説明

トナー像保持体ユニットおよび画像形成装置

【課題】残トナー除去部材とトナー像保持体の表面との間での潤滑剤の凝集が防止されたトナー像保持体ユニットと、そのようなトナー像保持体ユニットを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像保持体ユニット100がシート状保護部材101を有し、このシート状保護部材101は、そのシート状保護部材101のトナー像保持体の回転方向上流側の端縁が、トナー像保持体と残トナー除去部材とに挟まれて、トナー像保持体表面に沿って回転方向下流側に向けて広がる、トナー像保持体側に接した第1面と残トナー除去部材に接した第2面とのうちの第2面のみであって、かつ第2面上の残トナー除去部材とシール部材とに挟まれた領域に潤滑剤が塗布された、回転方向下流側に引き抜かれて、潤滑剤を、残トナー除去部材とトナー像保持体の、残トナー除去部材がトナー像保持体に押し当てられた部分に付着させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像を受けてトナー像を保持し転写先に転写するトナー像保持体を有するトナー像保持体ユニット、および、そのようなトナー像保持体ユニットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる電子写真方式が採用されている画像形成装置では、トナー像保持体が回転軸の回りに回転しながら潜像の形成を受け、現像位置において現像を受ける。トナー像保持体は、この現像によって形成されたトナー像を保持して転写先に転写する。
【0003】
このような画像形成装置の中には、トナー像保持体と、転写後の残トナーをトナー像保持体から清掃するクリーニング器とを有するユニットが、画像形成装置の筐体に着脱可能に搭載されているものがある。このようなユニットは、劣化時には、メンテナンス時にメンテナンス要員によって新品と交換される。
【0004】
ここで、交換前の新品のユニットは、倉庫等に長期間にわたて保管されることがある。クリーニング器の中には、ブレード形状を有し、トナー像保持体の表面に一辺が押し当てられることで、その表面から残トナーを掻き落とす残トナー除去部材を備えるものがある。
【0005】
このようなクリーニング器を有するユニットが長期間にわたって保管される場合、残トナー除去部材が、トナー像保持体の表面の特定の箇所に押し当てられた状態が長期にわたって続く。その結果、トナー像保持体の表面に傷みが生じてしまうことがある。
【0006】
そこで、残トナー除去部材を備えるクリーニング器を有するユニットを保管する際に、そのユニットに、残トナー除去部材とトナー像保持体の表面との接触を妨げるシートを挟んでおくという技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0007】
特許文献1には、シートがトナー像保持体のほぼ全周に巻き付けられ、ユニットの画像形成装置への装着時にはその全周分のシートが残トナー除去部材とトナー像保持体の間から引き抜かれることが記載されている。また、特許文献2には、トナー像保持体である感光体の表面とシートとの間に潤滑剤を付着させておくことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平05−080596号公報
【特許文献2】特開平07−080596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、残トナー除去部材とトナー像保持体の表面との間での潤滑剤の凝集が防止されたトナー像保持体ユニットと、そのようなトナー像保持体ユニットを備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1のトナー像保持体ユニットは、
回転軸の回りに回転しながら画像の形成を受け現像位置において現像を受けてトナー像
を保持し転写位置でトナー像を転写先に転写するトナー像保持体と、
上記トナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した残トナー収容口を有し、その領域に残存している残トナーを収容する残トナー収容筐体と、
上記トナー像保持体に一辺を押し当てた状態に上記残トナー収容筐体に支持され、トナー像保持体上の残トナーを掻き落として残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
上記トナー像保持体の回転方向について上記残トナー除去部材の上記一辺よりも上流側においてトナー像保持体に接した状態に上記残トナー収容筐体に支持され、上記残トナー除去部材によりトナー像保持体から掻き落とされた残トナーの、残トナー収容筐体からの漏れを防止するシール部材と、
上記トナー像保持体の回転方向上流側の端縁が、上記残トナー収容筐体を上記回転軸に向けて投影する向きに見たときの残トナー収容筐体の陰に隠れる位置に置かれ、トナー像保持体と上記残トナー除去部材とに挟まれて、トナー像保持体表面に沿って回転方向下流側に向けて広がる、トナー像保持体側に接した第1面と残トナー除去部材に接した第2面とのうちの第2面のみであって、かつ第2面上の残トナー除去部材と上記シール部材とに挟まれた領域に潤滑剤が塗布された、回転方向下流側に引き抜かれて、潤滑剤を、残トナー除去部材とトナー像保持体の、残トナー除去部材がトナー像保持体に押し当てられた部分に付着させるシート状保護部材とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項2のトナー像保持体ユニットは、請求項1のトナー像保持体ユニットにおいて、
上記シート状保護部材が、上記回転方向について上記トナー像保持体一周分以上の長さを有することを特徴とする。
【0012】
請求項3のトナー像保持体ユニットは、請求項1又は2記載のトナー像保持体ユニットにおいて、
上記シート状保護部材は、上記回転方向上流側の端部が上記トナー像保持体と上記シール部材とに挟まれていることを特徴とする。
【0013】
請求項4のトナー像保持体ユニットは、請求項1から3のうちいずれか1項記載のトナー像保持体ユニットにおいて、
上記シート状保護部材には、引抜きを案内する表示が付されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5のトナー像保持体ユニットは、請求項1から4のうちいずれか1項記載のトナー像保持体ユニットにおいて、
上記シート状保護部材は、シート状保護部材の引抜きにあたり、上記トナー像保持体を従動回転させる静止摩擦力を発生させる表面性状を有することを特徴とする。
【0015】
請求項6の画像形成装置は、
トナー像を保持して転写先に転写するトナー像保持体ユニットと、
上記トナー像保持体ユニットが着脱自在に装着される装着部を有し、装着部に装着されたトナー像保持体ユニット由来のトナー像を記録媒体上に転写して定着する本体装置とを備え、
上記トナー像保持体ユニットが、
回転軸の回りに回転しながら画像の形成を受け現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置でトナー像を転写先に転写するトナー像保持体と、
上記トナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した残トナー収容口を有し、その領域に残存している残トナーを収容する残トナー収容筐体と、
上記トナー像保持体に一辺を押し当てた状態に上記残トナー収容筐体に支持され、トナー像保持体上の残トナーを掻き落として残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
上記トナー像保持体の回転方向について上記トナー像保持体の上記一辺よりも上流側においてトナー像保持体に接した状態に上記残トナー収容筐体に支持され、上記残トナー除去部材によりトナー像保持体から掻き落とされた残トナーの、残トナー収容筐体からの漏れを防止するシール部材と、
上記トナー像保持体の回転方向上流側の端縁が、上記残トナー収容筐体を上記回転軸に向けて投影する向きに見たときの残トナー収容筐体の陰に隠れる位置に置かれ、トナー像保持体と上記残トナー除去部材とに挟まれて、トナー像保持体表面に沿って回転方向下流側に向けて広がる、トナー像保持体側に接した第1面と残トナー除去部材に接した第2面とのうちの第2面のみであって、かつ第2面上の残トナー除去部材と上記シール部材とに挟まれた領域に潤滑剤が塗布された、回転方向下流側に引き抜かれて、潤滑剤を、残トナー除去部材とトナー像保持体の、残トナー除去部材がトナー像保持体に押し当てられた部分に付着させるシート状保護部材とを有し、
上記シート状保護部材が引抜かれた状態かつトナー像保持体ユニットが上記装着部に装着された状態で稼働することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1のトナー像保持体ユニットおよび請求項6の画像形成装置によれば、残トナー除去部材とトナー像保持体の表面との間での潤滑剤の凝集が防止される。
【0017】
請求項2のトナー像保持体ユニットによれば、上記シート状保護部材が引き抜かれていない状態では、シート状保護部材が垂れ下がって、このトナー像保持体ユニットの装着先への装着が妨げられ、シート状保護部材の引抜き忘れが防がれる。
【0018】
請求項3のトナー像保持体ユニットによれば、仮に、上記シール部材が、トナー像保持体の回転方向とは逆方向に捲れていたとしても、上記シート状保護部材が引き抜かれる際にシール部材がシート状保護部材によって引っ張られて捲れが矯正される。
【0019】
請求項4のトナー像保持体ユニットによれば、表面上に、引抜きを案内する表示が付されていない場合と比べて、ユーザが、シート状保護部材の引抜き方等を把握し易い。
【0020】
請求項5のトナー像保持体ユニットによれば、上記静止摩擦力が生じない場合と比べて、シート状保護部材の引抜き時にトナー像保持体が従動回転し易く、この引抜き時のトナー像保持体とシート状保護部材との擦れによるトナー像保持体の傷みが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【図2】トナー像保持体ユニットの周辺構造を拡大して示す拡大断面図である。
【図3】トナー像保持体とクリーニング器からなるトナー像保持体ユニットの外観斜視図である。
【図4】図3に示すトナー像保持体ユニットからトナー像保持体を取り外して、クリーニング器のみを示した外観斜視図である。
【図5】シート状保護部材がトナー像保持体に巻き付けられた状態のトナー像保持体ユニットを示す図である。
【図6】シート状保護部材の取付け手順のうちの第1工程を示す模式図である。
【図7】シート状保護部材の取付け手順のうちの第2工程を示す模式図である。
【図8】シート状保護部材が取り付けられているトナー像保持体ユニットの断面を模式的に示す図である。
【図9】シート状保護部材を引抜かずにトナー像保持体ユニットを装着部に装着しようとしたときに生じる事態を説明する図である。
【図10】先端が捲れてしまったシール部材を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のトナー像保持体ユニットおよび画像形成装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタの概略構成図である。
【0024】
このプリンタ1は、電子写真方式が採用されたいわゆるタンデム型の画像形成装置である。
【0025】
プリンタ1には、このプリンタ1外で作成された、画像を表す画像信号が、不図示の信号ケーブル等を介して入力される。プリンタ1は、このプリンタ1内の各構成要素の動きを制御する制御部10を備えており、画像信号はこの制御部10に入力される。そして、プリンタ1では、この制御部10の制御の下で画像信号に基づく画像の形成が行われる。
【0026】
また、プリンタ1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各プロセス色のトナー像を形成する4台の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えている。さらに、プリンタ1は、これらのプロセス色以外の、単色のトナーで鮮明に発色させたい2つの特色(X,X)について、各特色のトナー像を形成する2台の画像形成ユニット20X,20Xを備えている。これら6台の画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X,20Xはいずれも同等な構成を有しており、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置されている。以下、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X,20Xの構成について、ブラックの画像形成ユニット20Kを代表としてとりあげて説明する。
【0027】
画像形成ユニット20Kは、矢印Rが示す向きに回転するトナー像保持体21が備えられている。そして、このトナー像保持体21の周囲に、帯電器22、露光器23、現像器24、一次転写器25、除電器26、およびクリーニング器27が配備されている。
【0028】
トナー像保持体21は円筒形状を有し、その円筒の中心を回転軸として、その回転軸の回りに回転する。このトナー像保持体21の周面は、帯電器22からの帯電により電荷を保持し、後述の露光器23からの露光によりその電荷を放出する。この露光により、トナー像保持体21の周面に静電潜像が形成される。このトナー像保持体21が、本発明にいうトナー像保持体の一例に相当する。
【0029】
トナー像保持体21は円筒形状を有し、その円筒の中心を回転軸として、その回転軸の回りに回転する。このトナー像保持体21の周面は、帯電器22からの帯電により電荷を保持し、露光器23からの露光によりその電荷を放出する。この露光により、トナー像保持体21の周面に静電潜像が形成される。このトナー像保持体21が、本発明にいうトナー像保持体の一例に相当する。
【0030】
露光器23は、上記の画像信号に基づいて変調されたレーザ光を出射する不図示の半導体レーザを有している。レーザ光は、帯電器22と現像器24の間を通ってトナー像保持体21へと向かう。そして、トナー像保持体21の周面は、この露光器23からのレーザ光によって露光され、その周面に静電潜像が形成される。
【0031】
トナー像保持体21は、静電潜像の形成後、現像位置に配置されている現像器24により現像を受ける。
【0032】
このプリンタ1は、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X
20Xの現像器24にYMCKおよび2色の特色の各色のトナーを供給するトナーカートリッジ30Y,30M,30C,30K,30X,30Xを備えている。
【0033】
各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X,20Xの現像器24は、これらのトナーカートリッジ30Y,30M,30C,30K,30X,30Xから各色のトナーを供給され、その供給されたトナーでトナー像保持体21を現像する。この現像により、トナー像保持体21の周面にトナー像が形成される。
【0034】
トナー像はトナー像保持体21に保持されたまま、そのトナー像保持体21の回転により一次転写器25のもとまで運ばれる。そして、その一次転写器25が、トナー像保持体21の周面上のトナー像を、後述の二次転写ユニット40が備える中間転写ベルト41の表面に転写させる。
【0035】
トナー像保持体21における、一次転写器25によるトナー像の転写後の領域は、除電器26によって除電されて、その領域に残存する残トナーの除去がし易くされる。そして、その領域から、クリーニング器27により残トナーが除去される。
【0036】
プリンタ1は、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X,20Xで形成された各色のトナー像を重ねて記録用紙に転写する二次転写ユニット40を備えている。
【0037】
二次転写ユニット40は、中間転写ベルト41、駆動ロール42、および張架ロール43を備えている。
【0038】
中間転写ベルト41は、駆動ロール42および張架ロール43の回りに、張架ロール43によって一定のテンションが付与された状態で掛け回されている。そして、中間転写ベルト41は、駆動ロール42によって、矢印Aが示す方向に循環移動される。
【0039】
この循環移動されている中間転写ベルト41の表面に、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X,20Xのトナー像保持体21のトナー像が一次転写器25によって順次に転写される。この順次の転写により、中間転写ベルト41の表面上で6色のトナー像が重ねあわされて、中間転写ベルト41の表面上にカラーのトナー像が形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト41の循環移動により、張架ロール43のうちの1つと対向して配置されている二次転写器50のもとまで運ばれる。そして、このカラーのトナー像が、後述するように搬送されてきた記録用紙に、二次転写器50によって転写される。
【0040】
プリンタ1では、このプリンタ1内の下方に、互いに異なるサイズの記録用紙を収容する2つの用紙トレイ61が配置されている。この用紙トレイ61には、記録用紙が積み重なった状態に収容されている。
【0041】
記録用紙は、この用紙トレイ61から送り出され、さばきロール62により1枚ずつに分離され、その分離された1枚の記録用紙が搬送ロール63に矢印B方向に搬送されてその記録用紙の先端が待機ロール64に至る。待機ロール64は、搬送のタイミングを調整して記録用紙を送り出す役割を担っている。
【0042】
記録用紙は、中間転写ベルト41の表面上のカラーのトナー像が二次転写器50のもとに運ばれてきたときに記録用紙がその二次転写器50に達するように、待機ロール64によって調整されたタイミングで送り出される。このように送り出された記録用紙に、二次転写器50によってカラーのトナー像が転写される。
【0043】
二次転写済の記録用紙は、搬送ベルト65によって、矢印C方向に定着器70まで運ばれる。
【0044】
定着器70は、加熱ロール71と加圧ロール72とを有している。そして、運ばれてきた記録用紙を加熱ロール71が加熱し加圧ロール72が加圧することによって、その記録用紙にトナー像が定着される。定着後の、熱を持ち、カールした状態の記録用紙は、カール矯正器80に送られる。
【0045】
カール矯正器80は、記録用紙を上下から挟み込んで冷却しつつ下流側へと送る2つの冷却ベルト81と、送られてくる記録用紙のカールとは逆方向にその記録用紙をカールさせる加圧器82とを有している。このカール矯正器80によって、記録用紙は冷却されるとともに、定着器70を通過中に付いたカールが矯正される。カール矯正後の記録用紙は、排出ロール66によって不図示の排紙トレイ上に排出される。
【0046】
図1のプリンタ1は、概略、以上のような構成を有している。
【0047】
ここで、本実施形態では、各画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K,20X,20Xが備えるトナー像保持体21とクリーニング器27とがユニット化されている。このトナー像保持体21とクリーニング器27からなるユニットを、以下、トナー像保持体ユニット100と呼ぶ。
【0048】
このプリンタ1の本体装置1aには、図2を参照して後述するように、トナー像保持体ユニット100の装着部1a_1が設けられている。トナー像保持体ユニット100は、この装着部1a_1に着脱自在に装着される。このトナー像保持体ユニット100は、メンテナンスの際に、メンテナンス要員によって適宜に新品と交換される。
【0049】
トナー像保持体ユニット100が、本発明のトナー像保持体ユニットの一実施形態に相当するとともに、本発明の画像形成装置におけるトナー像保持体ユニットの一例に相当する。また、本体装置1aが、本発明の画像形成装置における本体装置の一例に相当する。
【0050】
図2は、トナー像保持体ユニットの周辺構造を拡大して示す拡大断面図である。
【0051】
この図2には、トナー像保持体ユニット100の他に、図1にも示す現像器24と除電器26が示されている。一方、帯電器22、露光器23、および一次転写器25は、図を見易くするために図示が省略されている。
【0052】
本体装置1aには、トナー像保持体ユニット100の装着部1a_1が設けられている。トナー像保持体ユニット100は、この装着部1a_1に着脱自在に装着される。
【0053】
装着部1a_1の図中右側には現像器24が配置されている。現像器24は、現像器筐体24aと、3つのオーガ24bと、現像ロール24cとを有している。図1に示すトナーカートリッジから現像器24に供給されるトナーは、3つのオーガ24bによって、現像器筐体24a内を循環移動される。そして、その循環移動中のトナーが、現像ロール24cによってトナー像保持体21の表面に供給される。これにより、トナー像保持体21の表面に形成されている静電潜像が現像される。
【0054】
上述したように、トナー像保持体21における、一次転写器25によるトナー像の転写後の領域は、除電器26によって除電されて、その領域に残存する残トナーの除去がし易くされる。そして、その領域から、クリーニング器27により残トナーが除去される。
【0055】
クリーニング器27は、残トナー収容筐体27aと、クリーニングブラシ27bと、クリーニングブレード27cと、オーガ27dと、シール部材27eとを有している。
【0056】
残トナー収容筐体27aは、トナー像保持体21の転写後の領域から除去された残トナーを収容する。この残トナー収容筐体27aが、本発明にいう残トナー収容筐体の一例に相当する。
【0057】
クリーニングブラシ27bは、残トナー収容筐体27aの、トナー像保持体21の転写後の領域を摺擦する位置に支持されている。そして、クリーニングブラシ27bは、トナー像保持体21の回転方向と順方向に回転しながら転写後の領域を摺擦することで、この領域から残トナーを除去して残トナー収容筐体27aに収容させる。
【0058】
クリーニングブレード27cは、トナー像保持体21の転写後であって、クリーニングブラシ27bによる摺擦後の領域に一辺を押し当てた状態に残トナー収容筐体27aに支持されている。そして、クリーニングブレード27cは、この領域から残トナーを掻き落とす。掻き落とされた残トナーは、クリーニングブラシ27b上に落下し、このクリーニングブラシ27bの回転によって、残トナー収容筐体27a内へと運ばれて残トナー収容筐体27a内に収容される。このクリーニングブレード27cが、本発明にいう残トナー除去部材の一例に相当する。
【0059】
クリーニングブラシ27bおよびクリーニングブレード27cによって除去された残トナーは、オーガ27dによって、残トナー収容筐体27a内を図中の奥行き方向に運ばれて蓄積される。
【0060】
シール部材27eは、トナー像保持体21の、矢印Rが示す回転方向について、クリーニングブラシ27bよりも上流側においてトナー像保持体21に接した状態に残トナー収容筐体27aに支持されている。そして、このシール部材27eが、残トナー収容筐体27aに収容されている残トナーの漏れを防いでいる。このシール部材27eが、本発明にいうシール部材の一例に相当する。
【0061】
尚、本実施形態では、クリーニングブラシおよびクリーニングブレードによって残トナーを除去するクリーニング器27を例示している。しかしながら、クリーニング器は、この形態に限るものではなく、例えばクリーニングブレードのみによって残トナーを除去するものであっても良い。
【0062】
図3は、トナー像保持体とクリーニング器からなるトナー像保持体ユニットの外観斜視図である。
【0063】
トナー像保持体ユニット100では、トナー像保持体21が、クリーニング器27の残トナー収容筐体27aに回転自在に支持されている。本実施形態では、上述したように、トナー像保持体ユニット100は、メンテナンスの際に、メンテナンス要員によって適宜に新品と交換されるユニットとなっている。メンテナンスの際には、古いトナー像保持体ユニット100が、図2に示す装着部1a_1から矢印Dが示す抜出方向に抜き出される。そして、新品のトナー像保持体ユニット100が、装着部1a_1に矢印Eが示す挿入方向に挿入される。
【0064】
図4は、図3に示すトナー像保持体ユニットからトナー像保持体を取り外して、クリーニング器のみを示した外観斜視図である。
【0065】
残トナー収容筐体27aは、図3等に示すトナー像保持体21の回転軸方向に沿って延びた形状を有しており、長手方向両端に、トナー像保持体21を回転自在に軸支する軸受部分27a_1を有している。そして、2つの軸受部分27a_1の間に、トナー像保持体21の、上記の転写後の領域に向かって長方形状に開口した残トナー収容口27a_2が設けられている。
【0066】
そして、この残トナー収容口27a_2の、トナー像保持体21の回転方向下流側の長辺の縁を覆う位置にクリーニングブレード27cが配置されている。また、残トナー収容口27a_2の、トナー像保持体21の回転方向上流側の長辺の縁を覆う位置には、シール部材27eが配置されている。
【0067】
残トナー収容口27a_2の、2つの短辺の縁それぞれを覆う位置にはフェルト材で形成されたサイドシール27fが配置されている。各サイドシール部材27fには、図4に示すように、残トナー収容口27a_2側に向かって突出した突出部27f_1が設けられている。そして、この突出部27f_1におけるクリーニングブレード27c側の側面と、サイドシール部材27fにおける突出部27f_1以外の部分の側面とがクリーニングブレード27cの角に沿っている。シール部材27eは、各サイドシール部材27fの突出部27f_1に重なった状態に、残トナー収容筐体27aに取付けられている。
【0068】
また、残トナー収容口27a_2の、クリーニングブレード27cとシール部材27eとの間からは、図2にも示すクリーニングブラシ27bが覗いている。
【0069】
本実施形態では、クリーニングブラシ27b、クリーニングブレード27cの一辺、シール部材27e、および2つのサイドシール部材27fが、トナー像保持体21(図3参照)に押し当てられている。そして、残トナー収容筐体27a内に一旦収容された残トナーの漏れが、トナー像保持体21に押し当てられたクリーニングブレード27c、シール部材27e、およびサイドシール部材27fによって防がれている。
【0070】
ここで、図2に示す装着部1a_1に装着されるまで、トナー像保持体ユニット100は、以下に説明するシート状保護部材101がトナー像保持体21に巻き付けられた状態で保管される。
【0071】
図5は、シート状保護部材がトナー像保持体に巻き付けられた状態のトナー像保持体ユニットを示す図である。
【0072】
トナー像保持体21に巻き付けられたシート状保護部材101の、トナー像保持体21の回転方向下流側の端が、自由端101aとなっている。一方、この自由端101aとは反対側の他端は、後述するようにトナー像保持体21とクリーニングブレード27cに挟まれた状態で隠れている。
【0073】
図2に示す装着部1a_1へのトナー像保持体ユニット100の装着の際には、シート状保護部材101は、上記の自由端101aがメンテナンス要員によって引かれることでトナー像保持体ユニット100から引抜かれる。
【0074】
このシート状保護部材101の材質についてここでは特定しないが、例えば、紙あるいは樹脂が挙げられる。
【0075】
シート状保護部材101の、メンテナンス要員の目に触れる表面には、このシート状保護部材101の引抜きを案内する表示が付されている。本実施形態では、この表示として、シート状保護部材101の引抜き方向を示す矢印101bと、引抜き方を示す次のよう
な文章が記載されたラベル101cが使われている。ラベル101cには、「シート状保護部材ごとトナー像保持体を回転させて取り除いて下さい」なる文章が記載されている。
【0076】
このシート状保護部材101が、本発明にいうシート状保護部材の一例に相当する。
【0077】
このシート状保護部材101の引抜き方については後で説明することとし、まず、シート状保護部材101の取付け方について説明する。
【0078】
図6は、シート状保護部材の取付け手順のうちの第1工程を示す模式図であり、図7は、シート状保護部材の取付け手順のうちの第2工程を示す模式図である。
【0079】
図6に示すように、第1工程では、まず、シート状保護部材101の、矢印Rが示すトナー像保持体21の回転方向上流側の端縁101dが、次のような位置に置かれる。
【0080】
図8は、シート状保護部材が取り付けられているトナー像保持体ユニットの断面を模式的に示す図である。
【0081】
尚、この図8には、トナー像保持体ユニット100が、クリーニング器27が図中右側に立てられた、図2に示されている装着部1a_1への装着時の向きで示されている。
【0082】
シート状保護部材101の端縁101dは、トナー像保持体ユニット100内における、残トナー収容筐体27aをトナー像保持体21の回転軸21aに向けて投影する方向に見たときに残トナー収容筐体27aの陰に隠れる領域100aの内側に置かれる。クリーニング器27にトナー像保持体21が組み付けられると、この領域100aは、クリーニング器27とトナー像保持体21とに挟まれて隠れる。
【0083】
本実施形態では、この端縁101dが置かれる位置として、残トナー収容筐体27aの図中下側(図6では図中手前側)の縁27a_3とシール部材27eとの間の位置が採用されている。この位置に端縁101dが置かれたシート状保護部材101は、シール部材27eとクリーニングブレード27cとを覆うこととなる。
【0084】
図6に示す第1工程では、このようにシート状保護部材101が置かれたクリーニング器27にトナー像保持体21が組み付けられる。すると、シート状保護部材101は、トナー像保持体21とクリーニングブレード27cとに挟まれるとともにトナー像保持体21とシール部材27eとに挟まれる。そして、シート状保護部材101は、そのトナー像保持体21の表面に沿って回転方向下流側に向けて広がることとなる。
【0085】
尚、本実施形態では、上記のようにトナー像保持体21とクリーニングブレード27cとに挟まれているとともにトナー像保持体21とシール部材27eとに挟まれるシート状保護部材101を例示している。しかしながら、シート状保護部材は、これに限るものではなく、例えばトナー像保持体とクリーニングブレードとにのみ挟まれるものであっても良い。
【0086】
ここで、シート状保護部材101の、トナー像保持体21に接する第1面とクリーニングブレード27cに接する第2面とのうちの第2面のみの上の、クリーニングブレード27cと27eシール部材とに挟まれた領域には潤滑剤101eが塗布されている。この領域は、クリーニングブレード27cとシール部材27eとの間から覗くクリーニングブラシ27bに接している。
【0087】
潤滑剤101eは、シート状保護部材101が後述するように引抜かれる際に、クリー
ニングブレード27cとトナー像保持体21の、クリーニングブレード27cがトナー像保持体21に押し当てられた部分に付着される。また、この際には、潤滑剤101eの一部は、クリーニングブラシ27bにも付着する。この潤滑剤101eについては後でもう一度説明する。
【0088】
続いて、図7に示す第2工程では、シート状保護部材101が、矢印F方向に、トナー像保持体21に巻き付けられる。シート状保護部材101は、トナー像保持体21の回転方向について、このトナー像保持体21一周分以上の長さを有している。このように巻き付けられたシート状保護部材101の、クリーニング器27とトナー像保持体21とで挟まれている端部とは反対側の端部が、図5にも示す自由端101aとなる。
【0089】
本実施形態では、新品のトナー像保持体ユニット100は、シート状保護部材101がこのように巻き付けられた状態で、例えば、保管用の袋や箱等に入れられて保管される。そして、トナー像保持体ユニット100の装着時には、保管用の袋や箱等からトナー像保持体ユニット100が取り出され、シート状保護部材101が引き抜かれて、上記の装着部1a_1に装着される。
【0090】
次に、図2に示す装着部1a_1へのトナー像保持体ユニット100の装着の際の、シート状保護部材101の引抜き方について図8を参照して説明する。
【0091】
シート状保護部材101は、トナー像保持体ユニット100の装着前に、図8中の矢印Gが示す方向に自由端101aがメンテナンス要員によって引かれることでトナー像保持体ユニット100から引き抜かれる。図5を参照して説明したように、シート状保護部材101には、引抜方向を表す矢印101bが付されている。メンテナンス要員は、この矢印101bに従って、図8中の矢印Gが示す方向に自由端101aを引き抜くこととなる。
【0092】
また、図5を参照して説明したように、シート状保護部材101に付されているラベル101cには、「シート状保護部材ごとトナー像保持体を回転させて取り除いて下さい」なる文章が記載されている。メンテナンス要員は、このラベル101cの文章に従って、シート状保護部材101ごとトナー像保持体21を回転させながらシート状保護部材101を引抜くこととなる。
【0093】
ここで、シート状保護部材101の、トナー像保持体21に接する上記の第1面は、トナー像保持体ユニット100からの引抜きに当たり、トナー像保持体21を従動回転させる静止摩擦力を発生させる表面性状を有している。このため、メンテナンス要員が自由端101aを引くと、意識的にトナー像保持体21を回転させなくともシート状保護部材101の動きに合わせてトナー像保持体21が矢印Rが示す回転方向に回転する。これにより、引抜の際に、トナー像保持体21の表面をシート状保護部材101が擦って、その表面を傷めてしまうといった事態が回避される。
【0094】
ここで、本実施形態では、シート状保護部材101とトナー像保持体21との擦れの回避について万全を期すために、シート状保護部材101の引抜き時のトナー像保持体21の回転を促す文章が上記のラベル101cに記載されている。
【0095】
このようにシート状保護部材101が引き抜かれるときには、シート状保護部材101の、潤滑剤101eが塗布されている領域が、クリーニングブレード27cの、トナー像保持体21に押し当てられる一辺に擦りつけられる。これにより、潤滑剤101eが、この一辺に付着される。また、この際には、潤滑剤101eの一部は、クリーニングブラシ27bにも付着する。ただし、クリーニングブラシ27bの毛が柔軟であるために、クリ
ーニングブラシ27bへの付着量は、クリーニングブレード27cがトナー像保持体21に押し当てられた部分への付着量に比べると少ない。
【0096】
ここで、シート状保護部材101の、自由端101aとは反対側の端縁101cは、上述したようにトナー像保持体21とクリーニングブレード27cに挟まれた状態で隠れている。このため、この端縁101cが引かれて、シート状保護部材101が、矢印101b(図5参照)が示す方向とは逆方向に、クリーニングブレード27cの一辺への潤滑剤101eの付着が行われないまま引抜かれてしまうといった事態が避けられる。
【0097】
クリーニングブレード27cの一辺に付着した潤滑剤101eは、図1に示すプリンタ1の動作時に、クリーニングブレード27cの上記の一辺とトナー像保持体21との間の摩擦を低減させる役割を果たす。本実施形態では、この潤滑剤101eとして、PMMA(Poly Methyl Methacrylate)が採用されている。ただし、潤滑剤101eは、PMMAに限るものではなく、クリーニングブレード27cの上記の一辺とトナー像保持体21との間の摩擦を低減させるものであれば良い。
【0098】
ここで、本実施形態と比較するために比較例について説明する。
【0099】
ここでは、比較例として、本実施形態とは異なり、シート状保護部材は存在せず、クリーニングブレードの、トナー像保持体に押し当てられた一辺とトナー像保持体との間にPMMAが潤滑剤として付着された状態で保管されるトナー像保持体ユニットを考える。
【0100】
この比較例のトナー像保持体ユニットは、長期間にわたって保管されると、クリーニングブレードの上記の一辺とトナー像保持体との間に加わる圧力によって潤滑剤が凝集してしまうおそれがある。潤滑剤が凝集していると、トナー像保持体ユニットをプリンタに装着して動作させたときに、クリーニングブレードの上記の一辺がトナー像保持体に対して滑り過ぎてしまい十分なクリーニング効果を得ることができないことがある。また、凝集している潤滑剤が、トナー像保持体の表面に擦りつけられて固着してしまい、その固着した潤滑剤にトナーが付着することでトナー像が汚れてしまうこともある。
【0101】
本実施形態のトナー像保持体ユニット100では、潤滑剤101aは、保管時にはシート状保護部材101のクリーニングブレード27c側の面に、そのクリーニングブレード27cに触れないように塗布された状態となっている。このため、本実施形態のトナー像保持体ユニット100では、保管時に潤滑剤101aに圧力が掛からず、上記のような凝集が防がれる。
【0102】
また、本実施形態では、上述したようにシート状保護部材101がトナー像保持体21一周分以上の長さを有している。このため、仮に、メンテナンス要員がシート状保護部材101を引抜かずにトナー像保持体ユニット100を図2に示す装着部1a_1に装着しようとすると次のような事態が生じる。
【0103】
図9は、シート状保護部材を引抜かずにトナー像保持体ユニットを装着部に装着しようとしたときに生じる事態を説明する図である。
【0104】
この図9には、図2と同様の拡大断面図が、トナー像保持体21に巻き付けられたままのシート状保護部材101とともに示されている。また、この図9には、図2では図示が省略されていた、図1にも示す中間転写ベルト41と一次転写器25とが示されている。
【0105】
上記のような長さを有するシート状保護部材101を引抜かずにトナー像保持体ユニット100を装着部1a_1に装着しようとすると、このシート状保護部材101の自由端
101aが、図中下方に垂れ下がる。そして、その時には、その垂れ下がった部分が、装着部1a_1の下方に位置する中間転写ベルト41と一次転写器25と干渉するといった事態が生じることとなる。シート状保護部材101の引抜きを忘れてトナー像保持体ユニット100を装着部1a_1に装着しようとしたメンテナンス要員は、このような事態に直面して、シート状保護部材101の引抜き忘れに気付くこととなる。
【0106】
尚、本実施形態では、トナー像保持体21一周分以上の長さを有しているシート状保護部材101を例示している。しかしながら、シート状保護部材は、クリーニングブレードとトナー像保持体とに挟まれる領域を有していれば、トナー像保持体21一周分未満の長さのものであっても良い。ただし、この場合には、メンテナンス要員は、トナー像保持体ユニットの装着に当たって、事前の目視チェック等によりシート状保護部材の引抜き忘れがないかチェックすることとなる。
【0107】
ここで、引抜前のシート状保護部材101は、トナー像保持体21の回転方向上流側、即ち上記の端縁101d側の端部が、図9から分かるように、トナー像保持体21とシール部材27eとに挟まれている。
【0108】
シール部材27eはシート形状を有していることから変形し易く、トナー像保持体21の残トナー収容筐体27aへの組付けの際に次のような事態が生じることがある。即ち、この組付けの際に、シール部材27eの、トナー像保持体21側の先端が、トナー像保持体21の回転方向とは逆方向に捲れてしまう等といった事態が生じることがある。
【0109】
図10は、先端が捲れてしまったシール部材を示す模式図である。
【0110】
この図10には、トナー像保持体21(図6等参照)とシール部材27eとに端部が挟まれたシート状保護部材101を、トナー像保持体21を省略して、そのトナー像保持21側から見た部分拡大図が示されている。この図10の例では、シール部材27eの、図中左側の角の部分27e_1に、矢印Rが示すトナー像保持体21の回転方向とは逆方向の捲れが生じている。
【0111】
ここで、上述したように引抜前のシート状保護部材101の上記の端縁101d側の端部がトナー像保持体21とシール部材27eとに挟まれている。引抜きの際には、シート状保護部材101は、トナー像保持体21の回転方向と同じ、矢印Gが示す引抜き方向に引かれる。すると、シート状保護部材101が、シール部材27eを、トナー像保持体21の回転方向と同じ方向に引っ張って上記の捲れが矯正されることとなる。
【0112】
尚、本実施形態では、トナー像保持体21とクリーニング器27とからなるトナー像保持体ユニット100を例示している。しかしながら、トナー像保持体ユニットはこれに限るものではなく、例えば、帯電器や現像器等といった、トナー像保持体とクリーニング器以外の要素を含んだユニットであっても良い。
【0113】
また、本実施形態では、画像形成装置の一実施形態としてプリンタを例示している。しかしながら、画像形成装置はこれに限るものではなく、例えばコピー機やファクシミリ等であっても良い。
【符号の説明】
【0114】
1 プリンタ
1a 本体装置
1a_1 装着部
10 制御部
20Y,20M,20C,20K,20X,20X 画像形成ユニット
21 トナー像保持体
22 帯電器
23 露光器
24 現像器
24a 現像器筐体
24b オーガ
24c 現像ロール
25 一次転写器
26 除電器
27 クリーニング器
27a 残トナー収容筐体
27a_1 軸受部分
27a_2 残トナー収容口
27a_3 縁
27b クリーニングブラシ
27c クリーニングブレード
27d オーガ
27e シール部材
27e_1 角の部分
27f サイドシール
27f_1 突出部
30Y,30M,30C,30K,30X,30X トナーカートリッジ
40 二次転写ユニット
41 中間転写ベルト
42 駆動ロール
43 張架ロール
50 二次転写器
61 用紙トレイ
62 さばきロール
63 搬送ロール
64 待機ロール
65 搬送ベルト
66 排出ロール
70 定着器
71 加熱ロール
72 加圧ロール
80 カール矯正器
81 冷却ベルト
82 加圧器
100 トナー像保持体ユニット
101 シート状保護部材
101a 自由端
101b 矢印
101c ラベル
101d 端縁
101e 潤滑剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回りに回転しながら画像の形成を受け現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置で該トナー像を転写先に転写するトナー像保持体と、
前記トナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した残トナー収容口を有し、該領域に残存している残トナーを収容する残トナー収容筐体と、
前記トナー像保持体に一辺を押し当てた状態に前記残トナー収容筐体に支持され、該トナー像保持体上の残トナーを掻き落として該残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
前記トナー像保持体の回転方向について前記残トナー除去部材の前記一辺よりも上流側において該トナー像保持体に接した状態に前記残トナー収容筐体に支持され、前記残トナー除去部材により該トナー像保持体から掻き落とされた残トナーの、該残トナー収容筐体からの漏れを防止するシール部材と、
前記トナー像保持体の回転方向上流側の端縁が、前記残トナー収容筐体を前記回転軸に向けて投影する向きに見たときの該残トナー収容筐体の陰に隠れる位置に置かれ、該トナー像保持体と前記残トナー除去部材とに挟まれて、該トナー像保持体表面に沿って該回転方向下流側に向けて広がる、該トナー像保持体側に接した第1面と該残トナー除去部材に接した第2面とのうちの該第2面のみであって、かつ該第2面上の該残トナー除去部材と前記シール部材とに挟まれた領域に潤滑剤が塗布された、該回転方向下流側に引き抜かれて、該潤滑剤を、該残トナー除去部材と該トナー像保持体の、該残トナー除去部材が該トナー像保持体に押し当てられた部分に付着させるシート状保護部材とを有することを特徴とするトナー像保持体ユニット。
【請求項2】
前記シート状保護部材が、前記回転方向について前記トナー像保持体一周分以上の長さを有することを特徴とする請求項1記載のトナー像保持体ユニット。
【請求項3】
前記シート状保護部材は、前記回転方向上流側の端部が前記トナー像保持体と前記シール部材とに挟まれていることを特徴とする請求項1又は2記載のトナー像保持体ユニット。
【請求項4】
前記シート状保護部材には、引抜きを案内する表示が付されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のトナー像保持体ユニット。
【請求項5】
前記シート状保護部材は、該シート状保護部材の引抜きにあたり、前記トナー像保持体を従動回転させる静止摩擦力を発生させる表面性状を有することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載のトナー像保持体ユニット。
【請求項6】
トナー像を保持して転写先に転写するトナー像保持体ユニットと、
前記トナー像保持体ユニットが着脱自在に装着される装着部を有し、該装着部に装着されたトナー像保持体ユニット由来のトナー像を記録媒体上に転写して定着する本体装置とを備え、
前記トナー像保持体ユニットが、
回転軸の回りに回転しながら画像の形成を受け現像位置において現像を受けてトナー像を保持し転写位置で該トナー像を転写先に転写するトナー像保持体と、
前記トナー像保持体の転写後の領域に向かって開口した残トナー収容口を有し、該領域に残存している残トナーを収容する残トナー収容筐体と、
前記トナー像保持体に一辺を押し当てた状態に前記残トナー収容筐体に支持され、該トナー像保持体上の残トナーを掻き落として該残トナー収容筐体に収容させる残トナー除去部材と、
前記トナー像保持体の回転方向について前記トナー像保持体の前記一辺よりも上流側に
おいて該トナー像保持体に接した状態に前記残トナー収容筐体に支持され、前記残トナー除去部材により該トナー像保持体から掻き落とされた残トナーの、該残トナー収容筐体からの漏れを防止するシール部材と、
前記トナー像保持体の回転方向上流側の端縁が、前記残トナー収容筐体を前記回転軸に向けて投影する向きに見たときの該残トナー収容筐体の陰に隠れる位置に置かれ、該トナー像保持体と前記残トナー除去部材とに挟まれて、該トナー像保持体表面に沿って該回転方向下流側に向けて広がる、該トナー像保持体側に接した第1面と該残トナー除去部材に接した第2面とのうちの該第2面のみであって、かつ該第2面上の該残トナー除去部材と前記シール部材とに挟まれた領域に潤滑剤が塗布された、該回転方向下流側に引き抜かれて、該潤滑剤を、該残トナー除去部材と該トナー像保持体の、該残トナー除去部材が該トナー像保持体に押し当てられた部分に付着させるシート状保護部材とを有し、
前記シート状保護部材が引抜かれた状態かつ当該トナー像保持体ユニットが前記装着部に装着された状態で稼働することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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