説明

トイレ装置

【課題】省スペースと組立や検査の合理化を図ることができるノズルユニットを提供することを目的とするものである。
【解決手段】洗浄水を噴出するノズル2と、前記ノズル2を出し入れするノズル駆動手段4と、洗浄水を与圧するポンプ7と、洗浄水の流量調節手段9とをノズルマウント1を介して一体に取り付けたことにより、省スペース化を図ることを可能とし、しかも設計と組立および検査の合理化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体局部の洗浄などに使用されるトイレ装置のノズルユニットに供給する水を与圧するポンプを備えたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の人体局部の洗浄などに使用されるトイレ装置は、人体局部を洗浄するノズルユニットと洗浄水を与圧するポンプユニットは別体として構成し、ポンプユニットは便座の側方に配設した操作部の下方に配設し、ノズルユニットとポンプユニットをホースで連通し、洗浄水を送水することにより、人体局部を洗浄する構成となっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−293128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前記従来の構成では、操作部の下方にポンプユニットをとりつけていたため、別途配置スペースが必要となり、かつポンプの騒音、振動による使用者に不快感を与えないためにできるだけポンプの配置をユーザから遠く配置させたいため、トイレ装置本体より離して設置する必要があった。そのため、製品本体のとは別にポンプユニットを設置するスペースを確保する必要があり、省スペース化を図ることができないという課題があった。
【0004】
また、従来の構成ではノズルユニットとポンプユニットが別々に存在していたために、工程における組立や検査を個別に行うことが必要であり、生産性が低いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明のノズルユニットは、ノズルとポンプと流量調節手段とをノズルマウントを介して一体に取り付けることにより、省スペース化を図ることを可能とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のノズルユニットはノズルとポンプと流量調節手段を一体に取り付けることにより、省スペースと組立や検査の合理化を図ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、便器上に載置して人が座る便座と、人体局部を洗浄するための洗浄手段を備えたトイレ装置において、洗浄水を噴出するノズルと、前記ノズルを出し入れするノズル駆動手段と、洗浄水を与圧するポンプと、洗浄水の流量調節手段とをノズルマウントを介して一体に取り付けたことにより、ノズルとポンプを一体に取り付けるため省スペース化を図ることを可能とする。またポンプとノズルの距離が短くなることで、ホースの長さを短くすることができ水の圧損を軽減することにより洗浄の能力の向上を図る事ができる。そしてポンプとノズルの距離が短くなることで脈動感を使用者に与えることができ快適な洗浄感を提供することができる。また、ノズルマウントノズルとポンプを設置しているため、水漏れが起こりえる場所を1箇所に集約する事ができ、水漏れを想定した排水水路を1箇所のみ作る設計とすることを可能となり、設計と組立および検査の合理化を図ることができる。
【0008】
第2の発明は、特に、第1の発明のポンプを弾性体を介してノズルマウントに装着した
ことにより、弾性体がポンプの振動や騒音を吸収し、ノズルマウントへの振動の伝達を抑制することができるため、便座に着座する使用者に不快感を与えることを抑制するものである。
【0009】
第3の発明は、特に、第2の発明の弾性体がポンプの放熱部と対応する位置に、開口部を設けたことにより、ポンプの振動や騒音が伝わることを抑制するとともに、ポンプ自身の熱を開口部を介して放熱しやすくし、ポンプの寿命を長くすることを可能とするものである。
【0010】
第4の発明は、特に、第2または第3の発明の弾性体が通気性を有することにより、振動、騒音を抑制するとともに、ポンプの放熱がよりしやすくなり、ポンプの寿命を長くすることを可能とするものである。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるトイレ装置のノズルユニットの断面図、図2は側面図、図3はノズルマウントとポンプの斜視図であり、図4はポンプに弾性体を装着した状態の斜視図である。
【0013】
図に示すように本実施の形態のノズルユニットは、側面形状が略直角三角形のノズルマウント1は樹脂材料で一体に成型したものであり、ノズルマウント1の上部には筒状のビデ用ノズル2と肛門用ノズル3が傾斜面に沿って摺動するように支持され、それぞれ便器内に出没するように設置してある。また、ノズルマウント1の先端部にはノズルに汚れが付着する事を防ぐノズルシャッター4を備えている。
【0014】
ビデ用ノズル2と肛門用ノズル3の便器内に出没させるノズル駆動手段5は、ビデ用ノズル2と肛門用ノズル3の下面にそれぞれ一体に形成した歯形状のラック2a、3aと、ビデ用ノズル2と肛門用ノズル3の下方のノズルマウント1に設置したモータ6と連動するピニオンギア6aを噛み合わせて駆動する構成となっている。
【0015】
ノズルマウント1の後方に設け円筒形状のポンプ装着部1aには、ノズルに水を供給させるためのポンプ7が設置してあり、ポンプ装着部1aとポンプ7の間には弾性体8を介在させている。弾性体8は通気性を有する連続気泡の樹脂発泡体を使用しており、図4に示すようにポンプ7の略全周とノズルマウント1に接する可能性がある箇所すべてを覆うように設けているが、ポンプ7の放熱部7aに対応する部分にはその一部を切り欠いて開口部8aを備えている。
【0016】
また、ポンプ7の前方には洗浄水の流量調節手段として流量調節弁9がポンプ7と連通して設置してあり、流量調節弁9とビデ用ノズル2および肛門用ノズル3とはシリコンゴム製の給水ホース10で接続してあり洗浄水を供給することができる構成となっている。
【0017】
以上のように構成されたノズルユニットについて、以下その動作、作用を説明する。
【0018】
まず、トイレ装置本体からの制御信号により、ノズルシャッター4が開放され、ビデ用ノズル2か肛門用ノズル3のいずれか一方のノズルが便器内に送出されるとともに、ポンプ7が駆動し、流量調節弁9により最適な量に調節された洗浄水がビデ用ノズル2あるいは肛門用ノズル3から使用者の局部に向けて噴出し、局部の洗浄を行う。
【0019】
洗浄水を噴出している間、ポンプ7は連続して駆動しており、その間振動と発熱を同時に発生させることとなるが、振動は弾性体8によりそのほとんどが吸収されることにより、ノズルマウントや使用者に直接伝わることがなく、発熱は弾性体8に設けた開口部8aにより外部に放出することにより、ポンプ7の昇温を抑制することができる。また、弾性体は連続気泡の樹脂発泡体を使用しているため、開口部8a以外の部分でも連続気泡を介して放熱することできる。
【0020】
以上のように本実施の形態においてはノズルと、ノズル駆動手段と、流量調節手段と、ポンプをノズルマウントの中に全て収める事ができ、省スペース化を図ることを可能とする。
【0021】
また、ノズルマウントの後方部にポンプ装着部を設け、ポンプを装着部にはめ込むことで収まるような構成とすることにより、流量調節弁もノズルマウントに装着することが可能となり、ポンプと流量調節弁をつなぐ接続部を従来に比べ短くすることができ、水の圧損を軽減させることができる。また、水の圧損を減らす事で、洗浄能力を向上する事ができ、洗浄感向上を図ることができる。
【0022】
また、ポンプとノズル間の距離が短くなったため、ポンプによる脈動感が洗浄感として使用者に伝わり洗浄感の向上を図ることができる。しかも、ホースの抜けが生じた場合においても、ノズルマウントの中にポンプを装着したことから、水漏れによる故障が起こる可能性のある範囲を1箇所に集約することができ、水漏れの故障を想定した場合の便器に流れる機能取付基板上の水路を1箇所のみ作る設計とすることを可能とするものである。
【0023】
また、ノズルユニットの工程における検査を行う際、ノズルマウントにポンプを配置したことによりひとつのユニットとなったため、ノズルにおける検査が行い易くなる効果がもたれた。
【0024】
また、ノズルマウントのポンプ装着部とポンプが接する可能性がある箇所すべてに弾性体を介在させることにより、ポンプの配置がユーザにとって近くになったにもかかわらず、ポンプによる振動、騒音の抑制を可能としたものである。
【0025】
また、前記弾性体を通気性を備えた材料を使用し、ポンプの放熱部は弾性体を開口することにより、ポンプの放熱をしやすくすることでポンプ9の寿命を延ばし、故障が起こる可能性を低くすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1におけるノズルユニットの断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるノズルユニットの側面図
【図3】本発明の実施の形態1におけるノズルマウントとポンプの斜視図
【図4】本発明の実施の形態1におけるポンプの斜視図
【符号の説明】
【0027】
1 ノズルマウント
2 ビデ用ノズ(ノズル)
3 肛門用ノズル(ノズル)
7 ポンプ
7a 放熱部
8 弾性体
8a 開口部
9 流量調節弁(流量調節手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に載置して人が座る便座と、人体局部を洗浄するための洗浄手段を備えたトイレ装置において、洗浄水を噴出するノズルと、前記ノズルを出し入れするノズル駆動手段と、洗浄水を与圧するポンプと、洗浄水の流量調節手段とをノズルマウントを介して一体に取り付けたノズルユニット。
【請求項2】
ポンプは弾性体を介してノズルマウントに装着した請求項1に記載のノズルユニット。
【請求項3】
弾性体はポンプの放熱部と対応する位置に、開口部を設けた請求項2に記載のノズルユニット。
【請求項4】
弾性体は通気性を有する請求項2または請求項3に記載のノズルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−23675(P2007−23675A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209733(P2005−209733)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】