構成されているインターフェースをさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項23】
ミッド−サイド(M−S)エンコードされたサウンドの再生のための装置において、
デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号に応答する第1の2分割回路と、
デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号に応答する第2の2分割回路と、
前記第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、前記第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との和をとる和算器と、
前記第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、前記第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との差を決定する減算器と、
前記和算器からのデジタル化された和オーディオ出力に応答する第1のチャネル入力と、アナログ和オーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、前記減算器からのデジタル化された差オーディオ出力に応答する第2のチャネル入力と、アナログ差オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有する、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)と、
前記アナログ和オーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを生成させる第1のスピーカーと、
前記アナログ差信号に応答して、サイドチャネルサウンドを生成させる第2のスピーカーとを具備する装置。
【請求項24】
前記アナログ差オーディオ信号の位相を反転させる位相反転器をさらに具備する請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記反転されたアナログ差オーディオ信号に応答して、反転されたサイドチャネルサウンドを生成させる第3のスピーカーをさらに具備する請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記デジタル化された差オーディオ出力を反転させるデジタル位相反転器をさらに具備する請求項23記載の装置。
【請求項27】
前記マルチチャネルDACは、前記反転されたデジタル化差オーディオ出力に応答する第3のチャネル入力と、反転されたアナログ差オーディオ信号を提供する第3のチャネル出力とを備える請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記反転されたアナログ差オーディオ信号に応答して、反転されたサイドチャネルサウンドを生成させる第3のスピーカーをさらに具備する請求項27の装置。
【請求項29】
前記装置は、ワイヤレス通信ハンドセットである請求項23記載の装置。
【請求項30】
前記ワイヤレス通信ハンドセットは、ハンドセットモードおよびスピーカーフォンモードで並行して動作するように構成されている請求項29記載の装置。
【請求項31】
前記第1の2分割器および前記第2の2分割器は、デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号のビット幅と、デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号のビット幅とを増加させるようにと、前記デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号と、前記デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号とを算術的に右にシフトさせるように構成されている回路を備える請求項23記載の装置。
【請求項32】
前記和算器および前記減算器の出力のビット幅を左シフトさせて、減少させるように構成されている回路をさらに具備する請求項23記載の装置。
【請求項33】
装置において、
デジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る手段と、
前記DACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る手段と、
デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換する手段と、
デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換する手段と、
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力する手段と、
前記アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力する手段とを具備する装置。
【請求項34】
前記アナログサイド信号を反転させて、反転されたアナログサイド信号を生成させる手段をさらに具備する請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を反転させて、反転されたデジタル化サイドオーディオ信号を生成させる手段をさらに具備する請求項33記載の装置。
【請求項36】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号、前記アナログミッドオーディオ信号、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号、または、前記アナログサイドオーディオ信号に利得係数を適用する手段をさらに具備する請求項33記載の装置。
【請求項37】
1つ以上のプロセッサにより実行可能な1組の命令を具現化するコンピュータ読取可能媒体において、
マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取るためのコードと、
前記マルチチャネルDACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取るためのコードと、
デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換するためのコードと、
デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換するためのコードと、
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力するためのコードと、
前記アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力するためのコードとを含むコンピュータ読取可能媒体。
【請求項38】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を反転させて、反転されたデジタル化サイドオーディオ信号を生成させるためのコードをさらに含む請求項37記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項39】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号、前記アナログミッドオーディオ信号、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号、または、前記アナログサイドオーディオ信号に利得係数を適用するためのコードをさらに含む請求項37記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項40】
システムにおいて、
M−Sエンコードされたステレオ信号を生成させるように構成され、前記M−Sエンコードされたステレオ信号をアクセサリデバイスに転送するインターフェースを有する移動体デバイスと、
前記M−Sエンコードされたステレオ信号を受け取るように構成されているインターフェースと、M−Sエンコードされたステレオ信号を再生する手段とを備える前記アクセサリデバイスとを具備するシステム。
【請求項41】
前記移動体デバイスのインターフェースは、ワイヤレスアナログインターフェースと、ワイヤレスデジタルインターフェースと、ワイヤードリンク用のアナログインターフェースと、ワイヤードリンク用のデジタルインターフェースと、先述のものの何らかの適切な組み合わせとからなるグループから選択される請求項40記載のシステム。
【請求項42】
前記アクセサリデバイスのインターフェースは、ワイヤレスアナログインターフェースと、ワイヤレスデジタルインターフェースと、ワイヤードリンク用のアナログインターフェースと、ワイヤードリンク用のデジタルインターフェースと、先述のものの何らかの適切な組み合わせとからなるグループから選択される請求項40記載のシステム。
【請求項43】
前記移動体デバイスにより転送された前記M−Sエンコードされたステレオ信号は、ミッドチャネル信号と、1対のサイドチャネル信号とを含む請求項40記載のシステム。
【請求項44】
前記ミッドチャネル信号と、前記サイドチャネル信号は、差動信号である請求項43記載のシステム。
【請求項45】
前記移動体デバイスにより転送された前記M−Sエンコードされたステレオ信号は、ミッドチャネル信号と、1つだけのサイドチャネル信号とを含む請求項40記載のシステム。
【請求項46】
前記ミッドチャネル信号と、前記サイドチャネル信号は、差動信号である請求項45記載のシステム。
【請求項1】
デバイスにおいてミッド−サイド(M−S)エンコードされたサウンドを出力する方法において、
前記デバイス中に含まれているデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取ることと、
前記DACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取ることと、
前記DACが、前記デジタル化されたミッドオーディオ信号および前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を、それぞれ、アナログミッドオーディオ信号とアナログサイドオーディオ信号とに変換することと、
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第1のトランスデューサーにおいて、ミッドチャネルサウンドを出力することと、
前記アナログサイドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第2のトランスデューサーにおいて、サイドチャネルサウンドを出力することとを含む方法。
【請求項2】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を反転して、位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号を生成させることと、
前記DACが、前記位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号を位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に変換することと、
前記位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第3のトランスデューサーにおいて、前記位相シフトされたサイドチャネルサウンドを出力することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号は、180度だけシフトされている請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記アナログサイドオーディオ信号を反転させて、位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号を生成させることと、
前記位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に応答して、前記デバイス中に含まれている第3のトランスデューサーにおいて、位相シフトされたサイドチャネルサウンドを出力することとをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号は、180度だけシフトされている請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号と、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号と、前記アナログミッドオーディオ信号と、前記アナログサイドオーディオ信号と、先述の信号の何らかの適切な組み合わせとからなるグループから選択した信号の利得を調節することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスは、ワイヤレス通信ハンドセットである請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1のトランスデューサーは、前記ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているハンドセットスピーカーであり、通話の間にユーザの耳に当てるためのものである請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第2のトランスデューサーは、前記ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているスピーカーフォンスピーカーである請求項7記載の方法。
【請求項10】
ミッド−サイド(M−S)エンコードされたサウンドの再生のための装置において、
デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る第1のチャネル入力と、前記デジタル化されたミッドオーディオ信号に応答して、アナログミッドオーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る第2のチャネル入力と、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号に応答して、アナログサイドオーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有する、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)を具備する装置。
【請求項11】
前記アナログサイドオーディオ信号の位相をシフトさせる位相反転器をさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記位相反転器は、前記アナログサイドオーディオ信号の位相を180度だけシフトさせる請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号の位相をシフトさせる位相反転器をさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項14】
前記位相反転器は、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号の位相を180度だけシフトさせる請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記マルチチャネルDACは、前記位相反転器の出力に結合され、前記位相シフトされたデジタル化サイドオーディオ信号に応答する第3のチャネル入力と、位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号を提供する第3のチャネル出力とを備える請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを生成させるように構成されている第1のトランスデューサーと、
前記アナログサイド信号に応答して、サイドチャネルオーディオを生成させるように構成されている第2のトランスデューサーとをさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項17】
前記第1のトランスデューサーは、ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているハンドセットスピーカーであり、通話の間にユーザの耳に当てるためのものである請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記第2のトランスデューサーは、ワイヤレス通信ハンドセット中に含まれているスピーカーフォンスピーカーである請求項16記載の装置。
【請求項19】
位相シフトされたアナログサイドオーディオ信号に応答して、位相シフトされたチャネルサウンドを生成させるように構成されている第3のトランスデューサーをさらに具備する請求項16記載の装置。
【請求項20】
前記装置は、ハンドセットモードおよびスピーカーフォンモードで並行して動作するように構成されているワイヤレス通信ハンドセットである請求項10記載の装置。
【請求項21】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号、前記アナログミッドオーディオ信号、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号、または、前記アナログサイドオーディオ信号に利得係数を適用する利得回路をさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項22】
アクセサリデバイスにおける再生のために、前記アナログミッド信号および前記アナログサイド信号を前記アクセサリデバイスに転送するように構成されているインターフェースをさらに具備する請求項10記載の装置。
【請求項23】
ミッド−サイド(M−S)エンコードされたサウンドの再生のための装置において、
デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号に応答する第1の2分割回路と、
デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号に応答する第2の2分割回路と、
前記第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、前記第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との和をとる和算器と、
前記第1の2分割回路からのデジタル化された左チャネルステレオオーディオ出力と、前記第2の2分割回路からのデジタル化された右チャネルステレオオーディオ出力との差を決定する減算器と、
前記和算器からのデジタル化された和オーディオ出力に応答する第1のチャネル入力と、アナログ和オーディオ信号を提供する第1のチャネル出力と、前記減算器からのデジタル化された差オーディオ出力に応答する第2のチャネル入力と、アナログ差オーディオ信号を提供する第2のチャネル出力とを有する、マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)と、
前記アナログ和オーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを生成させる第1のスピーカーと、
前記アナログ差信号に応答して、サイドチャネルサウンドを生成させる第2のスピーカーとを具備する装置。
【請求項24】
前記アナログ差オーディオ信号の位相を反転させる位相反転器をさらに具備する請求項23記載の装置。
【請求項25】
前記反転されたアナログ差オーディオ信号に応答して、反転されたサイドチャネルサウンドを生成させる第3のスピーカーをさらに具備する請求項24記載の装置。
【請求項26】
前記デジタル化された差オーディオ出力を反転させるデジタル位相反転器をさらに具備する請求項23記載の装置。
【請求項27】
前記マルチチャネルDACは、前記反転されたデジタル化差オーディオ出力に応答する第3のチャネル入力と、反転されたアナログ差オーディオ信号を提供する第3のチャネル出力とを備える請求項26記載の装置。
【請求項28】
前記反転されたアナログ差オーディオ信号に応答して、反転されたサイドチャネルサウンドを生成させる第3のスピーカーをさらに具備する請求項27の装置。
【請求項29】
前記装置は、ワイヤレス通信ハンドセットである請求項23記載の装置。
【請求項30】
前記ワイヤレス通信ハンドセットは、ハンドセットモードおよびスピーカーフォンモードで並行して動作するように構成されている請求項29記載の装置。
【請求項31】
前記第1の2分割器および前記第2の2分割器は、デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号のビット幅と、デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号のビット幅とを増加させるようにと、前記デジタル化された左チャネルステレオオーディオ信号と、前記デジタル化された右チャネルステレオオーディオ信号とを算術的に右にシフトさせるように構成されている回路を備える請求項23記載の装置。
【請求項32】
前記和算器および前記減算器の出力のビット幅を左シフトさせて、減少させるように構成されている回路をさらに具備する請求項23記載の装置。
【請求項33】
装置において、
デジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取る手段と、
前記DACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取る手段と、
デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換する手段と、
デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換する手段と、
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力する手段と、
前記アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力する手段とを具備する装置。
【請求項34】
前記アナログサイド信号を反転させて、反転されたアナログサイド信号を生成させる手段をさらに具備する請求項33記載の装置。
【請求項35】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を反転させて、反転されたデジタル化サイドオーディオ信号を生成させる手段をさらに具備する請求項33記載の装置。
【請求項36】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号、前記アナログミッドオーディオ信号、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号、または、前記アナログサイドオーディオ信号に利得係数を適用する手段をさらに具備する請求項33記載の装置。
【請求項37】
1つ以上のプロセッサにより実行可能な1組の命令を具現化するコンピュータ読取可能媒体において、
マルチチャネルデジタルアナログ変換器(DAC)において、デジタル化されたミッドオーディオ信号を受け取るためのコードと、
前記マルチチャネルDACにおいて、デジタル化されたサイドオーディオ信号を受け取るためのコードと、
デジタル化されたミッドオーディオ信号をアナログミッドオーディオ信号に変換するためのコードと、
デジタル化されたサイドオーディオ信号をアナログサイドオーディオ信号に変換するためのコードと、
前記アナログミッドオーディオ信号に応答して、ミッドチャネルサウンドを出力するためのコードと、
前記アナログサイドオーディオ信号に応答して、サイドチャネルサウンドを出力するためのコードとを含むコンピュータ読取可能媒体。
【請求項38】
前記デジタル化されたサイドオーディオ信号を反転させて、反転されたデジタル化サイドオーディオ信号を生成させるためのコードをさらに含む請求項37記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項39】
前記デジタル化されたミッドオーディオ信号、前記アナログミッドオーディオ信号、前記デジタル化されたサイドオーディオ信号、または、前記アナログサイドオーディオ信号に利得係数を適用するためのコードをさらに含む請求項37記載のコンピュータ読取可能媒体。
【請求項40】
システムにおいて、
M−Sエンコードされたステレオ信号を生成させるように構成され、前記M−Sエンコードされたステレオ信号をアクセサリデバイスに転送するインターフェースを有する移動体デバイスと、
前記M−Sエンコードされたステレオ信号を受け取るように構成されているインターフェースと、M−Sエンコードされたステレオ信号を再生する手段とを備える前記アクセサリデバイスとを具備するシステム。
【請求項41】
前記移動体デバイスのインターフェースは、ワイヤレスアナログインターフェースと、ワイヤレスデジタルインターフェースと、ワイヤードリンク用のアナログインターフェースと、ワイヤードリンク用のデジタルインターフェースと、先述のものの何らかの適切な組み合わせとからなるグループから選択される請求項40記載のシステム。
【請求項42】
前記アクセサリデバイスのインターフェースは、ワイヤレスアナログインターフェースと、ワイヤレスデジタルインターフェースと、ワイヤードリンク用のアナログインターフェースと、ワイヤードリンク用のデジタルインターフェースと、先述のものの何らかの適切な組み合わせとからなるグループから選択される請求項40記載のシステム。
【請求項43】
前記移動体デバイスにより転送された前記M−Sエンコードされたステレオ信号は、ミッドチャネル信号と、1対のサイドチャネル信号とを含む請求項40記載のシステム。
【請求項44】
前記ミッドチャネル信号と、前記サイドチャネル信号は、差動信号である請求項43記載のシステム。
【請求項45】
前記移動体デバイスにより転送された前記M−Sエンコードされたステレオ信号は、ミッドチャネル信号と、1つだけのサイドチャネル信号とを含む請求項40記載のシステム。
【請求項46】
前記ミッドチャネル信号と、前記サイドチャネル信号は、差動信号である請求項45記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図23A】
【図24】
【図25】
【図26】
【図26A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図23A】
【図24】
【図25】
【図26】
【図26A】
【公表番号】特表2013−500688(P2013−500688A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522981(P2012−522981)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043435
【国際公開番号】WO2011/017124
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/043435
【国際公開番号】WO2011/017124
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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