説明

トナー、トナーの製造方法、現像剤、現像装置および画像形成装置

【課題】 トナー飛散の発生を充分に抑え、また現像装置内での新たなトナー粒子の発生を抑えることによって、かぶりがなく高精細な高画質画像を形成することができるトナー、トナーの製造方法、現像剤、現像装置およびそれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】 トナーは、結着樹脂および着色剤を含有する複数のトナー粒子を含み、フロー式粒子像分析装置による測定で、0.5μm以上2.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である小粒径粒子の含有率は全トナー粒子の5個数%以下であり、2.0μmを超えて4.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である中粒径粒子Cの含有率は全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、4.0μmを超えて6.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である大粒径粒子Dの含有率は全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であり、トナー粒子の形状係数SF1は130以上140以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、トナーの製造方法、現像剤、現像装置およびそれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潜像を顕像化するトナーは、種々の画像形成プロセスに用いられており、その一例として電子写真方式の画像形成プロセスに用いられることが知られている。
【0003】
電子写真方式を用いて画像を形成する画像形成装置は、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを備える。帯電手段は、帯電工程において、感光体表面を帯電させる。露光手段は、露光工程において、帯電状態にある感光体表面に信号光を照射して画像情報に対応する静電潜像を形成する。現像手段は、現像工程において、感光体表面に形成された静電潜像に現像剤中のトナーを供給して静電潜像を現像し、トナー像を形成する。転写手段は、転写工程において、感光体表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する。定着手段は、定着工程において、転写されたトナー像を記録媒体に定着させる。クリーニング手段は、クリーニング工程において、トナー像転写後の感光体表面を清浄化する。このような画像形成装置では、現像剤として、トナーのみを含む1成分現像剤、またはトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いて静電潜像を現像し、画像を形成する。ここで用いられるトナーは、結着樹脂中に着色剤および離型剤などを分散させて粒状化した樹脂粒子である。
【0004】
このような電子写真方式を用いる画像形成装置は、画像品位の良好な画像を高速でかつ安価に形成できるので、複写機、プリンタおよびファクシミリなどに利用され、電子写真方式を用いる画像形成装置の最近における普及は目覚しいものがある。それに伴って、画像形成装置に対する要求は一層厳しくなっている。なかでも画像形成装置によって形成される画像の高精細化、高解像化、画像品位の安定化、画像形成速度の高速化などが特に重視される。これらを達成するには、画像形成プロセスおよび現像剤の両面からの検討が必要不可欠である。
【0005】
画像の高精細化、高解像化に関して、現像剤の面からは、静電潜像を忠実に再現することが重要との観点から、トナー粒子の小径化が解決すべき課題の1つになり、種々の提案がなされている。
【0006】
しかし、高画質化を目指して平均粒径4〜6μmの粒径の小さいトナーを製造すると、平均粒径4〜6μmのトナーに含まれる粒子径が2μm以下のトナー粒子は、全トナー粒子における含有率が低くともキャリア表面を占有し、キャリアの帯電能力を下げるので、補給されたトナーを充分に帯電させることができず、連続画像出力時のトナー飛散の原因になる。また、トナーのキャリア表面へのスペント、ならびに感光体および現像スリーブへのフィルミングを生じるなど、粒子径が2μm以下のトナー粒子は、高画質化において様々な悪影響を及ぼす。
【0007】
このような問題を解決するため、トナーの、フロー式粒子像分析装置で測定した0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が0〜5個数%、コールター法で測定した重量平均径が4〜7μm、3.17〜4.00μmの粒子の割合が10〜40個数%、4.00〜5.04μmの粒子の割合が20〜40個数%、12.7μm以上の粗大粒子の割合が0〜1.0重量%であり、重量平均径(D4)と個数平均径(D1)の比(D4/D1)が1.04〜1.30であるトナーが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示のトナーは、高画質化において悪影響を及ぼす粒径が2μm以下のトナー粒子の割合を高画質化において悪影響を及ぼさない程度まで減少させている。このようなトナーは、予め機械式粉砕方式を用いて粉砕された後、対向気流式粉砕機で粉砕されることによって製造できる。
【0008】
【特許文献1】特開2005−196142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示のトナーでは、上述の範囲以上のトナー粒子、すなわち、フロー式粒子像分析装置で測定した値が2.0μm以上であり、コールター法で測定した個数基準の値が3.17μm未満であるトナー粒子の割合については考慮されていない。高画質化を目指した平均粒径4〜6μmの粒子径の小さいトナーには、特許文献1で考慮されていない範囲の粒子径を有するトナー粒子が含まれ、この範囲のトナー粒子もトナー飛散の発生に関るので、トナー飛散によるかぶりを充分に防ぐことは難しい。
【0010】
また、特許文献1では、トナー飛散の原因となる0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子の割合が0〜5個数%であると規定しているが、特許文献1に開示のトナーは、粉砕法によって製造されたトナーであり、トナー粒子の形状が歪であるので、特許文献1に開示のトナーを含む現像剤を現像装置内で空転させると、トナー粒子同士の衝突によってトナー粒子の角が取れ、新たに0.6〜2.0μmの円相当径を有する粒子が発生する可能性がある。
【0011】
本発明の目的は、トナー飛散の発生を充分に抑え、また現像装置内での新たなトナー粒子の発生を抑えることによって、かぶりがなく高精細な高画質画像を形成することができるトナー、トナーの製造方法、現像剤、現像装置およびそれを備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、結着樹脂および着色剤を含有する複数のトナー粒子を含むトナーであって、
フロー式粒子像分析装置による測定で、
(a)0.5μm以上2.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である小粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の5個数%以下であり、
(b)2.0μmを超えて4.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である中粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、
(c)4.0μmを超えて6.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である大粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であり、
トナー粒子の形状係数SF1は、130以上140以下であることを特徴とするトナーである。
【0013】
また本発明は、中粒径粒子の個数Aと大粒径粒子の個数Bとの比率A/Bが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
0.30 ≦ A/B ≦ 0.60 …(1)
【0014】
また本発明は、中粒径粒子のうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと、大粒径粒子のうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの比率r/Rが、下記式(2)を満たすことを特徴とする。
0.50 < r/R < 0.70 …(2)
【0015】
また本発明は、前記トナーの製造方法であって、
個数平均粒子径が2.0以上4.0μm以下である第1トナー粒子群と、個数平均粒子径が4.0以上6.0μm以下である第2トナー粒子群とを混合することを特徴とするトナーの製造方法である。
【0016】
また本発明は、第1トナー粒子群の変動係数は、16以上25以下であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、第2トナー粒子群の変動係数は、19以上30以下であることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記トナーを含むことを特徴とする現像剤である。
また本発明は、前記トナーとキャリアとから成る2成分現像剤であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記現像剤を用いて、像担持体に形成される潜像を現像してトナー像を形成することを特徴とする現像装置である。
【0020】
また本発明は、潜像が形成される像担持体と、
像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記現像装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トナーは、結着樹脂および着色剤を含有する複数のトナー粒子を含み、フロー式粒子像分析装置による測定で、(a)0.5μm以上2.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である小粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の5個数%以下であり、(b)2.0μmを超えて4.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である中粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、(c)4.0μmを超えて6.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である大粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であり、トナー粒子の形状係数SF1は、130以上140以下である。
【0022】
フロー式粒子像分析装置でトナー粒子の円相当径を測定することによって、上述の円相当径を有するトナー粒子を一度で測定することができるので、トナー粒子の測定精度および利便性を良くすることができる。
【0023】
小粒径粒子の含有率が、トナー粒子の5個数%以下であり、中粒径粒子の含有率が、全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、大粒径粒子の含有率が、全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であることによって、小粒径粒子によるトナー飛散および感光体へのフィルミングを抑制することができる。また中粒径粒子が大粒径粒子間の隙間へ入り込むので、中粒径粒子が大粒径粒子間の隙間へ入り込まない場合と比較して、トナー全体の嵩密度を高くすることができ、トナー粒子間隔を狭くすることができる。トナー粒子間隔を狭くすることによって、分子間力が有効に作用するので、帯電付与材、たとえばキャリアおよび規制ブレードによって帯電を付与される前のトナー粒子が飛散することを抑制することができる。現像するレベルの帯電量であれば、力関係的に、分子間力は静電力より弱いので、トナー粒子が帯電した後の挙動に分子間力は悪影響を及ぼさない。具体的には、たとえば1成分現像剤を用いる場合に、現像工程において、現像ローラ表面の現像剤が分子間力によって感光体表面の静電潜像に現像されないということはない。
【0024】
小粒径粒子の含有率が5個数%を超えると、トナー飛散が発生し、かぶりが発生する。中粒径粒子の含有率が20個数%未満であると、中粒径粒子の含有率が20個数%以上である場合と比較して、大粒径粒子の個数に対する中粒径粒子の個数が減少し、中粒子径粒子が入り込まない大粒径粒子間の隙間が増えるので、トナー全体の嵩密度を高めることによって分子間力が有効に作用する嵩密度向上効果を充分に得られず、トナー飛散を抑制できない。中粒径粒子の含有率が30個数%を超えると、中粒径粒子の含有率が30個数%以下である場合と比較して、大粒径粒子間の隙間に収まりきらない中粒径粒子が増えるので、その中粒径粒子が、トナー飛散を引き起こすおそれがある。大粒径粒子の含有率が50個数%未満であると、大粒径粒子の含有率が50個数%以上である場合と比較して、中粒径粒子の含有率および8.0μm以上の円相当径を有する粒子(以下「粗大粒子」という)の含有率が高くなるので、大粒径粒子間の隙間に収まりきらない中粒径粒子が増え、その中粒径粒子が、トナー飛散を引き起こすおそれがある。また、粗大粒子によって、高精細な画像を形成しにくくなる。大粒径粒子の含有率が70個数%を超えると、大粒径粒子の含有率が70個数%以下である場合と比較して、変動係数が狭くなり、大粒径粒子と中粒径粒子との粒度分布の連続性が悪くなるので、帯電レベルが大粒径粒子に対して最適化される。その結果、大粒径粒子の帯電量と大粒径粒子以外の粒子の帯電量とに差が生じるので、大粒径粒子以外の粒子が飛散しやすくなり、トナー飛散を抑制できない。また中粒径粒子の含有量も少なくなり、中粒径粒子が入り込まない大粒径粒子間の隙間が増えるので、充分な嵩密度向上効果を得られず、トナー飛散を抑制できない。
【0025】
形状係数SF1は、粒子の丸さの度合を示す。SF1の値が100である場合は、粒子の形状は真球である。SF1の値が大きくなるほど粒子は不定形な粒子となる。形状係数SF1が130未満であると、形状係数SF1が130以上である場合と比較して、粒子の形状が真球に近い形状となり、転写工程後に像担持体表面に転写されずに残った転写残留トナーがクリーニングブレードに引っかかりにくくなるので、クリーニング不良が発生し、画質が悪化するおそれがある。形状係数SF1が140を超えると、形状係数SF1が140以下である場合と比較して、トナー粒子の形状が不定形となり、トナー粒子に角ができるので、現像槽内において、現像剤の空転時にトナー粒子同士が擦れ、トナー粒子が割れることによって新たなトナー粒子が発生し、その新たなトナー粒子によってトナー飛散が発生しやすくなる。
【0026】
形状係数SF1が130以上140以下であることによって、トナー粒子の形状を適度に角がなく、適度に丸みを帯びた形状にすることができるので、クリーニング性を良好にすることができ、またトナー粒子同士が擦れてトナー粒子が割れることによるトナー粒子の発生を抑え、トナー飛散を抑制することができる。
【0027】
したがって、トナー飛散の原因となる粒子径のトナー粒子の含有率を規定し、全トナー粒子の形状係数SF1を規定することによって、クリーニング性を良好にすることができ、現像槽内での新たなトナー粒子の発生を抑制することができ、従来のトナーよりもトナー飛散を抑制することができるトナーを実現することができる。このようなトナーを用いて画像を形成することによって、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。また、小粒径粒子、中粒径粒子および大粒径粒子の含有率が上述の範囲ではない場合と比較して、トナー全体の嵩密度を高くすることができるので、トナーを収容するために必要な容積を減少させることができ、トナー容器を小型化することができる。
【0028】
また本発明によれば、中粒径粒子の個数Aと大粒径粒子の個数Bとの比率A/Bが、式(1)を満たす。比率A/Bが0.30未満であると、比率A/Bが0.30以上である場合と比較して、大粒子径粒子の個数に対する中粒子径粒子の個数が減少し、中粒子径粒子が入り込まない大粒径粒子間の隙間が増えるので、嵩密度向上効果を充分に得られず、トナー飛散を抑制できないおそれがある。比率A/Bが0.60を超えると、比率A/Bが0.60以下である場合と比較して、大粒径粒子間の隙間に収まらず、遊離する粒子(以下「遊離粒子」という)が増えるので、トナー飛散が引き起こされやすくなる。中粒径粒子の個数Aと大粒径粒子の個数Bとの比率A/Bが、式(1)を満たすことによって、トナー飛散を一層抑制することができるので、かぶりのない高精細な高画質画像をより安定して形成することができる。また、トナーを収容するために必要な容積を一層減少させることができるので、トナー容器を一層小型化することができる。
【0029】
また本発明によれば、中粒径粒子のうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと、大粒径粒子のうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの比率r/Rが、式(2)を満たす。比率r/Rが0.50以下であると、比率r/Rが0.50より大きい場合と比較して、中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの差が大きくなり、大粒径粒子間の隙間の体積に対する中粒径粒子の体積が小さくなるので、充分な嵩密度向上効果が得られず、効率良くトナーの帯電が行われない。この場合、中粒径粒子は、大粒径粒子より飛散しやすく、帯電されない遊離粒子となりやすい。遊離粒子は現像されないので、大粒径粒子は現像されるが中粒径粒子は現像されないという選択現像が起き、画質が低下するおそれがある。比率r/Rが0.70以上であると、比率r/Rが0.70未満である場合と比較して、中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの差が小さくなり、大粒径粒子間の隙間に入り込むことができない粒子径を有する中粒径粒子が増えるので、遊離粒子が増え、トナー飛散が発生しやすくなる。比率r/Rが、式(2)を満たすことによって、トナー飛散をより一層抑制することができるので、かぶりのない高精細な高画質画像をより一層安定して形成することができる。また、トナーを収容するために必要な容積をより一層減少させることができるので、トナー容器をより一層小型化することができる。
【0030】
また本発明によれば、トナーの製造方法は、個数平均粒子径が2.0以上4.0μm以下である第1トナー粒子群と、個数平均粒子径が4.0以上6.0μm以下である第2トナー粒子群とを混合する。第1トナー粒子群と第2トナー粒子群とを混合することによって、嵩密度向上効果を有し、中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの比率r/Rが適度な値となる本発明のトナーを得ることができる。
【0031】
また本発明によれば、第1トナー粒子群の変動係数は、16以上25以下である。第1トナー粒子群の変動係数が25を超えると、第1トナー粒子群の変動係数が25以下である場合と比較して、小粒径粒子の含有率が増えるので、トナー飛散が発生しやすくなる。第1トナー粒子群の変動係数が16未満であると、第1トナー粒子群の変動係数が16以上である場合と比較して、トナーを作製することが困難となるので、製造コストが高くなる。第1トナー粒子群の変動係数が16以上25以下であることによって、小粒径粒子によるトナー飛散を抑えることができるので、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。また、トナー製造のコストを抑えることができる。
【0032】
また本発明によれば、第2トナー粒子群の変動係数は、19以上30以下である。第2トナー粒子群の変動係数が30より大きいと、第2トナー粒子群の変動係数が30以下である場合と比較して、0.5以上2.0μm以下の円相当径を有する粒子の全トナー粒子に対する含有率が高くなるので、この円相当径を有するトナー粒子によって、トナー飛散が発生しやすくなる。また全トナー粒子に対する粗大粒子の含有率が増えるので、高精細な画像が得られ難くなる。第2トナー粒子群の変動係数が19未満であると、変動係数が19以上である場合と比較して、粒度分布において、混合する第1トナー粒子群との不連続性が高まり、大粒径粒子間の隙間の体積に対する中粒径粒子の体積が小さくなるので、充分な嵩密度向上効果が得られず、遊離粒子が増え、選択現像を引き起こしやすくなる。第2トナー粒子群の変動係数が、19以上30以下であることによって、粗大粒子の発生を抑えることができ、トナー飛散を抑制することができるので、かぶりのない高精細な高画質画像をより安定して形成することができる。
【0033】
また本発明によれば、現像剤は、本発明のトナーを含む。これによって、トナー飛散によるかぶりがなく、クリーニング不良による画質の低下のない高精細な高画質画像が形成でき、長期の使用にわたり特性の安定した現像剤とすることができるので、良好な現像性を維持することのできる現像剤が得られる。
【0034】
また本発明によれば、現像剤は、本発明のトナーとキャリアとからなる2成分現像剤である。本発明のトナーは、嵩密度向上効果を有するので、トナー飛散の発生を抑えることができ、またクリーニング性の良好な2成分現像剤が得られる。このような2成分現像剤を用いることによって、トナー飛散によるかぶりおよびクリーニング不良による画質低下を抑え、高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【0035】
また本発明によれば、本発明の現像剤を用いて潜像を現像するので、像担持体に高精細なトナー像を安定して形成することができる。したがって、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【0036】
また本発明によれば、潜像が形成される像担持体と、像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前述のように、高精細なトナー像を像担持体に形成可能な本発明の現像装置とを備えて画像形成装置が実現される。このような画像形成装置で画像を形成することによって、高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
1、トナー
本発明の実施の一形態であるトナーは、結着樹脂および着色剤を含有する複数のトナー粒子を含み、フロー式粒子像分析装置による測定で、(a)0.5μm以上2.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である小粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の5個数%以下であり、(b)2.0μmを超えて4.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である中粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、(c)4.0μmを超えて6.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である大粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であり、トナー粒子の形状係数SF1は、130以上140以下である。
【0038】
[結着樹脂]
本発明に用いられる結着樹脂としては、特に限定されるものではなく、たとえば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0039】
ポリエステルとしては公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0040】
多価アルコールとしてもポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0041】
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。
【0042】
アクリル樹脂としても公知のものを使用でき、その中でも、酸性基含有アクリル樹脂を好ましく使用できる。酸性基含有アクリル樹脂は、たとえば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル樹脂モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。
【0043】
アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有することのあるアクリル酸、置換基を有することのあるメタアクリル酸、置換基を有することのあるアクリル酸エステルおよび置換基を有することのあるメタアクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0044】
ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などにより行われる。
【0045】
ポリウレタンとしても公知のものを使用でき、その中でも、酸性基または塩基性基含有ポリウレタンを好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有ポリウレタンは、公知の方法に従って製造できる。たとえば、酸性基または塩基性基含有ジオール、ポリオールおよびポリイソシアネートを付加重合させればよい。酸性基または塩基性基含有ジオールとしては、たとえば、ジメチロールプロピオン酸およびN−メチルジエタノールアミンなどが挙げられる。ポリオールとしては、たとえば、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよびポリブタジエンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。これら各成分はそれぞれ1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0046】
エポキシ樹脂としても公知のものを使用でき、その中でも、酸性基または塩基性基含有エポキシ系樹脂を好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有エポキシ樹脂は、たとえば、ベースになるエポキシ樹脂にアジピン酸および無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造できる。
【0047】
これらの結着樹脂の中でも、ポリエステルが好ましい。ポリエステルは透明性に優れ、得られるトナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与することができるので、カラートナーの結着樹脂に好適である。また、ポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。
【0048】
[着色剤]
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
【0049】
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94およびC.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
【0050】
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31およびC.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
【0051】
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178およびC.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0052】
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットBおよびメチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
【0053】
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16およびC.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGおよびC.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0054】
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白および硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
【0055】
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。結着樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないけれども、通常は結着樹脂100重量部に対する着色剤の使用量が好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部である。
【0056】
[離型剤]
本実施形態のトナーには、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などのトナー成分が含有される。離型剤を含有させることによって、定着オフセットの発生を抑制することができる。また帯電制御剤を含有させることによって、トナーの帯電性を良好にすることができる。
【0057】
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。
【0058】
[帯電制御剤]
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。
【0059】
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
【0060】
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
【0061】
電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
【0062】
[フロー式粒子像分析装置]
前述のように、本実施形態のトナーは、フロー式粒子像分析装置で測定したトナー粒子の円相当径によって規定される。フロー式粒子像分析装置でトナー粒子の円相当径を測定することによって、上述の円相当径を有するトナー粒子を一度で測定することができるので、トナー粒子の測定精度および利便性を良くすることができる。
【0063】
ここで、フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用したトナーの測定方法に関して以下に説明する。
【0064】
トナー粒子のフロー式粒子像分析装置による測定は、たとえば、シスメックス株式会社製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2000型を用いて測定することができる。
【0065】
測定は、フィルタを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cmの水中に測定範囲(たとえば、円相当径0.50μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(好ましくは和光純薬株式会社製コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器STM社製UH−50で20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行ない、さらに、合計5分間の分散処理を行ない測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.50μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定する。
【0066】
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
【0067】
約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、表1に示すとおり、0.06−400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.50μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行なう。
【0068】
[粒度分布および形状係数SF1]
図1は、本実施形態のトナーEの充填状態を模式的に示す図である。前述のように、小粒径粒子の含有率が、トナー粒子の5個数%以下であり、中粒径粒子Cの含有率が、全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、大粒径粒子Dの含有率が、全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であることによって、小粒径粒子によるトナー飛散、および感光体へのフィルミングを抑えることができる。また、図1に示すように、中粒径粒子Cが大粒径粒子D間の隙間へ入り込むので、中粒径粒子Cが大粒径粒子D間の隙間へ入り込まない場合と比較して、トナー全体の嵩密度を高くすることができ、トナー粒子間隔を狭くすることができる。トナー粒子間隔を狭くすることによって、分子間力が有効に作用するので、帯電付与材、たとえばキャリアおよび規制ブレードによって帯電を付与される前のトナー粒子が飛散することを抑制することができる。現像するレベルの帯電量であれば、力関係的に、分子間力は静電力より弱いので、トナー粒子が帯電した後の挙動に分子間力は悪影響を及ぼさない。具体的には、たとえば1成分現像剤を用いる場合に、現像工程において、現像ローラ表面の現像剤が分子間力によって感光体表面の静電潜像に現像されないということはない。
【0069】
小粒径粒子の含有率が5個数%を超えると、トナー飛散が発生し、かぶりが発生する。中粒径粒子の含有率が20個数%未満であると、中粒径粒子Cの含有率が20個数%以上である場合と比較して、大粒径粒子Dの個数に対する中粒径粒子Cの個数が減少し、中粒子径粒子が入り込まない大粒径粒子D間の隙間が増えるので、トナー全体の嵩密度を高めることによって分子間力を有効に作用させる嵩密度向上効果を充分に得られず、トナー飛散を抑制できない。中粒径粒子Cの含有率が30個数%を超えると、中粒径粒子Cの含有率が30個数%以下である場合と比較して、大粒径粒子D間の隙間に収まりきらない中粒径粒子Cが増えるので、その中粒径粒子Cが、トナー飛散を引き起こすおそれがある。大粒径粒子Dの含有率が50個数%未満であると、大粒径粒子Dの含有率が50個数%以上である場合と比較して、中粒径粒子Cの含有率および8.0μm以上の円相当径を有する粒子(以下「粗大粒子」という)の含有率が高くなるので、大粒径粒子D間の隙間に収まりきらない中粒径粒子Cが増え、その中粒径粒子Cが、トナー飛散を引き起こすおそれがある。また、粗大粒子によって、高精細な画像を形成しにくくなる。大粒径粒子Dの含有率が70個数%を超えると、大粒径粒子Dの含有率が70個数%以下である場合と比較して、変動係数が狭くなり、大粒径粒子Dと中粒径粒子Cとの粒度分布の連続性が悪くなるので、帯電レベルが大粒径粒子Dに対して最適化される。その結果、大粒径粒子Dの帯電量と大粒径粒子D以外の粒子の帯電量とに差が生じるので、大粒径粒子D以外の粒子が飛散しやすくなり、トナー飛散を抑制できない。また中粒径粒子Cの含有量も少なくなり、中粒径粒子Cが入り込まない大粒径粒子D間の隙間が増えるので、充分な嵩密度向上効果を得られず、トナー飛散を抑制できない。
【0070】
形状係数SF1は、粒子の丸さの度合を示す。SF1の値が100である場合は、粒子の形状は真球である。SF1の値が大きくなるほど粒子は不定形な粒子となる。形状係数SF1が130未満であると、形状係数SF1が130以上である場合と比較して、粒子の形状が真球に近い形状となり、転写工程後に像担持体表面に転写されずに残った転写残留トナーがクリーニングブレードに引っかかりにくくなるので、クリーニング不良が発生し、画質が悪化するおそれがある。形状係数SF1が140を超えると、形状係数SF1が140以下である場合と比較して、トナー粒子の形状が不定形となり、トナー粒子に角ができるので、現像槽内において、現像剤の空転時にトナー粒子同士が擦れ、トナー粒子が割れることによって新たなトナー粒子が発生し、その新たなトナー粒子によってトナー飛散が発生しやすくなる。
【0071】
前述のようにトナー粒子の形状係数SF1が130以上140以下であることによって、トナー粒子の形状を適度に角がなく、適度に丸みを帯びた形状にすることができるので、クリーニング性を良好にすることができ、またトナー粒子同士が擦れてトナー粒子が割れることによるトナー粒子の発生を抑え、トナー飛散を抑制することができる。
【0072】
したがって、トナー飛散の原因となる粒子径のトナー粒子の含有率を規定し、全トナー粒子の形状係数SF1を規定することによって、クリーニング性を良好にすることができ、現像槽内での新たなトナー粒子の発生を抑制することができ、トナー飛散を抑制することができるトナーを実現することができる。このようなトナーを用いて画像を形成することによって、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。また、小粒径粒子、中粒径粒子Cおよび大粒径粒子Dの含有率が上述の範囲ではない場合と比較して、トナー全体の嵩密度を高くすることができるので、トナーを収容するために必要な容積を減少させることができ、トナー容器を小型化することができる。
【0073】
ここで、形状係数SF1は、次の方法に従って測定される値である。
100mlビーカーに、トナー粒子2.0g、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlおよび純水50mlを加えてよく攪拌し、トナー粒子の分散液を調製する。このトナー粒子の分散液を、超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製)によって出力50μAにて5分間処理し、トナー粒子をトナー粒子の分散液中にさらに分散させる。トナー粒子の分散液を6時間静置して上澄み液を取り除いた後、トナー粒子の分散液に純水50mlを加え、マグネチックスターラにて5分間攪拌した後、メンブランフィルタ(口径1μm)を用いて吸引ろ過を行う。メンブランフィルタ上の洗浄物をシリカゲル入りデシケータにて約一晩、真空乾燥する。
【0074】
このようにして表面を洗浄したトナー粒子の表面に、スパッタ蒸着によって金属膜(Au膜、膜厚0.5μm)を形成する。この金属膜被覆粒子から無作為に500個程度を抽出して、走査型電子顕微鏡(商品名:S−570、株式会社日立製作所製)によって、加速電圧5kVで、また1000倍の倍率で写真撮影を行う。この電子顕微鏡写真データを、画像解析ソフト(商品名:A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)で画像解析する。画像解析ソフト「A像くん」の粒子解析パラメータは、小図形除去面積:100画素、収縮分離:回数1;小図形:1;回数:10、雑音除去フィルタ:無、シェーディング:無、結果表示単位:μmとする。これによって得られたトナー粒子の最大長MXLNG、周囲長PERIおよび図形面積AREAから、下記式(A)によって形状係数SF1を得る。
SF1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) …(A)
【0075】
[個数の比率]
本実施形態において、中粒径粒子の個数Aと大粒径粒子の個数Bとの比率A/Bが、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.30 ≦ A/B ≦ 0.60 …(1)
【0076】
比率A/Bが0.30未満であると、比率A/Bが0.3以上である場合と比較して、大粒子径粒子の個数に対する中粒子径粒子の個数が減少し、中粒子径粒子が入り込まない大粒径粒子D間の隙間が増えるので、嵩密度向上効果を充分に得られず、トナー飛散を抑制できないおそれがある。比率A/Bが0.60を超えると、比率A/Bが0.60以下である場合と比較して、大粒径粒子D間の隙間に収まらず、遊離する粒子(以下「遊離粒子」という)が増えるので、トナー飛散が引き起こされやすくなる。中粒径粒子Cの個数Aと大粒径粒子Dの個数Bとの比率A/Bが、式(1)を満たすことによって、トナー飛散を一層抑制することができるので、かぶりのない高精細な高画質画像をより安定して形成することができる。また、トナーを収容するために必要な容積を一層減少させることができるので、トナー容器を一層小型化することができる。
【0077】
[個数基準粒子径ピーク値]
本実施形態において、中粒径粒子Cのうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である中粒径粒子Cの個数基準粒子径ピーク値rと、大粒径粒子Dのうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である大粒径粒子Dの個数基準粒子径ピーク値Rとの比率r/Rが、下記式(2)を満たすことが好ましい。
0.50 < r/R < 0.70 …(2)
【0078】
図2は、図1に示す中粒径粒子Cが充填されていない状態でのトナーEの充填状態を模式的に示す図である。図2に示すように、大粒径粒子D1〜D4の半径をR[μm]とすると、大粒径粒子D1と大粒径粒子D4との中心を結ぶ対角線の長さは2R×√2である。また大粒径粒子D2と大粒径粒子D3との中心を結ぶ対角線の長さも2R×√2である。大粒径粒子D1,D2,D3,D4に囲まれた隙間を埋める円Fの直径2rは2(√2−1)R[μm]であり、r=(√2−1)R[μm]となる。r/R=(√2−1)=0.41である。中粒径粒子Cは、8つの大粒径粒子D間の隙間に入り込むので、円Fより粒子径の大きい中粒径粒子Cが大粒径粒子D間の隙間に入り込む。
【0079】
比率r/Rが0.50以下であると、比率r/Rが0.50より大きい場合と比較して、中粒径粒子Cの個数基準粒子径ピーク値rと大粒径粒子Dの個数基準粒子径ピーク値Rとの差が大きくなり、大粒径粒子D間の隙間の体積に対する中粒径粒子Cの体積が小さくなるので、充分な嵩密度向上効果が得られず、効率良くトナーの帯電が行われない。この場合、中粒径粒子Cは、大粒径粒子Dより飛散しやすく、帯電されない遊離粒子となりやすい。遊離粒子は現像されないので、大粒径粒子Dは現像されるが中粒径粒子Cは現像されないという選択現像が起き、画質が低下するおそれがある。比率r/Rが0.70以上であると、比率r/Rが0.70未満である場合と比較して、中粒径粒子Cの個数基準粒子径ピーク値rと大粒径粒子Dの個数基準粒子径ピーク値Rとの差が小さくなり、大粒径粒子D間の隙間に入り込むことができない粒子径を有する中粒径粒子Cが増えるので、遊離粒子が増え、トナー飛散が発生しやすくなる。比率r/Rが、式(2)を満たすことによって、トナー飛散をより一層抑制することができるので、かぶりのない高精細な高画質画像をより一層安定して形成することができる。また、トナーを収容するために必要な容積をより一層減少させることができるので、トナー容器をより一層小型化することができる。
【0080】
[外添剤]
上述のような本実施形態のトナーには、たとえば、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性、長期保存性改善、クリーニング特性改善および感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤を添加することが好ましい。外添剤を添加することでトナー粒子個々の帯電を適正に制御できるので、かぶりの発生を抑制し、高画質な画像を形成することができる。外添剤としては、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などが挙げられる。外添剤は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー粒子100重量部に対し2重量部以下が好適である。
【0081】
本実施形態の外添剤添加後のトナーの粒度分布において、フロー式粒子像分析装置による測定で、0.5μm以上2.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である小粒径粒子の含有率が全トナー粒子の7個数%以下に、2.0μmを超えて4.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である中粒径粒子の含有率が全トナー粒子の19個数%以上29個数%以下に、4.0μmを超えて6.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である大粒径粒子の含有率が全トナー粒子の49個数%以上69個数%以下になるように、外添剤をトナーに外添させることが好ましい。外添剤添加後のトナーの粒度分布が前述の粒度分布になるように外添剤をトナーに外添させることによって、外添剤添加後も、トナー飛散を抑制できるなどの、外添剤を添加していない上述の実施形態のトナーの効果を損なうことなく、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【0082】
2、トナーの製造方法
本実施形態のトナーの製造方法は特に制限されず、公知の製造方法により得ることができる。
【0083】
[溶融混練粉砕法]
本実施形態のトナーは、たとえば、溶融混練粉砕法によって製造できる。溶融混練粉砕法によれば、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、その他の添加材などをそれぞれ所定量乾式混合し、得られる混合物を溶融混練し、得られる溶融混練物を冷却して固化させ、得られる固化物を機械的に粉砕することによって製造できる。
【0084】
乾式混合に用いられる混合機としては、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
【0085】
混練は、攪拌下に結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。混練機として、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式のものが好ましい。
【0086】
溶融混練物を冷却して得られる固化物の粉砕には、カッターミル、フェザーミル、ジェットミルなどが挙げられる。たとえば、固化物をカッターミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕することによって、所望の円相当径を有するトナー粒子を含むトナーが得られる。
【0087】
[高圧ホモジナイザ法]
また本発明のトナーは、たとえば、溶融混練物の固化物を粗粉砕し、得られる粗粉砕物を水性スラリー化し、得られる水性スラリーを高圧ホモジナイザで処理して微粒化し、得られるトナー微粒子を水性媒体中で加熱して凝集および溶融させることによって製造できる。
【0088】
溶融混練物の固化物の粗粉砕は、たとえば、ジェットミル、ハンドミルなどを用いて行われる。粗粉砕によって、粒径100μm〜3mm程度の粒径を有する溶融混練物の粗粉を得る。溶融混練物の粗粉を水に分散させて、溶融混練物の粗粉を含む水性スラリーを調製する。溶融混練物の粗粉を水に分散させるに際しては、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの分散剤の適量を水に溶解させておくことによって、粗粉が均一に分散した水性スラリーが得られる。この溶融混練物の粗粉を含む水性スラリーを高圧ホモジナイザで処理することによって、水性スラリー中の粗粉が微粒化され、体積平均粒子径0.4〜1.0μm程度のトナー微粒子を含む水性スラリーが得られる。このトナー微粒子を含む水性スラリーを加熱し、トナー微粒子を凝集させ、トナー微粒子同士を溶融させて結合することによって、所望の粒度分布および形状係数を有するトナー粒子を含むトナーが得られる。トナー微粒子を凝集させる際には、たとえば、1価の塩、2価の塩、3価の塩などの凝集剤を適量添加することによって、効率よく凝集を進行させることができる。粒度分布および形状係数は、たとえば、トナー微粒子を含む水性スラリーの加熱温度および加熱時間を適宜選択することによって、所望の値にすることができる。加熱温度は、結着樹脂の軟化点以上、結着樹脂の熱分解温度未満の温度範囲から適宜選択される。加熱時間が同じである場合には、通常は、加熱温度が高いほど、得られるトナー粒子の円相当径は大きくなる。
【0089】
高圧ホモジナイザとしては、市販品が知られる。高圧ホモジナイザの市販品としては、たとえば、マイクロフルイダイザー(商品名、マイクロフルディクス(Microfluidics)社製)、ナノマイザー(商品名、ナノマイザー社製)、アルティマイザー(商品名、株式会社スギノマシン製)などのチャンバ式高圧ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ(商品名、ラニー(Rannie)社製)、高圧ホモジナイザ(商品名、三丸機械工業株式会社製)、高圧ホモゲナイザ(商品名、株式会社イズミフードマシナリ製)、NANO3000(商品名、株式会社美粒製)などが挙げられる。
【0090】
トナーの全体または一部には球形化処理が施されていてもよく、球形化する手段として衝撃式球形化装置や熱風式球形化装置が挙げられる。衝撃式球形化装置としては、市販されているものを使用することもでき、たとえば、ファカルティ(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)などを用いることができる。または、熱風式球形化装置としては、市販されているものも使用することができ、たとえば、表面改質機メテオレインボー(商品名、日本ニューマチック工業株式会社製)などを用いることができる。球形化処理が施されることによって、形状係数SF1を最適な値にすることができる。
【0091】
本実施形態において、トナーの製造方法は、個数平均粒子径が2.0以上4.0μm以下である第1トナー粒子群と、個数平均粒子径が4.0以上6.0μm以下である第2トナー粒子群とを混合することが好ましい。第1トナー粒子群と第2トナー粒子群とを混合することによって、嵩密度向上効果を有し、中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの比率r/Rが適度な値となる本発明のトナーを得ることができる。
【0092】
第1トナー粒子群および第2トナー粒子群は、たとえば、上述の溶融混練粉砕法または高圧ホモジナイザ法によってそれぞれ作製し、第1トナー粒子群と第2トナー粒子群とを混合機で混合することによってトナーを作製する。
【0093】
混合機としては、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名:FMミキサ、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
【0094】
本実施形態において、第1トナー粒子群の変動係数は、16以上25以下であることが好ましい。第1トナー粒子群の変動係数が25を超えると、第1トナー粒子群の変動係数が25以下である場合と比較して、小粒径粒子の含有率が増えるので、トナー飛散が発生しやすくなる。第1トナー粒子群の変動係数が16未満であると、第1トナー粒子群の変動係数が16以上である場合と比較して、トナーを作製することが困難となるので、製造コストが高くなる。第1トナー粒子群の変動係数が16以上25以下であることによって、小粒径粒子によるトナー飛散を抑えることができるので、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。また、トナー製造のコストを抑えることができる。
【0095】
本実施形態において、第2トナー粒子群の変動係数は、19以上30以下であることが好ましい。第2トナー粒子群の変動係数が30より大きいと、第2トナー粒子群の変動係数が30以下である場合と比較して、0.5以上2.0μm以下の円相当径を有する粒子の全トナー粒子に対する含有率が高くなるので、この円相当径を有するトナー粒子によって、トナー飛散が発生しやすくなる。また全トナー粒子に対する粗大粒子の含有率が増えるので、高精細な画像が得られ難くなる。第2トナー粒子群の変動係数が19未満であると、変動係数が19以上である場合と比較して、粒度分布において、混合する第1トナー粒子群との不連続性が高まり、大粒径粒子間の隙間の体積に対する中粒径粒子の体積が小さくなるので、充分な嵩密度向上効果が得られず、遊離粒子が増え、選択現像を引き起こしやすくなる。第2トナー粒子群の変動係数が、19以上30以下であることによって、粗大粒子の発生を抑えることができ、トナー飛散を抑制することができるので、かぶりのない高精細な高画質画像をより安定して形成することができる。
【0096】
3、現像剤
本発明のトナーが含まれる現像剤は、そのまま1成分現像剤として使用することができ、またキャリアと混合して2成分現像剤として使用することができる。
【0097】
現像剤は本発明のトナーを含むことが好ましい。これによって、トナー飛散によるかぶりがなく、クリーニング不良による画質の低下のない高精細な高画質画像が形成でき、長期の使用にわたり特性の安定した現像剤とすることができるので、良好な現像性を維持することのできる現像剤が得られる。
【0098】
現像剤は、本発明のトナーとキャリアとからなる2成分現像剤であることが好ましい。本発明のトナーは、嵩密度向上効果を有するので、トナー飛散の発生を抑えることができ、またクリーニング性の良好な2成分現像剤が得られる。このような2成分現像剤を用いることによって、トナー飛散によるかぶりおよびクリーニング不良による画質低下を抑え、高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【0099】
[キャリア]
キャリアとしては、磁性を有する粒子を使用することができる。磁性を有する粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライトおよびマグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウムまたは鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。
【0100】
また磁性を有する粒子に樹脂を被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどをキャリアとして用いてもよい。磁性を有する粒子を被覆する樹脂としては特に制限はないけれども、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂およびフッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としても特に制限されないけれども、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。
【0101】
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒子径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは20μm以上50μm以下である。キャリアの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの抵抗率は、キャリアを0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子におもりによって1kg/cmの荷重を掛け、おもりと底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読取ることから得られる値である。キャリアの抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアに電荷が注入され、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
【0102】
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10emu/g以上60emu/g以下、さらに好ましくは15emu/g以上40emu/g以下である。磁化強さは現像ローラの磁束密度にもよるけれども、現像ローラの一般的な磁束密度の条件下においては、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、キャリアの穂立ちが高くなり過ぎるので、非接触現像では、像担持体と非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
【0103】
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm)に例をとれば、現像剤中に、トナーが現像剤全量の2重量%以上30重量%以下、好ましくは2重量%以上20重量%以下含まれるように、トナーを用いればよい。また2成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40%以上80%以下であることが好ましい。
【0104】
4、画像形成装置
図3は、本発明の実施の他の形態である画像形成装置100の構成を模式的に示す概略図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体またはメモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部によって、印刷モードが選択される。
【0105】
画像形成装置100は、像担持体である感光体ドラム11と、画像形成部2と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。画像形成部2を構成する各部材および転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
【0106】
画像形成部2は、帯電手段12と、露光ユニット13と、現像装置14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電手段12および露光ユニット13は、潜像形成手段として機能する。帯電手段12、現像装置14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11まわりに、この順序で配置される。帯電手段12は、現像装置14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
【0107】
感光体ドラム11は、図示しない回転駆動手段によって、軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その表面部に静電潜像が形成されるローラ状部材である。感光体ドラム11の回転駆動手段は、中央処理装置(Central Processing Unit;CPU)によって実現される
制御手段で制御される。感光体ドラム11は、図示しない導電性基体と、導電性基体の表面に形成される図示しない感光層とを含んで構成される。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。
【0108】
導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルムまたは紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金および酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、ならびに導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
【0109】
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することによって形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けることが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化でき、また、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下において感光層の帯電特性を向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
【0110】
電荷発生層は、光照射によって電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、ならびにカルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5重量部以上500重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上200重量部以下である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミドおよびポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
【0111】
電荷発生層は、電荷発生物質、結着樹脂および必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、導電性基体表面を乾燥させることによって形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05μm以上5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上2.5μm以下である。
【0112】
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ならびにベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着樹脂100重量部に対して10重量部以上300重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上150重量部以下である。
【0113】
電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、およびこれらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物が好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0114】
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびその誘導体、有機硫黄化合物、ならびに有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05重量%以上5重量%以下である。
【0115】
電荷輸送層は、電荷輸送物質、結着樹脂および必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、電荷発生層表面を乾燥させることによって形成できる。このようにして得られる電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10μm以上50μm以下、さらに好ましくは15μm以上40μm以下である。
【0116】
1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
【0117】
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用することもできる。
【0118】
帯電手段12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャ型帯電器、鋸歯型帯電器またはイオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。たとえば、帯電手段12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラムとが圧接するように帯電ローラを配置してもよく、帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いてもよい。
【0119】
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電手段12と現像装置14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色情報の光に分岐し、帯電手段12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLEDアレイ、または液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
【0120】
クリーニングユニット15は、現像装置14によって、感光体ドラム11表面に形成させたトナー像を記録媒体に転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。本実施形態の画像形成装置においては、感光体ドラム11として、有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるので、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用で有機感光体ドラムの表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが劣化した表面部分が確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
【0121】
画像形成部2によれば、帯電手段12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像装置14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が画像を形成するために繰り返し実行される。
【0122】
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色の画像情報にそれぞれ対応する4つの中間転写ローラ28と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とに張架され、ループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。駆動ローラ26は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。
【0123】
中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置する中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。
【0124】
転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。
【0125】
転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部、すなわち転写ニップ部において、中間転写ベルト25に担持され、搬送されるトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段4に送給される。
【0126】
転写手段3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
【0127】
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を、構成するトナーを加熱して溶融させることによって記録媒体に定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ31表面が所定の温度(以後「加熱温度」ともいう)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着条件制御手段による加熱温度の制御については、後に詳述する。
【0128】
定着ローラ31表面近傍には図示しない温度検知センサが設けられ、温度検知センサは定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。定着ローラ31からの熱によってトナーが溶融し、トナー像が記録媒体に定着する際に加圧ローラ32はトナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。
【0129】
定着手段4によれば、転写手段3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
【0130】
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39を含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、たとえば普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置100内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。記録媒体供給手段5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
【0131】
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
【0132】
画像形成装置100は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、および外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVDレコーダ、HD DVD、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコン
ピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
【0133】
5、定着装置
図4は、図3に示す画像形成装置100に備わる現像装置14を模式的に示す概略図である。現像装置14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ50、供給ローラ51、撹拌ローラ52などのローラ部材を収容して回転自在に支持する。また、ローラ状部材の代わりにスクリュー部材を収容してもよい。本実施形態の現像装置14は、トナーとして、前述の実施の一形態のトナーを現像槽20に収容する。
【0134】
現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部53が形成され、この開口部53を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラ50が回転駆動可能に設けられる。現像ローラ50は、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ50表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下、単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ50表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量、すなわち静電潜像のトナー付着量を制御できる。
【0135】
供給ローラ51は現像ローラ50を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ50周辺にトナーを供給する。
【0136】
攪拌ローラ52は供給ローラ51を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ51周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口54と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口55とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成してもよい。
【0137】
以上のように、現像装置14は、本発明の現像剤を用いて潜像を現像することが好ましい。本発明の現像剤を用いて潜像を現像するので、感光体ドラム11に高精細なトナー像を安定して形成することができる。したがって、かぶりのない高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【0138】
また本発明によれば、潜像が形成される感光体ドラム11と、感光体ドラム11に潜像を形成する帯電手段12および露光ユニット13と、前述のように、高精細なトナー像を感光体ドラム11に形成可能な本発明の現像装置14とを備えて画像形成装置100が実現されることが好ましい。このような画像形成装置100で画像を形成することによって、高精細な高画質画像を安定して形成することができる。
【実施例】
【0139】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例および比較例におけるトナーの個数平均粒子径、トナーの変動係数CVおよびトナーの形状係数SF1は、次のようにして測定した。
【0140】
〔トナーの個数平均粒子径および変動係数CV〕
トナー粒子のフロー式粒子像分析装置による測定は、試料を以下のように調製して、FPIA−2000型(シスメックス株式会社製)を用いて行った。まず、100mlビーカーに、塩化ナトリウム(1級)の1重量%水溶液(電解液)20ml入れた。これにアルキルベンゼンスルホン酸塩(分散剤)0.5mlおよびトナー試料3mgを順次添加し、5分間超音波分散した。これに全量が100mlになるように塩化ナトリウム(1級)の1重量%水溶液を添加し、再度5分間超音波分散したものを測定用試料とした。この測定用試料についてFPIA−2000型によって、測定用試料中に分散するトナー粒子の静止画像を撮影および画像解析し、トナー粒子の円相当径を求めた。このようにして得られた粒度分布より、トナーの個数平均粒子径と、トナーの変動係数CVを算出した。
【0141】
〔トナーの形状係数SF1〕
トナーを簡易SEM VE−9800(株式会社キーエンス社製)にて1000倍で500検体程度撮影する(この時、複数枚にわたっても構わない)。この画像を画像解析ソフトA像くん(旭化成エンジニアリング株式会社製)にて解析し、SF1を求めた。
【0142】
(実施例1)
ポリエステル(結着樹脂、商品名:FC1494、三菱レーヨン株式会社製、ガラス転移温度(Tg)62℃、軟化点(Tm)127℃)81.8重量部、マスターバッチ(C.I.Pigment Red57:1を40重量%含有)12重量部、パラフィンワックス(離型剤、商品名:HNP11、日本精鑞株式会社製、融点68℃)4.2重量部、アルキルサリチル酸金属塩(帯電制御剤、商品名:BONTRON E−84、オリエント化学株式会社製)1.5重量部を、ヘンシェルミキサで10分間混合することによって混合物を作製し、この混合物を二軸押出混練機(商品名:PCM65、株式会社池貝製)で溶融混練することによって溶融混練物を作製した。得られた溶融混練物を下記の分量でPUCコロイドミル(商品名、日本ボールバルブ社製)へ分散剤と共に投入し、湿式粉砕することによって溶融混練物の粗粉を含む水性スラリーを得た。
溶融混錬物 900重量部
ポリアクリル酸(商品名:ニューコール10N、日本乳化剤株式会社製) 45重量部
湿潤剤(商品名:エアロール、東邦化学工業株式会社製 2重量部
イオン交換水 2053重量部
【0143】
次に、高圧ホモジナイザnano3000(商品名、株式会社美粒製)を用いて、以下の条件で溶融混練物の粗粉を含む水性スラリーを処理することによって、トナー微粒子を含む水性スラリーを得た。
【0144】
<処理条件>
圧力 210MPa
温度 200℃
ノズル径 0.09mm
【0145】
以下の分量で、トナー微粒子を含む水性スラリーに凝集剤を加え、クレアミックスWモーションを用いて以下の条件で凝集させることによって、第1トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0146】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 15重量部
【0147】
<凝集条件>
温度 70℃
回転数(ローター/ステーター) 15000rpm/13500rpm
設定温度保持時間 10分間
【0148】
トナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集したこと以外は、第1トナー粒子群を含む水性スラリーの作製方法と同様にして、第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0149】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 24重量部
【0150】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 13000rpm/11700rpm
設定温度保持時間 10分間
【0151】
このようにして得られた第1トナー粒子群を含む水性スラリーおよび第2トナー粒子群を含む水性スラリーをそれぞれイオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第1トナー粒子群および第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径および変動係数は次のようになった。
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 2.91 変動係数 22.1
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.60 変動係数 24.7
【0152】
3重量部の第1トナー粒子群と100重量部の第2トナー粒子群とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添させたトナー粒子群を実施例1のトナーとした。
【0153】
(実施例2)
懸濁重合法によって、以下の個数平均粒子径を有する第1トナー粒子群および第2トナー粒子群を含むトナーを作製した。
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 2.58 変動係数 24.1
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.68 変動係数 24.0
【0154】
第1トナー粒子群 3重量部と第2トナー粒子群 100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例2のトナーとした。
【0155】
(実施例3)
実施例1で作製したトナー微粒子を含む水性スラリーをイオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させたトナー粒子群(個数平均粒子径:1.24μm、変動係数:37.8)1.0重量部と、実施例1で得られた第1トナー粒子群3.0重量部と、実施例1で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例3のトナーとした。
【0156】
(実施例4)
実施例1で得られた第1トナー粒子群2.2重量部と実施例1で得られた第2トナー粒子群100.8重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例4のトナーとした。
【0157】
(実施例5)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集することによって、第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0158】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 26重量部
【0159】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 15000rpm/13500rpm
設定温度保持時間 10分間
【0160】
このようにして得られた第2トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることで、第2トナー粒子群を得た。この第2トナー粒子群をフロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0161】
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 5.12 変動係数 22.1
実施例1で得られた第1トナー粒子群3.0重量部と実施例5で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例5のトナーとした。
【0162】
(実施例6)
実施例1で得られた第1トナー粒子群4.6重量部と実施例1で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例6のトナーとした。
【0163】
(実施例7)
実施例1で得られた第1トナー粒子群1.9重量部と実施例5で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例7のトナーとした。
【0164】
(実施例8)
実施例1で得られた第1トナー粒子群3.6重量部と実施例5で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例8のトナーとした。
【0165】
(実施例9)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集することによって、第2トナー粒子群を含む水性スラリー作製した。
【0166】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 24重量部
【0167】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 17000rpm/15300rpm
設定温度保持時間 10分間
【0168】
このようにして得られた第2トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第2トナー粒子群を得た。この第2トナー粒子群をフロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.24 変動係数 23.6
【0169】
実施例1で得られた第1トナー粒子群3.0重量部と実施例9で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例9のトナーとした。
【0170】
(実施例10)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集することによって、第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0171】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 26重量部
【0172】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 19000rpm/17100rpm
設定温度保持時間 10分間
【0173】
このようにして得られた第2トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることで、第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0174】
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.78 変動係数 29.5
実施例10で得られた第2トナー粒子群100重量部に、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例10のトナーとした。
【0175】
(実施例11)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーに凝集剤を加え、クレアミックスWモーションにて以下の条件で凝集させることによって、第1トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0176】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 18重量部
【0177】
<凝集条件>
温度 70℃
回転数(ローター/ステーター) 18000rpm/16200rpm
設定温度保持時間 10分間
【0178】
このようにして得られた第1トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第1トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0179】
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 2.98 変動係数 16.4
実施例11で得られた第1トナー粒子群3.4重量部と実施例1で得られた第1トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例11のトナーとした。
【0180】
(実施例12)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集し、第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0181】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 24重量部
【0182】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 19000rpm/17100rpm
設定温度保持時間 20分間
【0183】
このようにして得られた第2トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0184】
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.82 変動係数 19.4
実施例1で得られた第1トナー粒子群3.3重量部と実施例12で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を実施例12のトナーとした。
【0185】
(比較例1)
実施例1で作製したトナー微粒子を含む水性スラリーをイオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによって得られたトナー粒子群(個数平均粒子径:1.24μm、変動係数:37.8)1.5重量部と、実施例1で得られた第1トナー粒子群3.0重量部と、実施例1で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合した後、実施例1と同様にしてシリカ粒子1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例1のトナーとした。
【0186】
(比較例2)
実施例1で得られた第1トナー粒子群1.8重量部と実施例1で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例2のトナーとした。
【0187】
(比較例3)
実施例1で得られた第1トナー粒子群2.2重量部と実施例5で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例3のトナーとした。
【0188】
(比較例4)
実施例1で得られた第1トナー粒子群5.1重量部と実施例1で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例4のトナーとした。
【0189】
(比較例5)
実施例1で得られた第1トナー粒子群1.3重量部と実施例9で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例5のトナーとした。
【0190】
(比較例6)
実施例1で得られた第1トナー粒子群1.1重量部と実施例9で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例6のトナーとした。
【0191】
(比較例7)
実施例1で得られた第1トナー粒子群4.2重量部と実施例9で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例7のトナーとした。
【0192】
(比較例8)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーに凝集剤を加え、クレアミックスWモーションにて以下の条件で凝集させることによって、第1トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0193】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 15重量部
【0194】
<凝集条件>
温度 70℃
回転数(ローター/ステーター) 17000rpm/15300rpm
設定温度保持時間 10分間
【0195】
このようにして得られた第1トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第1トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0196】
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 2.52 変動係数 23.8
比較例8で得られた第1トナー粒子群5.0重量部と実施例9で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例8のトナーとした。
【0197】
(比較例9)
実施例11で得られた第1トナー粒子群2.0重量部と実施例10で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例9のトナーとした。
【0198】
(比較例10)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーに凝集剤を加え、クレアミックスWモーションにて以下の条件で凝集させることによって、第1トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0199】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 18重量部
【0200】
<凝集条件>
温度 70℃
回転数(ローター/ステーター) 18000rpm/16200rpm
設定温度保持時間 20分間
【0201】
このようにして得られた第1トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第1トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0202】
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 3.11 変動係数 15.1
比較例10で得られた第1トナー粒子群2.8重量部と実施例1で得られた第1トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例10のトナーとした。
【0203】
(比較例11)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーに凝集剤を加え、クレアミックスWモーションにて以下の条件で凝集させることによって、第1トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0204】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 15重量部
【0205】
<凝集条件>
温度 70℃
回転数(ローター/ステーター) 15000rpm/13500rpm
設定温度保持時間 5分間
【0206】
このようにして得られた第1トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第1トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
【0207】
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 2.57 変動係数 26.4
比較例11で得られた第1トナー粒子群2.8重量部と実施例1で得られた第1トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例11のトナーとした。
【0208】
(比較例12)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集し、第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0209】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 24重量部
【0210】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 19000rpm/17100rpm
設定温度保持時間 40分間
【0211】
このようにして得られた第2トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.55 変動係数 18.1
【0212】
実施例1で得られた第1トナー粒子群2.7重量部と比較例12で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例12のトナーとした。
【0213】
(比較例13)
実施例1で得られたトナー微粒子を含む水性スラリーを以下の条件で凝集することによって、第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製した。
【0214】
<試料>
トナー微粒子を含む水性スラリー 600重量部
凝集剤(1級塩化ナトリウム、和光純薬株式会社製) 24重量部
【0215】
<凝集条件>
温度 75℃
回転数(ローター/ステーター) 13000rpm/11700rpm
設定温度保持時間 5分間
【0216】
このようにして得られた第2トナー粒子群を含む水性スラリーを、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させることで、第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.52 変動係数 30.8
【0217】
実施例1で得られた第1トナー粒子群2.5重量部と比較例13で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例13のトナーとした。
【0218】
(比較例14)
実施例1で作製した溶融混練物をカッティングミル(商品名:VM−16、菱興産業株式会社製)で粗粉砕した後、カウンタジェットミルで微粉砕し、ロータリー式分級機にて過粉砕トナーを分級除去することで、第1トナー粒子群および第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径と変動係数は次のようになった。
第1トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 2.63 変動係数 24.7
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.75 変動係数 26.1
【0219】
比較例14で得られた第1トナー粒子群3重量部と比較例14で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例14のトナーとした。
【0220】
(比較例15)
第2トナー粒子群を含む水性スラリーを作製する際の凝集における温度を75℃から80℃に変更し、凝集剤の添加量を24重量部から12重量部に変更した以外は実施例1と同様にして第2トナー粒子群を得た。フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000型)で測定した個数基準の平均粒子径および変動係数は次のようになった。
【0221】
第2トナー粒子群 個数平均粒子径(μm) 4.72 変動係数 22.3
実施例1で得られた第1トナー粒子群3重量部と比較例15で得られた第2トナー粒子群100重量部とを混合し、外添剤としてシリカ微粒子(商品名:R972、日本アエロジル株式会社製)1.5重量部を外添することによって得られたトナー粒子群を比較例15のトナーとした。
実施例1〜12および比較例1〜15で得られたトナーの物性をにまとめた。
【0222】
【表1】

【0223】
キャリアとして、体積平均粒径45μmのフェライトコアキャリアを用いて、キャリアに対する実施例1〜12および比較例1〜15のトナーの被覆率がそれぞれ60%となるようにV型混合器混合機(商品名:V−5、株式会社特寿工作所製)にて20分間混合することによって、実施例1〜12および比較例1〜15のトナーをそれぞれ含む2成分現像剤を作製した。
【0224】
実施例1〜12および比較例1〜15のトナーをそれぞれ含む2成分現像剤を用いて、クリーニングトナー性、トナー飛散、感光体へのフィルミング、転写性、画像再現性を下記の方法によって評価した。
【0225】
〔クリーニング性〕
気温20℃、湿度50%の環境下において、A4サイズであり、印字率が6%である文字チャートを白紙10000枚に印刷し、10000枚印刷後における非画像部のよごれおよび白筋を目視で観察することによってクリーニング性を評価した。
【0226】
評価基準は、次のとおりである。
◎:非常に良好。画像の鮮明度が良好で、白筋が全く認められない。
○:良好。画像の鮮明度が良好で、白筋の長さが2.0mm以下でかつ白筋の発生箇所が3箇所以下である。
△:実用上問題なし。画像の鮮明度が実使用上問題ないレベルであり、白筋の長さが2.0mm以下でかつ白筋の発生箇所が5箇所以下である。
×:不良。画像の鮮明度に実使用上、問題があり、白筋の長さが2.0mm以下でかつ白筋の発生箇所が6箇所以上である。または、画像の鮮明度に実使用上、問題があり、長さが2.0mmを超える白筋が確認される。
【0227】
〔トナー飛散〕
カラー複写機(商品名:MX−2700、シャープ株式会社製)の現像槽に2成分現像剤をそれぞれ充填し、温度35℃、相対湿度80%の高温高湿環境中で3時間現像槽を空転させた。空転前の2成分現像剤中のトナー濃度と空転後の2成分現像剤中のトナー濃度との差が小さいほど、トナー飛散がなく良好であると判断した。空転前後のトナー濃度の差の指標としてトナー濃度差を用い、トナー濃度差は、下記式(3)によって算出した。
トナー濃度差〔%〕=(空転後のトナー濃度/空転前のトナー濃度)×100…(3)
【0228】
評価基準は次のとおりである。
◎:非常に良好。トナー濃度差が0.15%未満である
○:良好。トナー濃度差が0.15%以上0.25%未満である。
△:実使用上問題なし。トナー濃度差が0.25%以上0.50%未満である。
×:不良。トナー濃度差が0.5%以上である。
【0229】
〔感光体へのフィルミング〕
現像ローラへのトナー付着量を0.6mg/cm〜0.7mg/cmとして、記録媒体に形成される未定着トナー画像の単色ソリッド部におけるトナー付着量を0.5mg/cmに調整し、各トナー単色で、画像ソリッド部および文字部を含む原稿濃度5%の評価チャートを記録媒体10000枚に形成する連続実写テストを行なった。10000枚の連続実写テスト後、現像ローラおよび感光体部材の長手方向において、実際に使用される長さに相当するソリッド画像を出力させ、得られたソリッド画像を目視によって観察し、ソリッド画像への筋またはフィルミング痕の発生の有無を判断することによって、感光体へのフィルミングを評価した。評価基準は次のとおりである。
○:良好。ソリッド画像への筋および感光体表面のフィルミング痕がない。
△:実使用上問題なし。ソリッド画像への筋はないが、感光体表面にフィルミング痕が確認される。
×:不良。ソリッド画像への筋および感光体表面にフィルミング痕が確認される。
【0230】
〔転写性〕
転写性は、転写効率を用いて評価した。転写効率は、1次転写において、感光体ドラム表面のトナー量に対する感光体ドラム表面から中間転写ベルトに転写するトナー量の割合である。転写前の感光体ドラム表面のトナー量は、帯電量測定装置(商品名:210HS−2A、トレック・ジャパン株式会社製)を用いて吸引し、この吸引したトナーの量を測定することによって得た。また中間転写ベルトに転写されたトナー量も、同様にして得た。
【0231】
転写効率は、下記式(4)によって算出した。
転写効率〔%〕=(中間転写ベルトに転写されたトナー量
/転写前の感光体ドラム表面のトナー量)×100 …(4)
【0232】
評価基準は次のとおりである。
◎:非常に良好。転写効率が98%以上である。
○:良好。転写効率が95%以上98%未満である。
△:実使用上問題なし。転写効率が90%以上95%未満である。
×:不良。転写効率が90%未満である。
【0233】
〔画像再現性〕
前記複写機に2成分現像剤をそれぞれ充填し、画像濃度が0.3であり、直径が5mmであるハーフトーン画像を画像濃度0.3以上0.5以下で複写できる条件において、線幅が正確に100μmである細線のオリジナル画像が形成されている原稿を記録媒体に複写し、得られたコピー画像を測定サンプルとした。画像濃度は、反射濃度計(商品名:RD−918、マクベス社製)によって測定される光学反射濃度である。
【0234】
この測定サンプルに形成された細線を粒子アナライザ(商品名:ルーゼックス450、株式会社ニレコ製)によって100倍に拡大し、100倍に拡大された細線が映し出されたモニタ画像から、インジケータによって、コピー画像に形成された細線の線幅を測定した。
【0235】
コピー画像に形成された細線には凹凸があり、その細線の線幅は測定位置によって異なるので、複数の測定位置において線幅を測定して、線幅の平均値を算出し、この線幅の平均値をコピー画像に形成された細線の線幅とした。このとき、かすれなどで100μmに満たない線幅はカウントせず、線幅の平均値を算出する際に100μm未満である線幅の値は用いなかった。コピー画像に形成された細線の線幅を、オリジナル画像の線幅である100μmで除し、得られた値を100倍したものを細線再現性の値とした。細線再現性の値が100に近いほど、細線の再現性がよく、画像再現性に優れ、解像性に優れるので、画像再現性が良好であることを示す。
【0236】
画像再現性を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:非常に良好。細線再現性の値が100以上105未満である。
○:良好。細線再現性の値が105以上110未満である。
△:実使用上問題なし。細線再現性の値が110以上115未満である。
×:不良。細線再現性の値が115以上である。
【0237】
〔総合評価〕
総合評価の評価基準は次のとおりである。
◎:非常に良好。評価結果に△および×がない。
○:良好。評価結果に×がなく、△が1個である。
△:実使用上問題なし。評価結果に×がなく、△が2個以上である。
×:不良。評価結果に少なくとも1つ×がある。
【0238】
実施例1〜12および比較例1〜15で得られたトナーの評価結果および総合評価結果を表2に示す。
【0239】
【表2】

【0240】
以上のことから、実施例1〜12のトナーは、クリーニング性、転写性および画像再現性が良好で、トナー飛散および感光体へのフィルミングを抑制することができ、高精細な高画質画像を形成できることがわかる。
【0241】
比較例1〜13のトナーは、粒度分布が本発明で規定している範囲外なので、トナー飛散が発生した。
【0242】
比較例14は、SF1が140を超えるので、現像剤の空転時に新たなトナー粒子が発生し、そのトナー粒子によってトナー飛散が発生し、画像再現性が低下した。
【0243】
比較例15は、SF1が130未満であるので、トナー粒子の形状が丸すぎ、クリーニングブレードで効率良く感光体表面の不要なトナーを取り除くことができず、非画像部によごれが発生し、クリーニング性が不良となった。またSF1の値が小さくなるほど、転写性が向上するので、その点において画像再現性は向上するが、前述のように感光体表面の不要なトナーを効率的に取り除くことができないので、転写工程において感光体表面に残留した不要なトナーも転写され、画像再現性が不良となった。
【図面の簡単な説明】
【0244】
【図1】本実施形態のトナーEの充填状態を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す中粒径粒子Cが充填されていない状態でのトナーEの充填状態を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を模式的に示す概略図である。
【図4】図3に示す画像形成装置100に備わる現像装置14を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
【0245】
C 中粒径粒子
D 大粒径粒子
E トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂および着色剤を含有する複数のトナー粒子を含むトナーであって、
フロー式粒子像分析装置による測定で、
(a)0.5μm以上2.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である小粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の5個数%以下であり、
(b)2.0μmを超えて4.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である中粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の20個数%以上30個数%以下であり、
(c)4.0μmを超えて6.0μm以下の円相当径を有するトナー粒子である大粒径粒子の含有率は、全トナー粒子の50個数%以上70個数%以下であり、
トナー粒子の形状係数SF1は、130以上140以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
中粒径粒子の個数Aと大粒径粒子の個数Bとの比率A/Bが、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
0.30 ≦ A/B ≦ 0.60 …(1)
【請求項3】
中粒径粒子のうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である中粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値rと、大粒径粒子のうち最も含有率の高いトナー粒子の粒子径である大粒径粒子の個数基準粒子径ピーク値Rとの比率r/Rが、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
0.50 < r/R < 0.70 …(2)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーの製造方法であって、
個数平均粒子径が2.0以上4.0μm以下である第1トナー粒子群と、個数平均粒子径が4.0以上6.0μm以下である第2トナー粒子群とを混合することを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項5】
第1トナー粒子群の変動係数は、16以上25以下であることを特徴とする請求項4に記載のトナーの製造方法。
【請求項6】
第2トナー粒子群の変動係数は、19以上30以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のトナーの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項8】
前記トナーとキャリアとから成る2成分現像剤であることを特徴とする請求項7に記載の現像剤。
【請求項9】
請求項7または8に記載の現像剤を用いて、像担持体に形成される潜像を現像してトナー像を形成することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
潜像が形成される像担持体と、
像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、
請求項9に記載の現像装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−222940(P2009−222940A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66791(P2008−66791)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】