説明

トナー及び電子写真装置

【課題】低温定着で紙に定着する改良トナーが望まれている。
【解決手段】本開示の低温加圧定着可能なトナーは、少なくとも1つの非晶性樹脂と、任意の結晶性樹脂と、任意の着色剤と、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、ウルシ蝋、ホホバオイル、蜜蝋、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、ミクロ結晶性ワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、ブチルステアレートなど、及びそれら組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのワックスとを含み、少なくとも1つのワックスが、トナーの約4重量%〜約9.5重量%の量で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トナー及び電子写真装置に関し、より詳しくは、エマルジョン凝集及び合一プロセスによって形成されるトナー組成物及び該トナーを用いた現像プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子写真装置では、トナー画像が基材に供給される。そして、トナーは、接触型定着又は非接触型定着を用いて、トナーを加熱することにより基材に定着される。トナー混合物は、基材上に溶融して定着する。これらのトナー樹脂は、定着ローラ内で溶融した時に、定着時にオフセットしないような粘弾性を有するように設計される。
【0003】
トナーを基材に定着させる別の方法には、低温定着があり、低温加圧定着とも呼ばれる。このようなシステムは、エネルギー必要量をより低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,496,676号明細書
【特許文献2】米国特許第5,501,935号明細書
【特許文献3】米国特許第5,527,658号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱定着装置で使用されるトナーを最適に機能させる技術は、低温加圧定着装置に転用することができない。したがって、低温定着で紙等の媒体に定着する改良トナーが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、エマルジョン凝集トナー組成物(EAトナー組成物)、及び低温加圧定着用途に好適なトナーの製造方法を提供する。つまり、低温加圧定着可能なトナーと言える。
低温加圧定着可能なトナーは、少なくとも1つの非晶性樹脂、着色剤、及び少なくとも1つのワックス、例えば、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、ウルシ蝋、ホホバオイル、蜜蝋、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、ミクロ結晶性ワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、ブチルステアレート、プロピルオレエート、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート;ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、及びそれらの混合物を含む。また、トナーは、結晶性樹脂を含むことも好適である。
ここで、少なくとも1つのワックスは、トナーの約4重量%〜約9.5重量%の量で存在する。
【0007】
ワックス量は、トナーの約4重量%〜約13.5重量%であり、より好適には、約4重量%〜約9.5重量%、特に好適には、約4.5重量%〜約9重量%、又は約5重量%〜約8.75重量%である。ワックス含有量が、約4重量%〜約13.5重量%、より好適には、約4重量%〜約9.5重量%、特に好適には、約4.5重量%〜約9重量%であれば、良好な定着性を有し、低温加圧定着装置に好適なトナーとなる。
【0008】
また、本開示は、上記トナーを用いて画像を形成可能な電子写真装置を提供する。本開示の電子写真装置は、潜像を現像するためのトナーを含む現像剤ユニットと、約500psi(ポンド・スクエア・インチ)〜約14,000psi(1psi=6895Pa)の圧力印加を介して、柔軟性のある基材にトナーを定着するための定着部材とを備え、現像剤を構成するトナーは、その約4重量%〜約9.5重量%の少なくとも1つのワックスと混合された少なくとも1つの低分子量非晶性ポリエステル樹脂、及び着色剤を含有するエマルジョン凝集トナーである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本開示のトナーの各種実施の形態についての定着圧力を示す。
【図2】本開示のトナーの各種実施の形態の線形摩擦及び圧力性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示によれば、低分子量樹脂、ワックス、任意の高分子量樹脂、任意の結晶性樹脂、及び任意の1以上の着色剤を含有する低温溶融エマルジョン凝集トナー(以下、EAトナーとも称する)を提供する。本開示のトナーは、実施の形態では、低温加圧定着装置を使用した場合に、良好な定着性を有する。本開示のトナーにおいてワックスを使用することで、トナーを媒体に定着させるのに必要な圧力量と、摩擦性能の最適な組み合わせを達成することができる。
ワックス量は、トナーの約4重量%〜約13.5重量%であり、より好適には、約4重量%〜約9.5重量%、特に好適には、約4.5重量%〜約9重量%、又は約5重量%〜約8.75重量%である。ワックス含有量が、約4重量%〜約13.5重量%から外れると、線形摩擦性能は大幅に低下する。
【0011】
本開示のトナーを電子写真印刷に使用して、圧力のみを用いて、紙又はポリマー部材に付着させてもよい。実施の形態では、圧力は10kpsi以下でもよい。また、いくつかの実施の形態では、本開示のトナーを電子写真印刷に使用して、500psiより大きいが10kpsi未満の圧力と、100℃未満の温度を用いて、媒体に付着させてもよい。低温加圧定着は、常套の熱定着が要するエネルギーの数分の1であり、低温加圧定着を使用することで、電子写真印刷に関するエネルギーコストをより低くすることができる。
【0012】
本開示のトナーは、トナーの形成に好適なラテックス樹脂を含有してもよい。このような樹脂は、いずれの好適なモノマーから成るものでもよい。好適なモノマーは、特に限定されないが、アクリロニトリル、ジオール、二酸、ジアミン、ジエステル、ジイソシアネート、及びそれらの組み合わせ等がある。
【0013】
ラテックス樹脂の形成に使用されるポリマーは、例えば、ポリエステル樹脂である。好適なポリエステル樹脂には、例えば、スルホネート化ポリエステル、非スルホネート化ポリエステル、結晶性ポリエステル、非晶性(アモルファス)ポリエステル、及びそれらの組み合わせ等がある。ポリエステル樹脂は、線形、分岐、それらの組み合わせ等であってもよい。好適な樹脂の一例は、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との混合物である。
【0014】
ポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、二酸又はジエステルとを、任意の触媒の存在中で反応させることによって形成される。結晶性ポリエステルを形成するのに好適なジオールには、約2〜約36個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、例えば、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、エチレングリコール、及びそれらの組み合わせ等がある。脂肪族ジオールは、例えば、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約55mol%、又は約45〜約53mol%の量で選択される。
【0015】
結晶性樹脂の調製のために選択される有機二酸又はジエステルの例には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マロン酸、メサコン酸、それらのジエステル又は無水物、及びそれらの組み合わせ等がある。有機二酸は、例えば、約40〜約60mol%、約42〜約55mol%、又は約45〜約53mol%の量で選択されてもよい。
【0016】
結晶性樹脂の例には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリプロピレン、及びそれらの混合物等がある。結晶性樹脂は、例えば、トナーの約5〜約50重量%、又は約10〜約35重量%の量で存在する。結晶性樹脂は、例えば、約30℃〜約120℃、又は約50℃〜約90℃の様々な融点を有する。結晶性樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるように、例えば、約500〜約50,000、又は約500〜約20,000の数平均分子量(Mn)と、約1000〜約20,000(ポリスチレン標準)の重量平均分子量(Mw)を有する。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、約2〜約6、又は約3〜約4である。
【0017】
非晶性ポリエステルの調製のために選択される二酸又はジエステルの例には、ジカルボン酸又は無水物又はジエステル、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、コハク酸、コハク酸無水物、ドデシルコハク酸、ドデシルコハク酸無水物、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ジメチルテレフタレート、ジエチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジエチルイソフタレート、ジメチルフタレート、フタル酸無水物、ジエチルフタレート、ジメチルスクシネート、ジメチルフマレート、ジメチルマレエート、ジメチルグルタレート、ジメチルアジペート、ジメチルドデシルスクシネート、及びそれらの組み合わせ等がある。有機二酸又はジエステルは、例えば、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約55mol%、又は約45〜約53mol%である。
【0018】
非晶性ポリエステルを形成するのに使用されるジオールの例には、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2,2,3−トリメチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ドデカンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)−ビスフェノールA、ビス(2−ヒドロキシプロピル)−ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、キシレンジメタノール、シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)オキサイド、ジプロピレングリコール、ジブチレン、及びそれらの組み合わせがある。選択される有機ジオールの量は変化してもよく、例えば、樹脂の約40〜約60mol%、約42〜約55mol%、又は約45〜約53mol%である。
【0019】
重縮合触媒(結晶性、非晶性のいずれのポリエステルにも適用可能)には、テトラアルキルチタネート、ジアルキル錫オキサイド、例えば、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキル錫、例えば、ジブチル錫ジラウレート、及びジアルキル錫オキサイドヒドロキシド、例えば、ブチル錫オキサイドヒドロキシド、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、亜鉛酸化物、酸化第一錫、又はそれらの組み合わせがある。このような触媒を、例えば、ポリエステル樹脂の原料である二酸又はジエステルに基づいて、約0.01mol%〜約5mol%の量で使用してもよい。
【0020】
好適な非晶性樹脂には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレート、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリプロピレン、及びそれらの混合物等がある。非晶性樹脂の一例として、非晶性ポリエステル樹脂が含まれる。実施の形態では、コアに使用される非晶性樹脂は線形であってもよい。
【0021】
好適な非晶性ポリエステル樹脂は、以下の式(I)を有する、プロポキシレート化ビスフェノールAコ−フマレート−プロポキシレート化ビスフェノールAコ−テレフタレート樹脂である。
【化1】

例えば、Rは水素又はメチル基であり、m及びnはコポリマーのランダムユニットを表し、mは約2〜10、nは約2〜10である。
他の好適な樹脂には、以下の式(II)に示すターポリエステルの1つがある。
【化2】

例えば、Rは水素又はメチル基であり、R’は約2〜約20個の炭素原子のアルキル基であり、m、n及びoはコポリマーのランダムユニットを表し、mは約2〜10、nは約2〜10、oは約2〜約10である。
【0022】
ラテックス樹脂として使用可能な線形プロポキシレート化ビスフェノールAコ−フマレート−プロポキシレート化ビスフェノールAコ−テレフタレートの例は、レサナS/Aインダストリアルズ・クイミカス、サオ・パウロ・ブラジルから商品名SPARIIで入手可能である。市販入手可能な他のプロポキシレート化ビスフェノールAフマレート樹脂には、花王、日本のGTUF及びFPESL−2、及びレイコールド、リサーチ・トライアングル・パーク、ノース・カロライナのEM181635等がある。
【0023】
本開示のトナーに好適な非晶性樹脂は、例えば、オリゴマーと呼ばれる、重量平均分子量(Mw)が約10kg/mol〜約25kg/mol、又は約15kg/mol〜約20kg/molである低分子量非晶性樹脂である。
【0024】
低分子量非晶性樹脂は、例えば、約50℃〜約65℃、又は約55℃〜約60℃のガラス転移温度を有する。
【0025】
低分子量非晶性樹脂は、例えば、約90℃〜約105℃、又は約95℃〜約100℃の軟化点を有する。
【0026】
本開示のトナーを形成するのに使用される低分子量の非晶性樹脂は、重量平均分子量(Mw)が約50kg/mol〜約80kg/mol、又は約60kg/mol〜約70kg/molの高分子量アモルファス樹脂とは対照的である。高低分子量非晶性樹脂は、例えば、約50℃〜約65℃、又は約55℃〜約60℃のガラス転移温度と、約105℃〜約150℃、又は約110℃〜約130℃の軟化点とを有する。
【0027】
低い軟化点を有する低分子量の非晶性樹脂は、特に、低温加圧定着装置における現像剤として好適である。
【0028】
好適な結晶性樹脂は、エチレングリコール、ドデカンジオン酸、及びフマル酸から成り、以下の式を有する。
【化3】

ここで、bは約5〜約40であり、dは約7〜約20である。
【0029】
本開示のトナーに好適な結晶性樹脂は、例えば、約500〜約3,000、又は約1000〜約2,000の数平均分子量を有する。
【0030】
複数の樹脂をトナー形成に使用してもよい。2以上の樹脂を使用する場合、樹脂は、いずれの好適な割合(例えば、重量比)、例えば、約1%(第1樹脂)/99%(第2樹脂)〜約99%(第1樹脂)/1%(第2樹脂)、又は約10%(第1樹脂)/90%(第2樹脂)〜約90%(第1樹脂)/10%(第2樹脂)であってもよい。
【0031】
上記のように、実施の形態では、樹脂はエマルジョン凝集法によって形成されてもよい。このような方法を使用する場合には、樹脂は樹脂エマルジョンで存在し、次にこれを他の成分及び添加剤と組み合わせて、本開示のトナーを形成してもよい。
【0032】
樹脂は、固形分ベースで、例えば、トナー粒子(外側添加剤を除くトナー粒子)の約65〜約95重量%、好ましくは約75〜約85重量%である。結晶性樹脂を使用する場合、結晶性樹脂の非晶性樹脂に対する割合は、約1:99〜約30:70、例えば、約5:95〜約25:75であってもよく、約5:95〜約15:95であってもよい。ワックスのような他の成分は、約5〜25重量%の量で存在してもよい。
【0033】
実施の形態では、例えば、低分子量の非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の組み合わせを用いて、トナー組成物を形成してもよい。このようなトナー組成物は、任意の着色剤、ワックス、及び他の添加剤を含んでもよい。トナーは、これに限定されないが、エマルジョン凝集法を含む当業者の範囲内のいずれかの方法を用いて形成されてもよい。
【0034】
実施の形態では、トナー組成物の形成に使用される着色剤、ワックス及び他の添加剤は、界面活性剤を含む分散体の状態であってもよい。さらに、トナー粒子は、エマルジョン凝集法によって形成されてもよく、例えば、樹脂及び他の成分は1以上の界面活性剤によりエマルジョンを形成し、トナー粒子は凝集し、合一し、任意に洗浄乾燥されて、回収される。
【0035】
複数の界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、イオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選択されてもよい。陰イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤が「イオン性界面活性剤」という用語に含まれる。界面活性剤は、例えば、トナー組成物の約0.01重量%〜約5重量%、約0.75重量%〜約4重量%、又は約1重量%〜約3重量%の量で存在してもよい。
【0036】
着色剤が添加される場合には、様々な公知の着色剤、例えば、染料、顔料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料の混合物等がトナーに含まれてもよい。着色剤は、例えば、トナーの約0.1〜約35重量%、約1〜約15重量%、又は約3〜約10重量%の量でトナー中に含まれる。
【0037】
ポリマーバインダ樹脂に加えて、本開示のトナーは、ワックスを含有し、ワックスは単一のタイプのワックスでも2以上の異なるワックスの混合物でもよい。例えば、単一のワックスをトナー配合物に添加して、特定のトナー特性、例えば、トナー粒子形状、トナー粒子表面上のワックスの存在とその量、帯電及び/又は定着特性、光沢、ストリッピング、オフセット特性等を改良してもよい。場合によっては、ワックスの混合物を添加し、トナー組成物に複数の特性を与えてもよい。
【0038】
トナー粒子形成の際に、ワックスを樹脂と混合してもよい。ワックスは、例えば、トナー粒子の約0.1重量%〜約15重量%、トナーの約4重量%〜約9.5重量%、約4.5重量%〜約9重量%、又は約5重量%〜約8.75重量%の量で存在してもよい。着色剤の選択はワックスの量に影響し得る。トナーを、黒色着色剤を用いて形成する場合、その重量パーセントは、トナーの約5重量%〜約15重量%、又は約7重量%〜約11重量%であってもよい。トナーを、シアン着色剤を用いて形成する場合、ワックスの重量パーセントは、トナーの約0.1重量%〜約9重量%、又は約2重量%〜約7重量%であってもよい。
【0039】
使用可能なワックスは、例えば、約500〜約20,000、又は約600〜約5,000の重量平均分子量を有する。使用可能なワックスには、例えば、ポリオレフィン[例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブテンワックス(例えば、アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト社から市販入手可能、ベーカー・ペトロライトのPOLYWAX(登録商標)ポリエチレンワックス、マイケルマン社及びダニエル・プロダクツ社から入手可能なワックスエマルジョン、イーストマン・ケミカル・プロダクツ社から市販入手可能なEPOLENE N−15(登録商標)、及びVISCOL 550−P(登録商標)、三洋化成から入手可能な低重量平均分子量のポリプロピレン)]、植物ベースワックス[例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリアワックス、ウルシ蝋、及びホホバオイル]、動物ベースワックス[例えば、蜜蝋]、鉱物ベースワックス及び石油ベースワックス[例えば、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、ミクロ結晶性ワックス、ポリメチレンワックス、及びフィッシャー−トロプシュワックス]、高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス[例えば、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート]、高級脂肪酸と一価又は多価低級アルコールから得られるエステルワックス[例えば、ブチルステアレート、プロピルオレエート、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、及びペンタエリスリトールテトラベヘネート]、高級脂肪酸と多価アルコールマルティマーから得られるエステルワックス[例えば、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、及びトリグリセリルテトラステアレート]、ソルビタン高級脂肪酸エステルワックス[例えば、ソルビタンモノステアレート]、及びコレステロール高級脂肪酸エステルワックス[例えば、コレステリルステアレート]等がある。
使用可能な官能化ワックスの例には、アミン、アミド[例えば、ミクロ・パウダー社から入手可能なAQUA SUPERSLIP 6550(登録商標)、SUPERSLIP 6530(登録商標)]、フッ素化ワックス[例えば、ミクロ・パウダー社から入手可能なPOLYFLUO 190(登録商標)、POLYFLUO 200(登録商標)、POLYSILK 19(登録商標)、POLYSILK 14(登録商標)]、混合フッ素化アミドワックス[例えば、ミクロ・パウダー社から入手可能なMICROSPERSION 19(登録商標)]、イミド、エステル、4級アミン、カルボン酸、又はアクリルポリマーエマルジョン[例えば、SC・ジョンソン・ワックスから入手可能なJONCRYL 74(登録商標)、89(登録商標)、130(登録商標)、537(登録商標)及び538(登録商標)]、及び塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン[例えば、アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト社、SCジョンソン・ワックスから入手可能ながある。また、上記ワックスの混合物及び組み合わせを実施の形態で用いてもよい。また、ワックスは、例えば、定着ロール剥離剤として含まれてもよい。
【0040】
トナー粒子は、公知の方法によって調製できる。トナー粒子の製造に関する実施の形態は、エマルジョン凝集法に関して以下に記載するが、トナー粒子を調製するいずれの好適な方法、例えば、化学的処理(例えば、懸濁及びカプセル封止法)を用いてもよい。実施の形態では、トナー組成物及びトナー粒子を凝集及び合一法によって調製してもよく、小さいサイズの樹脂粒子を適当なトナー粒子サイズに凝集させ、合一させて、最終トナー粒子形状及び形態を得る。
【0041】
トナー組成物は、例えば、ワックス及びいずれか他の所望の又は必要な添加剤と、上記樹脂を含有するエマルジョンとの混合物を、上記界面活性剤の存在下で凝集させ、凝集混合物を合一させるエマルジョン凝集法によって調製される。混合物は、ワックス又は他の材料(任意に界面活性剤を含んだ分散体状態でもよい)を、エマルジョンに添加することによって調製されてもよく、エマルジョンは、2以上の樹脂を含有するエマルジョンの混合物でもよい。得られた混合物のpHを酸(例えば、酢酸、硝酸等)によって調節してもよい。実施の形態では、混合物のpHを約2〜約4.5に調節してもよい。また、実施の形態では、混合物を均一化してもよい。混合物を均一化する場合、均一化は、例えば、約600〜約4,000rpmで混合することによって達成できる。均一化には、例えば、IKA ULTRA TURRAX T50プローブホモジナイザーが用いられる。
【0042】
上記混合物の調製後、例えば、凝集剤を混合物に添加してトナーを形成する。好適な凝集剤としては、2価陽イオン又は多価陽イオン材料の水溶液が例示できる。実施の形態では、凝集剤を、樹脂のガラス転移温度(Tg)未満の温度で混合物に添加する。
【0043】
凝集剤は、トナー形成に使用される混合物に対して、例えば、約0.1pph〜約1pph、約0.25pph〜約0.75pph、又は約0.5pphの量で添加してもよい。
【0044】
トナーの光沢は、粒子中の保有金属イオン、例えば、Al3+の量に影響される。保有金属イオンの量は、EDTAの添加によって調節されてもよい。本開示のトナー粒子内の保有架橋剤、例えば、Al3+の量は、約0.1pph〜約1pph、約0.25〜約0.8pph、又は約0.5pphである。
【0045】
凝集剤の添加後、粒子の成長及び形成は、凝集と癒着とが別に起こるような条件下で行われてもよい。凝集段階と癒着段階とを別にする場合には、凝集処理を、例えば、約40℃〜約90℃、又は約45℃〜約80℃の温度であって樹脂のガラス転移温度未満で、せん断条件下で行う。
【0046】
実施の形態では、凝集粒子は約20μm未満、約3μm〜約10μm、又は約4μm〜約9μmのサイズ(体積平均粒子径)である。
【0047】
実施の形態では、形成された凝集トナー粒子に任意のシェルを形成してもよい。シェルを構成する樹脂としては、コアを構成する樹脂と同様の樹脂を用いてもよい。シェル樹脂は。公知の方法で形成できる。実施の形態では、シェル樹脂は、上記界面活性剤を含有するエマルジョン状態でもよい。凝集粒子とこのエマルジョンとを混合して、凝集体上にシェルを形成するようにしてもよい。実施の形態では、非晶性ポリエステルを用いて、凝集体上にシェルを形成し、コア−シェル構造を有するトナー粒子を形成できる。或いは、低分子量非晶性樹脂を用いて、凝集体上にシェルを形成してもよい。
【0048】
シェル樹脂は、トナー粒子の約10重量%〜約32重量%、又は約24重量%〜約30重量%の量で存在してもよい。
【0049】
<合一(癒着)>
所望の粒子サイズに凝集し、上記のように任意のシェルを形成した後、粒子を所望の最終形状となるように合一させる。この合一は、例えば、混合物を約55℃〜約100℃、約65℃〜約75℃、又は約70℃の温度に加熱することによってなされ、この温度は可塑化を防ぐために、結晶性樹脂の融点未満が好適である。温度がバインダ用に使用される樹脂の相関的要素であることが理解されるなら、より高温又は低温を使用してもよい。
【0050】
合一後、混合物を室温(例えば、約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。冷却は、早くても遅くてもよい。好適な冷却方法には、冷水を反応器周囲のジャケットに導入する方法が挙げられる。冷却後、トナー粒子を水洗して乾燥する。乾燥は、例えば、フリーズドライによってなされてもよい。
【0051】
トナー粒子は、必要により、他の任意の添加剤を含有してもよい。例えば、トナーは、いずれか公知の電荷添加剤を、トナーの約0.1〜約10重量%、又は約0.5〜約7重量%の量で含んでもよい。このような電荷添加剤の例には、アルキルピリジニウムハライド、ビスルフェート、負の電荷増進剤、例えば、アルミニウム錯体等がある。
【0052】
洗浄及び乾燥後に、表面添加剤を本開示のトナー組成物に添加してもよい。このような表面添加剤の例には、例えば、金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物、ストロンチウムチタネート、及びそれらの混合物等がある。表面添加剤は、トナーの約0.1〜約10重量%、又は約0.5〜約7重量%の量で存在してもよい。他の添加剤にとしては、亜鉛ステアレート[デグッサから入手可能なAEROSIL R972(登録商標)]、及びコートされたシリカが例示でき、これはトナーの約0.05〜約5重量%、又は約0.1〜約2重量%の量で存在してもよい。この添加剤は凝集時に添加されても、又は形成されたトナー製品に混合されてもよい。
【0053】
トナー粒子の特性は、いずれの好適な技術及び装置によって決定されてもよい。体積平均粒子直径D50、粒度分布(GSDv、GSDn)は、例えば、ベックマン・コールター・マルチサイザー3によって、メーカーの説明書に従って測定される。例えば、少量のトナー試料、約1gを得て、25μmのスクリーンを通じて濾過し、次に等張液に入れて、約10%の試料濃度を調整し、ベックマン・コールター・マルチサイザー3にて測定する。本開示に従って製造されるトナーは、厳しい相対湿度(RH)条件に曝された場合に、優れた電荷特性を有し得る。低湿度ゾーン(Cゾーン)は、約10℃/15%RHであり、一方、高湿度ゾーン(Aゾーン)は約28℃/85%RHである。本開示のトナーは約−3μC/g〜約−35μC/gの質量当たり元のトナー電荷比(Q/M)と、約−10μC/g〜約−45μC/gの表面添加剤混合後の最終トナー電荷を有し得る。
【0054】
本開示のトナーを超低温溶融(ULM)トナーとして使用してもよい。実施の形態では、外側表面添加剤を除く乾燥トナー粒子は、以下の特性を有し得る。
【0055】
(1)約2.5〜約20μm、約2.75〜約18μm、又は約5〜約15μmの体積平均直径(体積平均粒子径)。
【0056】
(2)約1.18〜約1.30、又は約1.21〜約1.24の数平均幾何学標準偏差(GSDn)及び/又は体積平均幾何学標準偏差(GSDv)。
【0057】
(3)約0.9〜約1、約0.95〜約0.985、又は約0.96〜約0.98の真円度(例えば、シスメックスFPIA 2100を用いて測定)。
【0058】
形成されたトナー粒子は、現像剤組成物を構成する。トナー粒子をキャリア粒子と混合し、2成分現像剤組成物を得ることができる。現像剤中のトナー濃度は、例えば、現像剤全重量の約1重量%〜約25重量%、又は約2重量%〜約15重量%である。
【0059】
キャリア粒子の例には、トナー粒子の電荷と反対極性の電荷を摩擦電気として得ることができる粒子が含まれる。好適なキャリア粒子には、粒状ジルコン、粒状シリコン、ガラス、スチール、ニッケル、フェライト、鉄フェライト、二酸化珪素等がある。
【0060】
選択されるキャリア粒子は、コーティングあり、又はコーティングなしで使用されてもよい。実施の形態では、キャリア粒子は、コーティングを備えるコアから成り、コーティングは、摩擦電気の連続する中で近接しないポリマー混合物から形成されてもよい。コーティングには、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂)、スチレン、メチルメタクリレート、及び/又はシランのターポリマー(例えば、トリエトキシシラン、テトラフルオロエチレン)、他の公知の樹脂が用いられてもよい。コーティングは、例えば、キャリアの約0.1〜約5重量%、又は約0.5〜約2重量%のコーティング重量を有してもよい。
【0061】
キャリア粒子は、キャリアコアとポリマーとを、コートされたキャリア粒子の重量に基づいて、約0.05〜約10重量%、又は0.01重量%〜約3重量%の量で、ポリマーがキャリアコアに機械的密着及び/又は静電気引力によって付着するまで、混合することによって調製されてもよい。
【0062】
例えば、カスケードロール混合、タンブリング、ミリング、シェイキング、静電気パウダークラウドスプレイング、流動床、静電気ディスク処理、静電気カーテンその組み合わせ等を用いて、ポリマーをキャリアコア粒子の表面に塗布してもよい。キャリアコア粒子とポリマーの混合物を次に加熱して、ポリマーを溶融させ、キャリアコア粒子に定着させてもよい。コートされたキャリア粒子は次に、冷却されその後所望の粒子サイズに分類されてもよい。
【0063】
好適なキャリアは、例えば、約0.5重量%〜約10重量%、約25〜約100μm、又は約50〜約75μmの大きさのスチールコアが、約0.7重量%〜約5重量%の導電性ポリマー混合物でコートされて成るものでよい。
【0064】
キャリア粒子は、トナー粒子と各種好適な組み合わせで混合されてもよい。濃度は、トナー組成物の約1重量%〜約20重量%であってもよい。しかし、異なるトナー及びキャリアパーセンテージを用いて、所望の特性を有する現像剤組成物を調整してもよい。
【0065】
実施の形態では、上記トナーを、いかなる公知のタイプの画像現像システム、例えば、磁気ブラシ現像、ジャンピング単一成分現像、ハイブリッド無掃気現像(HSD)等で使用してもよい。
【0066】
電子写真装置は、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタ等のいずれであってもよい。
【0067】
画像は、好適な画像現像法、例えば、上記方法のいずれか1つにより、トナー/現像剤により形成され、次に該画像を画像受容媒体、例えば、紙等に転写される。実施の形態では、トナーは、定着部材を用いた画像現像装置内で、画像を現像するのに使用されてもよい。定着部材は、例えば、ドラム、ローラ、ベルト、ウェブ、平坦な表面、又はプラテン等であってもよい。例えば、定着部材と背面部材によって形成されたニップ間に最終記録基材を通すことによって、定着部材を画像に適用してもよい。背面部材は、例えば、ドラム、ローラ、ベルト、ウェブ、平坦な表面、又はプラテン等であってもよい。実施の形態では、定着ロールを用いてもよい。定着ロール部材は、当業者の範囲内の接触型定着装置であり、任意に熱を印加しながらロールからの圧力を用いて、トナーを画像受容媒体に定着する。任意の液体、例えば、定着オイルを、定着前に定着部材に塗布してもよい。
【0068】
実施の形態では、トナー画像を低温加圧定着によって、例えば、熱を印加せずに定着してもよい。定着は、いずれの所望又は有効な圧力、例えば、約500psi〜約14,000psi、又は約1,000psi〜約5,000psiで行われてもよい。低温加圧定着を用いるメリットは、熱ロール処理ではなく、低電力で、待機電力が不要であることである。したがって、本開示のトナーを、より環境に優しく、より必要エネルギーが少ないシステムで使用することができる。さらに、トナーに熱を印加しないので、トナーは溶融せず、したがって、定着時にオフセットしない(つまり、定着ローラにトナーが転移しない又は転移し難い)。
【0069】
本明細書では、特に断らない限り、部及びパーセンテージは重量による。また、「室温」は、約20℃〜約30℃の温度を言う。
【0070】
<実施例1>
約1070部の水と、アルコキシレート化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸から調製した約530部のポリエステルラテックス(固形分33%)と、約45部のポリエチレンワックスエマルジョン(IGI社製)と、約20部の顔料ブルー15:3分散体(Sun BTD−FX28として市販入手可能)と、約115部のカーボンブラック分散体(固形分約17%)と、約7部のDOWFAX(登録商標)2Aと、アルキルジフェニルオキサイドジスルホネート界面活性剤溶液(ダウ・ケミカル社から市販入手可能)とを室温で混合し、希硝酸でpHを約4.2に調節した。
次に、ウルトラタラックスホモジナイザーを用いて、約4000rpmの混合速度で混合した。次に、約150部の水に約6部の硫酸アルミニウム溶液を添加した。続いて、約350rpmで攪拌し、室温から約36℃にゆっくりと加熱して、体積平均粒子径約5.2μmのトナースラリーを得た。
【0071】
次に、約80部の水と、アルコキシレート化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸から調製した265部のポリエステルラテックス(固形分33%)と、約pH3.3に予め調節された約4部のDOWFAX2A1とを含有する別の溶液を添加した。約30分後、体積平均粒子径は約5.7μmに達した。約12部のエチレンジアミンテトラ酢酸のテトラナトリウム塩(Na4EDTA)(ダウ・ケミカル社からVERSENE 100として市販入手可能)水溶液を添加し、4%水酸化ナトリウム溶液を用いてスラリーのpHを約7.8に調節した。攪拌速度を約130rpmに減らし、混合物を約85℃にゆっくりと加熱して、この温度で約2.5時間保持した。次に、混合物を破砕氷上に注いで濾過し、蒸留水を用いて3回洗浄して乾燥した。これにより、9重量%のワックスを含有する体積平均粒子径が約5.7μm、幾何学サイズ分布(GSD)が約1.19/1.25、真円度係数が約0.97の粒子を得た。
【0072】
この粒子を、デシルシランで処理された約0.88重量%のTiO2(TaycaからJMT 2000として市販入手可能)と、1.73重量%のX24(信越化学から市販入手可能なゾル−ゲルシリカ)と、約1.71重量%のRY50シリカ(エボニック・デグッサから市販入手可能な多量のフリーのポリジメチルシロキサン(PDMS)でポリジメチルシロキサン処理されたシリカ)と、約0.86重量%のRX50(エボニック・デグッサから市販入手可能なヘキサメチルシラザン処理されたシリカ)、及び約0.18重量%の亜鉛ステアレート(ZnSt)を含む添加剤パッケージと混合した。
【0073】
得られたトナーをゼロックスXM−407キャリアと混合し、約4質量%のトナーを有する現像剤を得た。
【0074】
<実施例2>
アルコキシレート化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸から調製したポリエステル、シアン着色剤、及び9%のワックスを用いて、実施例1と同様の方法に従ってトナーを製造した。
【0075】
<実施例3>
9%のワックスに代えて、4.5%のワックスを用いた以外は、実施例2と同様にしてトナーを製造した。
【0076】
<実施例4>
9%のワックスに代えて、13.5%のワックスを用いた以外は、実施例2と同様にしてトナーを製造した。
【0077】
<比較例1>
アルコキシレート化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸から調製したポリエステルと、シアン顔料とを用いて、実施例1と同様の方法に従ってトナーを製造した。即ち、比較例1のトナーは、ワックスを含まない。
【0078】
<比較例2>
アルコキシレート化ビスフェノールA、テレフタル酸、フマル酸、及びドデセニルコハク酸コモノマーから調製したポリエステルと、6.8%の結晶性ポリエステル(CPE)と、シアン顔料とを用いて、実施例1と同様の方法に従ってトナーを製造した。即ち、比較例2のトナーは、ワックスを含まない。
【0079】
実施例及び比較例のトナーについて試験を行った。試験結果を図に示す。図1は、ポリエステルトナーが許容可能な定着レベル[クリース領域(しわのある領域、折り曲げ部)、及び線形摩擦性能について測定]に達するのに必要な定着圧力(kpsi)を示す。比較例1(0%ワックス)、比較例2(CPE、0%ワックス)、実施例2(9%ワックス+シアン)及び実施例1(9%ワックス+ブラック)のトナーの比較から、ワックスを含有することが、結晶性ポリエステルを含有するよりも、低温加圧定着において性能向上に大きく寄与することが解る。
【0080】
図2は、比較例1、実施例2、実施例3、及び実施例4のトナーを比較したものである。図2は線形摩擦対圧力を示す。線形摩擦が40ユニット以下の場合に、許容可能な性能と規定した。図2は、線形摩擦性能が定着圧力に伴って改良されたことを示している。いずれの圧力でも、線形摩擦性能は、ワックス量が約4.5%の場合に最良であった。図2の結果から、ワックス量は約4.5重量%〜約9.0重量%とすることが好適である。ワックス量が約4.5重量%〜約9.0重量%の範囲において、ワックス含有量が低いほど定着性は向上し得る。なお、ワックス含有量が、約4重量%〜約13.5重量%から外れると、線形摩擦性能は大幅に低下する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの非晶性樹脂と、
結晶性樹脂と、
着色剤と、
ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、ウルシ蝋、ホホバオイル、蜜蝋、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、ミクロ結晶性ワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、ブチルステアレート、プロピルオレエート、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、及びそれら組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのワックスと、
を含み、
少なくとも1つのワックスが、トナーの約4重量%〜約9.5重量%の量で存在する低温加圧定着可能なトナー。
【請求項2】
請求項1に記載のトナーであって、
少なくとも1つの非晶性樹脂は、低分子量非晶性樹脂であるトナー。
【請求項3】
請求項1に記載のトナーであって、
コア/シェル構造を有し、
シェルは、少なくとも1つの低分子量非晶性樹脂を含むトナー。
【請求項4】
請求項1に記載のトナーであって、
ワックスは、トナーの約4.5重量%〜約9重量%の量で存在するトナー。
【請求項5】
少なくとも1つの低分子量非晶性ポリエステル樹脂と、
結晶性樹脂と、
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのワックスと、
着色剤と、
を含み、
少なくとも1つのワックスが、トナーの約4重量%〜約9.5重量%の量で存在する低温加圧定着可能なトナー。
【請求項6】
請求項5に記載のトナーであって、
コア/シェル構造を有し、
シェルは、少なくとも1つの低分子量非晶性樹脂を含むトナー。
【請求項7】
潜像を現像するためのトナーを含む現像剤ユニットと、
約500psi〜約14,000psiの圧力印加を介して、柔軟性のある基材にトナーを定着するための定着部材と、
を備え、
トナーは、その約4重量%〜約9.5重量%の量で含有される少なくとも1つのワックスが混合された少なくとも1つの低分子量非晶性ポリエステル樹脂と、着色剤とを含むエマルジョン凝集トナーである電子写真装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電子写真装置であって、
トナーは、コア/シェル構造を有し、
シェルは、少なくとも1つの低分子量非晶性樹脂を含む電子写真装置。
【請求項9】
請求項7に記載の電子写真装置であって、
少なくとも1つのワックスは、ポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、ウルシ蝋、ホホバオイル、蜜蝋、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、ミクロ結晶性ワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、ブチルステアレート、プロピルオレエート、グリセリドモノステアレート、グリセリドジステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される電子写真装置。
【請求項10】
請求項7に記載の電子写真装置であって、
少なくとも1つのワックスは、トナーの約4.5重量%〜約9重量%の量で存在する電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−48240(P2012−48240A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182237(P2011−182237)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】