説明

デフロスタダクト取付構造

【課題】 デフロスタダクトの吹出口をインストルメントパネルの開口部に精度良く取り付ける手段を提供する。
【解決手段】 デフロスタダクト取付構造は、開口部が形成されたインストルメントパネルと、開口部に挿入されるノズルを有するとともに、ノズルの先端に吹出口が開口されたデフロスタダクトとを備え、開口部の内壁には、ノズルの挿入方向に沿って延長する案内部が形成され、ノズルの外壁には、案内部と係合する被案内部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デフロスタダクト取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、運転席の前側にフロントガラスが設けられている。このフロントガラスの下方には、運転席の前面を覆うようにインストルメントパネルが配置されている。そして、インストルメントパネルには開口部が開口され、開口部の下方には温風を吹き付けてフロントガラスの曇り止めを行うデフロスタダクトが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭54−056826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、インストルメントパネルにデフロスタダクトを取り付ける場合、部品形状のバラつきや作業者の熟練度等により、デフロスタダクトの吹出口とインストルメントパネルの開口部の位置関係にズレが生じる場合がある。
【0005】
上記位置関係のズレがあると、デフロスタダクトから吹き出される温風の一部がインストルメントパネルの開口部の付近に当たって失速してしまい、温風がフロントガラスの上部まで到達せず、フロントガラスを効率良く温めることが出来なくなる場合がある。
【0006】
上記事情に鑑み、デフロスタダクトの吹出口をインストルメントパネルの開口部に精度良く取り付ける手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一の態様のデフロスタダクト取付構造は、開口部が形成されたインストルメントパネルと、開口部に挿入されるノズルを有するとともに、ノズルの先端に吹出口が開口されたデフロスタダクトとを備え、開口部の内壁には、ノズルの挿入方向に沿って延長する案内部が形成され、ノズルの外壁には、案内部と係合する被案内部が形成される。
【0008】
開口部の内壁およびノズルの外壁の一方に周方向に延長する溝を形成し、開口部の内壁およびノズルの外壁の他方に溝と係合する突起を形成してもよい。
【0009】
他の一の態様のデフロスタダクト取付構造は、開口部が形成されたインストルメントパネルと、開口部に挿入されるノズルを有するとともに、ノズルの先端に吹出口が開口されたデフロスタダクトとを備え、ノズルは、根元が開口部よりも太く、先端が開口部よりも細くなるテーパー状に形成され、ノズルは開口部で固定される。
【発明の効果】
【0010】
部品形状のバラつきや作業者の熟練度等に拘らず、デフロスタダクトの吹出口をインストルメントパネルの開口部に精度良く取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態において、車両の運転席を平面方向から見た図
【図2】第1実施形態におけるデフロスタダクトの取り付け前後の正面図
【図3】第1実施形態におけるデフロスタダクトの取り付け状態を示す断面図
【図4】第1実施形態におけるインストルメントパネルの開口部の1つを拡大して示す平面図
【図5】第1実施形態の変形例におけるデフロスタダクトの取り付け状態を示す断面図
【図6】第2実施形態におけるデフロスタダクトの取り付け状態を示す部分拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態の説明>
図1は、第1実施形態において、デフロスタダクト取付構造が適用される車両の運転席を平面方向から見た図である。
【0013】
図1に示す運転席の前方から助手席の前方にかけて、不図示のフロントガラスが配置されている。そして、車室内において、フロントガラスの下方には、運転席前方から助手席の前方を覆うインストルメントパネル10が配置されている。インストルメントパネル10は、例えば樹脂で形成される。このインストルメントパネル10には、フロントガラスに温風を吹き付けるための開口部11が、図中横方向に並ぶように複数形成されている。なお、インストルメントパネル10の内部に物が落下することを防止するために、開口部11には羽が複数供えられている。
【0014】
また、インストルメントパネル10の裏側には、例えば樹脂製のデフロスタダクト20が取り付けられている。デフロスタダクト20は、インストルメントパネル10の開口部11と対応する位置に後述の吹出口を有している。また、デフロスタダクト20は、不図示の空調装置に接続されており、空調装置からデフロスタダクト20に温風が供給される。デフロスタダクト20からの温風は、インストルメントパネル10の開口部11から車室内に向けて上方に吹き出される。そして、温風がフロントガラスに吹き付けられることで、フロントガラスの結露が防止される。
【0015】
次に、図2〜図4を参照しつつ、第1実施形態におけるデフロスタダクト取付構造を説明する。
【0016】
図2(a)は、第1実施形態におけるデフロスタダクト20の取り付け前の正面図である。図2(b)は、第1実施形態におけるデフロスタダクト20の取り付け後の正面図である。図3は、デフロスタダクト20の取り付け状態を示す断面図である。図4は、図1のインストルメントパネルの開口部11の1つを拡大して示す平面図である。なお、説明の便宜のため、羽については図示を省略する。
【0017】
インストルメントパネル10の各開口部11の下方には筒状の差込部12がそれぞれ形成されている。各差込部12の内壁には、差込部12の延長方向(図2、図3の上下方向)に沿って凹状の案内溝13が形成されている。案内溝13は、1つの差込部12について4つずつ設けられており、各々の案内溝13は、差込部12の一端(図2、図3の下側)から差込部12の他端近傍(図2、図3の上側)まで延長している。
【0018】
デフロスタダクト20は、インストルメントパネル10の開口部11と対応する位置にノズル22を有する。そして、各ノズル22の先端には吹出口21が形成されている。
【0019】
また、各ノズル22の外壁には被案内部としての凸部23が4つずつ設けられている。各ノズルの4つの凸部23の位置は、差込部12の案内溝13の位置とそれそれ対応する。また、各凸部23は、直方体状の突起である。第1実施形態での凸部23の高さは案内溝13の深さよりも低く、凸部23の幅は案内溝13の幅よりも狭くなっている。
【0020】
デフロスタダクト20の取付時には、案内溝13と凸部23との位置を合わせた状態で、インストルメントパネル10の差込部12にノズル22を下方から上方に向けて挿入すればよい。凸部23のサイズは案内溝13よりも小さいので、凸部23は案内溝13と干渉することなく係合し、差込部12に挿入されたノズル22は案内溝13の延長方向に沿って案内される。凸部23が案内溝13の奥に到達するまでノズル22を挿入すると、デフロスタダクト20の吹出口21がインストルメントパネル10の開口付近で位置決めされる。その後、インストルメントパネル10とデフロスタダクト20とを不図示のビス等で固定することで、デフロスタダクト20の取り付けが完了する。
【0021】
以下、第1実施形態の作用効果について述べる。第1実施形態のデフロスタダクト取付構造では、デフロスタダクト20のノズル22をインストルメントパネル10の差込部12に挿入してデフロスタダクト20の取り付けを行う。このとき、差込部12の案内溝13にノズル22の凸部23を案内させてデフロスタダクト20をインストルメントパネル10に取り付けるので、取付時にデフロスタダクト20の吹出口21とインストルメントパネル10の開口部11との位置関係にズレがほぼ生じない。また、第1実施形態のデフロスタダクト取付構造では、取付後においても案内溝13と凸部23との係合により、開口部11と吹出口21との位置が横方向にズレにくくなる。
【0022】
したがって、第1実施形態によれば、部品形状のバラつきや作業者の熟練度等に拘らずデフロスタダクト20の吹出口21をインストルメントパネル10の開口部11に精度良く取り付けることができる。その結果、デフロスタダクト20の吹出口21から吹き出される温風がインストルメントパネル10の開口部11付近に当たって失速することを防止できるので、デフロスタ性能の低下を防止できる。また、第1実施形態によれば、デフロスタダクト20とインストルメントパネル10をビス等で固定するときの作業性も向上する。
【0023】
なお、第1実施形態によれば、デフロスタダクト20のノズル22によって同一方向に収束するように温風が導かれるので、吹出口21近傍で温風が拡散して失速することを防止できる。したがって、第1実施形態によれば、温風がフロントガラスの上部まで到達しやすくなるので、フロントガラスを効率よく温めることができる。
【0024】
<第1実施形態の変形例の説明>
次に、図5を参照しつつ、第1実施形態の変形例におけるデフロスタダクト取付構造を説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、重複説明は省略する。
【0025】
図5は、第1の実施形態の変形例におけるデフロスタダクト20の取り付け状態を示す断面図である。図5に示す第1の実施形態の変形例のデフロスタダクト取付構造は、開口部11の内壁およびノズル22の外壁の一方に周方向に延長する溝を形成するとともに、開口部11の内壁およびノズル22の外壁の他方には、上記の溝と係合する突起を形成する。
【0026】
図5の例では、インストルメントパネル10の各開口部11において、差込部12の内壁に周方向に延長する突起14を形成している。突起14は、差込部12の内壁において、案内溝13よりも上側の位置にそれぞれ形成されている。
【0027】
また、デフロスタダクト20の各ノズル22の外壁には、それぞれ周方向に延長する突起24aが2本平行に形成されている。ノズル22の2本の突起24aは、ノズル22の凸部23よりも上側の位置に形成されており、突起24aの間隔は、差込部12の突起14の幅よりも若干大きくなっている。これにより、ノズル22の2本の突起24aの間は、差込部12の突起14と係合する溝24となる。なお、ノズル22の2本の突起24aの高さは、いずれも開口部11とは干渉しない高さに設定されている。
【0028】
本変形例では、ノズル22を差込部12に挿入するときに、差込部12の突起14の奥までノズル22を押し込むことで、弾性変形により突起14が溝24と係合する。これにより、デフロスタダクト20のノズル22がインストルメントパネル10の差込部12から上下方向に脱落しにくくなる。
【0029】
そのため、本変形例では、上記の第1実施形態と同様の作用効果に加えて、デフロスタダクト20をインストルメントパネル10に取り付ける際に、作業者がビス止め等を行うときの作業性がより向上する。
【0030】
<第2実施形態の説明>
次に、図6を参照しつつ、第2の実施形態におけるデフロスタダクト取付構造を説明する。図6は、第2実施形態におけるデフロスタダクト20の取り付け状態を示す部分拡大断面図である。
【0031】
第2実施形態でのインストルメントパネル10は、第1の実施形態と同様に複数の開口部11を有する。但し、第2実施形態では、開口部11の下方に差込部12が形成されていない点で第1実施形態と相違する。
【0032】
デフロスタダクト20には、第1実施形態と同様に、インストルメントパネル10の開口部11と対応する位置にそれぞれノズル22が形成されている。各ノズル22の先端には吹出口21が形成されている。また、第2実施形態でのノズル22は、根元が開口部11よりも太く、先端が開口部11よりも細くなるテーパー状に形成されている。
【0033】
第2実施形態のデフロスタダクト取付構造では、第1実施形態と同様に、デフロスタダクト20のノズル22をインストルメントパネル10の差込部12に挿入してデフロスタダクト20の取り付けを行う。第2実施形態のノズル22は、根元が開口部11よりも太く、先端が開口部11よりも細くなるテーパー状である。そのため、ノズル22を開口部11の下側から挿入すると、ノズル22の太さと開口部11の大きさが一致する箇所において、ノズル22の吹出口21が開口部11から突き抜けた状態で位置決めされる。その後、インストルメントパネル10とデフロスタダクト20とを不図示のビス等で固定することで、デフロスタダクト20の取り付けが完了する。
【0034】
上記の第2実施形態の構成では、ノズル22の大きさと開口部11の大きさが一致する箇所でノズル22が位置決めされるので、部品形状のバラつきや作業者の熟練度等に拘らず、デフロスタダクト20の吹出口21をインストルメントパネル10の開口部11に精度良く取り付けることができる。その結果、デフロスタダクト20の吹出口21から吹き出される温風がインストルメントパネル10の開口部11付近に当たって失速することを防止できるので、デフロスタ性能の低下を防止できる。
【0035】
なお、第2実施形態によっても、デフロスタダクト20のノズル22によって同一方向に収束するように温風が導かれるので、吹出口21近傍で温風が拡散して失速することを防止できる。したがって、第2実施形態によれば、温風がフロントガラスの上部まで到達しやすくなるので、フロントガラスを効率よく温めることができる。
【0036】
<実施形態の補足事項>
(a)第1実施形態では、一例として、インストルメントパネル10の案内溝13及びデフロスタダクト20の凸部23を4つずつ設ける例を説明した。しかし、案内溝13および凸部23の数および配置は、上記の構成に限定されず適宜変更することができる。
【0037】
(b)第1実施形態では、インストルメントパネル10の全ての開口部11に差込口12を設ける例を説明したが、上記の構成に限定されるものではない。例えば、インストルメントパネル10の一部の開口部11に差込口12を設けるようにしてもよい。
【0038】
(c)第1実施形態では、インストルメントパネル10の全ての差込口12に案内溝13を設け、デフロスタダクト20の全てのノズル22に凸部23を設ける例を説明したが、上記の構成に限定されるものではない。例えば、インストルメントパネル10の一部の差込部12にのみ案内溝13を設け、案内溝13を設けた差込部12に対応するノズル22に凸部23を設けてもよい。
【0039】
(d)第1実施形態の変形例では、インストルメントパネル10の開口部11の差込口12の内壁の周方向に突起14を設け、デフロスタダクト20ノズル22の外壁の周方向に溝24を設ける例を説明したが、上記の構成に限定されるものではない。例えば、インストルメントパネル10の差込口12の内壁に溝を設け、デフロスタダクト20のノズル22の外壁に突起を設けて、突起と溝の関係を逆にしてもよい。
【0040】
(e)第1実施形態の変形例では、インストルメントパネル10の全ての差込口12に突起14を設け、デフロスタダクト20の全てのノズル22に溝24を設ける例を説明したが、上記の構成に限定されるものではない。例えば、インストルメントパネル10の一部の差込部12にのみ突起14を設け、突起14を設けた差込部12に対応するノズル22に溝24を設けてもよい。
【0041】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…インストルメントパネル、11…開口部、12…差込口、13…案内溝、14…突起、20…デフロスタダクト、21…吹出口、22…ノズル、23…凸部、24…溝、24a…突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されたインストルメントパネルと、
前記開口部に挿入されるノズルを有するとともに、前記ノズルの先端に吹出口が開口されたデフロスタダクトとを備え、
前記開口部の内壁には、前記ノズルの挿入方向に沿って延長する案内部が形成され、前記ノズルの外壁には、前記案内部と係合する被案内部が形成されたことを特徴とするデフロスタダクト取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のデフロスタダクト取付構造において、
前記開口部の内壁および前記ノズルの外壁の一方に周方向に延長する溝を形成し、前記開口部の内壁および前記ノズルの外壁の他方に前記溝と係合する突起を形成したことを特徴とするデフロスタダクト取付構造。
【請求項3】
開口部が形成されたインストルメントパネルと、
前記開口部に挿入されるノズルを有するとともに、前記ノズルの先端に吹出口が開口されたデフロスタダクトとを備え、
前記ノズルは、根元が前記開口部よりも太く、先端が前記開口部よりも細くなるテーパー状に形成され、前記ノズルは前記開口部で固定されることを特徴とするデフロスタダクト取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−126286(P2012−126286A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280477(P2010−280477)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】