トナー回収装置、画像形成装置及びトナー状態判定プログラム
【課題】 画像形成装置におけるトナー詰まりなどのトナーの滞留状態を判定する。
【解決手段】 加振手段61,62,63,64により画像形成装置のトナー回収路50Y,50C,50M,50K,51,52に振動を加え、検出手段65,66,67,68,69によりトナー回収路の振動を検出する。そして、判定手段73により、検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定し、出力手段により判定手段による判定結果を出力する。したがって、基準振動特性を例えばトナー詰まり状態の振動特性に設定しておくことにより、判定結果により、トナー回収路におけるトナー詰まりの発生を利用者や管理者が把握することができる。
【解決手段】 加振手段61,62,63,64により画像形成装置のトナー回収路50Y,50C,50M,50K,51,52に振動を加え、検出手段65,66,67,68,69によりトナー回収路の振動を検出する。そして、判定手段73により、検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定し、出力手段により判定手段による判定結果を出力する。したがって、基準振動特性を例えばトナー詰まり状態の振動特性に設定しておくことにより、判定結果により、トナー回収路におけるトナー詰まりの発生を利用者や管理者が把握することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーの状態を検知する機能を有するトナー回収装置、画像形成装置、及び、画像形成装置のコンピュータにトナーの状態の検知機能を実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、例えば、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、これらの機能を併せもった複合機など、紙などの記録材にトナーによって画像を形成する装置である。
このような画像形成装置では、形成する画像の細密度を上げるなどと言った要請から、トナーの細粒化が進んでいる。
また、このような画像形成装置には、トナー回収路を通して画像形成に不要となったトナーを回収するトナー回収装置が備えられている。
【0003】
特許文献1には、トナーをキャリアと混合させた現像剤の嵩密度・流動性を検知できるようにするため、圧力検知手段の圧力検知側を現像剤に対して能動的に駆動したときに圧力検知手段が現像剤から受ける圧力を検知し、現像剤の状態検知する現像剤状態検知装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、現像部とは別に設けられて該現像部から回収された現像剤を収容して攪拌する現像剤攪拌部と、現像部と現像剤攪拌部との間で現像剤を循環させる循環部とを備え、現像剤攪拌部には、回転数を任意に制御可能な攪拌部材と、該攪拌部材のトルクを検知可能なトルクセンサとが設けられ、攪拌部材の回転数を変化させたときのトルクセンサの出力値に基づき現像剤の劣化を検知する現像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−106590号公報
【特許文献2】特開2010−122537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トナーは粉体であることから、回収路にトナーが滞留してしまう場合があり、回収路における滞留によりトナーの回収が滞ってしまうという課題があった。
本発明は、トナー回収路に加えた振動の特性により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の画像形成装置は、トナー回収路と、前記トナー回収路に振動を加える加振手段と、前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の画像形成装置は、トナー回収路に振動を加える加振手段と、前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記検出手段は、複数設けられて、前記トナー回収路の異なる複数箇所から振動を検出し、前記判定手段は、これら検出手段により検出された振動に基づく特性が、前記基準振動特性となったことを判定し、前記出力手段は、前記判定手段による検出手段毎の判定結果を出力する。
【0010】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を表すものとして予め設定されており、前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を判定し、前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を示す情報を出力する。
【0011】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を表すものとして予め設定されおり、前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を判定し、前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を示す情報を出力する。
【0012】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記検出手段は振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方を検出し、前記振動に基づく特性は、前記振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方に、画像形成装置の稼働カウント値を加えた指標値である。
【0013】
請求項7に記載のトナー状態判定プログラムは、トナー回収路から検出された振動に基づく特性と予め設定された基準振動特性とを比較して、前者が後者となったことを判定する判定機能と、当該判定機能による判定結果を出力する出力機能とを、画像形成装置のコンピュータにより構成する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のトナー回収装置によると、トナー回収路の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することができる。
【0015】
請求項2に記載の画像形成装置によると、トナー回収路の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することができる。
【0016】
請求項3に記載の画像形成装置によると、トナー回収路の複数箇所の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路の複数の箇所毎のトナーの状態を検知することができる。
【0017】
請求項4に記載の画像形成装置によると、トナー回収路内でトナーが停滞してしまっている状態を検知することができる。
【0018】
請求項5に記載の画像形成装置によると、トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を検出することができる。
【0019】
請求項6に記載の画像形成装置によると、画像形成装置の稼働状態を加味して、トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を検出することができる。
【0020】
請求項7に記載の画トナー状態判定プログラムによると、トナー回収路の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することができる機能を、画像形成装置のコンピュータにより構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部の機能構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部のコンピュータハードウエア構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のトナー回収部の構成図である。
【図5】図4中の一部を拡大して示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る振動の基づく特性を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る振動の基づく特性を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る処理を説明する図である。
【図9】本発明の他の一実施形態に係る画像形成装置の要部の機能構成図である。
【図10】本発明の他の一実施形態に係る振動の基づく特性を説明する図である。
【図11】本発明の他の一実施形態に係る処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明を実施する画像形成装置の一例を説明する。
図3には、本例の画像形成装置における画像形成部の構造を例示してある。
図示の画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式であり、代表的な機能部として、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を用紙P(記録材の一例)に一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器34と、を備えている。
また、本例の画像形成装置は、各部の動作を制御する制御部40、利用者への情報の提示や利用者からの指示を受け付けるためのユーザインタフェース(UI)41、を備えている。
【0023】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々は、矢印A方向に回転する感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)を有する。また、感光体ドラム11の各々の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に露光ビームBmを照射して静電潜像を書き込む露光器13、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化したトナー像を形成する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分のトナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に重畳転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17(17Y,17M,17C,17K)、といった各種の電子写真用デバイスが順次配設されている。
【0024】
これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されており、中間転写ベルト15に対して接離可能に構成されている。
また、図示の画像形成装置は、用紙搬送系として、用紙収容部から用紙Pを取り出して二次転写部20へと送り込む給紙動作を行う給紙機構部31と、二次転写部20を通過した用紙Pを定着器34側へと搬送する搬送ベルト32と、用紙Pを定着器34の入口へとガイドする定着入口ガイド33と、定着器34から排紙された用紙Pをガイドする排紙ガイド35と、排紙ガイド35によりガイドされた用紙Pを装置外部に排出する排紙ロール36と、を備えている。
【0025】
すなわち、給紙機構部31により用紙収容部から二次転写部20へと給紙された用紙Pは、二次転写部20にて中間転写ベルト15上のトナー像が静電転写された後、中間転写ベルト15から剥離された状態で搬送ベルト32へと搬送される。そして、搬送ベルト32により、定着器34の動作速度に合わせて、定着入口ガイド33を介して定着器34まで搬送される。定着器34に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器34によって熱及び圧力を加える定着処理を受けることで用紙P上に定着される。その後、定着画像が形成された用紙Pは、排紙ガイド35及び排紙ロール36を介して、装置外部に設けられた排紙収容部(図示せず)へと搬送される。
【0026】
ここで、各ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kは不要となった残留トナーを感光体ドラム11上から除去するが、この除去したトナーは画像形成装置に備えられたトナー回収装置により回収される。
図3に示す、本発明の一実施形態に係る画像形成装置には、図4及び図5に例示するトナー回収装置が備えられている。
【0027】
このトナー回収装置は、画像形成装置のハウジングに内蔵されて設けられ、ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kに各々の上端が連結されて縦方向に延びて設けられた円筒状のトナー回収路50Y,50M,50C,50Kと、トナー回収路50Y,50M,50C,50Kの下端に連結されて横方向に延びて設けられた円筒状のトナー回収路51と、トナー回収路51の先端に連結されて縦方向に延びて設けられた円筒状のトナー回収路52と、トナー回収路52の下端に連結されたトナー回収ボトル53と、を備えている。
したがって、トナー回収路50Y,50M,50C,50K、トナー回収路51、トナー回収路52により、各ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kからトナー回収ボトル53に至るトナー回収路が構成されている。
【0028】
各々のトナー回収路50Y,50M,50C,50K、51、52には、図5に詳示すような螺旋状に鍔部を形成したオーガ54Y,54M,54C,54K、55、56が軸周りに回転自在に収容されており、各オーガ54Y,54M,54C,54K、55、56の端部にはモータ57Y,57M,57C,57K、58、59が設けられている。
したがって、図4及び図5中に矢印で示すように、制御部40の制御下でモータ57Y,57M,57C,57K、58、59を作動させることにより各トナー回収路内でオーガが回転し、これによって、各トナー回収路内でオーガの鍔部によりトナーが送られ、各ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kから回収されたトナーがトナー回収路を通してトナー回収ボトル53へ搬送される。
【0029】
なお、オーガを用いてトナーを搬送することからトナー回収路は円筒としたが、搬送手段の態様に応じて、円筒状でなくともよく、回収トナーを支障なく搬送できる態様であれば、トナー回収路の形状やトナー搬送手段に特に限定はない。
【0030】
ここで、トナーは細粒であることから、図5に示すように、回収されるべきトナーTがトナー回収路の内壁に付着して滞留してしまうことがある。トナー回収路での滞留は、トナーの細粒化にともなって、細粒トナーの流動性の劣化が顕著に表れる傾向があるので顕著となる。
そして、画像形成装置の他の機器との配置関係から、トナー回収路は図4に示したように屈曲させて設けられる場合が多く、トナー回収路の屈曲部には、図5に示すように、回収されるべきトナーTがトナー回収路の内壁に付着もしくは、トナー無搬送空間の形成によって滞留してしまう傾向が顕著となる。
【0031】
このような滞留が進むとトナーはトナー回収路内に停滞してしまうことになり、回収されるべきトナーの詰まりを生じて、画像形成装置の正常な運転に支障を来す事態を招いてしまう。
そのため、トナー詰まりを防止・除去するために定期的なメンテナンスを行なう必要があるが、トナー回収路内のトナーの状態を把握することができず、適切なタイミングでメンテナンスを行なうことができないといった課題があった。
【0032】
そこで、本発明に係る一実施形態では、図4及び図5に示すように、各トナー回収路50K,50C,50M,50Yの上端部にそれぞれ加振手段61,62,63,64を設け、また、これらトナー回収路50K,50C,50M,50Yの下端部にそれぞれ振動検知手段65,66,67,68を設け、更に、トナー回収路51のトナー回収路52と連結される屈曲部近傍に振動検知手段69を設け、加振手段61,62,63,64が発生した振動がトナー回収路を伝搬して各振動検知手段65,66,67,68,69により検出される構成としている。
【0033】
なお、振動の検出範囲を広くするために、加振手段と振動検知手段とは、トナー回収路のできるだけ上流とできるだけ下流とに分けて配置するのが好ましい。
また、上記のように複数のトナー回収路を接続して一連のトナー回収路を構成する場合には、各トナー回収路の接合部(例えば、トナー回収路を構成するパイプのジョイント部)による振動伝搬への影響を抑制するため、一連のトナー回収路に対して接合部で区切られる区間単位で加振手段及び振動検知手段を設けるのが好ましい。
【0034】
加振手段61,62,63,64として、例えば、電磁ソレノイドなどの公知の振動発生器を適宜採用することができ、本実施形態のように、一定した振幅及び周波数の振動を発生し、そして、正確なオンオフ制御ができる振動発生器を用いるのが好ましい。
振動検知手段65,66,67,68,69として、例えば、公知の振動センサを適宜採用することができる。
また、トナー回収路は、金属製、硬質プラスチック製など、振動伝達率の良い材質で形成するのが好ましい。
【0035】
そして、本実施形態の画像形成装置は、図1に示すような構成を有するトナー状態判定機能を有しており、この判定機能が、各振動検知手段65,66,67,68,69が検出した振動に基づく特性により、トナー回収路内におけるトナーの滞留度合いなどの状態を判定する。
なお、図1には、振動検知手段65,66,67、加振手段61,62,63を代表し、図4に示した他の振動検知手段68,69や加振手段64は簡略化のために記載を省略してある。また、図1には、トナー回収路を通してトナー回収ボトル53へトナーを搬送するトナー回収装置を有する画像形成装置を被監視装置として示してある。
【0036】
すなわち、本実施形態の画像形成装置は、トナー状態判定機能に係る構成として、画像形成装置の稼働状態を示す情報(カウントメータ値)を出力する動作制御部70、当該カウントメータ値に応じて加振手段61,62,63,64を駆動して振動を発生させる加振制御手段71、振動検知手段65,66,67,68,69が検出した振動に基づいて当該振動の特性を特定するデータ処理手段72、データ処理手段72が特定した振動特性が予め設定されている基準振動特性となったことを判定して、当該判定結果(判定結果通知)を出力する詰まり状態判定・特定手段73を有している。
【0037】
ここで、本実施形態では、カウントメータ値として画像形成装置が形成して出力した画像の枚数を用いるが、画像形成装置の累積稼働時間など、トナーの時間経過の伴う状態変化を示す種々な情報を用いることができる。
【0038】
また、本実施例では、振動検知手段をトナー回収路に対して場所を違えて複数設け、各振動検知手段で検出される振動に基づいて、状態判定・特定手段73は、振動検知手段の設置地位に対応するトナー回収路中のエリアを特定して、トナーの状態を判定して判定結果通知として出力するが、このようにエリアを特定せずに判定結果通知を出力するようにしてもよく、また、振動検知手段をトナー回収路に対して適宜の場所に1つ設けて、トナー回収路のトナーの状態を判定して判定結果通知として出力するようにしてもよい。すなわち、振動検知手段の個数や設置位置は任意に定めることができる。また、加振手段についても、対象とするトナー回収路に必要な振動を加えることができれば、その個数や設置位置は任意に定めることができる。
【0039】
本実施形態の画像形成装置は、図2に示すように、CPU74、RAM75、ROM76、補助記憶装置77、入出力I/F78、通信I/F79等を備えたコンピュータハードウエアを有しており、本実施形態に係るトナー状態判定プログラムが当該コンピュータハードウエアにより実行されることにより、動作制御部70、加振制御手段71、データ処理手段72、詰まり状態判定・特定手段73が構成され、これら各機能手段が本実施形態に係る処理を行なう。
【0040】
本実施形態では、上記のオーガを備えたトナー回収路、加振手段、振動検知手段、動作制御部70、加振制御手段71、データ処理手段72、詰まり状態判定・特定手段73が、画像形成装置に備えられるトナー状態判定機能付きのトナー回収装置を構成する。
次に、このトナー回収装置の動作例を詳細に説明する。
【0041】
加振手段から加えた振動はトナー回収路を伝搬して振動検知手段によって検出されるが、この検出される振動はトナー回収路におけるトナーの停滞度合いによって変化することを利用して、トナー回収路におけるトナーの停滞度合い(すなわち、トナーが停滞して詰まりが生じた状態など)を判定する。
また、トナー回収路の或る箇所にトナー詰まりが発生すると、詰まり発生箇所の周辺に振動を加えると、その振動値が詰まりのない状態に比べて変化することに着目し、トナー回収路の複数の箇所に振動検知手段を設け、箇所毎の検出振動値を計測し、詰まり発生時の特徴的な振動傾向(振動特性)を抽出し、これを予め設定した基準振動特性と比較することにより、詰まりを判定する。
【0042】
加振初段からトナー回収路に振動を加え、トナー回収路を伝搬してきた振動を振動検知手段により検出すると、この検出された振動の波形は、図6に示すように、トナー詰まりの発生がない状態(同図(a))と、トナー詰まり発生がある状態(同図(b))とでは異なる。
例えば、図6に示すように、振動波形の減衰は、トナー回収路内にトナーが停滞している状態では、トナーが停滞していない状態と比較して、減衰が早くなり、停滞の度合いが高くなってトナー詰まりとなるほどその傾向は顕著である。これは、停滞してしまっているトナーの密度が高くなるためと考えられる。
【0043】
また、例えば、図6に示すように、トナー回収路に振動を加えた直後の振動量は、トナー回収路内にトナーが停滞している状態では、トナーが停滞していない状態と比較して、減少し、停滞の度合いが高くなってトナー詰まりとなるほどその傾向は顕著である。これは、停滞してしまっているトナーの総量が増加するためと考えられる。
また、トナー回収路に振動を加えた直後の振動数は、停滞してしまっているトナーの密度が高くなるほど高周波となると考えられるので、これを用いてトナーの滞留状態を検出することもできる。
【0044】
本実施形態では、振動検出手段が検出した振動に基づいて、データ処理手段72が振動波形の減衰、振動量の減少、周波数などといった振動特性の1つ以上を特定し、詰まり状態判定・特定手段73が、この特定された振動特性を同種の特性である基準振動特性と比較してトナー状態が詰まり態などの所定の状態になったかを判定する。すなわち、検出した振動に基づく特性を利用して、トナーの滞留度合い(ひいてはトナー詰まり状態)を判定する。
ここに、振動検出手段が検出した振動に基づく特性としては、上記に例示したものの他、トナー回収路におけるトナーの滞留度合いに応じて変化する振動特性であれば種々のものを用いることができる。
【0045】
また、振動検出手段が検出した振動に基づく特性として、データ処理手段72が、検出された振動の値に演算を加えた特性を用いることもできる。
例えば、図7に示すように、減衰量として振動を加えた一定時間後の一定期間の振動値二乗積分値を、あるいは、振動を加えた直後から一定期間内の波形について、FTT演算によりスペクトルを生成し、周波数と振幅を求めて、その周波数と振幅を、あるいは、初期振動量として振動を加えた直後の一定期間の振動値二乗積分値を、振動に基づく特性として用いることもできる。
【0046】
上記判定の基準となる基準振動特性は、予め実験などにより、トナー回収路の判定しようとするトナー状態(例えば、トナー詰まり状態)において、振動検知手段で検出される振動に基づく特性を求め、この特性を詰まり状態判定・特定手段73に設定しておく。
この基準特性は、検出された振動に基づいて特定される振動特性と対応した同種の振動特性であり、本実施形態のように、複数の振動検知手段のエリア毎にトナー状態を判定する場合には、各振動検知手段の検知振動毎に設定される。
【0047】
図8には、本実施形態に係るトナー状態判定処理を示してある。
本実施形態に係るトナー状態判定処理では、加振手段61,62,63,64を駆動する加振制御処理(同図(a))と、振動検知手段65,66,67,68,69で検出した振動に基づく特性によりトナーの状態(本例では、トナー詰まり状態)を判定する判定処理(同図(b))とがなされる。
【0048】
まず、加振制御手段71が、動作制御部70から入力されるカウントメータ値が1000の倍数であるかを判定し(ステップS1)、1000の倍数であるときには、加振動作指示を出力して加振手段61,62,63,64を駆動させる(ステップS2)。
すなわち、本実施形態では、画像形成装置の形成画像枚数を1000枚として、画像形成装置がある程度稼働される毎に(すなわち、トナー回収がある程度のなされる毎に)、加振手段によりトナー回収路に振動を加える。加振を行なうカウント値を幾つに設定するかは任意である。
【0049】
そして、加振手段によりトナー回収路に振動を加えると、この振動はトナー回収路を伝搬して振動検知手段65,66,67,68,69により検出され、この検出した振動に基づいて、データ処理手段72がエリア毎の振動特性(本例では、初期振動値又は振動の減衰量の少なくとも一方)を特定(採取)する(ステップS3)。
そして、詰まり状態判定・特定手段73が、特定されたエリア毎の振動特性(採取)がエリア毎の基準振動特性となったかを判定し(ステップS4)、基準振動特性となったときには、判定結果を出力する(ステップS5)。
【0050】
なお、画像形成装置の他の機器部分からの振動もノイズとしてトナー回収路に入力されて振動検知手段により検出されることも考えられるが、このような場合には、ノイズを予め見込んだ振動特性を用いる、あるいは、フィルタ回路などで検出した振動からノイズを除去するなどの方法を採用することができる。
【0051】
したがって、トナー回収路から検出した振動に基づく特性が基準振動特性となったことにより、所定のトナー状態(本例では、トナー詰まりの状態)と判定されて出力される。
そして、この判定及び出力は、本実施形態では、振動検知手段の設置エリア毎に判定されて出力され、例えば、トナー回収路のエリア毎のトナー状態やトナー詰まりが生じたエリアなどが、入出力I/F78及びUI41により画像形成装置の利用者に知覚可能な態様で警告出力され、あるいは、通信I/F79により画像形成装置の管理者に警告通知される。これにより、利用者や管理者は、トナー詰まりの発生を把握することができ、必要なメンテナンスを行なうことができる。
【0052】
なお、基準振動特性の設定により、トナー詰まりとなる前のある程度トナーが滞留してしまった状態を判定することができることは、容易に理解されるところである。
また、加振手段や振動検知手段の個数や配置位置は必要に応じて適宜設定されることは、容易に理解されるところである。
【0053】
図9には、本発明に係る他の一実施形態を示してある。
本実施形態は、トナー詰まり状態となる予兆を判定して、これを出力するものであり、トナー状態判定機能として図9に示すような構成を有している。
なお、トナー回収路、加振手段、振動検知手段などに係る他の構成は上記の実施形態と同様であり、図9において、上記の実施形態と同様な構成は同一符号を付してある。
【0054】
本実施形態では、詰まり状態予測手段80を有しており、詰まり状態予測手段80は、データ処理手段72が特定した振動特性及び動作制御部70から出力されるカウントメータ値を用いて、トナー詰まり状態を予測するための指標値を算出する。
また、本実施形態では、詰まり状態判定・特定手段73には、上記と同種の指標値が基準値として予め設定されている。
【0055】
指標値は、例えば、「(カウントメータ値×a1)+(初期振動値×a2)+(振動減衰量×a3)+b」という予測式により算出され、本実施形態では、各振動検知手段によるエリア毎に算出され、同様に、詰まり状態判定・特定手段73にもエリア毎の基準値が設定される。
ここに、a1〜a3は回帰係数、bは定数であり、回帰係数及び定数は、予めトナー詰まり状態を再現し、その時のカウントメータ値、初期振動値、振動減衰量などの測定データに基づいて決定している。
【0056】
なお、指標値の算出には、初期振動値と振動減衰量のいずれか一方を用いるようにしてもよく、更には、初期振動値や振動減衰量以外の振動特性を用いるようにしてもよい。
したがって、指標値は振動検知手段が検出した振動に基づく特性であり、基準値は基準振動特性であるといえる。
具体的には、例えば図10に示すように、基準値は、検出振動に基づいて算出される指標値がトナー詰まり状態の値に達する前に示す値に設定される。
【0057】
本実施形態では、図8(a)と同様な処理がなされ、図8(b)に示した処理に代えて、図11に示す処理がなされる。
まず、加振手段によりトナー回収路に振動を加えると、この振動はトナー回収路を伝搬して振動検知手段65,66,67,68,69により検出され、この検出した振動に基づいて、データ処理手段72が、エリア毎の振動特性(本例では、初期振動値と振動の減衰量)を特定(採取)し、詰まり状態予測手段80が、これら初期振動値と振動の減衰量及びカウントメータ値を予測式あてはめて、エリア毎の指標値を算出する(ステップS11)。
【0058】
そして、詰まり状態判定・特定手段73が、算出されたエリア毎の指標値がエリア毎の基準値となったかを判定し(ステップS12)、基準値を上回ったときには、判定結果を出力する(ステップS13)。
したがって、図10に示すように、カウントメータ値が大きくなる毎に増加する指標値に対して、詰まり状態となる前の所定の値を基準値として設定しておくことで、上記判定結果の出力によって利用者や管理者はトナー詰まり状態となってしまうこと(予兆)を事前に把握することができる。
【0059】
ここで、上記2つの実施形態を通して、振動検出手段や加振手段の個数は、必要に応じて任意に設定すればよいが、例えば、判定に用いる振動特性の種類を増やすことにより、これらの個数を少なくすることも可能である。
なお、振動検出手段や加振手段を1つずつとして、特にエリアを特定せずに、トナー状態を判定するようにしてもよい。
【0060】
また、上記2つの実施形態を通して、トナー回収路への加振をカウント値に応じて行なっており、画像形成装置のジョブの途中でも加振に基づくトナー状態判定がなされるが、例えば、ジョブの途中となる場合には、ジョブが終了するまで加振開始を保留して、ジョブ終了後に加振動作を行う、あるいは、ジョブを一旦休止して、加振及び判定処理を行ない、これが終了した後にジョブを再開する、などといったように種々な態様を採用することができる。
なお、カウント値などの画像形成装置の稼働状態を考慮せずに、振動検出手段や加振手段などの判定に係る機能を常時動作させてトナー状態を常時判定するようにしてもよく、また、判定用にタイマーを別途設けて、画像形成装置の稼働状態にかかわらず、所定のタイマー値に基づいて振動検出手段や加振手段などの判定に係る機能を動作させるようにしてもよい。
【0061】
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)といった4色のトナーで現像する画像形成装置を例にして説明したが、本発明は、例えば、これに透明トナーを加えた5色のトナーで現像する画像形成装置、ブラック(K)の1色のトナーで現像する画像形成装置など、トナー現像を行なう画像形成装置であれば、そのトナーの種類や数、更には、画像形成装置の形式などに特に限定はない。
【符号の説明】
【0062】
17,17Y,17M,17C,17K:ドラムクリーナ、
50Y,50C,50M,50K,51,52:トナー回収路、
53:トナー回収ボトル、 61,62,63,64:加振手段、
65,66,67,68,69:振動検知手段、 70:動作制御部、
71:加振制御手段、 72:データ処理手段、
73:詰まり状態判定・特定手段、 80:詰まり状態予測手段、
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーの状態を検知する機能を有するトナー回収装置、画像形成装置、及び、画像形成装置のコンピュータにトナーの状態の検知機能を実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、例えば、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置、これらの機能を併せもった複合機など、紙などの記録材にトナーによって画像を形成する装置である。
このような画像形成装置では、形成する画像の細密度を上げるなどと言った要請から、トナーの細粒化が進んでいる。
また、このような画像形成装置には、トナー回収路を通して画像形成に不要となったトナーを回収するトナー回収装置が備えられている。
【0003】
特許文献1には、トナーをキャリアと混合させた現像剤の嵩密度・流動性を検知できるようにするため、圧力検知手段の圧力検知側を現像剤に対して能動的に駆動したときに圧力検知手段が現像剤から受ける圧力を検知し、現像剤の状態検知する現像剤状態検知装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、現像部とは別に設けられて該現像部から回収された現像剤を収容して攪拌する現像剤攪拌部と、現像部と現像剤攪拌部との間で現像剤を循環させる循環部とを備え、現像剤攪拌部には、回転数を任意に制御可能な攪拌部材と、該攪拌部材のトルクを検知可能なトルクセンサとが設けられ、攪拌部材の回転数を変化させたときのトルクセンサの出力値に基づき現像剤の劣化を検知する現像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−106590号公報
【特許文献2】特開2010−122537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トナーは粉体であることから、回収路にトナーが滞留してしまう場合があり、回収路における滞留によりトナーの回収が滞ってしまうという課題があった。
本発明は、トナー回収路に加えた振動の特性により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の画像形成装置は、トナー回収路と、前記トナー回収路に振動を加える加振手段と、前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備える。
【0008】
請求項2に記載の画像形成装置は、トナー回収路に振動を加える加振手段と、前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、を備える。
【0009】
請求項3に記載の画像形成装置は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記検出手段は、複数設けられて、前記トナー回収路の異なる複数箇所から振動を検出し、前記判定手段は、これら検出手段により検出された振動に基づく特性が、前記基準振動特性となったことを判定し、前記出力手段は、前記判定手段による検出手段毎の判定結果を出力する。
【0010】
請求項4に記載の画像形成装置は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を表すものとして予め設定されており、前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を判定し、前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を示す情報を出力する。
【0011】
請求項5に記載の画像形成装置は、請求項2又は3に記載の画像形成装置において、前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を表すものとして予め設定されおり、前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を判定し、前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を示す情報を出力する。
【0012】
請求項6に記載の画像形成装置は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記検出手段は振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方を検出し、前記振動に基づく特性は、前記振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方に、画像形成装置の稼働カウント値を加えた指標値である。
【0013】
請求項7に記載のトナー状態判定プログラムは、トナー回収路から検出された振動に基づく特性と予め設定された基準振動特性とを比較して、前者が後者となったことを判定する判定機能と、当該判定機能による判定結果を出力する出力機能とを、画像形成装置のコンピュータにより構成する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のトナー回収装置によると、トナー回収路の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することができる。
【0015】
請求項2に記載の画像形成装置によると、トナー回収路の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することができる。
【0016】
請求項3に記載の画像形成装置によると、トナー回収路の複数箇所の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路の複数の箇所毎のトナーの状態を検知することができる。
【0017】
請求項4に記載の画像形成装置によると、トナー回収路内でトナーが停滞してしまっている状態を検知することができる。
【0018】
請求項5に記載の画像形成装置によると、トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を検出することができる。
【0019】
請求項6に記載の画像形成装置によると、画像形成装置の稼働状態を加味して、トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を検出することができる。
【0020】
請求項7に記載の画トナー状態判定プログラムによると、トナー回収路の振動に基づく特性の変化により、トナー回収路におけるトナーの状態を検知することができる機能を、画像形成装置のコンピュータにより構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部の機能構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の要部のコンピュータハードウエア構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の画像形成部の構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る画像形成装置のトナー回収部の構成図である。
【図5】図4中の一部を拡大して示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る振動の基づく特性を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る振動の基づく特性を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る処理を説明する図である。
【図9】本発明の他の一実施形態に係る画像形成装置の要部の機能構成図である。
【図10】本発明の他の一実施形態に係る振動の基づく特性を説明する図である。
【図11】本発明の他の一実施形態に係る処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明を実施する画像形成装置の一例を説明する。
図3には、本例の画像形成装置における画像形成部の構造を例示してある。
図示の画像形成装置は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式であり、代表的な機能部として、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を用紙P(記録材の一例)に一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器34と、を備えている。
また、本例の画像形成装置は、各部の動作を制御する制御部40、利用者への情報の提示や利用者からの指示を受け付けるためのユーザインタフェース(UI)41、を備えている。
【0023】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々は、矢印A方向に回転する感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)を有する。また、感光体ドラム11の各々の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電器12、感光体ドラム11上に露光ビームBmを照射して静電潜像を書き込む露光器13、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化したトナー像を形成する現像器14、感光体ドラム11上に形成された各色成分のトナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に重畳転写する一次転写ロール16、感光体ドラム11上の残留トナーを除去するドラムクリーナ17(17Y,17M,17C,17K)、といった各種の電子写真用デバイスが順次配設されている。
【0024】
これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の順に、略直線状に配置されており、中間転写ベルト15に対して接離可能に構成されている。
また、図示の画像形成装置は、用紙搬送系として、用紙収容部から用紙Pを取り出して二次転写部20へと送り込む給紙動作を行う給紙機構部31と、二次転写部20を通過した用紙Pを定着器34側へと搬送する搬送ベルト32と、用紙Pを定着器34の入口へとガイドする定着入口ガイド33と、定着器34から排紙された用紙Pをガイドする排紙ガイド35と、排紙ガイド35によりガイドされた用紙Pを装置外部に排出する排紙ロール36と、を備えている。
【0025】
すなわち、給紙機構部31により用紙収容部から二次転写部20へと給紙された用紙Pは、二次転写部20にて中間転写ベルト15上のトナー像が静電転写された後、中間転写ベルト15から剥離された状態で搬送ベルト32へと搬送される。そして、搬送ベルト32により、定着器34の動作速度に合わせて、定着入口ガイド33を介して定着器34まで搬送される。定着器34に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器34によって熱及び圧力を加える定着処理を受けることで用紙P上に定着される。その後、定着画像が形成された用紙Pは、排紙ガイド35及び排紙ロール36を介して、装置外部に設けられた排紙収容部(図示せず)へと搬送される。
【0026】
ここで、各ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kは不要となった残留トナーを感光体ドラム11上から除去するが、この除去したトナーは画像形成装置に備えられたトナー回収装置により回収される。
図3に示す、本発明の一実施形態に係る画像形成装置には、図4及び図5に例示するトナー回収装置が備えられている。
【0027】
このトナー回収装置は、画像形成装置のハウジングに内蔵されて設けられ、ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kに各々の上端が連結されて縦方向に延びて設けられた円筒状のトナー回収路50Y,50M,50C,50Kと、トナー回収路50Y,50M,50C,50Kの下端に連結されて横方向に延びて設けられた円筒状のトナー回収路51と、トナー回収路51の先端に連結されて縦方向に延びて設けられた円筒状のトナー回収路52と、トナー回収路52の下端に連結されたトナー回収ボトル53と、を備えている。
したがって、トナー回収路50Y,50M,50C,50K、トナー回収路51、トナー回収路52により、各ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kからトナー回収ボトル53に至るトナー回収路が構成されている。
【0028】
各々のトナー回収路50Y,50M,50C,50K、51、52には、図5に詳示すような螺旋状に鍔部を形成したオーガ54Y,54M,54C,54K、55、56が軸周りに回転自在に収容されており、各オーガ54Y,54M,54C,54K、55、56の端部にはモータ57Y,57M,57C,57K、58、59が設けられている。
したがって、図4及び図5中に矢印で示すように、制御部40の制御下でモータ57Y,57M,57C,57K、58、59を作動させることにより各トナー回収路内でオーガが回転し、これによって、各トナー回収路内でオーガの鍔部によりトナーが送られ、各ドラムクリーナ17Y,17M,17C,17Kから回収されたトナーがトナー回収路を通してトナー回収ボトル53へ搬送される。
【0029】
なお、オーガを用いてトナーを搬送することからトナー回収路は円筒としたが、搬送手段の態様に応じて、円筒状でなくともよく、回収トナーを支障なく搬送できる態様であれば、トナー回収路の形状やトナー搬送手段に特に限定はない。
【0030】
ここで、トナーは細粒であることから、図5に示すように、回収されるべきトナーTがトナー回収路の内壁に付着して滞留してしまうことがある。トナー回収路での滞留は、トナーの細粒化にともなって、細粒トナーの流動性の劣化が顕著に表れる傾向があるので顕著となる。
そして、画像形成装置の他の機器との配置関係から、トナー回収路は図4に示したように屈曲させて設けられる場合が多く、トナー回収路の屈曲部には、図5に示すように、回収されるべきトナーTがトナー回収路の内壁に付着もしくは、トナー無搬送空間の形成によって滞留してしまう傾向が顕著となる。
【0031】
このような滞留が進むとトナーはトナー回収路内に停滞してしまうことになり、回収されるべきトナーの詰まりを生じて、画像形成装置の正常な運転に支障を来す事態を招いてしまう。
そのため、トナー詰まりを防止・除去するために定期的なメンテナンスを行なう必要があるが、トナー回収路内のトナーの状態を把握することができず、適切なタイミングでメンテナンスを行なうことができないといった課題があった。
【0032】
そこで、本発明に係る一実施形態では、図4及び図5に示すように、各トナー回収路50K,50C,50M,50Yの上端部にそれぞれ加振手段61,62,63,64を設け、また、これらトナー回収路50K,50C,50M,50Yの下端部にそれぞれ振動検知手段65,66,67,68を設け、更に、トナー回収路51のトナー回収路52と連結される屈曲部近傍に振動検知手段69を設け、加振手段61,62,63,64が発生した振動がトナー回収路を伝搬して各振動検知手段65,66,67,68,69により検出される構成としている。
【0033】
なお、振動の検出範囲を広くするために、加振手段と振動検知手段とは、トナー回収路のできるだけ上流とできるだけ下流とに分けて配置するのが好ましい。
また、上記のように複数のトナー回収路を接続して一連のトナー回収路を構成する場合には、各トナー回収路の接合部(例えば、トナー回収路を構成するパイプのジョイント部)による振動伝搬への影響を抑制するため、一連のトナー回収路に対して接合部で区切られる区間単位で加振手段及び振動検知手段を設けるのが好ましい。
【0034】
加振手段61,62,63,64として、例えば、電磁ソレノイドなどの公知の振動発生器を適宜採用することができ、本実施形態のように、一定した振幅及び周波数の振動を発生し、そして、正確なオンオフ制御ができる振動発生器を用いるのが好ましい。
振動検知手段65,66,67,68,69として、例えば、公知の振動センサを適宜採用することができる。
また、トナー回収路は、金属製、硬質プラスチック製など、振動伝達率の良い材質で形成するのが好ましい。
【0035】
そして、本実施形態の画像形成装置は、図1に示すような構成を有するトナー状態判定機能を有しており、この判定機能が、各振動検知手段65,66,67,68,69が検出した振動に基づく特性により、トナー回収路内におけるトナーの滞留度合いなどの状態を判定する。
なお、図1には、振動検知手段65,66,67、加振手段61,62,63を代表し、図4に示した他の振動検知手段68,69や加振手段64は簡略化のために記載を省略してある。また、図1には、トナー回収路を通してトナー回収ボトル53へトナーを搬送するトナー回収装置を有する画像形成装置を被監視装置として示してある。
【0036】
すなわち、本実施形態の画像形成装置は、トナー状態判定機能に係る構成として、画像形成装置の稼働状態を示す情報(カウントメータ値)を出力する動作制御部70、当該カウントメータ値に応じて加振手段61,62,63,64を駆動して振動を発生させる加振制御手段71、振動検知手段65,66,67,68,69が検出した振動に基づいて当該振動の特性を特定するデータ処理手段72、データ処理手段72が特定した振動特性が予め設定されている基準振動特性となったことを判定して、当該判定結果(判定結果通知)を出力する詰まり状態判定・特定手段73を有している。
【0037】
ここで、本実施形態では、カウントメータ値として画像形成装置が形成して出力した画像の枚数を用いるが、画像形成装置の累積稼働時間など、トナーの時間経過の伴う状態変化を示す種々な情報を用いることができる。
【0038】
また、本実施例では、振動検知手段をトナー回収路に対して場所を違えて複数設け、各振動検知手段で検出される振動に基づいて、状態判定・特定手段73は、振動検知手段の設置地位に対応するトナー回収路中のエリアを特定して、トナーの状態を判定して判定結果通知として出力するが、このようにエリアを特定せずに判定結果通知を出力するようにしてもよく、また、振動検知手段をトナー回収路に対して適宜の場所に1つ設けて、トナー回収路のトナーの状態を判定して判定結果通知として出力するようにしてもよい。すなわち、振動検知手段の個数や設置位置は任意に定めることができる。また、加振手段についても、対象とするトナー回収路に必要な振動を加えることができれば、その個数や設置位置は任意に定めることができる。
【0039】
本実施形態の画像形成装置は、図2に示すように、CPU74、RAM75、ROM76、補助記憶装置77、入出力I/F78、通信I/F79等を備えたコンピュータハードウエアを有しており、本実施形態に係るトナー状態判定プログラムが当該コンピュータハードウエアにより実行されることにより、動作制御部70、加振制御手段71、データ処理手段72、詰まり状態判定・特定手段73が構成され、これら各機能手段が本実施形態に係る処理を行なう。
【0040】
本実施形態では、上記のオーガを備えたトナー回収路、加振手段、振動検知手段、動作制御部70、加振制御手段71、データ処理手段72、詰まり状態判定・特定手段73が、画像形成装置に備えられるトナー状態判定機能付きのトナー回収装置を構成する。
次に、このトナー回収装置の動作例を詳細に説明する。
【0041】
加振手段から加えた振動はトナー回収路を伝搬して振動検知手段によって検出されるが、この検出される振動はトナー回収路におけるトナーの停滞度合いによって変化することを利用して、トナー回収路におけるトナーの停滞度合い(すなわち、トナーが停滞して詰まりが生じた状態など)を判定する。
また、トナー回収路の或る箇所にトナー詰まりが発生すると、詰まり発生箇所の周辺に振動を加えると、その振動値が詰まりのない状態に比べて変化することに着目し、トナー回収路の複数の箇所に振動検知手段を設け、箇所毎の検出振動値を計測し、詰まり発生時の特徴的な振動傾向(振動特性)を抽出し、これを予め設定した基準振動特性と比較することにより、詰まりを判定する。
【0042】
加振初段からトナー回収路に振動を加え、トナー回収路を伝搬してきた振動を振動検知手段により検出すると、この検出された振動の波形は、図6に示すように、トナー詰まりの発生がない状態(同図(a))と、トナー詰まり発生がある状態(同図(b))とでは異なる。
例えば、図6に示すように、振動波形の減衰は、トナー回収路内にトナーが停滞している状態では、トナーが停滞していない状態と比較して、減衰が早くなり、停滞の度合いが高くなってトナー詰まりとなるほどその傾向は顕著である。これは、停滞してしまっているトナーの密度が高くなるためと考えられる。
【0043】
また、例えば、図6に示すように、トナー回収路に振動を加えた直後の振動量は、トナー回収路内にトナーが停滞している状態では、トナーが停滞していない状態と比較して、減少し、停滞の度合いが高くなってトナー詰まりとなるほどその傾向は顕著である。これは、停滞してしまっているトナーの総量が増加するためと考えられる。
また、トナー回収路に振動を加えた直後の振動数は、停滞してしまっているトナーの密度が高くなるほど高周波となると考えられるので、これを用いてトナーの滞留状態を検出することもできる。
【0044】
本実施形態では、振動検出手段が検出した振動に基づいて、データ処理手段72が振動波形の減衰、振動量の減少、周波数などといった振動特性の1つ以上を特定し、詰まり状態判定・特定手段73が、この特定された振動特性を同種の特性である基準振動特性と比較してトナー状態が詰まり態などの所定の状態になったかを判定する。すなわち、検出した振動に基づく特性を利用して、トナーの滞留度合い(ひいてはトナー詰まり状態)を判定する。
ここに、振動検出手段が検出した振動に基づく特性としては、上記に例示したものの他、トナー回収路におけるトナーの滞留度合いに応じて変化する振動特性であれば種々のものを用いることができる。
【0045】
また、振動検出手段が検出した振動に基づく特性として、データ処理手段72が、検出された振動の値に演算を加えた特性を用いることもできる。
例えば、図7に示すように、減衰量として振動を加えた一定時間後の一定期間の振動値二乗積分値を、あるいは、振動を加えた直後から一定期間内の波形について、FTT演算によりスペクトルを生成し、周波数と振幅を求めて、その周波数と振幅を、あるいは、初期振動量として振動を加えた直後の一定期間の振動値二乗積分値を、振動に基づく特性として用いることもできる。
【0046】
上記判定の基準となる基準振動特性は、予め実験などにより、トナー回収路の判定しようとするトナー状態(例えば、トナー詰まり状態)において、振動検知手段で検出される振動に基づく特性を求め、この特性を詰まり状態判定・特定手段73に設定しておく。
この基準特性は、検出された振動に基づいて特定される振動特性と対応した同種の振動特性であり、本実施形態のように、複数の振動検知手段のエリア毎にトナー状態を判定する場合には、各振動検知手段の検知振動毎に設定される。
【0047】
図8には、本実施形態に係るトナー状態判定処理を示してある。
本実施形態に係るトナー状態判定処理では、加振手段61,62,63,64を駆動する加振制御処理(同図(a))と、振動検知手段65,66,67,68,69で検出した振動に基づく特性によりトナーの状態(本例では、トナー詰まり状態)を判定する判定処理(同図(b))とがなされる。
【0048】
まず、加振制御手段71が、動作制御部70から入力されるカウントメータ値が1000の倍数であるかを判定し(ステップS1)、1000の倍数であるときには、加振動作指示を出力して加振手段61,62,63,64を駆動させる(ステップS2)。
すなわち、本実施形態では、画像形成装置の形成画像枚数を1000枚として、画像形成装置がある程度稼働される毎に(すなわち、トナー回収がある程度のなされる毎に)、加振手段によりトナー回収路に振動を加える。加振を行なうカウント値を幾つに設定するかは任意である。
【0049】
そして、加振手段によりトナー回収路に振動を加えると、この振動はトナー回収路を伝搬して振動検知手段65,66,67,68,69により検出され、この検出した振動に基づいて、データ処理手段72がエリア毎の振動特性(本例では、初期振動値又は振動の減衰量の少なくとも一方)を特定(採取)する(ステップS3)。
そして、詰まり状態判定・特定手段73が、特定されたエリア毎の振動特性(採取)がエリア毎の基準振動特性となったかを判定し(ステップS4)、基準振動特性となったときには、判定結果を出力する(ステップS5)。
【0050】
なお、画像形成装置の他の機器部分からの振動もノイズとしてトナー回収路に入力されて振動検知手段により検出されることも考えられるが、このような場合には、ノイズを予め見込んだ振動特性を用いる、あるいは、フィルタ回路などで検出した振動からノイズを除去するなどの方法を採用することができる。
【0051】
したがって、トナー回収路から検出した振動に基づく特性が基準振動特性となったことにより、所定のトナー状態(本例では、トナー詰まりの状態)と判定されて出力される。
そして、この判定及び出力は、本実施形態では、振動検知手段の設置エリア毎に判定されて出力され、例えば、トナー回収路のエリア毎のトナー状態やトナー詰まりが生じたエリアなどが、入出力I/F78及びUI41により画像形成装置の利用者に知覚可能な態様で警告出力され、あるいは、通信I/F79により画像形成装置の管理者に警告通知される。これにより、利用者や管理者は、トナー詰まりの発生を把握することができ、必要なメンテナンスを行なうことができる。
【0052】
なお、基準振動特性の設定により、トナー詰まりとなる前のある程度トナーが滞留してしまった状態を判定することができることは、容易に理解されるところである。
また、加振手段や振動検知手段の個数や配置位置は必要に応じて適宜設定されることは、容易に理解されるところである。
【0053】
図9には、本発明に係る他の一実施形態を示してある。
本実施形態は、トナー詰まり状態となる予兆を判定して、これを出力するものであり、トナー状態判定機能として図9に示すような構成を有している。
なお、トナー回収路、加振手段、振動検知手段などに係る他の構成は上記の実施形態と同様であり、図9において、上記の実施形態と同様な構成は同一符号を付してある。
【0054】
本実施形態では、詰まり状態予測手段80を有しており、詰まり状態予測手段80は、データ処理手段72が特定した振動特性及び動作制御部70から出力されるカウントメータ値を用いて、トナー詰まり状態を予測するための指標値を算出する。
また、本実施形態では、詰まり状態判定・特定手段73には、上記と同種の指標値が基準値として予め設定されている。
【0055】
指標値は、例えば、「(カウントメータ値×a1)+(初期振動値×a2)+(振動減衰量×a3)+b」という予測式により算出され、本実施形態では、各振動検知手段によるエリア毎に算出され、同様に、詰まり状態判定・特定手段73にもエリア毎の基準値が設定される。
ここに、a1〜a3は回帰係数、bは定数であり、回帰係数及び定数は、予めトナー詰まり状態を再現し、その時のカウントメータ値、初期振動値、振動減衰量などの測定データに基づいて決定している。
【0056】
なお、指標値の算出には、初期振動値と振動減衰量のいずれか一方を用いるようにしてもよく、更には、初期振動値や振動減衰量以外の振動特性を用いるようにしてもよい。
したがって、指標値は振動検知手段が検出した振動に基づく特性であり、基準値は基準振動特性であるといえる。
具体的には、例えば図10に示すように、基準値は、検出振動に基づいて算出される指標値がトナー詰まり状態の値に達する前に示す値に設定される。
【0057】
本実施形態では、図8(a)と同様な処理がなされ、図8(b)に示した処理に代えて、図11に示す処理がなされる。
まず、加振手段によりトナー回収路に振動を加えると、この振動はトナー回収路を伝搬して振動検知手段65,66,67,68,69により検出され、この検出した振動に基づいて、データ処理手段72が、エリア毎の振動特性(本例では、初期振動値と振動の減衰量)を特定(採取)し、詰まり状態予測手段80が、これら初期振動値と振動の減衰量及びカウントメータ値を予測式あてはめて、エリア毎の指標値を算出する(ステップS11)。
【0058】
そして、詰まり状態判定・特定手段73が、算出されたエリア毎の指標値がエリア毎の基準値となったかを判定し(ステップS12)、基準値を上回ったときには、判定結果を出力する(ステップS13)。
したがって、図10に示すように、カウントメータ値が大きくなる毎に増加する指標値に対して、詰まり状態となる前の所定の値を基準値として設定しておくことで、上記判定結果の出力によって利用者や管理者はトナー詰まり状態となってしまうこと(予兆)を事前に把握することができる。
【0059】
ここで、上記2つの実施形態を通して、振動検出手段や加振手段の個数は、必要に応じて任意に設定すればよいが、例えば、判定に用いる振動特性の種類を増やすことにより、これらの個数を少なくすることも可能である。
なお、振動検出手段や加振手段を1つずつとして、特にエリアを特定せずに、トナー状態を判定するようにしてもよい。
【0060】
また、上記2つの実施形態を通して、トナー回収路への加振をカウント値に応じて行なっており、画像形成装置のジョブの途中でも加振に基づくトナー状態判定がなされるが、例えば、ジョブの途中となる場合には、ジョブが終了するまで加振開始を保留して、ジョブ終了後に加振動作を行う、あるいは、ジョブを一旦休止して、加振及び判定処理を行ない、これが終了した後にジョブを再開する、などといったように種々な態様を採用することができる。
なお、カウント値などの画像形成装置の稼働状態を考慮せずに、振動検出手段や加振手段などの判定に係る機能を常時動作させてトナー状態を常時判定するようにしてもよく、また、判定用にタイマーを別途設けて、画像形成装置の稼働状態にかかわらず、所定のタイマー値に基づいて振動検出手段や加振手段などの判定に係る機能を動作させるようにしてもよい。
【0061】
また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)といった4色のトナーで現像する画像形成装置を例にして説明したが、本発明は、例えば、これに透明トナーを加えた5色のトナーで現像する画像形成装置、ブラック(K)の1色のトナーで現像する画像形成装置など、トナー現像を行なう画像形成装置であれば、そのトナーの種類や数、更には、画像形成装置の形式などに特に限定はない。
【符号の説明】
【0062】
17,17Y,17M,17C,17K:ドラムクリーナ、
50Y,50C,50M,50K,51,52:トナー回収路、
53:トナー回収ボトル、 61,62,63,64:加振手段、
65,66,67,68,69:振動検知手段、 70:動作制御部、
71:加振制御手段、 72:データ処理手段、
73:詰まり状態判定・特定手段、 80:詰まり状態予測手段、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー回収路と、
前記トナー回収路に振動を加える加振手段と、
前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするトナー回収装置。
【請求項2】
トナー回収路に振動を加える加振手段と、
前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、複数設けられて、前記トナー回収路の異なる複数箇所から振動を検出し、
前記判定手段は、これら検出手段により検出された振動に基づく特性が、前記基準振動特性となったことを判定し、
前記出力手段は、前記判定手段による検出手段毎の判定結果を出力する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を表すものとして予め設定されており、
前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を判定し、
前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を示す情報を出力する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を表すものとして予め設定されおり、
前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を判定し、
前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を示す情報を出力する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段は振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方を検出し、
前記振動に基づく特性は、前記振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方に、画像形成装置の稼働カウント値を加えた指標値であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナー回収路から検出された振動に基づく特性と予め設定された基準振動特性とを比較して、前者が後者となったことを判定する判定機能と、当該判定機能による判定結果を出力する出力機能とを、画像形成装置のコンピュータにより構成することを特徴とするトナー状態判定プログラム。
【請求項1】
トナー回収路と、
前記トナー回収路に振動を加える加振手段と、
前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするトナー回収装置。
【請求項2】
トナー回収路に振動を加える加振手段と、
前記トナー回収路の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された振動に基づく特性が、予め設定された基準振動特性となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、複数設けられて、前記トナー回収路の異なる複数箇所から振動を検出し、
前記判定手段は、これら検出手段により検出された振動に基づく特性が、前記基準振動特性となったことを判定し、
前記出力手段は、前記判定手段による検出手段毎の判定結果を出力する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を表すものとして予め設定されており、
前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を判定し、
前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞している状態を示す情報を出力する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記基準振動特性は、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を表すものとして予め設定されおり、
前記判定手段は、前記検出手段により検出された振動に基づく特性が前記基準振動特性となったことを判定することで、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を判定し、
前記出力手段は、前記判定手段による判定結果として、前記トナー回収路内でトナーが停滞する予兆を示す情報を出力する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検出手段は振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方を検出し、
前記振動に基づく特性は、前記振動の初期振動値又は減衰量の少なくとも一方に、画像形成装置の稼働カウント値を加えた指標値であることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
トナー回収路から検出された振動に基づく特性と予め設定された基準振動特性とを比較して、前者が後者となったことを判定する判定機能と、当該判定機能による判定結果を出力する出力機能とを、画像形成装置のコンピュータにより構成することを特徴とするトナー状態判定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−109062(P2013−109062A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252433(P2011−252433)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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