説明

データ通信装置、データ通信装置の制御方法、及びプログラム

【課題】 電子メールの受信機能を持たないデバイスがPOP Before SMTP認証による電子メールの送信を行う場合がある。このような場合、メールサーバは、事前にPOPアカウントを発行しそのPOPアカウントをデバイス毎に管理している。POPアカウントを発行するとデバイス専用のメールボックスが付与される。しかし、受信機能を持たないデバイスは、メールボックスを付与されても、そのボックスに格納された電子メールを受信できない。そのため、メールサーバのメールボックスのメールが溢れ、メールサーバの挙動が不安定になる可能性がある。
【解決手段】 電子メールを受信する機能を持たない画像処理装置において、メールサーバのメールボックスに格納された電子メールを消去する指示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上のメールサーバを経由して電子メールを送信する送信手段を有するデータ通信装置、データ通信装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを経由して画像などのデータを送受信する機能を備えるデータ通信装置の一例として、MFP(Multi Functional Peripheral)が一般的に知られている。近年では、廉価なMFPであっても、ネットワークを経由した画像の送受信機能を搭載している。画像の送受信機能はさまざまなプロトコルにより実現可能であるが、なかでも電子メールに画像を添付して送受信する機能は一般的に知られている。電子メールの送受信機能は厳密には送信機能と受信機能に分類される。
【0003】
MFPに於ける電子メールの送信機能とは、MFPで読み取った画像を指定のファイル形式に変換し、メールサーバにSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)プロトコルにて送信する機能などを指す。
【0004】
MFPに於ける電子メールの受信機能とは、他のデバイスから送信された画像データをメールサーバ(POPサーバ)経由でPOP(Post Office Protocol)のプロトコルにより受信し、受信した画像データに基づく印刷等を行う機能を指す(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
近年、セキュリティの観点から、電子メールを送信する時に「POP before SMTP認証」と呼ばれる認証を行うことが一般的になっている。POP before SMTP認証では、POPのプロトコルを利用する。具体的には、電子メールをSMTPのプロトコルにて送信する前に、送信元のMFPがPOPの認証を通過したかどうかを判断する。POPの認証を通過したと判断されればSMTPによる電子メールの送信を許可し、POPの認証を通過しないと判断されれば電子メールの送信を制限する。
【0006】
ところで、ハードウェアの資源が乏しいMFPにおいては、小メモリ/低コスト化のために電子メールの送信機能に限定して搭載され、電子メールの受信機能は搭載されない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−13582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように電子メールの受信機能を搭載しないMFPであっても、セキュリティ上の観点から、POP before SMTP認証を行って電子メールを送信する場合がある。
【0009】
POP before SMTP認証を行う場合は、電子メールの送信時にPOPのプロトコルを利用して、電子メールの送信元のMFPに対するPOPの認証がされているかどうかを判断する。この認証を行うために、メールサーバは、POPのアカウントをMFPに対して発行し、発行したPOPのアカウントを管理している。一方MFPは、POP before SMTP認証を行うために予めメールサーバが発行したPOPアカウントを設定する必要がある。
【0010】
通常、メールサーバでPOPのアカウントを発行すると、メールサーバはそのMFPのために専用の受信メールボックスを付与する(MFP専用の記憶領域をメールサーバ上に確保する)。しかしながら、POPのアカウントを発行したことによって専用のメールボックスがMFPに付与されたとしても、電子メールの受信機能をもたないMFPでは、メールサーバのメールボックス内の電子メールを受信する手段はない。メールボックスに格納された電子メールを受信できないので、MFPに付与されたメールボックスに格納された電子メールを確認できない。その結果、メールボックスに格納された電子メールがMFPによってアクセスされることなく記憶され続け、最終的にMFPに割り当てられたメールサーバ上の記憶領域に電子メールを記憶しきれなくなったり、メールサーバ上のメールボックスの管理が煩雑になったりする可能性がある。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みて、メールサーバのメールボックスから電子メールを受信する機能をもたないデータ通信装置であって、POPのアカウントが発行されたデータ通信装置が、メールサーバに専用に割り当てられたメールボックスに格納された電子メールを消去する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明のデータ通信装置は、外部装置によって送信された電子メールをネットワーク上のメールサーバ経由で受信する機能をもたないデータ通信装置であって、
前記メールサーバによって前記データ通信装置に対して発行されたPOPのアカウントに基づいて、電子メールを前記メールサーバ経由で指定された宛先へ送信する送信手段と、
前記アカウントが発行されたことに従って前記データ通信装置に割り当てられた前記メールサーバのメールボックスに格納された電子メールを消去する消去指示を前記メールサーバに通知する通知手段とを
有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
電子メールの受信機能をもたないデータ通信装置であっても、POPアカウントに対応した専用の受信メールボックスの電子メールを消去する機能を提供し、メールサーバのメールボックスが溢れることによりメールサーバを安定的に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に於ける、MFPとメールサーバとクライアントPCを有するシステムの構成図である。
【図2】MFPのハードウェア構成を説明する図である。
【図3】MFPの操作部を説明する図である。
【図4】MFPに於ける、メールボックスに格納された電子メールを消去する処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】MFPに於ける、メールボックスに格納された電子メールを確認する処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】メールボックスを消去する際に表示される画面を説明する図である。
【図7】メールボックスを確認する際に表示される画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0016】
<システム構成の説明>
図1を用いて、本実施形態におけるシステム全体の構成について説明する。本システムでは、データ通信装置の一例であるMFP101と、クライアントPC103と、メールサーバ104がLAN105を介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
MFP101は、原稿画像を光学的に読み取り、画像データに変換するリーダー装置13を有する。リーダー装置13は、原稿を読み取るための機能を持つスキャナユニット11と、原稿用紙を搬送するための機能を持つ原稿給紙ユニット12とで構成される。MFP101は、更に、記録紙を搬送し、その上に画像データを可視画像として印字して装置外に排紙するLBP部(画像出力装置)45を有する。LBP部45は、複数種類の記録紙カセットを持つ給紙ユニット43と、画像データを記録紙に転写、定着させる機能を持つマーキングユニット41と、印字された記録紙をソート、ステイプルして機外へ出力する機能を持つ排紙ユニット42とで構成される。更にMFP101は制御装置102を有し、リーダー装置13、LBP部45と電気的に接続する。更にMFP101は、LAN105を介して、クライアントPC103などの外部装置やメールサーバ104と接続されている。本実施形態においては、メールサーバ104にはMFP101専用に割り当てられたメールボックスが存在すると想定する。
【0018】
制御装置102は、リーダー装置13を制御して原稿を読み取り、LBP部45を制御して画像データを記録用紙に出力する機能を提供する。また制御装置102は、リーダー装置13から読み取った画像データを、LAN105を介してクライアントPC103等の外部装置へ画像を送信する機能を提供する。電子メールの形式で送信する場合は、メールサーバ104を経由する。
【0019】
操作部150は、制御装置102に接続され、後述(図3)のLCD135やのハードキーで構成され、MFPを操作するためのユーザI/Fを提供する。
<MFPの説明>
図2を用いて、図1のMFP101のハードウェア構成をより詳細に説明する。
【0020】
180はCPUであり、MFP101の全体的な動作を制御する。スキャナインタフェース(I/F)部10には、アナログフロントエンド(AFE)15を介して、CCD17と接続されている。スキャナI/F部10は、CCD17で画像データに変換された信号を入力処理する。ここで入力された画像データは、メモリ制御部70によりDMA転送されてメインメモリ100に展開される。
【0021】
スキャナ画像処理部20は、スキャナI/F部10によりメインメモリ100に展開された画像データに対して、画像処理動作モード(カラーコピー、モノクロコピー、カラースキャン、モノクロスキャン等)に応じた画像処理を実行する。
【0022】
バッファ調停部77は、スキャナI/F部10とスキャナ画像処理部間のデータの受け渡しをメインメモリ100のリングバッファ領域(不図示)を介して行う場合、データの書き込みと読み出しを調停する。
【0023】
プリンタ画像処理部30は、入力する画像の領域編集や解像度変換を行い、得られた画像データをプリンタ出力する。プリンタインタフェース(I/F)40は、接続するレーザビームプリンタ(LBP)45に画像処理結果を出力する。
【0024】
バッファ調停部78は、プリンタ画像処理部30とプリンタインタフェース40間のデータの受け渡しをメインメモリ100上のリングバッファ領域を介して行う場合、データの書き込みと、読み出しを調停する。バッファ調停部77、78では基本構成は同一のブロックであるが、使用する用途により制御方法が異なる。
【0025】
JPEGモジュール50、JBIGモジュール60は、それぞれ所定の規格に準拠した画像データの圧縮、伸張処理を実行する。
【0026】
70はメモリ制御部であり、画像処理系の第1バス83、第2バス84、及びコンピュータ系の第3バス85をそれぞれ接続し、メインメモリ(SDRAM)100に対するデータの書き込みや読み出しのためのデータ転送制御を行なう。
【0027】
91はDMAコントローラ(DMAC)である。メモリ制御部70と協働して、各画像処理部(10、20、30、40)とメインメモリ100との間のデータ授受に関し、DMA制御するための所定のアドレス情報を生成、設定する。例えば、画像読み取りデバイスの種類、CCD17、CIS18の別に応じて、スキャナI/F部10で読み取り処理された画像データをメインメモリ100にDMA転送するためのアドレス情報をDMAのチャンネルごとに生成する。また、メインメモリ100上に展開された画像データをスキャナ画像処理部20にDMA転送する等、画像処理部(10、20、30、40)とメインメモリ100間におけるDMA制御を、メモリ制御部70と共に司るユニットとして機能する。
【0028】
ROM95には画像読み取りデバイス(CCD17やCIS18)に応じて、適した制御パラメタ、制御プログラムデータが格納されている。このためCCD17、CIS18個別のデータ出力形式に応じた画像データの入力処理が可能となり、専用のインタフェース回路を設ける必要がなくなる。また、ROM95には不揮発のデータを格納することができるため、電源のOFF/ONに関わらず保存しておきたいデータを格納する。
【0029】
第1バス83は、メインメモリ100から読み出したデータを画像処理系の各処理部(10〜60)に送出する。第2バス84は、画像処理系の各処理部(10〜60)から読み出したデータをメインメモリ100に送出する。第1バスと第2バスは対になって画像処理ブロックとメインメモリ100間の画像データの授受を行う。85は、CPU180、通信及びユーザインタフェース制御部170、メカトロ系制御部125、画像処理部内部の制御レジスタ、及びDMAC90が接続するコンピュータ系の第3バスである。
【0030】
メカトロ系制御部125にはモータ制御部110と、モータの駆動タイミングや、画像処理系の処理の同調を制御するためのタイミング制御を司る割り込みタイマー制御部120が含まれる。
【0031】
LCD制御部130は、MFPの種々の設定、処理状況等をLCD135に表示するための表示制御を行う。
【0032】
140、145は周辺機器との接続を可能にするUSBインタフェース部である。
160はメディアアクセス制御(MAC)部であり、接続する機器に対してデータをどのようなタイミングで送り出せばよいか(アクセス)等を制御するユニットである。LAN(図1の105)を介して他の機器(図1の103)と通信する場合にもこのユニットを使用する。
【0033】
<データ送信制御の説明>
次に送信機能について説明する。CPU180は、ROM95に格納されたプロトコルや送信仕様を実現するための制御プログラムを実行する。具体的には、画像格納メモリ(RAM100)に蓄積された画像に対して符号化、パケットヘッダの付加などを行い、第3バス(図2の85)、LANC(図2の160)を介してネットワーク上の情報機器、例えばクライアントPC(図1の103)やネットワーク上のメールサーバ(SMTPサーバ)経由で指定された宛先へ画像の送信を行う。
【0034】
本実施形態では、TCP/IP上でSMTPプロトコル(Simple Mail Transfer Protocol)を使用して、メールサーバ(SMTPサーバ)経由でクライアントPC(図1の103)に画像を添付した電子メールを送信する。
【0035】
更に本実施形態では、SMTPサーバ経由で電子メールを送信する際、「POP before SMTP認証」と呼ばれる認証をしてから電子メールをメールサーバ(SMTPサーバ)へ送信する。POP before SMTP認証は、電子メールを送信する前に予めPOPサーバにアクセスさせることによって認証する方式である。POP before SMTP認証を行うためには、事前にPOPサーバによりPOPアカウントを発行される必要がある。またメールサーバ(図1の104)は、事前にPOPアカウントをMFP101に対して発行すると、そのMFP101に対して専用のメールボックスを付与する。本実施形態では、MFP101用に割り当てられたメールボックスが存在する。
【0036】
なお、発行されるPOPアカウントは、あくまでもPOP before SMTP認証による電子メール送信を行うためのものであり、発行されるPOPアカウントを用いて電子メールの受信を行う機能についてはMFP101は備えていない。
【0037】
また、画像データの送信と同様に、CPU180はROM95に格納された電子メール消去制御プログラムを実行する。具体的には、CPU180はLANC(図2の160)を介してネットワーク上のメールサーバ(図1の104)に電子メールを消去する依頼を行う。消去する依頼は、TCP/IP上のPOPプロトコル(Post Office Protocol)を使用して行われる。例えば、POP3であれば、DELEコマンドをPOPサーバに送信することにより消去する依頼を行う。
【0038】
なお本実施形態では、電子メールの受信機能、すなわち、外部装置により送信された画像データをメールサーバ経由で受信し、メールサーバ経由で受信した画像データに基づいて印刷する機能は持たないことを前提とする。ただし、メールサーバを経由しない画像データの受信機能、例えば、公衆回線を介して受信するファクシミリ画像に基づく印刷などの機能は備えていても構わない。
【0039】
<操作部の説明>
図3を用いて、MFP101の操作部150について説明する。図3に操作部150の構成を示す。操作部150は、LCD135、メニュー選択キー301、テンキー302、リセットキー303、ストップキー304、スタートキー305から構成される。本実施形態では、301〜305はハードキーである。
【0040】
LCD135は、LCDC(図2の130)から入力される制御に基づいて後述する図6の画面を表示する。メニュー選択キー301はLCD135上に表示されるメニューを選択するための上下左右にスクロールするためのスクロールキーと、選択項目を確定させるための確定キーから構成される。テンキー302は、部数等の数値を直接入力するためのキーである。リセットキー303は、設定途中の状態をクリアして、設定を初期値に戻すためのキーである。スタートキー305は各種ジョブを開始する指示を与えるためのキーである。ストップキー304は、開始されたジョブを停止させるための指示を与えるキーである。
【0041】
<メールボックスクリア制御>
図4は、MFP101に於ける、メールサーバ(図1の104)のメールボックスに格納されている電子メールを消去する処理を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図4のフローチャートの各ステップは、ROM95に記憶されたプロトコルや送信仕様を実現するための制御プログラムをCPU180が実行して実現される。
【0043】
図4のフローチャートの処理は、LCD135に図6の画面601が表示された状態で開始される。
【0044】
S401では、CPU180が、メールボックスに格納された電子メールを消去する消去指示を検知する。具体的には、CPU180は、LCD135に表示された図6の画面601で<Eメール設定>602が選択されると、画面603を表示する。そして画面603で<認証/暗号化設定>604がユーザに選択されると、CPU180は画面605を表示する。そして画面605で<送信前のPOP認証>606が選択されるとCPU180は画面607を表示する。最終的に画面607の<メールボックスのクリア>609が選択されると画面610が表示される。画面610で<はい>が選択されると、メールボックスの電子メールを消去する消去指示を検知することとなる。消去指示を検知した場合はS402に進み、検知しない場合は再度S401で検知の確認を行う。
【0045】
S402では、CPU180が、メールサーバ(図1の104)の受信サーバ(POPサーバ)に関するPOPアカウントが設定されているか否かを検知する。受信サーバに関するPOPアカウントは、ユーザ名やパスワード、ドメイン名等である。POPアカウントは、不図示の不揮発記憶領域に保存される。従って、一度POPアカウントの設定が行われるとその情報はMFP(図1の101)の電源OFF/ONに関わらず保存される。また、受信サーバの設定は図6の画面607で行われる。S402で、CPU180によりメールサーバに対するPOPアカウントの設定がされていることを検知した場合はS403に進み、設定されていない場合は受信サーバのメールボックスに対してアクセスすることができないためS401に戻る。
【0046】
S403では、CPU180が、現在MFP(図1の101)が電子メールを送信中であるか否かの確認を行う。電子メールを送信中でなければS404に進み、電子メールを送信中であればこのタイミングではメールボックスの電子メールの消去が実行できないためS401に戻る。ただし、S403のステップは制御装置(図1の102)のハードウェア構成や図2のROM95に格納された制御プログラムによっては不要の場合がある。つまり電子メールの送信と消去が同時に行えるような制御が可能な場合である。本実施形態では、CPU180が、LCD135上に図6の601〜610の画面を表示し、ユーザによるハードキー押下を検知することによりメールボックスの電子メールの消去を実現する。従って、電子メールの送信を同時に指示することができないため必ずS404に進む。
【0047】
S404では、CPU180が、メールサーバ(図1の104)に対して現在メールボックスのクリア中か否かを問い合わせる。もし、現在メールボックスクリア中の場合メールボックスのクリア処理は不要であるためS401に戻る。現在メールボックスのクリア中でなければS405に進む。
【0048】
S405では、CPU180が、メールサーバ(図1の104)に対してメールボックスの消去することを示す消去指示を送信する。具体的には、以下の手順に沿って消去指示が送信される。まず、POP3の仕様で規定されているLISTコマンドをメールサーバに送信する。LISTコマンドを送信すると、メールサーバ104は、送信元のMFP101に割り当てられているメールボックスに格納されている電子メールの一覧情報をMFPに応答する。MFP101は、応答として受信した電子メールの一覧情報に基づき、電子メールの番号を指定してDELEコマンドをメールサーバに送信する。本実施形態では、取得した一覧情報に記述されている全ての電子メールを指定してDELEコマンドを送信する。
【0049】
S405でDELEコマンドをメールサーバ104へ送信(通知)すると、メールサーバ104では、DELEコマンドに応じてメールボックスに格納されている電子メールを消去する。なお消去する電子メールには、LANC(図2の160)を介してMFP101により送信された電子メールに対する自機宛ての応答メールやエラーメールなどが想定される。
【0050】
本実施形態では、メールボックスに格納されている電子メールを消去する消去指示は、MFP101に装備された操作部150でユーザから指示を受け付けたことに従ってされるものとしている。しかしながら、図2のROM95に格納された制御プログラムが遠隔からの指示を受け付けることに対応していれば、遠隔の情報機器から消去要求を行うことも可能である。
【0051】
また、ユーザが直接指示するのではなく、間接的な指示により自動的にメールボックスに格納されたメールを消去することも可能である。
【0052】
例えば、予め611の画面で<メールボックスの自動クリア>612を選択すると、メールボックスの電子メールを自動的に消去する設定がされる。これにより、S401において、CPU180はユーザによるハードキー押下を検知することなく、消去指示を自動的に受け取ることができる。自動的に消去指示を受け取るタイミングは以下に挙げたもののいずれかを採用してもよい。
・MFP101の起動時
・前回の電子メール消去処理から一定時間が経過した時
・画像データ送信の開始時
・画像データ送信の終了時
以上より、本実施形態によれば、電子メールに画像を添付して送信する機能を持つが、電子メールを受信して画像を処理する機能を持たないMFPにおいても、POP before SMTP認証による電子メールの送信が可能となる。
【0053】
更に本実施形態によれば、POP before SMTP認証による電子メールの送信後、その送信した電子メールの応答としてメールボックスに格納される(可能性がある)応答メールやエラーメールを消去可能とした。この結果、メールサーバのメールボックスに格納されている電子メールがメールボックスの記憶領域に記憶しきれなくなり、メールサーバの挙動が不安定になる事態を防止することができる。また本実施形態によれば、不必要な電子メールがメールサーバ上に記憶され続けるような事態を避けることができる。
【0054】
<メールボックス確認制御>
図5は、メールボックスに電子メールが存在するか否かを確認するフローチャートである。図5のフローチャートの各ステップは、ROM95に記憶された制御プログラムをCPU180が実行して実現される。
【0055】
図5のフローチャートの処理は、MFP101の操作部150に図7の画面701が表示された状態で開始される。
【0056】
S501では、CPU180が、メールボックスの確認指示を意味するハードキーの押下を検知する。この時、CPU180は、LCD135に表示された図7の画面701で<ネットワーク状況>702の押下を検知すると、画面703を表示する。そして、画面703で<メールボックス状況>704が押下されたことにより、メールボックスに格納されている電子メールの確認指示を検知する。CPU180が確認指示を検知した場合はS502に進み、検知できなかった場合は再度S501で検知の確認を行う。
【0057】
S502では、CPU180が、メールサーバ(図1の104)に対してメールボックスに電子メールが存在するか否かを確認する。この確認には、POPの仕様で規定されているLISTコマンドをメールサーバに送信することにより行われる。LISTコマンドの送信に対する応答として、1つ以上の電子メールの一覧情報を取得した場合には、メールボックスに電子メールが存在すると判断する。なお、S502の処理の前にS402で説明したように予め受信サーバのPOPアカウントが設定されているか否かを検知してもよい。
【0058】
S503では、CPU180が、LCD135上に電子メールの有無を表示する。図7の705はその表示画面の例である。この例ではメールサーバ(図1の104)に電子メールが存在していることを通知している。そして、この通知はユーザがメールボックスの消去を実行するための1つの判断材料となり得る。
【0059】
本実施形態では、メールボックスに格納されている電子メールを確認する確認指示は、MFP101に装備された操作部150でユーザから受け付けたことに従ってされるものとしている。しかしながら、図2のROM95に格納された制御プログラムが遠隔からの指示を受け付けることに対応していれば、遠隔の情報機器から消去要求を行うことも可能である。
【0060】
また、ユーザが直接指示するのではなく、間接的な指示により自動的にメールボックスに格納された電子メールを確認することも可能である。
【0061】
本実施形態では、図5の確認処理の結果、メールボックスに電子メールが残っているかどうかを示す画面をLCD135に表示している。しかし、LCD135に表示するとともに、CPU180がS502で電子メールの有無を確認し、電子メールが残っていると判断した場合に、電子メールの消去指示を発行するようにしてもよい。
【0062】
(他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0063】
101 MFP
103 クライアントPC
104 メールサーバ
180 CPU
95 ROM
135 LCD
160 LANC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置によって送信された電子メールをネットワーク上のメールサーバ経由で受信する機能をもたないデータ通信装置であって、
前記メールサーバによって前記データ通信装置に対して発行されたPOPアカウントに基づいて、電子メールを前記メールサーバ経由で指定された宛先へ送信する送信手段と、
前記POPアカウントが発行されたことに従って前記データ通信装置に割り当てられた前記メールサーバのメールボックスに格納された電子メールを消去する消去指示を前記メールサーバに通知する通知手段とを
有することを特徴とするデータ通信装置。
【請求項2】
前記通知手段によって通知された消去指示で消去される電子メールは、前記送信手段により送信された電子メールに対する応答メールであることを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。
【請求項3】
ユーザの操作を受け付ける操作手段を更に有し、
前記通知手段による消去指示は、前記操作手段で受け付けたユーザの操作に応じて通知されることを特徴とする請求項1または2に記載のデータ通信装置。
【請求項4】
外部装置によって送信された電子メールをネットワーク上のメールサーバ経由で受信する機能をもたないデータ通信装置の制御方法であって、
送信手段が、前記メールサーバによって前記データ通信装置に対して発行されたPOPアカウントに基づいて、電子メールを前記メールサーバ経由で指定された宛先へ送信する送信工程と、
通知手段が、前記アカウントが発行されたことに従って前記データ通信装置に割り当てられた前記メールサーバのメールボックスに格納された電子メールを消去する消去指示を前記メールサーバに通知する通知工程とを
有することを特徴とするデータ通信装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ通信装置が備える各手段を実行させるための、コンピュータが読取可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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