説明

デンタルキット及び溝を後退させる方法

本発明は、硬化後、除去される硬化可能な組成物3を使用して第一のステップにて歯科印象8を作製することを特徴とする、溝を後退させる方法に関する。シリコーン材料5は、適宜なモールド形成器を使用して歯1と周縁歯肉2との間の境界領域内に施される。シリコーン材料5は、硬化するとき、体積が膨張することを特徴とする。それ以前に作製された歯科印象8を再度、歯に配置し、これによりこの歯科印象8は、シリコーン材料5の膨張方向に対する片側側方向の制限部を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科印象(デンタルインプレッション)を作製する間、歯頸部分の領域を後退させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科補綴具、特に、数本の歯のみに対処する義歯を作製するためには、歯及びこれらの歯に隣接する顎の部分の印象すなわち圧痕型を歯科技工士に提供しなければならない。このため、歯の状況を示すモールド(歯型)は、歯科医により作製されなければならない。歯から顎への遷移部分に対処するためには、歯肉により覆われた歯頸部分を自由にする(覆われていない状態にする)必要がある。このため、この領域の歯科印象を作製するためには、溝(こう。sulcus)を露出させなければならない。
【0003】
後退用コード(retraction cord)を溝の領域内に挿入することによる、広く使用されている方法に並んで、米国特許明細書5,676,543号には、別の方法が記載されている。この特許明細書によれば、歯の状況を示すモールドは、硬化可能なモールド物質により作製される。その後、硬化した歯科印象を取り外す。モールド内には、注入可能で且つ硬化可能な材料による層が与えられる。このようにして作製したモールドは、口内に再度、配置される。注入可能で且つ硬化可能な材料は、止血性コンパウンド又は組織を後退させるような物質を含むことが必須である。モールドに圧力を加えることにより、この硬化可能な材料は、歯頸部分と歯肉との間の領域内に押し込まれる。止血性コンパウンドによって、組織の収縮が生じる。溝は、歯頸部分から後退する。清浄化後、露出した溝を含む歯の状況を示す適正なモールドを作ることができる。
【0004】
注入可能で且つ硬化可能な材料を、歯科印象の陰型内に与えることが、必ずしも要求される結果をもたらすとは限らないことは認めざるを得ない。モールドを再配置する際に、注入可能な材料の一部分がこすれて汚され、このため溝を正確に後退させることがもはや保証されなくなるのである。究極的には、止血性コンパウンドによって溝を後退させることは、モールドの品質を常に保証するのに十分であるとは限らない。更に、注入可能な材料を定量的に与えるということは、与えている間に陰型の輪郭が覆われてゆくことになり、このため、層の厚さを制御することはもはや不可能となるということであるから、このやり方は難しいことが判明している。
【0005】
本発明の課題は、既知の技術の不利益な点を回避し、特に、歯頸部分を露出させる1つの代替的な方法を提供することである。
この課題は、独立請求項の特徴部分に従った方法によって解決される。
【0006】
本発明の方法は、多数の順次的なステップを備えている。最初に、硬化可能なコンパウンドで歯科印象が作られ、この歯科印象は、その硬化後に取り外される。歯及び歯肉に隣接する領域内には、シリコーン材料が適切な道具によって与えられる。このシリコーン材料の特徴的な性質は、硬化する間にその体積が膨張することである。先に作った歯科印象すなわちデンタルモールドは歯に再度、配置される。それによって、モールドは、シリコーン材料の膨張に対する片側における障壁となる。したがってシリコーンの膨張は、溝に向けた方向にのみ可能であり、このため、溝は、歯頸部分から分離する。溝は、歯頸部分から距離を置かれ、組織の収縮だけによって歯頸部分から後退する。
【0007】
歯科印象を作製するのに適した、既知の材料を用いた様々なシステムがある。通常、これらのシステムは、少なくとも1つのシリコーンコンパウンドと、硬化用触媒とから成っている。好ましくは、シリコーンコンパウンドは、添加及び凝固反応によって架橋結合可能なものとする。モールド用の2つの成分は、別個に提供し且つ施術までは混合させないようにするか、又は、これらの成分は混合体を形成し、この混合体は加湿等によって硬化ステップに入るようにする。
【0008】
硬化中、膨張するシリコーン材料は、僅かに1つのシリコーンコンパウンド、又は種々の異なるシリコーンコンパウンドの混合体から成るものとすることができる。好ましくは、この膨張するシリコーン材料は、当初の体積に対して少なくとも20%、より好ましくは少なくとも35%、最も好ましくは少なくとも70%の最小膨張率を有するものとする。この体積膨張の値は、制限のない状態における、すなわち開放された状態の体積における材料の膨張に関係している。膨張という語は、本発明の範囲内において、シリコーン材料又は幾つかのシリコーンコンパウンドの混合体が硬化反応する間、又は硬化反応した後に体積膨張が生ずることを意味するものと理解されたい。硬化反応は、新たな分子間結合又は分子内結合を生成するに至る反応過程を意味するものと理解されたい。膨張は、通常、これらの反応過程の開始後に遅れて開始し、これら反応の終了時以降も続く。かかる膨張の挙動を呈する適宜なシリコーンコンパウンドは、添加反応により架橋結合可能なシリコーンコンパウンドである。上述した体積膨張を示す膨張するシリコーン材料は、溝を後退させる制御状態を改良し且つ、より簡単にすることを可能にする。シリコーン材料を施す前の適当な時期に硬化触媒を添加するか、又は、既存の水分により硬化を開始させるような触媒をシリコーン材料が既に含むものとする。特定の膨張の挙動に加えて、施される量によって制御を行うこともできる。かかる2つの因子は、相互に反応の結果に影響を与える。有利な点は、膨張可能な添加架橋結合シリコーン材料が2成分システムとして使用されるということである。これら2成分の必須の構成物として使用される、例えば、ジヒドロキシ又はジビニル−ポリ(ジメチル)シロキサンのような、異なる官能基ポリ(ジメチル)シロキサンは、5ないし100Pa.sの範囲にあることが好ましい粘度を有する。2つの成分は、歯科用物質として一般に使用されるフィラーを更に備えている。これらのフィラーは、表面処理するか、又は何らの表面処理もしないかの何れかとすることができる。フィラーの例は、シリカ、発熱性シリカ、炭酸カルシウム、粉砕石英又はケイ酸塩である。
【0009】
添加反応により架橋結合可能なシリコーン材料を使用することは、硬化中、有害なコンパウンドが放出されない、すなわち開裂しないから、患者の健康に対する有害な影響を回避することになる。更に、これら型式のコンパウンドは、モールド形成材料と反応しないという点にて有利である。膨張するシリコーンが硬化した後、該シリコーンは、単一物又は幾つかの物として歯の領域から除去することができる。これと同時に、不十分に露出された領域に対し、膨張するシリコーン材料を再度施して後退ステップを反復することが必要とされる場合、歯科医は後退の結果を制御することが可能となる。この手順は、モールドに恒久的に接着するシリコーンコンパウンドにては不可能である。この場合、手順の全体を完全に反復する必要がある。
【0010】
本発明の方法は、歯と歯肉との間の隣接する領域に対し膨張するシリコーン材料を施す前に、少なくとも1つの止血性コンパウンド又は収斂剤が施されるならば、更に有利である。止血性コンパウンド又は収斂剤の例(異なる適宜な水和物を含む)は、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム鉄、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、亜鉛フェノール硫酸塩、タンニン酸、アドレナリン又は他の既知のコンパウンドを含む。これらのコンパウンドを施すことにより、シリコーン材料の膨張に起因して生ずる出血を直ちに停止させることができる。このように、硬化し且つ膨張したシリコーンを除去した後、変位した溝は、漏洩した液体を取り除かれて容易に清浄にすることができ、また、その後に歯の状況の最終的なモールドを形成する間、広範囲に液体が更に漏洩しない状態を保つことができる。止血性コンパウンドと膨張するシリコーンとの化学的適合性は常に保証されるとは限らないから、2つの成分は、別個に施さなければならない。しかし、添加する架橋結合可能な膨張するシリコーン材料中にタンニン酸のような単一の止血性コンパウンドを組み込むことができ、このため、歯と歯肉との間の領域に対し同時に施すことが可能である。
【0011】
本発明の方法は、モールドを意味する変位した歯科印象が、対向して位置する歯列によりその所要位置に保たれるならば、更に有利である。患者は、簡単な咬合によりこれを実現することができる。面倒で且つ誤りを生じさせる、歯科医がモールドを保持する状態は、回避することができる。対向して位置する歯により固定することで溝を均一に後退させることを実現できる。
【0012】
上述した方法の別の実施の形態においては、後退させるステップの前に作製しなければならない歯科印象に代えて、ロール物、特に、綿ロールを使用する。これらのロールは、円柱体として形成することができるが、その他の形状体とすることも可能である。例えば、コンプレキャップ(Comprecap)(登録商標名)を使用することができる。ロールは、膨張可能なシリコーン材料が施された後、溝を露出させなければならない領域に配置される。綿ロールは、膨張可能なシリコーン材料の膨張に対する障壁として、歯科印象と同様に機能する。
【0013】
更なる実施の形態において、膨張し且つ硬化したシリコーン材料は、シリコーン材料を施した後、コード、すなわち、膨張可能なシリコーン材料内に埋め込まれた後退用コードの助けにより除去される。コードは、硬化過程中、シリコーン材料中に固定される。コードは、膨張可能なシリコーン材料を施す前に、歯頸部分と歯肉との間の領域内に配置することもでき、それから施術中にシリコーン材料により覆われる。コードとしては、歯科用途に適した全ての材料を使用することができる。
【0014】
本発明の更に別の実施の形態において、歯科印象は、添加反応により架橋結合可能なモールド形成物質から作製される。歯の方向を向いた歯科印象の面は、モールドを再配置する前に、モールドの離型剤にて処理されていない。特に、添加架橋結合可能、膨張可能なシリコーン材料が使用される場合、この膨張可能なシリコーン材料は、モールドに恒久的に接着する。次に、膨張し且つ、硬化したシリコーン材料をモールドと共に除去する。このことは、露出した溝を処理する手順を簡単にする。
【0015】
本発明の更なる形態は、上述した方法にて施すために使用することのできるデンタルキットである。該キットは、歯科印象を作製するための硬化可能なモールド形成物質と、少なくとも1つの膨張可能なシリコーン材料とを備えており、該シリコーン材料における体積膨張は、硬化していない混合体の当初の体積と比べて少なくとも20%、好ましくは、少なくとも35%、より好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは、70%となるようにする。
【0016】
更に望ましくは、このキットは、処理すべき領域に別個に施さなければならない、上述したものと同様の止血性コンパウンドを備えるものとする。
デンタルキットの別の実施の形態において、膨張可能なシリコーン材料は、止血性コンパウンド、好ましくは、少なくとも1つのタンニン酸を備えている。この場合、タンニン酸と膨張可能なシリコーンとの混合体は、処理すべき領域に施される。
【0017】
本発明は、実施例及び図面によってさらに詳細に説明される。
実施例1:
溝を後退させるためのステップの順序は、図1aに示すように、歯科印象を作製することから開始する。歯1及び隣接する歯肉は、モールド形成物質3によって包み込まれている。モールド形成物質として、凝固架橋結合可能なゴム材料スピーデックスパッティ(SPEEDEX PUTTY)(コルテネ(Coltene)AG)が使用される。該材料は、モールド形成器4内に配置される。モールド形成器4は歯1及び隣接する組織2にそれぞれ押し付けられる。
【0018】
約3ないし4分後に生じるモールド形成物質3の硬化後、モールド8を除去し、歯1及び組織2を清浄にすることができる。膨張するシリコーンコンパウンドを施す前に、止血性コンパウンドとして領域に対し硫酸アルミニウムによるブラッシングが行われる。歯1と組織2との間の隣接する領域内に、現場にて混合するための器具6によって、膨張するシリコーンコンパウンド5が施される。この膨張するシリコーンコンパウンドは2つの成分A、Bから成っている。
【0019】
コンパウンドAは、次のものから成る。
10g アルファ,オメガ−ジヒドロキシ−ポリジメチルシロキサン
(粘度18Pa.s:ワッカーシリコーン
(Wacker Silicone))
5g 粉砕石英シクロン(SIKRON)B600(クワルツベルケフレッツェン
、D(Quarzwerke Frechen,D))
0.05g シロプレーン U−カタリセイター(SILOPREN U−Kataly
sator Pt/D(GEベイヤー シリコーンズ(GEBayer S
ilicones))
0.02g ジビニルテトラメチルジシロキサン(フルカ(Fluka))
コンパウンドBは、次のものから成る。
9.08g アルファ,オメガ−ジビニル−ポリジメチルシロキサン(粘度20Pa.s
:ワッカーシリコーンズ(Wacker Silicones))
5g 粉砕石英シクロン(SIKRON)B600(クワルツベルケフレッツェン
、D(Quarzwerke Frechen,D))
0.3g ポリメチルヒドロシロキサン(粘度20mPa.s;ワッカーシリコーンズ
(Wacker Silicones))
2つの成分A、Bは、1:1の容積比にて均質に混合させる。施術中、シリコーン成分A、Bは直ちに混合するため、硬化反応が始まる。作製したモールド8の表面は該モールドを再配置する前にモールド離型剤にて処理し、また、膨張可能なシリコーンコンパウンドを施した後、モールドを歯に対して再配置する(図1c)。このように、シリコーン成分A、Bの均質な混合体の膨張は、その膨張方向にのみ制限され、溝7の領域に向けてのみ作用可能である。成分の不適合性のため、硫酸アルミニウム及び混合体は別個に施す必要がある。
【0020】
シリコーン成分の混合体5が膨張した後、モールド8を除去する。シリコーン成分の膨張した混合体5は、歯1にてモールド8から分離したままであり、このときに溝の膨張した領域7から幾つかの接続した物として除去することができる。溝の膨張した領域を清浄にした後、最終的な歯の状況のモールド形成を高精度にて行うことができる。図1dには、露出した溝7を有する歯1及びその下方に位置する歯肉2が示されている。溝の露出が不十分な場合、図1b、図1cに概略図的に示した方法のステップを反復することができる。
【0021】
実施例1の形態変更した方法において、膨張可能なシリコーン材料5を施した後、後退用コードリトラクト(Retracto)(登録商標名)(コルテネホールデント/ロエコ(Coltene Whaledent/Roeko))を混合体5内に埋め込む。この後退用コードのため、硬化したシリコーン材料は容易に除去可能である。
【0022】
実施例2:
第二の実施例に従い、歯科印象は、添加架橋結合可能な歯科印象材料、アフィニスパッティ(AFFINIS PUTTY)(コルテネAG(Coltene AG))により作製される。このため、歯科印象材料がモールド形成器内に配置され、該モールド形成器は義歯上に配置される。材料が硬化した後、モールドを除去し、清浄化ステップの後にモールド離型剤GIマスクセパレータ(GI MASK SEPARATOR)(コルテネAG)を施す。モールド離型剤のため、モールド及び硬化した膨張後のシリコーンコンパウンドを互いに別個に除去することができる。
【0023】
溝を後退させるための更なるステップは上記の実施例について説明したステップに従って行われる。
歯の状況の最終的なモールド形成は、一般に利用可能なモールド形成物質にて行うことができる。
【0024】
実施例3:
実施例2にて説明したモールドの作製と異なり、モールドは、歯に再配置する前にモールド離型剤にて処理しなかった。硬化し且つ、膨張したシリコーンコンパウンドをモールドに恒久的に接着させ、また、モールドと共に単一物として除去する。
実施例4:
膨張可能なシリコーン成分混合体5の膨張方向の制限は、歯科印象を作製することに代えて、コンプレキャップ(Comprecap)(登録商標名)シリンダ(コルテネホールデント/ロエコ)により実現される。シリコーン成分混合体5は、実施例1にて説明したものと同一である。溝を歯の歯頸部分から除去すべき領域にて必要な数のコンプレキャップを適宜な方位に向けて配置する。コンプレキャップは、歯又は歯肉組織と接触していない、施された膨張可能なシリコーン材料の表面、すなわち歯及び歯肉から離れる方向を向く面を覆う。シリコーン材料が硬化し且つ、これと同時に生じる膨張の後、硬化したシリコーン材料をコンプレキャップス(Comprecaps)(登録商標名)と共に除去する。実施例1にて説明したのと同様に、処理した領域を清浄にした後、最終的な歯科印象を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明における必要なステップを示す図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝を後退させる方法において、
モールド、好ましくは歯科印象を作製するステップと、
モールドを除去するステップと、
シリコーン材料を歯と歯肉との間の隣接する領域に施すステップと、
モールドを再配置するステップと、を備え、
シリコーン材料は、硬化反応時又は硬化反応中に膨張することのできるコンパウンドの中から選ばれる、
溝を後退させる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、モールドを作製するための成分及び/又はシリコーン材料は、多数チャンバカートリッジシステム、好ましくは二重チャンバカートリッジシステムにて供給され、施術は、スタティックミキシング装置を介して行われる、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、モールドが、該モールドに対向する列歯によって固定されるように作製される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、モールドは、添加架橋結合可能なシリコーンコンパウンドから作製され、モールドには、モールド離型剤が存在しない、方法。
【請求項5】
溝を後退させる方法において、
シリコーン材料を歯と歯肉との間の隣接する領域に施すステップと、
施されたシリコーン材料に円柱体、好ましくは綿円柱体を当てがうステップと、を備え、
シリコーン材料は、硬化反応時又は硬化反応中に膨張することのできるコンパウンドの中から選ばれる、
溝を後退させる方法。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つの項に記載の方法において、シリコーン材料は硬化反応時、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の体積膨張率を有する、方法。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つの項に記載の方法において、シリコーン材料を施す前に、少なくとも1つの止血性コンパウンドが歯と歯肉との間の隣接する領域に施される、方法。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つの項に記載の方法において、硬化可能なモールド形成物質は、少なくとも1つのシリコーンコンパウンドと硬化反応を開始させる触媒とのシステムから成る、方法。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つの項に記載の方法において、膨張するシリコーン材料は、添加反応により架橋結合可能な少なくとも1つのシリコーンコンパウンドを備える、方法。
【請求項10】
請求項7ないし9の何れか1つの項に記載の方法において、止血性コンパウンドは、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウム鉄、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化鉄、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化亜鉛、亜鉛フェノール硫酸塩、タンニン酸、アドレナリン及びこれらの混合体から成る群から選ばれる、方法。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1つの項に記載の方法において、膨張可能なシリコーン材料を施した後に、シリコーンコンパウンド内にコードが埋め込まれる、方法。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1つの項に記載の方法において、膨張可能なシリコーン材料を施す前に、歯と歯肉との間の領域にコードが配置される、方法。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか1つの項に記載の方法において、膨張するシリコーン材料は、止血性コンパウンド、好ましくはタンニン酸を備える、方法。
【請求項14】
溝を後退させるのに適したデンタルキットにおいて、
モールド、好ましくは歯科印象を作製するための硬化可能なモールド形成物質と、少なくとも1つの硬化可能なシリコーンコンパウンドと、を備え、硬化反応中、シリコーンコンパウンドは、硬化していないときのコンパウンドの当初の容積と比較して少なくとも20%、好ましくは少なくとも35%の体積膨張率を有する、溝を後退させるのに適したデンタルキット。
【請求項15】
請求項14に記載のデンタルキットにおいて、止血性コンパウンドを備える、デンタルキット。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のデンタルキットにおいて、硬化可能なモールド形成物質は、少なくとも1つの追加的なシリコーンコンパウンドと、硬化触媒とを備える、デンタルキット。
【請求項17】
請求項14ないし16の何れか1つの項に記載のデンタルキットにおいて、硬化可能で且つ膨張可能なシリコーンコンパウンドは、添加反応により架橋結合可能なシリコーンの群の中から選ばれる、デンタルキット。
【請求項18】
請求項14ないし17の何れか1つの項に記載のデンタルキットにおいて、硬化可能なモールド形成物質及び/又はシリコーン材料を施すため、特に、スタティックミキシング装置に接続され又は接続可能である、多数チャンバカートリッジシステム、好ましくは二重チャンバカートリッジシステムを更に備える、デンタルキット。
【請求項19】
請求項14ないし18の何れか1つの項に記載のデンタル装置又は請求項1ないし13の何れか1つの項に記載の方法にて使用される硬化可能で且つ膨張可能なシリコーンコンパウンド。
【請求項20】
溝を後退させるため請求項14ないし18の何れか1つの項に記載のデンタルキット又は請求項1ないし13の何れか1つの項に記載の方法の使用方法。

【公表番号】特表2006−521830(P2006−521830A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569447(P2004−569447)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000798
【国際公開番号】WO2004/082510
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505351049)コルテン・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】