説明

トイレ装置

【課題】脱臭装置のフィルタの自動清掃後に、脱臭装置の吸引ファンが水を吸引しないようにすることを目的とする。
【解決手段】便器のボウルの内部と外部とを連通すると共に前記ボウル内の空気を吸引可能な吸引口を有する脱臭風路と、前記脱臭風路内に設けられて、前記ボウル内の臭気を吸引する吸引ファンと、前記脱臭風路内において前記吸引ファンよりも前記ボウル側に設けられたフィルタと、を有する脱臭装置と、前記フィルタに向けて水を噴射する水供給部と、前記フィルタに付着した水を除去する水分除去装置と、前記水供給部を制御することにより水を噴射させて前記フィルタを前記水で洗浄した後、前記水分除去装置を制御することにより前記フィルタに付着した水を除去させる制御部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関し、具体的には脱臭機能を有するトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洋式腰掛便器のボウル内の臭気を含む空気を吸引し、その臭気を脱臭する脱臭装置を備えたトイレ装置がある。このような脱臭装置では、例えばフィルタを吸引口に設けることにより、吸引ファンがトイレットペーパーや衣類などを由来とした粉塵を吸い込まないようにしている。しかしながら、粉塵がフィルタに付着することにより、フィルタの目詰まりが発生すると、脱臭装置の吸引ファンは、空気を吸引できなくなったり、空気を吸引しにくくなったりするおそれがある。そうすると、脱臭装置の脱臭性能が低下するおそれがある。
【0003】
これに対して、臭気吸引口付近に付着した粉塵等を洗浄水により洗い落とすことができる衛生洗浄装置(特許文献1)がある。また、リザーブタンクから発生する捨て水を利用して脱臭フィルタに付着した塵や異物を自動的に洗い流すことができる温水洗浄便座(特許文献2)がある。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された衛生洗浄装置や、特許文献2に記載された温水洗浄便座では、臭気吸引口付近や脱臭フィルタを水で洗浄した後に残った水分や水気が、吸引ファンに吸い込まれるおそれがある。そうすると、吸引ファンに設けられた回路基板やリード線などが腐食し、吸引ファンが動作しなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−293240号公報
【特許文献2】特開2007−2628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、脱臭装置のフィルタの自動清掃後に、脱臭装置の吸引ファンが水を吸引しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、便器のボウルの内部と外部とを連通すると共に前記ボウル内の空気を吸引可能な吸引口を有する脱臭風路と、前記脱臭風路内に設けられて、前記ボウル内の臭気を吸引する吸引ファンと、前記脱臭風路内において前記吸引ファンよりも前記ボウル側に設けられたフィルタと、を有する脱臭装置と、前記フィルタに向けて水を噴射する水供給部と、前記フィルタに付着した水を除去する水分除去装置と、前記水供給部を制御することにより水を噴射させて前記フィルタを前記水で洗浄した後、前記水分除去装置を制御することにより前記フィルタに付着した水を除去させる制御部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置である。
【0008】
このトイレ装置によれば、制御部は、水供給部を制御することにより水を噴射してフィルタを水で洗浄した後、水分除去装置を制御することによりフィルタに付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタに水を噴射することにより生ずる課題、より具体的にはフィルタに付着した水を吸引ファンが吸込むことによって吸引ファンに設けられた回路基板やリード線などが腐食し、吸引ファンが動作しなくなるおそれがあるという課題を解決することができる。そのため、脱臭装置のフィルタの自動清掃後に、脱臭装置の吸引ファンが水を吸引しないようにすることができ、フィルタ清掃時の水によって脱臭装置の吸引ファンが故障することはない。また、フィルタを取り外すことなく水洗いすることができるため、フィルタの手入れを簡素化させることができる。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記水分除去装置は、ヒータおよび送風ファンを有すると共に人体局部に向けて温風を噴出可能な温風噴出口を有する局部乾燥装置であることを特徴とするトイレ装置である。
【0010】
このトイレ装置によれば、水分除去装置は、ヒータおよび送風ファンを有し、人体局部に向けて温風を噴出可能な局部乾燥装置である。そのため、水分除去装置は、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる機能と、フィルタに付着した水を除去する機能と、を有する。これによれば、フィルタを乾燥させて水を除去する装置などを新たに設ける必要はない。したがって、トイレ装置が大型化することを抑制することができる。
【0011】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記ボウルの上方に設けられ、前記温風噴出口と前記吸引口とを互いに連通させる空間と、前記温風噴出口を開閉可能なダンパと、を有するケーシングをさらに備え、前記制御部は、前記フィルタに付着した水を除去する際には、前記ダンパを閉じた状態に維持することを特徴とするトイレ装置である。
【0012】
このトイレ装置によれば、制御部は、フィルタに付着した水を除去する際には、ダンパを閉じた状態に維持する。そのため、送風ファンから送られた空気は、ダンパが閉じた状態においてより効率的にフィルタに吹き付けられる。これにより、フィルタに付着した水をより効率的に除去することができる。これによれば、エネルギーロスを抑制することができるとともに、脱臭装置のフィルタの自動清掃後に、脱臭装置の吸引ファンが水を吸引しないようにすることができる。
【0013】
また、第4の発明は、第2または第3の発明において、前記制御部は、前記フィルタに付着した水を除去する際には、前記ヒータを動作させずに前記送風ファンを駆動させることを特徴とするトイレ装置である。
【0014】
このトイレ装置によれば、制御部は、フィルタに付着した水を除去する際には、ヒータを動作させずに送風ファンを駆動させるため、「冷風」をフィルタに吹き付けることができる。これにより、局部乾燥装置が「冷風」をフィルタに吹き付ける場合には、制御部は、ヒータを動作させる必要はないため、省エネルギー化を図ることができるとともに、フィルタに付着した水を除去することができる。
【0015】
また、第5の発明は、第1の発明において、前記水分除去装置は、前記フィルタの近傍に設けられ、前記フィルタを加熱可能な加熱部であることを特徴とするトイレ装置である。
【0016】
このトイレ装置によれば、水分除去装置は、フィルタの近傍に設けられ、フィルタを加熱可能な加熱部である。そのため、フィルタに付着した水をより短時間で効率的に除去することができる。そして、フィルタを洗浄した後に、トイレ装置を使用可能な状態により迅速に復帰させることができる。これによれば、エネルギーロスを抑制することができるとともに、脱臭装置のフィルタの自動清掃後に、脱臭装置の吸引ファンが水を吸引しないようにすることができる。
【0017】
また、第6の発明は、第1の発明において、前記水分除去装置は、前記フィルタに振動を与えることができる振動装置であることを特徴とするトイレ装置である。
【0018】
このトイレ装置によれば、水分除去装置は、フィルタに振動を与えることができる振動装置である。そして、この振動装置が、例えば局部洗浄装置のノズルユニットから吐水される水に脈動を与えることができる洗浄水脈動ユニットである場合には、ノズルユニットから吐水される水に脈動を与える機能と、フィルタに付着した水を除去する機能と、を有する。これによれば、フィルタを乾燥させて水を除去する装置などを新たに設ける必要はない。したがって、トイレ装置が大型化することを抑制することができる。
【0019】
また、第7の発明は、便器のボウルの内部と外部とを連通すると共に前記ボウル内の空気を吸引可能な吸引口を有する脱臭風路と、前記脱臭風路内に設けられて、前記ボウル内の臭気を吸引する吸引ファンと、前記脱臭風路内において前記吸引ファンよりも前記ボウル側に設けられたフィルタと、を有する脱臭装置と、前記フィルタに向けて水を噴射する水供給部と、前記水供給部を制御することにより水を噴射させて前記フィルタを前記水で洗浄した後、脱臭動作時とは反対方向に前記吸引ファンを回転させ前記フィルタに向けて送風することにより前記フィルタに付着した水を除去させる制御部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置である。
【0020】
このトイレ装置によれば、制御部は、水供給部を制御することにより水を噴射してフィルタを水で洗浄した後、脱臭動作時とは反対方向に吸引ファンを回転させフィルタに向けて送風することによりフィルタに付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタに水を噴射することにより生ずる課題、より具体的にはフィルタに付着した水を吸引ファンが吸込むことによって吸引ファンに設けられた回路基板やリード線などが腐食し、吸引ファンが動作しなくなるおそれがあるという課題を解決することができる。そのため、脱臭装置のフィルタの自動清掃後に、脱臭装置の吸引ファンが水を吸引しないようにすることができ、フィルタ清掃時の水によって脱臭装置の吸引ファンが故障することはない。また、フィルタを取り外すことなく水洗いすることができるため、フィルタの手入れを簡素化させることができる。また、本発明のトイレ装置は、脱臭動作時とは反対方向に吸引ファンを回転させることによりフィルタに付着した水を除去することができるため、フィルタを乾燥させる乾燥装置などの特別な装置を設ける必要はない。そのため、トイレ装置の構造や構成を簡略化させることができる。
【0021】
また、第8の発明は、第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記制御部は、前記フィルタに付着した水を除去する際には、前記吸引ファンを制御することにより前記ボウル内の臭気を吸引することを禁止することを特徴とするトイレ装置である。
【0022】
このトイレ装置によれば、制御部は、フィルタに付着した水を除去する際には、吸引ファンを制御することによりボウル内の臭気を吸引することを禁止できる。そのため、フィルタに付着した水を除去しているにもかかわらず、その水が吸引ファンに吸い込まれることを抑制することができる。また、フィルタに付着した水を除去している際には、便座に使用者が着座しても、制御部が吸引ファンを制御することによりボウル内の臭気を吸引すること、すなわち自動脱臭を禁止できる。そのため、水が吸引ファンに吸い込まれることをより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の態様によれば、脱臭装置のフィルタを水で洗浄した後にフィルタに付着した水を除去するので、脱臭装置のフィルタの自動清掃を行うことができ、さらに、フィルタ清掃時の水によって脱臭装置の吸引ファンが故障することのないトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表した斜視模式図である。
【図2】本実施形態のケーシングの内部構造を例示する平面模式図である。
【図3】本実施形態のケーシングの内部における要部構成を例示するブロック図である。
【図4】本実施形態のフィルタを洗浄しているときの状態を表す断面模式図である。
【図5】本実施形態の局部乾燥装置が温風を吹き出しているときの状態を表す断面模式図である。
【図6】本実施形態の水供給部の水路系の一例を例示するブロック図である。
【図7】本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
【図8】本実施形態の変形例にかかるトイレ装置が備える脱臭装置を表す斜視模式図である。
【図9】本実施形態の他の変形例にかかるトイレ装置を表す斜視模式図である。
【図10】本変形例にかかるトイレ装置を上方から眺めた平面模式図である。
【図11】本変形例の防振機構を表す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表した斜視模式図である。
【0026】
本実施形態のトイレ装置は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称す)800と、その後方上部に設けられたケーシング100と、を備える。ケーシング100の内部には、便器800のボウル801内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭装置が内蔵されている。この脱臭装置については、後に詳述する。なお、本実施形態にかかるトイレ装置は、便座200および便蓋300をさらに備え、便座200および便蓋300は、ケーシング100に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0027】
また、ケーシング100の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄装置や、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる局部乾燥装置や、トイレ室内に温風を吹き出してトイレ室を暖房する室内暖房装置などが設けられていてもよい。但し、局部洗浄装置や局部乾燥装置や室内暖房装置などは、必ずしも設けなくてもよい。
【0028】
図2は、本実施形態のケーシングの内部構造を例示する平面模式図である。
また、図3は、本実施形態のケーシングの内部における要部構成を例示するブロック図である。
なお、図2は、本実施形態にかかるトイレ装置を上方から眺めたときの平面模式図である。
【0029】
本実施形態のケーシング100の内部には、図2に表した矢印A1のように、便器800のボウル801内の臭気を吸引し脱臭する脱臭装置110が設けられている。脱臭装置110は、ボウル801の内部と外部とを連通する脱臭風路111a、111bと、ボウル801内の臭気を吸引する吸引ファン113と、トイレットペーパーや衣類などを由来とした粉塵が吸引ファン113へ吸引されることを抑制するフィルタ115と、吸引ファン113により吸引された空気から臭気成分を除去する脱臭触媒117と、を有する。吸引ファン113は、脱臭風路111a、111bの途中に設けられている。また、フィルタ115は、吸引ファン113よりもボウル801側に設けられている。
【0030】
さらに、ケーシング100の内部には、脱臭装置110のフィルタ115に向けて水を噴射する水供給部120が設けられている。水供給部120は、配水管121を有し、この配水管121を通してフィルタ115に水を噴射することができる。また、さらに、ケーシング100の内部には、図2に表した矢印A2のように、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる局部乾燥装置(水分除去装置)130が設けられている。局部乾燥装置130は、ボウル801内に向けて空気を送る送風ファン131と、送風ファン131から送られた空気をボウル801内に導く温風ダクト133と、温風ダクト133内に設けられたヒータ135と、を有する。
【0031】
局部乾燥装置130は、ヒータ135の動作中において、送風ファン131から送風することによりボウル801内に温風を吹き出すことができる。一方、局部乾燥装置130は、ヒータ135が動作していないときには、送風ファン131から送風することによりボウル801内に冷風を吹き出すことができる。なお、本願明細書において、「冷風」とは、ヒータ135の動作中に送風される温風よりも低い温度の風をいうものとする。すなわち、「冷風」の範囲には、人が冷感を感ずる風だけではなく、人が冷感を感じなくともヒータ135の動作中に送風される温風よりも低い温度の風も含まれる。
【0032】
なお、ケーシング100の内部には、図2に表したように、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄装置150が設けられていてもよい。そして、図3に表したように、ケーシング100の内部には制御部180が設けられ、この制御部180は、脱臭装置110と、水供給部120と、局部乾燥装置130と、局部洗浄装置150と、の動作を制御することができる。
【0033】
図4は、本実施形態のフィルタを洗浄しているときの状態を表す断面模式図である。
また、図5は、本実施形態の局部乾燥装置が温風を吹き出しているときの状態を表す断面模式図である。
なお、図4および図5は、図2に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
【0034】
ケーシング100の底面には、図4および図5に表したように、ボウル801内の空気が脱臭装置110へ吸引される吸引口105が設けられている。そして、脱臭装置110のフィルタ115は、この吸引口105の部分に設置されている。但し、フィルタ115の設置位置は、これだけに限定されず、吸引口105よりも下流側、すなわち吸引口105よりも吸引ファン113側であってもよい。
【0035】
また、ケーシング100の前面には、図5に表したように、局部乾燥装置130の送風ファン131から送られた空気がボウル801内に噴出される温風噴出口103が設けられている。そして、この温風噴出口103の部分には、温風噴出口103を閉塞可能なダンパ140が設けられている。ダンパ140は、軸141においてケーシング100に軸支され、例えばモータ143(図3参照)などを有する開閉駆動部から伝達される駆動力により軸141を中心として回動可能である。そのため、ダンパ140は、軸141を中心として回動することにより温風噴出口103を開閉できる。このとき、制御部180は、モータ143の動作を制御できる。
【0036】
吸引口105の上方、言い換えれば温風噴出口103の後方には、吸引口105と温風噴出口103とを互いに連通させる空間101が設けられている。そして、この空間101を臨むようにして、配水管121が設置されている。
【0037】
ここで、フィルタ115は、トイレットペーパーや衣類などを由来とした粉塵が吸引ファン113へ吸引されることを抑制できるが、その粉塵がフィルタ115に付着し堆積すると、フィルタ115の目詰まりが発生するおそれがある。また、ボウル801の表面において跳ねた小水や、使用者の用便により跳ねたボウル801内の封水がフィルタ115に付着すると、粉塵がフィルタ115に付着し堆積しやすくなり、フィルタ115の目詰まりが発生しやすくなる。フィルタ115の目詰まりが発生すると、脱臭装置110の吸引ファン113は、ボウル801内の空気を吸引できなくなったり、空気を吸引しにくくなったりするおそれがある。そうすると、脱臭装置110の脱臭性能が低下するおそれがある。
【0038】
これに対して、本実施形態にかかるトイレ装置では、配水管121が空間101を臨むように設けられている。そして、水供給部120は、図4に表したように、配水管121により導水された水をフィルタ115に向けて噴射することができる。そのため、フィルタ115に付着し堆積した粉塵は、水供給部120から噴射された水によりボウル801内に流し落とされる。その結果、フィルタ115は、水供給部120から噴射された水により洗浄される。これによれば、粉塵がフィルタ115に付着し堆積することにより脱臭装置110の脱臭性能が低下するという課題を解決することができ、長期間にわたって脱臭性能を持続させることができる。
【0039】
なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。そして、水供給部120により噴射する水として加熱されたお湯を使用する場合には、フィルタ115を洗浄する際の洗浄力を向上させることができる。これにより、フィルタ115の洗浄時間を短縮することができ、水供給部120によるフィルタ115の洗浄動作を効率的に行うことができる。
【0040】
ここで、ダンパ140が開いた状態において、水供給部120が空間101およびフィルタ115に向けて水を噴射すると、その水は、温風噴出口103を通してボウル801内に飛散するおそれがある。また、使用者が便座200に着座しているときにおいて、ダンパ140が開いた状態でフィルタ115の洗浄が行われると、水供給部120から噴射された水やフィルタ115で跳ねた水が、温風噴出口103を通して使用者に向かって飛散するおそれがある。
【0041】
これに対して、本実施形態のトイレ装置では、図4に表したように、水供給部120がフィルタ115に向けて水を噴射するときには、制御部180は、モータ143の動作を制御することによりダンパ140を閉じておく、すなわち、ダンパ140が閉じた状態を維持する。そのため、水供給部120から噴射された水やフィルタ115で跳ねた水は、温風噴出口103を通してボウル801内に飛散することを抑制される。これによれば、フィルタ115に水を噴射することにより生ずる課題を解決することができ、フィルタ115の自動清掃を行うことができる。
【0042】
しかしながら、脱臭装置110のフィルタ115を水で洗浄した後にそのまま放置すると、そのフィルタ115に水分あるいは水気などの水(以下、単に「水」という)が残る場合がある。そして、フィルタ115に水が残った状態において、制御部180が吸引ファン113を駆動させると、フィルタ115に残った水が吸引ファン113に吸い込まれるおそれがある。そうすると、吸引ファン113に設けられた回路基板やリード線などが腐食し、吸引ファン113が動作しなくなるおそれがある。
【0043】
これに対して、本実施形態にかかるトイレ装置では、制御部180は、水供給部120から水を噴射させてフィルタ115を洗浄した後あるいは水で洗浄した後に、局部乾燥装置130の送風ファン131を駆動させる。そうすると、送風ファン131から送られた空気は、図4に表した矢印のように、温風ダクト133を通してフィルタ115に吹き付けられる。このとき、制御部180は、モータ143の動作を制御することによりダンパ140を閉じておくことがより好ましい。これによれば、送風ファン131から送られた空気は、温風噴出口103を通してボウル801内に吹き出されることを抑制され、より効率的にフィルタ115に吹き付けられる。なお、ダンパ140を閉じておく手段は、制御部180がモータ143の動作を制御することだけに限定されるわけではなく、ダンパ140が開くことを抑制するストッパなどを有する図示しないダンパ開抑制機構であってもよい。あるいは、ダンパ140が開かない程度の風圧となるように送風ファン131を駆動させてもよい。
【0044】
このようにして、制御部180は、送風ファン131を駆動させることにより、フィルタ115を乾燥させることができ、フィルタ115に付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタ115に水を噴射することにより生ずる課題を解決することができ、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。また、フィルタ115をケーシング100から取り外すことなく水洗いすることができるため、フィルタ115の手入れを簡素化させることができる。
【0045】
さらには、送風ファン131から送られた空気は、ダンパ140が閉じた状態においてより効率的にフィルタ115に吹き付けられるため、フィルタ115に付着した水をより効率的に除去することができる。これによれば、エネルギーロスを抑制することができるとともに、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。
【0046】
ここで、制御部180は、フィルタ115に付着した水を除去するために送風ファン131を駆動させるときには、ヒータ135を動作させてもよいし、ヒータ135を動作させなくともよい。つまり、フィルタ115に付着した水を除去するときには、局部乾燥装置130は、「温風」をフィルタ115に吹き付けてもよいし、「冷風」をフィルタ115に吹き付けてもよい。
【0047】
局部乾燥装置130が「冷風」をフィルタ115に吹き付ける場合には、ヒータ135を動作させる必要はないため、省エネルギー化を図ることができるとともに、フィルタ115に付着した水を除去することができる。
【0048】
一方、局部乾燥装置130が「温風」をフィルタ115に吹き付ける場合には、フィルタ115に付着した水をより短時間で除去することができる。そのため、フィルタ115に付着した水をより効率的に除去することができる。これによれば、エネルギーロスを抑制することができるとともに、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。
【0049】
また、本実施形態の制御部180は、フィルタ115に付着した水を除去するために送風ファン131を駆動させているときには、脱臭装置110の吸引ファン113の動作を禁止し、ボウル801内の臭気を吸引する動作を禁止することができる。ここで、フィルタ115に付着した水を除去しているときに、制御部180が脱臭装置110の吸引ファン113を駆動させると、送風ファン131からフィルタ115へ送られてきた空気の少なくとも一部が吸引ファン113へ吸い込まれる。そのため、フィルタ115に付着した水を除去する効率が低下するおそれがある。また、フィルタ115に付着した水を除去しているにもかかわらず、制御部180が脱臭装置110の吸引ファン113を駆動させると、その水が吸引ファン113に吸い込まれるおそれがある。
【0050】
これに対して、本実施形態の制御部180は、フィルタ115に付着した水を除去するために送風ファン131を駆動させているときには、脱臭装置110の吸引ファン113の動作を禁止できるため、そのような課題を解決することができる。つまり、制御部180は、脱臭装置110の吸引ファン113の動作を禁止できるため、送風ファン131からフィルタ115へ送られてきた空気の少なくとも一部が吸引ファン113へ吸い込まれることはない。これにより、フィルタ115に付着した水を除去する効率が低下することを抑制することができ、その水をより効率的に除去することができる。また、フィルタ115に付着した水を除去しているにもかかわらず、その水が吸引ファン113に吸い込まれることを抑制することができる。
【0051】
なお、図4および図5においては、水分除去装置が局部乾燥装置130である場合を例に挙げて説明したが、水分除去装置はこれだけに限定されるわけではない。本実施形態の水分除去装置は、図4および図5に表したように、フィルタ115の近傍に設けられたヒータ(加熱部)165であってもよい。そして、制御部180は、水供給部120から水を噴射させてフィルタ115を洗浄した後に、加熱部165の動作を開始させ、水が付着したフィルタ115を加熱することができる。
【0052】
これにより、フィルタ115に付着した水をより短時間で除去することができる。そのため、フィルタ115に付着した水をより効率的に除去することができる。これによれば、エネルギーロスを抑制することができるとともに、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。
【0053】
次に、本実施形態の水供給部120について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態の水供給部の水路系の一例を例示するブロック図である。
本実施形態の水供給部120は、水道や貯水タンクなどの給水源に接続され空間101およびフィルタ115に至る流路を有する。また、ノズルユニット151を有する局部洗浄装置150がケーシング100内に設けられている場合には、給水源からの水は、水供給部120から適宜分岐された流路内を導かれ、ノズルユニット151にも供給される。
【0054】
流路の上流側には、まず止水栓122が設けられている。止水栓122は、手動による開閉が可能とされ、例えば、トイレ装置の取付・取り外しや保守点検の際などに水路(流路)を随時遮断することができる。なお、止水栓122は、ケーシング100に設けてもよく、または、ケーシング100とは別体の要素として水道などの給水源の供給口の側に設けてもよい。
【0055】
止水栓122の下流には、ストレーナ123、調圧弁124、電磁弁125が設けられている。電磁弁125は、好ましくはノーマリクローズすなわち非通電時において閉状態となる電磁バルブであり、制御部180からの指令に基づいて水の供給を制御する。
【0056】
電磁弁125の下流には、安全弁129が設けられている。安全弁129は、水路の圧力が上昇した時に開いて、水を便器800のボウル801に排出する。
【0057】
安全弁129の下流には、熱交換ユニット126が設けられている。熱交換ユニット126は、供給された水をヒータで加熱し、所定の温水にする。熱交換ユニット126の下流には、バキュームブレーカ127が設けられている。
【0058】
バキュームブレーカ127の下流には、三方弁128が設けられている。三方弁128は、制御部180から動作を制御されることにより流路を切り替えることができる。より具体的には、制御部180は、三方弁128の動作を制御することにより、熱交換ユニット126から供給された水を、フィルタ115へ導水する配水管121に導いたり、ノズルユニット151へ導いたりすることができる。そして、三方弁128を介して配水管121に導かれた水は、脱臭装置110のフィルタ115に向けて噴射される。これは、前述した如くである。
【0059】
一方、三方弁128からノズルユニット151へ向かう流路には、流量調整弁ユニット153が設けられている。流量調整弁ユニット153は、ノズルユニット151に設けられている図示しない吐水ノズルやノズル洗浄室への給水の開閉や切替及び水勢の調整をする。なお、流量調整弁ユニット153の下流側に、水に脈動を与える脈動ユニットなどが設けられていてもよい。これについては、後に詳述する。
【0060】
次に、本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、本実施形態にかかるトイレ装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
【0061】
まず、本実施形態のケーシング100には、図1に表したように、使用者が便座に座ったことを検知する着座センサ191が設けられている。そして、使用者が用便を済ませて便座200から離座することにより、着座センサ191が便座200に着座した使用者を非検知とすると、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定する(タイミングt1)。
【0062】
ここで、本願明細書において、制御部180が電磁弁125を「ON」に設定するとは、制御部180が電磁弁125の動作を制御し、その電磁弁125を開くことをいうものとする。また、本願明細書において、制御部180が三方弁128を「ON」に設定するとは、制御部180が三方弁128の動作を制御し、熱交換ユニット126から供給された水を配水管121に導くことをいうものとする。
【0063】
続いて、制御部180が電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定し、水供給部120から噴射された水によりフィルタ115を洗浄してから所定時間が経過すると、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「OFF」に設定する(タイミングt2)。
【0064】
ここで、本願明細書において、制御部180が電磁弁125を「OFF」に設定するとは、制御部180が電磁弁125の動作を制御し、その電磁弁125を閉じることをいうものとする。また、本願明細書において、制御部180が三方弁128を「OFF」に設定するとは、制御部180が三方弁128の動作を制御し、熱交換ユニット126から供給された水が配水管121に導かれないようにすることをいうものとする。
【0065】
続いて、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「OFF」に設定した後、局部乾燥装置130の送風ファン131を所定時間だけ駆動させる(タイミングt3〜t4)。なお、この一連の工程においては、使用者が便座200から離座した後には、制御部180は、脱臭装置110の吸引ファン113の動作を禁止し、その吸引ファン113を駆動させないようにしている。このように、制御部180は、送風ファン131を駆動させることにより、フィルタ115を乾燥させることができ、フィルタ115に付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタ115に水を噴射することにより生ずる課題を解決することができ、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。
【0066】
このとき、制御部180は、モータ143の動作を制御することにより、ダンパ140を「OFF」に設定、すなわちダンパ140を閉じ、開かないようにしている。これにより、図4および図5に関して前述したように、送風ファン131から送られた空気は、温風噴出口103を通してボウル801内に吹き出されることを抑制され、より効率的にフィルタ115に吹き付けられる。
【0067】
また、制御部180は、送風ファン131を駆動させているときには(タイミングt3〜t4)、ヒータ135を「OFF」に設定、すなわちヒータ135を動作させていない。そのため、フィルタ115には「冷風」が吹き付けられる。これにより、図4および図5に関して前述したように、省エネルギー化を図ることができるとともに、フィルタ115に付着した水を除去することができる。
【0068】
また、制御部180は、使用者が便座200から離座した後に、すなわち、粉塵がフィルタ115に付着した直後に脱臭装置110のフィルタ115を自動清掃するので、フィルタ115に粉塵が堆積する前に粉塵を除去することができる。そのため、フィルタ115の目詰まりをより効率的に抑制することができる。
【0069】
なお、本具体例では、使用者が便座200から離座すると、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定する場合を例に挙げて説明したが、制御部180が電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定するタイミング(t1)は、これだけに限定されるわけではない。例えば、使用者が便座200から離座し、制御部180が「オートパワー脱臭」を実行させた後に、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定してもよい。
【0070】
ここで、本願明細書において、「オートパワー脱臭」とは、使用者が便座200から離座した後に、制御部180が吸引ファン113の出力を上昇させることにより、空気の吸い込み量をより多くし、より強力に脱臭する機能をいうものとする。そして、制御部180が「オートパワー脱臭」を実行させた後に、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定することにより、送風ファン131からフィルタ115へ送られてきた空気が吸引ファン113へ吸い込まれることはない。これによれば、フィルタ115に付着した水をより効率的に除去することができるとともに、ボウル801内の臭気をより早く脱臭することができる。
【0071】
あるいは、ケーシング100や図示しないリモコンなどに設けられた図示しない「フィルタ清掃ボタン」が操作されると、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定してもよい。これによれば、使用者は、好みに応じたタイミングでフィルタ115を自動清掃することができる。
【0072】
あるいは、便座200の前方にいる使用者を検知する図示しない人体検知センサや、トイレ室への使用者の入室を検知する図示しない入室検知センサなどが、人体を検知しなくなった後に、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定してもよい。これによれば、使用者が便座200から離座した後に再び着座した場合において、フィルタ115の洗浄が行われることを抑制することができる。つまり、制御部180は、使用者が便座200に着座していないときに、フィルタ115の洗浄を実行することができる。
【0073】
あるいは、タイマーにより適宜設定された時刻になると、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定してもよい。より具体的には、例えば、1週間に1回程度の頻度で所定時刻に、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定してもよい。これによれば、夜間や昼間においてトイレ装置が使用されていない時間帯を狙って、フィルタ115の洗浄を実行することができる。また、タイマーにより適宜設定された時刻になった場合でも、使用者がトイレ室内にいることを図示しない人体検知センサなどが検知したときには、そのセンサが人体を検知しなくなった後に、制御部180は、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定してもよい。これらによれば、使用者がトイレ室にいないときにフィルタ115の洗浄が行われるため、フィルタ115の洗浄が行われることや、送風ファン131が駆動することに対して、使用者が違和感や不快感を感ずることをより抑制することができる。なお、タイマーの時刻は、トイレ装置の製造時や出荷時に予め設定されていてもよいし、使用者により好みに応じて設定されてもよい。
【0074】
あるいは、制御部180は、使用者によるトイレ装置の使用頻度を記憶し、その使用頻度が少ない時間帯を学習してもよい。これによれば、制御部180は、その使用者の使用頻度が少ない時間帯において、電磁弁125および三方弁128を「ON」に設定できる。これによれば、使用者によるトイレ装置の使用頻度が少ない時間帯を狙って、フィルタ115の洗浄を実行することができる。これによれば、タイマーの場合と同様の効果が得られる。
【0075】
次に、本実施形態の変形例にかかるトイレ装置について、図面を参照しつつ説明する。 図8は、本実施形態の変形例にかかるトイレ装置が備える脱臭装置を表す斜視模式図である。
なお、図8(a)は、脱臭風路を含めて表した脱臭装置であり、図8(b)は、脱臭風路を省略して表した脱臭装置である。
【0076】
本変形例の脱臭装置(水分除去装置)110cは、図2および図3に関して前述した脱臭装置110と同様に、ボウル801の内部と外部とを連通する脱臭風路111cと、ボウル801内の臭気を吸引する吸引ファン113cと、トイレットペーパーや衣類などに由来した粉塵が吸引ファン113cへ吸引されることを抑制するフィルタ115cと、吸引ファン113cにより吸引された空気から臭気成分を除去する脱臭触媒117cと、を有する。
【0077】
吸引ファン113cは、脱臭風路111cの内部に設けられており、いわゆる「軸流ファン」である。そのため、吸引ファン113cは、図8(b)に表した矢印A3およびA4のように、フィルタ115cおよび脱臭触媒117cを介してボウル801内の空気を吸引したり、フィルタ115cおよび脱臭触媒117cを介してボウル801内に空気を送り出すことができる。より具体的には、吸引ファン113cは、ボウル801内を脱臭するときには図8(b)に表した矢印A3の方向に空気を吸引し、一方、フィルタ115cに付着した水を除去するときには図8(b)に表した矢印A4の方向に空気を送り出すことができる。
【0078】
また、脱臭触媒117cは、吸引ファン113cよりも下流側ではなく、吸引ファン113cよりも上流側、すなわちフィルタ115cと吸引ファン113cとの間に設置されている。その他の構造は、図2および図3に関して前述した脱臭装置110およびトイレ装置の構造と同様である。
【0079】
ここで、本変形例にかかるトイレ装置では、制御部180は、水供給部120から水を噴射させてフィルタ115cを洗浄した後に、脱臭動作時とは反対方向に吸引ファン113cを回転させる。すなわち、制御部180は、吸引ファン113cの動作を制御することにより、図8(b)に表した矢印A4の方向に空気を送り出す。そうすると、吸引ファン113cから送られた空気は、脱臭触媒117cを介してフィルタ115cに吹き付けられる。このように、制御部180は、脱臭動作時とは反対方向に吸引ファン113cを回転させることにより、フィルタ115cを乾燥させることができ、フィルタ115cに付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタ115cに水を噴射することにより生ずる課題を解決することができ、脱臭装置110cのフィルタ115cの自動清掃後に、脱臭装置110cの吸引ファン113cが水を吸引しないようにすることができる。
【0080】
また、本変形例にかかるトイレ装置は、脱臭動作時とは反対方向に吸引ファン113cを回転させることによりフィルタ115cに付着した水を除去することができるため、フィルタ115cを乾燥させる乾燥装置などの特別な装置を設ける必要はない。そのため、トイレ装置の構造や構成を簡略化させることができる。また、その他の効果についても、図4および図5に関して前述した効果と同様の効果が得られる。さらに、本変形例にかかるトイレ装置は、図7に表したタイミングt3〜t4において、脱臭動作時とは反対方向に吸引ファン113cを回転させることにより、図7に関して前述した具体例の動作と同様の動作を行うことができる。そのため、図7に関して前述した具体例の効果と、同様の効果が得られる。
【0081】
図9は、本実施形態の他の変形例にかかるトイレ装置を表す斜視模式図である。
また、図10は、本変形例にかかるトイレ装置を上方から眺めた平面模式図である。
また、図11は、本変形例の防振機構を表す断面模式図である。
【0082】
本変形例にかかるトイレ装置は、図9および図10に表したように、図2および図3に関して前述したトイレ装置に対して、温風ダクト133に付設された洗浄水脈動ユニット(水分除去装置:振動装置)160をさらに備える。また、脱臭装置110および局部乾燥装置130がユニット化されている。洗浄水脈動ユニット160は、図示しない可動部を内部に有し、その可動部は、制御部180からの制御信号により水の流れと平行方向に進退駆動することができる。これにより、洗浄水脈動ユニット160は、内部を流れる水に脈動を与えることができ、ノズルユニット151(図3参照)から吐水される水に脈動を与えることができる。
【0083】
ここで、本変形例にかかるトイレ装置では、制御部180は、水供給部120から水を噴射させてフィルタ115を洗浄した後に、洗浄水脈動ユニット160を空運転させる。そうすると、洗浄水脈動ユニット160の可動部は、制御部180からの制御信号により進退駆動するとともに、その進退駆動によって脱臭装置110および局部乾燥装置130に振動を与えることができる。そして、この振動は、脱臭装置110のフィルタ115に伝えられる。そのため、制御部180は、洗浄水脈動ユニット160を空運転させることにより、脱臭装置110のフィルタ115に振動を与えることができる。
【0084】
これによれば、フィルタ115に付着した水は、洗浄水脈動ユニット160から伝えられた振動によりボウル801内に振り落とされる。このようにして、制御部180は、洗浄水脈動ユニット160を空運転させることにより、フィルタ115に付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタ115に水を噴射することにより生ずる課題を解決することができ、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。
【0085】
また、その他の効果についても、図4および図5に関して前述した効果と同様の効果が得られる。さらに、本変形例にかかるトイレ装置は、図7に表したタイミングt3〜t4において、洗浄水脈動ユニット160を空運転させることにより、図7に関して前述した具体例の動作と同様の動作を行うことができる。そのため、図7に関して前述した具体例の効果と、同様の効果が得られる。
【0086】
本具体例では、前述したように、洗浄水脈動ユニット160から脱臭装置110および局部乾燥装置130に振動が伝わる。そのため、脱臭装置110および局部乾燥装置130のケーシング100への取り付け部分137a、137b、137cにおいて、図11に表したような防振機構が設けられることがより好ましい。
【0087】
より具体的には、まず、ケーシング100への取り付け部分137a、137b、137cには、貫通孔133aが形成されている。この貫通孔133aには、ゴムなどの弾性体により形成された防振部材171が取り付けられている。さらに、この防振部材171には、図11に表したように、ケーシング100のボス100aを貫通可能な貫通孔が形成されている。そして、ケーシング100のボス100aが防振部材171に貫通された状態で、ボス100aには座金173やねじ174などの締結部材が取り付けられている。これにより、ケーシング100と、脱臭装置110および局部乾燥装置130と、は防振部材171を介して締結されている。
【0088】
これによれば、洗浄水脈動ユニット160で発生した振動がケーシング100に伝わることを抑制することができる。そのため、洗浄水脈動ユニット160から伝えられた振動でフィルタ115に付着した水を振り落とすことにより生ずる課題を解決することができ、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。なお、その他の構造は、図2および図3に関して前述したトイレ装置と同様である。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、制御部180は、水供給部120から水を噴射させてフィルタ115を洗浄した後に、局部乾燥装置(水分除去装置)130の送風ファン131を駆動させる。そうすると、送風ファン131から送られた空気は、温風ダクト133を通してフィルタ115に吹き付けられる。このようにして、制御部180は、送風ファン131を駆動させることにより、フィルタ115を乾燥させることができ、フィルタ115に付着した水を除去することができる。これによれば、フィルタ115に水を噴射することにより生ずる課題を解決することができ、脱臭装置110のフィルタ115の自動清掃後に、脱臭装置110の吸引ファン113が水を吸引しないようにすることができる。また、フィルタ115をケーシング100から取り外すことなく水洗いすることができるため、フィルタ115の手入れを簡素化させることができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、脱臭装置110や水供給部120などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや局部乾燥装置130や加熱部165などの水分除去装置の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0091】
100 ケーシング、 100a ボス、 101 空間、 103 温風噴出口、 105 吸引口、 110、110c 脱臭装置、 111a、111b、111c 脱臭風路、 113、113c 吸引ファン、 115、115c フィルタ、 117、117c 脱臭触媒、 120 水供給部、 121 配水管、 122 止水栓、 123 ストレーナ、 124 調圧弁、 125 電磁弁、 126 熱交換ユニット、 127 バキュームブレーカ、 128 三方弁、 129 安全弁、 130 局部乾燥装置、 131 送風ファン、 133 温風ダクト、 133a 貫通孔、 135 ヒータ、 137a、137b、137c 取り付け部分、 140 ダンパ、 141 軸、 143 モータ、 150 局部洗浄装置、 151 ノズルユニット、 153 流量調整弁ユニット、 160 洗浄水脈動ユニット、 165 加熱部、 171 防振部材、 173 座金、 174 ねじ、 180 制御部、 191 着座センサ、 200 便座、 300 便蓋、 800 便器、 801 ボウル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器のボウルの内部と外部とを連通すると共に前記ボウル内の空気を吸引可能な吸引口を有する脱臭風路と、
前記脱臭風路内に設けられて、前記ボウル内の臭気を吸引する吸引ファンと、
前記脱臭風路内において前記吸引ファンよりも前記ボウル側に設けられたフィルタと、
を有する脱臭装置と、
前記フィルタに向けて水を噴射する水供給部と、
前記フィルタに付着した水を除去する水分除去装置と、
前記水供給部を制御することにより水を噴射させて前記フィルタを前記水で洗浄した後、前記水分除去装置を制御することにより前記フィルタに付着した水を除去させる制御部と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記水分除去装置は、ヒータおよび送風ファンを有すると共に人体局部に向けて温風を噴出可能な温風噴出口を有する局部乾燥装置であることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記ボウルの上方に設けられ、前記温風噴出口と前記吸引口とを互いに連通させる空間と、
前記温風噴出口を開閉可能なダンパと、
を有するケーシングをさらに備え、
前記制御部は、前記フィルタに付着した水を除去する際には、前記ダンパを閉じた状態に維持することを特徴とする請求項2記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記フィルタに付着した水を除去する際には、前記ヒータを動作させずに前記送風ファンを駆動させることを特徴とする請求項2または3に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記水分除去装置は、前記フィルタの近傍に設けられ、前記フィルタを加熱可能な加熱部であることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記水分除去装置は、前記フィルタに振動を与えることができる振動装置であることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項7】
便器のボウルの内部と外部とを連通すると共に前記ボウル内の空気を吸引可能な吸引口を有する脱臭風路と、
前記脱臭風路内に設けられて、前記ボウル内の臭気を吸引する吸引ファンと、
前記脱臭風路内において前記吸引ファンよりも前記ボウル側に設けられたフィルタと、
を有する脱臭装置と、
前記フィルタに向けて水を噴射する水供給部と、
前記水供給部を制御することにより水を噴射させて前記フィルタを前記水で洗浄した後、脱臭動作時とは反対方向に前記吸引ファンを回転させ前記フィルタに向けて送風することにより前記フィルタに付着した水を除去させる制御部と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記フィルタに付着した水を除去する際には、前記吸引ファンを制御することにより前記ボウル内の臭気を吸引することを禁止することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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