説明

トナー組成物

【課題】電子写真印刷物の作製における使用に適した燐光トナーを提供する。
【解決手段】5ミクロン〜50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上の樹脂コーティングと、を含み、前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、トナーを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光インクおよび蛍光染料は、文書セキュリティ産業において認証のための特徴物(authenticating feature)として使用され得る。安全な書類、例えば偽造が困難な書類は、従来、蛍光剤を単独または一般的なインクおよび/もしくは顔料と組み合わせて含むインクを用いて作製することができた。蛍光インクを用いて印刷された特徴物は通常、セキュリティインクが無色であるため、または書類中のその他の着色剤によりマスキングされているため、可視光下では見えない。しかし、紫外線照射下では、蛍光染料による可視スペクトル中の明るい発光で、文書の蛍光特徴物が明らかになる。例えば特定の紙幣は、ホログラフィーのパッチ、マイクロ印刷、マイクロテクスチュア等の目に見える特徴を利用して、紙幣に埋め込まれた付加的な蛍光スレッドおよび/または多色の印(emblem)を隠しており、これは特定の光周波数の下でのみ明らかになる。これらの特徴物により、そのような文書のコピープロセスがより困難になり、偽造者に対するセキュリティのレベルが強化される。
【0003】
燐光画像は、セキュリティ用、および特殊効果用などの電子写真用途において同様に有用であり得る。燐光は、蛍光に関係する光ルミネセンス(photoluminescence)の一種であるが、蛍光と異なり、燐光材料は吸収した放射線をすぐには再放出しない。このような燐光画像は、外部光源が取り除かれた後も発光し続け、これは蛍光材料では不可能である。
【0004】
市販の燐光顔料が存在する一方、それらの顔料のメジアン径範囲は5〜>50ミクロンと、トナーと同じサイズかそれより大きく、トナー粒子に導入するには大きすぎる。この根本的な制限は、燐光材料の特性を維持するために巨大な粒子サイズの顔料が必要であるという、基本的な物理的原則による。現在利用可能な従来の化学的なトナープロセスでは、これらの大きな顔料を導入することができない。したがって、現在、そのような巨大顔料粒子を乳化凝集(EA)トナープロセス中に含めることは不可能である。
【0005】
また、顔料粒子をトナー樹脂と溶融混合することは可能であるが、燐光顔料はサイズが大きいため、トナーのサイズが20〜30ミクロンであっても、顔料粒子がトナーの大部分(bulk)を占めてしまう。例えば、20ミクロンの顔料粒子1個を含む35ミクロンのトナーでは、顔料の充填量が約40%になる。したがって、そのような顔料充填量の大きいそのような大きなトナー粒子を吐出することは非常に困難である。また、顔料がそのように大きいと、20〜30ミクロンのトナーであっても、各トナー粒子中に含まれる顔料粒子は少量になる。統計的には、このようなトナーは非常に不均質であり、多くの粒子が顔料粒子を含まない一方で、他の粒子は1または場合により2または3個の顔料粒子を含み得る。したがって、これまで、燐光電子写真印刷物を直接作製することは不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3590000号明細書
【特許文献2】米国特許第3655374号明細書
【特許文献3】米国特許第3674736号明細書
【特許文献4】米国特許第3720617号明細書
【特許文献5】米国特許第3847604号明細書
【特許文献6】米国特許第3944493号明細書
【特許文献7】米国特許第3983045号明細書
【特許文献8】米国特許第4295990号明細書
【特許文献9】米国特許第4935326号明細書
【特許文献10】米国特許第4937166号明細書
【特許文献11】米国特許第5236629号明細書
【特許文献12】米国特許第5290654号明細書
【特許文献13】米国特許第5330874号明細書
【特許文献14】米国特許第6004714号明細書
【特許文献15】米国特許第6063827号明細書
【特許文献16】米国特許第6190815号明細書
【特許文献17】米国特許第6593049号明細書
【特許文献18】米国特許第6713222号明細書
【特許文献19】米国特許第6756176号明細書
【特許文献20】米国特許第6764799号明細書
【特許文献21】米国特許第6830860号明細書
【特許文献22】米国特許第7507513号明細書
【特許文献23】米国特許第7507515号明細書
【特許文献24】米国特許第7507517号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2003/0054277号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第2006/0222991号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0193869号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2009/0059252号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、電子写真印刷物の作製における使用に適した燐光トナーの製造方法がいまだ望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示により下記の手段が提供される。
<1> 5ミクロン〜50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、
前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上の樹脂コーティングと、
を含み、
前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、
トナー。
<2> 前記燐光顔料が、Mn、Cu、およびその組合せからなる群から選択される金属でドープされていてもよいZnS;Dy、Eu、Nd、およびその組合せからなる群から選択される希土類金属でドープされていてもよいアルカリ土類アルミン酸塩;Dy、Eu、Nd、およびその組合せからなる群から選択される希土類金属でドープされていてもよいアルカリ土類ケイ酸塩;ならびにその組合せからなる群から選択される、<1>に記載のトナー。
<3> 5ミクロン〜50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、
前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上のコーティングとして、非晶性ポリエステルを含む樹脂と、
を含み、
前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、
トナー。
<4> 10ミクロン〜40ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、
前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上のコーティングとして、非晶性ポリエステルを含む樹脂と、
を含み
前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、
トナー。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、トナーおよび燐光特性を有する粒子を製造するためのプロセスを提供する。ある実施形態では、本開示のトナーは、約5ミクロン〜約50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と;燐光顔料の表面の少なくとも一部の上の樹脂コーティングと;所望によって用いてもよい、樹脂コーティングの少なくとも一部の上の表面添加剤と;を含んでいてもよく、燐光顔料の励起波長は約200nm〜約750nmである。
【0010】
更に別の実施形態では、本開示のトナーは、約5ミクロン〜約50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と;燐光顔料の表面の少なくとも一部の上のコーティングとして、所望によって結晶性ポリエステルと組み合わせてもよい、非晶性ポリエステルを含む樹脂と;所望によって用いてもよい、樹脂コーティングの少なくとも一部の上の表面添加剤と;含んでいてもよく、燐光顔料の励起波長は約200nm〜約750nmである。
【0011】
更に別の実施形態では、本開示のトナーは、約10ミクロン〜約40ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と;燐光顔料の表面の少なくとも一部の上のコーティングとして、所望によって結晶性ポリエステルと組み合わせてもよい、非晶性ポリエステルを含む樹脂と;所望によって用いてもよい、樹脂コーティングの少なくとも一部の上の表面添加剤と;含んでいてもよく、燐光顔料の励起波長は約200nm〜約750nmである。
【0012】
本開示は、トナーおよび燐光特性を有する粒子を製造するためのプロセスを提供する。本開示によれば、樹脂でコーティングされた燐光顔料はコーティングされた顔料粒子であるが、実施形態ではこれを燐光トナーということがある。本開示の燐光トナーは、実施形態では、セキュリティ、芸術、および低照明用途の燐光剤を含み得る。
【0013】
本開示によれば、大きな燐光顔料粒子(サイズは約5ミクロン〜約50ミクロン超)は、粉末コーティングプロセスによりコーティングされ得る。巨大顔料粒子を、乾燥された樹脂ラテックス樹脂と乾燥ブレンドして、それによって顔料表面をコーティングし、その後、ロータリーキルンまたは押出機中で加熱および剪断してトナー樹脂を溶融し、顔料表面に融着させてもよい。
【0014】
本開示に係る使用のための燐光顔料は、当業者に公知の任意のそのような顔料を含む。実施形態における好適な顔料としては、必要に応じてMnおよび/またはCuがドープされてもよいZnS等のZnS顔料が含まれる。そのようなZnS顔料としては、USRオプトニクス社(USR Optonix Inc.)から市販されている約12ミクロン〜約30ミクロンのサイズで利用可能であり且つ緑色のグローを有する2330等のCuがドープされたZnS、およびUSRオプトニクス社からP170 SPS BLUEとして市販されている粒子サイズが約18ミクロンで青色のグローを有するSr2MgSi27が含まれる。好適な燐光顔料のその他の例としては、アルカリ土類のアルミン酸塩およびアルカリ土類のケイ酸塩が含まれる。例えば、好適なアルカリ土類ケイ酸塩としては、根本特殊化学株式会社(Nemoto & Co., Ltd.)から市販されている青く光るLUMINOVA(登録商標)が含まれる。根本特殊化学株式会社から市販されているその他の好適なLUMINOVA(登録商標)顔料としては、粒子サイズが約2〜約60ミクロンのG−300として販売されているもの;粒子サイズが約2〜約40ミクロンのGLL300として販売されているもの等の、EuおよびDyがドープされたSrAl24;BG−300およびBGL−300として販売されているもの等の、粒子サイズが約2〜約40ミクロンのEuおよびDyがドープされたSr4Al1425;ならびにV−300として販売されているもの等の、粒子サイズが約20〜約60ミクロンのEuおよびNdがドープされたCaAl24;またはEuおよびDyがドープされたSr4Al1425とEuおよびNdがドープされたCaAl24の組合せを含むB−300として販売されているもの等の顔料の混合物が含まれる。CuがドープされたZnSである、イエロー/オレンジに光る14ミクロンのNG−15または20ミクロンのNG−20;MnおよびCuがドープされたZnSである、オレンジに光る18ミクロンのNG−25;(DyおよびEuがドープされた)Sr2MgSi27である、青色に光る26ミクロンのNGX−19;(DyおよびEuがドープされた)SrAl24である、黄緑色に光る23ミクロンのNGX−6Yも好適であり、これらは全てデイグロー社(Dayglo)から市販されている。
【0015】
燐光顔料の粒子サイズは約5ミクロン〜約50ミクロンでもよく、ある実施形態では約10ミクロン〜約40ミクロンであり得る。いくつかの実施形態では、使用することのできる市販の燐光顔料は、粒子サイズが約18ミクロンのUSRオプトニクス社製P170 SPS BLUEである。
【0016】
好適な燐光顔料は、光に曝されたときの燐光の輝度低下がゆっくりであるように、耐光性であることが望ましい。優れた耐光性は、1000時間照射を行う加速老化試験で300Wの高圧水源ランプを用いて照射した後の初期残光輝度の低下が20%未満である。
【0017】
燐光顔料の好適な励起波長は約200nm〜約750nmでもよく、ある実施形態では約225nm〜約450nmでもよい。好適な発光波長は、視覚的用途のためには可視波長であってもよく、ある実施形態では約380nm〜約750nmであってよい。
【0018】
本開示の燐光顔料用のコーティングを形成するために任意のラテックス樹脂を利用してよい。そのような樹脂も、任意の好適なモノマーからなってよい。使用される任意のモノマーは、使用される特定のポリマーに応じて選択され得る。
【0019】
実施形態では、樹脂は非晶性樹脂、結晶性樹脂、および/またはその組合せであってよい。別の実施形態では、樹脂コアの形成に用いられるポリマーは、米国特許第6,593,049号および同第6,756,176号に記載されている樹脂等のポリエステル樹脂であってよい。好適な樹脂の例にはまた、米国特許第6,830,860号に記載されているような非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂の混合物も含まれる。
【0020】
ある実施形態では、樹脂は、必要に応じて用いてもよい触媒の存在下で、ジオールと二酸を反応させて形成されるポリエステル樹脂であってよい。
【0021】
結晶性樹脂は、例えばトナー成分の約5〜約50重量パーセントで存在してもよく、ある実施形態ではトナー成分の約10〜約35重量パーセントの量で存在し得る。結晶性樹脂は、例えば約30℃〜約120℃、ある実施形態では約50℃〜約90℃のさまざまな融点を有し得る。結晶性樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(Mn)が例えば約1,000〜約50,000でもよく、ある実施形態では約2,000〜約25,000でもよい。また、結晶性樹脂のポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーで求められる重量平均分子量(Mw)は、例えば約2,000〜約100,000でもよく、ある実施形態では約3,000〜約80,000であり得る。結晶性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば約2〜約6でもよく、ある実施形態では約3〜約4であり得る。
【0022】
結晶性ポリエステルまたは非晶性ポリエステルの形成に用いることのできる重縮合触媒としては、チタン酸テトラアルキル;酸化ジブチルスズ等の酸化ジアルキルスズ;ジラウリン酸ジブチルスズ等のテトラアルキルスズ;およびブチルスズオキシドヒドロキシド等のジアルキルスズオキシドヒドロキシド;アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ(stannous oxide)、またはその組合せが含まれる。そのような触媒は、例えば、ポリエステル樹脂の作製に使用される出発材料の二酸またはジエステルを基準にして約0.01〜約5モルパーセントの量で使用され得る。
【0023】
前述のように、実施形態では、不飽和非晶性ポリエステル樹脂をラテックス樹脂として用いてもよい。
【0024】
実施形態では、好適なポリエステル樹脂は、下記の式(I)で表されるポリ(プロポキシ化ビスフェノールA co−フマラート)樹脂等の非晶性ポリエステルであってよい。
【化1】

式中、mは約5〜約1000であってよい。そのような樹脂およびその作製プロセスの例としては、米国特許第6,063,827号に開示されているものが含まれる。
【0025】
ラテックス樹脂として用いることのできる直鎖状プロポキシ化ビスフェノールAフマラート樹脂の例として、ブラジル、サンパウロのレサナS/Aインダストリアス・キミカス(Resana S/A Industrias Quimicas)から商標SPARIIとして入手可能なものが挙げられる。使用可能な市販のその他のプロポキシ化ビスフェノールAフマラート樹脂としては、日本の花王株式会社(Kao Corporation)製のGTUFおよびFPESL−2ならびにノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークのライヒホールド社(Reichhold)製のEM181635等が含まれる。
【0026】
所望によって前述の非晶性樹脂と組み合わせてもよい、使用することができる好適な結晶性樹脂の例は、米国特許出願公開第2006/0222991号に開示されているものが含まれる。ある実施形態では、好適な結晶性樹脂としては、以下の式で表される、エチレングリコールおよびドデカン二酸とフマル酸のコモノマーの混合物で形成される樹脂が含まれ得る。
【化2】

式中、bは約5〜約2000であり、dは約5〜約2000である。
【0027】
ある実施形態では、前述の式Iで表されるポリ(プロポキシ化ビスフェノールAco−フマラート)樹脂を式IIで表される結晶性樹脂と組み合わせて、燐光顔料のコーティングとして使用するのに適した樹脂を形成してよい。
【0028】
ある実施形態では、樹脂コーティングとして用いられる樹脂のガラス転移温度は約30℃〜約80℃でもよく、ある実施形態では約35℃〜約70℃であり得る。また別の実施形態では、樹脂コーティングとして用いられる樹脂の溶融粘度は、約130℃において、約10〜約1,000,000Pa・Sでもよく、ある実施形態では約20〜約100,000Pa・Sであり得る。
【0029】
別の実施形態では、樹脂は、スチレン、ブタジエン、イソプレン、アクリレート、メタクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸またはベータカルボキシエチルアクリレート(β−CEA)等のモノマーの乳化重合に由来するものでもよいが、これらのモノマーの乳化重合に由来するものに限定されるものではない。
【0030】
ある実施形態では、樹脂は、少なくとも1つのポリマーを含み得る。ある実施形態では、少なくとも1つとは、約1〜約20でもよく、ある実施形態では、少なくとも1つとは、約3〜約10であってよい。
【0031】
実施形態では、ラテックスは、バッチ重合または半連続重合により、界面活性剤を含む水相に懸濁されたサブミクロンの非架橋樹脂粒子を得ることで調製してもよい。ラテックス分散液中に用いることのできる界面活性剤は、固体の約0.01〜約15重量パーセントの量のイオン性または非イオン性の界面活性剤でもよく、ある実施形態では約0.01〜約5重量パーセントの量のイオン性または非イオン性の界面活性剤でもよい。
【0032】
実施形態では、樹脂は、水溶性開始剤、有機可溶性開始剤等の開始剤を用いて製造してよい。水溶性開始剤の例としては、モノマーの約0.1〜約8重量パーセント、ある実施形態では約0.2〜約5重量パーセント、等の好適な量で添加することのできる過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムが含まれる。
【0033】
乳化重合で樹脂を製造する場合、樹脂の分子量特性を制御するために公知の連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤の例としては、モノマーの約0.1〜約20パーセント、実施形態では約0.2〜約10重量パーセント等の種々の好適な量のドデカンチオール、ドデシルメルカプタン、オクタンチオール、四臭化炭素、四塩化炭素等が含まれる。
【0034】
樹脂粒子を得るためのその他のプロセスとしては、米国特許第3,674,736号に開示されているポリマーマイクロサスペンションプロセス、米国特許第5,290,654号に記載されているポリマー溶液マイクロサスペンションプロセス、および機械的磨砕プロセス、または当業者に公知のその他のプロセスにより作製されるものが含まれる。
【0035】
実施形態では、樹脂は非架橋型であってよく、別の実施形態では、樹脂は架橋ポリマーであってもよく、更に別の実施形態では、樹脂は非架橋型および架橋型のポリマーの組合せであってよい。架橋される場合、ジビニルベンゼンまたはその他のジビニル芳香族またはジビニルのアクリレートもしくはメタクリレートモノマー等の架橋剤を架橋樹脂中に用いてよい。架橋剤は、架橋樹脂の約0.01〜約25重量パーセントの量で存在してもよく、ある実施形態では、架橋剤は、架橋樹脂の約0.5〜約15重量パーセントの量で存在し得る。
【0036】
架橋樹脂粒子が存在する場合、架橋樹脂粒子はトナーの約0.1〜約50重量パーセントの量で存在してもよく、ある実施形態では、架橋樹脂粒子はトナー約1〜約20重量パーセントの量で存在し得る。
【0037】
1種類、2種類、またはそれ以上の樹脂を使用してもよい。2種類以上の樹脂を用いる実施形態では、樹脂は、例えば約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)〜約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)等の任意の好適な比(例えば重量比)であってよい。
【0038】
ある実施形態では、ポリエステルラテックスは、溶媒フラッシュ乳化法で作製してもよい。溶媒フラッシュ乳化法は、有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を高剪断条件下で界面活性剤と塩基の水溶液に添加し、その後有機溶媒を留去することで達成され得る。あるいは、ポリエステルラテックスは転相乳化により作製してもよく、転相乳化では塩基水溶液をゆっくりと樹脂を含む有機溶媒の粘稠溶液に添加し、その後、有機溶媒を留去する。
【0039】
ある実施形態では、樹脂を乳化重合法で形成してもよい。
【0040】
本開示によれば、燐光顔料粒子は、粉末コーティングプロセスにより前述の樹脂でコーティングされうる。そのようなコーティングの一般的プロセスは、実施形態において、以下を含んでいてもよい。
【0041】
トナー粒子と同様なサイズの燐光顔料粒子を、前述の少なくとも1つのトナー樹脂ラテックスと乾燥ブレンドしてよい。樹脂ラテックスの粒子サイズは約50〜約300nmであり得る。乾燥ブレンドにより、燐光顔料粒子の表面に樹脂が塗布される。乾燥ブレンドは、ムンソン(Munson)ブレンダーまたはリトルフォード(Littleford)ブレンダー等の乾燥粉末のブレンドに適した任意の混合装置で達成してよい。必要に応じて、バルク帯電制御剤(CCA)を添加してもよい。ロータリーキルン中でコーティングするためには、キルンは剪断力がほとんどなく、高充填量の粒子の凝集を防ぐことができないため、ラテックス樹脂の最大充填量は約1〜約2重量%である。しかし、これは顔料粒子がトナー樹脂と同様な帯電量を有するように顔料粒子の電荷を調節するのに十分な量である。
【0042】
次いで、表面にラテックスを分散させた顔料粒子をロータリーキルン中に導入し、ロータリーキルンで混合物を加熱およびタンブリングし、ラテックスを顔料粒子の表面に融着させてよい。最終生成物は、粒子の約1〜約2重量%、ある実施形態では粒子の約1.1〜約1.5重量%の量のラテックス樹脂でコーティングされたトナーサイズの顔料粒子を含み、このコーティングは母体CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)トナーと同様な電荷をもたらす。
【0043】
あるいは、加熱および剪断ステップを行うために押出機を用いることもできる。押出機はキルンよりも剪断力が大きいので、コア粒子を凝集させずに樹脂コーティングを粒子の約1〜約20重量%、ある実施形態では粒子の約5〜約10重量%の量で塗布するために押出機を用いてもよい。そのようなプロセスは、米国特許第6,764,799号および同第6,051,354号に開示されているようなキャリアコアの押出粉末コーティングに用いられるプロセスと同様であってよい。
【0044】
実施形態では、キルン、押出機、または任意のその他の混合装置のいずれを用いるかに関わらず、燐光顔料および樹脂ラテックスを、約1〜約400回転毎分(rpm)、実施形態では約5〜約200rpmの混合速度で、温度約70〜約300℃、実施形態では約100〜約290℃に加熱し、燐光顔料粒子上に樹脂コーティングを形成してよい。加熱および剪断は約30秒〜約120分行われてもよく、ある実施形態では約60秒〜約60分の間行われ得る。
【0045】
同様に、粒子上にコーティングを形成するために用いられるプロセスに関わらず、コーティングされた燐光粒子は、粒子の約1〜約20重量%の量の樹脂コーティングを有してもよく、ある実施形態では粒子の約2〜約5重量%の量の樹脂コーティングを有し得る。
【0046】
コーティング後、コーティングされた顔料を所望に応じてに分級してもよい。ベース顔料粒子の選択および粒子の分級に応じて、最終粒子は顔料と同様なサイズであってよく、約5〜約50ミクロンのサイズであってよい。いくつかの実施形態では、最終的なコーティングされた顔料を、コーティングされた顔料との併用を意図した任意のその他のカラートナーまたはクリアトナーと同様なサイズにすることが望ましいことがある。実施形態では、コーティングされた顔料のサイズは、ゼログラフィーを考慮して調整してもよい。別の実施形態では、コーティングされた顔料のサイズは、最大の燐光発光強度が得られるように調整してもよい。
【0047】
燐光顔料表面の樹脂コーティングは、他のトナーで得られるのと同様な帯電特性を提供し得る。別の実施形態では、その後、コーティングされた顔料粒子に最終的な適正な摩擦帯電特性、現像転写特性、およびクリーニング特性を付与するために、コーティングされた粒子に帯電制御添加剤またはその他の表面添加剤を添加および/またはブレンドしてもよい。
【0048】
本開示のコーティングされた燐光顔料は以下の特性を有し得る。
【0049】
(1)体積平均直径(「体積平均粒径」ともいう)が約5ミクロン〜約50ミクロン、ある実施形態では約10ミクロン〜約30ミクロン、別の実施形態では約12ミクロン〜約20ミクロンである。
【0050】
(2)数平均粒度分布指標(GSDn)および/または体積平均粒度分布指標(GSDv)が約1.05〜約2、ある実施形態では約1.1〜約1.4である。
【0051】
(3)(例えばシスメックス社製FPIA2100分析装置で測定される)平均円形度が約0.6〜約1、ある実施形態では約0.8〜約0.99、ある実施形態では約0.85〜約0.95である。
【0052】
(4)摩擦帯電量と質量の比がグラムあたり約1〜約50マイクロクーロン、実施形態ではグラムあたり約2〜約40マイクロクーロン毎グラムである。
【0053】
(5)摩擦帯電量と直径の比がミクロンあたり約0.2〜約3フェムトクーロンである。
【0054】
燐光トナー粒子の特性は、任意の好適な技術および装置で測定することができる。体積平均粒径D50v、GSDv、およびGSDnは、ベックマンコールター社製マルチサイザー3等の測定機器をメーカーの取扱説明書に従って使用することで測定することができる。代表的なサンプリングは以下のように行われ得る:コーティングされた顔料サンプル少量(約1グラム)を、トリトンX−100界面活性剤を6滴含む約200mlの脱イオン水に懸濁し、手短に超音波処理してよい。懸濁液を25マイクロメートルの篩でろ過して、サイズ測定装置のオリフィスを詰まらせ得る大きな粒子を除去してもよい。オリフィスは、コーティングされた粒子の分布中で最も大きな粒子が通るのに十分な大きさのものを選択すべきである。次いで、サンプルを等張液に入れ、濃度を約10%にし、その後、このサンプルをベックマンコールター社製マルチサイザー3にかける。
【0055】
トナーは、帯電添加剤を有効量、例えばトナーの約0.1〜約10重量パーセント、実ある施形態ではトナーの約0.5〜約7重量パーセント含んでもよい。好適な帯電添加剤としては、アルキルピリジニウムハライド、重硫酸塩、米国特許第3,944,493号、同第4,007,293号、同第4,079,014号、同第4,394,430号、および同第4,560,635号の帯電制御添加剤;アルミニウム錯体等の負電荷増強剤、任意のその他の帯電添加剤、その組合せ等が含まれる。
【0056】
必要に応じて用いてもよい更なる添加剤としては、トナー組成物の特性を向上させるための任意の添加剤が含まれ、表面添加剤、カラーエンハンサー等が含まれる。洗浄または乾燥後にトナー組成物に添加することができる表面添加剤としては、例えば金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイダルシリカ、金属酸化物、チタン酸ストロンチウム、その組合せ等が含まれ、これらの各添加剤は、通常、トナーの約0.1〜約10重量パーセント、ある実施形態では約0.5〜約7重量パーセントの量で存在する。
【0057】
実施形態では、本開示の燐光トナーを他のトナーと組み合わせて画像を形成してもよい。従来の溶融混合法、乳化凝集法、相転換(phase inversion)法、その組合せ等で作製されたもの等の、画像形成に適した任意のその他のトナーを、本開示の燐光トナーと組み合わせてよい。
【0058】
実施形態では、カラー印刷のために、複数のカラートナーを用いて画像を形成してもよい。実施形態では、これらのトナーは、本開示の燐光トナーと組み合わせたシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの純粋な主要着色剤を含んでよい。別の実施形態では、減法混色の原色であるシアン、マゼンタ、およびイエローに加えて、レッド、ブルーおよびグリーン等の更なる色を用いてもよい。ホワイト等のその他の色およびクリアトナー(すなわち着色剤を含まないトナー)を本開示の燐光トナーと一緒に用いて画像を形成してよい。
【0059】
このようにして得られたトナー粒子を現像剤組成物に配合してもよい。トナー粒子をキャリア粒子と混合して二成分現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナー濃度は、現像剤の全重量の約1〜約25重量%でもよく、実施形態では現像剤の全重量の約2〜約15重量%であってよい。
【0060】
選択されたキャリア粒子は、コーティングと一緒に用いてもよく、コーティングなしで用いてもよい。実施形態ではキャリア粒子は、コーティングで覆われたコアを含み得、このコーティングは、摩擦帯電列が近接していないポリマーの混合物から形成され得る。
【0061】
実施形態では、得られるコポリマーが好適な粒子サイズを維持していれば、所望に応じて、PMMAを任意の所望のコモノマーと共重合してもよい。好適なコモノマーの例には、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルメタクリレートまたはt−ブチルアミノエチルメタクリレート等の、モノアルキルアミンまたはジアルキルアミンが含まれ得る。キャリア粒子は、キャリアコアと、コーティングされたキャリア粒子の重量を基準にして約0.05〜約10重量パーセント、実施形態では約0.01〜約3重量パーセントの量のポリマーとを、機械的固着(mechanical impaction)および/または静電引力によりポリマーがキャリアコアに接着するまで混合することで製造され得る。
【0062】
キャリアコア粒子の表面にポリマーを塗布するために、例えばカスケードロール混合、タンブリング、ミリング、振盪、静電粉末クラウドスプレー(electrostatic powder cloud spraying)、流動床、静電ディスク処理(electrostatic disc processing)、静電カーテン、その組合せ等の種々の効果的且つ好適な手段を用いてよい。その後、ポリマーが溶融してキャリアコア粒子に融着できるように、キャリアコア粒子とポリマーの混合物を加熱してよい。次いで、コーティングされたキャリア粒子を冷却した後、所望の粒子サイズに分級してよい。
【0063】
実施形態では、好適なキャリアは、米国特許第5,236,629号および同第5,330,874号に記載のプロセスを用いて例えばメチルアクリレートおよびカーボンブラックを含む約0.5〜約10重量%、実施形態では約0.7〜約5重量%の導電性ポリマー混合物でコーティングされた、例えばサイズが約25〜約100μm、実施形態では約50〜約75μmの鋼コアを含み得る。
【0064】
キャリア粒子は、燐光トナー粒子と種々の好適な組合せで混合することができる。濃度はトナー組成物の約1〜約20重量%であってよい。しかし、所望の特性を有する現像剤組成物を得るために、異なる比率のトナーとキャリアを用いてもよい。
【0065】
本開示の燐光トナーは、たとえば米国特許第4,295,990号に開示されているものなどの、静電複写またはゼログラフィーのプロセスに利用することができる。実施形態では、例えば磁気ブラシ現像、ジャンピング一成分現像、ハイブリッドスキャベンジレス現像(HSD)等を含む画像現像装置中で、任意の公知の種類の画像現像系を用いてよい。これらおよび同様な現像系は当業者に公知である。
【0066】
画像形成プロセスは、例えば、帯電部材、画像形成部材、光導電性部材、現像部材、転写部材、および定着部材を具備するゼログラフィー装置での画像形成を含む。実施形態では、現像部材は、キャリアと本明細書に記載のトナー組成物を混合することで製造される現像剤を含み得る。ゼログラフィー装置としては、高速プリンター、高速白黒プリンター、カラープリンター等が含まれる。
【0067】
前述の方法のいずれか1つ等の好適な画像現像方法によりトナー/現像剤を用いて画像が形成された後、画像を紙等の受像媒体に転写してよい。ある実施形態では、トナーは、定着ロール部材を用いた画像現像装置中での画像の現像に用いてもよい。定着ロール部材は、当業者に公知の接触式の定着装置であり、その中で、トナーを受像媒体に定着させるために、ロールからの熱および圧力が利用され得る。実施形態では、定着部材は、受像基材上での溶融後または溶融中に、トナーの定着温度よりも高い温度、例えば約70〜約160℃、ある実施形態では約80〜約150℃、別の実施形態では約90〜約140℃に加熱してよい。
【0068】
したがって、ある実施形態では、静電複写機は、中に供給トナーを貯蔵するチャンバーを規定する少なくとも1個のハウジングであって、トナーが前述のコーティングされた燐光顔料粒子を含む、ハウジング;その表面のトナーをハウジングのチャンバーから潜像に向かう第1の方向に進める移送部材(advancing member);トナーを基材に転写する転写ステーションであって、基材と転写支援部材を実質的に均一に接触させるための転写支援部材を含む、転写ステーション;潜像を現像するための現像ユニット;およびトナーを基材に定着するための定着部材を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示の画像形成システムは5または6つのカラーを含み得、そのうちの少なくとも1つは前述の燐光トナーである。いくつかの実施形態では、他のカラーとして、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト、および/またはクリア(clear)が含まれ得る。したがって、そのような場合、画像形成システムは、それぞれのハウジングに異なるカラートナーを収容する5または6個の異なるハウジングを備えた現像ユニットを含み得る。別の実施形態では、単一のハウジング中で、カラートナーを前述の燐光トナーと組み合わせてもよい。
【0070】
本開示に従って作製される燐光トナーの潜在的問題点は、押出コーティングを用いても、樹脂コーティングはコーティングされた顔料粒子のせいぜい約10%であり、残りは顔料粒子自体となり得ることであると考えられる。したがって、状況によっては、これらの粒子はそれだけでは十分に定着しないことがあり得る。この問題を克服するために、複数の解決法が利用可能である。例えば、ある実施形態では、コーティングされた顔料をベースコートの上に置いてもよい。したがって、実施形態では、本開示のコーティングされた燐光顔料を6個のハウジング現像器の5番目のハウジングから現像し、次いで、6番目のハウジングからカラートナーを現像してもよい(現像される最後のトナーが紙に最も近く、したがって、最終的に底になるように、順序が逆転する)。定着の際、カラートナーおよびコーティングされた顔料上の樹脂が共に溶融し、燐光トナーを含む全体画像が紙に定着される。
【0071】
あるいは、本開示の燐光トナーを6個のハウジング現像器の5番目のハウジングから現像し、クリアトナーを6番目のハウジングから現像することもできる。ここでも、定着後、クリアトナーおよびコーティングされた顔料の樹脂が共に溶融して全体画像が定着される。クリアトナーを用いる別の実施形態では、所望であれば、クリアトナーを5番目のハウジング中で現像し、燐光トナーを6番目のハウジングから現像してもよい。したがって、いずれの場合も、クリアトナーおよびコーティングされた燐光顔料粒子を順に画像化し、クリアトナーおよびコーティングされた燐光顔料粒子が空間的に近接して画像形成基材に効果的に固定されるようにしてよい。
【0072】
別の実施形態では、クリアトナーおよび本開示の燐光トナーは、6個のハウジングからなる現像器の5番目(または6番目)のハウジングから2つのトナーのブレンドとしてプリントしてもよい。ブレンド中のクリアトナーは、一緒に画像を定着するための更なる樹脂を提供する。クリア/燐光トナーブレンドが6番目のハウジングから印刷される場合、更なるクリアトナーを5番目のハウジングから現像して燐光画像上に付加的な保護層を形成してもよい。
【0073】
更に別の実施形態では、紫外線(UV)硬化性オーバーコート等の透明コートを画像の上に添加して、紙への燐光トナーを確保してもよい。これは、5または6番目のハウジングのクリアトナーに加えてもよく、5番目のハウジング中のクリアトナーと燐光トナーのブレンドに加えてもよい。そのようなUVオーバーコートは当業者に公知であり、例えば米国特許第6,713,222号に開示されているものが含まれる。
【0074】
本開示のコーティングされた燐光顔料の利益を受け得る用途としては、非常に安価な、特製の、暗闇で光る、ステッカー、ラベル、写し絵(transfer)、ポスター、安全および緊急用の標識、ならびに暗闇で見える認証用のパスまたはチケットの印刷が含まれる。
【0075】
以下の実施例は本開示の実施形態を説明するために提出するものである。これらの実施例は説明のみを意図するものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。また、特に断りのない限り、部および百分率は重量を基準とする。本明細書において「室温」とは約20℃〜約25℃を意味する。
【実施例】
【0076】
実施例I
樹脂コーティングされた顔料の製造。USRオプトニクス社からP170 SPS BLUE顔料として市販されている、粒子サイズが約18ミクロンの約40グラムの小バッチの燐光顔料を、下記式
【化3】

(式中、mは約5〜約1000である。)で示される約10%の乾燥非晶性ラテックス樹脂と共に乾燥ブレンドし、米国特許第6,063,827号に記載の手順に従って調製した。強力な粉末ミキサーを約13,500回転毎分(rpm),約30秒作動させて用いて、燐光顔料と非晶性樹脂を混合した。次いで、Haakeミキサー中で、約140℃、約30分間、混合物を加熱して押し出し、ラテックスを顔料粒子に融着させた。
【0077】
コーティングされた燐光顔料を用いて以下のように現像剤を製造した。約0.88%のJMT2000チタニア(テイカ社製)、約1.71%のRY50シリカ(エボニック・インダストリーズ・デグサ社(Evonik Industries Degussa)製)、約1.73%のX24ゾル−ゲルシリカ(信越化学工業株式会社製)、約0.55%のE10酸化セリウム(三井金属(Mitsui Mining)製)、および約0.9%のUNILIN700ワックス(ベーカー・ペトロライト社(Baker Petrolite)製機能性ポリエチレンワックス)を含む表面添加剤を、粉末ミキサーを約13,500rpmで約30秒作動させた第2の乾燥ブレンドで、ラテックスコーティングされた粒子の表面にブレンドし、機能性トナーを製造した。
【0078】
次いで、燐光トナーを濃度約8%の高電荷キャリアと混合して現像剤を製造した。高電荷キャリアは、約0.8%のコーティング重量でコーティングされた35ミクロンのフェライトコアを含む、粉末でコーティングされたキャリアであり、コーティングは、帯電制御剤として約1%のジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)と組み合わせたシクロヘキシルメタクリレートの乾燥ラテックス約95部と、キャボット社(Cabot)製Vulcan XC72Rカーボンブラック約5部を含む。
【0079】
チャージスペクトログラフ法を用いてトナー帯電量を測定した。トナーの帯電量(q/d)は、チャージスペクトログラフ法でトレースしたトナー帯電量分布の中点を測定した。帯電量は、横向きの電場100ボルト毎cmを印加してカラム長を30cmにしたチャージスペクトログラフ法で、ゼロラインからの変位をミリメートルで表した。mmで測定したq/dにmm単位の0.092を乗じてフェムトクーロン/ミクロンの値に変換した。
【0080】
現像剤を8%のトナー濃度(TC)でAゾーンおよびCゾーン中で一晩調整し、その後、ペイントシェイカーを用いて約5分〜約60分間荷電して、経時およびゾーン間での現像剤の安定性についての情報を得た。低湿度ゾーン(Cゾーン)は10℃/15%RHであり、高湿度ゾーン(Aゾーン)は約28℃/85%RHであった。結果を以下の表1に示す。
【表1】

【0081】
ゼログラフィー印刷。現像剤をゼロックスWCP3545現像剤ハウジングに充填し、ゼロックスコーポレーション社から市販されているゼロックスWCP3545プリンターを標準的な静電および定着設定で用いて、定着画像および非定着画像を複数作製した。画像の、単位面積当たりの現像されたトナー質量(TMA)は約1.3mg/cm2であった。得られた画像は、現像された燐光トナーの固体層を示し、オフィスの蛍光照明に約20分間曝した後、目に見える青色のグローを約20〜約30分間示した。画像はまた、明るい照明の下に30秒間だけ置いた後、数分間光を放出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5ミクロン〜50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、
前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上の樹脂コーティングと、
を含み、
前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、
トナー。
【請求項2】
前記燐光顔料が、Mn、Cu、およびその組合せからなる群から選択される金属でドープされていてもよいZnS;Dy、Eu、Nd、およびその組合せからなる群から選択される希土類金属でドープされていてもよいアルカリ土類アルミン酸塩;Dy、Eu、Nd、およびその組合せからなる群から選択される希土類金属でドープされていてもよいアルカリ土類ケイ酸塩;ならびにその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
5ミクロン〜50ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、
前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上のコーティングとして、非晶性ポリエステルを含む樹脂と、
を含み、
前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、
トナー。
【請求項4】
10ミクロン〜40ミクロンのサイズを有する燐光顔料粒子と、
前記燐光顔料の表面の少なくとも一部の上のコーティングとして、非晶性ポリエステルを含む樹脂と、
を含み
前記燐光顔料の励起波長が200nm〜750nmである、
トナー。