説明

データ処理システムにおいて論理的通信パスを維持する装置及び方法

【課題】
ホスト・コンピュータ、第1の論理的制御装置(LCU)を含むストレージ・コントローラ、並びにそのホスト・コンピュータおよび第1のLCUとの通信における論理的通信パスを含むデータ処理システムにおいてその論理的通信パスを維持する方法を提供する。
【解決手段】
本方法は、第1のLCUを削除し、第1のLCUに対して第1のステータスをセットする。しかる後、本方法は、第1のLCUのすべてまたは一部分を含むが、第1のLCUとは同じでない第2のLCUを構成し、それに対する第2のステータスを設定する。本方法は、第1のLCUの削除し、第1のステータスをセットし、第2のLCUを構成し、第2のステータスを設定するステップは、第2のLCUと通信する状態に論理的パスを維持しながら遂行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システムにおいて1個または複数個の論理的通信パスを維持するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティング装置は情報を生成する。自動データ記憶システムに配置された複数個のデータ・ストレージを使用してそのような情報を格納することは、その分野では知られている。発信元のホスト・コンピュータは、ストレージ・コントローラとの通信において、そのストレージ・コントローラの論理的制御装置(LCU)当たり複数個の論理的通信パスを使用することがある。種々の論理的パスから1個のボリュームをアクセスし得るように、ホスト・コンピュータは8個までの論理的パスを1個のパス・グループにグループ化する。パス・グループにおける1個の論理的通信パスが脱落するとき、ホスト・コンピュータは、LCUにおけるボリュームへのアクセスを継続するためにパス・グループの他のすべての論理的パスを保持する。しかし、すべての論理的パスが脱落するとき、ホスト・コンピュータは、LCUにおけるボリュームへのアクセスを喪失する。これが生じ得る1つの状況は、LCUが削除されるときである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ホスト・コンピュータ、第1の論理的制御装置(LCU)を含むストレージ・コントローラ、並びにそのホスト・コンピュータおよび第1のLCUとの通信における論理的通信パスを含むデータ処理システムにおいてその論理的通信パスを維持する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本方法は、第1のLCUを削除し、第1のLCUに対して第1のステータスをセットする。しかる後、本方法は、第1のLCUのすべてまたは一部分を含み、第1のLCUとは異なる第2のLCUを構成し、第2のLCUに対する第2のステータスを設定する。第2のLCUおよびホスト・コンピュータを論理的通信パスが相互接続する。本方法は、第1のLCUの削除中その論理的通信パスを維持し、第1のステータスをセットし、第2のLCUを構成し、第2のステータスを設定する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】データ・ストレージ・コントローラとの通信時のホスト・コンピュータを示すブロック図である。
【図2】ファブリックを介して相互に通信するホスト・コンピュータおよびストレージ・コントローラを示すブロック図である。
【図3】ストレージ・ライブラリを示すブロック図である。
【図4】ホスト・コンピュータとストレージ・コントローラ/ストレージ・ライブラリに配置された第1の論理制御装置とを相互接続する複数個の論理的パスを示すブロック図である。
【図5】図4の第1のLCUが削除された後に維持される図4の複数個の論理的パスを示すブロック図である。
【図6】第2のLCUと図4のホスト・コンピュータとを相互接続した図4の複数個の論理的パスを示すブロック図である。
【図7】本方法の例示的な実施態様を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートの下部に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の記述では、添付図面を参照して本発明の好適な実施例が説明される。その図面では、同じ参照番号が同じまたは同様の要素を表わす。本明細書を通して、「1つの実施例」、「或る実施例」、または同様の用語の引用は、実施例に関連して記述された特定の特徴、構造あるいは特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれていることを意味する。従って、本明細書を通して「1つの実施例における」、「或る実施例における」、および同様の用語の出現は、必ずしもすべて同じ実施例を指すものではない。
【0007】
本発明の記述された特徴、構造、または特性を、1個または複数個の実施例として任意の適切な方法で組み合わせることも可能である。以下の説明では、本発明の実施例の十分な理解を得るために多数の特定の詳細部が再引用されている。しかし、1個または複数個の特定の詳細部なしでも、或いは他の方法、コンポーネント、材料等を用いて本発明を実施し得るということは当業者には明らかであろう。他の例では、周知の構造、材料、またはオペレーションは、発明の実施態様を不明瞭にしないために、詳しく表示または記述されない。
【0008】
本明細書に添付された概略的なフローチャートは、一般的に論理的なフローチャート(例えば、図7および図8)として示される。図示された順序およびラベル付けされたステップは、それ自体、本方法の1つの実施例を表わす。図示の方法の1個または複数個のステップまたはそれの一部分に、機能、ロジック、または効果が等価である他のステップまたは方法が想起され得る。更に、使用されるフォーマットおよび記号は本方法の論理的なステップを説明するために与えられ、本方法の技術的範囲を限定するように解されるべきではない。フローチャートには種々のタイプの矢印および線が使用され得るが、それらは対応する方法(例えば図7および図8)の技術的範囲を限定するものと解されるべきではない。確かに、或る矢印または他のコネクタは、本方法の論理的なフローだけを表わすために使用されることがある。例えば、矢印は、図示の方法の列挙されたステップ間における未指定の期間を表わす待機または監視期間を表わすこともある。更に、特定の方法が生じる順序は、図示の対応するステップの順序に厳密に固執することも、固執しないこともある。
【0009】
図1を参照すると、データ記憶システム200は、コンピューティング装置390によって複数個のデータ記憶ドライブ180および/または複数個のデータ記憶ドライブ190を相互接続するストレージ・コントローラ240を含む。図1および図2に示された実施例では、ストレージ・コントローラ240は、コンピュータ可読媒体230、コンピュータ可読媒体230に書き込まれたキュー244、およびコンピュータ可読媒体に書き込まれた命令246を含む。ストレージ・コントローラ240は、更に、コントローラ250を含む。コントローラ250は、後述される本方法を実施するために命令244を利用する。
【0010】
或る実施例では、ストレージ・コントローラ240は、SCSI(小型コンピュータ・システム・インターフェース)、iSCSI(インターネットSCSI)、SAS(シリアル・アタッチSCSI)、ファイバ・チャネル、SCSIオーバ・ファイバ・チャネル、イーサネット、ファイバ・チャンネル・オーバ・イーサネット、Infiniband、およびSATA(シリアルATA)から成るグループから選ばれたI/Oプロトコルを使用して、装置アダプタ165および175を介して複数個のデータ・ストレージ190と、並びに装置アダプタ166および176を介して複数個のデータ・ストレージ190と通信する。
【0011】
或る実施例では、コンピューティング装置390は、データを生成してそのデータをストレージ・コントローラ240に供給するホスト・コンピュータを含む。ストレージ・コントローラ240は、複数個のデータ・ストレージ180および/または190のうちの1個もしくは複数個にそのデータを書き込む。更に、図1に示された実施例では、ストレージ・コントローラ240は、1個のホスト・コンピュータ390と通信する。別の実施例では、ストレージ・コントローラ240は、複数個のホスト・コンピュータと通信している。一般的な事柄として、ホスト・コンピュータ390は、Windows、AIX、Unix、MVS、UNIX等のようなオペレーティング・システムを含むメインフレーム、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション、およびそれの組み合わせのようなコンピューティング装置を含む(なお、Windowsはマイクロソフト社の商標であり、AIXおよびMVSはIBM社の商標であり、UNIXは The Open Groupを介して排他的にライセンスされた商標であり、LINUXは Linus Torvaldの商標である)。
【0012】
図2に示された実施例では、ホスト・コンピュータ390およびストレージ・コントローラ240がファブリック310を介して相互に通信する。或る実施例では、ファブリック310は、例えば、1個または複数個のFiberChannel(FC)スイッチ315を含む。或る実施例では、それらの1個または複数個のスイッチ315は1個または複数個の通常のルータ・スイッチを含む。図2に示された実施例では、1個または複数個のスイッチ315は、ストレージ・コントローラ240を介して、ストレージ・コントローラ240へ、およびストレージ・コントローラ240から、更に、データ・ストレージ180および/または190へおよびそれらのデータ・ストレージから情報を転送するために、任意のタイプのI/Oインターフェース、例えば、Fiber Channel、Infiniband、Gigabit Ethernet、Ethernet、TCP/IP、iSCSI、SCSII/Oインターフェース)を使用して、通信パス395aおよび395bを介してストレージ・コントローラ240にホスト・コンピュータ390を相互接続する。
【0013】
次に図3を参照すると、或る実施例では、ストレージ・コントローラ240が、例えば、限定なしに、データ・ストレージ・ライブラリ100のようなデータ・ストレージ・ライブラリを含む。或る実施態様では、データ・ストレージ・ライブラリ100は、同じハウジング内に配置された第1のクラスタ101Aおよび第2のクラスタ101Bを含む。図3に示された実施態様では、データ・ストレージ・ライブラリ100は、4つのホスト・ベイ101、106、111、および116に配置された複数個のホスト・アダプタ102−105、107 ―110、112 ―115、および117 ―120を含む。他の実施態様では、データ記憶システムは、16個よりも少ないホスト・アダプタを含む。システムの任意の実施態様において配置されたホスト・アダプタの数に関係なく、それらのホスト・アダプタの各々は、中央処理要素/キャッシュ要素130および140の両方に対する等しいアクセスを持った共用資源を含む。
【0014】
各ホスト・アダプタは、1個または複数個のFiber Channelポート、1個または複数個のFICONポート、1個または複数個のESCONポート、または1個または複数個のSCSIポートを含み得る。各ホスト・アダプタは、クラスタ101Aおよび101B各々が任意のホスト・アダプタからI/Oを扱い得るように、およびいずれのクラスタのストレージ・コントローラ部分も、データ・ストレージ・ライブラリ100と相互接続された物理的および/または論理的なすべての通信パスに対する通信パス・エラー率を監視し得るように、相互接続バス121を介してそのクラスタ101Aおよび101Bの両方に接続される。
【0015】
ストレージ・コントローラ部分130はプロセッサ132およびキャッシュ134を含む。或る実施態様では、ストレージ・コントローラ部分130は更にコンピュータ可読媒体133を含む。或る実施態様では、コンピュータ可読媒体133はランダム・アクセス・メモリを含む。或る実施態様では、コンピュータ可読媒体133は不揮発性メモリを含む。
【0016】
ストレージ・コントローラ部分140はプロセッサ142およびキャッシュ144を含む。或る実施態様では、ストレージ・コントローラ部分140は更にコンピュータ可読媒体143を含む。或る実施態様では、コンピュータ可読媒体143はランダム・アクセス・メモリを含む。或る実施態様では、コンピュータ可読媒体は不揮発性メモリを含む。
【0017】
I/O部分160は、装置アダプタ165、166、167、および168のような複数個の装置アダプタを含む。I/O部分170は、更に、装置アダプタ175、176、177、および178のような複数個の装置アダプタを含む。
【0018】
システムの或る実施例では、1個または複数個のホスト・アダプタ、ストレージ・コントローラ部分130、および1個または複数個の装置アダプタが、データ記憶システムに配置された単一のカード上に一緒にパッケージにされる。同様に、或る実施例では、1個または複数個のホスト・アダプタ、ストレージ・コントローラ部分140、および1個または複数個の装置アダプタが、データ記憶システムに配置された別のカード上に配置される。これらの実施例では、システム100は、複数個のデータ・ストレージと相互接続された2個のカードを含む。
【0019】
図3に示された実施例では、16個のデータ・ストレージが2個のアレイ、即ち、アレイ180および190に編成される。図3に示された実施例は2個のストレージ・アレイを示す。他の実施例では、データ記憶システムは2個よりも多くのストレージ・アレイを含む。各ストレージ・アレイは、1個または複数個の論理的装置のようにホスト・コンピュータには見える。
【0020】
或る実施例では、1個または複数個のデータ・ストレージが、複数個のディスク・ドライブ装置180および/または190のようなハード・ディスク・ドライブ装置を含む。或る実施例では、複数個のディスク・ドライブ装置180および/または190はRAID(新磁気ディスク制御機構)プロトコルを利用する。或る実施例では、複数個のディスク・ドライブ装置180および/または190は、アレイがRAIDに従って構成されないJBODアレイ(即ち、Just a Bunch Of Disk)とも呼ばれるものを含む。
【0021】
図3に示された実施例は、2個のストレージ・アレイを示す。他の実施例では、データ・ストレージ・ライブラリ100が単一のストレージ・アレイを含む。更に別の実施例では、データ・ストレージ・ライブラリ100は2個よりも多くのストレージ・アレイを含む。
【0022】
図1および図2に示された実施例では、ホスト・コンピュータ390がチャンネル・パス識別子(CHPid)391を含み、物理的通信パス395を介して、ストレージ・コントローラ240に配置されたホスト・アダプタ102に相互接続される。図1および図2に示された実施例は、1個の物理的通信リンクを介してストレージ・コントローラ240と相互接続されたホスト・コンピュータ390を示す。他の実施例では、ホスト・コンピュータ390は、複数個の物理的通信リンクを備えたストレージ・コントローラと相互接続される。
【0023】
或る実施例では、物理的な通信リンク395が256個までの論理的通信パスを含むように構成され得る。或る実施例では、物理的通信リンク395の論理的構成はホスト・コンピュータ390によって設定される。或る実施例では、物理的通信リンク395の論理的構成はストレージ・コントローラ240によって設定される。或る実施例では、物理的通信リンク395の論理的構成は、ハードウェア管理コンソール(HMC)270を使用して記憶システム管理者によって設定される。
【0024】
図1および図2に示された実施例では、ストレージ・コントローラ240はHMC270と通信する。システム管理者はHMC270を利用することができ、とりわけ、ストレージ・コントローラ240、複数個のデータ・ストレージ180、および/または複数個のデータ・ストレージ190に対する論理的構成を設定する。そのような論理的構成では、ストレージ・コントローラ240、複数個のデータ・ストレージ180、および/または、複数個のデータ・ストレージ190は、複数個の論理的制御装置(LCU)を含み得る。
【0025】
或る実施例では、複数個の論理的パスが各LCUに対して設定され得る。或る実施例では、LCUは256個までのボリュームを含み得る。種々の論理的パスを使用して1個のボリュームをアクセスするために、8個までの論理的パスが1個のパス・グループに構成され得る。1個の論理的パスが失われる場合、ホストは、論理的パス・グループにおける1個または複数個の追加の論理的パスを使用して、LCUをアクセスし得る。しかし、すべての論理的パスが失われるとき、ホストはLCUにおけるボリュームへのアクセスを喪失する。これが生じ得る1つの状態は、LCUが削除されたときである。
【0026】
そのような状況では、指定された1個または複数個のボリュームが利用可能ではないというステータス表示によって新たなI/Oコマンドは拒絶されるが、ボリュームへのすべてのアクティブな入力/出力(I/O)は完了することを許容される。一旦LCUにおけるすべてのボリュームが利用不可能のステータスをマークされてしまうと、ホストからLCUへのすべての論理的パスが削除される。
【0027】
ホスト・コンピュータが論理的パスの喪失の通知を受け取るとき、ホストは、Establish Logical Path(ELP)をストレージ・コントローラに送る。LCUが削除されたので、ELPコマンドは利用可能でない資源によって拒否される。最後にホスト・コンピュータは故障状態にあるものとして論理的パスをマークする。
【0028】
特に関心があるのは、LCUに属するボリュームの構成を変更するために、そのLCUが単に一時的に削除され得る場合である。ボリュームの構成が更新された後、第2のLCUが再作成され、新たなボリュームが第2のLCUに割り当てられるか、または或るボリュームが第2のLCUを構成するために第1のLCUから削除される。その時点で、ストレージ・コントローラは、新たに作成されたLCUにおいてボリュームに対するI/Oの準備ができている。しかし、ホスト・コンピュータへのすべての論理的パスが削除されてしまったので、LCUおよびそれのボリュームが利用可能であるということをホスト・コンピュータに知らせる方法がない。
【0029】
LCUの削除は制御された環境におけるものであったので、ユーザは、LCUおよびボリュームが利用可能にされた後、そのボリュームをオンに変更するように決定し得る。ボリュームがオンに変更されるとき、ホスト・コンピュータはそのボリューム発見プロセスを開始するであろう。しかし、利用可能な論理的パスがないので、その発見は失敗し、ボリュームはボックスに入れられる。
【0030】
ボックスに入れられたボリュームの問題に対する1つの解決方法は、削除されることになるLCUに関連したチャンネル・パス識別子(CHPids)をオフに構成することである。そこで、LCUが回復した後、ユーザはそのパスをオンに変更し得る。しかし、この解決方法は、パスがオフに変更されようとするので、記憶システム管理者は、すべてのホスト・コンピュータ・ユーザに自分のアプリケーションを停止または終了させるように通知することを必要とする。関連する多数のホスト・コンピュータが存在するかもしれないので、記憶システム管理者は、すべてのホストからのすべてのCHPidsがオフ構成されたことを確かめなければならない。LCUおよびボリュームが再び作成された後、記憶システム管理者は、ハードウェア管理コンソールを利用してCHPidsをオフに構成することができる。このシーケンスは論理的パスをオンラインにうまく復旧させるであろう。そこで、記憶システム管理者は、LCUの除去で影響を受けたすべてのホストからのすべてのボリュームをオンに変更しなければならない。
【0031】
CHPidsをオフおよびオンに構成することはその状況に対する満足な解決方法ではない。CHPidsがオフであるとき、論理的パスおよびパス・グループは削除され、CHPidsがオンであるとき、そのパスは再設定される。更に、作成されるパス・グループはやがて変化する。これの最終結果は、パスとパス・グループが作成されている間にホスト・コンピュータのパフォーマンスが低下するということである。
【0032】
従って、LCUが削除された後、論理的パスおよびパス・グループを維持するための方法が必要となる。図7および図8は、データ処理システムにおいて論理的通信パスを維持するための方法の例示的な実施態様のステップを要約する。
【0033】
ステップ505において、本方法は、ホスト・コンピュータ、ストレージ・コントローラ、並びに、ホスト・コンピュータおよびストレージ・コントローラを相互接続する1個または複数個の物理的通信リンクを含むデータ記憶システムを提供する。或る実施例では、そのデータ処理システムは、チャンネル・パス識別子391(図1および図2)のようなチャンネル・パス識別子を含むホスト・コンピュータを含む。或る実施例では、ストレージ・コントローラは、データ・ストレージ・ライブラリ100(図3)のようなデータ・ストレージ・ライブラリを含み、クラスタ101A(図3)および101B(図3)のような2個のクラスタを含む。なお、各クラスタは、クラスタ101Aに配置されたストレージ・コントローラ部分130およびクラスタ101Bに配置されたストレージ・コントローラ部分140のようなストレージ・コントローラ部分を含む。
【0034】
ステップ510において、本方法は、データ記憶システムに対する論理的構成を設定する。その論理的構成は複数個の論理的制御装置(LCU)を含む。或る実施例では、ステップ510は、ステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ510は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に、ハードウェア管理コンソールHMC270のようなHMCを使用してストレージ・システム管理者により遂行される。或る実施例では、ステップ510はステップ505のホスト・コンピュータによって遂行される。
【0035】
ステップ515において、本方法は、ホスト・コンピュータおよび第1のLCUを相互接続する1個または複数個の論理的パスを構成する。例えば、図4に示された実施例では、ホスト・コンピュータ390が3つの論理的パス、即ち、論理的パス410、420、および430を介して、ストレージ・コントローラ240に構成されたLCU440と相互接続される。
【0036】
或る実施例では、ステップ515はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ515は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。或る実施例では、ステップ515はステップ505のホスト・コンピュータによって遂行される。
【0037】
ステップ520において、本方法は、第1のLCUを削除するためのコマンドを受け取る。或る実施例では、ステップ520のコマンドはストレージ・コントローラによって発生される。或る実施例では、ステップ520のコマンドは、ストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって発生される。或る実施例では、ステップ520はステップ505のホスト・コンピュータによって遂行される。
【0038】
ステップ525において、本方法は、第1のLCUのためのすべてのアクティブI/Oを完成する。或る実施例では、ステップ525は、ステップ505のストレージ・コントローラによるステップ520のコマンドの前に受け取られた第1のLCUを指定するすべてのI/Oコマンドを実行することを含む。或る実施例では、ステップ525はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。
【0039】
ステップ530において、本方法は、第1のLCUが恒久的に削除されることをステップ520のコマンドが必要とするかどうかを判断する。或る実施例では、ステップ530はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ530は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。或る実施例では、ステップ530はステップ505のホスト・コンピュータによって遂行される。
【0040】
第1のLCUが恒久的に削除されるべきであるということを本方法がステップ530において決定する場合、本方法はステップ530からステップ535に移行する。その場合、本方法は、第1のLCUにおいて構成された「CC3」状態を有するすべての論理的ボリュームをマークする。或る実施例では、ステップ535はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ535は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。或る実施例では、ステップ535はステップ505のホスト・コンピュータによって遂行される。
【0041】
ステップ540において、本方法は、第1のLCUおよびステップ505のホスト・コンピュータを相互接続するすべての論理的パスを除去する。或る実施例では、ステップ515はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ515は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。或る実施例では、ステップ515はステップ505のホスト・コンピュータによって遂行される。
【0042】
第1のLCUが恒久的に削除されるべきでないということを本方法がステップ530において判断する場合、本方法は、ステップ530からステップ545に移行し、ステップ545において第1のLCUに対する第1のステータスを設定する。或る実施例では、ステップ545において、本方法は一時的に利用不可能であるとして第1のLCUを指定する。或る実施例では、ステップ545はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ545は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ545は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0043】
ステップ550において、本方法は第1のLCUを削除する。或る実施例では、ステップ550はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ550は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ550は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0044】
ステップ555において、本方法は、ステップ505の第1のLCUおよびホスト・コンピュータを事前に相互接続した論理的パスを維持する。図7および図8に示された実施例では、ステップ555はステップ550の後におよびステップ560の前に示される。本方法は、包括的で、ステップ505の第1のLCUおよびホスト・コンピュータを事前に相互接続した論理的パスを、ステップ545乃至ステップ590の全体を通して維持する。次に図4および図5を参照すると、図5の実施例において、LCU 440(図4)は削除されたが、論理的パス410、420、および430は存続された。
【0045】
ステップ560では、本方法は、ステップ525においてその時アクティブなI/Oコマンドをすべて完了した後、ステップ505のホスト・コンピュータから新たなI/Oコマンドが受け取られたかどうかを判断する。或る実施例では、ステップ560は、ステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ560は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ560は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0046】
ステップ525において、その時アクティブなI/Oコマンドをすべて完了した後にステップ505のホスト・コンピュータから新たなI/Oコマンドを受け取ったということを判断した場合、本方法はステップ560からステップ565に移行する。ステップ565において、本方法は、その新たなI/Oコマンドを拒否し、第1のLCUが一時的に利用不可能になっているという信号をステップ505の発信元ホスト・コンピュータに返信する。図7および図8に示された実施例では、ステップ560および565がステップ555に続いて示される。本方法は、ステップ560乃至ステップ580の間に新たなI/Oコマンドが受け取られるときにはいつもステップ565を遂行する。
【0047】
或る実施例では、ステップ565はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ565は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ565は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0048】
ステップ570において、本方法は、ステップ565で拒否されたI/Oコマンドをエンキューする。或る実施例では、拒否されたI/Oコマンドが、ステップ505のストレージ・コントローラに配置されたキュー244(図1および図2)のようなキューにおいてエンキューされる。或る実施例では、拒否されたI/Oコマンドが、ステップ505のホスト・コンピュータにおいてエンキューされる。本方法は、ステップ570からステップ595に移行する。
【0049】
或る実施例では、ステップ570はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ570は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ570は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0050】
ステップ525においてその時アクティブなI/Oコマンドすべてを完了した後、ステップ505のホスト・コンピュータから新たなI/Oコマンドが受け取られていないということを本方法が判断する場合、本方法はステップ560からステップ575に移行する。ステップ575では、第1のLCUにおいて事前に構成された論理的ボリュームのボリューム特性が修正され、および/または、第1のLCUにおいて事前に構成されなかった論理的ボリュームのボリューム特性が修正される。
【0051】
或る実施例では、ステップ575はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ575は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ575は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0052】
ステップ580において、本方法は新たなLCU、即ち、第2のLCUを構成する。第2のLCUは第1のLCUのすべてまたは一部分を含み、第2のLCUは第1のLCUとは異なる。或る実施例では、第2のLCUは、第1のLCUが含む論理的ボリュームよりもずっと多くの論理的なボリュームを含む。或る実施例では、第2のLCUは、第1のLCUが含む論理的なボリュームよりもずっと少ない論理的ボリュームを含む。
【0053】
或る実施例では、ステップ580は、ステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ580は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ580は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0054】
ステップ585において、本方法は、ステップ580の第2のLCUに対する第2のステータスを設定する。或る実施例では、ステップ585はステップ505のホスト・コンピュータに状態変更割込みを発生する操作を含む。なお、状態変更割込みは、第2のLCUがステップ515の1個または複数個の論理的制御パスを介して得られるということをホスト・コンピュータにアラートする。或る実施例では、ステップ585はステップ505のストレージ・コントローラによって遂行される。或る実施例では、ステップ585は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時にHMCによって遂行される。或る実施例では、ステップ585は、ステップ505のストレージ・コントローラとの通信時に記憶システム管理者がHMCを使用することによって遂行される。
【0055】
ステップ590において、ステップ505のホスト・コンピュータが、ステップ515の1個または複数個の論理的パスを有効にする。ステップ595において、本方法は、ステップ570で事前にエンキューされたすべてのI/Oコマンドを処理する。ステップ600において、ステップ505のデータ・ストレージ・コントローラは、ステップ515の1個または複数個の論理的制御パスを使用して、ステップ505のホスト・コンピュータからステップ580の新たなLCUを指定する新たなI/Oコマンドを受領する。
【0056】
或る実施例では、図7および図8に示された個々のステップは、結合、削除、または再順序付けされることも可能である。
【0057】
或る実施例では、命令246(図2および図3)のような命令がコンピュータ可読媒体230(図2および図3)に常駐し、および/または、命令332のような命令がコンピュータ可読媒体330に常駐する。それらの命令は、プロセッサ250(図1および図2)および/またはプロセッサ320(図1および図2)によって実行され、図7および図8に示されたステップ510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595,および/または、600のうちの1個または複数個を遂行する。
【0058】
別の実施例では、本発明は任意の他のコンピュータ・プログラム製品に存在する命令を含む。それらの命令は、コンピュータによって実行される場合、外部のコンピュータ、内部のコンピュータ、データ記憶システム200(図2)、またはデータ・ストレージ・ライブラリ300(図3)によって実行され、図7および図8に示されたステップ510、515、520、525、530、535、540、545、550、555、560、565、570、575、580、585、590、595、および/または、600のうちの1個または複数個を遂行する。いずれの場合も、命令は、例えば、磁気的情報記憶媒体、光学的情報記憶媒体、電子的情報記憶媒体等を含むコンピュータ可読媒体においてコード化され得る。例えば、本明細書における「電子的記憶媒体」は、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュPROM、CompactFlash、スマートメディア等のような且つそれらに限定することのない1個または複数個のデバイスを意味する。
【0059】
本発明の好適な実施例を詳細に説明したが、「特許請求の範囲」に示された本発明の技術的範囲から逸脱することなく、それらの実施例に対する修正およびアダプテーションを当業者が想起し得るということは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト・コンピュータと、第1の論理制御装置(LCU)を含むストレージ・コントローラと、前記ホスト・コンピュータおよび前記第1のLCUとの通信における論理的通信パスとを含むデータ処理システムにおいて、前記論理的通信パスを維持するための方法であって、
前記第1のLCUを削除するステップと、
前記第1のLCUに対するステータスをセットするステップと、
前記第1のLCUのすべてまたは一部分を含み、前記第1のLCUとは異なる第2のLCUを構成するステップと、
前記第2のLCUに対する第2のステータスを設定するステップと、
を含み、
前記論理的通信パスは、前記削除するステップ、前記セットするステップ、前記構成するステップ、および前記設定するステップの間維持され、
前記論理的通信パスは、前記第2のLCUと通信を行う、
方法。
【請求項2】
前記データ処理システムは前記ストレージ・コントローラとの通信におけるハードウェア管理コンソールを更に含み、
前記方法は、前記第1のLCUを削除するためのコマンドを前記ハードウェア管理コンソールから受け取るステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストレージ・コントローラは複数個のI/Oコマンドを記憶するためのI/Oキューを更に含み、前記方法は、前記削除するステップの前に、いずれのエンキューされたI/Oコマンドも処理するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記削除するステップの後、前記ホスト・コンピュータから新たなI/Oコマンドを受け取るステップと、
前記新たなI/Oコマンドをエンキューするステップと、
前記構成するステップの後、前記新たなI/Oコマンドを処理するステップと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記削除するステップの後、前記ホスト・コンピュータから新たなI/Oコマンドを受け取るステップと、
前記新たなI/Oコマンドを拒否するステップと、
前記LCUが一時的に利用不可能であることを前記ホスト・コンピュータに信号するステップと、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記構成するステップの後、前記論理的通信パスを有効化するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記設定するステップは状態変更割込みを発生するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の論理的制御装置(LCU)と、ホスト・コンピュータ及び前記第1のLCUとの通信において論理的通信パスを維持するために配置されたコンピュータ可読プログラム・コードを含むコンピュータ可読媒体とを含み、前記コンピュータ可読プログラム・コードは生じるべき一連のコンピュータ可読プログラム・ステップを含み、前記ステップは請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の方法におけるステップである、ストレージ・コントローラ。
【請求項9】
コンピュータ可読媒体におけるエンコードされたコンピュータ・プログラムであって、
前記コンピュータ・プログラムは、データ処理システムにおける論理的通信パスを維持するためにコンピュータ・プロセッサによって使用可能であり、前記データ処理システムは、ホスト・コンピュータと、第1の論理的制御装置(LCU)を含むストレージ・コントローラと、前記ホスト・コンピュータ及び前記第1のLCUとの通信における論理的通信パスとを含み、前記コンピュータ・プログラムは、コンピュータによって実行されるとき、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のステップを遂行するコンピュータ可読コードを含む、コンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−503225(P2012−503225A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526456(P2011−526456)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061109
【国際公開番号】WO2010/031673
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.ETHERNET
3.COMPACTFLASH
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】