データ伝送方法
【課題】他のデータ伝送方法と信号線を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図る。
【解決手段】信号線Lsを介して伝送される伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりを検出し、データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを立ち上がり又は立ち下がり検出後の伝送信号Vsに重畳して伝送する。故に伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がり時に発生する高調波ノイズNの影響によって同期が確立できなくなる率を減らし、さらに、高調波ノイズNによってフレームの一部に伝送エラーが生じても当該フレームに含まれる伝送誤り制御用の誤り符号によって復元することが可能である。また、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と信号線Lsを共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【解決手段】信号線Lsを介して伝送される伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりを検出し、データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを立ち上がり又は立ち下がり検出後の伝送信号Vsに重畳して伝送する。故に伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がり時に発生する高調波ノイズNの影響によって同期が確立できなくなる率を減らし、さらに、高調波ノイズNによってフレームの一部に伝送エラーが生じても当該フレームに含まれる伝送誤り制御用の誤り符号によって復元することが可能である。また、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と信号線Lsを共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送方法に関し、特に時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号によって遠隔から負荷の監視並びに制御を行う遠隔監視制御システムが提供されている。
【0003】
かかる遠隔監視制御システムとして、例えば、図12に示すように伝送ユニット21に2線式の信号線Lsを介して入力端末器22と制御端末器23とを接続し、入力端末器22に付設したスイッチやセンサなどからの監視入力に応じて制御端末器23に付設した負荷Lを制御するようにしたものがある(特許文献1参照)。入力端末器22および制御端末器23にはそれぞれアドレスが設定され、入力端末器22に監視入力が入力されると伝送ユニット21に対して監視入力に対応した監視データが伝送され、伝送ユニット21では監視データを受け取ると、アドレスによって入力端末器22との対応関係が設定された制御端末器23に対して監視データに対応した制御データを伝送し、制御端末器23を介して負荷Lを制御するのである。入力端末器22に監視入力を与える手段としては、スイッチだけではなく、スイッチと等価に扱うことができるセンサであってもよいが、以下ではスイッチの操作によって入力端末器22に監視入力が与えられるものとして説明する。すなわち、監視入力がスイッチの操作に呼応して発生するから、監視入力を操作入力と呼ぶことにする。
【0004】
伝送ユニット21は、信号線Lsに対して、図13(a)(b)のような形式の伝送信号Vsを送出する。すなわち、伝送信号Vsは、信号送出開始を示すスタートパルスSY、伝送信号Vsのモードを示すモードデータMD、入力端末器22や制御端末器23を各別に呼び出すためのアドレスデータAD、負荷を制御するための制御データCD、伝送エラーを検出するためのチェックサムデータCS、入力端末器22や制御端末器23からの返送信号を受信するタイムスロットである信号返送期間WT等よりなる複極(±24V)の時分割多重信号であり、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列をパルス幅変調することによってデータが伝送されるようになっている。
【0005】
各入力端末器22および各制御端末器23では、信号線Lsを介して受信した伝送信号Vsのアドレスデータがそれぞれに設定されているアドレスデータに一致すると、伝送信号Vsから制御データを取り込むとともに、伝送信号Vsの信号返送期間WTに同期して監視データを電流モードの信号(信号線Lsを適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号)として返送する。
【0006】
伝送ユニット21は、常時は伝送信号Vsに含まれるアドレスデータをサイクリックに変化させて入力端末器22および制御端末器23を順次アクセスする常時ポーリングを行う。常時ポーリングの際には、伝送信号Vsに含まれるアドレスデータが一致した入力端末器22または制御端末器23では伝送信号Vsに制御データが含まれていれば制御データを取り込んで動作し、入力端末器22または制御端末器23の動作状態を監視データとして伝送ユニット21に返送する。
【0007】
一方、伝送ユニット21は、いずれかの入力端末器22において、スイッチからの操作入力に対応して発生した図13(c)のような割込信号Viを受信したときに割込信号を発生した入力端末器22を検出した後、その入力端末器22にアクセスして操作入力に呼応した監視データを返送させる割込ポーリングも行う。
【0008】
すなわち、伝送ユニット21では、常時は、アドレスデータをサイクリックに変更した伝送信号Vsを信号線Lsに送出する常時ポーリングを行い、入力端末器22から発生した割込信号Viを伝送信号VsのスタートパルスSYに同期して検出すると、モードデータMDを割込ポーリングモードとした伝送信号Vsを送出する。割込信号Viを発生した入力端末器22は、割込ポーリングモードの伝送信号Vsのアドレスデータの上位ビットが一致していると、その伝送信号Vsの信号返送期間WTに同期して入力端末器22に設定されているアドレスデータの下位ビットを返信データとして返送する。このようにして伝送ユニット21では割込信号Viを発生した入力端末器22のアドレスを獲得する。
【0009】
このようにして、割込信号Viを発生した入力端末器22のアドレスを伝送ユニット21が獲得すると、伝送ユニット21では入力端末器22に対して監視データの返送を要求する伝送信号Vsを送出し、入力端末器22は操作入力に対応した監視データを伝送ユニット21に返送する。伝送ユニット21は監視データを受け取ると、該当する入力端末器22の操作入力をクリアするように指示を与え、入力端末器22では操作入力のクリアを返送する。つまり、伝送ユニット21では、割込信号Viを検出する伝送信号Vsを含めて4個の伝送信号Vsにより操作入力を受け取ることになる。
【0010】
監視データを受け取った伝送ユニット21は、アドレスの対応関係によって入力端末器22に予め対応付けられている制御端末器23に対する制御データを生成し、この制御データを含む伝送信号Vsを信号線Lsに送出して制御端末器23に付設した負荷Lを制御する。
【0011】
ところで、上述のような遠隔監視制御システムでは、ポーリング・セレクティング方式により伝送ユニット21を介して入力端末器22と制御端末器23が通信を行っている。そのために通信速度が比較的に低速であり、例えば、電力量の計測値や通話用の音声のように監視データや制御データに比べて遙かに通信量が多くなるデータの伝送には不向きである。
【0012】
そこで、伝送信号Vsに音声信号を変調して重畳することにより、遠隔監視制御システムと信号線Lsを共用しながら高速通信を行うデータ伝送方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。なお、特許文献2に記載されている従来例では、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がり時に発生するノイズ(高調波ノイズ)の影響を避けるために伝送信号Vsのパルス波形がハイレベル並びにローレベルに安定している期間にのみ音声信号を重畳するようにしている。
【特許文献1】特開2005−73075号公報
【特許文献2】特開平8−274742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来例では伝送可能なフレームの長さ(フレーム長)が伝送信号Vsのパルス幅の最小値で規定されてしまうためにフレーム長をあまり大きくすることができず、伝送効率がよくないという問題があった。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、他のデータ伝送方法と信号線を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上が図れるデータ伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、前記パルス波形の立ち上がり又は立ち下がりを検出し、前記データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを前記立ち上がり又は立ち下がり検出後の当該パルス波形に重畳して伝送することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、前記パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔で前記フレームに無効なデータを挿入して伝送することを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、フレームの伝送中に前記パルス波形の立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合に当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を再度伝送することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記フレームの同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部で構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、複数の前記同期シンボルを連続して伝送することを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、連続して伝送する各同期シンボルにおいてはそれぞれのフレーム開始部に残りの同期シンボルのビット数の情報を含めることを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記フレームの同期シンボルをプリアンブルと複数のフレーム開始部で構成したことを特徴とする。
【0022】
請求項8の発明は、請求項5〜7の何れか1項の発明において、連続して伝送する複数の同期シンボルを構成しているプリアンブル並びにフレーム開始部は、各同期シンボル毎に互いに符号間距離の長い異なる符号からなることを特徴とする。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、同一のデータを含む2つのフレームを連結して伝送することを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記誤り符号として1フレームを等ビット数に分割した複数のブロック毎に伝送誤りが検出可能なブロック符号を用い、連結された2つのフレームの中から伝送誤りが無い若しくは訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、前記パルス波形の立ち上がり又は立ち下がりを検出し、前記データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを前記立ち上がり又は立ち下がり検出後の当該パルス波形に重畳して伝送するので、伝送路に伝送されるパルス波形の立ち上がり及び立ち下がり時に発生する高調波ノイズの影響によって同期が確立できなくなる率を減らし、さらに、前記高調波ノイズによってフレームの一部に伝送エラーが生じても当該フレームに含まれる伝送誤り制御用の誤り符号によって復元することが可能であり、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と伝送路を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、前記パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔で前記フレームに無効なデータを挿入して伝送するので、パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの区間を跨いでフレームを送信することができ、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と伝送路を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、フレームの伝送中に前記パルス波形の立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合に当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を再度伝送するので、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と伝送路を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。また、フレームの一部に高調波ノイズによる伝送エラーが生じたと推定される場合にだけ当該区間を再度伝送することで、請求項2の発明と比較してデータの伝送効率を向上することができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、フレームの同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部で構成しているから、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり時に発生する高調波ノイズによってプリアンブルの一部に伝送エラーが生じても同期を確立することができる。
【0029】
請求項5の発明によれば、複数の前記同期シンボルを連続して伝送するから、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり時に発生する高調波ノイズによって同期が取れなくなる確率がさらに低くなる。
【0030】
請求項6の発明によれば、連続して伝送する各同期シンボルにおいてはそれぞれのフレーム開始部に残りの同期シンボルのビット数の情報を含めるので、同期が確立した後の同期シンボルについては無視すればよいから受信したデータの処理が簡素化できる。
【0031】
請求項7の発明によれば、前記フレームの同期シンボルをプリアンブルと複数のフレーム開始部で構成したので、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり時に発生する高調波ノイズによってプリアンブルの一部に伝送エラーが生じても同期を確立することができるとともに伝送効率が向上できる。
【0032】
請求項8の発明によれば、連続して伝送する複数の同期シンボルを構成しているプリアンブル並びにフレーム開始部は、各同期シンボル毎に互いに符号間距離の長い異なる符号からなるので、同期シンボルを読み間違う確率が下がる。
【0033】
請求項9の発明によれば、同一のデータを含む2つのフレームを連結して伝送するので、伝送エラーの発生確率が下がる。
【0034】
請求項10の発明によれば、前記誤り符号として1フレームを等ビット数に分割した複数のブロック毎に伝送誤りが検出可能なブロック符号を用い、連結された2つのフレームの中から伝送誤りが無い若しくは訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成するので、伝送エラーが生じても元のフレームを再構成してデータを受け取ることができ、結果的にフレームの再送を減らして伝送効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、従来例で説明した遠隔監視制御システムのデータ伝送方法と信号線Lsを共用するデータ伝送方法に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。但し、本発明に係るデータ伝送方法が信号線を共用可能である他のデータ伝送方法は実施形態のもの(パルス幅変調による時分割多重伝送)に限定されるものではない。
【0036】
まず、本発明に係るデータ伝送方法を実施するデータ伝送システムについて、図1を参照して説明する。
【0037】
本実施形態のデータ伝送システムは、従来技術で説明した遠隔監視制御システムと信号線Lsを共用するものである。遠隔監視制御システムでは、伝送ユニット21に対して入力端末器22並びに制御端末器23が2線式の信号線Lsによって並列接続されてなり、従来技術で説明したようにパルス列をパルス幅変調してなる伝送信号Vsを伝送ユニット21と入力端末器22並びに制御端末器23の間で時分割多重伝送している。
【0038】
本実施形態のデータ伝送システムは、図1(a)に示すように互いに信号線Lsに並列接続された複数(図示例では2つ)のデータ伝送装置1,1で構成される。データ伝送装置1は、図1(b)に示すように信号線Lsを介して伝送ユニット21と各端末器22,23の間で伝送される伝送信号Vsを監視する伝送信号監視部10と、他のデータ伝送装置1に伝送すべきデータを含んだフレームを変調するとともに伝送信号Vsに重畳して信号線Lsに送出する送信部11と、信号線Lsを介して伝送されるフレームを伝送信号Vsから分離して受信するとともに復調する受信部12と、内部で発生したデータ若しくは外部から入力されるデータをフレームに格納して送信部11から送信させる送信処理、並びに受信部12で受信し且つ復調されたフレームを取り込んで当該フレームに格納されたデータを取り出す受信処理を実行する伝送制御部13とを備えている。
【0039】
受信部12は、図3(a)に示すようにダイオードブリッジDBによって平衡/不平衡変換を行うことで相対的に低周波数である伝送信号Vsからフレームを分離している。ここで、図3(b)に示すように、ダイオードブリッジDBを通過した信号電圧には伝送信号Vsの立ち上がり並びに立ち下がり時に発生する高調波ノイズNが重畳しているために立ち上がり及び立ち下がり時に過大な瞬時電圧がダイオードブリッジDBの出力端間に印加されて後段のアンプA等が破壊されてしまう虞がある。そこで本実施形態では、ダイオードブリッジDBの高電位側の出力とアンプAの入力端との接続点に、直列接続された一対のダイオードD1,D2からなるクランプ回路を設け、上記過大な瞬時電圧がアンプAに印加されるのを防いでいる。但し、クランプ回路によって信号線Lsの線間電圧が制限されないようにダイオードブリッジDBとクランプ回路の間には直流カット用のコンデンサCcが挿入してある。さらに本実施形態では、ダイオードブリッジDBの出力電圧を定電圧回路REGで定電圧化することでデータ伝送装置1の動作用電源を作成している。
【0040】
データ伝送装置1では、伝送信号監視部10において信号線Lsを介して伝送信号Vsのパルス波形を監視し、パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりに同期した監視信号を伝送制御部13に出力している。そして、伝送制御部13では伝送信号受信部10から出力される監視信号に基づき、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり後に送信部11からフレームを送出して伝送信号Vsに重畳させるタイミングを調整している。
【0041】
(実施形態1)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図2に示す。一般的なデータ伝送ではフレームに先行して同期確立のために同期シンボルを送信しており、本実施形態ではプリアンブルを同期シンボルとしている。同期シンボルに続いて送信されるフレームは、通常、制御ビット、宛先アドレス、送信元アドレス、データ、フレーム検査シーケンス(FCS)で構成されるが、本実施形態においてはフレーム検査シーケンスの後に伝送誤り制御用の誤り符号としてリード・ソロモン符号を付加している。但し、フレームの途中にリード・ソロモン冗長度を設けてもよい。
【0042】
上述のように受信部12のダイオードブリッジDBを通過した信号電圧には伝送信号Vsの立ち上がり並びに立ち下がり時に発生する高調波ノイズNが重畳しているため、この部分でフレームが部分的に潰されて伝送誤りが生じてしまう可能性が高い。しかしながら、かかる高調波ノイズNが伝送信号Vsに重畳する期間は、伝送信号Vsの立ち上がりから立ち下がりまでの期間Tsに対してせいぜい1割乃至2割程度であり、伝送誤り制御用の誤り符号によって訂正することが可能である。しかも、高調波ノイズNによって生じる伝送誤りはバースト誤りであるから、ブロック単位(バイト単位)での誤り訂正が可能なブロック符号(例えば、リード・ソロモン符号)を用いることで伝送誤り訂正の確度を高めることができる。
【0043】
但し、同期シンボル(プリアンブル)は誤り符号によって伝送誤り訂正ができないから、プリアンブルの大部分が高調波ノイズによって潰されてしまうと同期が確立できないため、当該プリアンブルに続くフレームを受信することはできない。そこで本実施形態では、同期シンボルによる同期確立の確度を高めるため、伝送信号監視部10において信号伝送信号Vsのパルス波形を監視し、パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりに同期した監視信号を伝送制御部13に出力し、伝送制御部13が、伝送信号受信部10から出力される監視信号に基づいてパルス波形の立ち上がり又は立ち下がり後に送信部11からフレームを送出して伝送信号Vsに重畳させている。その結果、同期シンボルが高調波ノイズNによって潰される可能性が低くなるから、同期確立の確度を高めることができる。
【0044】
而して、本実施形態のデータ伝送方法によれば、信号線Lsを介して伝送される伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりを検出し、データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを立ち上がり又は立ち下がり検出後の伝送信号Vsに重畳して伝送するので、信号線Lsに伝送される伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がり時に発生する高調波ノイズNの影響によって同期が確立できなくなる率を減らし、さらに、高調波ノイズNによってフレームの一部に伝送エラーが生じても当該フレームに含まれる伝送誤り制御用の誤り符号によって復元することが可能であり、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と信号線Lsを共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【0045】
(実施形態2)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図4に示す。本実施形態では、実施形態1のように伝送誤り制御用の誤り符号(リード・ソロモン符号)をフレームに付加する代わりに、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔でフレームに無効なデータ(ダミービット)Dmbを挿入している点に特徴がある。但し、リード・ソロモン符号を除く他のフレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0046】
而して、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりでは伝送信号Vsに重畳する高調波ノイズNの影響でフレームに伝送エラーが生じる可能性が高いので、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりに同期した期間にダミービットDmbを送信すれば、一つのフレームで一括して送信できるデータ(有効なデータ)の量を増やすことができ、しかも、データを分割して多数のフレームで送信する場合と比較して、データ伝送に要するフレームの数を減らして伝送効率を向上することができる。つまり、フレームに含まれるデータ以外の部分(制御ビット、宛先アドレス、送信元アドレス、FCS)によって伝送効率が低下するから、フレーム数を減らすことで前記データ以外の分だけ伝送効率が向上するのである。
【0047】
(実施形態3)
本実施形態は、フレームの伝送中に伝送信号監視部10で伝送信号Vsの立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合、伝送制御部13が当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を送信部11から再度送信させる点に特徴がある。
【0048】
すなわち、実施形態2では伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを予測し当該タイミングに同期してダミービットDBmを送信することで伝送エラーの発生確率を低減しているが、無効なデータであるダミービットDBmが周期的に送信されるためにフレーム長が無駄に長くなって伝送効率が低下してしまう可能性がある。
【0049】
これに対して本実施形態では、図5に示すようにフレームの一部区間Tに高調波ノイズによる伝送エラーが生じたと推定される場合にだけ当該区間Tのデータを再度伝送するので、実施形態2に比較してデータの伝送効率を向上することができる。なお、本実施形態においてもフレームには伝送誤り制御用の誤り符号(リード・ソロモン符号)を付加していないが、リード・ソロモン符号を除く他のフレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0050】
(実施形態4)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図6に示す。本実施形態では、フレームに先行して送信される同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部(フレーム開始デリミタ)SFDとで構成した点に特徴がある。但し、フレームの構造については実施形態1〜3の何れかと共通であるから説明を省略する。
【0051】
実施形態1では伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりを検出した後にフレームを送信することで同期確立の確度を高めているが、それでも同期が確立できない場合が生じ得る。しかしながら本実施形態にようにプリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された同期シンボルをフレームに先行して送信すれば、高調波ノイズによってプリアンブルの一部に伝送エラーが生じても同期を確立することができ、同期確立の確度をさらに高めることができる。
【0052】
(実施形態5)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図7に示す。本実施形態では、プリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された複数(図示例では3つ)の同期シンボルをフレームに先行して送信する点に特徴がある。但し、各同期シンボル並びにフレームの構造については実施形態4と共通であるから説明を省略する。
【0053】
上述のようにプリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された複数の同期シンボルをフレームに先行して送信すれば、高調波ノイズによって何れかの同期シンボルで同期が確立できなくても他の何れかの同期シンボルによって同期を確立することができて同期が取れなくなる確率が低くなる。
【0054】
(実施形態6)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図8に示す。本実施形態では、実施形態5と同様にプリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された複数(図示例では3つ)の同期シンボルをフレームに先行して送信するとともに、後続の同期シンボルのビット数を合計した値(総ビット数)をフレーム開始部SFDに含める点に特徴がある。但し、各同期シンボル並びにフレームの構造については実施形態4と共通であるから説明を省略する。
【0055】
実施形態5では、例えば先頭の同期シンボルで同期が確立できたとしても当該同期シンボルが何番目の同期シンボルであるか、言い換えると、どこからフレームが始まるのかが判らないために受信したデータの処理が煩雑になってしまう。
【0056】
これに対して本実施形態では、先頭の同期シンボルのフレーム開始部SFDに2番目と3番目の同期シンボルのビット数を足し合わせた総ビット数を含め、また、2番目の同期シンボルのフレーム開始部SFDに3番目の同期シンボルのビット数を含めているので、受信側のデータ伝送装置1における伝送制御部13では、何れかの同期シンボルで同期が確立した後は当該同期シンボルのフレーム開始部SFDに含まれる総ビット数分の受信データについては無視すればよいから受信したデータの処理が簡素化できる。
【0057】
(実施形態7)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図9に示す。本実施形態では、フレームに先行して送信される同期シンボルをプリアンブルと複数(図示例では3つ)のフレーム開始部SFDとで構成した点に特徴がある。但し、フレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0058】
上述のようにプリアンブルと複数のフレーム開始部SFDとで構成された同期シンボルをフレームに先行して送信すれば、高調波ノイズによってプリアンブルと何れかのフレーム開始部SFDで同期が確立できなくても他の何れかのフレーム開始部SFDによって同期を確立することができて同期が取れなくなる確率が低くなる。
【0059】
ここで、例えば上述のように3つのフレーム開始部SFDを連続して送信する場合に、フレーム開始部SFDを「0000_1010_0111」のビットパターンとしたとき、かかるビットパターンと8ビット連続で一致したらフレーム開始部SFDを検出したものとするようにしてもよい。つまり、高調波ノイズによるバースト誤りによって何れかのフレーム開始部SFDの連続した4ビットに伝送誤りが発生してもその前若しくは後のフレーム開始部SFDとの間で検出することが可能である。
【0060】
(実施形態8)
本実施形態は、実施形態5〜7のように連続して送信する複数のプリアンブル並びにフレーム開始部SFDを、各同期シンボル毎あるいはフレーム開始部SFD毎に互いに符号間距離の長い異なる符号で構成している点に特徴がある。
【0061】
例えば、図10に示すように3ビットであれば(001)、(010)、(100)で各プリアンブルやフレーム開始部SFDを構成すれば、伝送制御部13において同期シンボルを読み間違う確率を下げることができる。
【0062】
(実施形態9)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図11(a)に示す。本実施形態では、プリアンブルからなる同期シンボルの後に同一のデータを伝送するための複数(図示例では2つ)のフレームを連結して送信する点に特徴がある。但し、フレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0063】
実施形態1で説明したように、フレームの最後に付加されているリード・ソロモン符号はブロック単位(バイト単位)での誤り訂正が可能である。従って、例えば、1フレームを同一バイト数の8つのブロックに分けたとすると、高調波ノイズによるバースト誤りで先頭のフレームの2番目〜8番目のブロックと、後のフレームの1番目のブロックとに発生した伝送誤りが訂正できずに破棄されたとしても、伝送誤りが訂正できた残りのブロック、すなわち、先頭のフレームの1番目のブロックと後のフレームの2番目〜8番目のブロックを繋げることで元のフレームを再構成してデータを受け取ることができる(図11(b)参照)。
【0064】
上述のように本実施形態では、連結された2つのフレームの中からリード・ソロモン符号によって伝送誤りが訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成するので、伝送エラーが生じても元のフレームを再構成してデータを受け取ることができ、結果的にフレームの再送を減らして伝送効率の向上が図れる。
【0065】
なお、上述の実施形態1〜9では本発明に係るデータ伝送方法を遠隔監視制御システムとは別のデータ伝送システムで実施する場合を例示したが、遠隔監視制御システムの端末器(入力端末器22や制御端末器23)にデータ伝送装置1の機能を搭載し、遠隔監視制御システムにおいて本発明に係るデータ伝送方法を実施しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(a)は本発明に係るデータ伝送方法を実施するためのデータ伝送システムのシステム構成図、(b)は同上におけるデータ伝送装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1におけるフレームと同期シンボルのデータ構造図である。
【図3】(a)はデータ伝送装置の受信部の要部回路構成図、(b)は受信部が具備するダイオードブリッジを通過した信号の波形図である。
【図4】本発明の実施形態2におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図5】本発明の実施形態3の説明図である。
【図6】本発明の実施形態4におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図7】本発明の実施形態5におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図8】本発明の実施形態6におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図9】本発明の実施形態7におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図10】本発明の実施形態8におけるフレームと同期シンボルの説明図である。
【図11】本発明の実施形態9の説明図である。
【図12】従来の遠隔監視制御システムのシステム構成図である。
【図13】同上における伝送信号の信号フォーマットである。
【符号の説明】
【0067】
1 データ伝送装置
10 伝送信号監視部
11 送信部
12 受信部
13 伝送制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送方法に関し、特に時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号によって遠隔から負荷の監視並びに制御を行う遠隔監視制御システムが提供されている。
【0003】
かかる遠隔監視制御システムとして、例えば、図12に示すように伝送ユニット21に2線式の信号線Lsを介して入力端末器22と制御端末器23とを接続し、入力端末器22に付設したスイッチやセンサなどからの監視入力に応じて制御端末器23に付設した負荷Lを制御するようにしたものがある(特許文献1参照)。入力端末器22および制御端末器23にはそれぞれアドレスが設定され、入力端末器22に監視入力が入力されると伝送ユニット21に対して監視入力に対応した監視データが伝送され、伝送ユニット21では監視データを受け取ると、アドレスによって入力端末器22との対応関係が設定された制御端末器23に対して監視データに対応した制御データを伝送し、制御端末器23を介して負荷Lを制御するのである。入力端末器22に監視入力を与える手段としては、スイッチだけではなく、スイッチと等価に扱うことができるセンサであってもよいが、以下ではスイッチの操作によって入力端末器22に監視入力が与えられるものとして説明する。すなわち、監視入力がスイッチの操作に呼応して発生するから、監視入力を操作入力と呼ぶことにする。
【0004】
伝送ユニット21は、信号線Lsに対して、図13(a)(b)のような形式の伝送信号Vsを送出する。すなわち、伝送信号Vsは、信号送出開始を示すスタートパルスSY、伝送信号Vsのモードを示すモードデータMD、入力端末器22や制御端末器23を各別に呼び出すためのアドレスデータAD、負荷を制御するための制御データCD、伝送エラーを検出するためのチェックサムデータCS、入力端末器22や制御端末器23からの返送信号を受信するタイムスロットである信号返送期間WT等よりなる複極(±24V)の時分割多重信号であり、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列をパルス幅変調することによってデータが伝送されるようになっている。
【0005】
各入力端末器22および各制御端末器23では、信号線Lsを介して受信した伝送信号Vsのアドレスデータがそれぞれに設定されているアドレスデータに一致すると、伝送信号Vsから制御データを取り込むとともに、伝送信号Vsの信号返送期間WTに同期して監視データを電流モードの信号(信号線Lsを適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号)として返送する。
【0006】
伝送ユニット21は、常時は伝送信号Vsに含まれるアドレスデータをサイクリックに変化させて入力端末器22および制御端末器23を順次アクセスする常時ポーリングを行う。常時ポーリングの際には、伝送信号Vsに含まれるアドレスデータが一致した入力端末器22または制御端末器23では伝送信号Vsに制御データが含まれていれば制御データを取り込んで動作し、入力端末器22または制御端末器23の動作状態を監視データとして伝送ユニット21に返送する。
【0007】
一方、伝送ユニット21は、いずれかの入力端末器22において、スイッチからの操作入力に対応して発生した図13(c)のような割込信号Viを受信したときに割込信号を発生した入力端末器22を検出した後、その入力端末器22にアクセスして操作入力に呼応した監視データを返送させる割込ポーリングも行う。
【0008】
すなわち、伝送ユニット21では、常時は、アドレスデータをサイクリックに変更した伝送信号Vsを信号線Lsに送出する常時ポーリングを行い、入力端末器22から発生した割込信号Viを伝送信号VsのスタートパルスSYに同期して検出すると、モードデータMDを割込ポーリングモードとした伝送信号Vsを送出する。割込信号Viを発生した入力端末器22は、割込ポーリングモードの伝送信号Vsのアドレスデータの上位ビットが一致していると、その伝送信号Vsの信号返送期間WTに同期して入力端末器22に設定されているアドレスデータの下位ビットを返信データとして返送する。このようにして伝送ユニット21では割込信号Viを発生した入力端末器22のアドレスを獲得する。
【0009】
このようにして、割込信号Viを発生した入力端末器22のアドレスを伝送ユニット21が獲得すると、伝送ユニット21では入力端末器22に対して監視データの返送を要求する伝送信号Vsを送出し、入力端末器22は操作入力に対応した監視データを伝送ユニット21に返送する。伝送ユニット21は監視データを受け取ると、該当する入力端末器22の操作入力をクリアするように指示を与え、入力端末器22では操作入力のクリアを返送する。つまり、伝送ユニット21では、割込信号Viを検出する伝送信号Vsを含めて4個の伝送信号Vsにより操作入力を受け取ることになる。
【0010】
監視データを受け取った伝送ユニット21は、アドレスの対応関係によって入力端末器22に予め対応付けられている制御端末器23に対する制御データを生成し、この制御データを含む伝送信号Vsを信号線Lsに送出して制御端末器23に付設した負荷Lを制御する。
【0011】
ところで、上述のような遠隔監視制御システムでは、ポーリング・セレクティング方式により伝送ユニット21を介して入力端末器22と制御端末器23が通信を行っている。そのために通信速度が比較的に低速であり、例えば、電力量の計測値や通話用の音声のように監視データや制御データに比べて遙かに通信量が多くなるデータの伝送には不向きである。
【0012】
そこで、伝送信号Vsに音声信号を変調して重畳することにより、遠隔監視制御システムと信号線Lsを共用しながら高速通信を行うデータ伝送方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。なお、特許文献2に記載されている従来例では、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がり時に発生するノイズ(高調波ノイズ)の影響を避けるために伝送信号Vsのパルス波形がハイレベル並びにローレベルに安定している期間にのみ音声信号を重畳するようにしている。
【特許文献1】特開2005−73075号公報
【特許文献2】特開平8−274742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来例では伝送可能なフレームの長さ(フレーム長)が伝送信号Vsのパルス幅の最小値で規定されてしまうためにフレーム長をあまり大きくすることができず、伝送効率がよくないという問題があった。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、他のデータ伝送方法と信号線を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上が図れるデータ伝送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、前記パルス波形の立ち上がり又は立ち下がりを検出し、前記データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを前記立ち上がり又は立ち下がり検出後の当該パルス波形に重畳して伝送することを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、前記パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔で前記フレームに無効なデータを挿入して伝送することを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、上記目的を達成するために、時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、フレームの伝送中に前記パルス波形の立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合に当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を再度伝送することを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記フレームの同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部で構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、複数の前記同期シンボルを連続して伝送することを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、連続して伝送する各同期シンボルにおいてはそれぞれのフレーム開始部に残りの同期シンボルのビット数の情報を含めることを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記フレームの同期シンボルをプリアンブルと複数のフレーム開始部で構成したことを特徴とする。
【0022】
請求項8の発明は、請求項5〜7の何れか1項の発明において、連続して伝送する複数の同期シンボルを構成しているプリアンブル並びにフレーム開始部は、各同期シンボル毎に互いに符号間距離の長い異なる符号からなることを特徴とする。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1の発明において、同一のデータを含む2つのフレームを連結して伝送することを特徴とする。
【0024】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記誤り符号として1フレームを等ビット数に分割した複数のブロック毎に伝送誤りが検出可能なブロック符号を用い、連結された2つのフレームの中から伝送誤りが無い若しくは訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明によれば、前記パルス波形の立ち上がり又は立ち下がりを検出し、前記データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを前記立ち上がり又は立ち下がり検出後の当該パルス波形に重畳して伝送するので、伝送路に伝送されるパルス波形の立ち上がり及び立ち下がり時に発生する高調波ノイズの影響によって同期が確立できなくなる率を減らし、さらに、前記高調波ノイズによってフレームの一部に伝送エラーが生じても当該フレームに含まれる伝送誤り制御用の誤り符号によって復元することが可能であり、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と伝送路を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【0026】
請求項2の発明によれば、前記パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔で前記フレームに無効なデータを挿入して伝送するので、パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの区間を跨いでフレームを送信することができ、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と伝送路を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【0027】
請求項3の発明によれば、フレームの伝送中に前記パルス波形の立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合に当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を再度伝送するので、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と伝送路を共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。また、フレームの一部に高調波ノイズによる伝送エラーが生じたと推定される場合にだけ当該区間を再度伝送することで、請求項2の発明と比較してデータの伝送効率を向上することができる。
【0028】
請求項4の発明によれば、フレームの同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部で構成しているから、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり時に発生する高調波ノイズによってプリアンブルの一部に伝送エラーが生じても同期を確立することができる。
【0029】
請求項5の発明によれば、複数の前記同期シンボルを連続して伝送するから、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり時に発生する高調波ノイズによって同期が取れなくなる確率がさらに低くなる。
【0030】
請求項6の発明によれば、連続して伝送する各同期シンボルにおいてはそれぞれのフレーム開始部に残りの同期シンボルのビット数の情報を含めるので、同期が確立した後の同期シンボルについては無視すればよいから受信したデータの処理が簡素化できる。
【0031】
請求項7の発明によれば、前記フレームの同期シンボルをプリアンブルと複数のフレーム開始部で構成したので、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり時に発生する高調波ノイズによってプリアンブルの一部に伝送エラーが生じても同期を確立することができるとともに伝送効率が向上できる。
【0032】
請求項8の発明によれば、連続して伝送する複数の同期シンボルを構成しているプリアンブル並びにフレーム開始部は、各同期シンボル毎に互いに符号間距離の長い異なる符号からなるので、同期シンボルを読み間違う確率が下がる。
【0033】
請求項9の発明によれば、同一のデータを含む2つのフレームを連結して伝送するので、伝送エラーの発生確率が下がる。
【0034】
請求項10の発明によれば、前記誤り符号として1フレームを等ビット数に分割した複数のブロック毎に伝送誤りが検出可能なブロック符号を用い、連結された2つのフレームの中から伝送誤りが無い若しくは訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成するので、伝送エラーが生じても元のフレームを再構成してデータを受け取ることができ、結果的にフレームの再送を減らして伝送効率の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、従来例で説明した遠隔監視制御システムのデータ伝送方法と信号線Lsを共用するデータ伝送方法に本発明の技術思想を適用した実施形態について説明する。但し、本発明に係るデータ伝送方法が信号線を共用可能である他のデータ伝送方法は実施形態のもの(パルス幅変調による時分割多重伝送)に限定されるものではない。
【0036】
まず、本発明に係るデータ伝送方法を実施するデータ伝送システムについて、図1を参照して説明する。
【0037】
本実施形態のデータ伝送システムは、従来技術で説明した遠隔監視制御システムと信号線Lsを共用するものである。遠隔監視制御システムでは、伝送ユニット21に対して入力端末器22並びに制御端末器23が2線式の信号線Lsによって並列接続されてなり、従来技術で説明したようにパルス列をパルス幅変調してなる伝送信号Vsを伝送ユニット21と入力端末器22並びに制御端末器23の間で時分割多重伝送している。
【0038】
本実施形態のデータ伝送システムは、図1(a)に示すように互いに信号線Lsに並列接続された複数(図示例では2つ)のデータ伝送装置1,1で構成される。データ伝送装置1は、図1(b)に示すように信号線Lsを介して伝送ユニット21と各端末器22,23の間で伝送される伝送信号Vsを監視する伝送信号監視部10と、他のデータ伝送装置1に伝送すべきデータを含んだフレームを変調するとともに伝送信号Vsに重畳して信号線Lsに送出する送信部11と、信号線Lsを介して伝送されるフレームを伝送信号Vsから分離して受信するとともに復調する受信部12と、内部で発生したデータ若しくは外部から入力されるデータをフレームに格納して送信部11から送信させる送信処理、並びに受信部12で受信し且つ復調されたフレームを取り込んで当該フレームに格納されたデータを取り出す受信処理を実行する伝送制御部13とを備えている。
【0039】
受信部12は、図3(a)に示すようにダイオードブリッジDBによって平衡/不平衡変換を行うことで相対的に低周波数である伝送信号Vsからフレームを分離している。ここで、図3(b)に示すように、ダイオードブリッジDBを通過した信号電圧には伝送信号Vsの立ち上がり並びに立ち下がり時に発生する高調波ノイズNが重畳しているために立ち上がり及び立ち下がり時に過大な瞬時電圧がダイオードブリッジDBの出力端間に印加されて後段のアンプA等が破壊されてしまう虞がある。そこで本実施形態では、ダイオードブリッジDBの高電位側の出力とアンプAの入力端との接続点に、直列接続された一対のダイオードD1,D2からなるクランプ回路を設け、上記過大な瞬時電圧がアンプAに印加されるのを防いでいる。但し、クランプ回路によって信号線Lsの線間電圧が制限されないようにダイオードブリッジDBとクランプ回路の間には直流カット用のコンデンサCcが挿入してある。さらに本実施形態では、ダイオードブリッジDBの出力電圧を定電圧回路REGで定電圧化することでデータ伝送装置1の動作用電源を作成している。
【0040】
データ伝送装置1では、伝送信号監視部10において信号線Lsを介して伝送信号Vsのパルス波形を監視し、パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりに同期した監視信号を伝送制御部13に出力している。そして、伝送制御部13では伝送信号受信部10から出力される監視信号に基づき、パルス波形の立ち上がり又は立ち下がり後に送信部11からフレームを送出して伝送信号Vsに重畳させるタイミングを調整している。
【0041】
(実施形態1)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図2に示す。一般的なデータ伝送ではフレームに先行して同期確立のために同期シンボルを送信しており、本実施形態ではプリアンブルを同期シンボルとしている。同期シンボルに続いて送信されるフレームは、通常、制御ビット、宛先アドレス、送信元アドレス、データ、フレーム検査シーケンス(FCS)で構成されるが、本実施形態においてはフレーム検査シーケンスの後に伝送誤り制御用の誤り符号としてリード・ソロモン符号を付加している。但し、フレームの途中にリード・ソロモン冗長度を設けてもよい。
【0042】
上述のように受信部12のダイオードブリッジDBを通過した信号電圧には伝送信号Vsの立ち上がり並びに立ち下がり時に発生する高調波ノイズNが重畳しているため、この部分でフレームが部分的に潰されて伝送誤りが生じてしまう可能性が高い。しかしながら、かかる高調波ノイズNが伝送信号Vsに重畳する期間は、伝送信号Vsの立ち上がりから立ち下がりまでの期間Tsに対してせいぜい1割乃至2割程度であり、伝送誤り制御用の誤り符号によって訂正することが可能である。しかも、高調波ノイズNによって生じる伝送誤りはバースト誤りであるから、ブロック単位(バイト単位)での誤り訂正が可能なブロック符号(例えば、リード・ソロモン符号)を用いることで伝送誤り訂正の確度を高めることができる。
【0043】
但し、同期シンボル(プリアンブル)は誤り符号によって伝送誤り訂正ができないから、プリアンブルの大部分が高調波ノイズによって潰されてしまうと同期が確立できないため、当該プリアンブルに続くフレームを受信することはできない。そこで本実施形態では、同期シンボルによる同期確立の確度を高めるため、伝送信号監視部10において信号伝送信号Vsのパルス波形を監視し、パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりに同期した監視信号を伝送制御部13に出力し、伝送制御部13が、伝送信号受信部10から出力される監視信号に基づいてパルス波形の立ち上がり又は立ち下がり後に送信部11からフレームを送出して伝送信号Vsに重畳させている。その結果、同期シンボルが高調波ノイズNによって潰される可能性が低くなるから、同期確立の確度を高めることができる。
【0044】
而して、本実施形態のデータ伝送方法によれば、信号線Lsを介して伝送される伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりを検出し、データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを立ち上がり又は立ち下がり検出後の伝送信号Vsに重畳して伝送するので、信号線Lsに伝送される伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がり時に発生する高調波ノイズNの影響によって同期が確立できなくなる率を減らし、さらに、高調波ノイズNによってフレームの一部に伝送エラーが生じても当該フレームに含まれる伝送誤り制御用の誤り符号によって復元することが可能であり、従来例のように高調波ノイズの含まれない区間のみにフレームを重畳する場合と比較して伝送可能なフレーム長を長くすることができる。その結果、他のデータ伝送方法と信号線Lsを共用しつつデータ伝送の伝送効率の向上を図ることができる。
【0045】
(実施形態2)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図4に示す。本実施形態では、実施形態1のように伝送誤り制御用の誤り符号(リード・ソロモン符号)をフレームに付加する代わりに、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔でフレームに無効なデータ(ダミービット)Dmbを挿入している点に特徴がある。但し、リード・ソロモン符号を除く他のフレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0046】
而して、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりでは伝送信号Vsに重畳する高調波ノイズNの影響でフレームに伝送エラーが生じる可能性が高いので、伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりに同期した期間にダミービットDmbを送信すれば、一つのフレームで一括して送信できるデータ(有効なデータ)の量を増やすことができ、しかも、データを分割して多数のフレームで送信する場合と比較して、データ伝送に要するフレームの数を減らして伝送効率を向上することができる。つまり、フレームに含まれるデータ以外の部分(制御ビット、宛先アドレス、送信元アドレス、FCS)によって伝送効率が低下するから、フレーム数を減らすことで前記データ以外の分だけ伝送効率が向上するのである。
【0047】
(実施形態3)
本実施形態は、フレームの伝送中に伝送信号監視部10で伝送信号Vsの立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合、伝送制御部13が当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を送信部11から再度送信させる点に特徴がある。
【0048】
すなわち、実施形態2では伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりのタイミングを予測し当該タイミングに同期してダミービットDBmを送信することで伝送エラーの発生確率を低減しているが、無効なデータであるダミービットDBmが周期的に送信されるためにフレーム長が無駄に長くなって伝送効率が低下してしまう可能性がある。
【0049】
これに対して本実施形態では、図5に示すようにフレームの一部区間Tに高調波ノイズによる伝送エラーが生じたと推定される場合にだけ当該区間Tのデータを再度伝送するので、実施形態2に比較してデータの伝送効率を向上することができる。なお、本実施形態においてもフレームには伝送誤り制御用の誤り符号(リード・ソロモン符号)を付加していないが、リード・ソロモン符号を除く他のフレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0050】
(実施形態4)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図6に示す。本実施形態では、フレームに先行して送信される同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部(フレーム開始デリミタ)SFDとで構成した点に特徴がある。但し、フレームの構造については実施形態1〜3の何れかと共通であるから説明を省略する。
【0051】
実施形態1では伝送信号Vsの立ち上がり及び立ち下がりを検出した後にフレームを送信することで同期確立の確度を高めているが、それでも同期が確立できない場合が生じ得る。しかしながら本実施形態にようにプリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された同期シンボルをフレームに先行して送信すれば、高調波ノイズによってプリアンブルの一部に伝送エラーが生じても同期を確立することができ、同期確立の確度をさらに高めることができる。
【0052】
(実施形態5)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図7に示す。本実施形態では、プリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された複数(図示例では3つ)の同期シンボルをフレームに先行して送信する点に特徴がある。但し、各同期シンボル並びにフレームの構造については実施形態4と共通であるから説明を省略する。
【0053】
上述のようにプリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された複数の同期シンボルをフレームに先行して送信すれば、高調波ノイズによって何れかの同期シンボルで同期が確立できなくても他の何れかの同期シンボルによって同期を確立することができて同期が取れなくなる確率が低くなる。
【0054】
(実施形態6)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図8に示す。本実施形態では、実施形態5と同様にプリアンブルとフレーム開始部SFDとで構成された複数(図示例では3つ)の同期シンボルをフレームに先行して送信するとともに、後続の同期シンボルのビット数を合計した値(総ビット数)をフレーム開始部SFDに含める点に特徴がある。但し、各同期シンボル並びにフレームの構造については実施形態4と共通であるから説明を省略する。
【0055】
実施形態5では、例えば先頭の同期シンボルで同期が確立できたとしても当該同期シンボルが何番目の同期シンボルであるか、言い換えると、どこからフレームが始まるのかが判らないために受信したデータの処理が煩雑になってしまう。
【0056】
これに対して本実施形態では、先頭の同期シンボルのフレーム開始部SFDに2番目と3番目の同期シンボルのビット数を足し合わせた総ビット数を含め、また、2番目の同期シンボルのフレーム開始部SFDに3番目の同期シンボルのビット数を含めているので、受信側のデータ伝送装置1における伝送制御部13では、何れかの同期シンボルで同期が確立した後は当該同期シンボルのフレーム開始部SFDに含まれる総ビット数分の受信データについては無視すればよいから受信したデータの処理が簡素化できる。
【0057】
(実施形態7)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図9に示す。本実施形態では、フレームに先行して送信される同期シンボルをプリアンブルと複数(図示例では3つ)のフレーム開始部SFDとで構成した点に特徴がある。但し、フレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0058】
上述のようにプリアンブルと複数のフレーム開始部SFDとで構成された同期シンボルをフレームに先行して送信すれば、高調波ノイズによってプリアンブルと何れかのフレーム開始部SFDで同期が確立できなくても他の何れかのフレーム開始部SFDによって同期を確立することができて同期が取れなくなる確率が低くなる。
【0059】
ここで、例えば上述のように3つのフレーム開始部SFDを連続して送信する場合に、フレーム開始部SFDを「0000_1010_0111」のビットパターンとしたとき、かかるビットパターンと8ビット連続で一致したらフレーム開始部SFDを検出したものとするようにしてもよい。つまり、高調波ノイズによるバースト誤りによって何れかのフレーム開始部SFDの連続した4ビットに伝送誤りが発生してもその前若しくは後のフレーム開始部SFDとの間で検出することが可能である。
【0060】
(実施形態8)
本実施形態は、実施形態5〜7のように連続して送信する複数のプリアンブル並びにフレーム開始部SFDを、各同期シンボル毎あるいはフレーム開始部SFD毎に互いに符号間距離の長い異なる符号で構成している点に特徴がある。
【0061】
例えば、図10に示すように3ビットであれば(001)、(010)、(100)で各プリアンブルやフレーム開始部SFDを構成すれば、伝送制御部13において同期シンボルを読み間違う確率を下げることができる。
【0062】
(実施形態9)
本実施形態のデータ伝送方法におけるフレームと同期シンボルのデータ構造を図11(a)に示す。本実施形態では、プリアンブルからなる同期シンボルの後に同一のデータを伝送するための複数(図示例では2つ)のフレームを連結して送信する点に特徴がある。但し、フレームの構造については実施形態1と共通であるから説明を省略する。
【0063】
実施形態1で説明したように、フレームの最後に付加されているリード・ソロモン符号はブロック単位(バイト単位)での誤り訂正が可能である。従って、例えば、1フレームを同一バイト数の8つのブロックに分けたとすると、高調波ノイズによるバースト誤りで先頭のフレームの2番目〜8番目のブロックと、後のフレームの1番目のブロックとに発生した伝送誤りが訂正できずに破棄されたとしても、伝送誤りが訂正できた残りのブロック、すなわち、先頭のフレームの1番目のブロックと後のフレームの2番目〜8番目のブロックを繋げることで元のフレームを再構成してデータを受け取ることができる(図11(b)参照)。
【0064】
上述のように本実施形態では、連結された2つのフレームの中からリード・ソロモン符号によって伝送誤りが訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成するので、伝送エラーが生じても元のフレームを再構成してデータを受け取ることができ、結果的にフレームの再送を減らして伝送効率の向上が図れる。
【0065】
なお、上述の実施形態1〜9では本発明に係るデータ伝送方法を遠隔監視制御システムとは別のデータ伝送システムで実施する場合を例示したが、遠隔監視制御システムの端末器(入力端末器22や制御端末器23)にデータ伝送装置1の機能を搭載し、遠隔監視制御システムにおいて本発明に係るデータ伝送方法を実施しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(a)は本発明に係るデータ伝送方法を実施するためのデータ伝送システムのシステム構成図、(b)は同上におけるデータ伝送装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1におけるフレームと同期シンボルのデータ構造図である。
【図3】(a)はデータ伝送装置の受信部の要部回路構成図、(b)は受信部が具備するダイオードブリッジを通過した信号の波形図である。
【図4】本発明の実施形態2におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図5】本発明の実施形態3の説明図である。
【図6】本発明の実施形態4におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図7】本発明の実施形態5におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図8】本発明の実施形態6におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図9】本発明の実施形態7におけるフレームと同期シンボルの一部省略したデータ構造図である。
【図10】本発明の実施形態8におけるフレームと同期シンボルの説明図である。
【図11】本発明の実施形態9の説明図である。
【図12】従来の遠隔監視制御システムのシステム構成図である。
【図13】同上における伝送信号の信号フォーマットである。
【符号の説明】
【0067】
1 データ伝送装置
10 伝送信号監視部
11 送信部
12 受信部
13 伝送制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、
前記パルス波形の立ち上がり又は立ち下がりを検出し、前記データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを前記立ち上がり又は立ち下がり検出後の当該パルス波形に重畳して伝送することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項2】
時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、
前記パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔で前記フレームに無効なデータを挿入して伝送することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項3】
時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、
フレームの伝送中に前記パルス波形の立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合に当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を再度伝送することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項4】
前記フレームの同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部で構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のデータ伝送方法。
【請求項5】
複数の前記同期シンボルを連続して伝送することを特徴とする請求項4記載のデータ伝送方法。
【請求項6】
連続して伝送する各同期シンボルにおいてはそれぞれのフレーム開始部に残りの同期シンボルのビット数の情報を含めることを特徴とする請求項5記載のデータ伝送方法。
【請求項7】
前記フレームの同期シンボルをプリアンブルと複数のフレーム開始部で構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のデータ伝送方法。
【請求項8】
連続して伝送する複数の同期シンボルを構成しているプリアンブル並びにフレーム開始部は、各同期シンボル毎に互いに符号間距離の長い異なる符号からなることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のデータ伝送方法。
【請求項9】
同一のデータを含む2つのフレームを連結して伝送することを特徴とする請求項1記載のデータ伝送方法。
【請求項10】
前記誤り符号として1フレームを等ビット数に分割した複数のブロック毎に伝送誤りが検出可能なブロック符号を用い、連結された2つのフレームの中から伝送誤りが無い若しくは訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成することを特徴とする請求項9記載のデータ伝送方法。
【請求項1】
時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、
前記パルス波形の立ち上がり又は立ち下がりを検出し、前記データと伝送誤り制御用の誤り符号を含むフレームを前記立ち上がり又は立ち下がり検出後の当該パルス波形に重畳して伝送することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項2】
時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、
前記パルス波形の立ち上がり及び立ち下がりの最短時間間隔と同一の時間間隔で前記フレームに無効なデータを挿入して伝送することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項3】
時間軸上で略矩形を成すパルス波形の列で表される伝送信号が伝送される伝送路を利用してデータを伝送するデータ伝送方法であって、
フレームの伝送中に前記パルス波形の立ち上がり並びに立ち下がりを検出した場合に当該立ち上がり及び立ち下がりを含む区間を再度伝送することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項4】
前記フレームの同期シンボルをプリアンブルとフレーム開始部で構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のデータ伝送方法。
【請求項5】
複数の前記同期シンボルを連続して伝送することを特徴とする請求項4記載のデータ伝送方法。
【請求項6】
連続して伝送する各同期シンボルにおいてはそれぞれのフレーム開始部に残りの同期シンボルのビット数の情報を含めることを特徴とする請求項5記載のデータ伝送方法。
【請求項7】
前記フレームの同期シンボルをプリアンブルと複数のフレーム開始部で構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のデータ伝送方法。
【請求項8】
連続して伝送する複数の同期シンボルを構成しているプリアンブル並びにフレーム開始部は、各同期シンボル毎に互いに符号間距離の長い異なる符号からなることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のデータ伝送方法。
【請求項9】
同一のデータを含む2つのフレームを連結して伝送することを特徴とする請求項1記載のデータ伝送方法。
【請求項10】
前記誤り符号として1フレームを等ビット数に分割した複数のブロック毎に伝送誤りが検出可能なブロック符号を用い、連結された2つのフレームの中から伝送誤りが無い若しくは訂正されたブロックを用いて当該フレームを再構成することを特徴とする請求項9記載のデータ伝送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−244884(P2008−244884A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82990(P2007−82990)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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