トナー印字用偽造防止シート
【課題】トナー印字した情報を削り取って改ざんする偽造のみならず、カラー複写機で複写して行なう偽造についても、偽造の有無を視覚的に容易に識別でき、ひいては、これらの偽造を有効に防止できるトナー印字用偽造防止シートを提供する。
【課題の解決手段】トナー印字用偽造防止シートは、シート基材１の一面に、光沢を有するスクラッチ層２を設け、このスクラッチ層２の表面をトナー印字部としてなるもので、この光沢を有するスクラッチ層２は、剥離ワニスでコート処理したシート基材１面に、紫外線硬化型の銀インキをスクリーン印刷、あるいはオフセット印刷して設けることができる。
【課題の解決手段】トナー印字用偽造防止シートは、シート基材１の一面に、光沢を有するスクラッチ層２を設け、このスクラッチ層２の表面をトナー印字部としてなるもので、この光沢を有するスクラッチ層２は、剥離ワニスでコート処理したシート基材１面に、紫外線硬化型の銀インキをスクリーン印刷、あるいはオフセット印刷して設けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、トナー印字用のシートに関し、特に、各種チケット、商品券、株券などの、トナーで印字するとともに、偽造防止が必要なシートに適用して好適なトナー印字用偽造防止シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、トナーで印字したシートは、トナーの定着性が悪いので、シートを損傷することなく、トナーによる印字部分を削り取ることは、さほど困難な作業ではない。従来においては、トナーのシートに対する定着性を高めるために、シートに印字像定着層を設けて、この印字像定着層にトナー印字しているが、未だ十分に満足し得る印字像定着層は実現されていない。
【０００３】
このため、従来にあっては、所定情報をシート上にトナー印字して作成した各種チケット、商品券、株券などの金額をはじめとする印字部分を削り取り、この削り取った部分に新たに数字や文字を書いて、各種チケット、商品券、株券などが改ざんされる虞がある。ところが、この改ざんを視覚的に識別するのは極めて困難であり、特に、迅速な処理が要求される使用現場では、熟練者であっても容易ではなかった。
【０００４】
従来においては、印字用シートに、印字用のトナーとは色の濃度が異なるトナーを用いてアンダーコート層を設けることが提案されている（特許文献１）。この印字用シートによれば、印字した情報とアンダーコート層は、ともにトナーからなるので、互いの結合が強固であり、印字した情報のみを削り取ることは困難であり、無理に削り取ると、アンダーコート層も削り取ってしまい、削り取った部分の色が薄くなったり、濃くなったりすることによって、視覚的に容易、かつ迅速に、改ざんの有無を識別できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平６−２２７１９０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、この従来提案されているトナーによるアンダーコート層を設けた印字用シートは、印字情報部分を削り取って改ざんする偽造には対応できるものの、カラー複写機を用いた複写による偽造の場合には、正規物と偽造物とに色の相違が生じないので、偽造の識別が困難であるという不都合がある。本発明は、この不都合を解消して、削り取りによる偽造のみならず、複写による偽造も視覚的に容易に認識できるトナー印字用偽造防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この目的を達成するため本発明に係るトナー印字用偽造防止シートは、シート基材に光沢を有するスクラッチ層を設け、このスクラッチ層表面をトナー印字部としてなるものである。前記スクラッチ層は、スクラッチインキを印刷したり、スクラッチ箔などの熱転写箔をホットスタンプ（箔転写）して設けることができる。スクラッチインキは、乾燥に時間がかからず、また、ブロッキングの心配もない、紫外線硬化タイプが好ましいが、油性タイプであっても使用可能である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明に係るトナー印字用偽造防止シートによれば、スクラッチ層表面にトナー印字された情報を削って改ざんすることで偽造を図ると、トナーとともにスクラッチ層も削り取られて、シート基材面が露出し、また、スクラッチ層を復元することは極めて困難なため、偽造を図ったことが視覚的に容易に識別できる。また、本発明に係るトナー印字用偽造防止シートを複写機で複写することで偽造を図ると、スクラッチ層の光沢感を忠実に複写することはできないので、偽造を図ったことが視覚的に容易に識別できる。このように、本発明に係るトナー印字用偽造防止シートによれば、情報の改ざんによる偽造のみならず、複写による偽造についても、視覚的に容易に識別でき、ひいては偽造防止にも貢献できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明の好適な実施形態であるトナー印字用偽造防止シートにトナー印字を施した状態を示す概略的な側面図。
【図２】同じく平面図。
【図３】トナー印字情報とともにスクラッチ層の一部を削った状態を示す概略的な平面図。
【図４】スクラッチ層の態様に関する他の実施形態を示す概略的な平面図。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本発明の好適な実施形態を図１〜図３に基づいて説明する。
図１及び図２に示すように、シート基材１の一面には光沢を有するスクラッチ層２が設けられ、このスクラッチ層２の表面がトナーによる印字がなされるトナー印字部となっている。図３に示すように、前記シート基材１の一面におけるスクラッチ層２で被覆される部分には、「使用不可」なる4文字を複数連続して表示してなる下地情報３をあらかじめ印刷している。
【００１１】
光沢を有するスクラッチ層２は、例えば、紫外線硬化型の銀インキをスクリーン印刷、あるいはオフセット印刷して設けてなる。シート基材１が銀インキを吸収しやすい材質の場合には、シート基材１表面に剥離ワニス層を形成するコート処理を施しておくと好適である。また、前記スクラッチ層２は、銀インキの印刷に替えて、金、銀などのメタリック箔や、パール顔料箔や、ホログラム箔等の光沢を有する熱転写箔をホットスタンプ（箔転写）して形成することもできる。この熱転写箔を使用する場合も、シート基材１の表面にコート処理を施しておくことが望ましい。
【００１２】
メタリック箔によるスクラッチ層２の形成は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムを離型フィルムとして、この離型フィルムの上に剥離剤を塗布して離型層を形成し、この離型層の表面にメタリック蒸着層を設けてなる転写箔を用いて、シート基材１の一面に熱と圧力で箔転写するものである。
【００１３】
また、パール顔料箔の場合は、例えば、赤、青など所望色の顔料や染料に、薄板上雲母粒子を二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄などの金属酸化物で被覆した平均粒径１〜１５０μｍのものを、混合してなるパール顔料に対して、バインダーとしてスチレン・無水マレイン酸共重合体等の樹脂と、溶媒として一般的な無機及び／又は有機フィラーとを混合希釈したうえ、離型フィルム上にコーティングし、この離型フィルムを転写箔とする。そして、この転写箔を用いて、シート基材１の一面に熱と圧力で箔転写し、スクラッチ層２を形成するものである。
【００１４】
さらに、ホログラム箔の場合は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムの上に剥離剤を塗布して離型層を形成し、この離型層の表面に塗工した光沢を有する感光性樹脂層に干渉縞を露光し現像して、ホログラム層を持つ離型フィルムとなし、この離型フィルムを転写箔とする。そして、シート基材１の一面に熱と圧力で箔転写し、スクラッチ層２を形成するものである。
【００１５】
上述した実施形態においては、図１及び図２に示すように、スクラッチ層２の表面に、プリンタによるトナーを用いた印字、すなわちトナー印字を施して、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃ、図示例ではＡ，Ｂ，Ｃを表示する。このトナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃの一部あるいは全部の改ざんを意図して、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃを削り取ると、スクラッチ層２も一緒に削り取られ、下地情報３が露出する。削り取られたスクラッチ層２を修復することは極めて困難なので、たとえ削り取ったトナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃに換えて別の情報を表示しても、下地情報３が露出するとともに、スクラッチ層２が存在しないことにより、改ざんによる偽造は視覚的に容易に識別できる。
【００１６】
また、下地情報３を設けていない場合に、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃをスクラッチ層２の全てとともに削り取って、露出したシート基材１の表面に、改ざんした情報を新たにトナー印字した場合には、あるべきスクラッチ層２が存在しないのであるから、偽造されたことは視覚的に容易に識別可能である。
【００１７】
一方、カラー複写機による複写で偽造を試みたとしても、スクラッチ層２の光沢感を完全に再現することは極めて困難なので、光沢感の相違により偽造されたことは視覚的に容易に識別可能である。この複写による偽造に対しては、ホログラム箔を用いたスクラッチ層２がとりわけ有効である。
【００１８】
続いて、スクラッチ層の態様に関する他の実施形態を図４に基づいて説明する。本実施形態におけるスクラッチ層１２は斜めの縞状に設けたものであり、トナー印字してなるトナー印字情報１４ａ，１４ｂ，１４ｃの一部がスクラッチ層１２上に位置し、他の部分はシート基材１１上に位置することになる。スクラッチ層１２を斜めの縞状に設け、下地情報を設けていないほかは、上述の実施形態と同一である。本実施形態において、トナー印字情報１４ａ，１４ｂ，１４ｃを削り取ると、対応するスクラッチ層１２も削り取られることにより、スクラッチ層１２は斜めの縞状ではない状態となり、スクラッチ層１２を斜め縞状に修復して、その上に別の情報を表示することは極めて困難なので、改ざんによる偽造は視覚的に容易に識別できる。
【００１９】
また、本実施形態においても、カラー複写機による複写で偽造を試みた場合には、スクラッチ層１２の光沢感を完全に再現することは極めて困難なので、偽造されたことは視覚的に容易に識別可能である。この複写による偽造に対しては、上記実施形態と同様、ホログラム箔を用いたスクラッチ層１２がとりわけ有効である。
【００２０】
なお、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、例えば、スクラッチ層２，１２の表面に微細な凹凸を形成すると、光の反射状態が平滑な表面とは異なって、独特の光沢感を生じるものとなるので、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃ，１４ａ，１４ｂ，１４ｃの偽造防止はより確実なものとなる。また、シート基材１，１１をラベルとして構成し、多数のラベルを用紙に切り取り可能に形成して、各ラベル上にスクラッチ層２，１２を形成することで本発明に係るトナー印字用偽造防止シートとしてもよく、この場合は、１枚のラベルに対応するトナー印字用偽造防止シートを用紙から切り離して、他の台紙などに貼付して使用することができる。
【符号の説明】
【００２１】
１，１１ シート基材
２，１２ スクラッチ層
３ 下地情報
４ａ，４ｂ，４ｃ，１４ａ，１４ｂ，１４ｃ トナー印字情報
【技術分野】
【０００１】
本発明は、トナー印字用のシートに関し、特に、各種チケット、商品券、株券などの、トナーで印字するとともに、偽造防止が必要なシートに適用して好適なトナー印字用偽造防止シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、トナーで印字したシートは、トナーの定着性が悪いので、シートを損傷することなく、トナーによる印字部分を削り取ることは、さほど困難な作業ではない。従来においては、トナーのシートに対する定着性を高めるために、シートに印字像定着層を設けて、この印字像定着層にトナー印字しているが、未だ十分に満足し得る印字像定着層は実現されていない。
【０００３】
このため、従来にあっては、所定情報をシート上にトナー印字して作成した各種チケット、商品券、株券などの金額をはじめとする印字部分を削り取り、この削り取った部分に新たに数字や文字を書いて、各種チケット、商品券、株券などが改ざんされる虞がある。ところが、この改ざんを視覚的に識別するのは極めて困難であり、特に、迅速な処理が要求される使用現場では、熟練者であっても容易ではなかった。
【０００４】
従来においては、印字用シートに、印字用のトナーとは色の濃度が異なるトナーを用いてアンダーコート層を設けることが提案されている（特許文献１）。この印字用シートによれば、印字した情報とアンダーコート層は、ともにトナーからなるので、互いの結合が強固であり、印字した情報のみを削り取ることは困難であり、無理に削り取ると、アンダーコート層も削り取ってしまい、削り取った部分の色が薄くなったり、濃くなったりすることによって、視覚的に容易、かつ迅速に、改ざんの有無を識別できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開平６−２２７１９０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、この従来提案されているトナーによるアンダーコート層を設けた印字用シートは、印字情報部分を削り取って改ざんする偽造には対応できるものの、カラー複写機を用いた複写による偽造の場合には、正規物と偽造物とに色の相違が生じないので、偽造の識別が困難であるという不都合がある。本発明は、この不都合を解消して、削り取りによる偽造のみならず、複写による偽造も視覚的に容易に認識できるトナー印字用偽造防止シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この目的を達成するため本発明に係るトナー印字用偽造防止シートは、シート基材に光沢を有するスクラッチ層を設け、このスクラッチ層表面をトナー印字部としてなるものである。前記スクラッチ層は、スクラッチインキを印刷したり、スクラッチ箔などの熱転写箔をホットスタンプ（箔転写）して設けることができる。スクラッチインキは、乾燥に時間がかからず、また、ブロッキングの心配もない、紫外線硬化タイプが好ましいが、油性タイプであっても使用可能である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明に係るトナー印字用偽造防止シートによれば、スクラッチ層表面にトナー印字された情報を削って改ざんすることで偽造を図ると、トナーとともにスクラッチ層も削り取られて、シート基材面が露出し、また、スクラッチ層を復元することは極めて困難なため、偽造を図ったことが視覚的に容易に識別できる。また、本発明に係るトナー印字用偽造防止シートを複写機で複写することで偽造を図ると、スクラッチ層の光沢感を忠実に複写することはできないので、偽造を図ったことが視覚的に容易に識別できる。このように、本発明に係るトナー印字用偽造防止シートによれば、情報の改ざんによる偽造のみならず、複写による偽造についても、視覚的に容易に識別でき、ひいては偽造防止にも貢献できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】本発明の好適な実施形態であるトナー印字用偽造防止シートにトナー印字を施した状態を示す概略的な側面図。
【図２】同じく平面図。
【図３】トナー印字情報とともにスクラッチ層の一部を削った状態を示す概略的な平面図。
【図４】スクラッチ層の態様に関する他の実施形態を示す概略的な平面図。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
以下、本発明の好適な実施形態を図１〜図３に基づいて説明する。
図１及び図２に示すように、シート基材１の一面には光沢を有するスクラッチ層２が設けられ、このスクラッチ層２の表面がトナーによる印字がなされるトナー印字部となっている。図３に示すように、前記シート基材１の一面におけるスクラッチ層２で被覆される部分には、「使用不可」なる4文字を複数連続して表示してなる下地情報３をあらかじめ印刷している。
【００１１】
光沢を有するスクラッチ層２は、例えば、紫外線硬化型の銀インキをスクリーン印刷、あるいはオフセット印刷して設けてなる。シート基材１が銀インキを吸収しやすい材質の場合には、シート基材１表面に剥離ワニス層を形成するコート処理を施しておくと好適である。また、前記スクラッチ層２は、銀インキの印刷に替えて、金、銀などのメタリック箔や、パール顔料箔や、ホログラム箔等の光沢を有する熱転写箔をホットスタンプ（箔転写）して形成することもできる。この熱転写箔を使用する場合も、シート基材１の表面にコート処理を施しておくことが望ましい。
【００１２】
メタリック箔によるスクラッチ層２の形成は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムを離型フィルムとして、この離型フィルムの上に剥離剤を塗布して離型層を形成し、この離型層の表面にメタリック蒸着層を設けてなる転写箔を用いて、シート基材１の一面に熱と圧力で箔転写するものである。
【００１３】
また、パール顔料箔の場合は、例えば、赤、青など所望色の顔料や染料に、薄板上雲母粒子を二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄などの金属酸化物で被覆した平均粒径１〜１５０μｍのものを、混合してなるパール顔料に対して、バインダーとしてスチレン・無水マレイン酸共重合体等の樹脂と、溶媒として一般的な無機及び／又は有機フィラーとを混合希釈したうえ、離型フィルム上にコーティングし、この離型フィルムを転写箔とする。そして、この転写箔を用いて、シート基材１の一面に熱と圧力で箔転写し、スクラッチ層２を形成するものである。
【００１４】
さらに、ホログラム箔の場合は、例えば、熱可塑性樹脂フィルムの上に剥離剤を塗布して離型層を形成し、この離型層の表面に塗工した光沢を有する感光性樹脂層に干渉縞を露光し現像して、ホログラム層を持つ離型フィルムとなし、この離型フィルムを転写箔とする。そして、シート基材１の一面に熱と圧力で箔転写し、スクラッチ層２を形成するものである。
【００１５】
上述した実施形態においては、図１及び図２に示すように、スクラッチ層２の表面に、プリンタによるトナーを用いた印字、すなわちトナー印字を施して、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃ、図示例ではＡ，Ｂ，Ｃを表示する。このトナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃの一部あるいは全部の改ざんを意図して、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃを削り取ると、スクラッチ層２も一緒に削り取られ、下地情報３が露出する。削り取られたスクラッチ層２を修復することは極めて困難なので、たとえ削り取ったトナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃに換えて別の情報を表示しても、下地情報３が露出するとともに、スクラッチ層２が存在しないことにより、改ざんによる偽造は視覚的に容易に識別できる。
【００１６】
また、下地情報３を設けていない場合に、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃをスクラッチ層２の全てとともに削り取って、露出したシート基材１の表面に、改ざんした情報を新たにトナー印字した場合には、あるべきスクラッチ層２が存在しないのであるから、偽造されたことは視覚的に容易に識別可能である。
【００１７】
一方、カラー複写機による複写で偽造を試みたとしても、スクラッチ層２の光沢感を完全に再現することは極めて困難なので、光沢感の相違により偽造されたことは視覚的に容易に識別可能である。この複写による偽造に対しては、ホログラム箔を用いたスクラッチ層２がとりわけ有効である。
【００１８】
続いて、スクラッチ層の態様に関する他の実施形態を図４に基づいて説明する。本実施形態におけるスクラッチ層１２は斜めの縞状に設けたものであり、トナー印字してなるトナー印字情報１４ａ，１４ｂ，１４ｃの一部がスクラッチ層１２上に位置し、他の部分はシート基材１１上に位置することになる。スクラッチ層１２を斜めの縞状に設け、下地情報を設けていないほかは、上述の実施形態と同一である。本実施形態において、トナー印字情報１４ａ，１４ｂ，１４ｃを削り取ると、対応するスクラッチ層１２も削り取られることにより、スクラッチ層１２は斜めの縞状ではない状態となり、スクラッチ層１２を斜め縞状に修復して、その上に別の情報を表示することは極めて困難なので、改ざんによる偽造は視覚的に容易に識別できる。
【００１９】
また、本実施形態においても、カラー複写機による複写で偽造を試みた場合には、スクラッチ層１２の光沢感を完全に再現することは極めて困難なので、偽造されたことは視覚的に容易に識別可能である。この複写による偽造に対しては、上記実施形態と同様、ホログラム箔を用いたスクラッチ層１２がとりわけ有効である。
【００２０】
なお、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、例えば、スクラッチ層２，１２の表面に微細な凹凸を形成すると、光の反射状態が平滑な表面とは異なって、独特の光沢感を生じるものとなるので、トナー印字情報４ａ，４ｂ，４ｃ，１４ａ，１４ｂ，１４ｃの偽造防止はより確実なものとなる。また、シート基材１，１１をラベルとして構成し、多数のラベルを用紙に切り取り可能に形成して、各ラベル上にスクラッチ層２，１２を形成することで本発明に係るトナー印字用偽造防止シートとしてもよく、この場合は、１枚のラベルに対応するトナー印字用偽造防止シートを用紙から切り離して、他の台紙などに貼付して使用することができる。
【符号の説明】
【００２１】
１，１１ シート基材
２，１２ スクラッチ層
３ 下地情報
４ａ，４ｂ，４ｃ，１４ａ，１４ｂ，１４ｃ トナー印字情報
【特許請求の範囲】
【請求項１】
シート基材に光沢を有するスクラッチ層を設け、このスクラッチ層表面をトナー印字部としてなることを特徴とするトナー印字用偽造防止シート。
【請求項１】
シート基材に光沢を有するスクラッチ層を設け、このスクラッチ層表面をトナー印字部としてなることを特徴とするトナー印字用偽造防止シート。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１２−７１５５１（Ｐ２０１２−７１５５１Ａ）
【公開日】平成２４年４月１２日（２０１２．４．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２１９９２７（Ｐ２０１０−２１９９２７）
【出願日】平成２２年９月２９日（２０１０．９．２９）
【出願人】（０００１１０２１７）トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年４月１２日（２０１２．４．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月２９日（２０１０．９．２９）
【出願人】（０００１１０２１７）トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Ｆターム（参考）】
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