説明

トイレ装置

【課題】広範囲に飛散しやすい小便や下痢便などが便器内面に付着するのを抑制止することを目的とする。
【解決手段】用を足す前に便座本体に配置した水散布ノズル9から便器内面に対して水を散布してこの便器内面に水の膜を形成し、汚れの付着を抑制したものである。水散布ノズル9は、環状の水噴出部34を中心部分に形成した水供給体35と、前記水噴出部34から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体36とから構成してある。水拡散体36は円形状であって、水噴出部34と対向する上壁が凹曲面状に設定してある。水散布量などは水噴出部34の開口度で決定されるが、同水噴出部34が水供給体35の中央部に位置しているために、開口面積としては大きくでき、異物などの詰まりが発生しにくくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便器に汚れ防止策を施したトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレで用をたすとき、便器内面が乾燥していると汚物などがへばり付き、またその洗浄が困難となることは一般に知られているところである。
【0003】
これを解決するために、事前に便器内面に水を散布して濡らしておき、水膜で汚物が付着を抑制し、また、付着しても簡単に洗浄除去することができるようにしたものが見受けられる。
【0004】
図20〜22はその代表的なものを示しており、具体的には、洋式の便器101に便座102を設け、また、この便座102を開閉自在に枢支する便座本体103に身体局部洗浄用の洗浄ノズル104と、便器101の内面に水を散布する水散布ノズル105を配置したものであった。
【0005】
水散布ノズル105からの水散布は、使用者がトイレ室内に入ったのを人体検知センサーで検知して開始し、便座102に着座するまでの間に便器101の内面に水を散布して水膜を形成しようとするものである。
【0006】
前記水散布ノズル105は、水供給路106を有する水供給体107と、前記水供給路106からの水を放射状に拡散する水拡散体108とから構成されており、それら水供給路106と水拡散体108とは周方向に等間隔に位置する複数のリブ109で連結されている。
【0007】
そして、水供給体107の水供給路106からの水は水拡散体108で放射状に拡散されて便器101における内面の所定高さに散布されることとなる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3447352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記水拡散体108は水を放射状に拡散するものであるが、そのときの流量、流速は水供給体107と水拡散体108との間に設定された環状隙間tに専ら依存している。したがって、後方に位置している水散布ノズル105から便器101の前方内面まで水を確実に散布するためには、前記環状隙間tを可及的に小さくする必要があり、故に、同隙間tに異物が詰まりやすいものとなっていた。
【0009】
また、複数のリブ109が環状隙間tに存在していることもあって、水散布分布にばらつきが生起しやすく、加えて、水散布がなされない部位があった。
【0010】
その結果、従来では便器内面に均等に水膜を形成できず、汚れ対策として十分な効果が期待できない課題があった。
【0011】
本発明はこのような従来の課題を解消したもので、便器内面に均等に水膜を形成して汚れ付着を確実に抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために本発明のトイレ装置は、便器に起倒自在に設置された便座と、この便座を起倒自在に支持する便座本体と、前記便器内面を濡らすために便座本体に配置した水散布ノズルとを具備し、この水散布ノズルは、水噴出部を中心部分に形成した水供給体と、前記水噴出部から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体とから構成したものである。
【0013】
水散布ノズルから散布される水の流量、流速は水供給体の水噴出部によって所定値に設定されるものであり、水拡散体は専ら周囲、すなわち、便器内面への水拡散用となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトイレ装置は、水散布ノズルの水拡散が均等に行われるため、便器内面への汚れ付着が抑えられ、衛生的なトイレ環境を創出できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のトイレ装置は、便器に起倒自在に設置された便座と、この便座を起倒自在に支持する便座本体と、前記便器内面を濡らすために便座本体に配置した水散布ノズルとを具備し、この水散布ノズルは、水噴出部を中心部分に形成した水供給体と、前記水噴出部から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体とから構成したものである。
【0016】
具体的実施の形態として、水拡散体は凹曲面状に形成するのが望ましく、一方、水散布ノズルの水噴出部は環状に構成した。
【0017】
したがって、水供給体の水噴出部で流量、流速が設定された水は水拡散体の中央部に噴出され、その凹曲面状部を介して放射状に拡散され便器内面へ放出されることとなる。
【0018】
そして、便器内面に達した水はその表面で水膜を形成して汚れの付着を防止する。
【0019】
前記のように、流量、流速が水供給体の水噴出部で決定される構成のため、従来のごとく環状隙間などの必要性がなくなり、異物が詰まりが可及的に防止できる。
【0020】
水散布ノズルの水噴出部は複数を環状に配列して構成することも考えられる。
【0021】
また、水拡散を均等に、しかも確実に行うために、水噴出部より噴出された水により低圧部を形成する低圧発生部を水拡散体の周方向に設け、コアンダ効果による水拡散体への水の付着を促進することも一つの実施形態として考えられるであろう。
【0022】
水拡散体は便器の中央部に配置することは構造上できず、多くは便器の後方部など、偏った部位に配置するのが一般低である。そのため、水拡散体により拡散される水の流量分布を周方向に異なるように設定して便器内面に均等に水が散布されるようにする。
【0023】
水の流量分布を周方向に異ならせる具体例としては、水散布ノズルの水噴出部に対して水拡散体を偏心させること、複数の独立水噴出部の開口度を変えること、或いは複数の独立水噴出部の周方向密度を変えることなどがある。
【0024】
本発明の他の一つは、便器に起倒自在に設置された便座と、この便座を起倒自在に支持する便座本体と、前記便器内面を濡らすために便座本体に配置した水散布ノズルと、便器内面を照明する照明装置を具備し、前記水散布ノズルは、水噴出部を中心部分に形成した水供給体と、前記水噴出部から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体とから構成するとともに、この水散布ノズルからの水散布と連動して前記照明装置を動作させるようにし
たものである。
【0025】
したがって、水散布ノズルからの水散布状況が照明に浮き上がるようになり、トイレ空間を快適空間に変質できる。
【0026】
照明装置は水散布ノズルを覆うケースを設けて、これら水散布ノズルとケースとの間に介在させておくのが望ましい。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1、2において、洋式の便器1上に設置される便座2は便蓋3とともに便座本体4に上下起倒自在に軸支されており、これら便座2および便蓋3は手動でも起倒操作できるが、トイレ室内に対して使用者が入出したのを人体検知センサ5が検知した場合に自動的に起倒動作がなされるようにしてある。
【0029】
それらの駆動手段は便座本体4に内臓してあり、使用者がトイレ室内に入ると便蓋3のみが起動し、必要に応じて便座2の起動がなされ、使用者がトイレ室内から退出すると便蓋3は勿論、便座2が起状態にあれば共に倒動されるものである。
【0030】
便座2への使用者の着座は赤外線などを利用した着座センサ6で検知され、脱臭装置などが始動されるように設定してある。
【0031】
便座2には2種類の洗浄ノズル7,8と、便器1の内面に水膜を形成するための水散布ノズル9、および前記水散布ノズル9からの水散布状況を照明する照明装置10とが配置してある。
【0032】
前記洗浄ノズル7,8の選択的動作、洗浄条件などはリモートコントローラ11で制御できるようにしてある。
【0033】
すなわち、前記リモートコントローラ11には、洗浄ノズル7,8を択一的に動作させるためのスイッチ12,13(お尻洗浄用とビデ洗浄用)、乾燥スイッチ14、各機能のインジケータ15、洗浄ノズル7,8から噴出される水の温度を可変するための温度調整スイッチ16,17、洗浄ノズル7,8などの使用―停止スイッチ18、および水散布ノズル9からの水散布を任意に行う汚れ防止スイッチ19がそれぞれ設けてあり、便座本体4に内蔵された各種制御機器、電気回路などをコントロールするようにしている。
【0034】
図3はその具体例を示しており、分岐水栓20を介して水道などの給水源21から分岐された水回路22には、ストレーナ23、逆止弁24、定流量弁25、元電磁弁26、流路切換弁27、流量センサー28、温水ユニット29、ポンプ30、ノズル切換弁31が上流側から順に接続されている。
【0035】
前記流路切換弁27は水路を洗浄ノズル7,8側か、水散布ノズル9側かに択一的に切換えるためのもの、ノズル切換弁31は水路を洗浄ノズル7,8のいずれか一方へ択一的に切換えるためのもので、また、流路切換弁27と流量センサー28との間からは、元電磁弁26から下流側の過剰水を廃棄するための捨て水回路32が分岐形成してある。
【0036】
そして、元電磁弁26、流路切換弁27、温水ユニット29、ポンプ30、ノズル切換弁31、および照明装置10は制御手段33で制御されるものである。
【0037】
便座本体4にはこれらの水路などの制御機器のほか、先の脱臭装置、乾燥用温風発生装置なども内臓してある。
【0038】
つまり、リモートコントローラ11の使用―停止スイッチ18が使用状態であると、元電磁弁26が開成できる状態となり、ここでお尻洗浄用のスイッチ12を押すと、元電磁弁26が開成されるとともに、ポンプ30が作動し、ノズル切換弁31がお尻洗浄用の洗浄ノズル7側の水回路を開く。
【0039】
したがって、元電磁弁26、流路切換弁27、流量センサー28と流動してきた水は次段の温水ユニット29を通過する際に瞬間的に暖められ、温水としてポンプ30を介して洗浄ノズル7から噴出されることとなる。
【0040】
ビデ洗浄用のスイッチ13を押した場合には、ノズル切換弁31がビデ洗浄用の洗浄ノズル8側が開かれてビデ洗浄用温水が噴出される。
【0041】
これら洗浄ノズル7,8から噴出される温水の温度は温度調整スイッチ16,17により、例えば、温水ユニット29の出力を調整することでコントロールできるものである。
【0042】
また、リモートコントローラ11の汚れ防止スイッチ19をONにすれば任意に水散布ノズル9からの水散布が可能であるが、通常は、トイレ室内への使用者の入室を人体検知センサ5が検知した後の所定時間だけ流路切換弁27が水散布ノズル9側の水回路を開き、同水散布ノズル9より便器1の内面へ水を散布する。
【0043】
したがって、使用者が用を足す以前に便器1の内面には水膜が形成された状態にあり、汚れが付着しにくい状態を呈するようになっている。
【0044】
そして、水散布ノズル9より水散布が行われている間中、照明装置10が動作されて水散布状態が照明に浮き上がるようにしている。
【0045】
次に、前記水散布ノズル9の構成を詳述する。図4、5において、水散布ノズル9は、環状の水噴出部34を中心部分に形成した水供給体35と、前記水噴出部34から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体36とから構成してある。
【0046】
前記水拡散体36は円形状であって、水噴出部34と対向する上壁が凹曲面状に設定してあり、また、水供給体35の内部通水路37に突入する支柱部38からは支持用のリブ39が放射状に形成してある。
【0047】
水散布ノズル9からの水散布速度、流量は水噴出部34の開口度で決定されるが、同水噴出部34が水供給体35の中央部に位置しているために、従来の分散タイプではなく集中タイプとなり、その分、開口面積としては大きくでき、異物などの詰まりが発生しにくくなっている。
【0048】
水供給体35の通水路37を流動する水は、途中、リブ39で整流されて層流となって水噴出部34に至り、そこから水拡散体36の凹曲面状の上壁へ噴出される。そして、その凹曲面状上壁で向きを変えて放射状に散布されることとなる。
【0049】
ところで、リブ39は整流作用を発揮するものであるが、下流の水噴出部34である程度水量が絞られる関係から、この水噴出部34以降で水が周方向に分散されることはなく、したがって、便器1の内面に均等に散布されて確実に水膜を形成することとなる。
【0050】
図6において、照明装置10は、水散布ノズル9の上方部を囲む透光性材料からなるケース40の内部に設置されており、水散布ノズル9からの水散布状況がケース40を透過してくる照明装置10の照明に浮き上がるようにしてある。
【0051】
上記の構成において、図7は動作説明のためのタイムチャートを示し、具体的には便蓋3の開閉状況、流路切換弁27の切換状況、元電磁弁26の開閉状況、照明装置10の動作状況を示すものである。
【0052】
aは、人体検知センサ5が人体を検知したら便蓋3が自動的に起動される場合で、同時に流路切換弁27が水散布ノズル9の水回路を開き、時間T1で元電磁弁26を開き、照明装置10を動作させるものである。
【0053】
元電磁弁26の開動と、照明装置10の点灯動作は時間T2継続され、同時に流路切換弁27が水散布ノズル9の水回路を閉じ、洗浄ノズル7,8への水回路を開く。
【0054】
すなわち、使用者がトイレに入室してから時間T2の間、水散布ノズル9から便器1の内面へ水散布が行われて、水膜を形成するようにしており、その後、用を足した場合にその水膜は汚れ付着を可及的に防止するものである。
【0055】
時間T2は、例えば、使用者がトイレに入室してから便座2に着座するまでの時間であり、その間、使用者は照明装置10の照明に浮き上がるように演出される水散布ノズル9からの水散布状況を確認でき、トイレを快適空間に改善できることとなる。
【0056】
bは、時間T2の経過の前に使用者が便座2に着座した場合で、着座センサ6の検知信号をもとに流路切換弁27が水散布ノズル9側の水回路を閉に、代わって洗浄ノズル7,8側の水回路を開とし、照明装置10も消灯状態とする。
【0057】
また、cは必要に応じて防止スイッチ19を作動させた場合である。このときには、時間T3の間に流路切換弁27が水散布ノズル9の水回路を開き、時間T3が経過したら元電磁弁26を開き、照明装置10を動作させる。この状態は汚れ防止スイッチ19をOFFとする時間T4の間継続されるものである。つまり、このcの例では便器1を清掃する場合などに非常に便利である。
【0058】
ところで、水散布ノズル9からの水散布が便器1の内面への衝突高さHが略平均的な高さになるように、その水拡散体36における上壁の凹曲面が設定されている。したがって、水散布ノズル9から散布された水は、便器1内面の外周部に向けて放射状に広がり、そのリム部の直下に注がれて、内面傾斜に沿って全面を濡らしながら流下される。
【0059】
また、照明装置10は、水散布ノズル9を覆うケース40内にあって、水散布ノズル9との隙間に配置され、水散布ノズル9からの散布水に向けて照射するようにしているので、水散布ノズル9からの散布水を照らし、乱反射で使用者に光と散布水の演出効果で、水流確認だけでなく清涼感や癒しの効果を与える。
【0060】
また、ケース40を半透明の素材により構成することで、照明装置10だけでなくケース40自体が光るので、使用者が散布水をより確実に確認することができる。さらに、淡い光で散布水と便器1を照らすので刺激の少ない光の演出ができる。
【0061】
このように本実施の形態1によれば、便器1の内面を濡らしておくことで、大便や小便などの汚れが残留した場合に、容易に洗い流すことができるとともに、トイレ掃除など必
要な時にには任意に水を散布させることもできるので、非常に使い勝手のよいものとすることができるものである。
【0062】
次に、水散布ノズル9からの散布流速、つまり、水噴出部34からの噴出速度と散布広がり幅の関係について図8を用いて説明する。ここでの広がり幅とは、水拡散体36からボウル状に拡散される散布水の100mm離れた平面での直径を表している。
【0063】
図8において、噴出流速が2m/s以下になると広がり幅が小さく、十分な濡れ面積が確保できなくなり、一方、噴出流速が10m/s以上では飛沫が便器1から飛び出してしまう。
【0064】
したがって、噴出流速を2〜10m/sに設定することで、散布水が飛び出すことなく便器1の内面に必要な濡れ面積が確保できる。実験結果では、4〜8m/sの噴出速度で理想的な濡れ面積が確保できた。
【0065】
(実施の形態2)
図9は水散布ノズル9からの水散布を一層向上させたもので、図4と同一作用を行う構成部分については同一符号を付し、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0066】
異なる点は、水供給体35の水噴出部34の噴出側に相当して水拡散体36の上部周方向に低圧渦発生用の凹部41を設けたところである。
【0067】
上記の構成において、水噴出部34から噴出された水の一部が凹部41で低圧渦を発生し、結果的に全体の流れが水拡散体36に付着するようになる(コアンダ効果)。
【0068】
したがって、水噴出部34からの水は水拡散体36に案内され、確実に放射状に散布されることとなる。
【0069】
(実施の形態3)
図10〜13は水散布ノズルの水噴出部を複数構成にしたものを示し、図4と同一作用を行う構成部分については同一符号を付し、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0070】
先ず、図10,11に示すものは、水供給体35における内部通水路37の路壁より凹条を90度間隔で形成して水拡散体36の支柱部38の外周面との間で4個の独立した水噴出部42を設けたものである。
【0071】
また、図12,13に示すものは、水拡散体36と水供給体35とを一体的に構成するとともに、丸孔からなる複数の独立した水噴出部43を同心円的に配設したものである。
【0072】
水噴出部42、および水噴出部43は水散布ノズル9から散布される水の噴出速度、流量を決定する点は先の実施の形態1と同一であり、また独立した水噴出部42,43から独立して噴出された水は水拡散体36に当たって放射状に拡散される際に連続環状の放射状となる。
【0073】
水噴出部が分散独立している分、個々の開口度が小さいが、従来の環状隙間tよりも開口面積が大きくなり異物の詰まりなどの可能性は低くすることができる。
【0074】
そして、これらの構成では水拡散体36のセンターずれなどをなくすことができ、安定した水拡散による水膜形成がなされるものである。
【0075】
(実施の形態4)
ところで、水散布ノズルの配置は、便器の中心に対して後方に偏って配置せざるを得ない。この配置で水散布ノズルから散布される水量が同一だった場合、便器の前方向への散布は距離が長いので、水量が少なくなり、逆に後方では距離が短いので水量は多くなってしまう。このように便器内面の前後で散布水量に大きな差が生じてしまう。
【0076】
そこで、水散布ノズルからの散布水量を便器の前方向には多く、後方には少なくなるように偏らせることで、便器内面の単位面積あたりの水量をほぼ均一にし、これにより、便器内面を効率よく広く均一に濡らすことができるものである。
【0077】
図14,15に示す第1具体策は、実施の形態1における図4,5の水散布ノズル9の水散布36を水供給体35に対して偏心させて水噴出部34の開口度を便器1の前方ほど大きく設定したものである。
【0078】
したがって、便器1の内面には均等に水が散布されることとなり、確実に内全面に水膜を形成できることとなる。
【0079】
図16に示す第2具体策は、実施の形態3における図10,11の独立した水噴出部42の個数を便器1の前方ほど多く設定したもの、図17に示す第3具体策は、独立した水噴出部42の開口度を便器1の前方ほど大きく設定したものである。
【0080】
図18に示す第4具体策は、実施の形態3における図12,13の独立した水噴出部43の個数を便器1の前方ほど多く設定したもの、図19に示す第5具体策は、独立した水噴出部43の開口度を便器1の前方ほど大きく設定したものである。
【0081】
以上より水散布ノズル9が便器1に対して偏心位置に配置してあっても、その内面に水膜を均等に、かつ確実に形成することができ、汚れに対する抑止作用をむらのないものとすることができるものである。
【0082】
なお、上記実施の形態1では選択された代表的なものを紹介したが、これ以外にも以下次のような実施手段も考えられるものである。
【0083】
(1)実施の形態1では人体検知をした後に便蓋3を開き、その後に水散布ノズル9から水を散布させるようにしたが、他に、例えば、人体検知した直後に水散布ノズル9から水の散布を行って素早く便器1の内面を濡らし、より早く便器1を使用可能な状態にしてもよい。
【0084】
(2)実施の形態1では水散布ノズル9からの水散布停止は、時間T2経過後、もしくは着座検知が行われた時としたが、その他に、例えば、リモートコントローラ11の使用―停止スイッチ18を操作することにより任意に停止させてもよい。これによれば、使用者が緊急に便器1を濡らしたくない状況が発生した場合などに対応できる。
【0085】
(3)実施の形態1では人体検知センサ5を独立して配置したが、素早い検出には劣るが、この人体検知センサ5を便座本体4とか、リモートコントローラ11に内蔵させることも考えられ、場合によっては、便座本体4とリモートコントローラ11の両者に内蔵させてもよい。
【0086】
(4)実施の形態1では照明装置10の点灯または消灯を水散布ノズル9からの水散布タイミングに合わせて行ったが、消灯を、例えば3分間程度遅延させることによって、便
器1内の照明として積極的に利用したり、男子小用時の小便の的としてスポットライトとして活用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかるトイレ装置は、水散布ノズルの水拡散が均等に行われるため、便器内面への汚れ付着が抑えられ、衛生的なトイレ環境を創出できるものであり、トイレ装置以外への応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1におけるトイレ装置の外観斜視図
【図2】同実施の形態1におけるリモートコントローラの斜視図
【図3】同実施の形態1における水回路図
【図4】同実施の形態1における水散布ノズルの縦断面図
【図5】同水散布ノズルの横断面図
【図6】同実施の形態1におけるトイレ装置の断面図
【図7】同実施の形態1におけるトイレ装置のタイムチャート
【図8】同実施の形態1における水散布ノズルの噴流速度と広がり幅の関係を示す動作説明図
【図9】本発明の実施の形態2における水散布ノズルの縦断面図
【図10】本発明の実施の形態3における水散布ノズルの縦断面図
【図11】同水散布ノズルの横断面図
【図12】同実施の形態3の他の例を示す水散布ノズルの縦断面図
【図13】同水散布ノズルの横断面図
【図14】本発明の実施の形態4における水散布ノズルの縦断面図
【図15】同水散布ノズルの横断面図
【図16】同実施の形態4の他の例を示す水散布ノズルの縦断面図
【図17】同水散布ノズルの横断面図
【図18】同実施の形態4のさらに他の例を示す水散布ノズルの縦断面図
【図19】同水散布ノズルの横断面図
【図20】従来のトイレ装置の断面図
【図21】従来の水散布ノズルの側面図
【図22】同横断面図
【符号の説明】
【0089】
1 便器
2 便座
9 水散布ノズル
10 照明装置
34,42,43 水噴出部
35 水供給体
36 水拡散体
40 ケース
41 低圧部(凹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に起倒自在に設置された便座と、この便座を起倒自在に支持する便座本体と、前記便器内面を濡らすために前記便座本体に配置した水散布ノズルとを具備し、この水散布ノズルは、水噴出部を中心部分に形成した水供給体と、前記水噴出部から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体とから構成したトイレ装置。
【請求項2】
水拡散体は凹曲面状に形成した請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
水散布ノズルの水噴出部は環状に構成した請求項1記載のトイレ装置。
【請求項4】
水散布ノズルの水噴出部は環状に複数配列して構成した請求項1記載のトイレ装置。
【請求項5】
水噴出部より噴出された水により低圧部を形成する低圧発生部を水拡散体の周方向に設け、この水拡散体に水を付着させながら拡散するようにした請求項1記載のトイレ装置。
【請求項6】
水拡散体により拡散される水の流量分布を周方向に異なるように設定した請求項1記載のトイレ装置。
【請求項7】
水散布ノズルの水噴出部に対して水拡散体を偏心させることにより水拡散体により拡散される水の流量分布を周方向に異ならせた請求項6記載のトイレ装置。
【請求項8】
複数の水噴出部の開口度を変えることにより水拡散体により拡散される水の流量分布を周方向に異ならせた請求項4または6記載のトイレ装置。
【請求項9】
複数の水噴出部の周方向密度を変えることにより水拡散体により拡散される水の流量分布を周方向に異ならせた請求項6記載のトイレ装置。
【請求項10】
便器に起倒自在に設置された便座と、この便座を起倒自在に支持する便座本体と、前記便器内面を濡らすために前記便座本体に配置した水散布ノズルと、便器内面を照明する照明装置を具備し、前記水散布ノズルは、水噴出部を中心部分に形成した水供給体と、前記水噴出部から噴出された水を放射状に拡散する水拡散体とから構成するとともに、この水散布ノズルからの水散布と連動して前記照明装置を動作させるようにしたトイレ装置。
【請求項11】
水散布ノズルを覆うケースを設け、これら水散布ノズルとケースとの間に照明装置を介在させた請求項10記載のトイレ装置。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate