説明

データ復号装置

【課題】 記録媒体から読み出した信号を2値化して得たチャネルビットデータ中に、同一シンボルの最小連続長,最大連続長の条件を満足しない箇所がある場合は、チャネルビットデータに補正を施すことで、ビットエラーレートを改善し、また、スキューマージンを確保する。
【解決手段】チャネルビットの2値レベル判定時のRF信号7aのレベルをRF信号レベル記憶部20に一時記憶する。チャネルビットデータ列中の同一シンボルの最小連続長,最大連続長の条件を満足しない箇所を、(d’−2)検出部26,(k’+2)検出部27で検出する。RF信号レベル記憶部20に記憶されている2値レベル判定時のRF信号のレベルに基づいて補正ビット位置指定信号を出力する補正ビット位置検出部18,19と、補正ビット位置指定信号に基づいて指定されたビットの位置の論理レベルを反転させるビットデータ反転補正部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RLL(Run Length Limited)符号を用いて情報を記録した記録媒体から読み出した再生RF信号を、少なくとも1つのコンパレートレベルに基づいて復号して、チャネルビットデータを出力するデータ復号装置に係り、特にチャネルビットデータ中に同一シンボルの最小連続長,最大連続長の条件を満足しない箇所がある場合は、レベル判定を行なった際の再生RF信号レベルに基づいてビットエラーである確率の高いビットを選定し、選定したビットを補正して、同一シンボルの最小連続長,最大連続長の条件を満足するチャネルビットデータを出力するようにしたデータ復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データを伝送したり、また、例えば磁気ディスクや光ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体にデータを記録する際に、伝送や記録に適するようにデータの変調が行なわれる。このような変調の一つとしてブロック符号が知られている。このブロック符号は、データ列をm×iビットからなる単位(以下データ語という)にブロック化し、このデータ語を適当な符号則に従ってn×iビットからなる符号語に変換するものである。そしてi=1のときには固定長符号となり、またiが複数個選べるとき、すなわちiが2以上で最大のiであるimax=rで変換したときには可変長符号となる。このブロック符号化された符号は可変長符号(d,k;m,n;r)と表す。ここでiは拘束長という。rは最大拘束長である。また、d及びkは符号系列内の連続する”1”の間に入る”0”の最小連続個数及び”0”の最大連続個数である。
【0003】
具体例としてコンパクトディスク(CD)システムでの変調方式を説明する。コンパクトディスクシステムでは、EFM(Eight to Fourteen Modulation)が用いられている。8ビットのデータ語を14ビットの符号語(チャネルビット)へパターン変換した後に、EFM変調後の直流成分を低減させるための3ビットのマージンビットを付加し、ディスク上にNRZIで記録されている。論理レベル”0”の最小連続個数は2、論理レベル”0”の最大連続個数は10の条件を満足するように、8ビットから14ビットへの変換、ならびに、マージンビットの付加がなされる。したがって、この変調方式のパラメータは、(2,10;8,17;1)である。チャネルビット列(記録波形列)のビット間隔をTとすると、最小反転間隔Tminは、3(=2+1)Tである。また、最大反転間隔Tmaxは、11(=10+1)Tである。さらに、検出窓幅Twは、(m/n)×Tで表わされ、その値は0.47(=8/17)Tである。
【0004】
また、NRZI変調後の同一シンボルの最小連続長d’はd’=d+1=2+1=3であり、同一シンボルの最大連続長k’はk’=k+1=10+1=11である。
【0005】
上記コンパクトディスクシステムにおいて、光ディスク上にピットを線速方向に縮小すれば記録密度を高くすることができる。この場合、最小反転間隔Tminに対応した最小ピット長が短くなる。この最小ピットがレーザービームのスポットサイズよりも小さくなりすぎると、ピットの検出が困難になり、エラー発生の原因となる。
【0006】
さらに、ディスクの再生において、ディスクの再生面に対してスキューが加わるとエラーレートが悪化する。ディスクのスキューは、ディスクと光軸の傾きが進行方向に垂直な面をタンジェンシャル(tangential)方向と、水平な面をラジアル(radial)方向に分けられる。このうちタンジェンシャル方向については、比較的早めにエラーレートが悪化する。これらはシステムの設計に当り、マージンの減少となる。
【0007】
また、同一シンボルの連続の長さの誤りの分布を、スキューのそれぞれの方向に対して調べたところ、タンジェンシャル方向のスキューに対するエラーは、同一シンボルの連続長が短い場合に主に発生している。すなわち、Tmin(d’)の長さをTmin−1(d’−1)の長さに復号したために、エラーレートが悪化したことがわかった。上記のEFM変調方式においては、タンジェンシャル方向にスキューが発生した場合は、記録波形列のビット間隔をTとすると、最小反転間隔Tminである3Tが2Tと復号されることによるエラーの発生が多いことがわかった。
【0008】
また、このようなエラーは、ラジアル方向のスキュー、焦点ずれ等の摂動によってもある程度起こることがわかった。さらに、スキューや焦点ずれなどの摂動がはなはだしく大きい場合には、最小反転間隔Tminである3Tが1Tと復号されることによるエラーも発生することがわかった。
【0009】
一方、光ディスクにおいては、その製造においてディスクのアシンメトリのマージンがある程度許されており、センターレベルに対して再生波形が上下非対象になる場合も考慮する必要がある。
【0010】
従来、エラーレートの悪化に対する信号処理による補正の方法としては、ビタビ復号法があった。ビタビ復号法は、符号誤りを小さくして幾何学的距離の最も短い道を探索する最尤復号法の一つで、可能性のない道を捨てることにより、確からしい値の探索を簡略化して復号する方法である。さらに、ビタビ復号法は、その内部に最小反転間隔Tminを補償するアルゴリズムを付加することができる。
【0011】
しかし、ビタビ復号法は、その回路が複雑でハードウエアの規模が大きくなるという欠点を有している。また、ビタビ復号法は、アシンメトリを取り除く必要があり、光ディスクのようなアシンメトリの許容される系では、アシンメトリに対する最適化が必要となり、回路がさらに複雑になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のように、例えば光ディスク等の記録媒体においては、スキューマージンの確保が困難である場合が発生し得る。特に、タンジェンシャル方向に対してスキューマージンは、少なくなる。
【0013】
また、例えば高密度化された光ディスク等の記録媒体においては、最小反転間隔Tminの安定した再生が困難になってくるため、エラーレートが低下する。
【0014】
本発明はこのような課題を解決するためなされたもので、記録媒体から読み出した信号を2値化して得たチャネルビットデータ中に、同一シンボルの最小連続長,最大連続長の条件を満足しない箇所がある場合は、チャネルビットデータに補正を施して、同一シンボルの最小連続長,最大連続長の条件を満足するチャネルビットデータを出力することで、ビットエラーレートを改善し、また、スキューマージンを確保できるようにしたデータ復号装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置であって、同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータを検出する(d’−2)検出部と、上記(d’−2)検出部により検出された同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータの補正位置を指定する補正ビット位置指定信号を出力する補正ビット位置検出部と、上記(d’−2)検出部により検出された同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータを同一シンボルの連続長がd’となるように上記補正ビット位置検出部による補正ビット位置指定信号に基づいて補正処理を行なうデータ補正部とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置であって、逆NRZI変調した後の、”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータを検出する(d−2)検出部と、上記(d−2)検出部により検出された”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータの補正位置を指定する補正ビット位置指定信号を出力する補正ビット位置検出部と、上記(d−2)検出部により検出された”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータを”0“の連続長がdとなるように上記補正ビット位置検出部による補正ビット位置指定信号に基づいて補正処理を行なうデータ補正部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置において、同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータを検出する(d’−2)検出部により検出された同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータに対し、補正ビット位置検出部による補正ビット位置指定信号に基づいて、データ補正部において同一シンボルの連続長がd’となるように補正処理を行なうことによって、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0018】
また、本発明では、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置において、逆NRZI変調した後の、”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータを検出する(d−2)検出部により検出された”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータに対し、補正ビット位置検出部による補正ビット位置指定信号に基づいて、データ補正部において”0“の連続長がdとなるように補正処理を行なうことによって、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0019】
本発明に係るデータ復号装置を用いることで、スキューに対するマージン、ならびに、デフォーカスに対するマージンを増加させることができる。さらに、本発明に係るデータ復号装置は、線記録密度の向上に伴う最小反転間隔Tmin及び最大反転間隔Tmaxの読み取りエラーの低減にも有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。なお、記録媒体として光ディスクを用い、記録符号としては、同一シンボルの最小連続長(連続個数)dが2で、かつ同一シンボルの最大連続長(連続個数)kが10である2値レベルの(d,k)記録符号を用い、この2値レベルの(d,k)記録符号がNRZI変調によって記録された光ディスクから、NRZI変調されたチャネルビットデータ列を再生する装置を代表例として、発明の実施の形態を説明する。ここで、(d,k)記録符号は、エッジを表す符号となり、NRZI変調後のチャンネルビット列は、ピットの形に相当するレベルを表す符号になる。また、NRZI変調後の同一シンボルの最小連続長d’はd’=d+1=2+1=3であり、同一シンボルの最大連続長k’はk’=k+1=10+1=11である。
【0021】
図1は本発明に係るデータ復号装置のブロック構成図である。このデータ復号装置1は、大きく分けて入力信号処理部2とデータ復号処理部3とからなる。
【0022】
入力信号処理部2は、光ディスク4を回転駆動するためのスピンドルモータ5と、光ディスク4の信号記録面にレーザ光を対物レンズを通して照射するとともに、この光ディスク4からの反射光を受光して再生信号6aを出力する光ピックアップ6と、光ピックアップ6から出力された再生信号6aを増幅する前置増幅器7と、前置増幅器7から出力される再生RF信号7aをコンパレートレベル9aに基づいて波形整形して2値化したパルス信号8aを出力する波形整形器8と、波形整形器8から出力されるパルス信号8aを積分して得た直流電圧と基準電圧とを比較してコンパレートレベル9aを負帰還制御するコンパレートレベル設定部9と、波形整形器8から出力されるパルス信号8aに基づいてビットクロック10aを生成して出力するPLL方式のビットクロック生成部10とを備える。
【0023】
データ復号処理部3は、ビットクロック10aに基づいて再生RF信号7aを標本化し、標本化した再生RF信号を量子化し、量子化して得た再生RF信号レベルデータ11aを出力する再生RF信号用のA/D変換器11と、ビットクロック10aに基づいてコンパレートレベル9aを標本化し、標本化したコンパレートレベルを量子化し、量子化したコンパレートレベルデータ12aを出力するコンパレータレベル用のA/D変換器12と、再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとを比較して、再生RF信号レベルがコンパレートレベル以上の場合には論理レベル”1”のチャネルビットデータ(2値化信号)13aを、再生RF信号レベルがコンパレートレベル未満の場合には論理レベル”0”のチャネルビットデータ(2値化信号)13aを出力するコンパレート部13と、再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとを入力とし、再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値を演算して、レベル差データ14aを出力するレベル差演算部14と、ビットデータ反転補正部15と、(d’−1)検出部16と、(k’+1)検出部17と、最小連続長補正ビット位置検出部18と、最大連続長補正ビット位置検出部19と、再生RF信号レベル記憶部20とを備える。
【0024】
なお、コンパレートレベル9aを負帰還制御しない場合、すなわち、予め設定した固定のコンパレートレベルで波形整形ならびにビットデータの2値化判定を行なう場合は、コンパレータレベル用のA/D変換器12は不要である。この場合には、コンパレータレベル用のA/D変換器12の出力12aの代わりに、予め設定した固定コンパレータレベルに対応するコンパレータレベルデータを供給する構成とする。
【0025】
また、データ復号処理部3は、再生RF信号7aをA/D変換器11でA/D変換して得た再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとをコンパレート部13で比較して、2値化信号(ビットデータ)13aを得る構成を示したが、波形整形器8から出力されるパルス信号8aをビットクロック生成部10で生成したビットクロック10aに基づいてラッチすることで2値化信号(ビットデータ)を得て、ビットクロック10aに基づいてラッチして得た2値化信号(ビットデータ)をビットデータ反転補正部15へ供給する構成としてもよい。
【0026】
さらに、レベル差演算部14は、再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値を演算してレベル差データ14aを出力し、再生RF信号レベル記憶部20は、レベル差演算部14から出力されるレベル差データ14aを記憶する構成を示したが、再生RF信号レベル記憶部20内に、再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとを時系列との対応を付けて記録しておき、補正ビット位置検出に際して、再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとの差の絶対値を求めるようにしてもよい。なお、コンパレートレベルが固定されている場合は、コンパレートレベルデータ12aを記録する必要はない。
【0027】
図2はビットデータ反転補正部15、(d’−1)検出部16、ならびに(k’+1)検出部17の回路構成図である。ビットデータ反転補正部15は、D型フリップフロップF1〜F14を14段縦続接続して構成したシフトレジスタと、第1段,第2段,第4段および第13段のD型フリップフロップD1,D2,D4,D13に一時記憶されるビットデータを反転させるための2入力アンドゲートG1〜G8を備える。
【0028】
各D型フリップフロップF1〜F14のクロック入力端子Cには、ビットクロック10aが供給される。第1段目のD型フリップフロップF1のデータ入力端子Dには、コンパレート部13から出力されたチャネルビットデータ(2値化信号)13aが供給される。各段のD型フリップフロップF1〜F13のデータ出力端子Qを次段のD型フリップフロップF2〜F14のデータ入力端子Dへ接続している。そして、第14段目のD型フリップフロップF14のデータ出力端子Qから復号したチャネルビット15aを出力する構成としている。
【0029】
第1段目,第2段目,第4段目および第13段目のD型フリップフロップD1,D2,D4,D13は、セット入力端子Sおよびリセット入力端子Rを備えたセット−リセット機能付きのD型フリップフロップを用いている。
【0030】
第1段目のD型フリップフロップF1のリセット入力端子Rには、第1のアンドゲートG1の出力信号が供給される。第1段目のD型フリップフロップF1のセット入力端子Sには、第2のアンドゲートG2の出力信号が供給される。第1のアンドゲートG1の一方の入力端子には、最小連続長補正ビット位置検出部18から出力される補正ビット位置指定信号18bが供給される。第1のアンドゲートG1の他方の入力端子は、第1段目のD型フリップフロップF1のデータ出力端子Qに接続している。第2のアンドゲートG2の一方の入力端子には、最小連続長補正ビット位置検出部18から出力される補正ビット位置指定信号18bが供給される。第2のアンドゲートG2の他方の入力端子は、第1段目のD型フリップフロップF1の反転データ出力端子NQに接続している。
【0031】
第1段目のD型フリップフロップF1のQ出力が論理レベル”1”の状態で、補正ビット位置指定信号18bが供給されると、第1のアンドゲートG1の出力が論理レベル”1”となり、この論理レベル”1”の出力が第1段目のD型フリップフロップF1のリセット入力端子Rに供給されるので、第1段目のD型フリップフロップF1はQ出力が論理レベル”0”に反転される。
【0032】
第1段目のD型フリップフロップF1のQ出力が論理レベル”0”の状態で、補正ビット位置指定信号18bが供給されると、第1のアンドゲートG2の出力が論理レベル”1”となり、この論理レベル”1”の出力が第1段目のD型フリップフロップF1のセット入力端子Sに供給されるので、第1段目のD型フリップフロップF1はQ出力が論理レベル”1”に反転される。
【0033】
第2段目,第4段目,第13段目のD型フリップフロップF2,F4,F13には、第1段目の各アンドゲートG1,G2と同様な回路を設けている。そして、最小連続長補正ビット位置検出部18から補正ビット位置指定信号18aが供給された場合は、アンドゲートG5またはアンドゲートG6を介して第4段目のD型フリップフロップF4のデータを反転させる構成としている。同様に、最大連続長補正ビット位置検出部19から補正ビット位置指定信号19bが供給された場合は、アンドゲートG3またはアンドゲートG4を介して第2段目のD型フリップフロップF2のデータを反転させる構成としている。また、最大連続長補正ビット位置検出部19から補正ビット位置指定信号19aが供給された場合は、アンドゲートG7またはアンドゲートG8を介して第13段目のD型フリップフロップF13のデータを反転させる構成としている。
【0034】
(d’−1)検出部16は、2個の4入力アンドゲートG9,G10と、各4入力アンドゲートG9,G10のそれぞれの出力が供給される2入力オアゲートG11とから構成している。一方の4入力アンドゲートG9は、第1段目から第4段目のD型フリップフロップF1〜F4のそれぞれのQ出力の論理レベルが、0,1,1,0である場合、すなわち、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、論理レベル”1”の連続長が2の場合に、論理レベル”1”のアンド出力を発生する。他方の4入力アンドゲートG10は、第1段目から第4段目のD型フリップフロップF1〜F4のそれぞれのQ出力の論理レベルが、1,0,0,1である場合、すなわち、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、論理レベル”0”の連続長が2の場合に、論理レベル”1”のアンド出力を発生する。そして、この(d’−1)検出部16は、論理レベル”1”の連続長が2の場合、ならびに、論理レベル”0”の連続長が2の場合のいずれでも、2入力オアゲートG11を介して、最小連続長d=2に対して、(d’−1)のビットデータ列を検出したことを示す(d’−1)検出信号16aを発生する構成としている。
【0035】
なお、上記(d’−1)検出部16は、2個の4入力アンドゲートG9,G10を2個のエクスクルーシブオアゲートに換え、2入力オアゲートG11を2入力アンドゲートに換えた構成とし、第1段目と第2段目のD型フリップフロップF1、F2の各Q出力の排他的論理和出力と第3段目と第4段目のD型フリップフロップF3、F4の各Q出力の排他的論理和出力との論理積出力として(d’−1)検出信号16aを得るようにすることもできる。
【0036】
ここで、この実施形態では、NRZI変調されたチャネルビットデータ列で最小連続長の条件を満足しているか否かを判別するため、(d’−1)となる箇所を論理レベル”0”または論理レベル”1”の連続長が2であることで判定する構成を示したが、NRZI変調されたチャネルビットデータを逆NRZI変調した後に、同一シンボルの連続長が1であることによって(d−1)箇所を判定するようにしてもよい。
【0037】
(k’+1)検出部17は、2個の14入力アンドゲートG12,G13と、各14入力アンドゲートG12,G13のそれぞれの出力が供給される2入力オアゲートG14とから構成している。一方の14入力アンドゲートG12は、第1段目と第14段目のD型フリップフロップF1,F14のQ出力が共に論理レベル0で、第2段目〜第13段目までのD型フリップフロップF2〜F13のQ出力が共に論理レベル1である場合、すなわち、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、論理レベル”1”の連続長が12の場合に、論理レベル”1”のアンド出力を発生する。他方の14入力アンドゲートG13は、第1段目と第14段目のD型フリップフロップF1,F14のQ出力が共に論理レベル1で、第2段目〜第13段目までのD型フリップフロップF2〜F13のQ出力が共に論理レベル0である場合、すなわち、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、論理レベル”0”の連続長が12の場合に、論理レベル”1”のアンド出力を発生する。そして、この(k’+1)検出部17は、論理レベル”1”の連続長が12の場合、ならびに、論理レベル”0”の連続長が12の場合のいずれでも、2入力オアゲートG14を介して、最大連続長k=10に対して、(k’+1)のビットデータ列を検出したことを示す(k’+1)検出信号17aを発生する構成としている。
【0038】
ここで、この実施形態では、NRZI変調されたチャネルビットデータ列で最大連続長の条件を満足しているか否かを判別するため、(k’+1)となる箇所を論理レベル”0”または論理レベル”1”の連続長が12であることで判定する構成を示したが、NRZI変調されたチャネルビットデータを逆NRZI変調した後に、同一シンボルの連続長が11であることによって(k+1)箇所を判定するようにしてもよい。
【0039】
なお、図2では、(d’−1)検出部16ならびに(k’+1)検出部17の具体的回路例として、ビットデータ反転補正部15を構成する14段のシフトレジスタを利用し、シフトレジスタの各段の出力をデコードすることで、(d’−1)ならびに(k’+1)を検出する回路構成を示したが、(d’−1)検出部16ならびに(k’+1)検出部17は、コンパレート部13から出力される2値化信号13aの論理レベルが反転する度にリセットするよう構成したカウントを用いて、同一シンボル(同一論理レベル)の連続個数を計数し、連続個数が2でリセットされた場合には、(d’−1)検出信号16aを発生させ、連続個数が12に達した場合は、(k’+1)検出信号17aを発生させるようにしてもよい。また、ビットデータ反転補正部15は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)とその読み出し書き込み制御回路を用いて構成してもよい。
【0040】
図3は再生RF信号レベル記憶部20ならびに各補正ビット位置検出部18,19の回路構成図である。再生RF信号レベル記憶部20は、データラッチ回路D1〜D14を14段縦続してビット並列入力−ビット並列出力型のシフトレジスタ構成としている。各データラッチ回路D1〜D14のクロック入力端子Cには、ビットクロック10aが供給される。第1段目のデータラッチ回路D1のデータ入力端子Dには、レベル差演算部14で演算されたレベル差データ14a(再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値)が供給される。各段のデータラッチ回路D1〜D13のデータ出力端子Qを次段のデータラッチ回路D2〜D14のデータ入力端子Dへ接続している。
【0041】
図2に示したビットデータ反転補正部15内の各D型フリップフロップF1〜F14は、14ビット分のチャネルビットデータ(2値化信号)を時系列順に一時記憶している。図3に示した再生RF信号レベル記憶部20内の各データラッチ回路D1〜D14は、各D型フリップフロップF1〜F14に格納されているチャネルビットデータ(2値化信号)の2値化判定を行なった際の再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値を時系列順に一時記憶している。データラッチ回路D1に例えば論理レベル”1”のデータが格納されている状態では、データラッチ回路D1には論理レベル”1”の判定を行なった時の再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値が格納されている。
【0042】
最小連続長補正ビット位置検出部18は、マグニチュードコンパレータM1と、2個のアンドゲートG15,G16を備える。マグニチュードコンパレータM1の一方の入力端子群M1aには、第1段目のデータラッチ回路D1のQ出力が供給される。マグニチュードコンパレータM1の他方の入力端子群M1bには、第4段目のデータラッチ回路D4のQ出力が供給される。このマグニチュードコンパレータM1は、一方の入力端子群M1aに供給されるデータと他方の入力端子群M1bに供給されるデータとの大小関係を判断し、一方の入力端子群M1aに供給されるデータの方が他方のデータよりも小さい場合には、第1判定結果M1cを出力し、他方の入力端子群M1bに供給されるデータの方が一方のデータよりも小さい場合には、第2判定結果M1dを出力するよう構成している。
【0043】
そして、第1判定結果M1cをアンドゲートG15の一方の入力端子へ供給し、アンドゲートG15の他方の入力端子に(d’−1)検出信号16aが供給されたときは、第1判定結果M1cを補正ビット位置指定信号18bとして出力する構成としている。また、第2判定結果M1dをアンドゲートG16の一方の入力端子へ供給し、アンドゲートG16の他方の入力端子に(d’−1)検出信号16aが供給されたときは、第2判定結果M1dを補正ビット位置指定信号18aとして出力する構成としている。ここで、補正ビット位置指定信号18aによって(d’−1)区間の直前のビットが補正ビットとして指定され、また、補正ビット位置指定信号18bによって(d’−1)区間の直後のビットが補正ビットとして指定される。
【0044】
(d’−1)検出部16によって、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、同一シンボルの連続長が2である区間が検出された場合、その区間の直前のビットまたは直後のビットのいずれかを補正(論理レベルを反転)すれば、最小連続長d’の条件を満足できる。図3に示した最小連続長補正ビット位置検出部18は、(d’−1)の区間の直前および直後のビットを2値化判定した際の差データ(RG信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値)を比較し、その差データの小さい方のビット位置を補正対象として指定する。
【0045】
最大連続長補正ビット位置検出部19は、マグニチュードコンパレータM2と、2個のアンドゲートG17,G18を備える。マグニチュードコンパレータM2の一方の入力端子群M2aには、第1段目のデータラッチ回路D1のQ出力が供給される。マグニチュードコンパレータM2の他方の入力端子群M2bには、第14段目のデータラッチ回路D14のQ出力が供給される。このマグニチュードコンパレータM2は、一方の入力端子群M2aに供給されるデータと他方の入力端子群M2bに供給されるデータとの大小関係を判断し、一方の入力端子群M2aに供給されるデータの方が他方のデータよりも大きい場合には、第1判定結果M2cを出力し、他方の入力端子群M2bに供給されるデータの方が一方のデータよりも大きい場合には、第2判定結果M2dを出力するよう構成している。
【0046】
そして、第1判定結果M2cをアンドゲートG17の一方の入力端子へ供給し、アンドゲートG17の他方の入力端子に(k’+1)検出信号17aが供給されたときは、第1判定結果M2cを補正ビット位置指定信号19bとして出力する構成としている。また、第2判定結果M2dをアンドゲートG18の一方の入力端子へ供給し、アンドゲートG18の他方の入力端子に(k’+1)検出信号17aが供給されたときは、第2判定結果M2dを補正ビット位置指定信号19aとして出力する構成としている。ここで、補正ビット位置指定信号19aによって(k’+1)区間の先頭のビットが補正ビットとして指定され、補正ビット位置指定信号19bによって(k’+1)区間の最終のビットが補正ビットとして指定される。
【0047】
(k’+1)検出部17によって、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、同一シンボルの連続長が12である区間が検出された場合、その区間の先頭ビットまたは最終ビットのいずれかを補正(論理レベルを反転)すれば、最大連続長k’の条件を満足できる。図3に示した最大連続長補正ビット位置検出部19は、(k’+1)の区間の直前および直後のビットを2値化判定した際の差データ(再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差の絶対値)を比較し、その差データの大きい方のビット位置に隣接するビット位置を補正対象として指定する。
【0048】
以上のように、図3では、最小連続長ならびに最大連続長の条件を満足していない場合に、満足していない区間の両外側のビットの2値化判定時のレベル差データを利用して、補正を行なうビット位置を選定する構成を示した。これに対して、最小連続長ならびに最大連続長の条件を満足していない区間の先頭ビットならびに最終ビットの2値化判定時のレベル差データに基づいて、補正を行なう位置を選定することも可能である。
【0049】
図4は最小連続長補正ビット位置検出部ならびに最大連続長補正ビット位置検出部の他の構成例を示す回路構成図である。図4に示す最小連続長補正ビット位置検出部180は、出力制御端子M3eに(d’−1)検出信号16aが供給されている場合に比較結果M3c,M3dを出力するよう構成されたマグニチュードコンパレータM3を用いて構成している。マグニチュードコンパレータM3の一方の入力端子群M3aには、第2段目のデータラッチ回路D2の出力が供給される。マグニチュードコンパレータM3の他方の入力端子群M3bには、第3段目のデータラッチ回路D3の出力が供給される。
【0050】
このマグニチュードコンパレータM3は、一方の入力端子群M3aに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D2の出力が他方の入力端子群M3bに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D3の出力よりも大きく、且つ、比較判定結果の出力が許可されている場合は、論理レベル”1”(Hレベル)の第1判定結果M3cを出力するよう構成している。
【0051】
また、このマグニチュードコンパレータM3は、一方の入力端子群M3aに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D2の出力に対して他方の入力端子群M3bに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D3の出力の方が大きく、且つ、比較判定結果の出力が許可されている場合は、論理レベル”1”(Hレベル)の第2判定結果M3dを出力するよう構成している。そして、この最小連続長補正ビット位置検出部180は、第1判定結果M3cを補正ビット位置指定信号18bとして出力し、第2判定結果M3dを補正ビット位置指定信号18aとして出力する構成としている。
【0052】
最大連続長補正ビット位置検出部190は、出力制御端子M4eに(k’+1)検出信号17aが供給されている場合に比較結果M4c,M4dを出力するよう構成されたマグニチュードコンパレータM4を用いて構成している。マグニチュードコンパレータM4の一方の入力端子群M4aには、第2段目のデータラッチ回路D2の出力が供給される。マグニチュードコンパレータM4の他方の入力端子群M4bには、第13段目のデータラッチ回路D13の出力が供給される。
【0053】
このマグニチュードコンパレータM4は、一方の入力端子群M4aに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D2の出力が他方の入力端子群M4bに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D13の出力よりも小さく、且つ、比較判定結果の出力が許可されている場合は、論理レベル”1”(Hレベル)の第1判定結果M4cを出力するよう構成している。
【0054】
また、このマグニチュードコンパレータM4は、一方の入力端子群M3aに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D2の出力に対して他方の入力端子群M3bに供給されるデータすなわちデータラッチ回路D3の出力の方が小さく、且つ、比較判定結果の出力が許可されている場合は、論理レベル”1”(Hレベル)の第2判定結果M4dを出力するよう構成している。そして、この最大連続長補正ビット位置検出部190は、第1判定結果M4cを補正ビット位置指定信号19bとして出力し、第2判定結果M4dを補正ビット位置指定信号19aとして出力する構成としている。
【0055】
したがって、最小連続長補正ビット位置検出部180は、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、同一シンボルの連続長が2の区間に対して、その先頭ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D3の出力と、同一シンボルの連続長が2の区間の最終ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D2の出力との大小関係を比較し、先頭ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D3の出力の方が大きい場合は、その先頭ビットの直前のビットを補正させる補正ビット位置指定信号18aを出力する。また、この最小連続長補正ビット位置検出部180は、同一シンボルの連続長が2の区間の最終ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D2の出力の方が大きい場合は、その最終ビットの直後のビットを補正させる補正ビット位置指定信号18bを出力する。
【0056】
最大連続長補正ビット位置検出部190は、NRZI変調されたチャネルビットデータ列中において、同一シンボルの連続長が12の区間に対して、その先頭ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D13の出力と、同一シンボルの連続長が12の区間の最終ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D2の出力との大小関係を比較し、先頭ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D13の出力の方が小さい場合は、その先頭ビット位置を補正させる補正ビット位指定信号19aを出力する。また、この最大連続長補正ビット位置検出部190は、同一シンボルの連続長が12の区間の最終ビットの2値化判定を行なった時のレベル差データすなわちデータラッチ回路D2の出力の方が小さい場合は、その最終ビットを補正させる補正ビット位置指定信号19bを出力する。
【0057】
なお、図1では、再生RF信号7aをA/D変換器11で変換して得た再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとの差データ14aを、再生RF信号レベル記憶部20で一時記憶する構成を示したが、A/D変換器を用いずに、電荷保存型のサンプルホールド回路を複数組用いて、チャネルビットデータの判定を行なった時の再生RF信号7aの信号レベルを記憶する構成としてもよい。また、CCD等の電荷転送素子を用いて、チャネルビットデータの判定を行なった時の再生RF信号7aの信号レベルを記憶する構成としてもよい。コンパレートレベル9aについても同様に、電荷保存型のサンプルホールド回路やCCD等の電荷転送素子を利用して、一時記憶する構成としてもよい。
【0058】
次に、本発明に係るデータ復号装置の動作を説明する。図1に示した光ディスク4からピックアップ6を介して読み出された再生信号6aは、前置増幅器7で増幅され、波形整形器8で2値レベルのパルス信号8aに波形整形され、このパルス信号8aに同期するビットクロック10aがビットクロック生成部10で生成・出力される。
【0059】
データ復号処理部3内の各A/D変換器11,12は、ビットクロック10aに基づいて再生RF信号7a,コンパレートレベル9aをA/D変換し、再生RF信号レベルデータ11a,コンパレートレベルデータ12aを出力する。コンパレート部13は、再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベルデータ12aとを比較し、再生RF信号レベルデータ11aがコンパレートレベル12aを越えている場合(以上の場合)は、論理レベル”1”(Hレベル)の2値化信号13をチャネルビットデータとして出力し、再生RF信号レベルデータ11aがコンパレートレベル12a以下の場合(未満の場合)は、論理レベル”0”(Lレベル)の2値化信号13をチャネルビットデータとして出力する。
【0060】
コンパレート部13からビットクロック10aに同期して出力されるチャネルビットデータ(2値化信号)13aは、ビットデータ反転補正部15内の14段シフトレジスタを介して出力され、図示しない信号処理装置等へ供給される。
【0061】
レベル差演算部14は、再生RF信号レベルデータ11aとコンパレートレベル12aとの差の絶対値を演算し、求めた絶対値をレベル差データ14aとして出力する。再生RF信号レベル記憶部20は、レベル差データ14aを時系列との対応を付けて一時記憶する。
【0062】
図2に示したように、(d’−1)検出部16は、ビットデータ反転補正部15内の第1〜第4段目のD型フリップフロップF1〜F4の出力に基づいて、同一シンボルの連続長が2であることを検出すると、(d’−1)検出信号16aを最小連続長補正ビット位置検出部18に対して出力する。
【0063】
図3に示したように、最小連続長補正ビット位置検出部18は、(d’−1)区間の直前のビットのレベル差データと、(d’−1)区間の直後のビットのレベル差データとを比較し、直前のビットのレベル差データの方が小さい場合は、補正ビット位置指定信号18aをビットデータ反転補正部15に対して出力する。また、最小連続長補正ビット位置検出部18は、(d’−1)区間の直後のビットのレベル差データの方が小さい場合は、補正ビット位置指定信号18bをビットデータ反転補正部15に対して出力する。
【0064】
図2に示したビットデータ反転補正部15は、補正ビット位置指定信号18aが供給されると、第4段目のD型フリップフロップD4の論理レベル(直前ビットの論理レベル)を反転させる。また、ビットデータ反転補正部15は、補正ビット位置指定信号18bが供給されると、第1段目のD型フリップフロップD1の論理レベル(直前ビットの論理レベル)を反転させる。これによって、同一シンボルの連続長d’が2の区間が最小連続長d’=3の条件を満足するよう補正される。
【0065】
図2に示すように、(k’+1)検出部17は、ビットデータ反転補正部15内の第1〜第14段目のD型フリップフロップF1〜F14の出力に基づいて、同一シンボルの連続長が12であることを検出すると、(k’+1)検出信号17aを最大連続長補正ビット位置検出部19に対して出力する。
【0066】
図3に示したように、最大連続長補正ビット位置検出部19は、(k’+1)区間の直前のビットのレベル差データと、(k’+1)区間の直後のビットのレベル差データとを比較し、直前のビットのレベル差データの方が大きい場合は、補正ビット位置指定信号19aをビットデータ反転補正部15に対して出力する。また、最大連続長補正ビット位置検出部19は、(k’+1)区間の直後のビットのレベル差データの方が大きい場合は、補正ビット位置指定信号19bをビットデータ反転補正部15に対して出力する。
【0067】
図2に示したビットデータ反転補正部15は、補正ビット位置指定信号19aが供給されると、第13段目のD型フリップフロップD13の論理レベル(先頭ビットの論理レベル)を反転させる。また、ビットデータ反転補正部15は、補正ビット位置指定信号19bが供給されると、第2段目のD型フリップフロップD2の論理レベル(最終ビットの論理レベル)を反転させる。これによって、同一シンボルの連続長k’が12の区間が、最大連続長k’=11の条件を満足するよう補正される。
【0068】
なお、図3では、最小連続長または最大連続長の条件を満足しない区間の両外側のビットに着目して、それらの両側のビットの2値レベルを判断した時のレベル差(再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差)に基づいて補正するビット位置を選定しているが、図4に示したように、最小連続長または最大連続長の条件を満足しない区間の先頭ビットと最終ビットに着目して、先頭ビットと最終ビットの2値レベルを判断した時のレベル差すなわち再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差に基づいて、補正するビット位置を選定することもできる。
【0069】
本発明に係るデータ復号装置1は、(d’−1)の区間の両外側のチャネルビット、ならびに、(k’+1)の区間の先頭または最終ビットのように、2値レベルの判定を誤ったと思われるチャネルビットについて、そのチャネルビットデータの2値レベルを判断した時のレベル差すなわち再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差が小さい場合は、2値レベルの判定を誤っている確率が高いので、レベル差すなわち再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差が小さい方を補正することで、より精度の高い補正を可能にするものである。
【0070】
また、本発明に係るデータ復号装置1は、(d’−1)区間が検出され、その(d’−1)区間の両側のいずれか一方が誤っていると思われる場合に、例えば(d’−1)区間の先頭ビットのレベル差(再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差)が、(d’−1)区間の最終ビットのレベル差すなわち再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差よりも大きい場合は、先頭ビットの外側の論理レベルが(d’−1)の区間と同じである確率が高いので、その確率の高い側のビット位置データを補正することで、精度の高い補正を可能にするものである。
【0071】
さらに、本発明に係るデータ復号装置1は、(k’+1)区間が検出され、その(k’+1)区間の先頭ビットまたは最終ビットのいずれか一方が誤っていると思われる場合に、レベル差(再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差)が小さい方が2値化判定を誤っている確率が高いので、その確率の高い側のビット位置データを補正することで、精度の高い補正を可能にするものである。
【0072】
図5は最小連続長の条件を満足しない場合の補正動作の説明図である。図5(a)に示す再生RF信号7aを、図5(b)に示すビットクロック10aの立上がりに同期してA/D変換し、A/D変換して得た再生RF信号レベル11aとコンパレートレベル12aとをコンパレート部13で比較して、図5(c)に示すチャネルビットデータ列が得られる。ここで、(d’−1)の区間は、論理レベル”0”(同一シンボル)の連続長すなわち連続数が2であり、図5(d)に示す逆NRZI変換後の符号すなわち原符号では、論理レベル”1”に挟まれた論理レベル”0”の連続数が1となり、最小連続長d=2の条件を満たしていない。
【0073】
そこで、この(d’−1)の区間の両外側のビットに着目した場合、(d’−1)の区間の直後のレベル差データ(数値2)の方が、直前のレベル差データ(数値4)よりも小さいので、(d’−1)の区間の直後のビットを補正する。
【0074】
また、この(d’−1)の区間内の先頭ビットと最終ビットに着目した場合、最終ビットのレベル差データ(数値8)の方が、先頭ビットのレベル差データ(数値6)よりも大きいので、レベル差データの大きい方(数値8)に隣接する外側のビットを補正する。
【0075】
このように、図5(e)に示したレベル差データ14aすなわち再生RF信号レベル記憶部20に記憶されているデータに基づいて、補正を行なうビット位置を選択し、選択したビット位置のビットデータを反転させることで、図5(f)に示すように、最小連続長の条件を満足させた補正後のチャネルビットデータ列の信号15aを得ることができる。そして、図示しない逆NRZI変換器で、補正後の符号を逆NRZI変換することで、図5(g)に示す補正後の逆NRZI変換後符号を得ることができる。
【0076】
図6は最大連続長の条件を満足しない場合の補正動作の説明図である。図6(a)に示す再生RF信号7aを、図6(b)に示すビットクロック10aの立上がりに同期してA/D変換し、A/D変換して得た再生RF信号レベル11aとコンパレートレベル12aとをコンパレート部13で比較して、図6(c)に示すチャネルビットデータ列が復号される。ここで、(k’+1)の区間は、論理レベル”0”(同一シンボル)の連続長(連続数)が12であり、図6(d)に示す逆NRZI変換後の符号すなわち原符号では、論理レベル”1”に挟まれた論理レベル”0”の連続数が11となり、最大連続長k=10の条件を満たしていない。
【0077】
そこで、この(k’+1)の区間の両外側のビットに着目した場合、(k’+1)の区間の直前のレベル差データ(数値8)の方が、直後のレベル差データ(数値4)よりも大きいので、レベル差データの大きい方に隣接するビットすなわち直前ビットの次のビットを補正する。
【0078】
また、この(k’+1)の区間の先頭ビットと最終ビットに着目した場合、先頭ビットのレベル差データ(数値2)の方が、最終ビットのレベル差データ(数値6)よりも小さいので、レベル差データの小さい方(数値2)のビットすなわち先頭ビットを補正する。
【0079】
このように、図6(e)に示したレベル差データ14aすなわち再生RF信号レベル記憶部20に記憶されているデータに基づいて、補正を行なうビット位置を選択し、選択したビット位置のビットデータを反転させることで、図6(f)に示すように、最大連続長の条件を満足させた補正後のチャネルビットデータ列の信号15aを得ることができる。そして、図示しない逆NRZI変換器で、補正後の符号を逆NRZI変換することで、図6(g)に示す補正後の逆NRZI変換後符号を得ることができる。
【0080】
(d’−1),(k’+1)区間が検出された場合すなわち最小連続長,最大連続長を満足しない場合に、補正ビット位置を求めるために必要なレベル差データは、(d’−1),(k’+1)の区間の両側のビット、あるいは、(d’−1),(k’+1)の区間の先頭ビットと最終ビットのレベル差データである。したがって、図3および図4で、再生RF信号レベル記憶部20は、14ビット分のレベル差データを一時記憶できる構成を示したが、14ビット分のレベル差データを全て一時記憶しておく必要はない。そこで、ランダムアクセス可能なメモリ(RAM)とその書き込み読み出し回路を用いて再生RF信号レベル記憶部20を構成し、チャネルビットデータが反転する前後の2ビットのレベル差データを時系列との対応を付けて2組分だけ一時記憶する構成としてもよい。
【0081】
なお、本実施形態では、再生RF信号レベルとコンパレートレベルとの差に基づいて補正するビット位置を決定する構成について説明したが、再生RF信号レベルの大小関係のみに基づいて、補正するビット位置を決定することができる。なぜならば、(d’−1)ならびに(k’+1)の両外側のビットについて比較する場合でも、(d’−1)ならびに(k’+1)の区間の先頭ビットと最終ビットとを比較する場合でも、比較対象となる2つのビットの論理レベルは同じであると判定されているのであるから、比較対象ビットの論理レベルが1のときは再生RF信号レベルが大きい方がコンパレートレベルとの差が大きいと判断でき、また、比較対象ビットの論理レベルが0のときは再生RF信号レベルが小さい方がコンパレートレベルとの差が大きいと判断できるからである。
【0082】
また、上記実施形態では、コンパレート部13で得られたチャネルビットデータ列について、同一シンボルの連続長が(d’−1)であるチャネルビットデータを(d’−1)検出部16により検出してビットデータ反転補正部15により最小連続長dを守るように補正処理を行なうようにしたが、例えば図7に示すように、逆NRZI変調した後の”0”の連続長が(d−1)であるチャネルビットデータを検出して、(d−1)区間の直前のビットデータのレベル判定時の再生RF信号レベルと(d−1)区間の直後のビットデータのレベル判定時の再生RF信号レベルとの大小関係に基づいて、小側のビットデータを反転させることにより、最小連続長dを守るように補正処理を行なうことができる。
【0083】
なお、図7は上述の図5に対応するものであって、再生RF信号を(a)に示し、ビットクロックを(b)に示し、チャネルビットデータ列を(c)に示し、逆NRZI変換後の符号(原符号)を(d)に示し、レベル差データを(e)に示し、最小連続長の条件を満足させた補正後の逆NRZI変換後符号を(f)に示す。
【0084】
また、上記実施形態では、コンパレート部13において再生RF信号レベル11aを1つのコンパレートレベル12aと比較することにより、2値化したチャネルビットデータを得るようにしたが、本発明は記録媒体から読み出した再生RF信号を少なくとも1つのコンパレートレベルで復号してチャネルビットデータを出力するものであればよく、2つ以上のコンパレートレベルを有するコンパレート部により再生RF信号からチャネルビットデータを生成する場合にも適用できる。
【0085】
図8は2つのコンパレートレベルL1,L2を有するコンパレート部113により再生RF信号からチャネルビットデータを生成するようにした発明に係るデータ復号装置100のブロック構成図である。
【0086】
このデータ復号装置100は、大きく分けて入力信号処理部102とデータ復号処理部103とからなる。
【0087】
入力信号処理部102は、光ディスク104を回転駆動するためのスピンドルモータ105と、光ディスク104の信号記録面にレーザ光を対物レンズを通して照射するとともに、この光ディスク104からの反射光を受光して再生信号106aを出力する光ピックアップ106と、光ピックアップ106から出力された再生信号106aを増幅する前置増幅器107と、前置増幅器107から出力される例えば図9(a)に示すような再生RF信号107aをコンパレートレベルL0に基づいて波形整形して2値化したパルス信号108aを出力する波形整形器108と、波形整形器108から出力されるパルス信号108aを積分して得た直流電圧と基準電圧とを比較してコンパレートレベルL0を負帰還制御するコンパレートレベル設定部109と、波形整形器108から出力されるパルス信号108aに基づいてビットクロック110aを生成して出力するPLL方式のビットクロック生成部110とを備える。上記コンパレートレベル設定部109は、コンパレートレベルL0を波形整形器108に与えるとともに、このコンパレートレベルL0をセンターレベルとして該センタルベルの上方及び下方に設定された2つのコンパレートレベルL1,L2をデータ復号処理部103に与えるようになっている。
【0088】
データ復号処理部103は、ビットクロック110aに基づいて再生RF信号107aを標本化し、標本化した再生RF信号を量子化し、量子化して得た再生RF信号レベルデータ111aを出力する再生RF信号用のA/D変換器111と、ビットクロック110aに基づいてコンパレートレベルL0,L1,L2を標本化し、標本化したコンパレートレベルを量子化し、量子化したコンパレートレベルデータL0,L11,L12を出力するコンパレータレベル用のA/D変換器112と、再生RF信号レベルデータ111aとコンパレートレベルデータL11,L12とを比較して、チャネルビットデータ(逆NRZI変換後信号すなわち原信号)113aを出力するコンパレート部113と、再生RF信号レベルデータ111aとコンパレートレベルデータL0あるいはコンパレートレベルデータL11,L12とを入力とし、再生RF信号レベルとコンパレートレベルL0すなわちセンターレベルの差の絶対値を演算して、レベル差データ114aを出力するレベル差演算部114と、ビットデータ補正部115と、(d−1)検出部116と、(k+1)検出部117と、最小連続長補正ビット位置検出部118と、最大連続長補正ビット位置検出部119と、再生RF信号レベル記憶部120とを備える。
【0089】
次に、このデータ復号装置の動作を説明する。図8に示した光ディスク104からピックアップ106を介して読み出された再生信号106aは、前置増幅器107で増幅され、波形整形器108で2値レベルのパルス信号108aに波形整形され、このパルス信号108aに同期する図9(b)に示すようなビットクロック110aがビットクロック生成部110で生成・出力される。
【0090】
なお、この時のビットクロックは図7(b)に較べ50%シフトしている。
【0091】
データ復号処理部103内の各A/D変換器111,112は、ビットクロック110aに基づいて再生RF信号107a,コンパレートレベルL0,L1,L2をA/D変換し、再生RF信号レベルデータ111a,コンパレートレベルデータL0,L11,L12を出力する。コンパレート部113は、図10に示すようなアイパターンの再生RF信号について、その再生RF信号レベルデータ111aとコンパレートレベルL1,L2とを比較し、再生RF信号レベルデータ111aがコンパレートレベルL1,L2の間にある場合には論理レベル”1”(Hレベル)で上記コンパレートレベルL1,L2の間以外の場合には論理レベル”0”(Lレベル)の2値化信号113aをチャネルビットデータ(逆NRZI変換後信号すなわち原信号)として出力する。
【0092】
コンパレート部113からビットクロック110aに同期して出力されるチャネルビットデータ(2値化信号)113aは、ビットデータ補正部115を介して出力され、図示しない信号処理装置等へ供給される。
【0093】
レベル差演算部114は、再生RF信号レベルとコンパレートレベルL0との差の絶対値を演算し、求めた絶対値をレベル差データ114aとして出力する。あるいは、再生RF信号レベルと横切ったコンパレートレベルL1又はL2との差の絶対値を出力しても良い。再生RF信号レベル記憶部120は、レベル差データ114aを時系列との対応を付けて一時記憶する。
【0094】
(d−1)検出部116は、ビットデータ補正部115の出力に基づいて、同一シンボルの連続長が1であることを検出すると、(d−1)検出信号116aを最小連続長補正ビット位置検出部118に対して出力する。
【0095】
最小連続長補正ビット位置検出部118は、(d−1)区間の直前の論理レベル”0”のビットのレベル差データと(d−1)区間の直後の論理レベル”0”ビットの次のビットのレベル差データとを比較し、絶対値の小さい側を補正ビットとして指定するとともに、その隣で最小連続長dを守る側の1ビット(1ビット内側のビット)を補正ビットとして指定する補正ビット位置指定信号118aをビットデータ補正部115に対して出力する。あるいは、レベル差データがL1,L2より演算されたときは、絶対値の小さい方を補正ビットとして指定するとともに、その隣で最小連続長dを守る側の1ビット(1ビット内側のビット)を補正ビットとして指定する補正ビット位置指定信号118aをビットデータ補正部115に対して出力する。また、最小連続長補正ビット位置検出部118は、(d−1)区間の最初の論理レベル”1”のビットのレベル差データと(d−1)区間の後の論理レベル”1”のビットのレベル差データとを比較し、絶対値の大きい側を補正ビットとして指定するとともに、その隣で最小連続長dを守る側の1ビット(1ビット外側のビット)を補正ビットとして指定する補正ビット位置指定信号118bをビットデータ補正部115に対して出力する。
【0096】
ビットデータ補正部115は、上記補正ビット位置指定信号118a,118bにより指定された各補正ビットの論理レベルを反転させる。これによって、符号系内の連続する論理レベル”1”の間に入る論理レベル”0”の連続長dが1の区間が最小連続長d=2の条件を満足するよう補正される。
【0097】
なお、上記ビットデータ補正部115では、上記補正ビット位置指定信号118a,118bにより指定された各補正ビットの論理レベルを反転させるかわりに、論理レベル”1”の補正ビットを(d−1)区間の外側へシフトさせることにより、符号系内の連続する論理レベル”1”の間に入る論理レベル”0”の連続長dが1の区間が最小連続長d=2の条件を満足するよう補正することもできる。
【0098】
このように、図9(d)に示したレベル差データ114aすなわち再生RF信号レベル記憶部120に記憶されているデータに基づいて、補正を行なうビット位置を選択し、選択したビット位置のビットデータを反転させることで、図9(e)に示すように、最小連続長の条件を満足させた補正後のチャネルビットデータ(逆NRZI変換後信号すなわち原信号)115aを得ることができる。
【0099】
また、(k+1)検出部117は、ビットデータ反転補正部15の出力に基づいて、同一シンボルの連続長が10であることを検出すると、(k+1)検出信号117aを最大連続長補正ビット位置検出部119に対して出力する。
【0100】
最大連続長補正ビット位置検出部119は、最小連続長補正ビット位置検出部118と同様な動作により補正ビット位置指定信号119a又は補正ビット位置指定信号119bをビットデータ判定補正部115に対して出力する。
【0101】
ビットデータ判定補正部115は、補正ビット位置指定信号119a,119bにより指定された各補正ビットの論理レベルを反転させる。これによって、符号系内の連続する論理レベル”1”の間に入る論理レベル”0”の連続長kが11の区間が、最大連続長k=10の条件を満足するよう補正される。
【0102】
上述の実施形態のように、コンパレートレベルを境にした2値レベルでデータ復号を行なうにあたり、同一シンボルの連続長さが最小であるd’の長さを(d’−1)の長さに復号した場合に、コンパレートレベルを横切る位置を挟む、直前標本値及び直後標本値の情報を用いて(d’−1)の長さをd’の長さにより確からしく補正することができ、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0103】
ところがさらに、タンジェンシャル方向のスキュー角が大きくなると、エラーの発生は、さらに短い同一シンボルの連続長にも発生する。すなわちTmin(d’)の長さをTmin−1(d’−1)の長さに誤って復号した場合に加えて、Tmin−2(d’−2)の長さに復号したためにエラーレートが悪化することが考えられる。例えばEFM変調方式においては、タンジェンシャル方向にスキューが発生した場合は、記録波形列のビット間隔をTとすると、最小反転間隔Tminである3Tが、2Tまたは1Tと復号することによるエラーの発生が多く見られた。
【0104】
記録波形列のビット間隔をTとするとTminである3Tが、1Tと誤って復号したデータは、エッジの両側を1ビットずつ修正することによって、1Tの長さを3Tの長さに、より確からしいデータ復号を行なうことができる。
【0105】
すなわち、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置では、同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータに対し、同一シンボルの連続長がd’となるように補正処理を行なうことによって、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。あるいは、逆NRZI変調した後の、”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータに対し、”0“の連続長がdとなるように補正処理を行なうことによって、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0106】
また、エラーの発生が長い同一シンボルの連続長すなわちTmax(k’)の長さをTmax+1(k’+1)、またはTmax+2(k’+2)の長さに誤って復号した場合にも同様の補正が適用できる。
【0107】
すなわち、符号系列内の連続する”1”の間に入る”0”の最大連続長がkである記録符号からNRZI変調した後の、同一シンボルの最大連続長がk’=k+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置では、同一シンボルの連続長が(k’+2)であるチャネルビットデータに対し、同一シンボルの連続長がk’となるように補正処理を行なうことによって、最大反転間隔Tmax付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。あるいは、逆NRZI変調した後の、”0”の連続長が(k+2)であるチャネルビットデータに対し、”0”の連続長がkとなるように補正処理を行なうことによって、最大反転間隔Tmax付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0108】
図11は本発明に係るデータ復号装置の他の実施形態を示すブロック構成図である。ここでは1T及び2Tの信号を3Tに補正する機能のみを実現している。このデータ復号装置200は、大きく分けて入力信号処理部202とデータ復号処理部203とからなる。なおこの図11において、データ復号装置の動作に直接関与しないサーボ回路等は省略してある。
【0109】
入力信号処理部202は、光ディスク204を回転駆動するためのスピンドルモータ205と、光ディスク204の信号記録面にレーザ光を対物レンズを通して照射するとともに、この光ディスク204からの反射光を受光して再生信号206aを出力する光ピックアップ206と、光ピックアップ206から出力された再生信号206aを増幅する前置増幅器207と、前置増幅器207から出力される信号の波形等化を行なう波形等化器208と、波形等化器208から出力される再生RF信号を後述するビットクロック211aで標本化し、標本化した再生RF信号を量子化し、量子化して得た再生RF信号レベルデータ209aを出力するA/D変換器209と、再生RF信号レベルデータ209aのアシンメトリを補正して、再生RF信号補正レベルデータ210aを出力するアシンメトリ補正回路210と、再生RF信号補正レベルデータ210aに基づいてビットクロック211aを生成して出力するPLL方式のビットクロック生成回路211とを備える。
【0110】
波形等化器208としては、例えば光学的周波数特性によって決まる高周波での振幅低下を補正するために、直線位相型の高周波持ち上げフィルタが使われる。具体的には例えば図12に示されるような構成の余弦等化器が考えられる。この図12に示した余弦等化器はバッファアンプ301、抵抗器302、可変抵抗器303、遅延線304及び差動アンプ305からなる。遅延線304は遅延時間がτ、特性インピーダンスがR0であるものとする。また、抵抗器302の抵抗値はR0と等しく、また可変抵抗器303の抵抗値および差動アンプ305の入力インピーダンスはR0より十分大きいものとする。この場合、遅延線304のa端では全反射が起こる。回路の周波数応答を求めると、H(ω)=1−2k・cosωτとなる。ただしkは可変抵抗器303による減衰比であるとする。減衰比kおよび遅延時間τを適切に選ぶことにより、適切な波形等化が行なわれる。
【0111】
アシンメトリ補正回路210の構成としては種々のものが考えられるが、例えば図13に示すような構成のものが用いられる。この図13に示したアシンメトリ補正回路210は、本件出願人が先に提案した特願平7−201412号に係るものであって、減算器502、振幅制限器503及び積分器504からなる。そして、入力端子501にはA/D変換器209の出力である再生RF信号レベルデータ209aが入力される。この再生RF信号レベルデータ209aは、ビットクロック211aで標本化された標本列である。この再生RF信号レベルデータ209aは、減算器502によって積分器504の出力が減算された後、振幅制限器503に供給されるとともに、出力端子505から出力される。上記振幅制限器503により振幅制限された信号は、積分器504で積分される。そして、この積分器504の積分出力が上記減算器502に供給されるようになっている。
【0112】
このような構成のアシンメトリ補正回路210では、振幅制限器503の出力信号が正レベルの値を取る時間と負レベルの値をとる時間とが等しくなるように、減算器の出力が制御される。これは、とりもなおさず再生RF信号レベルデータ209aのアシンメトリが補正されて、信号のゼロレベルが2値化のためのしきい値に等しくなったことを意味する。このようにしてアシンメトリ補正された信号が上記減算器502の出力として得られ、この減算器502の出力が再生RF信号補正レベルデータ210aとして出力端子505から出力される。
【0113】
また、ビットクロック生成回路211の構成としては種々のものが考えられるが、例えば図14に示すような構成のものが用いられる。この図14に示したビットクロック生成回路211は、本件出願人が先に提案した特願平6−312190号に係るものであって、位相検出器602、ループフィルタ603、周波数引き込み回路604、D/A変換器605及び電圧制御発振器606からなる。そして、入力端子601にはアシンメトリ補正回路210の出力である再生RF信号補正レベルデータ210aが入力される。
【0114】
この再生RF信号補正レベルデータ210aは、入力端子601を介して位相検出器602に供給される。この位相検出器602では、再生RF信号補正レベルデータ210aに対して、ゼロレベルを挟む2点の標本値から、標本化クロックであるビットクロック211aと再生RF信号との位相差を演算する。
【0115】
位相検出器602から出力される位相差信号は、ループフィルタ603及び周波数引き込み回路604に入力される。
【0116】
ループフィルタ603は、k1 利得増幅器603A、k2 利得増幅器603B、入力切替器603C、積分器603D及び加算器603Eからなり、全体で2次の制御ループが構成できるような伝達特性を持っている。
【0117】
周波数引き込み回路604は、不連続点検出回路604A、係数切替器604B及び位相同期/非同期検出回路604Cからなり、不連続点検出回路604Aによる位相差信号の不連続点の検出状態に応じて係数切替器604Bを制御しながら、位相同期/非同期検出回路604Cによる検出出力で上記ループフィルタ603の入力切替器603Cを制御するように構成されている。すなわち、周波数引き込み回路604は、ビットクロック211aの周波数がはずれている場合に、位相差信号に不連続点ができるのを利用して、所望の周波数が得られるようにループフィルタ603の積分項の出力を操作する。ループフィルタ603の出力は、D/A変換器605でアナログ信号に変換された後、電圧制御発振器606に入力され、出力端子607から出力されるビットクロック211aの周波数を制御する。これにより、ビットクロック211aは、RF再生信号のゼロクロス点と同期がとれるようになる。
【0118】
なお、この例では、再生RF信号のゼロクロス点とビットクロックの2つの立ち上がりエッジとは180゜の位相関係を持つ、すなわちビットクロックの2つの立ち上がりエッジ中点に再生RF信号のゼロクロス点が来るように制御がなされるものとする。これは例えば、再生RF信号補正レベルデータ210aのゼロレベルを挟む2点の標本値の和を演算し、2点が立ち上がりエッジにある場合には前記和の信号を、また、立ち下がりエッジにある場合には前記和の信号の極性を反転させたものを位相差信号として用いることによって、実現される。
【0119】
再生RF信号補正レベルデータ210aの表現の形式は種々のものが考えられるが、ここでは8ビットの2の補数の形式であるとする。実際の数値に対する8ビットの2の補数での値を次の表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
データ復号処理部203は、再生RF信号補正レベルデータ210aの符号ビット210bが反転するときにHとなるエッジパルス231aを出力するエッジ検出回路231と、符号ビット210bがエッジ検出回路231によって遅延を受けたものである遅延符号ビット210cについて、後述する補正ビット位置をもとにビットデータを補正して反転補正出力232aを出力するビットデータ反転補正部232と、エッジ検出回路231の出力であるエッジパルス231aをビットクロック単位で遅延させるシフトレジスタ233と、シフトレジスタ233の1〜3段目の出力233a〜233cから1T及び2Tパターンを検出して1T検出パルス234a及び2T検出パルス234bを出力する1T/2T検出部234と、再生RF信号補正レベルデータ210aの絶対値を演算する絶対値回路235と、絶対値回路235によって得られた再生RF信号絶対値データ235aの一定時間はなれた2点での大小比較を行ない比較結果信号236aを出力する絶対値比較部236と、1T検出パルス234a、2T検出パルス234bおよび比較結果信号236aをもとに最小連続長補正ビットの位置を検出して補正ビット位置信号237a,237b,237cを出力する最小連続長補正ビット位置検出部237とを備える。
【0122】
なお、符号ビット210bとしては、本実施例で使用する8ビットの2の補数の表現形式の場合、表1からわかるように最上位ビットがこれにあたり、再生RF信号補正レベルデータ210aが正又はゼロの値を取るときにL、負の値を取るときにHとなる。
【0123】
データ復号処理部203内の各シフトレジスタ及びDフリップフロップには、ビットクロック211aが供給される。
【0124】
1T/2T検出部234には、図示しないシステムコントローラより1T補正オン、2T補正オンの2本の制御信号も入力されている。
【0125】
エッジ検出回路231は、入力された符号ビット210bを遅延させるDフリップフロップ241,242と、Dフリップフロップ241,242の出力の排他的論理和を取る排他的論理和回路243とを備える。
【0126】
ビットデータ反転補正部232は、排他的論理和回路251,252,253と、Dフリップフロップ254,255,256.257とを備える。
【0127】
シフトレジスタ233は、Dフリップフロップ261,262,263を備える。
【0128】
1T/2T検出部234は、例えば図15に示すようにインバータNOT1,NOT2と論理積回路AND1,AND2により構成された論理回路が用いられる。この論理回路は、インバータNOT1,NOT2と論理積回路AND1,AND2により、次の表2に示される真理値表の論理を実現したものである。
【0129】
【表2】

【0130】
絶対値回路235は、例えば図16のように、5個の否定論理積回路BAND1〜BAND5、1個の排他的論理和回路XOR、5個の排他的否定論理和回路XNOR1〜XNOR5、1個のインバータNOT、12個の論理積回路及び6個の論理和回路OR1〜OR6により構成された論理回路が用いられる。この回路の場合、入力の値が−128になると出力が0になってしまうため、正しい演算が行なわれる範囲は−127〜127である。今回の用途においては、信号レベルがこの範囲に入るように管理することは容易であり、特に問題とはならない。出力は7ビットの数値となる。
【0131】
絶対値比較部236は、再生RF信号絶対値データ235aを遅延させるDフリップフロップ271,272,273,274,275と、Dフリップフロップ272とDフリップフロップ275の出力272a,275aの大小を比較してDフリップフロップ272の出力272aの方が大きいときにHレベル、それ以外のときにLレベルを出力する比較器276とを備える。
【0132】
最小連続長補正ビット位置検出部237は、例えば図17に示すような構成の論理回路が用いられる。この論理回路は、インバータNOT11,NOT12,NOT13、論理積回路AND11,AND12,AND13及び論理和回路ORにより、次の表3の真理値表の論理を実現したものである。
【0133】
【表3】

【0134】
ここで、237a,237b,237cは、ビットデータ反転補正部232の入力、Dフリップフロップ255の出力、 Dフリップフロップ256の出力をそれぞれ反転させる制御出力を示す。
【0135】
次に、このデータ復号装置200におけるデータ復号処理部203の動作を説明する。
【0136】
再生連続長補正ビット位置検出部237から出力される補正ビット位置信号237a,237b,237cがいずれもLレベルであるときは、符号ビット210bはエッジ検出回路231およびビットデータ反転補正部232を経る間単に計6ビットクロックの遅延だけを受け、後段へ再生RF2値信号として出力される。
【0137】
補正ビット位置信号237a〜237cがいずれもLレベルであるのは、上記表3の真理値表より、1T検出信号234aおよび2T検出信号234bがいずれもLレベルであるときであり、これは上記表2の真理値表より、対応する補正がオンになっていないとき、あるいは対応するパターンを生じる誤りが起きていないときである。
【0138】
次に、再生RF信号補正レベルデータ210aに2Tと判別されるようなパターンが入力された場合を考える。この場合の各部の波形のタイミングチャートを図18に示す。再生RF信号補正レベルデータ210aは、標本化する前の波形を点線で、標本値を白丸で示してある。ここでは、時刻t4〜t9にかけて本来一点鎖線で示されたような再生波形が得られるべきところを、タンジェンシャルスキューなどの影響で点線で示されたような再生波形に歪んでしまい、2Tパターンが生じてしまった場合、すなわち3Tパターンの後縁が欠けて2Tパターンとなってしまった場合を示している。ここで、2Tパターンにみえる部分の両隣、すなわち時刻t3と時刻t6の信号振幅を比較すると、誤りである時刻t6の信号振幅の方が小さい。確率的には図示のような誤りを生じることが多いため、2Tパターンの両隣の信号振幅を比較して、小さい方を誤りとして極性反転を行なうことにより、正しいデータとして復調できるようになる確率が高くなる。
【0139】
符号ビット210b、エッジパルス231a、エッジパルスの遅延信号であるシフトレジスタ233による遅延出力233a,233b,233cはそれぞれ図18に示すようになる。これらから、2T検出パルス234bが図18に示すように生成される。
【0140】
一方で、再生RF信号絶対値データ235a、その遅延信号であるDフリップフロップ272,275の出力272a,275aおよびこれらの比較結果信号236aはそれぞれ図18のようになる。回路の遅延を考えると、比較結果信号236aが2Tの前後の信号振幅の比較結果を表すのは時刻t8の時点である。これは、2T検出パルスが出力される時刻と一致する。
【0141】
これらから、最小連続長補正ビット位置検出部237は、補正位置信号として237aのみを時刻t8に出力する。これがビットデータ反転補正部232に与えられ、最終的に反転補正出力232aが得られる。図18から明らかなように、6ビットクロックの遅延の後に、2Tが3Tに正しく補正されて出力される。
【0142】
次に、再生RF信号補正レベルデータ210aに2Tと判別されるようなパターンが入力された別の場合を考える。この場合の各部の波形のタイミングチャートを図19に示す。ここでは、時刻t1〜t6にかけて本来一点鎖線で示されたような再生波形が得られるべきところを、タンジェンシャルスキューなどの影響で点線で示されたような再生波形に歪んでしまい、2Tパターンが生じてしまった場合、すなわち3Tパターンの前縁が欠けて2Tパターンとなってしまった場合を示している。
【0143】
図18に示された場合と同様に2Tパターンの検出と振幅の比較が行なわれ、反転補正出力232aとして正しい波形が出力される。
【0144】
次に、再生RF信号補正レベルデータ210aに1Tと判別されるようなパターンが入力された別の場合を考える。この場合の各部の波形のタイミングチャートを図20に示す。ここでは、時刻t1〜t8にかけて本来一点鎖線で示されたような再生波形が得られるべきところを、点線で示されたような再生波形に歪んでしまい、1Tパターンが生じてしまった場合、すなわち3Tパターンの前縁と後縁が欠けて1Tパターンとなってしまった場合を示している。確率的には図示のような誤りを生じることが多いため、1Tパターンを検出した場合には両隣を誤りとして極性反転を行なうことにより、正しいデータとして復調できるようになる確率が高くなる。
【0145】
シフトレジスタ233からの遅延出力233a,233b,233cに応じて1T検出パルス234aが出力される。
【0146】
これにより、最小連続長補正ビット位置検出部237は、補正位置信号として237a,237bを時刻t8に出力する。これがビットデータ反転補正部232に与えられ、最終的に反転補正出力232aが得られる。図20から明らかなように、6ビットクロックの遅延の後に、1Tが3Tに正しく補正されて出力される。
【0147】
さらに、図21は本発明の他の実施形態を示すデータ復号装置のブロック構成図である。
【0148】
この図21に示すデータ復号装置は、上述の図1に示したデータ復号装置を改良したもので、上記(d’−1)検出部16に対して(d’−2)検出部26が併設され、また、上記(k’+1)検出部17に(k’+2)検出部27が併設されている。なお、他の同一の構成要素については、同一番号を図面中に付して、その詳細な説明を省略する。
【0149】
上記(d’−2)検出部26は、A/D変換器11によりA/D変換された再生RF信号レベルデータ11aをコンパレート部13でセンターレベルを境に1または0の2値レベルにコンパレートすることにより生成された2値化信号13aについて、最小反転間隔Tminを誤った部分を検出するもので、例えば(d,k)符号がEFM変調符号であれば、記録波形列のビット間隔をTとすると最小反転間隔Tminである3Tを誤って1Tに復号した部分を検出する。そして補正処理部4では、チャネルビット列におけるエッジ位置の補正を行なう。
【0150】
上記(d’−2)検出部26及びこの(d’−2)検出部26に対応する補正処理部15の具体的な要部構成例を図22に示す。この図22に示した具体的な構成例では、EFM変調符号(2,10;8,17;1)を用いて、記録波形列のビット間隔をTとすると、1Tとなった復号データを最小反転間隔Tminである3(=2+1)Tに補正する。
【0151】
すなわち、EFMの場合は、3個の遅延回路51,52,53を用いてビット送りを行ない、各遅延回路51,52,53の出力点A,B,Cにおけるデータがそれぞれ(1,0,1)又は(0,1,0)となったときが1Tの復号データに相当するので、例えば2個の排他的論理和回路51,62と論理積回路63により構成された(d’−2)検出部26により検出する。
【0152】
そして、上記(d’−2)検出部26による検出出力は、タイミング制御用のラッチ回路64を介して補正処理部14へ送られる。
【0153】
上記補正処理部5は、上記(d’−2)検出部26による検出出力が供給される2個の排他的論理和回路54,57を備え、上記遅延回路52の出力点Bから復号データが供給される2個の遅延回路55,56の入出力段に上記排他的論理和回路54,57が設けられている。
【0154】
この補正処理部15は、図23のタイミングチャートに示すように、上記(d’−2)検出部26により1Tの復号データが検出されると、その1Tの復号データに対して両側のエッジを上記排他的論理和回路54,57により反転させる。そして、このようにして1T部分が3Tに補正されたチャネルビット列は、タイミング制御用のラッチ回路58を介して出力される。なお、1Tの復号データに対して両側のエッジを反転させる代わりに、標本点を外側にシフトさせるようにしてもよい。
【0155】
このように、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置において、同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータを検出する(d’−2)検出部26により検出された同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータに対し、データ補正部15で同一シンボルの連続長がd’となるように補正処理を行なうことにより、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0156】
なお、符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置において、逆NRZI変調した後の、”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータを検出する(d−2)検出部により検出された”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータに対し、データ補正部で”0“の連続長がdとなるように補正処理を行なうようにしても、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0157】
さらに、上記(k’+2)検出部27は、A/D変換器11によりA/D変換された再生RF信号レベルデータをコンパレート部13でセンターレベルを境に1または0の2値レベルにコンパレートすることにより生成された2値化信号について、最大反転間隔Tmaxを誤った部分を検出するもので、例えば(d,k)符号がEFM変調符号であれば、記録波形列のビット間隔をTとすると最大反転間隔Tmaxである11Tを誤って13Tに復号した部分を検出する。そして補正処理部4では、チャネルビット列におけるエッジ位置の補正を行なう。
【0158】
上記(k’+2)検出部27及びこの(k’+2)検出部27に対応する補正処理部15の具体的な要部構成例を図24に示す。この図24に示した具体的な構成例では、EFM変調符号(2,10;8,17;1)を用いて、記録波形列のビット間隔をTとすると、13Tとなった復号データを最大反転間隔Tmaxである11(=10+1)Tに補正する。
【0159】
すなわち、EFMの場合は、15個の遅延回路81A〜81Oを用いてビット送りを行ない、各遅延回路81A〜81Oの出力点におけるデータがそれぞれ(1,0,0・・・0,1)又は(0,1,1・・・1,0)となったときが13Tの復号データに相当するので、例えば2個の論理積回路71,72と論理和回路73により構成された(k’+2)検出部27により検出する。
【0160】
また、上記補正処理部15は、上記(k’+2)検出部27による検出出力が供給される2個の排他的論理和回路82,84を備え、上記遅延回路81Cの出力点から復号データが供給される12個の遅延回路83A〜83Lの入出力段に上記排他的論理和回路82,84が設けられている。
【0161】
この補正処理部15は、図25のタイミングチャートに示すように、上記(k’+2)検出部27により13Tの復号データが検出されると、その13Tの復号データに対して両側のエッジを上記排他的論理和回路82,84により反転させる。そして、このようにして13T部分が11Tに補正されに補正されたチャネルビット列は、タイミング制御用のラッチ回路85を介して出力される。13Tの復号データに対して両側のエッジを反転させる代わりに、標本点を内側にシフトさせるようにしてもよい。
【0162】
このように、符号系列内の連続する”1”の間に入る”0”の最大連続長がkである記録符号からNRZI変調した後の、同一シンボルの最大連続長がk’=k+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置において、同一シンボルの連続長が(k’+2)であるチャネルビットデータを検出する(k’+2)検出部27により検出された同一シンボルの連続長が(k’+2)であるチャネルビットデータに対し、データ補正部15で同一シンボルの連続長がk’となるように補正処理を行なうことによって、最大反転間隔Tmax付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0163】
また、符号系列内の連続する”1”の間に入る”0”の最大連続長がkである記録符号からNRZI変調した後の、同一シンボルの最大連続長がk’=k+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置において、逆NRZI変調した後の、”0”の連続長が(k+2)であるチャネルビットデータを検出する(k+2)検出部により検出された”0”の連続長が(k+2)であるチャネルビットデータに対し、データ補正部で”0”の連続長がkとなるように補正処理を行なうようにしても、最大反転間隔Tmax付近のデータ復号誤りを減少させ、ビットエラーレートを向上させることができる。
【0164】
ここで、上述のコンパレートレベルL1,L2を有するコンパレート部113により再生RF信号からチャネルビットデータを生成するようにした図8に示したデータ復号装置において、上記(d−1)検出部116に(d−2)検出部を併設することにより、最小反転間隔Tmin付近のデータ復号誤りをさらに減少させ、また、上記(K+1)検出部117に(k+2)検出部を併設するようにして、最大反転間隔Tmax付近のデータ復号誤りをさらに減少させ、ビットエラーレートを向上させるようにすることもできる。
【0165】
なお、本発明に係るデータ復号装置は、記録媒体が光ディスクだけでなく、(d,k)符号を用いて記録された光磁気ディスク等の各種のディスクの再生装置に利用することができる。また、本発明に係るデータ復号装置は、スキューマージンの確保だけでなく、線記録密度の向上に伴う最小反転間隔Tminの読み取りエラーの低減にも有効である。
【0166】
ここで、波長634nmで、NA0.52の光学系を有し、厚さ1.2mmの光ディスクを記録媒体とする再生装置を用いてEFM符号を再生し、0゜、タンジェンシャル方向に±0.66゜、ラジアル方向に±0.76゜の各スキュー角でのエラーレートを測定したところ、次の表4に示すような評価結果が得られた。
【0167】
【表4】

【0168】
この表4から明らかなように、1T,13T補正は、タンジェンシャル方向にスキュー角の大きいところでエラーレートの向上を図るのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明の実施形態を示すデータ復号装置のブロック構成図である。
【図2】上記データ復号装置におけるビット判定補正部,(d’−1)検出部及び(k’+1)検出部の回路構成図である。
【図3】上記データ復号装置における再生RF信号レベル記憶部及び補正ビット位置検出部の回路構成図である。
【図4】上記補正ビット位置検出部の他の構成例を示す回路構成図である。
【図5】上記データ復号装置における最小連続長の条件を満足しない場合の補正動作の説明図である。
【図6】上記データ復号装置における最大連続長の条件を満足しない場合の補正動作の説明図である。
【図7】上記データ復号装置における最小連続長の条件を満足しない場合の他の補正動作の説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示すデータ復号装置のブロック構成図である。
【図9】図8に示したデータ復号装置における補正動作の説明図である。
【図10】図8に示したデータ復号装置における再生RF信号のアイパターンを示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態を示すデータ復号装置のブロック構成図である。
【図12】図11に示したデータ復号装置において波形等化器として用いられる余弦等化器の回路構成図である。
【図13】図11に示したデータ復号装置におけるアシンメトリ補正回路の回路構成図である。
【図14】図11に示したデータ復号装置におけるビットクロック生成回路の回路構成図である。
【図15】図11に示したデータ復号装置において1T/2T検出部として用いられる論理回路の回路構成図である。
【図16】図11に示したデータ復号装置において絶対値回路として用いられる論理回路の回路構成図である。
【図17】図11に示したデータ復号装置において最小連続長補正ビット位置検出部として用いられる論理回路の回路構成図である。
【図18】図11に示したデータ復号装置において再生RF信号補正レベルデータに2Tと判別されるようなパターンが入力された場合の動作を示すタイミングチャートである。
【図19】図11に示したデータ復号装置において再生RF信号補正レベルデータに2Tと判別されるような別のパターンが入力された場合の動作を示すタイミングチャートである。
【図20】図11に示したデータ復号装置において再生RF信号補正レベルデータに1Tと判別されるようなパターンが入力された場合の動作を示すタイミングチャートである。
【図21】本発明の他の実施形態を示すデータ復号装置のブロック構成図である。
【図22】図21に示したデータ復号装置における(d’−2)検出部及びこの(d’−2)検出部に対応する補正処理部の要部構成を具体的に示す回路構成図である。
【図23】図21に示したデータ復号装置における補正処理部の動作を示すタイミングチャートである。
【図24】図21に示したデータ復号装置における(k’+2)検出部及びこの(k’+2)検出部に対応する補正処理部の要部構成を具体的に示す回路構成図である。
【図25】図21に示したデータ復号装置における補正処理部の動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0170】
1,100,200 データ復号装置、2,102,202 入力信号処理部、3,103,203 データ復号処理部、4,104,204 光ディスク、6,106,206 光ピックアップ、9,109,209 コンパレートレベル設定部、10,110,211 ビットクロック生成部、11,12,111,112,209 A/D変換器、13,113 コンパレート部、14,114 レベル差演算部、15,232 ビット反転補正部、16 (d’−1)検出部、17 (k’+1)検出部、18,118,237 最小連続長補正ビット位置検出部、19,119 最大連続長補正ビット位置検出部、20,120 再生RF信号レベル記憶部、26 (d’−2)検出部、27 (k’+2)検出部、115 ビット補正部、116 (d−1)検出部、117 (k+1)検出部、231 エッジ検出回路、233 シフトレジスタ、234 1T/2T検出部、235 絶対値回路、236 絶対値比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置であって、
同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータを検出する(d’−2)検出部と、
上記(d’−2)検出部により検出された同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータの補正位置を指定する補正ビット位置指定信号を出力する補正ビット位置検出部と、
上記(d’−2)検出部により検出された同一シンボルの連続長が(d’−2)であるチャネルビットデータを同一シンボルの連続長がd’となるように上記補正ビット位置検出部による補正ビット位置指定信号に基づいて補正処理を行なうデータ補正部と
を備えることを特徴とするデータ復号装置。
【請求項2】
記録媒体から読み出した再生RF信号を少なくとも1つのコンパレートレベルで復号してチャネルビットデータを出力することを特徴とする請求項1記載のデータ復号装置。
【請求項3】
上記補正ビット位置検出部は、(d’−2)区間の直前と、(d’−2)区間の直後とを補正ビット位置として指定する補正ビット位置指定信号を出力することを特徴とする請求項2記載のデータ復号装置。
【請求項4】
符号系列内の連続する”1“の間に入る”0“の最小連続長がdである記録符号のうちd≧2を満たすものからNRZI変調した後の、同一シンボルの最小連続長がd’=d+1である記録符号が記録された記録媒体のデータ再生装置におけるデータ復号装置であって、
逆NRZI変調した後の、”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータを検出する(d−2)検出部と、
上記(d−2)検出部により検出された”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータの補正位置を指定する補正ビット位置指定信号を出力する補正ビット位置検出部と、
上記(d−2)検出部により検出された”0“の連続長が(d−2)であるチャネルビットデータを”0“の連続長がdとなるように上記補正ビット位置検出部による補正ビット位置指定信号に基づいて補正処理を行なうデータ補正部と
を備えることを特徴とするデータ復号装置。
【請求項5】
記録媒体から読み出した再生RF信号を少なくとも1つのコンパレートレベルで復号してチャネルビットデータを出力することを特徴とする請求項4記載のデータ復号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−121724(P2006−121724A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322707(P2005−322707)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【分割の表示】特願平8−139264の分割
【原出願日】平成8年5月31日(1996.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】