説明

データ処理装置

【課題】地図データベースの更新により不要となった学習道路データを確実に無効化することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、学習道路を特定するための情報として、学習道路の形状点座標情報と、学習道路に接続する道路の名称や属性等を示す接続道路情報と、学習道路の名称や属性等を示す学習道路情報とを生成する。そして、地図データベースが更新されると、形状点座標情報と、接続道路情報と、学習道路情報とに基づき、更新後の地図データベースに学習道路に対応する道路区間が登録されているか否かを判定し、対応する道路区間が登録されていると判定された学習道路についての形状点座標情報等を削除する(S240)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づき処理を行うデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の移動軌跡に基づき、地図データベースに登録されていない新たな道路を学習するナビゲーション装置が知られている。特許文献1に記載のナビゲーション装置は、自車両が地図データベースに登録されている道路以外の領域を走行した際の移動軌跡に基づき経路データを生成して記憶することにより、地図データベースに登録されていない新たな道路を学習する。特許文献1に記載のナビゲーション装置によれば、例えば、地図データベースに登録されていない道路が新たに建設された場合等であっても、自車両がこの道路を走行することによりこの道路についての学習がなされる。
【特許文献1】特開平6−88733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に記載されているような道路学習機能を有するナビゲーション装置が備える地図データベースが更新された場合には、地図データベースの更新前に学習された道路(以後、学習道路とも記載)に相当する道路が、更新後の地図データベースに登録されている場合がある。このような場合には、上記学習道路を特定するためのデータは不要となり、このようなデータを無効化する等の処理が必要となる。ここで、上述した道路学習機能を有するナビゲーション装置では、通常、学習道路を特定するためのデータとして、学習道路の形状点座標データや、学習道路に接続されている道路のリンクID等が用いられる。そこで、上記ナビゲーション装置は、例えば、学習道路の形状点座標データや、学習道路に接続されている道路のリンクID等に基づき、更新後の地図データベースにおいて当該学習道路に相当する道路をサーチし、更新後の地図データベースにおいて当該学習道路に相当する道路が検出された場合には、当該学習道路を特定するためのデータを無効化しても良い。
【0004】
しかしながら、更新前の地図データベースと更新後の地図データベースとでは、登録されている道路についてのリンクIDとして異なるIDが用いられている場合があり、このような場合には、学習道路に接続されている道路のリンクIDに基づき、更新後の地図データベースにおいて学習道路に相当する道路をサーチすることはできない。また、学習道路の形状点座標データのみに基づき、更新後の地図データベースにおいて当該学習道路に相当する道路をサーチしても良い。しかし、道路の形状点座標とは、所定の幅を有する道路を一本の線で近似的に表現する情報であるため、学習道路の形状点座標と、更新後の地図データベースにおける当該学習道路に相当する道路の形状点座標とが一致するとは限らない。ここで、例えば、学習道路の形状点座標が示す地点の付近に存在する道路を、当該学習道路に相当する道路とみなしても良いが、形状点座標が示す地点の付近に複数の道路が存在する場合等には、当該学習道路に相当する道路を精度良く検出することが困難となる。
【0005】
本願発明は上記課題を解決するためになされたものであり、上述したナビゲーション装置のように、地図データベース等といった地図データに基づき種々の処理を行うデータ処理装置に関するものである。本願発明は、地図データの更新により不要となった学習道路データを確実に無効化することができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載のデータ処理装置は、地図データベースにアクセスするアクセス手段を備える。また、このデータ処理装置は、アクセス手段によりアクセスされる地図データベースに登録されていない道路区間である未登録道路区間を特定するための情報であって、当該未登録道路区間についての形状点座標情報と、当該未登録道路区間に関する情報、または、当該未登録道路区間付近の地物に関する情報を、アクセス手段によるアクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す付加情報とを含む情報である未登録道路区間情報を生成する道路区間情報生成手段を備える。
【0007】
尚、地図データベースとは、道路区間を特定するための道路データや、施設データや、地形データ等といった地図データが蓄積されたものであっても良く、必ずしも地図データベース自身が、これらの地図データを管理するための機能を有する必要はない。また、アクセス手段は、例えば、外部に設けられた記憶装置に記憶されている地図データベースにアクセスしても良いし、無線通信により公衆回線網に接続し、公衆回線網を介して外部サーバに記憶されている地図データベースにアクセスしても良い。
【0008】
また、アクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDとは、例えば、登録されている地物を識別するための情報として、地図データベースの版数や製造元毎に固有に用いられる情報であっても良い。具体的には、例えば、地図データベースに登録されている道路区間を特定するためのリンクIDや、地図データベースに登録されている施設等を特定するためのIDのことであっても良い。
【0009】
また、未登録道路区間とは、例えば、データ処理装置により学習された道路区間、つまり、上述した学習道路であっても良く、道路区間情報生成手段は、例えば、自装置が未登録道路区間を移動した際の移動軌跡等に基づき、この未登録道路区間についての未登録道路区間情報を生成しても良い。また、未登録道路区間に関する情報とは、例えば、未登録道路区間、または、未登録道路区間を一部に含む道路の名称であっても良いし、未登録道路区間の種類等といった属性を示す情報であっても良い。また、未登録道路区間付近の地物に関する情報とは、例えば、未登録道路区間に接続している他の道路を示す情報であっても良いし、未登録道路区間に接している施設を示す情報であっても良い。
【0010】
また、このデータ処理装置は、アクセス手段によりアクセスされる地図データベースが更新された場合に、アクセス手段を介して更新後の地図データベースにアクセスし、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から、道路区間情報生成手段により生成された未登録道路区間情報により特定される未登録道路区間に対応する道路区間を特定する道路区間特定手段を備える。また、このデータ処理装置は、道路区間情報生成手段により生成された未登録道路区間情報のうち、道路区間特定手段により、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から対応する道路区間が特定された未登録道路区間を特定するための未登録道路区間情報を無効化する無効化手段を備える。そして、道路区間特定手段は、未登録道路区間情報に含まれている形状点座標情報に基づき、更新後の地図データベースに登録されている道路区間のうち、当該形状点座標情報により特定される道路区間の付近の道路区間を特定し、特定した道路区間の中から、当該未登録道路区間情報に含まれている付加情報に基づき、当該未登録道路区間情報により特定される未登録道路区間に対応する道路区間を特定する。
【0011】
このように、請求項1に記載のデータ処理装置は、学習道路等である未登録道路区間を特定するための未登録道路区間情報として形状点座標情報と付加情報とを用いており、地図データベースにおいて固有に用いられるIDであるリンクID等を用いていない。このため、アクセス対象となる地図データベースにて用いられるリンクID等に関係なく、つまり、アクセス対象となる地図データベースの版数や製造元等に関係なく、地図データベースに登録されている道路区間の中から、未登録道路区間に対応する道路区間を特定することができる。したがって、更新後の地図データベースの版数や製造元等に関らず、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から、未登録道路区間に対応する道路区間を確実に特定し、対応する道路区間が特定された未登録道路区間についての未登録道路区間情報を無効化することができる。したがって、請求項1に記載のデータ処理装置は、地図データの更新により不要となった学習道路データを確実に無効化することができる。
【0012】
ここで、請求項1に記載のデータ処理装置の構成を、例えば、VICS対応のナビゲーション装置等に適用しても良い。より詳しく説明すると、例えば、VICS対応のナビゲーション装置は、電波ビーコンや光ビーコン等を介して情報センタにて生成された渋滞情報等を取得し、渋滞が発生している道路区間等をユーザに報知する。ここで、この渋滞情報とは、情報センタが備える地図データベースに対応するリンクIDにより渋滞が発生している道路区間を示す情報である。このため、上記ナビゲーション装置は、情報センタが備える地図データベースに対応するリンクIDと、自装置が備える地図データベースに対応するリンクIDとの対応関係を特定するための変換用テーブル等を備えている。そして、渋滞情報を受信した上記ナビゲーション装置は、上記変換テーブルにより渋滞情報に含まれているリンクIDを自装置が備える地図データベースに対応するリンクIDに変換し、渋滞情報が示す道路区間を特定する。このため、地図データベースのみが更新され、上記変換テーブルが更新されなかった場合には、上記ナビゲーション装置は、情報センタから取得した渋滞情報に基づき道路区間を特定できなくなってしまうおそれがある。
【0013】
そこで、請求項2に記載されているように、上述したVICS対応のナビゲーション装置等のデータ処理装置は、地図データベースにアクセスするアクセス手段と、アクセス手段によりアクセスされる地図データベースに登録されているいずれかの道路区間を示す情報であって、当該道路区間上の地点、または、当該道路区間付近の地点の座標情報と、当該道路区間に関する情報、または、当該道路区間付近の地物に関する情報を、アクセス手段によるアクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す付加情報とを含む情報である登録済道路区間情報を取得する道路区間情報取得手段とを備える。また、このデータ処理装置は、アクセス手段により地図データベースにアクセスし、道路区間情報取得手段により取得された登録済道路区間情報に含まれている座標情報に基づき、当該地図データベースに登録されている道路区間のうち、当該座標情報が示す地点、または、この地点付近の道路区間を特定し、特定した道路区間の中から、当該登録済道路区間情報に含まれている付加情報に基づき、当該登録済道路区間情報が示す道路区間を特定する道路区間特定手段を備える。
【0014】
このように、道路区間を特定するための登録済道路区間情報として、リンクID等を用いる替わりに道路区間についての座標情報と付加情報とを用いることにより、地図データベースや上述した変換テーブルについての更新の有無に関わらず、取得した登録済道路区間情報が示す道路区間を精度良く特定することができる。
【0015】
また、データ処理装置は、登録済道路区間情報に含まれている座標情報とは、当該登録済道路区間情報が示す道路区間の形状点座標であっても良い。
すなわち、請求項3に記載されているように、道路区間情報取得手段は、アクセス手段によりアクセスされる地図データベースに登録されているいずれかの道路区間を示す情報であって、当該道路区間上の形状点座標情報と、当該道路区間に関する情報、または、当該道路区間付近の地物に関する情報を、アクセス手段によるアクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す付加情報とを含む情報である登録済道路区間情報を取得しても良い。また、道路区間特定手段は、アクセス手段により地図データベースにアクセスし、道路区間情報取得手段により取得された登録済道路区間情報に含まれている形状点座標情報に基づき、当該地図データベースに登録されている道路区間のうち、当該形状点座標情報により特定される道路区間の付近の道路区間を特定し、特定した道路区間の中から、当該登録済道路区間情報に含まれている付加情報に基づき、当該登録済道路区間情報が示す道路区間を特定しても良い。
【0016】
こうすることにより、地図データベースに登録されている道路区間の中から、登録済道路区間情報が示す道路区間をより精度良く特定することができる。
また、付加情報とは、具体的には、次のような情報であっても良い。
【0017】
すなわち、請求項4に記載されているように、道路区間情報に含まれている付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間に接続されている道路の名称を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間に接続されている道路の名称を示す情報であっても良い。
【0018】
また、請求項5に記載されているように、道路区間情報に含まれている付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間に接続されている道路の属性を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間に接続されている道路の属性を示す情報であっても良い。
【0019】
このように、付加情報として道路区間に接続されている道路についての情報を用いることにより、座標情報に基づき特定された道路区間の中から、道路区間情報に対応する道路区間を精度良く特定することができる。
【0020】
また、請求項6に記載されているように、道路区間情報に含まれている付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間を含む道路の名称を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間を含む道路の名称を示す情報であっても良い。
【0021】
また、請求項7に記載されているように、道路区間情報に含まれている付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間の属性を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間の属性を示す情報であっても良い。
【0022】
こうすることにより、座標情報に基づき特定された道路区間の中から、道路区間情報に対応する道路区間を精度良く特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0024】
[構成の説明]
図1には、本実施形態におけるナビゲーション装置10の構成を示すブロック図が記載されている。ナビゲーション装置10は、操作部11、表示部12、音声出力部13、記憶部14、データ入力器15、制御部16、位置検出器17、車内LAN通信部18、及び外部通信機19から構成されている。
【0025】
操作部11は、ユーザからの各種指示を受け付ける部位であり、具体的にはメカニカルなキースイッチや、タッチスイッチ等から構成される。
表示部12は、各種表示を行う部位であり、具体的にはLCDや有機EL等から構成される。
【0026】
音声出力部13は、制御部16から入力された信号に基づき音声を出力する部位である。
記憶部14は、記憶保持動作が不要なデバイス(例えば、HDD)から構成され、各種情報を記憶することができる。
【0027】
データ入力器15は、経路案内等を行う際に用いられる地図データベースが記憶されている記憶媒体にアクセスし、この地図データベースを構成する道路データや施設データや地形データ等といった各種データを入力するための装置である。この記憶媒体としては、そのデータ量が膨大であるため、DVD−ROMやHDDを用いるのが一般的である。
【0028】
制御部16は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらを接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。制御部16は、ROMに記憶されているプログラムや、RAMにロードされたプログラムに従いナビゲーション装置10の各部位を制御する。
【0029】
位置検出器17は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの信号を、図示しないGPSアンテナを介して受信して車両の位置、方位、速度等を検出するGPS受信器17aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ17bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出する距離センサ17cとを備えている。そして、これらは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。
【0030】
車内LAN通信部18は、図示しない車内LANを介して種々の情報の送受信を行う部位である。
外部通信機19は、路側に設置された光ビーコンや電波ビーコン等を介してVICSの情報センタから交通情報(事故情報や渋滞情報等)を取得する。また、FM多重放送によって送信される交通情報も取得する。
【0031】
[動作の説明]
次に、ナビゲーション装置10の動作について説明する。
(1)道路学習処理について
ナビゲーション装置10は、データ入力器15を介してアクセスされる地図データベースに登録されていない道路区間であって、過去に自車両が走行したことの無い道路区間である新規道路についての学習を行う。まず、ナビゲーション装置10が新規道路を学習する処理である道路学習処理について、図2に記載のフローチャートを用いて説明する。ナビゲーション装置10の制御部16は、自車両の走行中に定期的なタイミングで位置検出器17により自車両の現在地を特定することにより、自車両の移動軌跡を検出する。そして、新規道路を自車両が走行した際の走行軌跡に基づき、当該新規道路についての学習を行う。尚、本処理は、自車両が新規道路の走行を開始した後に、地図データベースに登録されている道路区間や、過去に学習がなされた道路区間の走行を開始した際に開始される。
【0032】
S105では、ナビゲーション装置10の制御部16は、自車両が新規道路を走行した際の走行軌跡から、周知の方法によりこの道路の形状点座標を抽出する。そして、抽出した形状点座標を示す形状点座標情報を生成する(S110)。
【0033】
そして、S115では、制御部16は、操作部11を介してユーザから、新規道路の名称や、新規道路の属性等の入力を受け付ける。新規道路の名称としては、例えば、“国道○号線”,“○×高速道路”,“○△バイパス”等が考えられる。また、新規道路の属性としては、例えば、高速道路,一般道路等といった当該道路の種別や、当該道路の道幅や、当該道路が一方通行道路であることや、当該道路が片側一車線道路あるいは片側二車線道路であること等、様々な情報が考えられる。そして、新規道路の名称等を示す学習道路情報を生成する。尚、制御部16は、本ステップにおいて、ユーザから、必ずしも新規道路の名称等の入力を受け付けなくとも良く、このような場合には、学習道路情報として空値が設定される。
【0034】
そして、S120では、制御部16は、データ入力器15を介して地図データベースにアクセスし、新規道路に接続されている道路区間(以後、接続道路とも記載)の名称や属性等を特定する。ここで、接続道路の名称や属性とは、上述した新規道路についての名称や属性と同様のものである。そして、特定した接続道路の名称等を示す接続道路情報を生成する。尚、接続道路が主要な道路ではない場合等には、地図データベースに接続道路の名称や属性等が登録されていないことが想定されるが、そのような場合には、制御部16は、接続道路情報として空値が設定される。
【0035】
そして、S125では、制御部16は、記憶部14に記憶されている学習道路特定テーブル(詳細については後述する)に対し、学習する新規道路を特定するための情報である学習道路特定情報を追加する。具体的には、学習する新規道路に学習道路IDを割り当て、学習道路ID,形状点座標情報と、学習道路情報及び接続道路情報からなる付加情報とに基づき学習道路特定情報を生成し、生成した学習道路特定情報を学習道路特定テーブルに追加する。尚、以後、学習がなされた新規道路を学習道路とも記載する。そして、本処理を終了する。
【0036】
(2)学習道路特定テーブルについて
次に、学習道路を特定するための学習道路特定テーブルについて説明する。この学習道路特定テーブルは、記憶部14に記憶されている。また、この学習道路特定テーブルは、1または2以上の学習道路特定情報から構成されており、各学習道路特定情報により、一の学習道路が特定される。図3の(a)には、学習道路特定テーブルの一例を示すリストが記載されており、このリストを構成する各レコードが学習道路特定情報に相当する。
【0037】
また、図3の(b)には、上記学習道路特定テーブルにより特定される学習道路の周辺地図が記載されている。尚、この周辺地図は、学習道路特定テーブルにより特定される学習道路についての説明のために記載したものである。この学習道路は、ナビゲーション装置10によりアクセスされる地図データベースに登録されていない道路区間であり、この学習道路の周辺地図は、この地図データベースに基づく地図とは異なるものであることを、念のため付言しておく。
【0038】
学習道路特定テーブルは、「学習道路ID」,「形状点座標情報」,「付加情報」という項目を有しており、「付加情報」は、さらに、「接続道路情報」,「学習道路情報」という項目を有している。
【0039】
「学習道路ID」とは、学習道路を識別するためのIDを示す項目である。図3の(a)に記載の学習道路特定テーブルでは、各学習道路特定情報に対し、「学習道路ID」として“A”,“B”,“C”というIDが割り当てられている。
【0040】
また、「形状点座標情報」とは、学習道路の形状点座標を示す項目である。図3の(a)に記載の学習道路特定テーブルでは、「学習道路ID」が“A”である学習道路特定情報の「形状点座標情報」は、“A1(xa1,ya1),A2(xa2,ya2),A3(xa3,ya3)”という形状点座標を示している。また、「学習道路ID」が“B”である学習道路特定情報の「形状点座標情報」は、“B1(xb1,yb1),B2(xb2,yb2),B3(xb3,yb3)”という形状点座標を示している。また、「学習道路ID」が“C”である学習道路特定情報の「形状点座標情報」は、“C1(xc1,yc1),C2(xc2,yc2)”という形状点座標を示している。
【0041】
また、「付加情報」における「接続道路情報」とは、学習道路についての接続道路の名称や属性等を示す項目である。図3の(a)に記載の学習道路特定テーブルでは、「学習道路ID」が“A”である学習道路特定情報の「接続道路情報」は、“国道○○号線,県道××号線”という接続道路の名称を示している。また、「学習道路ID」が“B”である学習道路特定情報の「接続道路情報」は、“一方通行道路,片側二車線道路”という接続道路の属性を示している。また、「学習道路ID」が“C”である学習道路特定情報の「接続道路情報」は、“空値”を示している。
【0042】
また、「付加情報」における「学習道路情報」とは、学習道路の名称や属性等を示す項目である。図3の(a)に記載の学習道路特定テーブルでは、「学習道路ID」が“A”である学習道路特定情報の「学習道路情報」は、“片側一車線道路”という学習道路の属性を示している。また、「学習道路ID」が“B”である学習道路特定情報の「学習道路情報」は、“空値”を示している。また、「学習道路ID」が“C”である学習道路特定情報の「学習道路情報」は、“△△高速道路”という学習道路の名称を示している。
【0043】
尚、図3の(a)に記載の学習道路特定テーブルにおいて、「学習道路ID」が“A”である学習道路特定情報により特定される学習道路は、図3の(b)に記載の学習道路の周辺地図におけるA学習道路に該当する。また、「学習道路ID」が“B”である学習道路特定情報により特定される学習道路は上記周辺地図におけるB学習道路に、「学習道路ID」が“C”である学習道路特定情報により特定される学習道路は上記周辺地図におけるC学習道路に、それぞれ該当する。
【0044】
(3)学習道路特定テーブル更新処理について
ところで、ナビゲーション装置10によりアクセスされる地図データベースが更新された場合には、学習道路に相当する道路区間が更新後の地図データベースに登録されている可能性がある。このような場合には、更新後の地図データベースに登録されている道路区間に相当する学習道路を特定するための学習道路特定情報を無効化する必要がある。ここでは、地図データベースの更新により不要となった学習道路特定情報を学習道路特定テーブルから削除する処理である学習道路特定テーブル更新処理について、図4に記載のフローチャートを用いて説明する。本処理は、ナビゲーション装置10によりアクセスされる地図データベースが更新された際に開始される。
【0045】
S205では、ナビゲーション装置10の制御部16は、更新後の地図データベースに、対応する道路区間の登録の有無についての判定が行われていない学習道路を判定対象として特定する。そして、この判定対象の学習道路に対応する学習道路特定情報における「形状点座標情報」により特定される道路区間を、更新後の地図データベースに基づく地図において特定する。そして、制御部16は、更新後の地図データベースに登録されている道路区間のうち、特定した道路区間から例えば30m以内の領域に存在する道路区間を特定する(S210)。尚、制御部16は、例えば、「形状点座標情報」により特定される道路区間の形状をさらに加味して道路区間を特定しても良い。また、制御部16は、例えば、単に「形状点座標情報」が示すそれぞれの地点付近に存在する道路区間を特定しても良い。
【0046】
そして、S210にて特定された道路区間の数に応じて、処理が分岐される(S215)。複数の道路区間が特定された場合、制御部16はS220に処理を移行し、一の道路区間が特定された場合、制御部16はS240に処理を移行し、道路区間が特定されなかった場合、制御部16はS245に処理を移行する。
【0047】
S220では、制御部16は、更新後の地図データベースに基づき、S210にて特定した道路区間のうち、判定対象の学習道路に対応する学習道路特定情報における「接続道路情報」が示す内容に合致する道路区間を特定する。具体的には、例えば、「接続道路情報」が接続道路の名称を示している場合であれば、S210にて特定した道路区間のうち、上記名称の道路区間に接続している道路区間を特定する。また、例えば、「接続道路情報」が接続道路の属性を示している場合であれば、S210にて特定した各道路区間についての接続道路の属性を特定し、接続道路の属性が、「接続道路情報」が示す接続道路の属性と合致する道路区間を特定する。尚、「接続道路情報」が空値を示している場合には、制御部16は、「接続道路情報」が示す内容に合致する道路区間の特定を行わず、S210にて特定した道路区間を、本ステップにて特定した道路区間とする。
【0048】
そして、S220にて特定された道路区間の数に応じて、処理が分岐される(S225)。複数の道路区間が特定された場合、制御部16はS230に処理を移行し、一の道路区間が特定された場合、制御部16はS240に処理を移行し、道路区間が特定されなかった場合、制御部16はS245に処理を移行する。
【0049】
S230では、制御部16は、更新後の地図データベースに基づき、S220にて特定した道路区間のうち、判定対象の学習道路に対応する学習道路特定情報における「学習道路情報」が示す内容に合致する道路区間を特定する。具体的には、例えば、「学習道路情報」が学習道路の名称を示している場合であれば、S220にて特定した道路区間のうち、上記名称の道路区間を特定する。また、例えば、「学習道路情報」が学習道路の属性を示している場合であれば、S220にて特定した各道路区間についての属性を特定し、「学習道路情報」が示す属性と合致する道路区間を特定する。尚、「学習道路情報」が空値を示している場合には、制御部16は、「学習道路情報」が示す内容に合致する道路区間の特定を行わず、S220にて特定した道路区間を、本ステップにて特定した道路区間とする。そして、S235に処理を移行する。
【0050】
S235では、制御部16は、S230において、判定対象の学習道路に対応する一の道路区間が特定されたか否かを判定する。そして、一の道路区間が特定された場合(S235:Yes)、S240に処理を移行し、一の道路区間が特定されなかった場合には(S235:No)、S245に処理を移行する。
【0051】
S240では、制御部16は、判定対象の学習道路に対応する学習道路特定情報を学習道路特定テーブルから削除する。尚、制御部16は、例えば、上記学習道路特定情報についての無効状態を示すフラグを設定し、この学習道路特定情報を無効化しても良い。
【0052】
そして、制御部16は、全ての学習道路に関して、学習道路に相当する道路区間が更新後の地図データベースに登録されているかの判定がなされたかをチェックする(S245)。全ての学習道路に関して上記判定が終了した場合(S245:Yes)、制御部16は、本処理を終了する。また、全ての学習道路に関して上記判定が終了していない場合(S245:No)、制御部16は、S205に処理を移行する。
【0053】
(4)道路区間指定情報について
また、ナビゲーション装置10は、外部通信機19を介してVICSの情報センタ等から送信される交通情報(事故情報や渋滞情報等)や、FM多重放送によって送信される交通情報を取得する。この交通情報には、データ入力器15を介してアクセスされる地図データベースに登録されているいずれかの道路区間を指定するための情報である道路区間指定情報が含まれており、ナビゲーション装置10は、この道路区間指定情報に基づき、事故や渋滞が発生している道路区間を特定し、渋滞や事故が発生している道路区間をユーザに報知する。ここでは、VICSの情報センタ等から取得した交通情報に含まれている道路区間指定情報について説明する。
【0054】
図5の(a)には、自車両の現在地の周辺地図が記載されている。この周辺地図は、ナビゲーション装置10によりアクセスされる地図データベースに基づくものである。また、図5の(b)には、現在地の周辺地図におけるいずれかの道路区間を指定するための道路区間指定情報から構成される道路区間指定情報リストが記載されている。この道路区間指定情報リストにおけるレコードは道路区間指定情報に相当し、各道路区間指定情報により一の道路区間が指定される。
【0055】
図5の(b)に記載されている道路区間指定情報リストについて説明する。道路区間指定情報リストは、「ID」,「座標情報」,「付加情報」という項目を有しており、「付加情報」は、さらに、「接続道路情報」,「道路区間情報」という項目を有している。
【0056】
「ID」は、道路区間指定情報を識別するためのIDを示す項目である。図5の(b)に記載の道路区間指定情報リストでは、各道路区間指定情報の「ID」として、“D”,“E”,“F”が割り当てられている。
【0057】
「座標情報」は、各道路区間指定情報により指定される道路区間上の地点、または、当該道路区間付近の地点の座標情報を示す項目である。
図5の(b)に記載の道路区間指定情報リストでは、「ID」が“D”である道路区間指定情報の「座標情報」は、“D1(xd1,yd1),D2(xd2,yd2),D3(xd3,yd3)”を示している。これらの座標は、当該道路区間指定情報により指定される道路区間についての、VICSの情報センタ等における地図データベースに基づく形状点座標を示している。
【0058】
また、「ID」が“E”である道路区間指定情報の「座標情報」は、“S(xs,ys),E(xe,ye)”を示している。これらの座標は、当該道路区間指定情報により指定される道路区間についての、VICSの情報センタ等における地図データベースに基づく始点及び終点を示している。
【0059】
また、「ID」が“F”である道路区間指定情報の「座標情報」は、“M1(xm,ym)”を示している。この座標は、当該道路区間指定情報により指定される道路区間についての、VICSの情報センタ等における地図データベースに基づく中間地点を示している。
【0060】
尚、上記道路区間指定情報リストを構成する各道路区間指定情報の「座標情報」は、道路区間の形状点座標や、始点及び終点の座標や、中間地点の座標を示しているが、例えば、道路区間の形状点や、始点及び終点や、中間地点の付近の地点の座標を示していても良い。また、形状点等に無関係に、道路区間上の地点や道路区間付近の地点の座標を示していても良い。
【0061】
「接続道路情報」は、各道路区間指定情報により指定される道路区間に接続されている道路(以後、接続道路とも記載)の名称や属性等を示す項目である。
図5の(b)に記載の道路区間指定情報リストでは、「ID」が“D”である道路区間指定情報の「接続道路情報」は、“国道○○号線,県道××号線”という、当該道路区間指定情報により指定される道路区間についての接続道路の名称を示している。
【0062】
また、「ID」が“E”である道路区間指定情報の「接続道路情報」は、“片側一車線道路,片側二車線道路”という、当該道路区間指定情報により指定される道路区間についての接続道路の属性を示している。
【0063】
また、「ID」が“F”である道路区間指定情報の「接続道路情報」は、“空値”を示している。接続道路が主要な道路でない場合等には、VICSの情報センタ等における地図データベースに名称や属性等が登録されていないことが想定されるが、このような場合には、「接続道路情報」として“空値”が設定される。
【0064】
「道路区間情報」とは、各道路区間指定情報により指定される道路区間の名称や、この道路区間の属性等を示す項目である。
図5の(b)に記載の道路区間指定情報リストでは、「ID」が“D”である道路区間指定情報の「道路区間情報」は、“一方通行道路”という道路区間の属性を示している。
【0065】
また、「ID」が“E”である道路区間指定情報の「道路区間情報」は、“空値”を示している。指定される道路区間が主要な道路でない場合等には、VICSの情報センタ等における地図データベースに名称や属性等が登録されていないことが想定されるが、このような場合には、「道路区間情報」として“空値”が設定される。
【0066】
また、「ID」が“F”である道路区間指定情報の「道路区間情報」は、“△△高速道路”という道路区間の名称を示している。
ここで、上記道路区間指定情報リストにより表わされる道路区間指定情報により指定される道路区間について説明する。
【0067】
道路区間指定情報リストにおける「ID」が“D”である道路区間指定情報は、図5の(a)に記載の現在地の周辺地図におけるD道路区間を示している。この周辺地図には、D道路区間の付近のポイントとしてD1〜3が記載されているが、これらのポイントは、当該道路区間指定情報における「座標情報」が示す“D1(xd1,yd1),D2(xd2,yd2),D3(xd3,yd3)”により特定されるポイントである。
【0068】
また、「ID」が“E”である道路区間指定情報は、現在地の周辺地図におけるE道路区間を示している。現在地の周辺地図には、E道路区間の付近のポイントとしてS及びEが記載されているが、これらのポイントは、当該道路区間指定情報における「座標情報」が示す“S(xs,ys),E(xe,ye)”により特定されるポイントである。
【0069】
また、「ID」が“F”である道路区間指定情報は、現在地の周辺地図におけるF道路区間を示している。現在地の周辺地図には、F道路区間の付近のポイントとしてMが記載されているが、このポイントは、当該道路区間指定情報における「座標情報」が示す“M(xm,ym)”により特定されるポイントである。
【0070】
尚、各道路区間指定情報の「座標情報」が示す座標は、VICSの情報センタ等が備える地図データベースに基づき特定された、指定される道路区間についての形状点座標や、始点及び終点の座標や、中間地点の座標である。このため、「座標情報」が示す座標は、ナビゲーション装置10からアクセス可能な地図データベースに基づき特定される道路区間上の座標となるとは限らないことを、念のため付言しておく。
【0071】
(5)道路区間特定処理について
次に、VICSの情報センタ等から取得した交通情報に含まれている道路区間情報により指定される道路区間を特定するための処理である道路区間特定処理について、図6に記載されているフローチャートを用いて説明する。本処理は、ナビゲーション装置10が、外部通信機19によりVICSの情報センタ等から交通情報を取得した際に開始される処理である。
【0072】
S305では、ナビゲーション装置10の制御部16は、VICSの情報センタ等から取得した道路区間指定情報のうち、道路区間の特定が行われていないいずれかの道路区間指定情報を判定対象として特定する。そして、判定対象の道路区間指定情報の「座標情報」が、当該道路区間指定情報により指定される道路区間の形状点座標を示すか否かを判定する。形状点座標を示す場合には(S305:Yes)、制御部16はS310に処理を移行し、形状点座標を示すものではない場合には(S305:No)、S320に処理を移行する。
【0073】
S310では、制御部16は、データ入力器15を介してアクセスされる地図データベースに基づく地図において、判定対象の道路区間指定情報の「座標情報」が示す形状点座標により特定される道路区間を特定する。そして、この地図データベースに登録されている道路区間のうち、特定した道路区間から例えば30m以内の領域に存在する道路区間を特定し(S315)、S325に処理を移行する。
【0074】
判定対象の道路区間指定情報の「座標情報」が、道路区間の形状点座標を示すものではない場合に移行するS320では、制御部16は、「座標情報」が示す各地点から例えば30m以内の領域に存在する道路区間を特定し、S325に処理を移行する。尚、制御部16は、「座標情報」が、例えば、当該道路区間指定情報により指定される道路区間の始点及び終点の座標を示す場合であれば、この始点付近の領域に始点が存在し、なおかつこの終点付近の領域に終点が存在する道路区間を特定しても良い。また、例えば、当該道路区間指定情報により指定される道路区間の中点の座標を示す場合であれば、この中点付近の領域に中点が存在する道路区間を特定しても良い。
【0075】
S325では、制御部16は、S315またはS320にて複数の道路区間が特定されたか否かを判定する。複数の道路区間が特定された場合には、制御部16は、S330に処理を移行する。また、一の道路区間が特定された場合には、制御部16は、この道路区間を判定対象の道路区間指定情報により指定される道路区間とし、S345に処理を移行する。また、道路区間が特定されなかった場合には、制御部16は、判定対象の道路区間指定情報により指定される道路区間が地図データベースに登録されていないものとし、S345に処理を移行する。
【0076】
S330では、制御部16は、地図データベースに基づき、S315またはS320にて特定した道路区間のうち、判定対象である道路区間指定情報の「接続道路情報」が示す内容に合致する道路区間を特定する。具体的には、例えば、「接続道路情報」が接続道路の名称を示している場合であれば、S315等にて特定した道路区間のうち、上記名称の道路に接続している道路区間を特定する。また、例えば、「接続道路情報」が接続道路の属性を示している場合であれば、S315等にて特定した各道路区間についての接続道路の属性を特定し、接続道路の属性が、「接続道路情報」が示す接続道路の属性と合致する道路区間を特定する。尚、「接続道路情報」が空値を示している場合には、制御部16は、「接続道路情報」に基づく道路区間の特定を行わず、S315等にて特定した道路区間を、本ステップで特定した道路区間とする。そして、S335に処理を移行する。
【0077】
S335では、制御部16は、S330にて複数の道路区間が特定されたか否かを判定する。複数の道路区間が特定された場合には、制御部16は、S340に処理を移行する。また、一の道路区間が特定された場合には、制御部16は、この道路区間を道路区間指定情報により指定される道路区間とし、S345に処理を移行する。また、道路区間が特定されなかった場合には、制御部16は、判定対象の道路区間指定情報により指定される道路区間が地図データベースに登録されていないものとし、S345に処理を移行する。
【0078】
S340では、制御部16は、地図データベースに基づき、S330にて特定した道路区間のうち、判定対象である道路区間指定情報の「道路区間情報」が示す内容に合致する道路区間を特定する。具体的には、例えば、「道路区間情報」が道路区間の名称を示している場合であれば、S330にて特定した道路区間のうち、上記名称の道路区間を特定する。また、例えば、「道路区間情報」が道路区間の属性を示している場合であれば、S330にて特定した各道路区間についての属性を特定し、「道路区間情報」が示す属性と合致する道路区間を特定する。尚、「道路区間情報」が空値を示している場合には、制御部16は、「道路区間情報」に基づく道路区間の特定を行わず、S330にて特定した道路区間を、本ステップで特定した道路区間とする。そして、一の道路区間が特定された場合には、制御部16は、この道路区間を道路区間指定情報により指定される道路区間とする。また、複数の道路区間が特定された場合や、道路区間が特定されなかった場合には、制御部16は、判定対象の道路区間指定情報により指定される道路区間が地図データベースに登録されていないものとする。そして、S345に処理を移行する。
【0079】
S345では、制御部16は、全ての道路区間指定情報に関して、道路区間についての特定がなされたか否かをチェックする。全ての道路区間指定情報に関して道路区間についての特定がなされた場合(S345:Yes)、制御部16は、本処理を終了する。また、全ての道路区間指定情報に関して道路区間についての特定がなされていない場合(S345:No)、制御部16は、S305に処理を移行する。
【0080】
[効果]
本実施形態のナビゲーション装置10では、学習道路を特定するための学習道路特定情報として、学習道路についての形状点座標情報と、学習道路の名称や属性等を示す学習道路情報とが用いられる。また、学習道路についての接続道路のリンクID等に替えて、この接続道路の名称や属性等を示す接続道路情報が用いられる。そして、ナビゲーション装置10からアクセスされる地図データベースが更新されると、学習道路特定情報を構成する形状点座標情報と、接続道路情報と、学習道路情報とに基づき、更新後の地図データベースに学習道路に相当する道路区間が登録されているか判定する。このとき、ナビゲーション装置10は、最初に、形状点座標情報に基づき学習道路に相当する道路区間である可能性の高い道路区間を特定し(S210)、さらに、これらの道路区間の中から、接続道路情報及び学習道路情報に基づき、学習道路に相当する道路区間を特定する(S220,S230)。そして、更新後の地図データベースに対応する道路区間が登録されている学習道路についての学習道路特定情報を削除する。
【0081】
こうすることにより、ナビゲーション装置10は、学習道路についての接続道路のリンクID等を用いることなく、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から、学習道路に相当する道路区間を精度良く特定することができる。このため、ナビゲーション装置10は、例えば、更新前の地図データベースと更新後の地図データベースにおいて異なるリンクIDが用いられている場合であっても、地図データベースの更新により不要となった学習道路特定情報を精度良く特定し、不要となった学習道路特定情報を確実に削除することができるのである。したがって、ナビゲーション装置10は、地図データベースの更新により不要となった学習道路データを確実に無効化することができる。
【0082】
また、ナビゲーション装置10は、VICSの情報センタ等から交通情報を取得するが、この交通情報には、リンクIDを用いることなく、地図データベースに登録されているいずれかの道路区間を指定する道路区間指定情報が含まれている。この道路区間指定情報は、指定される道路区間の形状点座標や始点及び終点等を示す座標情報と、指定される接続道路の名称や属性等を示す接続道路情報と、指定される道路区間の名称や属性等を示す道路区間情報とを有している。そして、交通情報を取得したナビゲーション装置10は、地図データベースに登録されている道路区間の中から、交通情報に含まれている道路区間指定情報により指定される道路区間を特定する。このとき、ナビゲーション装置10は、最初に、座標情報に基づき、道路区間指定情報により指定される道路区間である可能性の高い道路区間を特定し(S315,S320)、さらに、特定した道路区間の中から、接続道路情報及び道路区間情報に基づき、道路区間指定情報により指定される道路区間を特定する(S330,S340)。
【0083】
こうすることにより、ナビゲーション装置10は、リンクID等を用いることなく、地図データベースに登録されている道路区間の中から、道路区間指定情報により指定される道路区間を精度良く特定することができる。このため、ナビゲーション装置10は、地図データベースにてどのようなリンクIDが用いられているかに関らず、道路区間指定情報により指定される道路区間を精度良く特定することができる。したがって、例えば、地図データベースが、異なるリンクIDが用いられている地図データベースに更新された場合であっても、取得した道路区間指定情報により指定される道路区間を精度良く特定することができる。
【0084】
[他の実施形態]
(1)本実施形態のナビゲーション装置10は、道路を学習する際に、この道路についての接続道路の名称や属性等を特定し、特定した接続道路の名称等を示す接続道路情報等を生成している。そして、地図データベースが更新されると、接続道路情報等に基づき、学習道路に相当する道路区間が更新後の地図データベースに登録されているか否かを判定している。しかし、ナビゲーション装置10は、接続道路情報に替えて、学習する道路の付近に存在する商業施設や娯楽施設等といった施設に関する情報を生成しても良い。そして、地図データベースが更新された際に、この施設に関する情報等に基づき、更新後の地図データベースに学習道路に相当する道路区間が登録されているか否かを判定しても良い。
【0085】
また、ナビゲーション装置10は、VICSの情報センタ等から、道路区間指定情報を含む交通情報を取得するが、この道路区間指定情報には、当該道路区間指定情報により指定される道路区間についての接続道路の名称等を示す接続道路情報等が含まれている。そして、ナビゲーション装置10は、この接続道路情報等に基づき、地図データベースに登録されている道路区間の中から、道路区間指定情報により指定される道路区間を特定する。しかし、道路区間指定情報には、接続道路情報に替えて、指定される道路区間の付近に存在する施設に関する情報が含まれていても良い。そして、ナビゲーション装置10は、この施設に関する情報等に基づき、道路区間指定情報により指定される道路区間を特定しても良い。
【0086】
このような構成を有する場合であっても、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から学習道路に相当する道路区間を精度良く特定することや、地図データベースに登録されている道路区間の中から道路区間指定情報により指定される道路区間を精度良く特定することができる。
【0087】
(2)本実施形態において説明したナビゲーション装置10は、車載用である。しかし、本願発明は、車載用ナビゲーション装置に対してのみ適用可能なものではなく、例えば、外部サーバが備える地図データベースにアクセスし、この地図データベースから取得される各種データに基づくナビゲーション機能を有する携帯電話等の携帯装置が、本実施形態におけるナビゲーション装置10と同様の構成を有していても良い。このような構成を有することにより、上記携帯装置は、上記地図データベースの更新により不要となった学習道路データを確実に無効化することや、上記地図データベースにてどのようなリンクIDが用いられているかに関らず、外部から取得した情報により指定される道路区間を精度良く特定することができる。
【0088】
[特許請求の範囲との対応]
上記実施形態の説明で用いた用語と、特許請求の範囲の記載に用いた用語との対応を示す。
【0089】
ナビゲーション装置10がデータ処理装置に相当する。また、制御部16が、道路区間情報生成手段,道路区間特定手段,無効化手段,道路区間特定手段に、データ入力器15がアクセス手段に、外部通信機19が道路区間情報取得手段にそれぞれ相当する。また、新規道路が未登録道路区間に、学習道路特定情報が未登録道路区間情報に、道路区間指定情報が登録済道路区間情報にそれぞれ相当する。
【0090】
また、データ入力器15を介してアクセスされる地図データベースにおけるリンクIDが、アクセス手段によるアクセス対象となり得るいずれかの地図データベースにおいて固有に用いられるIDに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】道路学習処理についてのフローチャートである。
【図3】学習道路特定テーブルを示す表、及び、学習道路の周辺地図である。
【図4】学習道路特定テーブル更新処理についてのフローチャートである。
【図5】現在地の周辺地図と、道路区間指定情報リストを示す表である。
【図6】道路区間特定処理についてのフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
10…ナビゲーション装置、11…操作部、12…表示部、13…音声出力部、14…記憶部、15…データ入力器、16…制御部、17…位置検出器、17a…GPS受信器、17b…ジャイロスコープ、17c…距離センサ、18…車内LAN通信部、19…外部通信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データベースにアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段によりアクセスされる地図データベースに登録されていない道路区間である未登録道路区間を特定するための情報であって、当該未登録道路区間についての形状点座標情報と、当該未登録道路区間に関する情報、または、当該未登録道路区間付近の地物に関する情報を、前記アクセス手段によるアクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す付加情報とを含む情報である未登録道路区間情報を生成する道路区間情報生成手段と、
前記アクセス手段によりアクセスされる地図データベースが更新された場合に、前記アクセス手段を介して更新後の地図データベースにアクセスし、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から、前記道路区間情報生成手段により生成された前記未登録道路区間情報により特定される前記未登録道路区間に対応する道路区間を特定する道路区間特定手段と、
前記道路区間情報生成手段により生成された前記未登録道路区間情報のうち、前記道路区間特定手段により、更新後の地図データベースに登録されている道路区間の中から対応する道路区間が特定された前記未登録道路区間を特定するための前記未登録道路区間情報を無効化する無効化手段と、
を備えるデータ処理装置であって、
前記道路区間特定手段は、前記未登録道路区間情報に含まれている前記形状点座標情報に基づき、更新後の地図データベースに登録されている道路区間のうち、当該形状点座標情報により特定される道路区間の付近の道路区間を特定し、特定した道路区間の中から、当該未登録道路区間情報に含まれている前記付加情報に基づき、当該未登録道路区間情報により特定される前記未登録道路区間に対応する道路区間を特定すること、
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
地図データベースにアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段によりアクセスされる地図データベースに登録されているいずれかの道路区間を示す情報であって、当該道路区間上の地点、または、当該道路区間付近の地点の座標情報と、当該道路区間に関する情報、または、当該道路区間付近の地物に関する情報を、前記アクセス手段によるアクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す付加情報とを含む情報である登録済道路区間情報を取得する道路区間情報取得手段と、
前記アクセス手段により地図データベースにアクセスし、前記道路区間情報取得手段により取得された前記登録済道路区間情報に含まれている前記座標情報に基づき、当該地図データベースに登録されている道路区間のうち、当該座標情報が示す地点、または、この地点付近の道路区間を特定し、特定した道路区間の中から、当該登録済道路区間情報に含まれている前記付加情報に基づき、当該登録済道路区間情報が示す道路区間を特定する道路区間特定手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
地図データベースにアクセスするアクセス手段と、
前記アクセス手段によりアクセスされる地図データベースに登録されているいずれかの道路区間を示す情報であって、当該道路区間上の形状点座標情報と、当該道路区間に関する情報、または、当該道路区間付近の地物に関する情報を、前記アクセス手段によるアクセス対象となり得る所定の地図データベースにおいて固有に用いられるIDを用いることなく示す付加情報とを含む情報である登録済道路区間情報を取得する道路区間情報取得手段と、
前記アクセス手段により地図データベースにアクセスし、前記道路区間情報取得手段により取得された前記登録済道路区間情報に含まれている前記形状点座標情報に基づき、当該地図データベースに登録されている道路区間のうち、当該形状点座標情報により特定される道路区間の付近の道路区間を特定し、特定した道路区間の中から、当該登録済道路区間情報に含まれている前記付加情報に基づき、当該登録済道路区間情報が示す道路区間を特定する道路区間特定手段と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のデータ処理装置において、
前記道路区間情報に含まれている前記付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間に接続されている道路の名称を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間に接続されている道路の名称を示す情報であること、
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のデータ処理装置において、
前記道路区間情報に含まれている前記付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間に接続されている道路の属性を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間に接続されている道路の属性を示す情報であること、
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のデータ処理装置において、
前記道路区間情報に含まれている前記付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間を含む道路の名称を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間を含む道路の名称を示す情報であること、
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のデータ処理装置において、
前記道路区間情報に含まれている前記付加情報とは、当該道路区間情報により特定される道路区間の属性を示す情報、または、当該道路区間情報が示す道路区間の属性を示す情報であること、
を特徴とするデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−107742(P2010−107742A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279821(P2008−279821)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】