説明

データ再生装置及び信号処理プログラム

【課題】乱れた波形の再生信号により生じた正常データ波形の再生不能な状態を回避し、良好なフィードバック制御によるタイミング調整、ゲイン調整、適応等化を実現する。
【解決手段】A/D変換器104からのデジタル出力信号の有無を検出し、この検出結果に基づいて、タイミングループフィルタ122、ゲインループフィルタ128及び適応制御器118での積分処理により得られる積分値をクリアする制御を行うための制御信号を、タイミングループフィルタ122、ゲインループフィルタ128及び適応制御器118に出力する信号検出器130を、A/D変換器104の後段に備えた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテープやディスク等の記録媒体に光学的、磁気的または光磁気的に記録されたデジタルデータを再生するデータ再生装置及び信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、磁気テープ等に記録されているデジタル画像信号やデジタル音声信号を再生する技術が知られている。この種の装置においては、再生された信号をイコライザにより等化処理することで、記録再生系における信号の劣化や磁気テープの種類による特性ばらつき、磁気ヘッドの特性ばらつき等を補償し、エラーを低減している。
【0003】
従来のデータ再生装置は、図7に示すように、再生ヘッド100、アナログフィルタ102、アナログ/デジタル(A/D)変換器104、ゲインコントロール回路105、インターポレータ106、デジタルイコライザ107、タイミングエラー検出器120、タイミングループフィルタ122、NCO(Numerically Controlled Oscillator)124、ゲインエラー検出器126、及びゲインループフィルタ128を含んで構成される。また、デジタルイコライザ107は、固定FIRフィルタ108、可変バンドパスフィルタ(可変BPF)110、可変ハイパスフィルタ(可変HPF)112、可変全域通過フィルタ(可変APF)114、可変FIRフィルタ116、及び適応制御器118を含んで構成される。
【0004】
再生ヘッド100は、磁気テープ等の記録媒体に記録されたデジタルデータを再生し、その再生アナログ信号をヘッドアンプ(図示せず)により増幅してアナログフィルタ102に出力する。アナログフィルタ102は、アンチエイリアスフィルタであり、再生ヘッド100からのアナログ信号について、fs/2(fs:サンプリング周波数)以上の周波数成分をカットしてA/D変換器104に出力する。そして、A/D変換器104は、アナログフィルタ102からのアナログ信号をデジタル信号に変換してゲインコントロール回路105に出力する。具体的には、A/D変換器104は、PLL(図示せず)からのクロックに応じてアナログ信号をサンプリングし、1サンプル複数ビットで量子化してデジタル化する。
【0005】
ゲインコントロール回路105は、インターポレータ106に供給する入力デジタル信号の振幅を調整するものであり、後述の如く、デジタルイコライザ107(より詳しくは可変FIRフィルタ116)の出力をゲインエラー検出器126で監視し、ゲインループフィルタ128の出力をゲインコントロール回路105に戻すことで、インターポレータ106への入力デジタル信号のゲインをフィードバック調整する。
【0006】
インターポレータ106は、ゲインコントロール回路105からのデジタル信号に対し、そのサンプル点データからサンプル間にあるシンボル点のデータを推定補間する。これは、A/D変換器104では、PLLからのクロックに応じ、シンボルとは非同期のタイミングでサンプリング(非同期サンプリング)するため、インターポレータ106でシンボル点のデータを内挿補間する必要が生じるからである。インターポレータ106は、A/D変換器104のサンプルデータに対して推定補間したデータをリサンプル処理する。このとき、一種のローパスフィルタ(LPF)であるインターポレータ106は、fb/2(fb:ビットレート)以上の周波数成分をカットする。こうしてリサンプルされ且つfb/2以上の周波数成分をカットされたデジタル信号は、等化処理を行うデジタルイコライザ107に供給される。
【0007】
インターポレータ106は、基本的にはFIRフィルタで構成される。インターポレータ106は、互いに直列接続された複数のラッチ素子、複数の乗算器、及び加算器を含んで構成される。各ラッチ素子は、デジタル信号をサンプル期間だけ保持して出力する。各乗算器は、入力デジタル信号に対して所定の係数を乗じて加算器に出力する。加算器は、各乗算器の出力を加算し、後段のデジタルイコライザに出力する。各乗算器の係数は、予めセットとして設定されている。また、係数のセットは予め複数セット用意され、これらのセットのいずれかが選択される。すなわち、内挿補間すべき位置に応じて複数セットの中のいずれかのセットが選択的に用いられる。シンボル点のデータを内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミングは、後述のようにタイミングエラー検出器120、タイミングループフィルタ122、NCO124からなるフィードバックループにより調整される。
【0008】
デジタルイコライザ107は、固定FIRフィルタ108、可変BPF110、可変HPF112、可変APF114、可変FIRフィルタ116、及び適応制御器118を含んで構成され、デジタル信号を所望の目標特性に一致させるためにデジタル信号の振幅及び群遅延を制御するもので、デジタル信号に対して等化処理を行う。
【0009】
固定FIRフィルタ108は、インターポレータ106からのデジタル信号に対し、高域成分をブーストして高域成分の劣化を補償する。すなわち、再生ヘッド100、アナログフィルタ102及びインターポレータ106により原信号の高域成分が劣化しているため、この高域成分を所定量(固定値)だけブーストする。可変BPF110は、所定の周波数成分のみを通過させるフィルタであって、かつ、その周波数成分を適宜可変調整できるフィルタである。可変HPF112は、高域成分のみを通過させるフィルタであって、かつ、その透過率を適宜可変調整できるフィルタである。そして、可変BPF110、可変HPF112では、固定FIRフィルタ108からのデジタル信号の振幅を調整する。一方、可変APF114でデジタル信号の群遅延量を制御する。上記の可変BPF110、可変HPF112、及び可変APF114は、例えば複数のラッチ素子及び乗算器で構成した場合の乗算器の係数(タップ係数)を可変とするものであり、各フィルタのタップ係数は外部からの調整信号により可変調整され、これにより各フィルタのフィルタ特性が調整される。そして、上記各フィルタにより高域成分の劣化が補償され且つ振幅及び群遅延が補償されたデジタル信号は、可変FIRフィルタ116に供給される。
【0010】
可変FIRフィルタ116は、入力デジタル信号の特性を目標特性に一致させるためのFIRフィルタであり、乗算器の係数を可変とするフィルタである。乗算器の可変係数は、適応制御器118からの調整信号により調整設定される。適応制御器118は、目標特性(仮に定めた目標特性である)と入力デジタル信号の特性との差分を演算し、この差分に応じて所定のアルゴリズムに従い可変FIRフィルタ116の可変係数を増減調整する。こうして、可変FIRフィルタ116においてデジタル信号が最終的に等化処理される。
【0011】
尚、可変FIRフィルタ116の出力は、タイミングエラー検出器120、タイミングループフィルタ122、NCO124からなるフィードバックループ、及びゲインエラー検出器126、ゲインループフィルタ128、ゲインコントロール回路105からなるフィードバックループにも供給され、これらフィードバックループによるフィードバック制御により、インターポレータ106にて内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミング、及びゲインコントロール回路105での信号波形の振幅調整値が決められる。
【0012】
タイミングエラー検出器120は可変FIRフィルタ116の出力データからタイミングエラーを検出する。タイミングループフィルタ122は、ローパスフィルタ、積分器、及び微分器を含んで構成されており、タイミングエラー検出器120で検出したタイミングエラーからローパスフィルタによりノイズ成分を取り除き、積分器での積分処理及び微分器での微分処理等を行う。NCO124は、タイミングループフィルタ122で処理されたタイミングエラーに応じた制御信号を生成してインターポレータ106に供給し、インターポレータ106における内挿補間タイミングを調整する。こうしてインターポレータ106は、NCO124からの制御信号に基づいて、上述のように乗算器の係数の複数セットの中から制御信号に応じたセットを用いて内挿補間することで、内挿タイミングが最適化(タイミングの同期確立)される。
【0013】
ゲインエラー検出器126は、デジタルイコライザ107(より詳しくは可変FIRフィルタ116)の出力データからゲインエラーを検出する。ゲインループフィルタ128は、ローパスフィルタ及び積分器を含んで構成されており、ゲインエラー検出器126で検出したゲインエラーからローパスフィルタによりノイズ成分を取り除き、積分器での積分処理等を行う。そして、ゲインコントロール回路105は、ゲインループフィルタ128の出力により、インターポレータ106への入力デジタル信号のゲインをフィードバック調整する。
【0014】
【特許文献1】特開2001−209902号公報
【特許文献2】特開2002−216422号公報
【特許文献3】特開2003−7007号公報
【特許文献4】特開平11−213571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記構成を有するデータ再生装置では、インターポレータ106における内挿補間のタイミング及びゲインコントロールは、等化手段(デジタルイコライザ)107の出力に基づくフィードバック制御により最適化される。また、適応等化制御も一種のフィードバック制御である。ここで、再生ヘッド100で乱れた波形の信号が再生されると、このような再生アナログ信号が、アナログフィルタ102、A/D変換器104、ゲインコントロール回路105、インターポレータ106、及びデジタルイコライザ107で順次処理されても、ゲインコントロール回路105による振幅調整、タイミング同期ループによるタイミング同期、デジタルイコライザ107による波形等化が良好に実現されない。このような場合、タイミングエラー検出器120で誤ったタイミングエラー値が検出され、タイミングループフィルタ122の積分器に蓄積されていく。その結果、NCO124には、蓄積されたタイミングエラーに応じた制御信号が入力され続け、誤った制御信号をインターポレータ106に供給するため、正常なタイミング同期制御が行われない。同様に、振幅調整、波形等化についても積分処理で誤った制御値が蓄積され続け、正常なデータ波形再生が行われない。そして、一旦このような状態になると、その後正常な再生状態に戻った場合にも各積分処理において誤った制御を行い続けるため、正常なフィードバック制御ができず、正常なデータ波形再生に復帰できなくなる、といった問題が生じる。このような問題は、例えば、磁気テープの速度が不安定、あるいは記録状態が悪い等の理由から、記録媒体の再生開始時に起こることが多い。
【0016】
本発明の目的は、乱れた波形再生信号に起因した正常データ波形再生不能の状態を回避し、良好なフィードバック制御を実現するデータ再生装置及び信号処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のデータ再生装置は、再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号について、ゲイン調整信号に基づいてゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、前記ゲインコントロール回路からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、を有し、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出し、この検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行うための制御信号を各回路に出力するデジタル信号検出手段を、前記アナログ/デジタル変換手段の後段に備えたものである。
【0018】
また、本発明のデータ再生装置は、再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、入力信号についてゲイン調整信号に基づきゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、前記ゲインコントロール回路からの入力信号の特性を目標特性に一致させるための、可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、を有し、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出し、この検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行うための制御信号を各回路に出力するデジタル信号検出手段を、前記アナログ/デジタル変換手段の後段に備えたものである。
【0019】
ここで、上記構成のデータ再生装置において、前記デジタル信号検出手段は、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されない間は、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力するようにすると良い。また、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が、予め設定された時間よりも長く検出され続けた場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値のクリア制御を解除する制御信号を生成して出力するようにすると良い。さらに、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されなくなり且つ予め設定された時間が経過してもなおデジタル出力信号が検出されない場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力するようにすると良い。
【0020】
本発明の信号処理プログラムは、再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号について、ゲイン調整信号に基づいてゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、前記ゲインコントロール回路からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路に対しデジタル信号処理を行う処理装置と、を含むデータ再生装置に用いる信号処理プログラムであって、前記処理装置に、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出するデジタル信号検出ステップと、得られた検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行う制御ステップと、を実行させるものである。
【0021】
また、本発明の信号処理プログラムは、再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、入力信号についてゲイン調整信号に基づきゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、前記ゲインコントロール回路からの入力信号の特性を目標特性に一致させるための、可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路に対しデジタル信号処理を行う処理装置と、を含むデータ再生装置に用いる信号処理プログラムであって、前記処理装置に、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出するデジタル信号検出ステップと、得られた検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行う制御ステップと、を実行させるものである。
【0022】
ここで、上記構成の信号処理プログラムにおいて、前記制御ステップでは、前記デジタル信号検出ステップにより前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されない間は、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力するようにすると良い。また、前記デジタル信号検出ステップにより、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が、予め設定された時間よりも長く検出され続けた場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値のクリア制御を解除する制御信号を生成して出力するようにすると良い。さらに、前記デジタル信号検出ステップにより、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されなくなり且つ予め設定された時間が経過してもなおデジタル出力信号が検出されない場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力するようにすると良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、例えば記録媒体の再生開始時などに乱れた波形の信号が再生され、この再生信号について、アナログフィルタ、A/D変換器、ゲインコントロール回路、インターポレータ、及びデジタルイコライザで順次処理され、デジタルイコライザにより良好な波形等化が実現されない場合でも、信号検出器による制御によって、タイミングループフィルタ内の積分器の積分値、ゲインループフィルタ内の積分器の積分値、及び適応制御器のフィルタ係数値がクリアされた状態を維持するため、乱れた波形の再生信号に起因した誤った制御値が蓄積されることがない。従って、乱れた波形の再生信号に起因した正常データ波形再生不能の状態になることを回避し、良好なフィードバック制御を実現でき、これにより、フィードバック制御による良好なタイミング調整、振幅調整、波形等化等を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明について以下詳細に説明する。本発明の一実施形態に係るデータ再生装置は、図1に示すように、再生ヘッド100、アナログフィルタ102、アナログ/デジタル(A/D)変換器104、ゲインコントロール回路105、インターポレータ106、デジタルイコライザ107、タイミングエラー検出器120、タイミングループフィルタ122、NCO(Numerically Controlled Oscillator)124、ゲインエラー検出器126、ゲインループフィルタ128、及び信号検出器130を含んで構成される。また、デジタルイコライザ107は、固定FIRフィルタ108、可変バンドパスフィルタ(可変BPF)110、可変ハイパスフィルタ(可変HPF)112、可変全域通過フィルタ(可変APF)114、可変FIRフィルタ116、及び適応制御器118を含んで構成される。すなわち、本実施形態では、従来のデータ再生装置におけるA/D変換器104の後段に、新たに信号検出器130を設けたものである。
【0025】
従来と同様、再生ヘッド100は、記録媒体に記録されたデジタルデータを再生し、その再生アナログ信号をヘッドアンプ(図示せず)により増幅して、アンチエイリアスフィルタであるアナログフィルタ102に出力する。アナログフィルタ102は、再生ヘッド100からのアナログ信号について、fs/2(fs:サンプリング周波数)以上の周波数成分をカットしてアナログ/デジタル(A/D)変換器104に出力し、A/D変換器14は、アナログフィルタ102からのアナログ信号をデジタル信号に変換して、信号検出器130とゲインコントロール回路105に出力する。
【0026】
信号検出器130は、詳しくは後述するが、A/D変換器104からのデジタル信号の出力の有無を検出するものであり、この検出結果に基づいて、タイミングループフィルタ122内の積分器の積分値、ゲインループフィルタ128内の積分器の積分値、及び適応制御器118のフィルタ係数値を制御するための制御信号を生成し、各積分器や適応制御器118に出力する。そして、信号検出器130から制御信号が入力されると、各積分器や適応制御器118ではこの制御信号に応じて積分値やフィルタ係数値が制御されることとなる。
【0027】
ゲインコントロール回路105は、インターポレータ106に供給する入力デジタル信号の振幅を調整するものであり、後述の如く、デジタルイコライザ107(より詳しくは可変FIRフィルタ116)の出力をゲインエラー検出器126で監視し、ゲインループフィルタ128の出力をゲインコントロール回路105に戻すことで、インターポレータ106への入力デジタル信号のゲイン(振幅)をフィードバック調整する。
【0028】
インターポレータ106は、ゲインコントロール回路105からのデジタル信号に対し、そのサンプル点データからサンプル間にあるシンボル点のデータを推定補間する。これは、A/D変換器104では、PLLからのクロックに応じ、シンボルとは非同期のタイミングでサンプリング(非同期サンプリング)するため、インターポレータ106でシンボル点のデータを内挿補間する必要が生じるからである。インターポレータ106は、A/D変換器104のサンプルデータに対して推定補間したデータをリサンプル処理する。このとき、一種のローパスフィルタ(LPF)であるインターポレータ106は、fb/2(fb:ビットレート)以上の周波数成分をカットする。こうしてリサンプルされ且つfb/2以上の周波数成分をカットされたデジタル信号は、等化処理を行うデジタルイコライザ107に供給される。
【0029】
インターポレータ106は、基本的にはFIRフィルタで構成され、例えば図2のように、互いに直列接続された複数のラッチ素子106a、複数の乗算器106b、及び加算器106cを含んで構成される。各ラッチ素子106aは、デジタル信号をサンプル期間だけ保持して出力する。各乗算器106bは、入力デジタル信号に対して所定の係数を乗じて加算器106cに出力する。加算器106cは、各乗算器106bの出力を加算し、後段のデジタルイコライザ107に出力する。各乗算器106bの係数は、予めセットとして設定されている。また、係数のセットは予め複数セット用意され、これらのセットのいずれかが選択される。すなわち、内挿補間すべき位置に応じて複数セットの中のいずれかのセットが選択的に用いられる。シンボル点のデータを内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミングは、後述のようにタイミングエラー検出器120、タイミングループフィルタ122、NCO124からなるフィードバックループにより調整される。
【0030】
デジタルイコライザ107において、固定FIRフィルタ108は、デジタル信号に対し、高域成分をブーストして高域成分の劣化を補償する。続けて、固定FIRフィルタ108からのデジタル信号について、可変BPF110、可変HPF112でデジタル信号の振幅特性を調整し、可変APF114でデジタル信号の群遅延量を制御して、可変FIRフィルタ116に出力する。この可変BPF110、可変HPF112、及び可変APF114も、従来と同様、例えば複数のラッチ素子及び乗算器で構成した場合の乗算器の係数(タップ係数)を可変とするものであり、各フィルタのタップ係数は外部からの調整信号により可変調整され、これにより各フィルタのフィルタ特性が調整される。
【0031】
可変FIRフィルタ116は、入力デジタル信号の特性を目標特性に一致させるためのFIRフィルタであり、乗算器の係数を可変とするフィルタである。乗算器の可変係数は、適応制御器28からの調整信号により調整設定される。適応制御器118は、目標特性(仮に定めた目標特性)と入力デジタル信号の特性との差分を演算し、この差分に応じて所定のアルゴリズムに従い可変FIRフィルタ116の可変係数を増減調整する。こうして、可変FIRフィルタ116においてデジタル信号が最終的に等化処理される。
【0032】
図3には、可変FIRフィルタ116及び適応制御器118の構成が示されている。可変FIRフィルタ116は、直列接続された複数(図では4個)のラッチ素子116a、並列接続された複数(図では4個)の可変乗算器116b、加算器116cを含んで構成される。また、適応制御器118は、判定器118a、減算器118b、及び適応アルゴリズム処理器118cを含んで構成される。可変FIRフィルタ116の乗算器116bは、それぞれ調整された係数を入力デジタル信号に乗算し、その結果を加算器116cに出力する。加算器116cは、加算結果を出力すると共に、適応制御器118の判定器118aと減算器118bに出力する。乗算器116bの各係数は、当初は外部からの調整信号によりある値に設定されるが、適応アルゴリズム処理器118cからの調整信号により適当な値に増減調整される。
【0033】
判定器118aは、加算器116cの出力をしきい値と比較し、加算器116cからの出力デジタル値が所定のデジタル値のいずれであるかを判定する(所定のデジタル値が0、−1、+1である場合、加算器116cからのデジタル値をしきい値と比較してこれらの値のいずれであるかを判定する)。例えば、加算器116cからの出力デジタル値が0.8であった場合、判定器118aはこれを+1と判定して減算器118bに出力する。
【0034】
減算器118bは、加算器116cからの出力と、判定器118aからの判定結果を減算し、その差分を算出する。この差分あるいは相違が、入力デジタル信号の特性と目標特性との相違である。減算器118bは、差分を適応アルゴリズム処理器118cに出力する。
【0035】
適応アルゴリズム処理器118cは、例えばLMS(Least Mean Square)アルゴリズム、すなわち、差分(誤差信号)の2乗を最小にするように可変FIRフィルタ116の各乗算器116bの係数を時々刻々変化させる。適応アルゴリズム処理器118cでは、具体的には、可変FIRフィルタ116のラッチ素子116aからの入力(タップ値)及び減算器118bからの入力を用いてフィルタ係数の増減値を算出する算出処理と、可変乗算器116bからの現時点での係数値に、算出処理により算出された増減値を加える積分処理と、が行われている。そして、積分処理により得られたフィルタ係数値を可変FIRフィルタ116の可変乗算器116bにフィードバックして、可変FIRフィルタ116の各乗算器116bの係数を時々刻々変化させている。ここで、適応アルゴリズム処理器118cは回路で構成されるが、DSPをプログラミングしてソフト的に処理してもよい。以上のようにして、入力デジタル信号を目標特性に高速に等化収束させることができる。
【0036】
ここで、本実施形態に係るデータ再生装置においては、可変FIRフィルタ116の出力が、タイミングエラー検出器120、タイミングループフィルタ122、NCO124からなるフィードバックループ、及びゲインエラー検出器126、ゲインループフィルタ128、ゲインコントロール回路105からなるフィードバックループにも供給される。そして、各フィードバックループによるフィードバック制御により、インターポレータ106にて内挿補間すべき位置、すなわち内挿補間のタイミング、及びゲインコントロール回路105での信号波形の振幅調整値が決められる。
【0037】
タイミングエラー検出器120は可変FIRフィルタ116の出力データからタイミングエラーを検出し、タイミングループフィルタ122は検出したタイミングエラーからノイズ成分を取り除き、積分処理及び微分処理等を行う。
【0038】
図4には、タイミングループフィルタ122の構成が示されている。タイミングループフィルタ122は、ローパスフィルタ122aと乗算器122dが直列接続され、この乗算器122dに、加算器122g、積分器122b及び乗算器122eと、微分器122c及び乗算器122fと、が並列接続された構成となっている。タイミングエラー検出器120からの出力はローパスフィルタ122aに供給され、ローパスフィルタ122aでノイズ成分の除去が行われる。ローパスフィルタ122aからの出力は、乗算器122d、積分器122b、及び微分器122cに供給される。乗算器122dに入力されたデジタル信号は、予め設定された係数が乗算され、加算器122hに出力される。微分器122cに入力されたデジタル信号は、微分処理が行われた後、乗算器122fにて予め設定された係数が乗算され、加算器122hに出力される。加算器122gに入力されたデジタル信号は、積分器122b内の遅延器122iからフィードバックされた信号と加算して、遅延器122iに入力され、積分処理が行われる。こうして積分処理が行われた後、乗算器122eにて予め設定された係数が乗算され、加算器122hに出力される。そして加算器122hは、各乗算器からの信号を加算して、次段のNCO124に出力する。
【0039】
NCO124は、タイミングループフィルタ122で処理されたタイミングエラーに応じた制御信号を生成してインターポレータ106に供給し、インターポレータ106における内挿補間タイミングを調整する。こうしてインターポレータ106は、NCO124からの制御信号に基づいて、上述のように乗算器の係数の複数セットの中から制御信号に応じたセットを用いて内挿補間することで、内挿タイミングが最適化(タイミングの同期確立)される。
【0040】
一方、ゲインエラー検出器126は可変FIRフィルタ116の出力データからゲインエラーを検出し、ゲインループフィルタ128は、検出したゲインエラーからノイズ成分を取り除き、積分処理等を行う。
【0041】
図5には、ゲインループフィルタ128の構成が示されている。ゲインループフィルタ128は、ローパスフィルタ128a、積分器128b、及び乗算器128cが直列接続された構成を含んでいる。ゲインエラー検出器126からの出力はローパスフィルタ128aに供給され、ノイズ成分の除去が行われる。ローパスフィルタ128aからの出力は、積分器128bに供給される。積分器128b内の加算器128dに入力されたデジタル信号は、積分器128b内の遅延器128eからフィードバックされた信号と加算して、遅延器128eに入力され、積分処理が行われる。こうして積分処理が行われた後、乗算器128cにて予め設定された係数が乗算され、出力される。そして、ゲインループフィルタ128からの出力に基づいて、ゲインコントロール回路105は、インターポレータ106への入力デジタル信号の振幅調整を行うこととなる。
【0042】
以上のようにして、インターポレータ106における内挿補間タイミングの調整、ゲインコントロール回路105によるゲイン調整、適応制御による波形等化をフィードバック制御しているが、これと同時に、A/D変換器104の後段の信号検出器130によって、タイミングループフィルタ122における積分器122b及びゲインループフィルタ128における積分器128bの積分値、適応制御器118のフィルタ係数値の制御を行い、良好なフィードバック制御を実現させている。本発明では、磁気テープの速度が不安定、あるいは記録状態が悪い等の理由から記録媒体の再生開始時に生じる乱れた波形の再生信号(図6の信号Bの先頭、B1部分に相当)は、再生開始時、つまり通常再生時のデジタル信号(図6の信号Bの後方、B2部分に相当)の前に発生する(例えば数μs)という点を鑑み、信号検出器130を以下のように動作させている。
【0043】
信号検出器130は、A/D変換器104からのデジタル信号の出力の有無を検出し、その検出結果に基づいて、タイミングループフィルタ122における積分器122b及びゲインループフィルタ128における積分器128bの積分値、適応制御器118のフィルタ係数値を制御するための制御信号を生成し、タイミングループフィルタ122の積分器122b、ゲインループフィルタ128の積分器128b、及び適応制御器118(より詳しくは適応アルゴリズム処理器118c)に出力する。具体的には図6に示すように、A/D変換器104からデジタル信号が出力されていない間は、各積分器122b,128bの積分値及び適応アルゴリズム処理器118cの積分処理により得られる積分値(フィルタ係数値)をクリアする制御信号を生成し、各積分器122b,128b及び適応制御器118に出力する。そして、この制御信号が入力されると、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値がクリアされ、各積分器122b,128b及び適応制御器118は初期状態となる。こうして、A/D変換器104からデジタル信号が出力されていない間は、各積分器122b,128b及び適応制御器118は積分値がクリアされた状態を維持する。
【0044】
一方、A/D変換器104からデジタル信号が出力された場合において、信号検出器130は、デジタル信号の出力が検出され続ける時間をカウントし、所定時間(例えば数μs。以下、クリア解除時間という)以上のデジタル信号の出力が検出されると、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値のクリア制御を解除する制御信号を生成し、各積分器122b,128b及び適応制御器118に出力する。そして、この制御信号が入力されると、積分器122bは、タイミングエラー検出器120で検出したタイミングエラーについて、また積分器128bはゲインエラー検出器126で検出したゲインエラーについて、各々通常の積分処理を行い、適応制御器118の適応アルゴリズム処理器118cにおける積分処理、すなわちフィルタ係数更新も通常動作を行う。そして、A/D変換器104からのデジタル信号の出力が検出されなくなると、検出されなくなった状態の時間をカウントし、所定時間(以下、クリア再開時間という)が経過してもなおデジタル信号の出力が検出されない場合には、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値をクリアする制御信号を生成し、各積分器122b,128b及び適応制御器118に出力する。そして、この制御信号が入力されると、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値がクリアされ、各積分器122b,128b及び適応制御器118は初期状態(クリア状態)に戻る。このとき、A/D変換器104からデジタル信号が出力されても、信号検出器130において所定のクリア解除時間以上のデジタル信号の出力が検出されなかった場合、例えば図6の信号Aのようなノイズが検出された場合等には、上記の積分値クリア解除の制御信号も生成されず、積分器122bの積分値をクリアする制御信号が積分器122bに出力され続ける。
【0045】
ここで、上記のクリア解除時間及びクリア再開時間は、信号検出器130に予め設定される時間値である。そして、クリア解除時間は、乱れた波形の再生信号(図6の信号Bの先頭、B1部分に相当)の出力時間以上の値に設定されていれば良い。また、図6のように通常再生時のデジタル再生信号(図6の信号Bの後方、B2部分に相当)のなかに出力されない部分(例えば、数μs)が含まれているような場合にも、この出力されない部分の検出によって各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値をクリアする制御信号が出力されないようにする必要がある。そこで、クリア再開時間は、そのような動作が生じない程度の時間値(例えば、数十μs)に設定されていれば良い。
【0046】
以上のように信号検出器130が動作することにより、再生開始時などに生じる乱れた波形の再生信号について、アナログフィルタ102、A/D変換器104、ゲインコントロール回路105、インターポレータ106、及びデジタルイコライザ107で順次処理され、デジタルイコライザ107により良好な波形等化が実現されない場合でも、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値がクリアされた状態が維持されるため、乱れた波形の再生信号に起因した誤った制御値が蓄積されることがない。
こうして、乱れた波形の再生信号に起因した異常事態に陥り、正常データ波形の再生不能な状態になることを回避できるため、タイミング調整、ゲイン調整、及び適応等化に関して良好なフィードバック制御ができなくなるといった問題を解消できる。
【0047】
尚、本実施形態のデータ再生装置は、DVC(デジタルビデオカメラ)やHDD(ハードディスクドライブ)、CDドライブやDVDドライブの再生装置に組み込むことができ、PR4等のデジタルデータを再生ヘッドでアナログ信号として再生し、このアナログ再生信号をデジタル化して再生処理する任意のデバイスに適用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、ゲインコントロール回路105がA/D変換器104とインターポレータ106との間に配置され、ゲインフィードバックループが構成されているが、ゲインコントロール回路105は必ずしもA/D変換器104とインターポレータ106との間に配置されなければならない訳ではない。例えば、デジタルイコライザ107内の可変APF114と可変FIRフィルタ116との間にゲインコントロール回路105を配置し、可変APF114からの出力信号のゲイン調整を行って可変FIRフィルタ116に出力するようにしても良い。この場合には、ゲインエラー検出器126、ゲインループフィルタ128と、このゲインコントロール回路105とによりゲインフィードバックループを構成することとなる。
【0049】
また、本実施形態のタイミングループフィルタ122による各積分器122b,128b及び適応制御器118の制御は、これと同様の制御を行うプラグラムを作成し、このプログラムに基づいて各積分器122b,128b及び適応制御器118の制御を実行させるようにしても良い。具体的には、A/D変換器104からのデジタル出力信号を検出するステップと、デジタル出力信号が検出されない間は、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値をクリアする制御を行うステップと、を、DSP(Digital Signal Processor)等の処理装置にソフト的に処理させるようにすれば良い。
【0050】
また、A/D変換器104からのデジタル出力信号を検出するステップと、デジタル出力信号が検出され続ける時間と予め設定されたクリア解除時間とを比較するステップと、上記の検出継続時間がクリア解除時間よりも長い場合には、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値をクリアする制御を解除するステップと、をDSP(Digital Signal Processor)等の処理装置にソフト的に処理させるようにすれば良い。さらに、A/D変換器104からのデジタル出力信号が検出されなくなり、予め設定されたクリア再開時間が経過してもなおデジタル信号の出力が検出されない場合には、各積分器122b,128b及び適応制御器118の積分値をクリアする制御を行うステップをDSP(Digital Signal Processor)等の処理装置にソフト的に処理させるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ再生装置の構成図である。
【図2】図1におけるインターポレータの構成図である。
【図3】図1における可変FIRフィルタ及び適応制御器の構成図である。
【図4】図1におけるタイミングループフィルタの構成図である。
【図5】図1におけるゲインループフィルタの構成図である。
【図6】図1の信号検出器による制御信号の出力について説明するための図である。
【図7】従来のデータ再生装置の構成図である。
【符号の説明】
【0052】
100 再生ヘッド、102 アナログフィルタ、104 A/D変換器、105 ゲインコントロール回路、106 インターポレータ、108 固定FIRフィルタ、110 可変BPF、112 可変HPF、114 可変APF、116 可変FIRフィルタ、118 適応制御器、120 タイミングエラー検出器、122 タイミングループフィルタ、122a ローパスフィルタ、122b 積分器、122c 微分器、122d〜122f 乗算器、122g,122h 加算器、124 NCO、126 ゲインエラー検出器、128 ゲインループフィルタ、130 信号検出器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号について、ゲイン調整信号に基づいてゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、
前記ゲインコントロール回路からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、
可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、
前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、
前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、
を有し、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出し、この検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行うための制御信号を各回路に出力するデジタル信号検出手段を、前記アナログ/デジタル変換手段の後段に備えたことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、
入力信号についてゲイン調整信号に基づきゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、前記ゲインコントロール回路からの入力信号の特性を目標特性に一致させるための、可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、
前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、
前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、
を有し、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出し、この検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行うための制御信号を各回路に出力するデジタル信号検出手段を、前記アナログ/デジタル変換手段の後段に備えたことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデータ再生装置において、
前記デジタル信号検出手段は、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されない間は、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載のデータ再生装置において、
前記デジタル信号検出手段は、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が、予め設定された時間よりも長く検出され続けた場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値のクリア制御を解除する制御信号を生成して出力することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一つに記載のデータ再生装置において、
前記デジタル信号検出手段は、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されなくなり且つ予め設定された時間が経過してもなおデジタル出力信号が検出されない場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項6】
再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号について、ゲイン調整信号に基づいてゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、
前記ゲインコントロール回路からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、
可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、
前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、
前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、
前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路に対しデジタル信号処理を行う処理装置と、
を含むデータ再生装置に用いる信号処理プログラムであって、
前記処理装置に、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出するデジタル信号検出ステップと、
得られた検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行う制御ステップと、
を実行させることを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項7】
再生手段により再生されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換手段と、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル信号を、タイミング制御信号に基づいて内挿補間して再サンプリングし、得られたデジタル信号を出力するインターポレータと、
入力信号についてゲイン調整信号に基づきゲイン調整を行うゲインコントロール回路と、前記ゲインコントロール回路からの入力信号の特性を目標特性に一致させるための、可変乗算器を含むフィルタと、該可変乗算器の可変係数を積分処理により調整制御する制御器と、を含み、前記インターポレータからのデジタル信号を所望の目標特性に一致させるために等化処理を行う等化回路と、
前記等化回路からの出力信号のシンボル点と所望のシンボル点とのタイミング誤差を検出し、当該タイミング誤差を積分処理し、得られた積分値に応じた前記タイミング制御信号を生成して前記インターポレータへ出力するタイミングフィードバック回路と、
前記等化回路からの出力信号のゲインエラーを検出し、当該ゲインエラーを積分処理し、得られた積分値に応じた前記ゲイン調整信号を生成して前記ゲインコントロール回路へ出力するゲインフィードバック回路と、
前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路に対しデジタル信号処理を行う処理装置と、
を含むデータ再生装置に用いる信号処理プログラムであって、
前記処理装置に、
前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号の有無を検出するデジタル信号検出ステップと、
得られた検出結果に基づき、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御を行う制御ステップと、
を実行させることを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の信号処理プログラムにおいて、
前記制御ステップでは、前記デジタル信号検出ステップにより前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されない間は、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力することを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項9】
請求項6から8の何れか一つに記載の信号処理プログラムにおいて、
前記制御ステップでは、前記デジタル信号検出ステップにより、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が、予め設定された時間よりも長く検出され続けた場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値のクリア制御を解除する制御信号を生成して出力することを特徴とする信号処理プログラム。
【請求項10】
請求項6から9の何れか一つに記載の信号処理プログラムにおいて、
前記制御ステップでは、前記デジタル信号検出ステップにより、前記アナログ/デジタル変換手段からのデジタル出力信号が検出されなくなり且つ予め設定された時間が経過してもなおデジタル出力信号が検出されない場合には、前記等化回路、タイミングフィードバック回路及びゲインフィードバック回路における積分処理で得られた積分値をクリアする制御信号を生成して出力することを特徴とする信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−147042(P2006−147042A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335464(P2004−335464)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】