説明

トナー、現像剤、画像形成方法、画像形成装置、プロセスカートリッジ

【課題】ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する結着樹脂を用いた、低温定着性が良好で環境安定性に優れた画像が得られるトナー、該トナーを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジの提供。
【解決手段】(1)少なくとも着色剤及びポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂が、加水分解酵素を触媒とする環状化合物モノマーの開環重合により得られたものであるトナー。
(2)上記トナーを含む現像剤。
(3)静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を上記現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを有する画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、静電印刷、プリンター、ファクシミリ、静電記録等の電子写真方式の画像形成に用いられるトナー、該トナーを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化、石油枯渇、廃棄物問題に代表される環境問題への取組み、持続型循環社会構築の考え方から、バイオマス資源の活用が盛んになされている。
トナーの構成成分の70%以上を占める結着樹脂も、そのほとんどが石油資源を原料としており、石油資源の枯渇問題、石油資源を大量消費して二酸化炭素を大気中へ排出することによる温暖化問題が懸念されている。そこで、結着樹脂として、大気中の二酸化炭素を取り込んで成長する植物由来の樹脂を使用すれば、生じる二酸化炭素は、環境中で循環するだけとなり、温暖化問題と石油資源の枯渇問題を同時に解決できる可能性があり、このような植物由来の樹脂を結着樹脂として用いたトナーが種々提案されている(特許文献1〜10)。
しかし、これら従来のトナーを用いた現像剤は、環境安定性に問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する結着樹脂を用いた、低温定着性が良好で環境安定性に優れた画像が得られるトナー、該トナーを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、次の1)〜11)の発明によって解決される。
1) 少なくとも着色剤及びポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂が、加水分解酵素を触媒とする環状化合物モノマーの開環重合により得られたものであることを特徴とするトナー。
2) 前記環状化合物モノマーとして、光学活性モノマーのL体とD体を含み、該L体とD体の質量比率(L:D)が、60:40〜90:10であるか、又は、40:60〜10:90であることを特徴とする1)に記載のトナー。
3) 熱可塑性樹脂が、前記開環重合時、塩基性化合物によりpH調整して得られたものであることを特徴とする1)又は2)に記載のトナー。
4) 塩基性化合物が炭酸塩又は塩基性金属酸化物であることを特徴とする3)に記載のトナー。
5) 炭酸塩が炭酸カルシウムであることを特徴とする4)に記載のトナー。
6) 加水分解酵素がリパーゼであることを特徴とする1)〜5)のいずれかに記載のトナー。
7) 1)〜6)のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
8) 更にキャリアを含むことを特徴とする7)に記載の現像剤。
9) 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を7)又は8)に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも有することを特徴とする画像形成方法。
10) 静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を7)又は8)に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
11) 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、1)〜6)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する結着樹脂を用いた、低温定着性が良好で環境安定性に優れた画像が得られるトナー、該トナーを用いた現像剤、並びに該現像剤を用いた画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供できる。
2−エチルヘキシル酸スズのような従来の触媒を用いて重合反応を行う場合、150℃以上の高温下で反応を行う必要があるため、重合以外の副反応が生じる。そして、副反応により生成される不純物がポリマーに取り込まれた場合、電気絶縁性等のポリマー性能が損なわれる可能性がある。
一方、加水分解酵素を触媒として重合反応を行うと、反応条件が比較的穏和なため副反応が生じず、不純物がポリマーに取り込まれることがない。
このような理由から、加水分解酵素を触媒として得られたポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する熱可塑性樹脂を用いたトナーは、電気絶縁性等のポリマー性能が安定しており、低温定着性にも優れ、環境変動性が良好な画像を得ることが可能なトナーに成り得る。
さらに、炭酸カルシウムのような塩基性化合物を添加して重合反応を行うことにより、重合反応の過程で生じる環状化合物の分解物である酸性物質が反応系のpHを低下させることに起因する酵素失活を抑制でき、低分子量成分の生成を抑制することができる。
低分子量成分が増加すると保存性の悪化という問題が生じる。これは、低分子量であるほど分解速度が速まるため、低分子量成分が増加するとポリマーの分解が促進されるためである。
以上のような理由から、炭酸カルシウムのような塩基性化合物を添加して酵素重合反応を行うことにより得られたポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する熱可塑性樹脂を用いたトナーは、低温定着性だけでなく保存性にも優れ、環境変動性が良好な画像を得ることが可能なトナーに成り得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の一例を示す概略説明図。
【図2】本発明の画像形成方法に用いるタンデム型カラー画像形成装置の一例を示す概略説明図。
【図3】図2に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、上記本発明について詳細に説明する。
<トナー>
本発明のトナーは、加水分解酵素を触媒とする環状化合物モノマーの開環重合により得られた、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂αということもある)を含有することを特徴とする。
前記熱可塑性樹脂としては、環状化合物モノマーが加水分解酵素の触媒作用により加水分解を起こし開環重合したものであれば特に制限はない。
2−エチルヘキシル酸スズのような従来の触媒を用いて重合反応を行うと、反応温度が150℃以上の高温になるため重合以外の副反応が生じる。この副反応で生成する不純物がポリマーに取り込まれると、電気絶縁性等のポリマー性能を損なう可能性がある。
一方、加水分解酵素を触媒とする重合反応は、比較的穏和な条件で進行するため副反応が生じず、不純物がポリマーに取り込まれることがないので、ポリマー性能は安定している。
そのため、トナーの結着樹脂として熱可塑性樹脂αを用いると、電気絶縁性等のポリマー性能が安定していることから、低温定着性に優れ環境安定性が良好な画像が得られるトナーを作製することができる。
【0008】
熱可塑性樹脂αの例としては、乳酸系ポリマー、詳しくは、ポリ乳酸樹脂、又は乳酸と他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマーなどが挙げられる。
コモノマーとして用いられる他のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸などが挙げられる。
上記乳酸系ポリマーは、カーボンニュートラルなバイオマスポリマーである。この乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D−乳酸及び他のヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水縮重合することによって得ることができる。好ましくは乳酸の環状二量体であるラクチドに加えて、グリコール酸の環状二量体であるグリコリドやカプロラクトンなどから必要とする構造のものを選んで開環重合することによって得ることができる。
ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。
また、熱可塑性樹脂αを構成するモノマーとして、光学活性モノマーのL体とD体を含み、該L体とD体の質量比率(L:D)が60:40〜90:10であるか、又は、40:60〜10:90であることが好ましい。これらの範囲であると、環境安定性が一層向上するし、溶剤溶解性、樹脂の透明性も向上する。
【0009】
前記加水分解酵素を触媒とする重合反応はエステル合成反応である。従って、加水分解酵素としては、エステル合成反応の触媒となるものであれば特に制限はないが、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店(1982)等参照)に分類されるエステラーゼ;グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素;エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素;アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素;フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等が挙げられる。
【0010】
上記エステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは収率良くエステル合成反応を触媒し、更に安価に入手できるなどの利点がある。従って、本発明においてもリパーゼを用いることが好ましい。
リパーゼとしては種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、更に、パンクレアチン、ステアプシン等が挙げられる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
【0011】
本発明においては、2種類以上の加水分解酵素を混合して用いても良く、また、酵素の安定化や反応後の回収を容易にするために、公知の方法で固定化した酵素を用いることも可能である。
加水分解酵素の添加量については特に制限はないが、モノマーである環状化合物1モルに対し、加水分解酵素を1g以上添加することが望ましい。
反応温度、反応時間についても特に制限はないが、反応温度については、50〜150℃、反応時間については、2時間以上であることが好ましい。
前記開環重合では、必要に応じ、反応希釈剤として、トルエン、クロロホルム、シクロヘキサノン、N,N′−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の各種溶媒を添加しても良い。また、ポリマーの末端構造を制御する目的で、カプロン酸、安息香酸、ハク酸、テレフタル酸等のカルボン酸類、ヘキシルアミン、テトラメチレンジアミン等のアミノ類に代表される各種添加剤を使用することができる。
【0012】
本発明で利用する加水分解酵素を触媒とする環状化合物モノマーの開環重合はエステル合成反応であり、加水分解酵素の活性に最適なpHのもとで行う必要がある。pHの調整には、反応系に塩基性化合物を添加することが最も簡便である。しかし、塩基性化合物の水溶液を用いることは好ましくない。なぜならば、合成反応時に必要以上の水分が存在すると、エステル合成反応ではなく加水分解反応が促進してしまうからである。重合反応の原料として用いるL−乳酸、D−乳酸及び他のヒドロキシカルボン酸は酸性物質であるため、加水分解反応が進むにつれて反応系のpHを低下させてしまう。
加水分解酵素の活性に最適なpHは酵素の種類により異なるが、一般的に強酸性下では失活するものが多いとされており、重合反応の原料が酵素を失活させる可能性が高い。酵素が失活すると重合反応が十分に行われず、低分子量成分の生成割合が増加して所望の生成物が得られない。
したがって、炭酸カルシウムのような水分を含まない塩基性化合物微粒子を添加して重合反応を行うことが好ましく、これにより適正なpHを保って酵素失活を抑制することができ、低分子量成分の生成を効果的に抑えることができる。
塩基性化合物としては特に限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、金属酸化物等の塩基性物質が挙げられる。
塩基性化合物の添加量は質量で規定できるものではなく、酵素活性が最適なpHを保つように適宜添加する。
塩基性化合物の粒子径は100nm以下が好ましい。100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷つけてしまうことがある。
【0013】
熱可塑性樹脂αを結着樹脂として、溶解懸濁法や乳化重合凝集法によってトナー化するには、従来公知の製法を用いればよい。また、熱可塑性樹脂αは、単独で用いてもよいが、従来型の乳化重合による樹脂など他の樹脂を混合して用いることもできる。
(樹脂)
前記他の樹脂としては特に制限はなく、通常使用される樹脂から適宜選択すればよい。その例としては、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等からなるビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
【0014】
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−n−ドデシル、アクリル酸−2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−n−ドデシル、メタクリル酸−2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
【0015】
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類
(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類
(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類
(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類
(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類
(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類
(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物
(8)ビニルナフタリン類
(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸又はメタクリル酸誘導体
(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸
(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物
(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル
(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル
(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸
(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物
(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー
(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類
(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー
【0016】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
このような架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなど;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものなど;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものなどが挙げられる。
その他に、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
【0017】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤の中でも、結着樹脂の定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適である。特に、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるような架橋剤モノマーの組み合わせが好ましい。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体又は共重合体を形成する他のモノマー100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。
【0018】
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビスイソブチレート、1,1′−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2′,4′−ジメチル−4′−メトキシバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
【0019】
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布で、分子量3千〜5万(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量10万以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布10万以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5千〜3万の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく5千〜2万、の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
【0020】
ポリエステル系重合体を構成するモノマーである2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるには3価以上のアルコールを併用することが好ましい。3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
【0021】
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
【0022】
結着樹脂がポリエステル系樹脂の場合、トナーの定着性、耐オフセット性の点で、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布において、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在することが好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在することがより好ましい。また、THF可溶成分として、分子量10万以下の成分が60〜100%となるようなものが好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価は、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
【0023】
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくとも一方の中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
【0024】
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。
試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。
例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の計算式で算出する。ただし、fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W
【0025】
トナーの結着樹脂は、トナーの保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であることが好ましく、40〜75℃であることがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
【0026】
(着色剤)
前記着色剤としては特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して用いることができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナー全体の1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
【0027】
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先に挙げた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0028】
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。その際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる、水を含んだ着色剤の水性ペーストを、樹脂及び有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
【0029】
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、好ましくは20mgKOH/g以下、アミン価が1〜100、好ましくは10〜50で、着色剤を分散させて使用することが好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき及び100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。
なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
【0030】
また、必要に応じて用いる顔料の分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、市販品として「アジスパーPB821」「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤全体の0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
【0031】
前記分散剤の質量平均分子量は、GPCにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜10万が好ましく、顔料分散性の観点から、3千〜10万がより好ましく、更に好ましくは5千〜5万、最も好ましくは5千〜3万である。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が10万を超えると、溶剤との親和性が高くなり着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると帯電性が低下することがある。
【0032】
(離型剤)
本発明のトナーには、定着時のオフセット防止のため離型剤としてワックス類を含有させることが好ましい。
ワックス類としては、特に制限はなく、トナー用離型剤として一般に用いられるものの中から適宜選択して使用することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックス等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、脱酸カルナバワックス等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
【0033】
前記ワックス類の例としては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、又は直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0034】
より好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
【0035】
なお、これらのワックス類でもカルナウバワックス、合成エステルワックス、パラフィンワックスがオフセット防止の点から特に好ましい。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
前記ワックスの融点としては、耐ブロッキング性と耐オフセット性のバランスを取るために、60〜140℃であることが好ましく、60〜120℃であることがより好ましい。60℃未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
【0036】
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。
離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種のワックスを選択する際には、類似構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が60〜120℃であることが好ましく、60〜100℃であることがより好ましい。
【0037】
前記ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基の如き極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポルリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
【0038】
いずれの場合も、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定で観測される吸熱ピークにおいて、60〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましい。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
本発明では、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計が好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。DSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで昇温させた時に測定されるものを用いる。
【0039】
<現像剤>
本発明の現像剤は、本発明のトナーを含有し、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有する。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で二成分現像剤が好ましい。
【0040】
(キャリア)
キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点から、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径は、平均粒径〔質量平均粒径(D50)〕で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。前記(D50)が10μm未満では、キャリア粒子の分布において微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0041】
前記樹脂層の材料としては特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー〔フッ化三重(多重)共重合体〕、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0042】
前記シリコーン樹脂としては特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂の市販品としては、ストレートシリコーン樹脂として、信越化学工社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。また、前記変性シリコーン樹脂の市販品としては、信越化学工業社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
【0043】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛などが挙げられる。
これらの導電粉の平均粒子径は、1μm以下が好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を有機溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
【0044】
前記焼付としては特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。前記樹脂量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
また、前記現像剤が二成分現像剤である場合の、該二成分現像剤における前記キャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、二成分系現像剤のトナーとキャリアの好ましい混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部である。
【0045】
<画像形成方法及び画像形成装置>
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明で用いる画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有する。
【0046】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」、「像担持体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適であり、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0047】
前記静電潜像の形成は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0048】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。前記帯電器としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。また、前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
【0049】
前記露光は、例えば前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系などの各種露光器が挙げられる。なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0050】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明のトナー又は現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明のトナー乃至現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。前記現像手段は、例えば、本発明のトナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明のトナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
【0051】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0052】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0053】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。なお、前記記録媒体としては特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
【0054】
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。
前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記定着装置が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共に、あるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0055】
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0056】
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。前記クリーニング手段としては特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0057】
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0058】
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0059】
前記画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一例について、図1を参照しながら説明する。図1に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置45と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0060】
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍に中間転写体用クリーニングブレード90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、この中間転写体50上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、静電潜像担持体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体(転写紙)95との接触部との間に配置されている。
【0061】
現像装置45は、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。
【0062】
図1に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光体ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置45からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体ドラム10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体ドラム10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0063】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の例について、図2を参照しながら説明する。図2に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図2中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体(転写紙)と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0064】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0065】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18は、図3に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図3中、Lは露光光)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成されたブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上に、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0066】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0067】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
樹脂の原料には、東京化成工業社製のL−ラクチド、D−ラクチドを用いた。加水分解酵素には、天野エンザイム社製のリパーゼPS「アマノ」SD(シュードモナス属由来の加水分解酵素)を用いた。炭酸カルシウムは、和光純薬社製のものを用いた。
【0069】
[実施例1]
<樹脂(A−1)>
L−ラクチド95質量部、D−ラクチド5質量部、炭酸カルシウム50質量部、及び、リパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−1)を得た。
<マスターバッチ>
水1,000質量部、DBP吸油量が42ml/100g、pHが9.5のカーボンブラック(Printex35、デグサ社製)530質量部、及び1,200質量部の樹脂(A−1)を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。
得られた混合物を、二本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
<水系媒体相>
イオン交換水300質量部、非イオン系界面活性剤NL450(第一工業製薬社製)15質量部、酢酸エチル30質量部を混合撹拌して均一に溶解させ、[水系媒体相]を調製した。
【0070】
<トナー母体粒子(A−1)>
樹脂(A−1)100質量部に酢酸エチル80質量部を加え攪拌して調製した樹脂溶液に、カルナウバワックス〔分子量1,800、酸価2.7mgKOH/g、針入度1.7mm(40℃)〕5質量部、及びマスターバッチ5質量部を仕込み、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒で、粒径が0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスし、トナー材料液を得た。
次に、容器内に[水系媒体相]150質量部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、12,000rpmで攪拌しながら、トナー材料液100質量部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを得た。
次に、攪拌機と温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら、30℃で10時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。
次に、分散スラリー100質量部を減圧濾過し、得られた濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
次に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
次に、得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。
次に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
次に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。
次に、得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、フッ素系第四級アンモニウム塩化合物フタージェントF−310(ネオス社製)を、フッ素系四級アンモニウム塩がトナーの固形分100質量部に対して0.1質量部相当になるように5%メタノール溶液として添加し、10分間攪拌した後、濾過した。
次に、得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
次に、循風乾燥機を用いて、得られた濾過ケーキを40℃で36時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、トナー母体粒子(A−1)を作製した。
【0071】
<トナー(A−1)>
トナー母体粒子(A−1)100質量部と、外添剤としての疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った後、目開きが35μmのメッシュで篩い、トナー(A−1)を作製した。
【0072】
[実施例2]
<樹脂(A−2)>
L−ラクチド90質量部、D−ラクチド10質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−2)を得た。
<トナー(A−2)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−2)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−2)を得た。
【0073】
[実施例3]
<樹脂(A−3)>
L−ラクチド80質量部、D−ラクチド20質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−3)を得た。
<トナー(A−3)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−3)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−3)を得た。
【0074】
[実施例4]
<樹脂(A−4)>
L−ラクチド60質量部、D−ラクチド40質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−4)を得た。
<トナー(A−4)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−4)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−4)を得た。
【0075】
[実施例5]
<樹脂(A−5)>
L−ラクチド50質量部、D−ラクチド50質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−5)を得た。
<トナー(A−5)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−5)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−5)を得た。
【0076】
[実施例6]
<樹脂(A−6)>
L−ラクチド40質量部、D−ラクチド60質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−6)を得た。
<トナー(A−6)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−6)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−6)を得た。
【0077】
[実施例7]
<樹脂(A−7)>
L−ラクチド20質量部、D−ラクチド80質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−7)を得た。
<トナー(A−7)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−7)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−7)を得た。
【0078】
[実施例8]
<樹脂(A−8)>
L−ラクチド10質量部、D−ラクチド90質量部、炭酸カルシウム50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−8)を得た。
<トナー(A−8)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−8)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−8)を得た。
【0079】
[実施例9]
<樹脂(A−9)>
L−ラクチド5質量部、D−ラクチド95質量部、炭酸カルシウム50質量部、及び、リパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(A−9)を得た。
<トナー(A−9)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(A−9)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(A−9)を得た。
【0080】
[実施例10]
<樹脂(B−1)>
L−ラクチド95質量部、D−ラクチド5質量部、及び、リパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−1)を得た。
<トナー(B−1)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−1)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−1)を得た。
【0081】
[実施例11]
<樹脂(B−2)>
L−ラクチド90質量部、D−ラクチド10質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−2)を得た。
<トナー(B−2)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−2)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−2)を得た。
【0082】
[実施例12]
<樹脂(B−3)>
L−ラクチド80質量部、D−ラクチド20質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−3)を得た。
<トナー(B−3)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−3)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−3)を得た。
【0083】
[実施例13]
<樹脂(B−4)>
L−ラクチド60質量部、D−ラクチド40質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−4)を得た。
<トナー(B−4)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−4)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−4)を得た。
【0084】
[実施例14]
<樹脂(B−5)>
L−ラクチド50質量部、D−ラクチド50質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−5)を得た。
<トナー(B−5)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−5)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−5)を得た。
【0085】
[実施例15]
<樹脂(B−6)>
L−ラクチド40質量部、D−ラクチド60質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−6)を得た。
<トナー(B−6)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−6)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−6)を得た。
【0086】
[実施例16]
<樹脂(B−7)>
L−ラクチド20質量部、D−ラクチド80質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−7)を得た。
<トナー(B−7)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−7)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−7)を得た。
【0087】
[実施例17]
<樹脂(B−8)>
L−ラクチド10質量部、D−ラクチド90質量部、及びリパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−8)を得た。
<トナー(B−8)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−8)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−8)を得た。
【0088】
[実施例18]
<樹脂(B−9)>
L−ラクチド5質量部、D−ラクチド95質量部、及び、リパーゼPS「アマノ」SD10質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、130℃で4時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(B−9)を得た。
<トナー(B−9)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(B−9)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(B−9)を得た。
【0089】
[比較例1]
<樹脂(C)>
L−ラクチド80質量部、D−ラクチド20質量部を4つ口フラスコに加え、窒素雰囲気下、120℃で20分間加熱溶融させた後、2−エチルヘキシル酸スズ1質量部を触媒として加えて190℃で3時間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドを減圧下留去し、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂(C)を得た。
<トナー(C)>
使用する樹脂(A−1)を樹脂(C)に変えた点以外は、実施例1と同様にして、トナー(C)を得た。
【0090】
[実施例1′〜18′]
<キャリア>
トルエン100質量部に、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100質量部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5質量部、及びカーボンブラック(デグサ社製、Printex35)10質量部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。
次いで、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が50μmの球状マグネタイト1,000質量部の表面に樹脂層塗布液を塗布して、キャリアを作製した。
<現像剤>
実施例1〜18のトナー(A−1)〜(B−9)をそれぞれ7質量部と、キャリア93質量部とを混合して、実施例1′〜18′の各現像剤を作製した。
【0091】
[比較例1′]
比較例1のトナー(C)7質量部と、キャリア93質量部とを混合して、比較例1′の現像剤を作製した。
【0092】
実施例1′〜18′、及び比較例1′の現像剤を用い、以下のようにして、定着性及び環境安定性を評価した。結果を表1に示す。
<定着性>
定着ローラとして、テフロン(登録商標)ローラを使用した電子写真方式の複写機(IPSiOCX8800、リコー社製)の定着部を改造した装置を用い、定着ベルトの温度を変化させて、普通紙及び厚紙の転写紙タイプ6200(リコー社製)及び複写印刷用紙<135>(NBSリコー社製)に、トナーの付着量が0.85±0.1mg/cmのベタ画像を形成した。このとき、普通紙でホットオフセットの発生しない上限温度を定着上限温度とし、厚紙でベタ画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を定着下限温度として、下記の基準で評価した。
〔定着上限温度の評価基準〕
A:定着上限温度が190℃以上
B:定着上限温度が180℃以上190℃未満
C:定着上限温度が170℃以上180℃未満
D:定着上限温度が170℃未満
〔定着下限温度の評価基準〕
A:定着下限温度が135℃未満
B:定着下限温度が135℃以上145℃未満
C:定着下限温度が145℃以上155℃未満
D:定着下限温度が155℃以上
【0093】
<環境安定性>
各現像剤を気温23℃、湿度50%RHの環境下(M/M環境)で、ボールミルにより5分間攪拌した後、現像剤1.0gを採取し、ブローオフ帯電量測定装置(京セラケミカル社製TB−200)を用いて、1分間窒素ブローした後の測定値を基準帯電量とした。
上記と同様の測定を、気温40℃、湿度90%RHの環境下(H/H環境)、及び、気温10℃、湿度30%RHの環境下(L/L環境)、の2つの条件で行って、それぞれの帯電量を測定し、下記式より環境変動率を算出した。環境変動率が低いほど帯電性の安定な現像剤であると言うことができる。
【数1】

[H/H]…H/H環境での帯電量
[L/L]…L/L環境での帯電量、
〔評価基準〕
A:環境変動率が10%未満
B:環境変動率が10%以上30%未満
C:環境変動率が30%以上50%未満
D:環境変動率が50%以上
【0094】
実施例1〜18及び比較例1のトナーについて、以下のようにして保存性を評価した。結果を表1に示す。
<保存性>
50mlのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽で20時間放置した。
その後、各トナーを室温に冷却し、針入度試験(JIS K2235―1991)により針入度を測定し、下記基準で評価した。なお、針入度の値が大きいほど保存性が優れていることを示す。
〔評価基準〕
A:針入度20mm以上
B:針入度15mm以上20mm未満
C:針入度10mm以上15mm未満
D:針入度10mm未満
【0095】
【表1】

【0096】
表1から、実施例の現像剤は、十分な低温定着性を有するとともに、従来の2−エチルヘキシル酸スズを触媒として得られた熱可塑性樹脂αを用いて製造された比較例の現像剤と比べて、環境安定性が優れていることが分かる。
特に、熱可塑性樹脂αを構成する光学活性モノマーのL体とD体の質量比率(L:D)が、60:40〜90:10の範囲にある場合、及び、40:60〜10:90の範囲にある場合には、環境安定性が一層向上する。
比較例では、樹脂(C)の重合反応を190℃の高温下で行っているため、重合以外の副反応により生成された不純物がポリマーに取り込まれ、電気絶縁性等のポリマー性能が低下し、環境変動率の悪化を引き起こすと考えられる。
また、トナーの保存性については、重合反応時に酵素と炭酸カルシウムを添加した実施例1〜9に比べて、酵素のみを用いた実施例10〜18の方が低かった。
酵素のみを添加して重合反応を行った樹脂(B−1)〜(B−9)は、重合反応の過程で生じる環状化合物の分解物である酸性物質が反応系のpHを低下させるため酵素失活が生じ、重合反応が不十分となって低分子量成分が生成され、ポリマーの分解が促進されたために保存性が低下したと考えられる。
【符号の説明】
【0097】
10 感光体ドラム
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45 現像装置
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像装置
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニングブレード
95 記録媒体(転写紙)
100 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
L 露光光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【特許文献1】特開平9−281746号公報
【特許文献2】特開2001−22123号公報
【特許文献3】特許第3785011号公報
【特許文献4】特開2002−327047号公報
【特許文献5】特開2003−12909号公報
【特許文献6】特許第3779221号公報
【特許文献7】特開2004−93829号公報
【特許文献8】特開2004−151315号公報
【特許文献9】特開2006−91278号公報
【特許文献10】特開2008−262179号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤及びポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する非結晶性の熱可塑性樹脂を含有し、該熱可塑性樹脂が、加水分解酵素を触媒とする環状化合物モノマーの開環重合により得られたものであることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記環状化合物モノマーとして、光学活性モノマーのL体とD体を含み、該L体とD体の質量比率(L:D)が、60:40〜90:10であるか、又は、40:60〜10:90であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
熱可塑性樹脂が、前記開環重合時、塩基性化合物によりpH調整して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
塩基性化合物が炭酸塩又は塩基性金属酸化物であることを特徴とする請求項3に記載のトナー。
【請求項5】
炭酸塩が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項4に記載のトナー。
【請求項6】
加水分解酵素がリパーゼであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトナー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項8】
更にキャリアを含むことを特徴とする請求項7に記載の現像剤。
【請求項9】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項7又は8に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項7又は8に記載の現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、請求項1〜6のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate