説明

トイレ用リモコン及びリモコンシステム

【課題】使用者が使いやすいリモコン及びこれを備えたリモコンシステムを提供する。
【解決手段】、第1の操作面を有する第1のリモコンユニットと、第1の操作面を有する第2のリモコンユニットと、トイレ内に設けられた温水洗浄便座装置から送信される人体検知に関する情報を受信する受信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部が前記温水洗浄便装置の便座への着座に対応する情報を受信しないときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面は隠蔽した状態とし、前記受信部が前記便座への着座に対応する情報を受信しているときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面も露出させた状態とすることを特徴とするトイレ用リモコンが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ用リモコン及びリモコンシステムに関し、具体的には、トイレ室に設置され温水洗浄便座装置などの操作をするリモコン及びこれを備えたリモコンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
便座に座った使用者の「おしり」などに水を噴射して洗浄可能とした温水洗浄便座装置をリモコンにより操作可能とすると、使い勝手がよい。近年の温水洗浄便座装置は、多機能化し、これに応じてリモコンの操作スイッチも複雑化する傾向にある。
【0003】
これに対して、使用頻度の高い基本機能を操作するメインスイッチを備えたメインリモコンと、使用頻度の低い応用機能を操作するサブスイッチを備えたサブリモコンと、を設け、メインリモコンに対してサブリモコンを着脱可能としたリモコン装置が開示されている(特許文献1)。リモコンが使用される状況や態様に応じて、サブリモコンを適宜着脱することにより、例えば高齢者などにも使いやすいリモコン装置を提供できる。
【特許文献1】特開2006−14753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用者が使いやすいリモコン及びこれを備えたリモコンシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、第1の操作面を有する第1のリモコンユニットと、第1の操作面を有する第2のリモコンユニットと、トイレ内に設けられた第1の人体検知センサによる人体検知に対応する情報を受信する受信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部が前記人体検知に対応する情報を受信しないときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面は隠蔽した状態とし、前記受信部が前記人体検知に対応する情報を受信しているときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面も露出させた状態とすることを特徴とするトイレ用リモコンが提供される。
【0006】
また、本発明の他の一態様によれば、第1の操作面を有する第1のリモコンユニットと、第1の操作面を有する第2のリモコンユニットと、トイレ内に設けられた温水洗浄便座装置から送信される人体検知に関する情報を受信する受信部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部が前記温水洗浄便装置の便座への着座に対応する情報を受信しないときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面は隠蔽した状態とし、前記受信部が前記便座への着座に対応する情報を受信しているときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面も露出させた状態とすることを特徴とするトイレ用リモコンが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用者が使いやすいリモコン及びこれを備えたリモコンシステムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付す。
【0009】
図1は、本実施形態のリモコン及びこれを備えたリモコンシステムを表すブロック図である。
また、図2は、本実施形態のリモコンシステムが設置されたトイレ空間を例示する模式図である。
【0010】
図2に表したように、トイレ室900には、温水洗浄便座装置810が設けられた便器800が設置されている。そして、便器800の脇には、棚板100と、その下に取り付けられたリモコン200と、を有するカウンターが設置されている。リモコン200は、例えば、便器800の便蓋や便座を電動により開閉したり、また温水洗浄便座装置810を操作するために用いることができる。また、リモコン200は、後に詳述するように、図示しない照明装置、音楽や効果音などを発生する音響装置、テレビやラジオ、暖房などの空調装置などを操作するために用いることも可能である。
【0011】
リモコン200の下には、トイレットペーパー590を保持するペーパーホルダ500が設けられている。また、棚板100の下には、キャビネット600を設置してもよい。また、棚板100には、水栓170を付設した手洗いボウル160を設けてもよい。また、トイレ室の壁面に鏡910を設けて、ドレッサーとしての機能を付与してもよい。
【0012】
棚板100は、天板110と、その前縁に設けられた幕板120と、を有する。リモコン200は、天板110の下に設けられ、例えば幕板120に設けられた開口(あるいは切り欠き)を介してその操作面が露出している。
【0013】
温水洗浄便座装置810は、図1に表したように、第1の人体検知センサ(人体検知センサA)812、第2の人体検知センサ(人体検知センサB)814、第3の人体検知センサ(人体検知センサC)816を有する。
【0014】
これら人体検知センサ812、814、816からの検知情報は、制御部820に入力される。また、温水洗浄便座装置810には、温水洗浄便座機能部830と、電波送信部840と、赤外受信部850と、が設けられている。温水洗浄便座機能部830は、ノズルから吐水させることにより使用者の「おしり」などを洗浄する機能を有する。電波送信部840は、リモコン200に向けて電波を送信する。赤外受信部850は、リモコン200から発せられた赤外線信号を受信する。
【0015】
制御部820は、人体検知センサ812、814、816や、赤外受信部850から得られる情報に基づいて、温水洗浄便座機能部830の動作を制御する。またさらに、制御部820は、人体検知センサ812、814、816において得られた検知情報を電波送信部840からリモコン200に向けて送信させる。
【0016】
一方、リモコン200は、第1のリモコンユニット210と、第2のリモコンユニット220と、を有する。そして、第1のリモコンユニット210を駆動する第1のリモコン駆動部260と、第2のリモコンユニット220を駆動する第2のリモコン駆動部270と、が設けられている。これら駆動部260、270の動作は、制御部240により制御される。またさらに、リモコン200には、温水洗浄便座装置810の電波送信部840から送信された電波を受信する電波受信部230と、温水洗浄便座装置810の赤外受信部850に赤外線信号を送信する赤外送信部250と、が設けられている。
【0017】
図3は、リモコン200の外観を表す斜視図である。
また、図4は、リモコン200の前面の拡大図である。
【0018】
リモコン200の前面には、第1のリモコンユニット210と、第2のリモコンユニット220と、が併設されている。本実施例のリモコン200の場合、待機状態において、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211がリモコン200の前面に露出し、一方、第2のリモコンユニット220の化粧面221がリモコン200の前面に露出している。第1のリモコンユニット210の第1の操作面211には、便器800に「大洗浄」の洗浄水を流す「大」スイッチ212A、便器800に「小洗浄」の洗浄水を流す「小」スイッチ212B、便座802(図1参照)を電動で開く「便座」スイッチ212C、第1のリモコンユニット210を前方にスライドさせ突出させるスイッチ212D、第2のリモコンユニット220を回動させ前方に開くスイッチ212Eがそれぞれ設けられている。これらのスイッチ類は、リモコン200が有するスイッチ類の中で最も使用頻度が高く、またいずれも便座802(図1参照)に座らずに便器800の前に立った状態において使用する可能性が高いものである。本実施形態においては、このように使用頻度が最も高く、また立った状態で使用される可能性が高いスイッチ類を、第1のグループとして、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211に配置している。
【0019】
なお、待機状態においては、これら第1のリモコンユニット210の第1の操作面211と、第2のリモコンユニット220の化粧面221と、は略同一平面を構成する。つまり、すっきりとして見栄えがよくスリムな外観が与えられている。
【0020】
図5及び図6は、第2のリモコンユニット220が前方に開いた状態を表す斜視図である。
第2のリモコンユニット220は、その下方の長手方向を軸として回動可能とされ、第2のリモコン駆動部270(図1参照)によって前方に開くことにより、待機状態においては隠蔽されていた操作面222がリモコン200の前方に露出する。この操作面222は、便座802(図1参照)に座った使用者に対面するように傾斜した状態に保持される。このようにして、便座802に座った使用者は、操作面222に設けられたスイッチを操作しやすく、また表示も確認しやすくなる。
【0021】
図7は、第2のリモコンユニット220の操作面222をリモコン200の前方から眺めた模式図である。
また、図8は、操作面222に対向する方向から眺めた模式図である。
【0022】
第2のリモコンユニット220の操作面222には、使用者が便座802に座った状態において操作する可能性が高いスイッチ類が設けられている。すなわち、吐水などの動作を停止する「止」スイッチ223A、「おしり」に向けて吐水させる「おしり」スイッチ223B、吐水に広がりを与える「やわらか」スイッチ223C、ビデ洗浄を実行させる「ビデ」スイッチ223D、吐水の位置を変更する「洗浄位置」スイッチ223E、吐水の水勢を変更する「水勢」スイッチ223F、吐水位置を自動的に変化させる「ムーブ」スイッチ223G、吐水にマッサージ効果を与える「マッサージ」スイッチ223H、脱臭機能を動作させる「脱臭」スイッチ223I、温風を「おしり」に向けて噴出させる「乾燥」スイッチ223Jなどが設けられている。
【0023】
これらのスイッチ類は、いずれも便座802に座った状態の使用者が操作する可能性が高いものである。そして、本実施形態によれば、このように、リモコン200が有するスイッチ類のうちで、2番目に使用頻度が高いスイッチ類を第2のグループとして第2のリモコンユニット220の操作面222に配置している。また、本実施形態によれば、便座802に座った使用者は、第2のリモコンユニット220の操作面222に設けられたこれらのスイッチやその表示類を楽な姿勢で容易に操作し確認することができる。
【0024】
図9は、第1のリモコンユニット210が前方にスライド突出した状態を表す模式図である。
第1のリモコンユニット210は、第1のリモコン駆動部260(図1参照)により前方にスライド突出し、その上面に設けられた第2の操作面213が露出する。
【0025】
図10は、第1のリモコンユニット210の第2の操作面213を表す模式図である。 第2の操作面213には、操作部214と表示部215とが設けられている。操作部214に設けられたスイッチ類は、前述した第1のグループや第2のグループのスイッチ類よりも通常は使用頻度が低いものである。これには例えば、オート機能の設定のスイッチや、温水、便座、温風などの温度の設定や、時刻の設定や、節電モードの設定などのスイッチである。またさらに、温水洗浄便座装置810は別体として設けられる照明ユニットや、暖房ユニット、サウンドユニットなどに関するスイッチ類も設けることができる。本実施形態によれば、これらのスイッチ類を第3のグループとして、第1のリモコンユニット210の第2の操作面213に配置し、通常の使用状態においては使用者から隠蔽しつつ、第1のリモコンユニット210をスライド突出させることにより操作可能とした。
【0026】
図11は、第1及び第2のリモコンユニットの駆動機構を例示する模式図である。
第1のリモコンユニット210を駆動する第1のリモコン駆動部260は、例えば駆動アーム261と、駆動アーム261に結合されたベルト262と、ベルト262を張支する一対のプーリー263と、プーリー263を回転させるモータ264と、を有する。モータ264の回転がベルト262に伝達され、駆動アーム261を駆動させることにより、第1のリモコンユニット210を進退させることができる。
【0027】
また、第2のリモコンユニット220は、その長手方向の下方に設けられた回動軸225により回動自在に軸支されている。そして、第2のリモコンユニット220を駆動する第2のリモコン駆動部270は、第2のリモコンユニット220に結合された駆動アーム271と、駆動アーム271に結合されたベルト272と、ベルト272を張支する一対のプーリー273と、プーリー273を回転させるモータ274と、を有する。モータ2764の回転がベルト272に伝達され、駆動アーム271を駆動させることにより、第2のリモコンユニット220を回動軸225の回りに回動させ、リモコン200の前面から前方下方に向けて開くことができる。
【0028】
本具体例においては、プーリーとベルトによる動力伝達を採用しているので、例えば駆動部260、270の動作中に使用者が誤って指などをはさんだような場合でも、ベルト262、272が空転あるいはプーリーから脱落することにより、安全性が確保される。
【0029】
なお、第1のリモコンユニット210や第2のリモコンユニット220を駆動させる機構としては、この他にも例えば、モータとギアとを組み合わせたものや、バネとダンパーとを組み合わせたもの、電磁ソレノイドを利用したものなど各種の機構を用いることができる。
【0030】
なお、温水洗浄便座装置810は、交流100ボルトの電力源に接続されて駆動可能とされている。また、リモコン200は、電池により駆動可能としてもよい。ただし、リモコン200も交流100ボルトの電力源によって駆動するものとすると電池交換の手間がいらず、後に詳述する第1及び第2のリモコンユニット210、220の動作などを確実に実行させることができる。
【0031】
次に、本実施形態のリモコンシステムの動作について具体的に説明する。
図12は、温水洗浄便座装置に設けられた人体検知センサの検知範囲を例示する模式図である。
図1に関して前述した第1の人体検知センサ812は、例えば焦電センサや赤外線投光式センサなどからなり、図1及び図12に符号Aで表したように、便器800の前方の広い範囲を検知する。これにより、例えば、トイレ室900のドア902(図1参照)を開けて使用者が入室すると直ちに検知可能とされている。
【0032】
第2の人体検知センサ814は、例えば赤外線投光式センサなどからなり、図1及び図12に符号Bで表したように、便器800の前に立った使用者を検知する。第3の人体検知センサ816は、赤外線投光式センサなどからなり、図1及び図12に符号Cで表したように、便座802に座った使用者を検知する。
【0033】
図13は、使用者が便器800の前に立った状態で使用する状態を表す模式図である。 まず、使用者10がトイレ室900のドア902を開けて入室すると、第1の人体検知センサ812がこれを検知する。すると、温水洗浄便座装置810の制御部820は、この検知情報を電波送信部840からリモコン200に送信する。リモコン200は電波受信部230においてこの検知情報を受け取ると、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211に設けられたスイッチ212A、212B・・・212Eの照明をオンにする。例えば、スイッチ212A、212B、212Cにおいては、その周囲がリング状に光る。また、スイッチ212D及び212Eにおいては、スイッチの近傍に設けられた表示が背面からの投光により光る。前述したように、第1の操作面211に設けられた第1のグループのスイッチ類は、使用者10が立った状態で使用する可能性が高いものである。
【0034】
これらのスイッチ類を点灯させることにより、使用者10は、これらスイッチの存在を認識し、必要に応じてスムーズに操作することができる。例えば、男性の立位での使用の場合、使用者10は、リング状に光るスイッチ212Cを押すことにより、便座802を電動で開くことができる。そして、便器800を使用後に、リング状に光るスイッチ212Bを押すことにより、便器800に「小洗浄」の洗浄水を流すことができる。またあるいは、使用者10が温水洗浄便座装置810などの設定を変更したいような場合には、表示が点灯しているスイッチ212Dを押すことにより、第1のリモコンユニット210を前方にスライド突出させ、第2の操作面213(図10参照)を露出させることができる。
【0035】
なお、使用者10が便器800の直近に立っている状態においては、第2の人体検知センサ814によりその存在が検知され、この検知情報が温水洗浄便座装置810からリモコン200に向けて随時送信される。リモコン200は、この検知情報に基づいて、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211のスイッチや表示を点灯させ続けることができる。つまり、第1の人体検知センサ812と第2の人体検知センサ814の少なくともいずれかが人体を検知している間は、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211のスイッチや表示を点灯させ続けることができる。
【0036】
そして、使用者10がトイレ室900から立ち去ると、第1の人体検知センサ812、第2の人体検知センサ814、第3の人体検知センサ816のいずれも人体を検知しなくなる。すると、リモコン200の制御部220は、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211のスイッチや表示の点灯を停止する。またこの時、例えば第1のリモコンユニット210が前方にスライド突出した状態(図9)にあった場合には、リモコン200の制御部220は、第1のリモコン駆動部260を駆動させて第1のリモコンユニット210を後退させ、収納する。同様に、もし第2のリモコンユニット220が前方に開いた状態(図5)にあった場合には、リモコン200の制御部220は、第2のリモコン駆動部270を駆動させて第2のリモコンユニット220を後退させ、収納する。
【0037】
図14は、使用者が便座に座った状態を表す模式図である。
使用者10が便座802に座ると、第3の人体検知センサ816によりその存在が検知される。すると、温水洗浄便座装置810の制御部820は、電波送信部840からその検知情報を送信する。リモコン200の電波受信部230がこの情報を受信すると、制御部220は、第2のリモコン駆動部270を駆動させ、図5に表したように第2のリモコンユニット220を前方に開く。またさらに、第2のリモコンユニット220の操作面222に配置されたスイッチ223A〜223Jやそれらの表示を点灯させる。
【0038】
前述したように、これら第2のグループのスイッチ類は、いずれも便座802に座った状態の使用者が操作する可能性が高いものである。そして、本実施形態によれば、このようなスイッチ類が配置された第2のリモコンユニット220の操作面222を、待機状態においては隠蔽しておき、使用者10の着座に応じて前方に開いて露出させ使用可能な状態とする。
【0039】
便座802に着座した使用者10は、すぐ脇のカウンターにおいて第2のリモコンユニット220が前方に開いたことを、その動作音やスイッチ類の点灯により直ちに気がつく。そして、使用者10は、便座802に座った状態のまま、第2のリモコンユニット220の操作面222に設けられたこれらのスイッチやその表示類を楽な姿勢で容易に操作し確認することができる。
【0040】
またここで、便座802に座った使用者10が温水洗浄便座装置810などの設定を変更したいような場合には、第1のリモコンユニット210の表示が点灯しているスイッチ212Dを押すことにより、第1のリモコンユニット210を前方にスライド突出させ、図14の挿入図に表したように、第2の操作面213を露出させることができる。
【0041】
そして、使用者10が便座802から立ち上がり、トイレ室900から立ち去ると、第1の人体検知センサ812、第2の人体検知センサ814、第3の人体検知センサ816のいずれも人体を検知しなくなる。すると、リモコン200の制御部220は、第2のリモコン駆動部270を駆動させて第2のリモコンユニット220を後退させ、収納する。また、第1のリモコンユニット210の第1の操作面211のスイッチや表示の点灯を停止する。またこの時、もし第1のリモコンユニット210が前方にスライド突出した状態(図14挿入図)にあった場合には、リモコン200の制御部220は、第1のリモコン駆動部260を駆動させて第1のリモコンユニット210を後退させ、収納する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、リモコン200に設けられるスイッチ類をその使用頻度や、使用される状況に応じてグループ分けし、使用頻度や使用する可能性が低いグループは隠蔽した状態とし、使用者の状態に応じて、最適なグループを露出させて操作可能な状態にする。このようにすれば、トイレに設けられるシステムの多機能化に対応して多数のスイッチが設けられたリモコンにおいて、使用者が使いやすく、また見栄えもすっきりとしてデザイン的にも優れたリモコンを提供できる。
【0043】
また、本実施形態においては、温水洗浄便座装置810の人体検知センサからの検知情報を利用するので、リモコン200に人体検知センサを設ける必要がなくなる。その結果として、焦電センサの受光窓や、赤外線投光式センサの投受光窓などをリモコン200に設ける必要がなくなり、見栄えをすっきりとしさせてデザイン的に優れたリモコンを提供できる。
【0044】
また、待機状態や便座802に着座していない状態においては、第1及び第2のリモコンユニット210、220は収納されてリモコン200の前面は略平坦面とされている。従って、常に清潔な状態を維持したいトイレにおいて、ホコリや汚れなどがつきにくく、拭き掃除などの清掃も容易となる。また、温水洗浄便座装置810の人体検知センサの検知情報に基づいて第2のリモコンユニット220が自動的に開閉するので、開閉に際してリモコン200を手で触る必要がなく、この点でもリモコンを清潔に保ちやすい。
【0045】
図15は、リモコン200により制御されるトイレシステムを例示するブロック図である。
すなわち、トイレには、温水洗浄便座装置810の他にも、例えば電気温水器ユニット610、サウンドユニット620、照明ユニット630、芳香ユニット640、室内暖房ユニット700などを設けることができる。そして、これらのユニットの動作は、リモコン200により制御することができる。
【0046】
温水洗浄便座装置810からリモコン200への人体検知情報の送信は電波により実行される。一方、リモコン200から温水洗浄便座装置810やその他の各ユニットへの制御信号の送信は、赤外線により実行される。このように異なる媒体を用いることで、人体検知情報と制御信号とが干渉することを防止できる。また、人体検知情報を電波で送信することにより、例えば、温水洗浄便座装置810からみてカウンターの奥にリモコン200の電波受信部230が設置されたような場合でも、人体検知情報を確実に伝送できる。
【0047】
リモコン200からこれらのうちで、例えば、サウンドユニット620や照明ユニット630は、温水洗浄便座装置810の人体検知センサ812、814、816のいずれかの検知情報に基づいて自動的に動作を開始させてもよい。つまり、トイレ900に使用者が入室すると、サウンドユニット620が自動的に音楽や効果音などを鳴らし、照明ユニット630は自動的に照明を点灯させることができる。このようにすれば、リモコン200やそれぞれのユニットに人体検知センサを設ける必要がなく、温水洗浄便座装置810に設けられた人体検知センサを共用することが可能となる。その結果として、共通の人体検知情報に基づいてシステムを統一的に制御でき、コストも低減できる。
【0048】
図16は、照明ユニット630を例示する模式図である。
本具体例においては、リモコン200は、その背後に電源部280を有する。この電源部280の前面にLED(Light Emitting Diode)などを用いた照明ユニット630が設けられている。照明ユニット630は、ペーパーホルダ500の後方から、符号Lで表したように斜め下方に向けて光を照射する。この照明は、夜間に起きた使用者が、トイレ室900の明かりを点けることによる眩しさを感ずることなく、夜目にあわせてトイレを使用できるソフトな照明である。
【0049】
そして、本実施形態によれば、トイレ900に使用者が入室すると、温水洗浄便座装置810の人体検知センサ812、814、816のいずれかの検知情報をリモコン200が受信し、照明ユニット630を動作させて自動的に照明を点灯させることができる。
【0050】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
前述の具体例に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、筐体300の中に収容される機器はリモコン200には限定されず、その他、外力の負荷を抑制すべきあらゆる機器が包含される。また、筐体300を設けず、その内部に収容されるリモコン200などの機器を各実施例において筐体300と同様の方法で取り付けたものも本発明の範囲に包含される。
【0051】
また、棚板や筐体、リモコン、ブラケット、ガイド、レール、取付具などの各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施例が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態のリモコン及びこれを備えたリモコンシステムを表すブロック図である。
【図2】本実施形態のリモコンシステムが設置されたトイレ空間を例示する模式図である。
【図3】リモコン200の外観を表す斜視図である。
【図4】リモコン200の前面の拡大図である。
【図5】第2のリモコンユニット220が前方に開いた状態を表す斜視図である。
【図6】第2のリモコンユニット220が前方に開いた状態を表す斜視図である。
【図7】第2のリモコンユニット220の操作面222をリモコン200の前方から眺めた模式図である。
【図8】操作面222に対向する方向から眺めた模式図である。
【図9】第1のリモコンユニット210が前方にスライド突出した状態を表す模式図である。
【図10】第1のリモコンユニット210の第2の操作面213を表す模式図である。
【図11】第1及び第2のリモコンユニットの駆動機構を例示する模式図である。
【図12】温水洗浄便座装置に設けられた人体検知センサの検知範囲を例示する模式図である。
【図13】使用者が便器800の前に立った状態で使用する状態を表す模式図である。
【図14】使用者が便座に座った状態を表す模式図である。
【図15】リモコン200により制御されるトイレシステムを例示するブロック図である。
【図16】照明ユニット630を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0053】
100 棚板、110 天板、120 幕板、160 ボウル、170 水栓、200 リモコン、210 第1のリモコンユニット、211 第1の操作面、212A、212B、212C、212D、212E スイッチ、213 第2の操作面、214 操作部、215 表示部、220 第2のリモコンユニット、220 制御部、221 化粧面、222 操作面、223A〜223J スイッチ、225 回動軸、230 電波受信部、240 制御部、250 赤外発信部、260 リモコン駆動部、261 駆動アーム、262 ベルト、263 プーリー、264 モータ、270 リモコン駆動部、271 駆動アーム、272 ベルト、273 プーリー、274 モータ、2764 モータ、280 電源部、300 筐体、500 ペーパーホルダ、590 トイレットペーパー、600 キャビネット、610 電気温水器ユニット、620 サウンドユニット、630 照明ユニット、640 芳香ユニット、700 室内暖房ユニット、800 人体検知センサ、800 便器、802 便座、810 温水洗浄便座装置、812、814、816 人体検知センサ、820 制御部、830 温水洗浄便座機能部、840 電波送信部、850 赤外受信部、900 トイレ室、902 ドア、910 鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の操作面を有する第1のリモコンユニットと、
第1の操作面を有する第2のリモコンユニットと、
トイレ内に設けられた第1の人体検知センサによる人体検知に対応する情報を受信する受信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受信部が前記人体検知に対応する情報を受信しないときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面は隠蔽した状態とし、
前記受信部が前記人体検知に対応する情報を受信しているときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面も露出させた状態とすることを特徴とするトイレ用リモコン。
【請求項2】
第1の操作面を有する第1のリモコンユニットと、
第1の操作面を有する第2のリモコンユニットと、
トイレ内に設けられた温水洗浄便座装置から送信される人体検知に関する情報を受信する受信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記受信部が前記温水洗浄便装置の便座への着座に対応する情報を受信しないときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面は隠蔽した状態とし、
前記受信部が前記便座への着座に対応する情報を受信しているときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の操作面を露出させ、前記第2のリモコンユニットの前記第1の操作面も露出させた状態とすることを特徴とするトイレ用リモコン。
【請求項3】
前記制御部は、前記便座に着座しない人体の検知に対応する情報を前記温水洗浄便座装置から前記受信部が受信したときは、前記第1のリモコンユニットの前記第1の装置面の少なくとも一部を点灯させることを特徴とする請求項2記載のトイレ用リモコン。
【請求項4】
前記第1のリモコンユニットは、第2の操作面を有し、
前記第2の操作面は、前記第1の操作面を露出させつつ隠蔽可能とされたことを特徴とする請求項2または3に記載のトイレ用リモコン。
【請求項5】
前記温水洗浄便座装置から前記受信部への前記人体検知に関する情報の送信は、電波を介して実行され、
前記トイレ用リモコンから前記温水洗浄便座装置への制御信号の送信は、赤外線を介して実行されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のトイレ用リモコン。
【請求項6】
前記リモコンは、トイレ室のカウンターに設けられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のトイレ用リモコン。
【請求項7】
温水洗浄便座装置と、
請求項1〜6のいずれか1つに記載のトイレ用リモコンと、
を備えたことを特徴とするリモコンシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−240495(P2008−240495A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86987(P2007−86987)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】