説明

トナー、トナーの製造方法およびそれを用いた画像形成装置

【課題】従来の分級法では2.5μm以下の微粉を効率良く取り除き、揃った粒度分布のトナーを製造する事が困難であった。
【解決手段】水系媒体中に着色樹脂粒子を分散させた分散液を、鉛直方向に回転軸を有した内壁面に無孔の円筒槽を備えた遠心分離機に注入して回転し、前記円筒槽の内壁面に粒子成分が遠心力によって付着後に前記円筒槽内の分散液を排出した後、前記内壁面に付着した着色樹脂粒子を分離し、縦軸に頻度、横軸に粒径を表した、粒径0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対して、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であるトナーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、あるいはファックス等の画像出力装置等において、潜像担持体上の静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用のトナー、トナーの製造方法およびそれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の複写機、プリンター、ファックス等の画像出力装置においては、印刷画像品質の高解像度化、階調性の向上、廃トナー量の削減、定着温度の低温度化による消費エネルギーの低下、フルカラー画像における画像特性の向上等の要求から、画像形成に画像形成に用いるトナー粒子は小粒径化が進んでいる。
【0003】
しかしながら、小粒径トナーは飛散しやすくなり、画像形成装置内部のトナー飛散、トナー汚れの問題が発生し、さらには装置から大気中へのトナー放散を防止することが課題となってくる。従来からトナーの飛散抑制技術が開発されているが、トナーの小粒径化によって、よりいっそうトナー飛散抑制の重要性が増してくる。
【0004】
トナーには2つの付着力、すなわち電界制御可能な静電気力と、電界制御が不可能なファンデルワールス力がある。トナーを小粒径化すると、静電気力よりもファンデルワールス力の比率が大きくなってくるため、電界によるトナー制御が困難になってくる。また、トナーが小粒径になると、重力沈降よりも空気抵抗が大きくなる。そのため電界制御されないトナーが現像などでトナー飛散になると、装置の冷却ファンなどの気流に乗って機外の大気中に放散されやすくなる。
【0005】
一方、大気中の浮遊粒子状物質、特に微小粒子による健康への影響について関心が高まっている。米国環境基準やWHOガイドラインにおいてPM2.5と呼ばれる、呼吸器等に対する疾患を引き起こすとされる2.5μm以下の微小粒子についての基準が追加されたことが挙げられる。国内でも、環境基準の制定について議論が進められていることに鑑み、2.5μm以下の粒径のトナーを大気中に放散させないことは重要な意義がある。
【0006】
トナー中から特定の粒径の粒子を分離するために、縦型円筒形の釜に移送し2時間静置・沈降分離後、釜側面に設置したノズルの閉止弁を開にして全量の50%を上澄み液として排出することで体積平均粒子径7μm以下の粒子を50個数%以上含有する粉体を分級することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、静置沈降に長時間を要するので、トナーの工業的な製造には問題があった。
また、沈降分離と、ろ過脱水の二つの機能を有するデカンタ型遠心分離機用いて1000〜3000Gの遠心力を加えることによって、体積平均粒径6〜8μmのトナーを調製することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この方法では、平均粒径6.5μmのトナーでありながら3μm以下のトナーが6%も含まれており、PM2.5の基準に充分に対応できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−28527号公報
【特許文献2】特開2004−133326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のトナーの分級方法では、長時間の静置を必要としたり、また、得られるトナーの粒度分布が3μm以下のトナーの含有量が分級前に比べて減少していることが見られるものの、3μm以下のトナーの減少率が充分なものではなかった。
本発明は、微粉を含まないトナーを提供することを課題とするものであり、特に粒径2.5μm以下のトナーを確実に取り除いた粒度が揃ったトナーを効率的に製造方法を提供することを課題とするものであり、併せてトナー中に添加する微細な外添剤が大気中への飛散を防止したトナー、およびそれらのトナーを使用した画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対する、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であるトナーである。
本発明のトナーは、分級によって微粉を高精度に取り除いたので、トナー粒度分布がシャープであって、トナー飛散を大幅に減少したトナーを提供することが可能となる。
【0010】
また、液中において微粉を分級した工程を経た、個数モード径が3μm以上6μm以下である前記のトナーである。
このように、液中において精密な分級をすることによって、粒径2.5μm以下の微粉状のトナーの含有量が少ないトナーを提供することが可能となる。
【0011】
着色樹脂粒子100質量部当たりシリコーンオイルを0.05〜2質量部を配合したものである前記のトナーである。
また、シリコーンオイルの配合により、画像品質に悪影響を及ぼすことなく微粉状のトナーの飛散の防止を更に抑制することが可能である。
【0012】
交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が|80°|以下であるアルミナ微粒子を外添剤として含有した前記のトナーである。
このように、交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角θが|80°|以下であるアルミナ微粒子を外添剤として添加したトナーであるので、ジャンピング現像を行った場合でも、現像ギャップからの飛散やカブリを抑制することが可能となる。
【0013】
また、水系媒体中に着色樹脂粒子を分散させた分散液を、鉛直方向に回転軸を有した内壁面に無孔の円筒槽を備えた遠心分離機に注入して回転し、前記円筒槽の内壁面に粒子成分が遠心力によって付着後に前記円筒槽内の分散液を排出した後、前記内壁面に付着した着色樹脂粒子を分離し、0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対する、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であるトナーの製造方法である。
本発明のトナーは、このように着色樹脂粒子を含有した分散液を壁面が無孔の円筒槽を回転して遠心力を与えることによって、着色樹脂粒子は遠心力の作用で円筒槽の壁面にケーキ状の付着となるが粒径が小さな粒子の多くは分散液中に残留するとともに、ケーキ状の付着物からも分散液によって洗い流されて排出されるので、2.5μm以下の微粉状の粒子の含有率が少ないトナーを提供することが可能となる。
【0014】
また、前記遠心力が500〜900Gであり、回転時間が5〜30分間である前記のトナーの製造方法である。
このように、本発明の方法で分散液に与えられる遠心力は、従来の湿式分級時に加えられる遠心力に比べて小さく、遠心力を加える時間も短いので、大きな遠心力を長時間与えた場合に比べて粒子の析出層の内部に比較的大きな空隙が形成されるので、残留した分散液の排出時に粒径が小さな微粉状の粒子が排出液と共に除去されるので、2.5μm以下の微粉状の粒子の含有率が少ないトナーを製造することが可能である。
【0015】
また、前記円筒槽の分散液を分離した後に、内壁面に付着した着色樹脂粒子を、水系媒体中に分散し、前記遠心分離機に注入して前記の工程を繰り返す前記のトナーの製造方法である。
このように、分散液と分離したケーキ状の析出物を、水性媒体中に分散した後に、再度前記円筒槽に注入して前記の工程を繰り替えし行うことによって、2.5μm以下の微粉状のトナーの含有率が少ないトナーを製造することが可能となる。
【0016】
着色樹脂粒子が、少なくとも、合成樹脂、着色剤,ワックスを含む組成物を水成媒体中において乳化させて析出した粒子を、電解質を添加して合一させて製造した着色樹脂粒子である前記のトナーの製造方法である。
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも、合成樹脂、着色剤,ワックスを含む組成物を水成媒体中において乳化させて析出した粒子を、電解質を添加して合一させて得られた小粒径のトナー中から微粉状の粒子を分離する方法として好適である。
【0017】
また、静電潜像を担持した感光体と、該感光体と非接触の状態で対向配置され、前記感光体に担持された静電潜像を、水系媒体中に着色樹脂粒子を分散させた分散液を、鉛直方向に回転軸を有した内壁面に開孔を有さない円筒槽を備えた遠心分離機に注入して回転し、前記円筒槽の内壁面に粒子成分が遠心力によって付着後に、前記円筒槽の回転を停止し、前記円筒槽内の粒径が小さな粒子の割合が増加した分散液を排出することによって分級した後に、前記円筒槽の内壁面に付着した着色樹脂粒子を乾燥した、0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対する、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であるトナーによって、 非接触状態に保持した現像手段と静電潜像担持体との間でトナーを飛翔させて静電潜像担持体上の静電潜像にトナーを付着させるジャンピング現像によって現像させる現像機を有した画像形成装置である。
これによって、トナーが周囲環境中へ飛散が少なく、品質が優れた画像を形成可能な画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明のトナーの粒径分布を説明する図である。
【図2】図2は、本発明のトナーの粒径分布を説明する図である。
【図3】図3は、本発明の分級および脱水を行う方法を説明する図である。図3(A)は回転を行っている状態を説明する図であり、図3(B)は、回転を止めた状態を説明する図であり、図3(C)は、残留した分散液を除去した状態を説明する図であり、いずれも断面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる画像形成装置の一例を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の画像形成機構を説明する図であり、図5(A)は、図2で説明した画像形成ユニットを拡大して説明する図であり、図5(B)は、現像工程を説明する図である。
【図6】図6は、本発明の現像手段を説明する図であり、図6(A)は側面図であり、図6(B)は現像ロールの一方の端部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、小粒径トナーでありながら、画像形成装置からの微粉状粒子の飛散を抑制したトナー、およびそれを用いた画像形成装置を、液中においてトナーを分級することによって提供することを見いだしたものであって、特に呼吸器等に対して疾患を引き起こすとされる2.5μm以下の微小粒子の生成を抑制したトナー、およびそれを使用した画像形成装置を提供することを見いだしたものである。
また、本発明は、2.5μm以下の微小粒子を高精度に分級することによって、外添済のトナーの微粉頻度を少なくしたものである。
【0020】
図1は、本発明のトナーの粒径分布を説明する図である。
図1は、縦軸に頻度、横軸に粒径を表したものであり、図1(A)は、本発明のトナーを説明する図であり、図1(B)および(C)は比較例を説明する図である。
図1(A)に示すように、微粉の個数が少ない場合には、個数頻度分布と表面積頻度分布とはほぼ一致したものとなる。
これに対して、図1(B),図1(C)に示すように、微粉の個数が多いと表面積が大きくなるために、個数頻度分布よりも表面積頻度分布が、大粒径側に大きくずれる。
そこで、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対する、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積との比を百分率で表したものを乖離率と定義すると、この乖離率を小さくすることによって微粉の含有量が少ないトナーを提供することが可能となる。
【0021】
図2は、縦軸に頻度、横軸に粒径を表したものであり、個数頻度分布と表面積頻度分布の関係をより詳しく説明したものである。
すなわち、表面積頻度分布のグラフ面積から、個数頻度分布のグラフと重なる面積を除いた斜線部の面積の、表面積頻度分布のグラフの面積の比を乖離率として百分率で表したものである。
【0022】
本発明のトナーおよびトナーの製造方法は、着色樹脂粒子が、合成樹脂、着色剤を含む組成物を水成媒体中において乳化させて析出した粒子を、電解質を添加して合一させて製造した着色樹脂粒子としたトナーであることが好適である。
このようなトナーの製造方法を各工程順に以下に説明する。
第一工程:ポリエステル樹脂と有機溶剤とを必須の構成成分とする樹脂溶液を水性媒体中に乳化させ微粒子を形成させる工程、
第二工程:前記微粒子を合一させ該微粒子の凝集体を製造する工程、
第三工程:前記凝集体中に含有される有機溶剤を脱溶剤する工程、
第四工程:水性媒体から粒子の分級を行うとともに粒子を分離する工程、
第五工程:分離した粒子を乾燥させ、トナーを製造する工程
からなる。なお、本発明におけるトナーとは第五工程で製造される凝集体を乾燥したものを意味する。
【0023】
第一工程では、まず、有機溶剤中にポリエステル樹脂を投入して、ポリエステル樹脂を溶解分散することによりポリエステル樹脂と有機溶剤とを含む混合物を調整する。この場合、トナー用原料として各種着色剤、離型剤または電荷制御剤、あるいはその他の添加物から選択される1種以上をポリエステル樹脂と共に用いることができる。本発明においては、着色剤をポリエステル樹脂と共に有機溶剤中に分散させることが好ましく、更に離型剤、電荷制御剤等の各種添加剤も同様に溶解あるいは分散させるのが特に好ましい。
【0024】
有機溶剤中にポリエステル樹脂と、着色剤、離型剤、電荷制御剤等の各種添加剤を、溶解あるいは分散させる手段としては、以下の方法を用いることが好ましい。
第一の方法としては、上記のポリエステル樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤等の各種添加剤を含む混合物を加圧ニーダー、加熱2本ロール、2軸押し出し混練機などを用いて、使用するポリエステル樹脂を軟化点以上、且つ熱分解温度以下の温度に加熱して混練する。この時、着色剤等はマスターバッチとして溶融混練してもよい。その後、得られた混練チップをデスパー(アサダ鉄工製)等の撹拌機により有機溶剤中に溶解、ないし分散して調製する方法を挙げることができる。
また、第二の方法として、ポリエステル樹脂と着色剤、離型剤、電荷制御剤等の各種添加剤を有機溶剤と混合し、これをボールミル等により湿式混練する。この場合、着色剤や離型剤等はあらかじめ別々に予備分散を行ってから混合しても良い。
【0025】
また、ポリエステル樹脂と他の成分との配合手段には、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、連続式ビーズミル等のメディアを用いた混合・分散機中に、予め有機溶媒にポリエステル樹脂を溶解した樹脂溶液、及び着色剤や離型剤を加え、攪拌・分散させることによりマスターバッチとし、更に希釈用のポリエステル樹脂、追加の有機溶剤を混合することにより有機溶媒中に着色剤や離型剤等が微分散した樹脂溶液を製造する方法を挙げることができる。
また、このとき、着色剤や離型剤等を未処理のまま直接ボールミル等の混合・分散機に投入するよりも、あらかじめ、低粘度のポリエステル樹脂と着色剤、あるいは離型剤等を加圧ニーダー、加熱2本ロールで混練・分散してマスターバッチとしたものを用いるのが好ましい。
以上のような製法によれば、ポリエステル樹脂の高分子成分であるゲル成分が切断されないため、単に溶融混練により分散する第一の方法よりも好ましい。
【0026】
ポリエステル樹脂と併用する着色剤や離型剤等とを溶解あるいは分散させるための有機溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、石油エーテルのごとき炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのごときケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルのごときエステル類、などが用いられる。これらの溶剤は、2種以上を混合して用いることもできるが、溶剤回収の点から、同一種類の溶剤を単独で使用することが好ましい。また、有機溶剤は、結着樹脂を溶解するものであり、毒性が比較的低く、かつ後工程で脱溶剤し易い低沸点のものが好ましく、そのような溶剤としては、メチルエチルケトンが最も好ましい。
【0027】
ポリエステル樹脂および有機溶剤を含む混合物を水性媒体中に乳化する方法としては、ポリエステル樹脂と併用する着色剤等と有機溶剤を上記の方法で調整した混合物を、塩基性中和剤の存在下に、水性媒体と混合して乳化するのが好ましい。この工程においては、ポリエステル樹脂と着色剤等と有機溶剤からなる混合物に、水または水を主成分とする液体である水性媒体を徐々に添加する方法が好ましい。その際には、前記混合物の有機連続相に水を徐々に添加することで、油性相中に水相が存在する不連続相が生成し、さらに水を追加して添加することで、水相中の油性相からなる不連続相に転相して、水性媒体中に前記混合物が粒子、すなわち液滴として浮遊する懸濁・乳化液が形成される。以下、このように、油性相中に水相が存在する不連続相から水相中の油性相からなる不連続相への変化を転相乳化とも称す。
【0028】
転相乳化においては、有機溶剤と水の合計量に対する水の比率が30〜70質量%となるように水を添加する。より好ましくは35〜65質量%であり、特に40〜60質量%であることが好ましい。また、使用する水性媒体は水であることが好ましい。
【0029】
本発明で使用するポリエステル樹脂は、酸性基含有ポリエステル樹脂であることが好ましく、該酸性基を中和することにより、水中において安定に分散する自己水分散性を有するポリエステル樹脂(以下、自己水分散性樹脂とも称す)であることが好ましい。本発明で使用する自己水分散性のポリエステル樹脂の酸価は1〜20であることが好ましい。自己水分散性を有する樹脂は、酸性基が塩基性中和剤により中和されることによりアニオン型となる。その結果、樹脂の親水性が増加して水性媒体中に分散安定剤や界面活性剤を使用しなくとも安定に分散することができる。酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基が挙げられるが、中でもカルボキシル基がトナーの帯電特性の面から好ましい。また、中和用の塩基性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水のごとき無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンのごとき有機塩基を挙げることができる。これらのなかでも、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。
ポリエステル樹脂を水性媒体中に分散するためには、懸濁安定剤や、界面活性剤等の分散安定剤を添加する方法があるが、懸濁安定剤や、界面活性剤を添加して乳化させる方法では高剪断力が必要となる。その結果、粗大粒子の発生、粒度分布がブロードになるため好ましくない。したがって、本発明では自己水分散性樹脂を用い、該樹脂が有する酸性基を塩基性化合物により中和することが好ましい。
【0030】
ポリエステル樹脂の酸性基であるカルボキシル基を塩基で中和する方法としては、例えば、酸性基を有するポリエステル樹脂、着色剤、ワックスおよび有機溶剤を含有する混合物を製造した後、塩基で中和する方法、あるいは、水性媒体中に予め塩基性中和剤を混合した後に、転相乳化する際に前記混合物に含まれるポリエステル樹脂の酸性基を中和する方法等が挙げられる。
【0031】
また、転相乳化の方法としては、前記混合物を水性媒体中に加えて乳化する方法、あるいは、酸性基を有するポリエステル樹脂、着色剤、ワックスおよび有機溶剤を含有する混合物を製造した後、塩基で中和する方法と前記混合物中に水性媒体を添加する方法とを組み合わせる方法を挙げることができる。後者の方法の方が、粒度分布が狭くとなり、好ましい。
【0032】
転相乳化においては、各種の散機等が使用できるが、高シェアがかかる分散機を用いるよりも、均一な合一を進める上では、合一時の撹拌条件が重要であり、例えば、アンカー翼、タービン翼、ファウドラー翼、フルゾーン翼、マックスブレンド翼(登録商標)、半月翼などが用いられる。なかでも、マックスブレンド翼やフルゾーン翼のような低回転であっても均一混合性に優れた大型翼を用いることが好ましい。均一な合一体を生成させるための撹拌翼の周速は、0.2〜10m/sが好ましく、0.2〜8m/s未満の低シェアでの撹拌がより好ましい。特に、0.2〜6m/sとすることが好ましい。撹拌翼の周速が10m/sよりも早いと、微粒子が残存するため好ましくない。
【0033】
一方、周速が0.2m/sよりも遅いと、撹拌が不均一となり転相が均一に起こらず、粗大粒子が発生する傾向があるので好ましくない。また、転相乳化時の温度は、温度が高いほど粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。また、低温すぎるとポリエステル樹脂および有機溶剤を含む混合物の粘度が上昇し、やはり粗大粒子の発生が多くなるため好ましくない。転相乳化時の温度範囲としては10〜40℃が好ましい。更に好ましくは20〜30℃の範囲である。
【0034】
以上の如く、自己水分散性樹脂を用いて、低シェア下において転相乳化を行うことにより、微粉や粗大粒子の発生を抑えることができ、その結果、次の合一工程において均一な粒度分布を有する微粒子の凝集体を製造することが容易になる。また、更に、自己水分散性のないポリエステル樹脂を用いた場合や、高シェア下において転相乳化を行った場合には、粗大粒子の発生や樹脂の低分子量成分が微粉を発生させ、トナー粒子の粒度分布を広くし,更には、低分子量成分を含む粒子が、その後の工程で行われる篩い分け等で除去されてしまい、トナーの低温定着性を悪化させてしまうといった不都合を引き起こすが、自己水分散性樹脂を用いたり、低シェア下において転相乳化を行うことによりそのような不都合が発生しない。
【0035】
第一工程で製造する微粒子の50%体積平均粒径は、1μmを超えて6μm以下、より好ましくは1μmを超えて4μmの範囲である。1μm以下であると着色剤や、離型剤を用いた場合、ポリエステル樹脂により被覆されないため、帯電特性、現像特性に悪影響を及ぼし好ましくない。また、粒径が大きいと、得られるトナーの粒径が限定されるため、目的とするトナーの粒径よりも小粒径にする必要があるが、6μmよりも大きいと粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。また、第一工程で製造する微粒子の粒度分布は、10μm以上の体積粒径の比率が2%以下、より好ましくは1%以下であり、5μm以上の体積粒径の比率が10%以下、より好ましくは6%以下である。
【0036】
第二工程では、第一工程で得られた微粒子を合一させることにより該微粒子の凝集体を生成させ、所望の粒径のトナー粒子を形成させる。第二工程では、溶剤量、温度、分散安定剤及び電解質の種類あるいは添加量、攪拌条件等を適宜制御することで、所望の凝集体を得ることができる。
本発明では、上記のような、凝集と同時に融着工程を含む1段の工程で凝集体を得る製造方法であり、加温せずに、短時間で球形あるいは略球形の粒子を得ることができるという特徴を有している。
【0037】
本発明の第二工程では、第一工程で得られた微粒子の分散液を水で希釈し溶剤量を調整する。その後、分散安定剤を添加し、分散安定剤の存在下に電解質の水溶液を滴下することで合一を進め、所定粒径の凝集体を得る。
【0038】
第一工程までで得られる、自己水分散性樹脂から形成された微粒子は、カルボン酸塩による電気二重層の作用により水性媒体中で安定に分散している。本発明の第二工程では、微粒子が分散している水性媒体中に電気二重層を破壊、あるいは縮小させる電解質を添加することで、粒子を不安定化させる。本発明で用いることのできる電解質としては、たとえば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質がある。また、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等も電解質として有効に用いることができる。合一させるために添加するこれらの電解質は、単独でも、あるいは2種類以上の物質を混合してもよい。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニュウムのごとき1価のカチオンの硫酸塩が均一な合一を進める上で好ましい。本発明の製法では、第一工程で得られた微粒子は溶剤により膨潤しており、かつ電解質の添加により粒子の電気二重層が収縮した不安定な状態となっているため、低シェアー(低剪断力)の撹拌による粒子同士の衝突でも容易に合一が進行する。
【0039】
また、電解質等の添加だけでは、系内の微粒子の分散安定性が不安定になっているため、合一が不均一となり、粗大粒子や凝集物が発生する。電解質や酸性物質により生成した微粒子の凝集体が、再合一を繰り返して、目的とする粒子径以上の凝集体を形成するのを防止するためには、電解質等を添加する前に、ヒドロキシアパタイト等の無機分散安定剤やイオン性、あるいはノニオン性の界面活性剤を分散安定剤として添加する必要がある。使用する分散安定剤は、後から添加する電解質の存在下においても分散安定性を保持できる特性が必要である。
【0040】
そのような特性を有する分散安定剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等、あるいは各種プルロニック系等のノニオン型の乳化剤、あるいはアルキル硫酸エステル塩型のアニオン性乳化剤、また、第四級アンモニウム塩型のカチオン型の分散安定剤等がある。中でも、アニオン型、ノニオン型の分散安定剤が少量の添加量であっても系の分散安定性に効果があり、好ましい。ノニオン型の界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。以上に記載した界面活性剤は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。本発明の製造方法では、分散安定剤(乳化剤)の存在下に電解質を添加することで、不均一な合一を防止することが可能となり、その結果、狭い粒度分布範囲が得られ、それに伴い、収率の向上が達成される。
【0041】
本発明の第二工程においては、得られた微粒子の分散液を水で希釈しても良い。その後、分散安定剤、及び電解質を順次添加して合一を行う。あるいは、分散安定剤及び/又は電解質の水溶液を添加することで分散液中の溶剤量を調整し、所定粒径の粒子を得る手順を採ることが好ましい。電解質を添加した後の系中に含まれる溶剤量としては、5〜25質量%の範囲内であることが好ましい。また、5〜20質量%の範囲内がより好ましく、特に、5〜18質量%の範囲内が好ましい。溶剤量が5質量%よりも少ないと、合一に要する電解質量が多くなり好ましくない。また、溶剤量が25質量%よりも多いと不均一な合一による凝集物発生が多くなり、また、分散安定剤の添加量が多くなるため好ましくない。
【0042】
本発明においては溶剤量を調整することで合一後のトナー粒子の形状を調整することができる。溶剤量が13〜25質量%の範囲では溶剤による微粒子の膨潤度が大きいため、合一により球形〜略球形の粒子を容易に得ることができる。一方、溶剤量を5〜13質量%の範囲にすると溶剤による微粒子の膨潤度が小さいため、異形〜略球形のトナー粒子が容易に得られる。
【0043】
使用する分散安定剤の量は、例えば微粒子の固形分含有量に対し、0.5〜3.0質量%の範囲内が好ましい。0.5〜2.5質量%の範囲内がより好ましく、1.0〜2.5質量%の範囲内が特に好ましい。0.5質量%よりも少ないと、目的とする粗大粒子発生に対する防止効果が得られない。一方、3.0質量%よりも多いと、電解質の量を増加しても合一が十分に進行せず、所定粒径の粒子が得られなくなり、結果として、微粒子が残存してしまい収率を低下させるため好ましくない。
【0044】
また、使用する電解質の量は、微粒子の固形分含有量に対し、0.5〜15質量%の範囲内であることが好ましい。1〜12質量%の範囲内であることがより好ましく、1〜10質量%の範囲内であることが特に好ましい。電解質の量が0.5質量%よりも少ないと、合一が十分に進行しないため好ましくない。また、電解質の量が15質量%よりも多いと、合一が不均一となり、凝集物の発生や、粗大粒子が発生し収率を低下させるため好ましくない。
【0045】
また、合一時の温度は10〜50℃の範囲内が好ましい。より好ましくは20〜40℃の範囲内であり、20〜35℃であることが特に好ましい。温度が10℃よりも低いと、合一が進行しにくくなるため好ましくない。また、温度が50℃よりも高いと、合一速度が速くなり、凝集物や、粗大粒子が発生しやすくなるため好ましくない。本発明の製法では、たとえば、20〜40℃といった低温の条件で、合一による会合体の生成が可能である。したがって、会合法のように、微粒子を凝集させた後に融着させるために温度を80〜90℃に昇温する必要はない。
【0046】
また、本発明における転相乳化を行う第一工程、及び合一を行う第二工程では種々の実施形態をとることが可能である。
なかでも、好ましい実施形態としては、以下のものを挙げることができる。
・ポリエステル樹脂と着色剤、あるいは更に離型剤、電荷制御剤からなる樹脂溶液を用いて、第一工程により微粒子を製造し、第二工程を行う方法。
・ポリエステル樹脂と着色剤、あるいは更に離型剤からなる樹脂溶液を用いて、第一工程により微粒子を製造し、次いで電荷制御剤の分散液を混合して、第二工程を行う方法。
・ポリエステル樹脂からなる微粒子を上記の第一工程により製造し、着色剤の分散液、及び、あるいは更に離型剤、電荷制御剤の各分散液の1種以上をそれぞれ別々に用意し、それらを混合した後に第二工程を行う方法。
・ポリエステル樹脂と離型剤からなる樹脂溶液を用いて、上記の第一工程により微粒子を製造し、着色剤の分散液、あるいは更に電荷制御剤の分散液を混合して、第二工程を行う方法。
【0047】
ここで用いる着色剤分散液、電荷制御剤分散液、離型剤分散液等の各種分散液は、下記のようにして得ることができる。たとえば、それぞれの物質をポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等で代表されるノニオン系の界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩等で代表されるアニオン系の界面活性剤、あるいは4級アンモニウム塩で代表されるカチオン系の界面活性剤等と水中に添加して、メディアによる機械的粉砕法により調製できる。
あるいは、界面活性剤の代わりに、自己水分散性のポリエステル樹脂を用いて、塩基性中和剤の存在下に同様の分散手段で分散液を調製できる。また、ここで使用する着色剤、離型剤、電荷制御剤は、あらかじめポリエステル樹脂と溶融混練したものを用いても良い。この場合、樹脂が吸着することで、各種材料が粒子表面に露出する程度が緩和され、帯電特性、現像特性において好ましい特性を与える。
【0048】
また、摩擦帯電性能を良好に保持するためには、着色剤等がトナー粒子表面に露出しないようにすること、すなわち着色剤等がトナー粒子に内包されたトナー構造とするのが有効である。トナーの小粒径化に伴う帯電性の悪化は、含有する着色剤やワックス等のその他の添加物の一部がトナー粒子表面に露出することも原因と考えられる。
すなわち、着色剤等の含有率が同じであっても、小粒径化によりトナー粒子の表面積が増大し、トナー粒子表面に露出する着色剤やワックス等の比率が増大し、その結果トナー粒子表面の組成が大きく変化し、トナー粒子の摩擦帯電性能が大きく変わり適正な帯電性が得られにくくなる。
【0049】
本発明により製造されるトナー粒子は、着色剤やワックス等が結着樹脂に内包されているのが望ましく、このように内包された構造となることにより、良好な印刷画像が得られる。積極的に着色剤や離型剤の内包を行うためには、前記の、ポリエステル樹脂と着色剤、あるいは更に離型剤、電荷制御剤からなる樹脂溶液を用いて、第一工程により微粒子を製造し、第二工程を行う方法、あるいは、ポリエステル樹脂と着色剤、あるいは更に離型剤からなる樹脂溶液を用いて、第一工程により微粒子を製造し、次いで電荷制御剤の分散液を混合して、第二工程を行う方法を行うことが好ましい。
【0050】
また、第二工程で得られる微粒子の凝集体は、球形であることが好ましく、平均円形度が0.96以上であることが好ましい。合一工程で得られる合一粒子の形状は、粒子像分析装置(シスメックス製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000)などによって観察した粒子像の投影面積に相当する円の周囲の長さと、観察した粒子の投影像の周囲の長さの比を平均円形度としている。
平均円形度が0.96以上の略球形あるいは球形の形状のものであると、粉体流動性、転写効率が良好であるとともに、本発明の方法によって分散液中から微細な粒子を分離する際にも分離効率が大きくなる。
【0051】
第二工程で得られた粒子の凝集体の分散液は、第三工程において脱溶剤を行い、スラリー中から有機溶剤を除去する。
【0052】
次いで、第四工程においては、第三工程で得られた水性媒体に粒子を分散した散体を、液中で分級した後に脱水を行う。
図3は、本発明の分級および脱水を行う方法を説明する図である。図3(A)は回転によって遠心力を与えている状態を説明する図であり、図3(B)は、回転を止めた状態を説明する図であり、図3(C)は、残留した分散液を除去した状態を説明する図であり、いずれも断面図である。
本発明の分級脱水装置1Aは、外装体2A内に、鉛直方向に回転軸を有した無孔の円筒槽3Aを有し、円筒槽3A内に分散液を注入して、駆動装置4Aによって遠心力を与えて回転させると、図3(A)に示すように、円筒槽3Aの無孔の壁面には、粒子がケーキ状に付着した粒子層5Aと共に、その内側には、円筒槽3Aの内壁面への付着によって粒子の含有率が減少した分散液層6Aが形成される。
図3(B)に示すように円筒槽3Aの回転を停止して円筒槽3Aの底部の残留分散液7Aを除いた後に、図3(C)のように円筒槽3Aの内壁面に、ケーキ状に付着した粒子層5Aをはぎと取って乾燥することによってトナー用の粒子を製造することができる。なお、分散液の取除き方法は、回転停止後に取除いても、回転中にスキミングにより上澄み液として取除いても良い。
【0053】
また、図3(C)で示す円筒槽3Aの内壁面に付着したケーキ状に付着した粒子層5Aをはぎ取った後に、水等の水性媒体を加えて分散液を調製した後に、円筒槽3Aの回転を行って、円筒槽3Aの内壁面に粒子を付着させた後に円筒槽内部の分散液を除去するという工程を繰り返し行うことによって、微粉状の粒子を除去すると分級と、粒子形成の際に使用した薬剤を除去することができる。
このように、ケーキ状に付着した粒子層に水等の水性媒体を加えて再度分散液を調製して遠心分離機を用いた分級する工程は、2回〜7回繰り返すことが好ましい。
【0054】
本発明においては、円筒槽3Aの回転によって分散液には500〜900Gの遠心力を与えることが好ましく、500Gよりも小さい場合には、分散液から円筒槽3Aの内壁面への粒子層の形成が不充分となり、分散液からの粒子の回収率が低下する。一方、900Gよりも大きい場合には、分散液中に含まれている微粉状の粒子が円筒槽3Aの内壁面の粒子層5A内に強く取り込まれるために、微粉状の粒子の分級が不充分ものとなり、残留した分散液を排出した場合に2.5μm以下の粒子が十分に除去されなくなる。
【0055】
また、500〜900Gの遠心力を与える時間は、5〜30分間とすることが好ましく、5分間よりも短い場合には、分散液から円筒槽3Aの内壁面への粒子層5Aの形成が不充分となり、分散液からの粒子の回収率が低下する。一方、30分間よりも長い場合には、分散液中に含まれている微粉状の粒子が円筒槽3Aの内壁面の粒子層5A内に強く取り込まれるために、微粉状の粒子の分級が不充分ものとなり、残留した分散液を排出した場合に2.5μm以下の粒子が十分に除去されなくなる。
【0056】
以上のようにして分級して得た着色樹脂粒子のケーキを乾燥させることによりトナー母粒子を得ることができる。本工程は、熱エネルギーを加えることで、水分、残留揮発成分の除去を行い、トナー母粒子とするものである。そのため、乾燥温度は高い方が効率的であるが、樹脂のガラス転移温度Tg以上ではトナー母粒子同士の融着が発生するため、系内はガラス転移温度Tg以下の温度で行うことが好ましい。また、乾燥は、残留水分量0.5%未満にすることがトナーの特性上好ましい。
乾燥は、常圧下または減圧下で乾燥させる方法、凍結乾燥させる方法、スプレードライヤー等を用いて、水性媒体からのトナー粒子の分離と乾燥とを同時に行う方法も挙げられる。特に、トナー粒子が熱融着や凝集しない温度で加熱しながら、減圧下で、粉体を攪拌して乾燥させる方法や、加熱乾燥空気流を用いて瞬時に乾燥させるという気流式乾燥機(セイシン企業製フラッシュジェットドライヤー)などを使用する方法が、効率的であり好ましい。
【0057】
本発明において、トナーの粒度分布についてはベックマンコールター製マルチサイザー3(アパーチャーチューブ径:50μm)による測定で、50%体積粒径/50%個数粒径が1.25以下であること好ましく、より好ましくは1.20以下である。1.25以下であると良好な画像を得られやすく好ましい。また、GSDは1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましい。なお、GSDは、前記コールター製マルチサイザー3による測定で、(16%体積粒径/84%体積粒径)の平方根により求められる値である。GSDの値が小さいほど粒度分布がシャープになり、良好な画像が得られる。
【0058】
本発明の方法で得られるトナーとしては、その体積平均粒径が個数モード径が3〜6μmのトナーとした場合に、液中分級の効果が高い。また、個数モード径が6μmより大きいと頻度の少ない2.5μm以下を分級しても分級効果は大幅に小さくなり、3μmよりも小さいトナーを2.5μmで分級すると収率が低下し工業的に現実的ではない。
また、円筒槽の内壁面に付着した後に、分散液中に残留した粒子が多過ぎると、分級精度が落ち、粒子分布も広がる。したがって、個数モード径が3μm以上6μm以下の時、最も粒度分布を小さくなるように分級することができる。
【0059】
本発明で用いるポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールとが脱水縮合されることによって合成される。
【0060】
多塩基酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。これらの多塩基酸は、単独で用いることもでき、2種類以上を併用して用いることもできる。これらの多塩基酸の中でも、芳香族カルボン酸を使用するのが好ましい。
【0061】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAの等の脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール類等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いることもでき、2種以上を併用して用いることもできる。これらの多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、芳香族ジオール類がより好ましい。
【0062】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、及び/又はカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整することができる。このような目的で用いるモノカルボン酸としては、例えば、酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等が挙げられる。また、モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどが挙げられる。
【0063】
ポリエステル樹脂は、上記多価アルコールと多価カルボン酸とを縮合反応させることにより、製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸とを、温度計、撹拌機、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、窒素等の反応に悪影響を及ぼさない雰囲気下で150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所望の物性値に達した時点で反応を停止させ、冷却することにより、目的とする反応物を得ることができる。
【0064】
このようなポリエステル樹脂の合成は、触媒を添加して行うこともできる。使用するエステル化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属や、テトラブチルチタネート等の金属アルコキシド等が挙げられる。また、使用するカルボン酸成分が低級アルキルエステルである場合には、エステル交換触媒を使用することができる。エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸マグネシウム等の金属酢酸塩;酸化亜鉛、酸化アンチモン等の金属酸化物;テトラブチルチタネート等の金属アルコキシド、等が挙げられる。触媒の添加量については、原材料の総量に対して0.01〜1質量%の範囲とするのが好ましい。
【0065】
なお、このような縮重合反応において、特に分岐、または架橋ポリエステル樹脂を製造するためには、1分子中に3個以上のカルボキシル基を有する多塩基酸またはその無水物、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールの少なくともいずれか一方を原料物質として用いれば良い。
【0066】
本発明のトナーは、フロー軟化温度(Tf1/2)が90℃〜140℃であり、また、ガラス転移温度(Tg)が40℃〜70℃の範囲にある。フロー軟化温度(Tf1/2)は、流動特性評価装置(島津製作所製フローテスターCFT−500)を用いて、ノズル径1.0mm×1.0mm、0.98MPaの圧力を印加して、毎分6℃の昇温速度で測定した値である。また、ガラス転移温度Tgは、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製DSC−220C)を用い、セカンドラン法により毎分10℃の昇温速度で測定した値である。
【0067】
また、結着樹脂としては、高粘性の架橋ポリエステル樹脂と低粘性の分岐型、あるいは直鎖型ポリエステル樹脂を含有しているのがより好ましい。すなわち、本発明のポリエステル樹脂においては、結着樹脂を1種類のポリエステル樹脂によって構成してもよいが、一般的に高分子量で高粘性となる架橋型のポリエステル樹脂すなわち架橋ポリエステル樹脂と、低分子量で低粘性となる分岐型、あるいは直鎖型ポリエステル樹脂とをブレンドして用いることが、樹脂の製造上も、また良好な定着開始温度及び耐ホットオフセット性を得るためにも実際的であり好ましい。ブレンドして用いる場合には、ブレンドした樹脂のフローテスター値が上記数値範囲に入ればよい。本発明では、架橋ポリエステル樹脂はテトラヒドロフランに不溶な成分を有する樹脂を示し、分岐型、あるいは直鎖型ポリエステル樹脂は、上記ゲル分の測定でゲル分がなく、テトラヒドロフランに溶解する樹脂を示す。
【0068】
本発明では、結着樹脂として溶融粘度の異なる複数のポリエステル樹脂を用いることができるが、たとえば、低粘性の分岐型あるいは直鎖型ポリエステル樹脂と高粘性の架橋ポリエステル樹脂との混合物を用いる場合、以下に示すような条件の分岐型あるいは直鎖状ポリエステル樹脂Aと架橋型あるいは分岐型のポリエステル樹脂Bとの混合物とするのがより好ましい。この時、ブレンドした樹脂のフローテスター値は上記数値範囲内に入る様、樹脂A、樹脂Bの溶融粘度及び配合量を適宜調節する。
【0069】
すなわち、ポリエステル樹脂AとしてフローテスターによるT1/2温度が80℃以上、120℃未満であり、ガラス転移温度Tgが40℃〜70℃の分岐型あるいは直鎖状ポリエステル樹脂、またポリエステル樹脂Bとして、フローテスターによるT1/2温度が120℃以上、210℃以下であり、ガラス転移温度Tgが50〜75℃の架橋型あるいは分岐型のポリエステル樹脂、さらに、これらポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの質量比率が、
A/B=20/80〜80/20であり、
また、T1/2 温度をそれぞれT1/2 A、T1/2 Bとしたとき、
20℃<T1/2 (B)−T1/2 (A)<100℃
の関係にあるものが好ましく用いられる。
【0070】
フローテスターによる各温度特性を考えると、樹脂(A)の1/2法による溶融温度T1/2Aはシャープメルト性、低温定着性を付与するための指標となるもので、T1/2Aが80〜115℃の範囲であることがより好ましく、90〜110℃の範囲であることが特に好ましい。
【0071】
これらの性能により規定される樹脂Aは軟化温度が低く、ヒートロールによる定着プロセスにおいて、ヒートロールの低温化、或いはプロセス速度の高速化により、与えられる熱エネルギーが減少した場合でも、十分に溶融し、耐コールドオフセット及び低温定着性に優れた性能を発揮する。
【0072】
樹脂Bの1/2法による溶融温度T1/2B及び流出終了温度TendBがともに低すぎる場合には、ホットオフセットが発生しやすくなり、また、高すぎる場合には粒子形成時の粒度分布が悪化して生産性が低下するため、T1/2(B)は125℃〜210℃であることがより好ましく、130℃〜200℃であることが特に好ましい。
【0073】
これらの性能により規定される樹脂Bは、ゴム弾性傾向が強く、かつ高い溶融粘度を持つため、定着プロセスにおける加熱溶融時でも溶融したトナー層の内部凝集力が維持され、ホットオフセットが発生しにくく、かつ定着後もその強靱さから優れた耐摩擦性を発揮する。
【0074】
樹脂Aと樹脂Bを所定の配合比で配合することで、広い温度領域における耐オフセット性能と低温定着性能を十分に満足するトナーが提供できる。
【0075】
樹脂Aと樹脂Bの質量比率A/Bが小さすぎる場合には定着性に影響を及ぼし、また、大きすぎる場合には耐オフセット性に影響を及ぼすため、20/80〜80/20であることが好ましく、30/70〜70/30であることが更に好ましい。
【0076】
また、樹脂Aと樹脂Bとの1/2法による溶融温度をそれぞれT1/2A、T1/2Bとしたときに、低温定着性と耐オフセット性の両立の観点から、また、樹脂間の粘度の差からくる問題を生じることなく均一に混合し易くするためには、T1/2B−T1/2Aの範囲は20℃を越え、90℃以下であることがより好ましく、20を越え80℃以下であることが特に好ましい。
【0077】
本発明におけるガラス転移温度(Tg)は、本発明においては島津製作所製示差走査熱量計(DSC−50)を用いて、セカンドラン法で毎分10℃の昇温速度で測定し、得られる値である。
【0078】
ポリエステル樹脂(A)のTgが40℃未満、あるいはポリエステル樹脂(B)のTgが50℃未満であると、得られるトナーが貯蔵中または現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすくなり好ましくない。一方、ポリエステル樹脂(A)のTgが70℃を越えると、あるいはポリエステル樹脂(B)のTgが75℃を越えると、トナーの定着温度が高くなり好ましくない。このように、結着樹脂となるポリエステル樹脂として、上記の関係にあるポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を用いることにより、得られるトナーはより良好な定着性を有するようになり、好ましい。
【0079】
さらに、ポリエステル樹脂からなる結着樹脂としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量測定で、質量平均分子量が3万以上、好ましくは37,000以上、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が12以上、好ましくは15以上、分子量60万以上の成分の面積比率が全体の0.3%以上、好ましくは0.5%以上、分子量1万以下の成分の面積比率が20〜80%、好ましくは30〜70%、の条件を満たすことが良好な定着性を得るうえで好ましい。複数の樹脂をブレンドする場合には、最終的な樹脂混合物のGPC測定結果が上記数値範囲内に入ればよい。
【0080】
本発明の製造方法に用いられるポリエステル樹脂において、分子量60万以上の高分子量成分は耐ホットオフセット性を確保する機能を有している。一方、分子量が1万以下の低分子量成分は樹脂の溶融粘度を下げ、シャープメルト性を発現させ定着開始温度を低下するために効果的であり、分子量1万以下の樹脂成分を含有することが好ましい。オイルレス定着方式における低温定着、耐ホットオフセット性、透明性等の良好な熱特性を得るには、結着樹脂がこのようにブロードな分子量分布を有することが好ましい。
【0081】
ここで、結着樹脂のTHF可溶分の分子量は、THF可溶物を0.2μmのフィルターで濾過した後、東ソー製GPC・HLC−8120、東ソー製カラム「TSKgelSuperHM−M」(15cm)を3本使用し、THF溶媒(流速0.6ml/min、温度40℃)で測定し、単分散ポリスチレン標準試料で作成した分子量校正曲線を使用することにより分子量を算出したものである。
【0082】
また、ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するのに必要なKOHのmg数)は、上記のような分子量分布を得やすいこと、乳化分散による微粒子の造粒性を確保しやすいこと、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化したときの帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいこと等の理由から、1〜20mgKOH/gの範囲が好ましい。
なお、ポリエステル樹脂の酸価は、前述したように多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、及び/又はモノアルコールを加える以外にも、原料の多塩基酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは、多塩基酸成分として無水トリメリット酸を使用することにより、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものを形成することができる。
【0083】
本発明のトナーには、離型剤を用いることができる。その場合に離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィーシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス類、合成エステルワックス類、カルナバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス類の群の中から選ばれた離型剤が用いられる。中でも、カルナバワックス、ライスワックス等の天然系エステルワックス、多価アルコールと長鎖モノカルボン酸から得られる合成エステルワックス類が好適に用いられる。合成エステルワックスとしては、日本油脂製WEP-5を挙げることができる。また、離型剤の含有量は、1質量%未満であると離型性が不十分となりやすく、40質量%を越えるとワックスがトナー粒子表面に露出しやすくなり、帯電性や保存安定性が低下しやすくなるため、1〜40質量%の範囲内が好ましい。
【0084】
本発明のトナーには、電荷制御剤を配合することができる。正帯電性電荷制御剤としては、特に限定はなく、トナー用として知られているニグロシン染料、第4級アンモニウム化合物、オニウム化合物、トリフェニルメタン系化合物等が使用できる。また、アミノ基、イミノ基、N−ヘテロ環などの塩基性基含有化合物、例えば3級アミノ基含有スチレンアクリル樹脂なども正帯電性電荷制御剤としての効果があり、本発明の正帯電性電荷制御剤として、単独で、あるいは前記正帯電性電荷制御剤と併用して用いることができる。また、用途によっては、これら正帯電性電荷制御剤にアゾ染料金属錯体やサリチル酸誘導体金属錯塩などの負電荷制御剤を少量併用することも可能である。また、負帯電性電荷制御剤としては、トリメチルエタン系染料、サリチル酸の金属錯塩、ベンジル酸の金属錯塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料、アゾクロムコンプレックス等の重金属含有酸性染料、カッリクスアレーン型のフエノール系縮合物、環状ポリサッカライド、カルボキシル基および/またはスルホニル基を含有する樹脂、等が挙げられる。
【0085】
電荷制御剤の含有量は0.01〜10質量%であることが好ましい。特に0.1〜6質量%であることが好ましい。
【0086】
本発明のトナーに使用される着色剤としては、黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック、フェライト、マグネタイト等が挙げられる。また、下記の有彩色顔料を黒色となるように配合したものを使用することもできる。
【0087】
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、黄土、チタン黄、ナフトールイエローS、ハンザイエロー10G、ハンザイエロー5G、ハンザイエローG、ハンザイエローGR、ハンザイエローA、ハンザイエローRN、ハンザイエローR、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、パーマネントイエローNCG、バルカンファーストイエロー5G、バルカンファーストイエローR、キノリンイエローレーキ、アンスラゲンイエロー6GL、パーマネントイエローFGL、パーマネントイエローH10G、パーマネントイエローHR、アンスラピリミジンイエロー、その他イソインドリノンイエロー、クロモフタルイエロー、ノボパームイエローH2G、縮合アゾイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー等が挙げられる。
【0088】
赤色顔料としては、例えば、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、パーマネントレッドBL、パーマネントレッドF5RK、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリリアントカーミン3B、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、パーマネントカーミンFBB、ベリノンオレンジ、イソインドリノンオレンジ、アンスアンスロンオレンジ、ピランスロンオレンジ、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンスカーレット、ペリレンレッド等が挙げられる。
【0089】
青色顔料としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ファナトーンブルー6G、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、銅フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーRS、インダスレンブルーBC、インジコ等が挙げられる。
【0090】
これら着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部当たり1〜50質量部の範囲が好ましく、2〜15質量部の範囲が特に好ましい。
【0091】
乾燥させたトナー粒子は、そのままでも現像剤として使用可能であるが、トナー用外添剤として知られている無機酸化物微粒子や有機ポリマー微粒子などの外添剤をトナー粒子表面に添加するのが好ましい。疎水性シリカ、酸化チタン等の無機微粒子、あるいは有機微粒子などは、トナー粒子に外添され、静電印刷法による乾式現像剤として用いる場合に、流動性や帯電性等の物理的特性を改良する効果がある。
【0092】
また、本発明のトナーには、外添剤として、シリコーンオイルを添加することによってトナーの飛散を抑制することができ、微粉の存在割合が少ないトナーに更に微粉の飛散を少なくさせることができる。
シリコーンオイルとしては、25℃における動粘度が50〜500mm2/sのジメチルシリコーンオイルを挙げることができる。
シリコーンオイルはトナーに添加した後にスケールによらず羽根先端の周速10〜60m/secで撹拌することによって調製することができる。
【0093】
また、本発明のトナーには、外添剤として、交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が絶対値で80°以下、すなわち|80°|以下のアルミナ微粒子を添加することによってトナーの飛散を抑制することができ、微粉の存在割合が少ないトナーに更に微粉の飛散を少なくさせることができる。
次に、アルミナ微粒子の交流インピーダンス法について説明する。
通常、導電性は電流電圧計を用いて伝導率として定量的に図るのが一般的であるが、アルミナ微粒子等の粉体をサンプルとし、電極間に挟んで測定する場合には、抵抗成分としては、(1)粒子バルクに由来するもの、(2)粒子と粒子の接触界面(粒界)に由来するもの、(3)電極と粒子サンプル界面での抵抗に由来するもの等が考えられ、直流ではこれらの抵抗成分を区別することができない。そのため、直流の代わりに交流を使う交流インピーダンス法を使用して、粒子のバルク抵抗に関するインピーダンスを測定することが提唱されているが、本発明にあっては、AC電界が印加された状態でのアルミナ微粒子における電荷リーク性(導電性)の指標として、交流インピーダンス法での測定により得られる交流周波数毎の位相角(θ)を利用するものである。
【0094】
本発明のアルミナ微粒子は、交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が|80°|以下のものとするが、位相角(θ)が|80°|を超えて|90°|に近づくと、現像ギャップからの飛散やカブリが生じ好ましくないものとなる。位相角(θ)が|90°|ずれることは、交流周波数の変化にアルミナ微粒子内における電荷の移動が追随できないことを示し、また、位相角(θ)が0°であれば、交流周波数の変化にアルミナ微粒子内における電荷の移動が追随している状態とできる。アルミナ微粒子としては、交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)は最小でも|40°|程度であると考えられる。
【0095】
交流周波数を1kHz〜10kHz区間と特定するのは、感光体と現像ローラー間に印加する現像電界の交流成分が、感光体と現像ローラ間ギャップの大きさに反比例してギャップが小さい場合は周波数を大きく設定し、ギャップが大きい場合は周波数を小さく設定するのが好ましいことに起因する。例えば、平均体積粒径が小さい2μm程度のトナーを用いる場合はギャップを小さく設定して交流周波数を10kHz程度にするのが好ましい。また、平均体積粒径が大きい12μm程度のトナーを用いる場合はギャップ量を大きく設定して交流周波数を1kHz程度に設定するのが好ましい。
【0096】
アルミナ微粒子としては、種々の製法で作成されているが、交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が|80°|以下のものとしては、例えば、アンモニウムドウソナイトを熱分解して得られるもので、特開昭63−100017号公報、特開昭58−26029号公報、特開平51−139810号公報に記載の製造方法によるものが例示され、アルミナ純度は99.99%以上で、BET比表面積が100m2 /g〜300m2 /g、個数平均粒径としては5nm〜20nmのものである。市販品としては大明化学製 タイミクロンTM−100:、Al2 3 、θ−アルミナ相を主相とし、一次粒径14nm、BET比表面積132m2 /g、大明化学製 タイミクロンTM−300:Al2 3 、γ−アルミナ相を主相とし、一次粒径7nm、BET比表面積225m2 /g」が例示される。
【0097】
アルミナ微粒子(前記のタイミクロンTM−100)の交流インピーダンス法で測定される位相角は1kHzでは約|65°|であり、10kHzでは|79°|と連続的に大きくなっている。また、アルミナ微粒子(前記のタイミクロンTM−300)の位相角は1kHzでは約|43°|であり、10kHzでは|70°|と連続的に大きくなっている。
【0098】
また、特開2002−253953号公報に記載の製造方法により作成されるアルミナ微粒子で、金属アルミニウムを直流アークプラズマで蒸発させ、その蒸気を酸化して得られるアルミナ微粒子が例示される。このアルミナ微粒子は、アルミナ純度が99.9%以上で、BET比表面積が20m2 /g〜80m2 /g、個数平均粒径としては20nm〜100nmのものである。市販品としてはシーアイ化成製 NanoTek Al2 3 :γ−アルミナ相を主相とし、少量のα−アルミナ相を含む結晶性の球形状微粒子で、一次粒径30nm、BET比表面積49.3m2 /g」が例示される。
【0099】
市販のアルミナ微粒子(NanoTek)の位相角は1kHzでは約|58°|であり、10kHzでは|48°|と1kHz→10kHzに向けて連続的に小さくなっている。これらの交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が|80°|以下のアルミナ微粒子では、現像ギャップからの飛散やカブリが極めて少ない。
【0100】
これに対して、同様に一般的には導電性微粒子とされるアルミナ微粒子(日本アエロジル製「C805、粒径13nm」)の位相角は1kHzでは約|86°|であり、10kHzでは|88°|と略90°に近い値であり、また、チタニア(チタン工業製 STT30S:粒径20〜50nm、BET比表面積135〜155m2 /g)の位相角は1kHzでは約|85°|であり、10kHzでは約|88°|と略90°に近い値である。交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が|80°|を越えるアルミナ微粒子では、好ましくない量の現像ギャップからの飛散やカブリが生じた。
【0101】
なお、交流インピーダンス法における位相角(θ)は、誘電体測定システム(英国ソーラトロン製126096W)を使用し、下記の条件で測定した。
室温固体用サンプルホルダ 12962A
サンプル形状 φ11mm×1mmの錠剤形状(プレス圧2ton)
導電性ペーストを介して金属アルミ電極によりサンプル両面を挟み込んだ状態でサンプルホルダにセッティング
印加電圧 0.1V
測定周波数 1mHz〜1MHz
【0102】
本発明におけるアルミナ微粒子は、AC電界の下で電荷リーク作用を発現し、トナーの摩擦帯電を安定化させる効果を有する。また、アルミナ微粒子の研磨作用により感光体表面をリフレッシュして感光体の帯電性能を安定化させる効果がある、さらに、現像装置がトナーを補給可能とする場合には、残留トナーに加えて新たに補給されるトナーであるトナー補給形式の現像装置において、もしくは、現像装置がトナーを補給可能としない場合は、残留トナーに加えて新たに充填されるトナーであるトナー使い切り方式の現像装置において、トナー補給カブリを低減したり、感光体上に残留する遊離外添剤に起因して発生する残留メモリーを低減することができる。
【0103】
本発明のアルミナ微粒子は、トナー母粒子100質量部に対して、0.2質量部〜5.0質量部、好ましくは0.5質量部〜2.0質量部の割合で外添処理させるとよい。トナー母粒子に対する処理量がこれより多いと電荷リーク作用が過剰に発現したり、遊離外添剤が発生する問題があり、また、少ないと所望の研磨効果が得られない。
【0104】
次に、本発明のトナーを使用する画像形成装置について説明する。
図4は、本発明にかかる画像形成装置の一例を説明する図である。
画像形成装置1は、画像形成部をタンデム式に配列した装置であって、ハウジング2とその上部に形成された排紙トレイ3を有し、ハウジング2には、電源ユニット4、制御ユニット5、画像形成ユニット6、定着ユニット7、給紙ユニット8が配設されている。
【0105】
画像形成ユニット6は、複数(本実施形態では4つ)の異なる色の画像を形成する単色画像形成ユニットY(イエロー用),M(マゼンタ用),C(シアン用),K(ブラック用)を備え、各単色画像形成ユニットY,M,C,Kにはそれぞれ、有機感光層あるいは無機感光層を形成した感光体からなる感光体61と、感光体61の周囲に配設された、現像手段100、および露光手段200を有している。
各単色画像形成ユニットY,M,C,Kの各色の感光体61Y,61M,61C,61Kはそれぞれ転写ベルト62に当接されており、転写ベルトを介して転写ローラー62Y,62M,62C,62Kが配置されている。これらの各転写ローラーは、それぞれ図示しない転写電圧供給手段と電気的に接続される。そして、転写ローラに転写電圧を印加することで、各感光体61の表面上に形成されたトナー像を、転写ベルト62の表面に順次一次転写してカラー画像を形成する。
【0106】
転写ベルト62は、駆動ローラー63によって矢印方向に循環駆動されるとともに、転写ローラー64のバックアップローラーを兼ねている。駆動ローラー63の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、転写ローラー64を介して供給される転写電圧導電経路としている。このように駆動ローラー63に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラー63と転写ローラー64との当接部分へ紙、OPCフィルム等の記録媒体が進入する際の衝撃が転写ベルト62に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0107】
また、転写ベルト62は、張架用ローラー65に対向してクリーナー部66が配設されている。クリーナー部66には、クリーナーブレード67を備えた廃トナー回収手段68を有する。クリーナーブレード67は、その先端部を転写ベルト62を介して張架用ローラー65に当接することで、転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナー回収手段68に回収される。
また、転写ローラー64は、転写ベルト62に対して離当接自在に設けられ、図示しない転写ローラー駆動機構により駆動される。
【0108】
給紙ユニット8は、複数枚の用紙を積層保持する給紙カセット81と、給紙カセット81から一枚ずつ給紙するピックアップローラー82とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラー82により給紙部から給紙されてローラー対83において給紙タイミングが調整された後、転写ローラー64へ給紙され、二次転写される。なお、本発明において、給紙、用紙等は、それぞれ、紙に限らずOPCフィルム等を含めた画像形成可能な記録媒体を意味する。
【0109】
定着ユニット7は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラー71と、加熱ローラー71に対向配設されたバックアップローラー72からなり、転写されたトナー像が所定の温度で画像として熱定着される。
こうして定着処理を受けた用紙はハウジング2の上面部に設けられた排紙トレイ3に搬送される。
以上の説明では、画像形成部をタンデム式に配列した例について説明したが、一つの感光体の周囲に4色の現像ユニットを配置して順次現像する方式の画像形成装置であっても良い。
【0110】
図5は、本発明の画像形成機構を説明する図であり、図5(A)は、図4で説明した画像形成ユニットを拡大して説明する図であり、図5(B)は、現像工程を説明する図である。図6は、本発明の現像手段を説明する図であり、図6(A)は側面図であり、図6(B)は現像ロールの一方の端部を拡大した断面図である。
画像形成ユニット6は、感光体61と、感光体61の周囲に配設された、現像手段100、露光手段200を有している。
【0111】
現像手段100は、感光体61にトナーを搬送する現像ローラー101、現像ローラー101に圧接されてトナーを供給する供給ローラー102、現像ローラー101に圧接されて感光体61に搬送するトナーを規制する規制ブレード103、および一次転写後に感光体61に残ったトナーを回収するトナー回収手段104を備えている。また、感光体61に近接して帯電手段105およびラインヘッド型の露光手段200を備えている。
【0112】
現像手段100は、感光体61にトナーを搬送する現像ローラー101、現像ローラー101に圧接されてトナーを供給する供給ローラー102を有し、現像ローラー101の中央部のトナー搬送部101Tを除く部分に、現像ローラー101と同心円状であって厚みが均一なスペーサー106A、106Bが設けられており、スペーサー106A、106Bの表面が感光体61と当接して回転することによって所定の現像ギャップGが形成される。
【0113】
現像ギャップGは、スペーサー106A、106Bの厚みを適宜選択することで所望の大きさに調節される。感光体61が時計回りに回転するとともに、現像ローラー101および供給ローラー6がともに反時計回りに回転するように設定されている。そして、感光体61の周速と現像ローラー101上のスペーサー106A、106Bの周速とが同一または略同一に設定されている。これにより、非磁性一成分現像剤であるトナーを用いた非磁性一成分現像剤の非接触ジャンピング現像が実現できる。
【0114】
現像ローラー101には、応力収縮や熱収縮の小さい部材、例えば鉄等の金属ローラーあるいはウレタン等の樹脂が用いられる。これに対して、現像ローラー101上に設けられるスペーサー106Aおよび106Bには、弾性を有するとともに現像ローラー101よりも吸湿性が大きく、湿度が高くなった場合に膨潤して体積が大きくなって現像ロールと感光体との間隔、すなわち現像ギャップを大きくし、湿度が高くなっても放電が起こりにくく同様の帯電現像を行うことが可能な物質を用いることが好ましい。
具体的には、吸水率が大きなポリアミド、ポリアミドイミド、アセテート、アクリレート、ゴム等を用いることができ、導電性が小さな物質であることが好ましい。さらに、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤のような非吸水性かつ絶縁性の粘着剤で接合されていると吸湿しても絶縁性が保持されるため好ましい。
【0115】
スペーサー106A、106Bは、図6(B)において、スペーサー106Aの部分を断面図で示すように現像ローラー101の両端部のトナーの搬送部以外の部分の表面に弾性を有する接着層107で固定することができる。スペーサーの固定は接着層に加えてスペーサー材料の熱収縮を利用して行っても良い。
また、スペーサー106A,106Bの吸湿による膨潤で生じる寸法変化は、現像ローラーの軸と垂直方向すなわち厚み方向の寸法変化が水平方向すなわち軸方向および周方向の寸法変化よりも大きくなることが好ましい。
このためには、図6(B)に示すように、現像ローラー101には、スペーサー106Aの水平方向の膨潤による寸法変化を抑制し、垂直方向すなわち厚み方向への膨潤による寸法変化とするために水平方向寸法変動防止部108をスペーサー106Aの現像ローラーの軸方向の側面109に沿って配置することが好ましい。水平方向寸法変動防止部108としては、スペーサーの材料に比べて吸湿による寸法変化が小さい材料材料を用いることができる。
水平方向寸法変動防止部は、現像ローラーの両端部に配置するそれぞれの両スペーサーに設けることが好ましい。
【0116】
このような現像手段100を用いた画像形成装置によれば、現像ローラー101に固定されるスペーサー106A,106Bに、現像ローラー101よりも吸湿性が大きな材料を用いているので、画像形成装置が高湿度環境で用いられた場合、吸湿性のスペーサー106A,106Bが吸湿することで膨潤し、現像ギャップGが大きくなる。これにより、高湿度環境であっても現像ローラーと感光体との間での放電開始電圧の低下を防止することができる。したがって、高温高湿の周囲条件下において画像形成装置を使用する場合にも、比較的高い現像電圧を印加することができ、画質を向上させることができる。特に、高い現像電圧の印加は、小粒径のトナーを用いて画像形成においては極めて有効なものとなる。
【0117】
また、弾性を有する接着層107でスペーサー106A,106Bを現像ローラー101に固定することによって、高湿度環境でスペーサー106A,106Bが膨潤しても、スペーサーは現像ローラー101から外れることはなくなるとともに、現像ギャップGが大きくなって非接触現像の効果をより確実に発揮することができる。
【0118】
更に、吸湿による膨潤で生じるスペーサー106A,106Bの寸法変化を、垂直方向すなわち厚み方向の寸法変化が水平方向すなわち軸方向および周方向の寸法変化よりも大きく設定することで、同じ体積膨張率でもスペーサー106A,106Bの膨潤による現像ギャップGの変化率を効果的に大きくすることができる。また、スペーサー106A,106Bにしわの発生しやすい水平方向の寸法変化を小さくすることで、スペーサー106A,106Bのしわの発生を抑制することができる。特に、水平方向寸法変動防止部108を設けることで、膨潤によるスペーサー106A,106Bの軸方向の寸法変化を抑制することができるとともに、厚み方向の寸法の変化率を大きくすることができる。これにより、前述の現像ギャップGの変化率を更に効果的に大きくでき、またスペーサー106A,106Bのしわの発生を更に効果的に抑制できる。
【0119】
本発明のように、個数モード径が3μm以上6μm以下のトナーを用いて高解像度の画像形成を行う場合には、高精度の現像ギャップの保持と、交流電圧を重畳した現像電圧を印加して現像することが好ましい。
現像ギャップは、20〜70μmに調整し、現像電圧としては、100〜400Vの直流電圧に、周波数4000〜8000Hzである800V〜1400Vの矩形波交流電圧を重畳することが好ましい。
以上のように、スペーサーによる高精度の現像ギャップと個数モード径が3μm以上6μm以下のトナーを用いることによって高解像度の画像の現像が可能になる。
以下に、実施例、比較例を参照して本発明を説明する。
【実施例】
【0120】
実施例1
トナーの製造
結着樹脂用架橋型ポリエステル樹脂の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて240℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、1.33×103Paで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、その軟化点が160℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 3.9 質量部
イソフタル酸 9.06質量部
エチレングリコール 2.54質量部
ネオペンチルグリコール 4.26質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
エピクロン830 0.3 質量部
(大日本インキ化学工業製ビスフェノールF型エポキシ樹脂エポキシ当量170(g/eq)
カージュラE 0.1 質量部
(シェルジャパン製アルキルグリシジルエステル)エポキシ当量250(g/eq)
【0121】
得られた重合体は、無色の固体であり、酸価11.0、ガラス転移温度(Tg)60℃、軟化点(T1/2)が178℃であった。
また、重量平均分子量をGPC測定装置(東ソー製HLC−8120GPC)によって、分離カラムとして東ソー製TSK−GEL G5000HXL・G4000HXL・G3000HXL・G2000HXLを組み合わせて使用し、カラム温度:40℃、溶媒:テトラヒドロフラン、溶媒濃度0.5質量%、フィルター:0.2μm、流量:1ml/minにて測定し標準ポリスチレンを用いて換算して分子量を求めたところ、重量平均分子量は250000であった。
【0122】
結着樹脂(直鎖型ポリエステル樹脂)の合成
50リットルの反応釜に、下記の組成の酸、アルコール成分、触媒等の原材料を入れて、常圧窒素気流下にて210℃で12時間反応を行った。その後、順次減圧し、1.33×103Paで反応を続行した。反応はASTM E28−517に基づいて軟化点により追跡し、該軟化点が87℃に達した時点で反応を終了した。
テレフタル酸 5.31質量部
イソフタル酸 7.97質量部
エチレングリコール 2.6 質量部
ネオペンチルグリコール 4.37質量部
テトラブチルチタネート 0.1 質量部
得られた重合体、すなわち直鎖型ポリエステル樹脂は、無色の固体であり、酸価10.0、ガラス転移温度(Tg)46℃、軟化点(T1/2)が95℃であった。
また、得られた直鎖型ポリエステル樹脂の分子量の測定と同様にして分子量を測定した
ところ、重量平均分子量5200であった。
【0123】
ワックスマスター分散体の調製
カルナウバワックス(東亜化成製)30質量部と先に作製した直鎖型ポリエステル樹脂の70質量部とメチルエチルケトン150質量部とをデスパーで予備混合した後、スターミルLMZ−10(アシザワファインテック製)で微細化を行い、固形分含有量40質量%のワックスマスター分散体1を調製した。なお、この組成は、直鎖型ポリエステル樹脂/ワックス/メチルエチルケトン=28/12/60である。
【0124】
着色剤マスターチップの調製
シアン顔料(大日本インキ化学工業製シアン顔料:Ket Blue111 C.I.Pigment B-15:3)を2000質量部と直鎖型ポリエステル樹脂を2000質量部とを、ST/AO撹拌羽根を取り付けた20Lヘンシェルミキサー(三井鉱山製)へ投入し、698min-1で2分間撹拌し混合物を得た。その混合物を、オープンロール連続押し出し混練機(三井鉱山製ニーデックスMOS140−800)を用いて、溶融混練し着色剤マスターチップを調製した。
また、得られたマスターチップを直鎖型ポリエステル樹脂およびメチルエチルケトンで希釈し、400倍の光学顕微鏡で着色剤の微分散状態、粗大粒子の有無を観察したところ、粗大粒子がなく、均一に微分散していた。マスターチップの組成は、質量比で着色剤/樹脂=50/50であった。
【0125】
着色樹脂液調製工程
ワックスマスター分散液10.8質量部、着色剤マスターチップ10.4質量部、架橋型ポリエステル樹脂12質量部、直鎖型ポリエステル樹脂10質量部、メチルエチルケトン8.65質量部を加え、温度を40〜45℃に保持して撹拌機(アサダ鉄工所製デスパー翼径230mm)によって777min-1の撹拌速度で2時間の間混合し、溶解・分散を行った。
【0126】
乳化工程
撹拌機(アサダ鉄工所製 デスパー)を備えた2m3の円筒型の反応容器に、固形分が200kgになるように着色樹脂溶液を46.37質量部(固形分30質量部)仕込み、次いで塩基性化合物として、1規定アンモニア水5質量部を加えて、777min-1にて充分に撹拌した後、温度を35℃に調整した。
次いで、撹拌速度を1100min-1に変更して37.25質量部の水を1.0質量部/minの速度で滴下した。この時の撹拌翼の周速は13.2m/sであった。水を添加して行くにつれ、系の粘度は上昇していったが、水は滴下と同時に系内に取り込まれ、撹拌混合を均一に行うことができた。
また、水26質量部を添加した段階で粘度が急激に低下する転相点が観察された。更に、水を添加した後、スラリーを光学顕微鏡で観察すると、樹脂は溶解しており、着色剤分散質とワックス分散質が分散している状態が観察されたが、未乳化物は観察されなかった。着色剤分散質、ワックス分散質は水性媒体中に安定に分散していることから、分散質の表面には樹脂が吸着しているものと考えられる。このとき、系内の状態は均一であり、添加による粗大粒子の発生は見られなかった。
【0127】
合一工程
マックスブレンド翼(登録商標)を設けた2m3の反応容器に、乳化工程で得られた乳化懸濁液を移送した後、撹拌速度を85min-1に保持した状態で温度を25℃に調整した。その後撹拌速度を120min-1に上昇させ、電解質水溶液として3.5質量%の硫酸ナトリウム水溶液の12質量部を、1kg/minの速度で滴下した。滴下終了5分後に撹拌速度を85min-1に低下させて5分間の撹拌を行った後に、撹拌速度を65min-1に低下させて撹拌を行った。
3μmまで合一が進んだところで、撹拌速度を120min-1に上昇させ30分間の撹拌を継続した後に、水を0.1m3滴下し合一を停止させて合一液とした。
【0128】
分離工程
無孔バスケットを装着したバスケット型遠心分離機(タナベウィルテック製T−36型)を600Gで回転させながら、前工程で得られた合一液0.3m3を供給し、10分間遠心分離機を行った後に、分散液を取り除き、ケーキ状に張り付いた粒子を掻き落とした。掻き落とした粒子を水0.2m3と攪拌混合し、再度の上記の遠心分離工程と同様に遠心分離を行った。この遠心分離操作を4回繰り返した。
【0129】
乾燥工程
得られたケーキ状となった粒子を30℃に保った真空撹拌容器で48時間乾燥した。乾燥により粒子が少し収縮し、得られた粒子の個数モード径は3.01μmであった。
【0130】
外添工程
得られた粒子をトナー母粒子としてその100gに負帯電性シリカシリカ微粒子RX200(日本アエロジル製 平均粒径12nm、ヘキサメチルジシラザン処理)を2質量部、負帯電性シリカシリカ微粒子RX50(日本アエロジル製 平均粒径40nm、ヘキサメチルジシラザン処理)を1.5質量部、アルミナ微粒子をシーアイ化成製 NanoTek Al2 3 :一次粒径30nm、BET比表面積49.3m2 /g」)を2.0質量部を加え、ワーリング製ワーリングブレンダー7012Sの1リットル型の撹拌機で10000min-1(羽根の周速30m/sec相当)で3分間撹拌してトナー1とした。
【0131】
トナーの粒度分布の測定
得られたトナーの粒度分布は、粒子像分析装置(シスメックス製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100)で測定した。測定範囲は0.6μm〜400μmとし個数頻度分布のピークである個数モード径を求め、2.5μm以下の個数頻度と体積頻度求めた。
【0132】
画像形成装置から放出される微小粒子の測定
レーザープリンタ(セイコーエプソン製LPS6500)のトナーカートリッジに、試験トナーを充填して印字した。印字条件は紙上の色濃度OD値が1.4となるようにバイアスを調整した。
測定は、ドイツ環境ラベルの交付のための基本的な基準「印刷機能を備えた事務機器(プリンター、コピー機、多機能装置)」に規定の連邦材料試験研究所制定RAL−UZ122「印刷機能を備えたオフィス装置のための環境ラベルを与えることに関してのハード・コピー装置からの飛散の決定のための試験方法」に基づき、広さ2m2で換気回数4のチャンバー内で、所定の印字面積率5%の標準パターンRAL_UZ122/RALA00.PDFを用いて400枚(10分)連続印字した。
また、PM2.5の測定は超微粒子パーティクルカウンター(TSI製8220)で連続印字中の粒度分布を測定し、2.5μm以下の粒子を比重1として質量積算して求めた。
得られた結果を表1に示す。
【0133】
実施例2
合一工程において、4μmまで合一が進んだところで、撹拌速度を120min-1に上昇させ30分間の撹拌を継続した後に、水を0.1m3滴下し合一を停止させた。
その後、実施例1と同様に分級と乾燥を行い実施例1と同様にして評価試験を行い,その結果を表1に示す。
【0134】
実施例3
分級と乾燥の後に、25℃における動粘度が200mm2/sのシリコーンオイル(信越化学工業製KF−96−200CS ジメチルポリシロキサン100%)としてを0.2質量%添加した点を除き実施例2と同様にしてトナーを調製し実施例1と同様にして評価試験を行い,その結果を表1に示す。
【0135】
実施例4
合一工程において、4.5μmまで合一が進んだところで、撹拌速度を120min-1に上昇させ30分間の撹拌を継続した後に、水を0.1m3滴下し合一を停止させた。
その後、実施例1と同様に分級と乾燥を行い実施例1と同様にして評価試験を行い,その結果を表1に示す。
【0136】
比較例1〜3
分級工程における遠心力と遠心分離時間を表1に記載の条件に変えた点を除き実施例1と同様にしてトナーを調製して、実施例1と同様にしてトナーの特性を評価し、その結果を表1に示す。
【0137】
実施例5
樹脂粒子分散液1の調製
スチレン30質量部、n−ブチルアクリレート10質量部、β−カルボエチルアクリレート1.3質量部、ドデカンチオール0.4質量部、水17.5質量部、アニオン性界面活性剤(アルキルジフェニルオキシドジスルホネートD O W F A X 2 A 1 ) 0.35質量部を第1の容器内で撹拌してエマルジョンを調製した。
一方、水17.5質量部、アニオン性界面活性剤(アルキルジフェニルオキシドジスルホネートD O W F A X 2 A 1 ) 0.35質量部,過硫酸アンモニウム0.4質量部を第2の容器に入れて、容器内を窒素で置換しながら加熱を続け75℃に保持した。
次いで、第二の容器内へ、第一の容器内のエマルジョンを3時間かけて滴下して乳化重合を行った。滴下終了後、75℃で保持して3時間の反応を続行して樹脂粒子分散液1 を得た。
【0138】
着色剤分散液1の調製
カーボンブラック( キャボット製モーガルL)20質量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製ネオゲンR)2質量部を、ホモジナイザーを用いて10分間分散混合し、累積個数平均粒径D5 0 n が250nmの黒色の着色剤分散液1を得た。
【0139】
ワックス分散液1の調製
パラフィンワックス(日本精蝋製HNP0190融点85℃ )30質量部、カチオン性界面活性剤( 花王製サニゾールB50)3質量部、水67質量部をホモジナイザーで95℃しながら混合分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー( ゴーリン製、ゴーリンホモジナイザー)で分散処理し、離型剤粒子の累積個数平均粒径D 5 0 n が300nm 、融点が85℃ 、150℃ における溶融粘度が1Pa・sの離型剤分散液を得た。
【0140】
トナーの調製
樹脂粒子分散液1の54.8質量部、着色剤分散液1の8質量部、ワックス分散液1の12質量部、ポリ塩化アルミニウム0.2質量部を反応容器に入れてホモジナイザーで混合・分散した後、油浴中で反応容器内を撹拌しながら48℃まで加熱して30分間保持した後、さらに油浴の温度を50℃ まで上げてその温度で1時間保持することにより凝集粒子を得た。次いで、得られた凝集粒子の表面被覆用に樹脂粒子分散液1の25質量部をさらに追加して撹拌した。
【0141】
更に、0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを中性域に調節し、撹拌しながら95℃まで加熱し、そのままの温度で5時間保持して加熱融合しトナーを作製した。
終了後、反応容器を冷却し、水で充分洗浄して、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。次に、40℃の水3L中に再分散し、15分撹拌しながら洗浄した。この洗浄操作を4 回繰り返した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、真空下で12 時間乾燥してトナーを調製した。得られたトナーを実施例1と同様に試験を行いその結果を表1に示す。
【0142】
比較例4
乳化重合法のトナーを搭載している、セイコーエプソン製プリンタLP−S5000 のトナーをセイコーエプソン製レーザープリンタLPS6500のトナーカートリッジに入れ換えて実施例1と同様に試験を行いその結果を表1に示す。
【0143】
比較例5
セイコーエプソン製プリンターLP−S6500について実施例1と同様に試験を行いその結果を表1に示す。
【0144】
比較例6
セイコーエプソン製プリンターLP−S6500のトナーに、25℃における動粘度が200mm2/sのシリコーンオイル(信越化学工業製KF−96−200CS ジメチルポリシロキサン100%)を0.2質量%添加して実施例1と同様にして評価試験を行い,その結果を表1に示す。
【0145】
【表1】

【0146】
実施例6−9および比較例9−10
遠心分離機による分級と脱水の際に与える遠心力の大きさと遠心分離時間を変えるとともに、遠心分離によって得られたケーキ状の粒子を水に分散して再度遠心分離機によって分級と脱水を行う操作を3回繰り返した点を除き、実施例2と同様にトナーを製造し、得られたトナーの個数モード径以下の個数頻度を測定した。
その結果、遠心力500G〜900G、遠心分離時間5〜30分の時に、表面積頻度と個数頻度の乖離率が15%以下であり、シャープに分級が行われていることが確認できた。
【0147】
【表2】

【0148】
本発明のように無孔の円筒槽を有する遠心分離機にてトナーを円筒槽の壁面に粒子層を析出した後に、残留した分散液を除去し、ケーキ状に析出した粒子層を回収したので、有孔式遠心分離、ろ過式の固液分離のように、微粉まで粒子と共に沈降してケーキ状とすることはなく、微粉状の粒子を分散液中に残留させて、2.5μm以下の微粉を実質的に含まない粒子を得ることが可能となる。
また、本発明のように、縦軸に頻度、横軸に粒径を表した、粒径0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対して、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積で表される,乖離率が15%以下であると、外添剤を添加した後の微粉の飛散が少ないトナーを提供が可能となる。
また、2.5μmで分級すると収率が低下し工業的に現実的ではなく、また分散液中に残留するトナーが多過ぎると、分級精度が落ち、分級のシャープさも低下する。よって個数モード径が3μm以上6μm以下の時、最もシャープに分級することができる。
本発明のトナーは、PM2.5のWHOの指針値である25μg/m3 に比べて大幅に少なかった。以上のように、PM2.5による規制に対応可能なトナーおよび画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0149】
1A…分級脱水装置、2A…外装体、3A…円筒槽、4A…駆動装置、5A…粒子層、6A…分散液層、7A…残留分散液、1…画像形成装置、2…ハウジング、3…排紙トレイ、4…電源ユニット、5…制御ユニット、6…画像形成ユニット、61,61Y,61M,61C,61K…感光体、61S…感光体表面、62…転写ベルト、63…駆動ローラ、64…転写ローラ、65…張架用ローラ、66…クリーナ部、67…クリーナブレード、68…廃トナー回収手段、7…定着ユニット、71…加熱ローラ、72…バックアップローラ、8…給紙ユニット、81…給紙カセット、82…ピックアップローラ、83…ローラ対、100…現像手段、101…現像ローラ、102…供給ローラ、103…規制ブレード、104…トナー回収手段、105…帯電手段、106,106A,106B…スペーサー、107…接着層、108…水平方向寸法変動防止部、G…現像ギャップ、200…露光手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦軸に頻度、横軸に粒径を表した、粒径0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対して、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
液中において微粉を分級した工程を経た、個数モード径が3μm以上6μm以下であることを特徴とする請求項1記載のトナー。
【請求項3】
着色樹脂粒子100質量部当たりシリコーンオイルを0.05〜2質量部を配合したものであることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載のトナー。
【請求項4】
交流インピーダンス法での交流周波数1kHz〜10kHz区間における位相角(θ)が|80°|以下であるアルミナ微粒子を外添剤として含有したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のトナー。
【請求項5】
水系媒体中に着色樹脂粒子を分散させた分散液を、鉛直方向に回転軸を有した内壁面に無孔の円筒槽を備えた遠心分離機に注入して回転し、前記円筒槽の内壁面に粒子成分が遠心力によって付着後に前記円筒槽内の分散液を排出した後、前記内壁面に付着した着色樹脂粒子を分離し、縦軸に頻度、横軸に粒径を表した、粒径0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対して、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項6】
前記遠心力が500〜900Gであり、回転時間が5~30分間であることを特徴とする請求項5記載のトナーの製造方法。
【請求項7】
前記円筒槽の分散液を分離した後に、内壁面に付着した着色樹脂粒子を、水系媒体中に分散し、前記遠心分離機に注入して請求項5または6記載の工程を繰り返すことを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項8】
着色樹脂粒子が、少なくとも、合成樹脂、着色剤,ワックスを含む組成物を水成媒体中において乳化させて析出した粒子を、電解質を添加して合一させて製造した着色樹脂粒子であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項記載のトナーの製造方法。
【請求項9】
静電潜像を担持した感光体と、該感光体と非接触の状態で対向配置され、前記感光体に担持された静電潜像を、
水系媒体中に着色樹脂粒子を分散させた分散液を、鉛直方向に回転軸を有した内壁面に開孔を有さない円筒槽を備えた遠心分離機に注入して回転し、前記円筒槽の内壁面に粒子成分が遠心力によって付着後に、前記円筒槽の回転を停止し、前記円筒槽内の粒径が小さな粒子の割合が増加した分散液を排出することによって分級した後に、前記円筒槽の内壁面に付着した着色樹脂粒子を乾燥した、縦軸に頻度、横軸に粒径を表した、粒径0.6μm〜400μmにおける、表面積頻度分布を表すグラフの面積に対して、表面積頻度分布を表すグラフの面積から個数頻度分布を表すグラフとの重なる部分の面積を除いた面積が15%以下であるナーによって、
非接触状態に保持した現像手段と静電潜像担持体との間でトナーを飛翔させて静電潜像担持体上の静電潜像にトナーを付着させるジャンピング現像によって現像させる現像機を有したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−249911(P2010−249911A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96813(P2009−96813)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】