説明

デンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品

【課題】デンプン含有食品を適度な硬さでゲル化し、かつ素材の良好な風味を害することのないデンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品を提供する。
【解決手段】本発明のデンプン含有食品用品質改良剤は、アミラーゼ、カラギーナン及び乳酸カルシウム、又はアミラーゼ、キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有し、前記アミラーゼの含有量が100〜600U/g、前記カラギーナンの含有量が20〜70質量%、前記乳酸カルシウムの含有量が1〜25質量%、前記キサンタンガムの含有量が15〜40質量%、前記ローカストビーンガムの含有量が8〜25質量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食物を嚥下する機能が衰えた、いわゆる嚥下困難者は、食事の際に誤嚥を防ぐため、食材を食べやすい形態にする様々な工夫が必要である。例えば、食材を細かく刻んだり、粉砕したりして、必要であればトロミ剤やゲル化剤を用いて柔らかくまとまりのある料理として提供する必要がある。
【0003】
特に毎日食べる主食については嚥下困難者に提供する際、物性に十分に留意する必要がある。毎日食べる主食の代表例として、お粥(全粥)が挙げられる。米粒が残存するお粥は、嚥下の機能が低い人にとっては時として食べにくい食事となる。そのため、お粥をミキサーにかけ(以下、ミキサー粥という)、残存する米粒を少なくして提供するが、ミキサー粥はべたつき感が強く、嚥下食としては不向きである。そこで、お粥に水を加えてミキサーにかけることによりべたつき感を低減させたり、お粥に水とトロミ剤を加えてまとめたり、ゲル化剤を使ってゼリーにしたりして食べやすくしている。
【0004】
しかし、お粥に水等を加えてミキサーにかけた場合、水等を加えないお粥と同等の栄養を取るために喫食しなければいけない量が増えるので、嚥下困難者が完食することが困難になるという問題がある。また、ミキサー粥に含まれるデンプンがスプーン等に付着した唾液の影響で分解され、一部が液状になり、それが誤嚥の原因になることもある。
【0005】
これまで、上記のべたつき感を改善する技術として、α−アミラーゼとネイティブジェランガムと寒天を全粥又はうどんに配合したもの(特許文献1参照)や、乳化剤と増粘多糖類をでん粉性食品に配合したもの(特許文献2参照)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4541433号公報
【特許文献2】特開2010−142138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術では、ゲルの硬さや風味の点で改善する余地があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、デンプン含有食品を適度な硬さでゲル化し、かつ素材の良好な風味を害することのないデンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
[1]アミラーゼ、カラギーナン及び乳酸カルシウム、又はアミラーゼ、キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有し、前記アミラーゼの含有量が100〜600U/g、前記カラギーナンの含有量が20〜70質量%、前記乳酸カルシウムの含有量が1〜25質量%、前記キサンタンガムの含有量が15〜40質量%、前記ローカストビーンガムの含有量が8〜25質量%であることを特徴とするデンプン含有食品用品質改良剤を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記目的を達成するために、下記[2]〜[7]を提供する。
【0011】
[2]寒天を1〜20質量%含有することを特徴とする前記[1]に記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【0012】
[3]デキストリン又はブドウ糖を25〜65質量%含有することを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【0013】
[4]前記アミラーゼの含有量が100〜500U/gであり、前記カラギーナンの含有量が30〜65質量%であり、前記乳酸カルシウムの含有量が1〜20質量%であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【0014】
[5]前記アミラーゼの含有量が100〜500U/gであり、前記キサンタンガムの含有量が18〜35質量%であり、前記ローカストビーンガムの含有量が10〜23質量%であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【0015】
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のデンプン含有食品用品質改良剤を含有することを特徴とするデンプン含有食品。
【0016】
[7]前記デンプン含有食品が、お粥であることを特徴とする前記[6]に記載のデンプン含有食品。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、デンプン含有食品を適度な硬さでゲル化し、かつ素材の良好な風味を害することのないデンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤〕
本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤は、アミラーゼ、カラギーナン及び乳酸カルシウム、又はアミラーゼ、キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有し、前記アミラーゼの含有量が100〜600U/g、前記カラギーナンの含有量が20〜70質量%、前記乳酸カルシウムの含有量が1〜25質量%、前記キサンタンガムの含有量が15〜40質量%、前記ローカストビーンガムの含有量が8〜25質量%であることを特徴とする。
【0019】
本発明において使用できるアミラーゼとしては、デンプン、アミロース等のα−1,4結合を非還元性末端からマルトース単位で分解するエキソ型のβ−アミラーゼ、α−1,4結合をランダムに分解するエンド型のα−アミラーゼ、α−1,4結合だけでなくα−1,6結合も分解するグルコアミラーゼを挙げることができる。これらは単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良いが、α-アミラーゼを用いることが好ましい。また、市販のアミラーゼを用いることができ、例えば、α−アミラーゼ(シグマ製、粉末)などを使用できる。液状のものよりも粉末状のものが作業性の点で好ましい。
【0020】
アミラーゼは、デンプン含有食品用品質改良剤中に100〜600U/g含有させる。アミラーゼの含有量は、100〜500U/gであることが好ましく、150〜400U/gであることがより好ましく、200〜350U/gであることがさらに好ましい。例えば、市販されている一般的なアミラーゼ粉末製剤(力価:10,000U/g)を用いる場合であれば、デンプン含有食品用品質改良剤中にアミラーゼ粉末製剤を1〜6質量%含有させる。当該アミラーゼ粉末製剤の含有量は、1〜5質量%であることが好ましく、1.5〜4質量%であることがより好ましく、2〜3.5質量%であることがさらに好ましい。
【0021】
カラギーナン及び乳酸カルシウムを含有する形態の場合、カラギーナンは、デンプン含有食品用品質改良剤中に20〜70質量%含有させる。カラギーナンの含有量は、25〜65質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましく、33〜60質量%であることがさらに好ましい。また、乳酸カルシウムは、デンプン含有食品用品質改良剤中に1〜25質量%含有させる。乳酸カルシウムの含有量は、1〜20質量%であることが好ましく、1.5〜20質量%であることがより好ましく、1.6〜17質量%であることがさらに好ましい。
【0022】
キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有する形態の場合、キサンタンガムは、デンプン含有食品用品質改良剤中に15〜40質量%含有させる。キサンタンガムの含有量は、18〜35質量%であることが好ましく、19〜34.5質量%であることがより好ましく、20〜34質量%であることがさらに好ましい。また、ローカストビーンガムは、デンプン含有食品用品質改良剤中に8〜25質量%含有させる。ローカストビーンガムの含有量は、10〜23質量%であることが好ましく、12〜21質量%であることがより好ましく、13〜20質量%であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明のデンプン含有食品用品質改良剤中には、さらに寒天を1〜20質量%含有させることが好ましい。寒天の含有量は、3〜15質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
【0024】
本発明のデンプン含有食品用品質改良剤中には、さらにデキストリン又はブドウ糖を25〜65質量%含有させることが好ましい。デキストリン又はブドウ糖の含有量は、30〜60質量%であることがより好ましく、33〜60質量%であることがさらに好ましい。粉末の吸湿性が少ない点でブドウ糖よりもデキストリンを用いる方が好ましい。
【0025】
本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤は、上記アミラーゼ等の原材料を均一に混合することにより製造できる。混合の方法は特に限定されず、手混ぜによる方法や、リボンミキサー、ナウターミキサー、カスケードミキサー、ドラムミキサー、V型ミキサー等の混合機を使用する方法が挙げられる。例えば、V型ミキサーを使用する場合、原材料を20rpmで10分間混合することにより本実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤を製造できる。
【0026】
本発明のデンプン含有食品用品質改良剤は、お粥、うどん、雑炊、肉じゃがなどの種々のデンプン含有食品に適用できるが、中でもお粥に特に好適に使用できる。
【0027】
また、本発明のデンプン含有食品用品質改良剤は、デンプン含有食品に限らず、その他の飲食品、特に嚥下困難者向け飲食品用として好適に使用することができる。例えば、ハンバーグ、煮魚、おひたし、水、牛乳、果汁飲料、茶飲料、スポーツ飲料、コンソメスープ、味噌汁などに使用できる。
【0028】
〔本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品〕
本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品は、上記本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤を含有することを特徴とする。
【0029】
本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品は、対象食品に上記本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤を添加し、所望により、攪拌混合等することにより調製できる。例えば、対象食品を70℃以上に加温した状態で、上記本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤を添加し、所望により、フードプロセッサー等によって均一に混合することにより調製できる。
【0030】
対象食品に対する上記本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤の添加量は、特に限定されるものではない。対象食品ごとに適宜、決定される。例えば、お粥の場合、全粥100gに対し、上記本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良剤(力価:10,000U/gのアミラーゼ粉末製剤を用いた場合)を1〜3g添加することが好ましく、1.5〜2.5g添加することがより好ましく、1.5〜2.0g添加することがさらに好ましい。すなわち、全粥100gに対し、アミラーゼがアミラーゼ活性として100〜1500U含有されることが好ましく、225〜1000U含有されることがより好ましく、300〜700U含有されることがさらに好ましい。
【0031】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、デンプン含有食品を適度な硬さでゲル化し、かつ素材の良好な風味を害することのないデンプン含有食品用品質改良剤及び品質改良されたデンプン含有食品を提供することができる。また、本発明の好ましい実施の形態によれば、ざらつき等がなくなめらかなゲルで良好な食感が得られ、凝集性が高く、付着性が少ないゲル化したデンプン含有食品を得ることができる。さらに、本発明の実施の形態に係るデンプン含有食品用品質改良は、デンプン含有食品に限らずその他の飲食品にも好適に使用できるため、食品毎の使い分けの必要がなく利便性の点においても優れている。
【0032】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
〔品質改良剤の製造(1)〕
表1〜2に記載の配合に従って原料を混合し、実施例1〜6の品質改良剤及び比較例1〜4のα−アミラーゼ含有製剤を製造した。α−アミラーゼは、粉末製剤(力価:10,000U/g)を使用した。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
〔お粥ゼリーの調製及び評価(1)〕
以下の(1)〜(4)の手順で、実施例7〜12及び比較例5〜8のお粥ゼリー(ゲル化したお粥)を調製した。
(1)米210gを砥いだ後、水1050gを加え、30分間浸水後、炊飯器にて炊き、全粥を作る。
(2)80℃以上(表3〜4に記載の通り)に加温した全粥200gを秤量して、フードプロセッサー(DLC-10 PRO/Cuisinart社)に入れる。
(3)全粥200gに実施例1〜6の品質改良剤又は比較例1〜4のα−アミラーゼ含有製剤を3.0g(1.5%)添加し、フードプロセッサーにて20秒間又は60秒間(表3〜4に記載の通り)攪拌する。
(4)攪拌終了後、容器に移して20℃まで冷やす。
【0037】
〔評価〕
実施例7〜12及び比較例5〜8のお粥ゼリーについてそれぞれ、以下の6項目について評価を行なった。評価結果を表3〜4に示す。
【0038】
(A:ゲル化の有無)
上記〔お粥ゼリーの調製〕の(4)で20℃まで冷却したお粥がゲル化するか否かについて目視により確認し、下記の2段階でゲル化の有無を評価した。
○:ゲル化した
×:ゲル化しなかった
【0039】
(B:硬さ)
上記〔お粥ゼリーの調製〕の(4)でお粥を20℃まで冷却した後、直径40mm、高さ15mmの容器に15mmの高さまで充填し、直線運動により物質の圧縮応力を測定することが可能な装置(RE-33005 RHEONER(YAMADEN))により、直径20mm、高さ8mmの樹脂製プランジャーを用いて、圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで2回圧縮によりお粥の硬さを測定した。測定値より下記の3段階で硬さを評価した。
◎:適度な硬さで良好なゲル(1000〜1799(N/m2))
○:少し軟らかい又は少し硬いゲル(700〜999/1800〜2199(N/m2))
×:軟らかすぎる又は硬すぎるゲル(〜699/2200〜(N/m2))
【0040】
(C:風味)
上記〔お粥ゼリーの調製〕の(4)で20℃まで冷却したお粥について、20歳〜50歳のパネラー5名により下記の2段階で風味を官能評価した。平均0.8点以上を○、0.8点未満を×の評価結果とした。
1点:お粥の風味を感じられて良好
0点:雑味等が感じられ良好でない
【0041】
(D:ざらつき)
上記〔お粥ゼリーの調製〕の(4)で20℃まで冷却したお粥について、20歳〜50歳のパネラー5名により下記の2段階でざらつきを官能評価した。平均0.8点以上を○、0.8点未満を×の評価結果とした。
1点:ざらつき等がなくなめらかなゲルで良好な食感
0点:ざらつき等を感じられ、悪い食感
【0042】
(E:凝集性)
上記〔お粥ゼリーの調製〕の(4)で20℃まで冷却したお粥について(B:硬さ)と同様の方法により凝集性を測定した。測定値より下記の2段階で凝集性を評価した。
○:適度なまとまりがあり良好なゲル(0.40〜)
×:まとまり感が少ないゲル(〜0.39)
【0043】
(F:付着性)
上記〔お粥ゼリーの調製〕の(4)で20℃まで冷却したお粥について(B:硬さ)と同様の方法により付着性を測定した。測定値より下記の3段階で付着性を評価した。
◎:適度な付着性で良好なゲル(50〜349(J/m3))
○:若干付着性が強いが問題なく喫食できるゲル(350〜459(J/m3))
×:付着性が弱すぎる又は強すぎるゲル(〜49/460〜(J/m3))
【0044】
(総合評価)
上記A〜Fの評価をもとに下記の3段階で総合評価を行なった。
◎:A〜Fすべてが○か◎、かつ◎が2つ
○:A〜Fすべてが○か◎、かつ◎が0〜1つ
×:A〜Fのいずれか1つ以上が×
【0045】
【表3】

【0046】
実施例1〜実施例6の品質改良剤を用いて調製したお粥ゼリーは、いずれの評価項目も良好であり、総合評価も◎又は○であった。
【0047】
【表4】

【0048】
比較例1〜比較例4のα−アミラーゼ含有製剤を用いて調製したお粥ゼリーは、いずれかの評価項目で×があるため、総合評価も×であった。
【0049】
〔品質改良剤の製造(2)〕
表5に記載の配合に従って原料を混合し、実施例13〜15の品質改良剤及び比較例9〜10のα−アミラーゼ含有製剤を製造した。α−アミラーゼは、粉末製剤(力価:10,000U/g)を使用した。
【0050】
【表5】

【0051】
〔お粥ゼリーの調製及び評価(2)〕
前述の(1)〜(4)の手順で、実施例16〜18及び比較例11〜12のお粥ゼリーを調製し、パネラーが食して風味及び付着性を下記の方法により官能評価した。評価結果を表6に示す。
【0052】
20歳〜50歳のパネラー5名により下記の3段階で風味及び付着性を官能評価した。平均1.8点以上を◎、0.5以上1.8未満を○、0.5未満を×の評価結果とした。
(風味)
2点:お粥の風味を感じられて良好
1点:やや甘みを感じるが問題ないレベル
0点:雑味や甘みが感じられ良好でない
(付着性)
2点:適度な付着性で良好なゲル
1点:若干付着性が強いが問題なく喫食できるゲル
0点:付着性が強すぎるゲル
【0053】
【表6】

【0054】
実施例13〜実施例15の品質改良剤を用いて製造したお粥ゼリーは、風味及び付着性ともに良好であることから総合評価も◎又は○であった。一方、比較例9〜比較例10のα−アミラーゼ含有製剤を用いて製造したお粥ゼリーは、風味及び付着性のいずれかで×があるため、総合評価も×であった。
【0055】
〔味噌汁ゼリーの調製及び評価〕
実施例3のデンプン含有食品用品質改良剤と味噌汁を混合し、味噌汁ゼリー(ゲル化した味噌汁)を調製し、評価した。
具体的には、80℃以上に加温した味噌汁(株式会社永谷園製、商品名:あさげ)200gに、実施例3のデンプン含有食品用品質改良剤を1.0g加えた後、フードプロセッサーで60秒間、攪拌することにより、味噌汁ゼリーを調製した。得られた味噌汁ゼリーについて、外観を観察し、また食感、硬さ及び付着性を官能評価した。
評価の結果、実施例3のデンプン含有食品用品質改良剤を用いて調製した味噌汁ゼリーは、外観上まとまりがあり、なめらかな食感であることがわかった。また、ゼリーは適度な硬さであり、付着性が少ないものであった。
【0056】
〔肉じゃがゼリーの調製及び評価〕
実施例3のデンプン含有食品用品質改良剤と肉じゃがを混合し、肉じゃがゼリー(ゲル化した肉じゃが)を調製し、評価した。
具体的には、80℃以上に加温した肉じゃが(キューピー株式会社、商品名:やさしい献立 肉じゃが)200gに、実施例3のデンプン含有食品用品質改良剤を1.0g加えた後、フードプロセッサーで60秒間、攪拌することにより、肉じゃがゼリーを調製した。得られた肉じゃがゼリーについて、外観を観察し、また食感、硬さ及び付着性を官能評価した。
評価の結果、実施例3のデンプン含有食品用品質改良剤を用いて調製した肉じゃがゼリーは、外観上まとまりがあり、なめらかな食感であることがわかった。また、ゼリーは適度な硬さであり、付着性が少ないものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミラーゼ、カラギーナン及び乳酸カルシウム、又はアミラーゼ、キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有し、前記アミラーゼの含有量が100〜600U/g、前記カラギーナンの含有量が20〜70質量%、前記乳酸カルシウムの含有量が1〜25質量%、前記キサンタンガムの含有量が15〜40質量%、前記ローカストビーンガムの含有量が8〜25質量%であることを特徴とするデンプン含有食品用品質改良剤。
【請求項2】
寒天を1〜20質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【請求項3】
デキストリン又はブドウ糖を25〜65質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【請求項4】
前記アミラーゼの含有量が100〜500U/gであり、前記カラギーナンの含有量が30〜65質量%であり、前記乳酸カルシウムの含有量が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【請求項5】
前記アミラーゼの含有量が100〜500U/gであり、前記キサンタンガムの含有量が18〜35質量%であり、前記ローカストビーンガムの含有量が10〜23質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデンプン含有食品用品質改良剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のデンプン含有食品用品質改良剤を含有することを特徴とするデンプン含有食品。
【請求項7】
前記デンプン含有食品が、お粥であることを特徴とする請求項6に記載のデンプン含有食品。