説明

トイレット・ブラシ又はトイレット・プランジャ用のばね付勢式容器

トイレット・ブラシ又はトイレット・プランジャ等の用具を収納する容器である。容器は、用具の収納時又は取出し時に容器内を垂直に移動させられるプラットフォームの動作を介して開位置と閉位置との間を旋回可能である。壁部を起動するために、アクチュエータが備えられ、用具を容器から取り出すと、付勢部材によって壁部が開位置に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用具、例えばトイレット・ブラシ又はトイレット・プランジャの収納用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレット・ブラシ又はトイレット・プランジャの収納用容器は、開位置・閉位置間を移動可能な1対の壁部を含むハマグリ状貝殻構造を有する形式のものが公知である。この容器は、概して3部分から構成されている。すなわち、基部と基部に取り付けられた1対の壁部である。各壁部は、旋回可能に基部に取り付けられている。各壁部は、また壁部に対し直角に延びる底部分を有し、各底部分が互いに重なっている。トイレット・プランジャ又はトイレット・ブラシ等の用具を、壁部の間の底部分上に置くと、用具の重みで底部分が押し下げられ、それによって壁部も開位置から閉位置へ移動する。用具は、これで容器内に囲い込まれ、壁部が用具の基部、例えばブラシ部分又はプランジャ部分を取り囲み、柄が、壁部の頂部に形成された開口から突出するかたちになる。
【0003】
底部分の重なりを利用することで、壁部が効率的に閉位置へ移動させることができる。しかし、この種の容器は、時々、完全には閉まらないことがあったり、互いにぴったり閉じずに、壁部縁の間に隙間ができたりすることがある。その上、この種の容器は、開位置にロック又は維持できず、閉じてしまうため、容器内への用具挿入に特別な労力を必要とする。例えば、用具の柄を引張り上げて用具を容器から取り出すさいに、ブラシ部分やプランジャ端部を壁部内側に当付けて、壁部を開位置に移動させる。しかし、用具を容器から取り出してトイレットを清浄化したり詰まりを通したりする間、容器壁部は閉じることがある。容器には壁部を開位置に維持する機構がないため、不注意で壁部の一方にぶつかったりすると、壁部が閉じてしまうことがある。
【0004】
このため、用具を容器へ戻す場合、容器を迅速かつ容易に開くことができない。使用者は、身をかがめて、手で壁部を掴んで開いてから、用具を挿入しなければならない。容器が汚れていたり、細菌その他が付着しているようなときには、手を壁部に触れるのは望ましくない。したがって、用具を取出した後で壁部が不注意で閉じることがあるのは極めて望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの欠点が除去された容器、それも迅速かつ安価に製造できる容器が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明により、基部と、基部に取り付けられ第1位置と第2位置間を移動可能な壁部と、基部に付勢取付けされたプラットフォームと、プラットフォームの移動時に壁部が第1/第2位置間及び第2/第1位置間を移動するように壁部/プラットフォーム間に配置されたアクチュエータとを含む容器が得られる。一態様では、プラットフォームが基部から上方へ付勢された第1状態に置かれ、該プラットフォームが上に用具を受容するように付形されており、プラットフォーム上に用具を置くことによりプラットフォームが押し下げられて第2状態になり、壁部を第1位置から第2位置へ移動させる。また、一態様では、用具の除去時に、プラットフォームが上方へ付勢され第1状態となり、壁部を第2位置から第1位置へ移動させる。更に一態様では、アクチュエータがフランジと枢軸部材とを含み、フランジはプラットフォームに取り付けることができ、枢軸部材はフランジに結合された壁部から突出するようにすることができ、これによりプラットフォームの運動時に枢軸部材がフランジ内で変位することで、壁部が第1と第2の位置間を移動させられる。
【0007】
一態様では、プラットフォームを付勢部材上に取り付けられることができ、これにより、プラットフォームは、上方へ付勢されて基部から押し上げられた第1状態と、押し下げられて基部に隣接する第2状態との間を移動することができる。一態様では、1対の壁部が基部にヒンジ取り付けされ、用具がプラットフォーム上に置かれ、プラットフォームを第2状態に押し下げることで、壁部が第1位置を占め、用具の一部が容器壁部内に囲み込まれる。一態様では、フランジがスロットを含み、枢軸部材がロッドを含むことができ、ロッドが、スロット内でスロットの第1と第2の端部間を移動することができる。プラットフォームが第1状態にある時には、ロッドはスロットの第1端部に位置し、プラットフォームが第2状態にあるときには、ロッドは第2端部に位置する。ロッドが第1端部と第2端部間を移動することで、壁部は第1位置と第2位置間を旋回する。
【0008】
一態様では、基部がカップを含み、ばねが、このカップ内に取り付けられ、プラットフォームを付勢する。一態様では、プラットフォームが、ばねを受容するための突起を底部に有しており、これにより、ばねをプラットフォームの突起と基部のカップとの間に配置することできる。一態様では、プラットフォームが、各側に1対のフランジを有し、各フランジがロッド受容用のスロットを含むことができる。一態様では、容器が中心軸線を有し、プラットフォームが中心軸線に沿って垂直に付勢されるようにすることができる。一態様では、スロットを中心軸線に対し直角方向に配位できる。一態様では、プラットフォームの各側が1対のフランジを含むことができ、各フランジがスロットを有している。
【0009】
一態様では、各枢軸部材がロッドを含むことができ、該ロッドは、露出端部と、各対のフランジのスロット内に受容される端部とを有している。一態様では、プラットフォームが、概して円筒形であり、用具の作業端部を受容する中央受容部を有し、基部は受容部を囲む外壁を含むことができる。一態様では、外壁が開口を含むことができ、該開口から枢軸部材を受容できる。一態様では、1対のフランジが概して受容部と外壁との間に配置され、フランジの1つが開口の概して各側に配置されている。一態様では、壁部を旋回可能に取り付けるために、基部が、各壁部の旋回構造部を受容する拘束指を含むことができる。一態様では、基部が、プラットフォームから突出するタブを受容する柱状部を含むことができ、しかも、該柱状部とタブとにより、プラットフォームが基部に対し半径方向に整合させられる。一態様では、基部には、底部周囲に環状部材を配置できる。
【0010】
本発明の別の実施例では、用具を収容する容器を操作する方法が得られる。該方法は、1対の壁部と壁部内に付勢取り付けされたプラットフォームとを有する容器を得る段階と、1対の壁部間に用具端部を挿入する段階と、プラットフォーム上に用具端部を載せる段階と、用具の重みでプラットフォームに加わる下向き力によりプラットフォームを起動する段階と、壁部を第1位置から第2位置へ旋回させることで用具端部を囲い込む段階と、用具を持ち上げてプラットフォームから引き離す段階と、プラットフォームをプラットフォーム下に配置された付勢部材を介して上方へ押し上げる段階と、プラットフォームの上昇運動を介して壁部を閉位置から開位置へ旋回させる段階とを含んでいる。
【0011】
一態様では、この方法は、更に、壁部から突出するロッドを受容するためのフランジを有するアクチュエータを備え、アクチュエータを介してプラットフォームの垂直運動をフランジ上を移動するロッドの弧状運動に変換する段階と、壁部を旋回させる段階とを含んでいる。一態様では、この方法は、更に、用具をプラットフォーム上に置いて付勢力に抗する重みが加わるまで、ラットフプォームを上方へ押し上げる付勢部材の付勢力により壁部を開位置に維持する段階を含んでいる。
【0012】
更に別の実施例では、本発明は容器を組み立てる方法を提供するものである。該方法は、フランジと、付勢部材と、拘束指を備えた基部及び旋回構造物を備えた壁部と、枢軸部材とを有するプラットフォームを得る段階と、基部上で壁部が旋回するように、壁部の旋回構造物を基部の拘束指に取付ける段階と、付勢部材を基部に取り付ける段階と、プラットフォームが付勢部材によって支持されるように、プラットフォームを基部に取付ける段階と、プラットフォームの垂直運動が枢軸部材と壁部との旋回運動に変換されるように、フランジを枢軸部材に取り付ける段階とを含んでいる。一態様では、この方法は、更に、枢軸部材から突出するロッドとフランジ上のスロットとを得る段階と、ロッドをスロット内に挿入して、プラットフォームが押下げられた時のスロット第1端部と、プラットフォームが押し上げられた時のスロット第2端部との間をロッドがスライドするようにする段階とを含んでいる。
【0013】
本発明の別の実施例では、基部と、基部に付勢取り付けされたアクチュエータと、アクチュエータに取り付けられ付勢されて開位置を占める閉鎖部材とを含む容器が得られる。該閉鎖部材は、開位置から次第に離れることができるが、アクチュエータは、閉鎖部材を自動的に開位置へ戻すように自動的に付勢する。一態様では、付勢部材は、基部に取り付けることができ、アクチュエータに付勢する。一態様では、閉鎖部材は、開位置から閉位置へ移動可能であり、付勢部材に抗する力が加わっている間は、閉位置に留まることができる。一態様では、プラットフォームは容器内に配置され、アクチュエータがプラットフォームに取り付けられる。一態様では、閉鎖部材は基部に旋回可能に取付けられた壁部を含むことができる。
本発明の保護されるべき対象の理解を容易にするために、添付図面につき実施例を説明する。以下の説明と関連させて実施例を検討することにより、本発明の保護対象の構成、操作、利点が容易に理解され、評価されよう。
【0014】
本発明を図1〜図8に示した実施例につき説明する。図1〜図3、図5〜図8には、トイレット・プランジャを受容し収納する容器の一実施例が示されている。図2及び図4には、トイレット・ブラシを収納する容器の一実施例が示されている。しかし、本発明は、他の用具、例えば家庭用の他の用具や、容器に収納するのが望ましい用具で作業端部から柄が突出した何らかの用具の収納にも使用できる。図は、プランジャ又はブラシ収納用の一実施例を示したものだが、符号は各実施例の類似部材には類似の符号が付されている。
【0015】
容器10は基部20を含んでいる。一態様では、基部20は、円筒形で、環状リム22と底部23を含んでいる。一態様では、パッド25が底部23の周囲に設けられ、床等の平らな面上に配置された場合に基部20を安定化するのに役立っている。1対の閉鎖部材、つまり壁部31,32が、基部20に旋回可能に取り付けられている。図示の実施例は1対の壁部31,32を含んでいるが、本発明は、3つ以上の壁部を有していてもよい。本発明の機構が、2つ以上の壁部又は閉鎖部材を有する容器10の操作に適していることを理解されたい。
【0016】
図示のように、両壁部は、概して弧状であり、閉状態で互いに結合している場合には(図7、図8)、概して放物面を形成する。この放物面形状は、内部に収納されるプランジャ又はブラシが概してドーム形状であると考えられるので、好都合である。しかし、別の実施例では、壁部形状31,32は、中に置かれる用具形状により近い形状に形成できる。別の実施例では、壁部31,32は多角形状で、中に配置される用具に対応する形状にも、対応しない形状にもすることができる。各壁部は、下部33と上部34とを有している。各壁部31,32は、その上部34に半円形の頚部35a,35bを有している。壁部31,32が閉位置にある場合には、半円形頚部35a,35bは互いに当接し、円形の穴35を形成し、この穴を通して用具の柄が突出する。別の態様では、壁部31,32の閉鎖時に、どのような形状の穴35が形成されてもよい。
【0017】
各壁部31,32の下部33には、アクチュエータ40が隣接配置されている。一態様では、アクチュエータ40は、枢軸部材41と旋回構造物42とを含んでいる。アクチュエータ40は、更にフランジ45を含んでいる。アクチュエータ40は、プラットフォーム50を介して動作させられるさいに、壁部31,32を旋回させる。一態様では、旋回構造物42は、基部20の環状リム22に形成された拘束指51に受容される半円形タブである。一態様では、3つの拘束指51が基部20の両側、例えば12時と6時の位置(図5)に設けられている。一態様では、1対の旋回構造物42が、各アクチュエータ40に設けられ、拘束指51に受容される。一態様では、拘束指51と旋回構造物とが精密成形され、それにより半円形タブ42が拘束指51内にスナップばめでき、基部20に対する壁部31,32の旋回結合が可能になる。しかし、どのようなヒンジ式機構を用いて壁部31,32を基部20に取り付けることもできる。アクチュエータ40の枢軸部材41は詳しくは後述する。
【0018】
プラットフォーム50,50aは基部20に取り付けられている。プラットフォーム50,50aは、概して円筒形で内部が用具60,64を受容するように付形されている。図1、図3、図5〜図8に示すように、プラットフォーム50は内部がプランジャ60を受容するように付形されている。プラットフォーム50は、中央受容部57,57aと外壁53,53aとを含んでいる。各外壁53は1対の開口55,56を有している。一態様によれば、第1開口55は12時の位置に、第2開口56は6時の位置に設けられている。各開口55,56は、そのなかに配置されるフランジ45を露出させる(図6)。
【0019】
一態様では、1対のフランジ45が、開口55,56の各側で各開口55,56内に配置されている。受容部57と、底部58と、外壁53とを含むプラットフォーム50,50aの全体形状は、中に置かれる用具60,64に対応するように付形される。図1、図3、図5、図8に示したように、受容部57は、プランジャ60の作業端部61の外径より僅かに大きい外径を有しているので、作業端部をプラットフォーム50上に確実に載置できる。上部リム62は、またプランジャ60の突出環状リムに対応するように付形され、プラットフォーム50上にプランジャを安定させるために突起63を含んでいる。
【0020】
図2及び図4に示すように、プラットフォーム50aは、受容部57aが中に受容されるブラシ64より僅かに大き目に付形されている。受容部57aを例えば切頭円錐形にすることで、トイレット・ブラシの切頭円錐形の端部64を受容することができる。別の態様では、プラットフォーム50,50a及びその受容部57,57aは、そこに挿入される用具作業端部に対応する何らかの形状に付形することができる。
【0021】
一態様では、プラットフォーム50は、コイルばね68等の付勢部材を受容するための突起65(図6参照)を含んでいる。ばね68は、基部20に形成されたカップ69内に受容される(図5)。ばね68は、カップ69と基部65との間に配置され、基部20上のプラットフォームを付勢する。別の態様では、付勢部材68は、どのような公知の機械的な付勢手段、例えば一体丁番、弾性アーム、環状ばねアームでもよい。付勢部材68は、別の態様では、また直接にアクチュエータ40又は壁部31,32を付勢するようにしてもよい。一態様では、ばね68の縦軸線は、プラットフォーム50及び基部20の中心軸線と整合する。加えて、壁部31,32は、穴35の中心が中心軸線と整合するように、基部20に取り付けられる。したがって、プラットフォーム50,50a上に用具60,64を置いた場合、用具の柄80は、中心軸線と整合し、穴35を通して突出する。
【0022】
一態様では、プラットフォーム50はタブ70を含み、該タブが基部20から上方へ突出する柱状部71内へ受容される(図5,図6,図8参照)。タブ70と柱状部71との整合により、プラットフォーム50が基部20に半径方向に整合し、それによってプラットフォーム50のフランジ45及び開口55とが基部20の拘束指51と整合する。このように配向することによって、アクチュエータ40を、その旋回構造部42が拘束指51に取り付けられるように、配設できる。アクチュエータ40は開口55,56に受容され、枢軸部材41がプラットフォーム50のフランジ45に係合する。受容部57には、排出スリット73を設けることができる。
【0023】
既述のように、プラットフォーム50,50aは、少なくとも1つのフランジ45を有している。一態様では、1対のフランジ45が各側に設けられている。各フランジは開口55,56に隣接するスロット75(図6)を含んでいる。各スロット75は、概して長円形で、プラットフォーム50の中心軸線と直角に延びている。スロット75は枢軸部材41を受容する。一態様では、枢軸部材は、1対の自由端78a,78bを有するように構成されたロッド77である。自由端78a,78bは、ロッド77の各端部のところに位置するスロット75に受容される。各スロット75は第1端部81と第2端部82とを含んでいる。ロッド77は、スロット75の第1端部81と第2端部82との間で並進運動する。図3及び図4に示すように、ロッド77の自由端78aがスロット75の第1端部81のところに受容されると、壁部31,32は外方へ旋回し、開位置、すなわち第1位置を占める。アクチュエータ40は、別の態様では、他の公知の機構によって壁部31,32を動作させることができる。例えば、フランジ45は、壁部31,32に設けてもよく、枢軸部材41はプラットフォーム50に設けてもよい。
【0024】
容器10の操作は、壁部を図1〜図4に示す開位置から、図7及び図8に示す 閉位置、つまり第2位置へ移動させることで進行する。開位置は、図1及び図2に示すように、容器10内に用具が挿入されていない時に、壁部が占める位置である。用具、例えばプランジャ60又はブラシ64は、壁部31,32の間に挿入される。用具が、図3及び図4に示すように、プラットフォーム50上に置かれる迄は、ばね68によってプラットフォーム50が付勢されているため、壁部31,32は開位置に維持される。使用者が用具を手放すと、図8に示すように、用具の重みでプラットフォーム50は押し下げられる。ばね68は、用具の重みを受けて圧縮するように配慮した付勢率に予め定めておく。一態様では、容器10と用具60,64とが、一パッケージとして設計され、組み立てられ、販売される。したがって、用具60,64の重さは予め決めることができ、ばね68の付勢率も入念に選択して予め決めることができる。プラットフォーム50上に用具60,64を置くと、ばね68は圧縮され、プラットフォーム60は基部20のほうへ下降し、第2状態となる。
【0025】
プラットフォーム50が下降すると、ロッド77は、スロット75の第1端部81から第2端部82へ移動する。プラットフォーム50、フランジ45、スロット75の垂直下降運動により、ロッド77が基部20のほうへ弧状に移動させられる。アクチュエータ40が旋回構造部42から延びる枢軸部材41を有するように構成されていることにより、壁部31,32が、図7及び図8に示す閉位置、つまり第2位置へ向って内方へ旋回する。用具60がプラットフォーム50上に置かれると、プラットフォーム50は下降するため、概して基部20に当接し、ばね68は、完全に圧縮されて第1状態となる(図8参照)。閉位置では、用具60は、容器10の閉じた壁部31,32内に囲い込まれる。
【0026】
容器の操作は、容器10から用具60,64を除去することによって継続される。柄80を掴んで、用具60,64を中心軸線に沿って引き上げることで、図3及び図4に示すように、プラットフォーム50から用具の重みが除去される。
プラットフォーム50から重みが除去されると、ばね68は、中心軸線に沿ってプラットフォームを上方へ付勢する。ばね68の付勢力によって、プラットフォーム50は押し上げられ第1状態となり(図3、図4参照)、フランジ45が上方へ移動させられ、それによってロッド77が、スロット75の第2端部82から第1端部81へ移動する。ロッド77の移動によって、壁部31,32は外方へ旋回し開位置に至る。したがって、容器を開くために、例えば用具の作業端部61を壁部31,32の内側に当てがって、作業端部61で壁部を押し広げる必要はない。
【0027】
用具60,64が完全に壁部31,32の間から取り出されると、容器10は開位置に留まる。ばね68がプラットフォーム50を上方へ付勢し続けるので、壁部は、図1及び図2に示すように、外方へ旋回したままとなる。したがって、用具60,64を使用している間、例えば、トイレット・ブラシ64を使用してトイレットを洗浄している間、又はプランジャ60を用いてトイレットの詰まりを通している間、容器10は開位置に留まっている。壁部31,32が使用者の足にぶつかって閉位置に向っても、壁部31,32は自動的に外方へ付勢されるので、開位置へ戻される。
【0028】
一実施例では、容器は次の複数段階をへて組み立てられる。一態様では、容器10の構成部材の各々は、硬質ポリマー材料の射出成形品でよい。基部20にはリング90が配置される。壁部31,32の各々は、旋回構造物42が拘束指51内へ挿入されることで基部に取り付けられる。一態様では、旋回構造物42は、拘束指51間にスナップばめできる。次いで、ばね68をカップ69内に取り付けることができる。次いで、プラットフォーム50を基部20上に配置し、突起65が、ばね68と整合するようにし、かつタブ70が柱状部71と整合するようにする。この整合によって、アクチュエータ40は開口55,56と整合し、アクチュエータ40が開口55,56内に突入することで、ロッド77がスロット75と整合し、スロット75内へ挿入される。
【0029】
このように、容器10は、簡単かつ迅速に組み立て可能なことが理解されよう。容器10を包装又は発送するためには、接着デカルコマニア又は接着テープを壁部31,32の各側に貼り付けることで、壁部31,32を閉位置に固定する。最終使用者が受け取ったときに、接着テープその他が除去され、用具60,64が挿入されるまで容器10は開位置に維持される。あるいはまた、容器10は、包装され、閉位置で内部に収容された用具60,64と一緒に発送してもよい。
【0030】
以上、添付図面につき述べた事柄は、説明目的のものであり、本発明を制限するものではない。図示し説明した実施例や態様は特定のものであるから、当業者が、出願人の寄与の広い観点を逸脱することなしに、変化形や変更態様を作り得ることが理解されよう。先行技術に基づいて適正に見た場合に請求される実際の保護範囲は、特許請求の範囲で定義される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるプランジャ用容器の一実施例を開位置で示す斜視図。(実施例1)
【図2】本発明によるトイレット・ブラシ用容器の一実施例を開位置で示す斜視図。(実施例2)
【図3】図1の3−3線に沿って截断した容器の断面図。
【図4】図2の4−4線に沿って截断した容器の断面図。
【図5】図1の容器の、上方から見た分解斜視図。
【図6】図1の容器の、下方から見た分解斜視図。
【図7】図1の容器を閉位置で見た側面図。
【図8】図7の8−8線に沿って截断した断面図。
【符号の説明】
【0032】
10 容器
20 基部
22 環状リム
23 底部
31,32 壁部
33 下部
34 上部
35 円形の穴
35a,35b 半円形部分
40 アクチュエータ(枢軸部材41、旋回構造部42、フランジ45から成る)
41 枢軸部材(1対の自由端を有するロッド77)
42 旋回構造物
45 フランジ
50 プラットフォーム
51 拘束指
53,53a 外壁
55,56 開口
57,57a 中央受容部
58 底部
60,64 用具
62 上部リム
63 突出部
65 突起
68 ばね(付勢部材)
70 タブ
71 柱状部
73 排出スリット
75 スロット
77 ロッド
81 スロットの第1端部
82 スロットの第2端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器において、
基部と、
基部に取り付けられ、第1位置と第2位置との間を移動可能な壁部と、
基部上に付勢取付けされたプラットフォームと、
プラットフォームの移動時に壁部が第1位置と第2位置との間を移動するように、壁部とプラットフォームとの間に配置されたアクチュエータとを含む容器。
【請求項2】
前記プラットフォームが、第1状態では基部から上方へ付勢され、用具を受容されるように付形されており、プラットフォーム上に用具が置かれと、プラットフォームが押し下げられて第2状態になり、かつ壁部を起動して第1位置から第2位置へ移動させる、請求項1に記載された容器。
【請求項3】
用具を取り出すと、プラットフォームは上方へ付勢されて第1状態となり、かつ壁部を起動して第2位置から第1位置へ移動させる、請求項2に記載された容器。
【請求項4】
前記プラットフォームが、上方に付勢され基部上方へ持ち上げられる第1状態と、押し下げられて基部に隣接する第2状態との間を移動するように、付勢部材上に取り付けられる、請求項1に記載された容器。
【請求項5】
1対の壁部が基部にヒンジ取り付けされており、用具がプラットフォーム上に置かれて、プラットフォームが押し下げられ第2状態になることで、壁部が第2位置へ移動し、用具の一部が容器壁部内に囲い込まれる、請求項1に記載された容器。
【請求項6】
前記アクチュエータがフランジと枢軸部材とを含み、フランジはプラットフォームに取付けられ、枢軸部材は、壁部から突出し、フランジに結合されることで、プラットフォームの移動時にフランジ上を変位し、これにより壁部が第1と第2に位置間を移動する、請求項1に記載された容器。
【請求項7】
前記フランジがスロットを含み、前記枢軸部材がロッドを含んでおり、該ロッドが、スロットの第1端部と第2の端部の間を移動し、プラットフォームが第1状態にある時にはスロット第1端部に位置し、プラットフォームが第2状態にある時にはスロット第2端部に位置し、かつまたロッドがスロット第1端部と第2端部間を移動することにより壁部が第1位置と第2位置の間を旋回する、請求項6に記載された容器。
【請求項8】
前記基部がカップを含み、カップ内にばねが配置され、プラットフォームを付勢する、請求項1に記載された容器。
【請求項9】
前記プラットフォームが、ばね受容用の突起を底部に含むことで、ばねがプラットフォームの突起と基部のカップとの間に配置されるようになっている、請求項8に記載された容器。
【請求項10】
前記プラットフォームが、各側に配置された1対のフランジを含み、各フランジがロッド受容用のスロットを含む、請求項1に記載された容器。
【請求項11】
前記容器が中心軸線を有し、該中心軸線に沿ってプラットフォームが垂直に付勢される、請求項10に記載された容器。
【請求項12】
前記スロットが中心軸線に対して直角に配向されている、請求項10に記載された容器。
【請求項13】
前記プラットフォームの各側が1対のフランジを含み、各フランジがスロットを有している、請求項1に記載された容器。
【請求項14】
前記アクチュエータが枢軸部材を含み、該枢軸部材が露出端部と各対のフランジのスロットに受容される端部とを有するロッドを含む、請求項13に記載された容器。
【請求項15】
前記プラットフォームが、概して円筒形であり、用具作業端部を受容するための中央受容部を含み、前記基部が中央受容部を取り囲む外壁を含んでいる、請求項14に記載された容器。
【請求項16】
前記壁部が枢軸部材を受容する開口を含む、請求項15に記載された容器。
【請求項17】
1対のフランジが概して中央受容部と外壁との間に配置され、フランジの1つが概して開口の各側に配置されている、請求項16に記載された容器。
【請求項18】
前記基部が、各壁部の旋回構造物を受容するための拘束指を含み、これにより壁部が旋回可能に旋回構造物に取り付けられる、請求項1に記載された容器。
【請求項19】
前記基部が、プラットフォームから突出するタブを受容する柱状部を含み、しかも、該柱状部とタブとが、プラットフォームを半径方向に基部に整合させる、請求項1に記載された容器。
【請求項20】
前記基部が、その底部周縁に配置されたリングを含む請求項1に記載された容器。
【請求項21】
用具を収納するための容器を操作する方法において、該方法が
1対の壁部と壁部内に付勢取り付けされたプラットフォームとを有する容器を得る段階と、
前記1対の壁部間に用具端部を挿入する段階と、
プラットフォーム上に用具端部を載せる段階と、
プラットフォームに用具の重みで加わる下向き力によりプラットフォームを起動する段階と、
前記壁部を開位置から閉位置へ旋回させて用具端部を取り囲む段階と、
用具を持ち上げてプラットフォーム上から取り除く段階と、
プラットフォーム下に配置された付勢部材を介してプラットフォームを押し上げる段階と、
プラットフォームの上昇運動を介して壁部を閉位置から開位置へ旋回させる段階とを含む、用具を収納するための容器を操作する方法。
【請求項22】
更に、壁部から突出するロッドを受容するフランジを有するアクチュエータを備え、該アクチュエータを介してプラットフォームの垂直運動を、フランジ上を移動し壁部を旋回させるロッドの弧状運動に変換する段階を含む、請求項21に記載された方法。
【請求項23】
更に、用具が付勢力に抗してプラットフォーム上に置かれるまで、プラットフォームを押し上げる付勢部材の付勢力により壁部が開位置に維持される段階を含む、請求項21に記載された方法。
【請求項24】
容器を組み立てる方法において、該方法が、
フランジと、付勢部材と、拘束指を有する基部と、旋回構造部及び枢軸部材を有する壁部とを得る段階と、
前記壁部が基部に対し旋回するように、壁部の旋回構造部を基部の拘束指に取り付ける段階と、
前記付勢部材を基部に取り付ける段階と、
前記プラットフォームが付勢部材によって支持されるように、プラットフォームを基部に取り付ける段階と、
前記プラットフォームの垂直運動が枢軸部材と壁部との旋回運動に変換されるように、前記フランジを枢軸部材に取り付ける段階とを含む、容器を組み立てる方法。
【請求項25】
更に、枢軸部材から突出するロッドを備え、かつフランジにスロットを設ける段階と、
前記ロッドが、プラットフォーム上昇時のスロット第1端部と、プラットフォーム下降時のスロット第2端部との間を滑動するように、ロッドをスロット内に挿入する段階とを含む、請求項24に記載された方法。
【請求項26】
容器において、
基部と、
基部に付勢取り付けされたアクチュエータと、
アクチュエータに取り付けられ、開位置に付勢される閉鎖部材とを含んでおり、該閉鎖部材が開位置から次第に移動可能だが、アクチュエータが閉鎖部材を自動的に開位置へ戻すように付勢する、容器。
【請求項27】
付勢部材が基部に取り付けられ、アクチュエータを付勢する、請求項26に記載された容器。
【請求項28】
前記閉鎖部材が開位置から閉位置へ移動可能であり、付勢部材に抗する力が加わると、閉鎖部材が閉位置に維持される、請求項27に記載された容器。
【請求項29】
プラットフォームが容器内に配置され、アクチュエータがプラットフォームに取り付けられる、請求項26に記載された容器。
【請求項30】
前記閉鎖部材が、基部に旋回可能に取り付けられた壁部を含む、請求項26に記載された容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−511344(P2008−511344A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527886(P2007−527886)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/028635
【国際公開番号】WO2006/023378
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(506410110)ヘレン オブ トロイ リミテッド (23)
【Fターム(参考)】