説明

デバイダ

【課題】 農作物自体を傷つけずに効率的な防除作業を可能にするデバイダを提供することである。
【解決手段】 長さ方向部材(12)と、長さ方向部材と直交するように配置された横方向部材(16)と、横方向部材の両端に、ほぼ水平に寝かせた状態で回転可能にそれぞれ取り付けられた車輪(18)とを備えていることを特徴とするデバイダ(10)が提供される。好ましくは、車輪は、水平面に対して前方かつ外方に微小角度傾斜させた状態で横方向部材に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、デバイダに関する。より詳細には、本発明は、農作物の防除作業において葉や根などを掻き分けるためのデバイダに関する。本発明のデバイダは、豆類、玉ねぎ、じゃがいも、ビート等の防除作業において用いられる。
【背景技術】
【0002】
豆類、玉ねぎ、じゃがいも、ビート等の農作物の生育過程において病虫害を防止すべく防除作業が行われる。このような防除作業においては、葉や根が繁茂し絡みついているため、葉や根を掻き分けて作業を行う必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来、防除作業における葉や根を掻き分けは、機械や手作業に依存しているため、掻き分け時に農作物自体を傷つけたり、時間がかかったりする等して、作業効率が悪いという弊害があった。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて案出されたものであって、農作物自体を傷つけずに効率的な防除作業を可能にするデバイダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載のデバイダは、長さ方向部材と、前記長さ方向部材と直交するように配置された横方向部材と、前記横方向部材の両端に、ほぼ水平に寝かせた状態で回転可能にそれぞれ取り付けられた車輪とを備えていることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載のデバイダは、前記請求項1のデバイダにおいて、前記長さ方向部材の先端部分に配置された、ほぼ円錐形又はn角錐形(n≧3)の先端部を更に備えていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載のデバイダは、前記請求項1又は2のデバイダにおいて、前記長さ方向部材の先端部分に収束するように取り付けられた複数本のそらせ用鉄棒を更に備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載のデバイダは、前記請求項1から請求項3までのいずれか1項のデバイダにおいて、前記長さ方向部材と直交するように配置された第2の横方向部材を更に備え、前記第2の横方向部材の両端に、ほぼ水平に寝かせた状態の車輪が回転可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項5に記載のデバイダは、前記請求項1から請求項4までのいずれか1項のデバイダにおいて、前記車輪が、水平面に対して前方かつ外方に微小角度傾斜させた状態で横方向部材に取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、豆類、玉ねぎ、じゃがいも、ビート等の防除作業に際して、農作物自体を傷つけずに、葉や根を効率的に掻き分けて農薬を散布することができる。とりわけ、車輪径や車輪取付位置(横方向部材の長さ)を適宜調整することにより、所望の幅で掻き分け作業を行うことが可能になる。本発明のデバイダは、自転車の車輪を利用することができるため、製造コストを廉価に抑えることができる。また、本発明のデバイダは、構造が簡単であるため、故障するおそれも少なく、メンテナンスコストを安価に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係るデバイダについて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデバイダを示した斜視図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施の形態に係るデバイダは、長さ方向部材12を備えている。長さ方向部材12は好ましくは、作業時に葉や根を掻き分け易いように、先端部分が下方に湾曲しており、先端部分に、ほぼ円錐形の先端部14が取り付けられている。長さ方向部材12は、角パイプや丸パイプ等の適当な金属材料で形成されている。なお、先端部14は、ほぼ円錐形の形状を有するものとして図示されているが、n角錐(n≧3)の形状に形作ってもよい。
【0012】
デバイダ10は又、長さ方向部材12と直交するように配置された横方向部材16を備えており、横方向部材16の両端には、ほぼ水平に寝かせた状態で車輪18がそれぞれ回転可能に取り付けられている。なお、車輪18は、詳細には後述するように葉や根を掻き分け易いように、水平面に対して前方かつ外方に微小角度(20度以下)傾斜させた状態で横方向部材16に取り付けるのが好ましい。ここで、「前方」とは、デバイダ10の進行方向の側を意味し、「外方」とは、長さ方向部材12から遠ざかる方向を意味する(図1参照)。
【0013】
横方向部材16は、締金20a付きの垂直部材20にボルト留めされており、締金20aを長さ方向部材12に嵌め込んでボルト留めすることにより、長さ方向部材12の所望箇所に装着することができるようになっている。
【0014】
デバイダ10は又、デバイダ10を走行させるための走行車輪22と、デバイダ10をトラクタに連結するための連結部材24とを備えている。なお、参照符号24a、24bは、衝撃吸収用バネ材、ツールバー取付用締金をそれぞれ示している。
【0015】
デバイダ10は更に、先端方向に収束するように先端部14に取り付けられた複数本のそらせ用鉄棒26と、先端部14から前方に延びるように取り付けられた先導用鉄棒28とを備えている。
【0016】
図2は、デバイダ10のトラクタへの取り付け状態の一例を示した斜視図である。すなわち、マスト30を有するツールバー32の適所に、連結部材24の締金24bを介してデバイダ10を取り付け、マスト30をトラクタ(図示せず)の油圧3点支持装置に連結することによって、デバイダ10がトラクタに取り付けられる。
【0017】
図3は、デバイダ10の変形形態を示した側面図である。図3において示されるデバイダ10は、車輪18が二対設けられている点を除いて、図1に示されるデバイダ10と実質的に同一の構成を有している。
【0018】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るデバイダを示した斜視図である。図4において全体として参照符号40で示される本発明の第2の実施の形態に係るデバイダは、作業者が押して防除作業を行う手動式のものである点を除いて、トラクタ等の駆動式農機具に連結して作業を行うように構成されたデバイダ10と実質的に同一の構成を有している。
【0019】
より詳細に説明すると、デバイダ40は、長さ方向部材42と、長さ方向部材42の先端部分に設けられた、ほぼ円錐形の先端部44と、長さ方向部材42と直交するように配置された横方向部材46と、横方向部材46の両端に、ほぼ水平に寝かせた状態で回転可能にそれぞれ取り付けられた車輪48と、横方向部材46を長さ方向部材42に取り付けるための垂直部材50と、走行車輪52と、そらせ用鉄棒56と、先導用鉄棒58と、作業用ハンドル60とを備えている。なお、デバイダ40の操作性を考慮して、補助車輪62を配置してもよい。
【0020】
図5は、デバイダ10を使用して防除作業を行っている状態を模式的に示した図である(図5では、デバイダ10を牽引するトラクタは図示されていない)。防除作業を行うに際しては、デバイダ10を圃場に配置して押していくと、先端部14によって掻き分けられた葉や根が車輪18に接触する。デバイダ10を更に押すと、接触している葉や根との摩擦のため車輪18が回転して、葉や根が左右に掻き分けられるので、この状態で農薬を散布すると、農作物自体を傷つけずに、葉や根の深部にまで農薬を行き渡らせることができる。なお、そらせ用鉄棒26によっても、葉や根が掻き分けられるので、一層効率的に作業を行うことができる。デバイダ40についても、人力で押す点を除いて、デバイダ10と同様に使用される。
【0021】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0022】
たとえば、前記実施の形態において示された車輪の形状、配置箇所や作業用ハンドルの形状等は、単なる例示的に示したものにすぎず、他の形状等にしてもよい。走行車輪22、52の代わりに、或いは走行車輪22、52に加えて、走行用のそり(図示せず)を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデバイダを示した斜視図である。
【図2】図1のデバイダのトラクタへの取り付け状態を示した斜視図である。
【図3】図1のデバイダの変形形態を示した側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るデバイダを示した側面図である。
【図5】図1のデバイダを使用して防除作業を行っている状態を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0024】
10、40 デバイダ
12、42 長さ方向部材
14、44 先端部
16、46 横方向部材
18、48 車輪
20、50 垂直部材
22、52 走行車輪
24 連結部材
26、56 そらせ用鉄棒
28、58 先導用鉄棒
30 マスト
32 ツールバー
60 作業用ハンドル
62 補助車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物の防除作業に用いられるデバイダであって、
長さ方向部材と、
前記長さ方向部材と直交するように配置された横方向部材と、
前記横方向部材の両端に、ほぼ水平に寝かせた状態で回転可能にそれぞれ取り付けられた車輪と、
を備えていることを特徴とするデバイダ。
【請求項2】
前記長さ方向部材の先端部分に配置された、ほぼ円錐形又はn角錐形(n≧3)の先端部を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載されたデバイダ。
【請求項3】
前記長さ方向部材の先端部分に収束するように取り付けられた複数本のそらせ用鉄棒を更に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載されたデバイダ。
【請求項4】
前記長さ方向部材と直交するように配置された第2の横方向部材を更に備え、前記第2の横方向部材の両端に、ほぼ水平に寝かせた状態の車輪が回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたデバイダ。
【請求項5】
前記車輪が、水平面に対して前方かつ外方に微小角度傾斜させた状態で横方向部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたデバイダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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