説明

トマトやキュウリの栽培具

【課題】 部品点数を少なくして管理が容易であり、また、組み立ての手間がそれほどかゝらないトマトやキュウリの栽培具を提供する。
【解決手段】 トマトやキュウリの茎を案内支持するガイド板2と、ガイド板2の両側辺に沿って折り曲げ可能にガイド板2の両側に延設され、互いに係合する一対の係合部5,6が設けられた一対の側板7,8とからなり、一方の側板7の端部には、地上より所定の高さに張られた架線aに吊り下げるための吊り下げ部11を有する提手12が設けられ、ガイド板2の両側辺3,4に沿って各側板7,8を折り曲げるとともに一対の係合部5,6を係合して、トマトやキュウリの茎を挿通して横向きに曲げて保持する筒状の空間部20を形成するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トマトやキュウリの茎を保持する栽培具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、トマトは温室内で栽培され、茎に葉が下から3枚生えるごとに一段宛果房が付く。従来は地上1.6〜1.8mの高さに架線を張り、架線に上端を連結して真下に吊り下げた紐などの誘引線にトマトの茎を所々縛り、真っ直ぐ上向きに成長させていた。この場合、温室の高さが決められているためトマトやキュウリの高さが約1.6〜1.8mになると茎の上部は温室の天井近くの保温カーテンに当たり、収穫できる果房は約7段位になる。果実の収穫量を増加するには、架線からトマトの木に向かって斜めに誘引し、トマトの茎の所々を誘引線に沿って斜め上向きに伸ばし、これにより茎の長さを長くし、収穫できる果房の段数を多くすることができる。
【0003】
しかしながら茎を斜め上向きに生育させるには、真上に向かって伸びようとする茎を誘引線に沿って留め具で留めて斜めに誘引しなければならないので手数がかゝる上に、茎は強制的に斜め上向きに生育されるのでストレスによって根は土壌中で浅くしか伸びず、立木の樹勢が悪い。そこで、茎の上部が架線や、その上のほゞ水平な保温カーテンに届くようになったら茎をスムースに下向きにUターンさせ、樹勢を衰えさせることなく果房が成る段数を多くし、果実の収穫量を多くするトマトやキュウリの栽培具が使用されている。
【0004】
この種の栽培具について図5を参照して説明する。図5において、架線aから真っ直ぐに吊り下げた誘引線bには、洗濯挟み形の留め具でトマトやキュウリの立木の茎の所々を留めてある。栽培具の基板40は、上部中央に上向きに突出した提手42を有している。提手42で架線aに吊り下げると、基板40はほゞ垂直になる垂直面41を有する。回動体43は中心部を上記垂直面41にビスcにより枢着している。回動体43にはトマトやキュウリの茎を引掛ける引懸部44を先端部に備えたレバー45が回動体43の外周から外に突出して設けてある。基板40、回動体43はプラスチックの成形品でよく、回動体43は浅い皿形の円筒形ないしダイアル形である。レバー45は先端の引懸部44を回動体の底板の外面から放射方向に突出して回動体43と例えば一体に成形する。
【0005】
基板40の垂直面41は回動体43の直径よりも大で、提手42は垂直面41の上面中央から上に突出し、上端に架線aに吊り下げるための逆U字形の吊り下げ部46を備えている。また、基板40は、上半部40aが回動体43の半径よりも大きく、下半部40bは回動体の半径よりも少し大きい、そして、上半部と下半部とは同心である。このため、上半部40aの左右の下端部(左右両脇)には一対の爪47,47を設け、爪の間に茎を保持するようにしてある。又、上面中央には提手42の下端部と協力して茎を保持するための保持爪48が上向きに設けてある。
【0006】
回動体43とレバー45は基板40に対して時計方向にしか回動することができないので、茎を回動体43よりも左の基板40の垂直面41に沿って延ばし、茎を引懸部44に引懸け、回動体43とレバー45を時計方向に9時の状態から12時の状態に回動して茎を真上から斜め上向きに曲げ、茎が更に成長するとレバーを12時の状態から時計方向に3時又はそれ以降の状態に回動し、茎を回動体43の回りで180°曲げる。これによって、トマトやキュウリは真上に向かって伸びようとしてもレバーを反時計方向に回動させることができないので、真上に向かって成長しているつもりでも、茎の上部は下向きにUターンし、下向きになった茎の上部は、そこに成った果実の重量で下向きに成長する。
【特許文献1】特開平10−76891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来のトマトやキュウリの栽培具は、レバーを設けた回動体を基板の面にビスで取り付ける等、複数の部品を組み立てる構造であり、部品点数が多いために部品の管理が大変であり、また、組み立てに手間がかゝるため改善が望まれていた。
【0008】
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、部品点数を少なくして管理が容易であり、また、組み立ての手間がそれほどかゝらないトマトやキュウリの栽培具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、トマトやキュウリの立木の上方に配設して、傍に伸びたトマトやキュウリの茎の上部を横向きに曲げて成長させるトマトやキュウリの栽培具であって、トマトやキュウリの茎を案内支持するガイド板と、該ガイド板の両側辺に沿って折り曲げ可能に前記ガイド板の両側に延設され、互いに係合する一対の係合部が設けられた一対の側板とからなり、前記一方の側板の端部には、地上より所定の高さに張られた架線に吊り下げるための吊り下げ部を有する提手が設けられ、前記ガイド板の両側辺に沿って前記各側板を折り曲げるとともに前記一対の係合部を係合して、トマトやキュウリの茎を挿通して横向きに曲げて保持する筒状の空間部を形成することを特徴とするトマトやキュウリの栽培具である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記一方の側板の提手の近傍に孔が設けられ、前記一方に対する他方の側板の端部は前記孔に挿し込み可能な舌片に形成され、前記一対の係合部は前記孔の近傍と前記舌片に設けられ、前記ガイド板の両側辺に沿って前記各側板を折り曲げて前記舌片を前記孔に挿通するとともに前記一対の係合部を係合して、トマトやキュウリの茎を挿通して横向きに曲げて保持する筒状の空間部を形成することを特徴とする請求項1に記載のトマトやキュウリの栽培具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガイド板の両側辺に沿って各側板を折り曲げるとともに各側板に設けられた一対の係合部の係合により簡単に組立できるので、部品点数が削減され、部品の管理および組み立てが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例の栽培具の使用例を示す斜視図、図2(a)は同実施例の栽培具の展開図、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図、図3は、図2の栽培具を組み立てる途中の状態の斜視図、図4(a)は同実施例の栽培具の斜視図、図4(b)は図4(a)のB−B線断面図である。
【0014】
図1〜図4において、トマトやキュウリの栽培具(実施例における以下の説明の中では栽培具と称する。)10は、トマトやキュウリの立木1の上方に配設して、傍に伸びたトマトやキュウリの茎を横向きに曲げて成長させるものであり、トマトやキュウリの茎を案内支持する薄板状のガイド板2と、該ガイド板2の両側辺3,4に沿って折り曲げ可能にガイド板2の両側に延設され、互いに係合する一対の係合部5,6が設けられた薄板状の一対の側板7,8とからなっている。なお、ガイド板2の両側辺3,4には直線状の薄肉部が形成されており、ガイド板2の両側辺3,4に沿って容易に折り曲げることができる。一方の側板7の端部には、地上より所定の高さに張られた架線aに吊り下げるための吊り下げ部11を有する提手12が設けられている。また、一対の側板7,8には多数の孔13が設けられている。
【0015】
そして側板7において、吊り下げ部11と側辺3との間に位置する提手12の間には、孔14が設けられ、孔14の近傍には一方の係合部5としての突起が設けられている。また、側板8の端部は、孔14に挿し込み可能な形状の舌片15に形成されており、舌片15には他方の係合部6としての係合孔が設けられていて、突起5と係合孔6は互いに係合する。なお、側板8において、舌片15と側辺4との間には、幅方向に直線状の薄肉部16が形成されており、舌片15は直線状の薄肉部16で折り曲げて孔14に容易に挿し込むことができる。
【0016】
この栽培具10を使用するには高さ1.6〜1.8mの位置に張り渡した架線aに提手12で吊り下げた栽培具10から真っ直ぐに吊り下げた誘引線bに、洗濯挟み形の留め具でトマトやキュウリの立木1の茎の所々を留め、茎を誘引線に沿って真上に成長させる。茎の上部が架線aや、その上のほゞ水平な図示しない保温カーテンに届くようになったら茎の上部をガイド板2の上に位置させて、ガイド板2の両側辺3,4に沿って折り曲げて、孔14に舌片15を挿し込んで挿通し、舌片15の係合孔6を突起5に係合して栽培具10を組み立てる。これにより栽培具10は、突起5と係合孔6からなる一対の係合部を係合して、トマトやキュウリの茎を挿通して横向きに曲げて保持する筒状の空間部20が形成され、この筒状の空間部20内に茎の上部が包み込まれた状態で組み立てられる。この組み立てた栽培具10を架線aに提手12で吊り下げれば筒状の空間部20内に茎を挿通して横向きに曲げた状態でトマトやキュウリの立木の茎の上部が架線aに提手12で吊り下げた状態で保持される。
【0017】
その後、トマトやキュウリは真上に向かって伸びようとしても栽培具10は筒状の空間部20内に茎を挿通して横向きに曲げた状態でトマトやキュウリを保持し、筒状の空間部20内に茎を挿通した状態でトマトやキュウリを成長させるから、トマトやキュウリは真上に向かって成長しているつもりでも、茎の上部は筒状の空間部20内に沿って、先ず、横向きに曲げて成長し、その後は自重で垂れ下がって下向きにUターンし、下向きになった茎の上部は、そこに成った果実の重量でさらに下向きに成長する。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更が可能であり、前記実施例に限定されないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例の栽培具の使用例を示す斜視図である。
【図2】(a)は同実施例の展開図、(b)は図2(a)のA−A線断面図である。
【図3】図2の栽培具を組み立てる途中の状態の斜視図である。
【図4】(a)は同実施例の斜視図、(b)は図4(a)のB−B線断面図である。
【図5】従来の栽培具の使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 トマトやキュウリの立木
2 ガイド板
3,4 側辺
5 係合部としての突起
6 係合部としての係合孔
7,8 側板
10 栽培具
11 吊り下げ部
12 提手
13,14 孔
15 舌片
16 直線状の薄肉部
20 空間部
a 架線
b 誘引線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トマトやキュウリの立木の上方に配設して、傍に伸びたトマトやキュウリの茎の上部を横向きに曲げて成長させるトマトやキュウリの栽培具であって、
トマトやキュウリの茎を案内支持するガイド板と、該ガイド板の両側辺に沿って折り曲げ可能に前記ガイド板の両側に延設され、互いに係合する一対の係合部が設けられた一対の側板とからなり、前記一方の側板の端部には、地上より所定の高さに張られた架線に吊り下げるための吊り下げ部を有する提手が設けられ、前記ガイド板の両側辺に沿って前記各側板を折り曲げるとともに前記一対の係合部を係合して、トマトやキュウリの茎を挿通して横向きに曲げて保持する筒状の空間部を形成することを特徴とするトマトやキュウリの栽培具。
【請求項2】
前記一方の側板の提手の近傍に孔が設けられ、前記一方に対する他方の側板の端部は前記孔に挿し込み可能な舌片に形成され、前記一対の係合部は前記孔の近傍と前記舌片に設けられ、前記ガイド板の両側辺に沿って前記各側板を折り曲げて前記舌片を前記孔に挿通するとともに前記一対の係合部を係合して、トマトやキュウリの茎を挿通して横向きに曲げて保持する筒状の空間部を形成することを特徴とする請求項1に記載のトマトやキュウリの栽培具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−44(P2007−44A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−181747(P2005−181747)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(391002694)ナスニックス株式会社 (3)
【出願人】(591100563)栃木県 (33)
【出願人】(506176261)株式会社JAグリーンとちぎ (1)
【Fターム(参考)】