説明

データ転送システム及びリトライ制御方法

【課題】リトライ処理の発生頻度を低減することによって性能の低下を抑制することが可能なデータ転送システムを得る。
【解決手段】データ処理装置1は、送信すべきデータを格納する送信同期化バッファ103と、送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを制御するリード制御手段110とを有し、データ処理装置2は、受信したデータを格納する受信同期化バッファ211と、受信同期化バッファ211がビジー状態であることによりデータを受信できない場合に、データ処理装置1に対してデータ送信のリトライを要求するリトライ要求生成手段213とを有し、リード制御手段110は、リトライ要求の発生間隔に応じた基準時間を求め、当該基準時間に基づいて送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ転送システム及び、該システムにおけるリトライ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、第1のバスと第2のバスとの間にデータバッファ部が接続されたデータ転送システムが開示されている。第1のバスからデータバッファ部のバッファメモリにデータを書き込み、バッファメモリからそのデータを読み出して第2のバスに送信することにより、第1のバスから第2のバスへデータが転送される。第2のバスからのリトライ要求が発生した場合には、データバッファ部内で保持しておいたそのデータをバッファメモリに再び書き込むことにより、そのデータがバッファメモリから再び読み出されて第2のバスに送信される。
【0003】
また、下記特許文献2には、高速バスと低速バスとの間にバスブリッジが接続されたデータ転送システムが開示されている。低速バスがビジー状態の時に高速バスから低速バスへのリードアクセス要求が発生した場合には、バスブリッジは、高速バスのマスタ機器に対してリトライ要求を送出するとともに、アクセスアドレスを記憶する。そして、低速バスのビジー状態が解消されると、バスブリッジは低速バスの機器に対してアクセスアドレスを書き込み、高速バスのマスタ機器はリトライ時に一度のアクセスでリード動作を実行する。
【0004】
また、下記特許文献3には、リトライ処理を実行可能なライブラリ装置が開示されている。リトライ処理が不成功である場合、計測手段は、そのリトライ処理に要した時間(実質リトライ動作時間)を計測する。また、比較手段は、その実質リトライ動作時間と所定のリトライ総和時間とを比較する。そして、実質リトライ動作時間がリトライ総和時間以下である場合にはリトライ処理が続行され、一方、実質リトライ動作時間がリトライ総和時間より大きい場合には、上位装置に対してタイムアウトが通知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−274594号公報
【特許文献2】特開平10−4420号公報
【特許文献3】特開平4−76854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜3に開示されているように、何らかの処理が不成功である場合にその処理のリトライ処理を実行する制御は広く知られている。しかしながら、リトライ処理を実行すると、本来の処理(リトライ処理ではない通常の処理)を実行するための時間がリトライ処理によって削減される。従って、リトライ処理の頻度が多くなると削減される時間も多くなるため、本来の処理に関する性能の低下を引き起こす。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、リトライ処理の発生頻度を低減することによって性能の低下を抑制することが可能な、データ転送システム及び該システムにおけるリトライ制御方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ転送システムは、第1のデータ処理装置と、前記第1のデータ処理
装置から送信されたデータを受信する第2のデータ処理装置とを備え、前記第1のデータ処理装置は、送信すべきデータを格納する送信バッファと、前記送信バッファからのデータの読み出しを制御する読み出し制御部とを有し、前記第2のデータ処理装置は、受信したデータを格納する受信バッファと、前記受信バッファがビジー状態であることによりデータを受信できない場合に、前記第1のデータ処理装置に対してデータ送信のリトライを要求する、リトライ制御部とを有し、前記読み出し制御部は、リトライ要求の発生間隔に応じた基準時間を求め、当該基準時間に基づいて前記送信バッファからのデータの読み出しを制御することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係るリトライ制御方法は、(A)第1のデータ処理装置が有する送信バッファに格納されているデータを読み出して第2のデータ処理装置に送信するステップと、(B)前記第2のデータ処理装置が有する受信バッファがビジー状態であることによりデータを受信できない場合に、前記第2のデータ処理装置から前記第1のデータ処理装置に対してデータ送信のリトライを要求するステップと、(C)リトライ要求の発生間隔に応じた基準時間を求めるステップと、(D)前記基準時間に基づいて前記送信バッファからのデータの読み出しを制御するステップとを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リトライ処理の発生頻度を低減することによって性能の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ転送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るデータ転送システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0013】
図1,2は、本発明の実施の形態に係るデータ転送システムの構成を示すブロック図である。図1,2に示すように、本実施の形態に係るデータ転送システムは、LSI等のデータ処理装置1,2と、これらを接続する配線10,20とを備えて構成されている。配線10は、データ処理装置1の出力端子151とデータ処理装置2の入力端子252とを接続する。配線20は、データ処理装置2の出力端子251とデータ処理装置1の入力端子152とを接続する。
【0014】
図1の接続関係で示すように、データ処理装置1は、送信データ保持手段100、リトライバッファ101、セレクタ102、送信同期化バッファ103、送信ビジー制御手段104、リトライ要求検出手段105、判定手段106、リトライ回数保持手段107、リトライ間隔保持手段108、タイマ109、リード制御手段110、受信同期化バッファ111、受信ビジー制御手段112、リトライ要求生成手段113、リトライ実行手段114、及び受信データ保持手段115を備えて構成されている。また、図1において破線で示すように、データ処理装置1は、所定の周波数のクロックCLK1に基づいて動作するクロックドメイン(以下「CLK1ドメイン」と称す)と、それとは異なる周波数のクロックCLK2に基づいて動作するクロックドメイン(以下「CLK2ドメイン」と称す)とに分割されている。
【0015】
送信データ保持手段100は、送信すべきデータを保持し、送信ビジー制御手段104
からデータ抑止要求を受けていない場合に、保持しているデータを出力する。リトライバッファ101は、送信データ保持手段100から入力されたデータを保持し、リトライ実行手段114からリトライ実行要求を受けた場合に、保持しているデータを出力する。セレクタ102は、送信データ保持手段100からの出力データ、リトライバッファ101からの出力データ、及びリトライ要求生成手段113からの出力データのうち、一つを選択して出力する。
【0016】
送信同期化バッファ103は、セレクタ102から入力されたデータを格納し、CLK1ドメインからCLK2ドメインへの同期化を行った後に、リード制御手段110からのリード要求に基づいてデータを読み出して出力する。送信ビジー制御手段104は、送信同期化バッファ103のビジー管理を行う。送信同期化バッファ103から出力されたデータは、出力端子151及び配線10を介して、データ処理装置2に向けて送信される。つまり、送信同期化バッファ103は、データ処理装置2に向けて送信すべきデータを格納する送信バッファとして機能する。
【0017】
リトライ要求検出手段105は、データ処理装置2から配線20及び入力端子152を介して受信したリトライ要求を検出する。リトライ回数保持手段107は、リトライ要求検出手段105がリトライ要求を検出すると、自身のカウンタをインクリメントし、そのカウンタの値を保持する。リトライ間隔保持手段108は、リトライ要求検出手段105がリトライ要求を検出すると、その検出時点でのタイマ109の値を保持する。リード制御手段110は、リトライ回数保持手段107及びリトライ間隔保持手段108がそれぞれ保持している値に基づいて、送信同期化バッファ103のリード制御を行う。つまり、リード制御手段110は、送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを制御する読み出し制御部として機能する。
【0018】
判定手段106は、データ処理装置2から配線20及び入力端子152を介して受信したデータと、受信ビジー制御手段112の出力とに基づいて、受信同期化バッファ111にデータを格納可能か否か判定する。そして、受信同期化バッファ111がビジー状態であると判定した場合には、データに所定のビジーフラグを付加して出力する。一方、受信同期化バッファ111がビジー状態でないと判定した場合には、ビジーフラグを付加することなくデータを出力する。
【0019】
受信同期化バッファ111は、判定手段106から入力されたデータを格納し、CLK2ドメインからCLK1ドメインへの同期化を行った後にデータを出力する。つまり、受信同期化バッファ111は、データ処理装置2から受信したデータを格納する受信バッファとして機能する。受信ビジー制御手段112は、受信同期化バッファ111のビジー管理を行う。リトライ要求生成手段113は、受信同期化バッファ111から出力されたデータにビジーフラグが付加されている場合に、データ処理装置2に対してそのデータの再送信を要求するためのリトライ要求を生成する。つまり、リトライ要求生成手段113は、データ処理装置2に対してデータ送信のリトライを要求するリトライ制御部として機能する。
【0020】
リトライ実行手段114は、受信同期化バッファ111の出力がリトライ要求である場合に、リトライバッファ101に対してリトライ処理の開始を要求する。受信データ保持手段115は、受信同期化バッファ111から出力されたデータのうち、リトライ要求や、ビジーフラグが付加されているデータを除く、通常のデータを格納する。
【0021】
データ処理装置2は、データ処理装置1と同様の構成を有している。図2の接続関係で示すように、データ処理装置2は、送信データ保持手段200、リトライバッファ201、セレクタ202、送信同期化バッファ203、送信ビジー制御手段204、リトライ要
求検出手段205、判定手段206、リトライ回数保持手段207、リトライ間隔保持手段208、タイマ209、リード制御手段210、受信同期化バッファ211、受信ビジー制御手段212、リトライ要求生成手段213、リトライ実行手段214、及び受信データ保持手段215を備えて構成されている。また、図2において破線で示すように、データ処理装置2は、CLK1ドメインとCLK2ドメインとに分割されている。
【0022】
送信データ保持手段200は、送信すべきデータを保持し、送信ビジー制御手段204からデータ抑止要求を受けていない場合に、保持しているデータを出力する。リトライバッファ201は、送信データ保持手段200から入力されたデータを保持し、リトライ実行手段214からリトライ実行要求を受けた場合に、保持しているデータを出力する。セレクタ202は、送信データ保持手段200からの出力データ、リトライバッファ201からの出力データ、及びリトライ要求生成手段213からの出力データのうち、一つを選択して出力する。
【0023】
送信同期化バッファ203は、セレクタ202から入力されたデータを格納し、CLK1ドメインからCLK2ドメインへの同期化を行った後に、リード制御手段210からのリード要求に基づいてデータを読み出して出力する。送信ビジー制御手段204は、送信同期化バッファ203のビジー管理を行う。送信同期化バッファ203から出力されたデータは、出力端子251及び配線20を介して、データ処理装置1に向けて送信される。つまり、送信同期化バッファ203は、データ処理装置1に向けて送信すべきデータを格納する送信バッファとして機能する。
【0024】
リトライ要求検出手段205は、データ処理装置1から配線10及び入力端子252を介して受信したリトライ要求を検出する。リトライ回数保持手段207は、リトライ要求検出手段205がリトライ要求を検出すると、自身のカウンタをインクリメントし、そのカウンタの値を保持する。リトライ間隔保持手段208は、リトライ要求検出手段205がリトライ要求を検出すると、その検出時点でのタイマ209の値を保持する。リード制御手段210は、リトライ回数保持手段207及びリトライ間隔保持手段208がそれぞれ保持している値に基づいて、送信同期化バッファ203のリード制御を行う。つまり、リード制御手段210は、送信同期化バッファ203からのデータの読み出しを制御する読み出し制御部として機能する。
【0025】
判定手段206は、データ処理装置1から配線10及び入力端子252を介して受信したデータと、受信ビジー制御手段212の出力とに基づいて、受信同期化バッファ211にデータを格納可能か否か判定する。そして、受信同期化バッファ211がビジー状態であると判定した場合には、データに所定のビジーフラグを付加して出力する。一方、受信同期化バッファ211がビジー状態でないと判定した場合には、ビジーフラグを付加することなくデータを出力する。
【0026】
受信同期化バッファ211は、判定手段206から入力されたデータを格納し、CLK2ドメインからCLK1ドメインへの同期化を行った後にデータを出力する。つまり、受信同期化バッファ211は、データ処理装置1から受信したデータを格納する受信バッファとして機能する。受信ビジー制御手段212は、受信同期化バッファ211のビジー管理を行う。リトライ要求生成手段213は、受信同期化バッファ211から出力されたデータにビジーフラグが付加されている場合に、データ処理装置1に対してそのデータの再送信を要求するためのリトライ要求を生成する。つまり、リトライ要求生成手段213は、データ処理装置1に対してデータ送信のリトライを要求するリトライ制御部として機能する。
【0027】
リトライ実行手段214は、受信同期化バッファ211の出力がリトライ要求である場
合に、リトライバッファ201に対してリトライ処理の開始を要求する。受信データ保持手段215は、受信同期化バッファ211から出力されたデータのうち、リトライ要求や、ビジーフラグが付加されているデータを除く、通常のデータを格納する。
【0028】
以下、受信同期化バッファ211がビジー状態であるときにデータ処理装置1からデータ処理装置2に向けてデータが送信された場合の動作について説明する。つまり以下の例では、データ処理装置1が送信側LSIとなり、データ処理装置2が受信側LSIとなる。なお、データ処理装置1とデータ処理装置2とは同様の構成を有しているため、以下の説明とは逆の処理を行うことにより、データ処理装置2からデータ処理装置1に向けてデータを送信することも可能である。
【0029】
図2を参照して、データ処理装置1から送信されたデータは、配線10及び入力端子252を介して判定手段206に入力される。判定手段206は、データ処理装置1から入力されたデータの種別と、受信ビジー制御手段212から入力されたビジー信号とに基づいて、受信同期化バッファ211がビジー状態であると判定すると、そのデータにビジーフラグを付加した後に受信同期化バッファ211に入力する。また、判定手段206は、リトライ処理によってそのデータのリトライデータが後にデータ処理装置1から再入力されるまで、そのデータに続いてデータ処理装置1から入力される後続のデータを廃棄する。つまり、受信同期化バッファ211へのデータの格納を抑止する。このように、判定手段206において後続データを廃棄することにより、受信同期化バッファ211への後続データの上書き処理を回避することができる。
【0030】
受信同期化バッファ211は、判定手段206から入力されたビジーフラグ付きのデータを格納し、CLK2ドメインからCLK1ドメインへの同期化を行った後に、そのビジーフラグ付きのデータを出力する。
【0031】
受信同期化バッファ211から出力されたビジーフラグ付きのデータは、受信データ保持手段215には格納されず、リトライ要求生成手段213に入力される。リトライ要求生成手段213は、入力されたビジーフラグ付きのデータに基づいて、リトライバッファ101のリードポインタ等の必要な情報を含むリトライ要求のコマンドを生成して出力する。リトライ要求生成手段213から出力されたリトライ要求は、セレクタ202を介して送信同期化バッファ203に入力される。
【0032】
送信同期化バッファ203は、セレクタ202から入力されたリトライ要求を格納し、CLK1ドメインからCLK2ドメインへの同期化を行った後に出力する。送信同期化バッファ203から出力されたリトライ要求は、出力端子251及び配線20を介して、データ処理装置1に向けて送信される。
【0033】
図1を参照して、リトライ要求検出手段105は、データ処理装置2から配線20及び入力端子152を介して受信した1回目のリトライ要求を検出する。リトライ回数保持手段107は、リトライ要求検出手段105が1回目のリトライ要求を検出すると、自身のカウンタをリセットした後、そのカウンタの値を「1」だけインクリメントし、そのカウンタの値を保持する。また、リトライ間隔保持手段108は、リトライ要求検出手段105が1回目のリトライ要求を検出すると、タイマ109をリセットした後、その検出時点でのタイマ109の値(1回目のリトライ要求の検出の場合はリセットにより例えば「0」となる)を保持する。その後、タイマ109は、経過時間のカウント動作を開始する。
【0034】
また、データ処理装置2から配線20及び入力端子152を介して受信したリトライ要求は、判定手段106に入力される。判定手段106は、受信同期化バッファ111がビジー状態でなければ、そのリトライ要求を受信同期化バッファ111に入力する。受信同
期化バッファ111は、判定手段106から入力されたリトライ要求を格納し、CLK2ドメインからCLK1ドメインへの同期化を行った後に、そのリトライ要求を出力する。
【0035】
受信同期化バッファ111から出力されたリトライ要求は、受信データ保持手段115には格納されず、リトライ実行手段114に入力される。リトライ実行手段114は、リトライ要求を受け付けると、リトライ要求の中からリードポインタ等の情報を抽出して、その情報をリトライバッファ101に入力する。リトライバッファ101は、リトライ実行手段114から入力された情報に基づいて、リトライ処理の対象のデータを読み出して出力する。
【0036】
リトライバッファ101から出力されたデータ(「リトライデータ」と称す)は、セレクタ102を介して送信同期化バッファ103に入力される。送信同期化バッファ103は、セレクタ102から入力されたリトライデータを格納し、CLK1ドメインからCLK2ドメインへの同期化を行った後に出力する。送信同期化バッファ103から出力されたリトライデータは、出力端子151及び配線10を介して、データ処理装置2に向けて送信される。
【0037】
図2を参照して、データ処理装置1から送信されたリトライデータは、判定手段206に入力される。判定手段206は、入力されたデータがリトライデータの先頭であると判定すると、受信同期化バッファ211へのデータ格納の抑止を解除する。これにより、リトライデータは判定手段206から受信同期化バッファ211に格納される。受信同期化バッファ211は、判定手段206から入力されたリトライデータを、CLK2ドメインからCLK1ドメインへの同期化を行った後に出力する。受信同期化バッファ211から出力されたリトライデータは、受信データ保持手段215に格納される。
【0038】
データ処理装置1からデータ処理装置2へのデータの送信が続けられることによってリトライ処理の必要が再び生じると、上記と同様に、データ処理装置2からデータ処理装置1へのリトライ要求の送信と、データ処理装置1からデータ処理装置2へのリトライデータの送信とが実行される。
【0039】
図1を参照して、リトライ回数保持手段107は、リトライ要求検出手段105がリトライ要求を検出する度に、自身のカウンタ値を「1」だけインクリメントし、そのカウンタ値を保持する。ここで、リトライ回数保持手段107及びリトライ間隔保持手段108には、カウンタ値に関する所定のしきい値(以下「しきい値X」と称す)が予め設定されている。リトライ回数保持手段107は、カウンタ値がしきい値Xに到達すると、その旨を示す信号をリトライ間隔保持手段108に入力する。リトライ間隔保持手段108は、リトライ回数保持手段107からその信号が入力されると、タイマ109の動作を停止し、その時点でのタイマ109の値をしきい値Xで除算する。これにより、リトライ要求の発生間隔の平均値が求められる。リトライ間隔保持手段108は、求めた平均値(望ましくはそれより数パーセント小さい値)を、リトライ間隔に関する基準時間として設定し記憶する。基準時間の設定が完了すると、リトライ回数保持手段107のカウンタ値はリセットされる。また、タイマ109の値もリセットされ、タイマ109は経過時間のカウント動作を「0」から再開する。
【0040】
リード制御手段110は、タイマ109の値が、リトライ間隔保持手段108に記憶されている基準時間に到達すると、たとえ送信同期化バッファ103に送信データが存在している場合であっても、送信同期化バッファ103からの送信データの読み出しを一定時間(例えば読み出しの1サイクルに相当する時間)だけ休止する。そして、その一定時間が経過すると、タイマ109の値をリセットするとともに、送信同期化バッファ103からの送信データの読み出しを再開する。以降は同様の動作を繰り返すことにより、送信同
期化バッファ103からの送信データの読み出しが開始されてから基準時間が経過する度に、送信データの読み出しを一時的に休止する。
【0041】
また、リード制御手段110は、基準時間が設定された以降の動作におけるリトライ要求の発生状況に応じて、リトライ間隔保持手段108に記憶されている基準時間を更新することが可能である。基準時間を更新することにより、リトライ要求の発生状況に応じた適切な運用が可能となる。
【0042】
例えば、リトライ回数保持手段107には、カウンタ値に関する所定のしきい値(以下「しきい値Y」と称す)が予め設定されている。リトライ回数保持手段107は、基準時間が設定された以降の動作においても、リトライ要求検出手段105がリトライ要求を検出する度に、自身のカウンタ値を「1」だけインクリメントし、そのカウンタ値を保持する。リトライ回数保持手段107は、カウンタ値がしきい値Yに到達すると、その旨を示す信号をリード制御手段110に入力する。一例として、リード制御手段110は、基準時間が設定されてから、リトライ回数保持手段107よりその信号を受けるまでの経過時間に応じて、その経過時間が比較的長い場合には基準時間を現在値よりわずかに小さい値に更新し、その経過時間が比較的短い場合には基準時間を現在値より大幅に小さい値に更新する。
【0043】
また例えば、リトライ要求検出手段105には、経過時間に関する所定のしきい値(以下「しきい値Z」と称す)が予め設定されている。リトライ要求検出手段105は、基準時間が設定された以降の動作において、しきい値Zに相当する時間が経過してもリトライ要求を検出しない場合には、その旨を示す信号をリード制御手段110に入力する。リード制御手段110は、リトライ要求検出手段105からその信号を受けると、基準時間を現在値より所定時間(例えば1サイクルに相当する時間)だけ大きい値に更新する。
【0044】
このように本実施の形態に係るデータ転送システムによれば、データ処理装置1は、送信すべきデータを格納する送信同期化バッファ103(送信バッファ)と、送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを制御するリード制御手段110(読み出し制御部)とを備える。また、データ処理装置2は、受信したデータを格納する受信同期化バッファ211(受信バッファ)と、受信同期化バッファ211がビジー状態であることによりデータを受信できない場合に、データ処理装置1に対してデータ送信のリトライを要求するリトライ要求生成手段213(リトライ制御部)とを有する。そして、リード制御手段110は、リトライ要求の発生間隔に応じた基準時間を求め、当該基準時間に基づいて送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを制御する。具体的には、送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを開始してから基準時間が経過した時点で、送信同期化バッファ103からのデータの読み出しを一時的に休止する。これにより、データ処理装置1からデータ処理装置2へのデータの送信も一時的に休止され、その間に受信同期化バッファ211は処理を進めることができるため、データ処理装置2においてリトライ要求が発生する頻度を低減することができる。その結果、本来の処理(リトライ処理ではない通常の処理)を実行するための時間がリトライ処理によって削減される削減量を低減できるため、本来の処理に関する性能の低下を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1,2 データ処理装置
103 送信同期化バッファ
105 リトライ要求検出手段
107 リトライ回数保持手段
108 リトライ間隔保持手段
109 タイマ
110 リード制御手段
206 判定手段
211 受信同期化バッファ
213 リトライ要求生成手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータ処理装置と、
前記第1のデータ処理装置から送信されたデータを受信する第2のデータ処理装置と
を備え、
前記第1のデータ処理装置は、
送信すべきデータを格納する送信バッファと、
前記送信バッファからのデータの読み出しを制御する読み出し制御部と
を有し、
前記第2のデータ処理装置は、
受信したデータを格納する受信バッファと、
前記受信バッファがビジー状態であることによりデータを受信できない場合に、前記第1のデータ処理装置に対してデータ送信のリトライを要求する、リトライ制御部と
を有し、
前記読み出し制御部は、リトライ要求の発生間隔に応じた基準時間を求め、当該基準時間に基づいて前記送信バッファからのデータの読み出しを制御する、データ転送システム。
【請求項2】
前記読み出し制御部は、前記送信バッファからのデータの読み出しを開始してから、前記基準時間が経過した時点で、前記送信バッファからのデータの読み出しを一時的に休止する、請求項1に記載のデータ転送システム。
【請求項3】
前記読み出し制御部は、リトライ要求の発生状況に応じて前記基準時間を更新する、請求項1又は2に記載のデータ転送システム。
【請求項4】
前記第2のデータ処理装置は、前記受信バッファがビジー状態であることによりデータを受信できない場合には、リトライ要求に応じて当該データを再受信するまで、当該データの後続のデータを前記受信バッファに格納することなく廃棄する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ転送システム。
【請求項5】
(A)第1のデータ処理装置が有する送信バッファに格納されているデータを読み出して第2のデータ処理装置に送信するステップと、
(B)前記第2のデータ処理装置が有する受信バッファがビジー状態であることによりデータを受信できない場合に、前記第2のデータ処理装置から前記第1のデータ処理装置に対してデータ送信のリトライを要求するステップと、
(C)リトライ要求の発生間隔に応じた基準時間を求めるステップと、
(D)前記基準時間に基づいて前記送信バッファからのデータの読み出しを制御するステップと
を備える、リトライ制御方法。



【図1】
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【図2】
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