トラクタ用の施肥機
【課題】
重心のバランスが良く、肥料投入のし易いトラクタ用の施肥機にする。
【解決手段】
肥料タンク(10)を左右一対備え、左右の肥料タンク(10)は車体(1)の後方位置から車体(1)の両側方に片方の肥料タンク(10)ずつそれぞれ独立して支持移動機構(T)で移動可能に構成した。
また、車体(1)の後方位置から側方位置に移動した肥料タンク(10)の設置高さ位置を、側方位置より低位の肥料投入位置に移動可能とする肥料タンク位置変更機構(R)を設けた。
重心のバランスが良く、肥料投入のし易いトラクタ用の施肥機にする。
【解決手段】
肥料タンク(10)を左右一対備え、左右の肥料タンク(10)は車体(1)の後方位置から車体(1)の両側方に片方の肥料タンク(10)ずつそれぞれ独立して支持移動機構(T)で移動可能に構成した。
また、車体(1)の後方位置から側方位置に移動した肥料タンク(10)の設置高さ位置を、側方位置より低位の肥料投入位置に移動可能とする肥料タンク位置変更機構(R)を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに搭載する施肥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トラクタの後方にロータリと施肥機を搭載する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−15636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラクタの後方に施肥機を搭載する構成においては、重心位置が後方に大きくなり、トラクタ前側が浮き上がり気味になってしまい牽引力が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講じる。
請求項1は、車体に支持する肥料タンクを、車体側に支持した状態で車体の後方の収容位置と車体の側方の施肥位置とに移動可能とする支持移動機構を設けたことを特徴とするトラクタ用の施肥機とする。
【0006】
従って、施肥作業時のトラクタの前後バランスが良好になる。
請求項2は、肥料タンク(10)を左右一対備え、左右の肥料タンク(10)は車体(1)の後方位置から車体(1)の両側方に片方の肥料タンク(10a,10b)ずつそれぞれ独立して支持移動機構(T)で移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0007】
これにより、施肥作業時のトラクタの前後と左右バランスが良好になる。
請求項3は、車体(1)の後方位置から側方位置に移動した肥料タンク(10)の設置高さ位置を、側方位置より低位の肥料投入位置に移動可能とする肥料タンク位置変更機構(R)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0008】
これにより、施肥機に肥料を投入するときには車体の側方で、低い高さ位置にすることで肥料を投入しやすい。
請求項4は、車体(1)にロプス(6)を設け、肥料タンク(10)をロプス(6)に支持する支持部材(B)と、肥料タンクを車体の後方位置から車体の側方位置へ移動するための移動部材(Y)からなる支持移動機構(T)をロプス(6)に取付けたことを特徴とする請求項1記載から請求項3記載いずれか記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0009】
これにより、施肥機を強固に支持することができる。
請求項5は、ロプス(6)は一対の縦フレーム部(6a)と縦フレーム部(6a)間を結ぶ横フレーム(6b)部とからなる正面視で門構えに構成し、左右の肥料タンク(10)それぞれの支持移動機構(T)は縦フレーム部(6a)にそれぞれ取付け、左右の肥料タンク(10)はそれぞれ片方の肥料タンク(10)ずつ独立して車体(1)の後方位置から車体(1)の側方位置へ移動可能に構成したことを特徴する請求項4記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0010】
これにより、必要な側の施肥機を適宜移動させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、重心のバランスが良く、肥料投入のし易いトラクタ用の施肥機にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す側面図
【図2】施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す正面図
【図3】施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す平面図
【図4】走行状態(肥料タンクが収容位置)を示す側面図
【図5】走行状態(肥料タンクが収容位置)を示す正面図
【図6】走行状態(肥料タンクが収容位置)を示す平面図
【図7】(イ)施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す側面図(ロ)肥料投入状態(肥料タンクが肥料投入位置)を切り替えることを示す側面図
【図8】(イ)施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す斜視図 (ロ)肥料投入状態(肥料タンクが肥料投入位置)を切り替えることを示す斜視図
【図9】要部の部材の拡大図
【図10】肥料タンク位置変更機構を示す斜視図
【図11】施肥作業状態と走行状態を切り替えによる散布ホースの姿勢を示す図
【図12】別実施例を示す平面図と側面図
【図13】要部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の施肥機をトラクタに搭載した場合について説明する。
本実施の形態のトラクタは車体1に左右一対の前輪2と後輪3を備え、前輪2と後輪3との間には運転席4とステアリングハンドル5とステップ8を備え、運転席4の後方に正面視門構えのロプス6を設けた構成である。走行輪はクローラでも良い。車体1の後方には耕耘するロータリ7を備え、ロータリ7の上方には施肥機Sを備えている。ロータリ7は無くてもよく、あるいはロータリ7の代わりに培土器等の他の作業機を備える構成でも良い。
【0014】
施肥機Sはホッパ形状の肥料タンク10(10a,10b)を左右一対設け、肥料タンク10の上部には着脱可能な蓋11(11a,11b)を設け、下部には肥料を設定量ずつ繰り出す繰り出しバルブ12(12a,12b)を設け、繰り出し部から散布ホース13(13a,13b)を下方に向かって垂らしている構成である。なお、散布ホース13の散布姿勢は図11に図示している以外、便宜上省略している。
【0015】
本実施の形態の肥料タンク10の作用の概要について説明すると、車体1の後方に位置する走行時の収納位置と、車体1の両側方に位置する施肥作業時の施肥位置と、施肥位置より肥料タンク10の位置を低くして肥料を投入しやすくする肥料投入位置の各位置に移動可能としている。
【0016】
次に、施肥機Sを車体に支持し、肥料タンク10を収納位置と施肥位置とを移動するための支持移動機構Tの構成について説明する。
ロプス6は左右一対の縦フレーム6aと各縦フレーム6aの上端部間を結ぶ横フレーム6bの門構え形状である。各縦フレーム6aそれぞれに、肥料タンク10をロプスに支持させるための支持部材Bと、肥料タンク10が車体の後方位置と車体の側方位置間を移動するための移動部材Yからなる支持移動機構Tを取付けている。支持移動機構Tは左右の肥料タンク10a,10bそれぞれに設けている。
【0017】
支持部材Bはロプス6を挟んで取付ける支持固定板15と、支持固定板15をロプス6の縦フレーム6aと着脱自在に取り付けるための取付けピン16とからなり、上下方向に2箇所設ける。
【0018】
移動部材Yは、上に長孔fを形成した第一移動板20と、施肥位置用固定穴jと収容位置用固定穴kを形成した第二移動板21を設ける。そして、第一移動板20は上側の支持固定板15aに取付け、第二移動板21は下側の支持固定板15bに取付ける。
【0019】
肥料タンク15は吊り下げフレーム22で吊り下げ状態に支持される。吊り下げフレーム22は後述の肥料タンク位置変更機構Rを介して移動フレーム23と連結している。移動フレーム23は第一移動板20と第二移動板21に当接し、位置決めピン24と位置決めボルト25で位置固定する。
【0020】
具体的には、移動フレーム23の上端部が第一移動板20と摺接し、移動フレームの下端部が第二移動板21と摺接する。そして、移動フレーム23をスライドさせて位置決めピン24を施肥位置用固定穴j又は収容位置用固定穴kのいずれかに挿入し、位置決めボルト25を長孔fに挿入して締めると、移動フレーム23が位置固定され、それに伴って肥料タンク10が収容位置か施肥位置かに固定される。
【0021】
収容位置の肥料タンク10は車体1の後方で、かつロータリ7等の作業機の上方に位置する。施肥位置の肥料タンク10は車体1の側方で、側面視で後輪3の上方に位置する。このとき、左右の肥料タンク10a,10bはそれぞれ独立して収容位置又は施肥位置に移動することができる。
【0022】
走行時には肥料タンク10を収容位置とすることで、走行しやすい。施肥作業時は施肥位置、すなわち側面視で後輪3の上方に位置することで、車体1の前後バランスが良好になる。また、左右両方の肥料タンク10をそれぞれ施肥位置にすることで車体1の左右バランスも良好になる。さらに、左右の肥料タンク10それぞれが独立して移動可能に構成することで、例えば車体1の一側が圃場に隣接する土地の仕切塀等がある場合には、仕切塀側の肥料タンク10aを後方の収容位置に移動して施肥作業することで、隣接地ぎりぎりの圃場箇所を走行して施肥することが可能である。すなわち、圃場の状況で左右の肥料タンク10をそれぞれ任意の場所に位置して施肥作業が可能である。
【0023】
本実施の形態では、通常の施肥作業時には肥料タンク10を車体1の側方に位置させ、通常の走行時には肥料タンク10を車体1の後方に位置させるため、それぞれ施肥位置、収容位置、と記載しているが、いずれの位置でも施肥作業は行える。すなわち繰り出しバルブ12は駆動可能に構成している。
【0024】
また、前述で吊り下げフレーム22は後述の肥料タンク位置変更機構Rを介して移動フレーム23と連結していると記載したが、吊り下げフレーム22と移動フレーム23は直接連結しても良い。すなわち、ロプス6に取付ける支持移動機構Tにより肥料タンク10が収容位置と施肥位置とを移動可能に構成していれば良い。また、支持移動機構Tはロプス6に設けるのが、支持構成が強固なものとなり最も望ましいが、場合によってはロプス6以外の支持フレームを車体1に取付け、該支持フレームに支持移動機構Tを取付ける構成でも良い。
【0025】
次に、肥料タンク位置変更機構Rについて説明する。
肥料タンク位置変更機構Rは、肥料タンク10を施肥位置から肥料投入位置に移動するための機構で、移動フレーム23と肥料タンク10側それぞれに連結している。
【0026】
具体的には、下部の横軸29を軸心に回動する縦長の回動フレーム30と回動フレーム30と一体に構成している把持フレーム32と、回動フレーム30を縦長姿勢に保持するロック機構34(本実施の形態ではパッチン錠)と、回動フレーム30の回動動作を補助するダンパ33を備えている。回動フレーム30は吊り下げフレーム22と移動フレーム23にそれぞれ連結している。
【0027】
肥料タンク10を施肥位置から肥料投入位置に変更する操作について説明する。
ロック機構34を解除して、把持フレーム32を把持して引き操作をすると、回動フレーム30が横軸心に回動して縦長姿勢から横長姿勢に変更し、それに伴い、肥料タンク10も移動する。側面視で後輪3の上方位置からステップ8側へ移動すると共に、肥料タンク10の高さも施肥位置よりも低くなる(図7のイからロ)。
【0028】
肥料タンク10を肥料投入位置から施肥位置へ戻す時は把持フレーム32を把持して回動フレーム30が縦姿勢になるまで持ち上げ、ロック機構34でロックする。
肥料タンク位置変更機構Rにより、肥料タンク10の高さ位置を低くすることができ、作業者は蓋11を開けて肥料を投入しやすくすることができる。また、施肥位置から肥料投入位置に迅速に変更できる。
【0029】
次に肥料タンク10から肥料を散布する散布ホース13の構成について図11と図12に基づいて説明する。
肥料タンク10の下端部には繰り出しバルブ12から繰り出した肥料が通過するフレキシブルの散布ホース13を取付けている。散布ホース13の下部は散布ホース固定具40に固定し、その下端部を施肥箇所に向ける構成である。散布ホース固定具40は縦長の棒40aと、縦長の棒40aの下部から横長に伸びる横長棒40bとを備える。散布ホース13は横長棒40bに取付けている。横長棒40bを後輪3の後方の幅にわたって備えることで、肥料タンク10が収容位置にあっても施肥位置にあっても、散布ホース13が後輪3に接触しないようにすることができる。また、散布ホース固定具40は上下調節機構42(本実施の形態では長孔による位置固定)で上下移動することで散布ホース13の下端部の高さ位置を調節可能に構成している。
【0030】
なお、肥料投入位置に移動することを検出するリミットスイッチを設け、肥料投入位置では繰り出しバルブ12を駆動させない構成にすることも可能である。
別実施例について説明する。
【0031】
なお、図12の仮想線で示されている肥料タンクは、肥料タンク10を肥料投入位置に移動するとき、施肥位置から後方に向かって移動することを示している。肥料タンク位置変更機構Rは移動する向きを変える構成にするだけでよい。肥料投入位置を施肥位置の後方にするメリットとして作業者が運転席4から乗降するときに肥料タンク10が邪魔にならないことが挙げられる。
【符号の説明】
【0032】
1 車体
6 ロプス
6a 縦フレーム部
6b 横フレーム部
10(10a,10b) 肥料タンク
B 支持部材
Y 移動部材
T 支持移動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに搭載する施肥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トラクタの後方にロータリと施肥機を搭載する技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−15636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラクタの後方に施肥機を搭載する構成においては、重心位置が後方に大きくなり、トラクタ前側が浮き上がり気味になってしまい牽引力が低下する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる技術的課題を解決するために次のような技術的手段を講じる。
請求項1は、車体に支持する肥料タンクを、車体側に支持した状態で車体の後方の収容位置と車体の側方の施肥位置とに移動可能とする支持移動機構を設けたことを特徴とするトラクタ用の施肥機とする。
【0006】
従って、施肥作業時のトラクタの前後バランスが良好になる。
請求項2は、肥料タンク(10)を左右一対備え、左右の肥料タンク(10)は車体(1)の後方位置から車体(1)の両側方に片方の肥料タンク(10a,10b)ずつそれぞれ独立して支持移動機構(T)で移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0007】
これにより、施肥作業時のトラクタの前後と左右バランスが良好になる。
請求項3は、車体(1)の後方位置から側方位置に移動した肥料タンク(10)の設置高さ位置を、側方位置より低位の肥料投入位置に移動可能とする肥料タンク位置変更機構(R)を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0008】
これにより、施肥機に肥料を投入するときには車体の側方で、低い高さ位置にすることで肥料を投入しやすい。
請求項4は、車体(1)にロプス(6)を設け、肥料タンク(10)をロプス(6)に支持する支持部材(B)と、肥料タンクを車体の後方位置から車体の側方位置へ移動するための移動部材(Y)からなる支持移動機構(T)をロプス(6)に取付けたことを特徴とする請求項1記載から請求項3記載いずれか記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0009】
これにより、施肥機を強固に支持することができる。
請求項5は、ロプス(6)は一対の縦フレーム部(6a)と縦フレーム部(6a)間を結ぶ横フレーム(6b)部とからなる正面視で門構えに構成し、左右の肥料タンク(10)それぞれの支持移動機構(T)は縦フレーム部(6a)にそれぞれ取付け、左右の肥料タンク(10)はそれぞれ片方の肥料タンク(10)ずつ独立して車体(1)の後方位置から車体(1)の側方位置へ移動可能に構成したことを特徴する請求項4記載のトラクタ用の施肥機とする。
【0010】
これにより、必要な側の施肥機を適宜移動させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、重心のバランスが良く、肥料投入のし易いトラクタ用の施肥機にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す側面図
【図2】施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す正面図
【図3】施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す平面図
【図4】走行状態(肥料タンクが収容位置)を示す側面図
【図5】走行状態(肥料タンクが収容位置)を示す正面図
【図6】走行状態(肥料タンクが収容位置)を示す平面図
【図7】(イ)施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す側面図(ロ)肥料投入状態(肥料タンクが肥料投入位置)を切り替えることを示す側面図
【図8】(イ)施肥作業状態(肥料タンクが施肥位置)を示す斜視図 (ロ)肥料投入状態(肥料タンクが肥料投入位置)を切り替えることを示す斜視図
【図9】要部の部材の拡大図
【図10】肥料タンク位置変更機構を示す斜視図
【図11】施肥作業状態と走行状態を切り替えによる散布ホースの姿勢を示す図
【図12】別実施例を示す平面図と側面図
【図13】要部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の施肥機をトラクタに搭載した場合について説明する。
本実施の形態のトラクタは車体1に左右一対の前輪2と後輪3を備え、前輪2と後輪3との間には運転席4とステアリングハンドル5とステップ8を備え、運転席4の後方に正面視門構えのロプス6を設けた構成である。走行輪はクローラでも良い。車体1の後方には耕耘するロータリ7を備え、ロータリ7の上方には施肥機Sを備えている。ロータリ7は無くてもよく、あるいはロータリ7の代わりに培土器等の他の作業機を備える構成でも良い。
【0014】
施肥機Sはホッパ形状の肥料タンク10(10a,10b)を左右一対設け、肥料タンク10の上部には着脱可能な蓋11(11a,11b)を設け、下部には肥料を設定量ずつ繰り出す繰り出しバルブ12(12a,12b)を設け、繰り出し部から散布ホース13(13a,13b)を下方に向かって垂らしている構成である。なお、散布ホース13の散布姿勢は図11に図示している以外、便宜上省略している。
【0015】
本実施の形態の肥料タンク10の作用の概要について説明すると、車体1の後方に位置する走行時の収納位置と、車体1の両側方に位置する施肥作業時の施肥位置と、施肥位置より肥料タンク10の位置を低くして肥料を投入しやすくする肥料投入位置の各位置に移動可能としている。
【0016】
次に、施肥機Sを車体に支持し、肥料タンク10を収納位置と施肥位置とを移動するための支持移動機構Tの構成について説明する。
ロプス6は左右一対の縦フレーム6aと各縦フレーム6aの上端部間を結ぶ横フレーム6bの門構え形状である。各縦フレーム6aそれぞれに、肥料タンク10をロプスに支持させるための支持部材Bと、肥料タンク10が車体の後方位置と車体の側方位置間を移動するための移動部材Yからなる支持移動機構Tを取付けている。支持移動機構Tは左右の肥料タンク10a,10bそれぞれに設けている。
【0017】
支持部材Bはロプス6を挟んで取付ける支持固定板15と、支持固定板15をロプス6の縦フレーム6aと着脱自在に取り付けるための取付けピン16とからなり、上下方向に2箇所設ける。
【0018】
移動部材Yは、上に長孔fを形成した第一移動板20と、施肥位置用固定穴jと収容位置用固定穴kを形成した第二移動板21を設ける。そして、第一移動板20は上側の支持固定板15aに取付け、第二移動板21は下側の支持固定板15bに取付ける。
【0019】
肥料タンク15は吊り下げフレーム22で吊り下げ状態に支持される。吊り下げフレーム22は後述の肥料タンク位置変更機構Rを介して移動フレーム23と連結している。移動フレーム23は第一移動板20と第二移動板21に当接し、位置決めピン24と位置決めボルト25で位置固定する。
【0020】
具体的には、移動フレーム23の上端部が第一移動板20と摺接し、移動フレームの下端部が第二移動板21と摺接する。そして、移動フレーム23をスライドさせて位置決めピン24を施肥位置用固定穴j又は収容位置用固定穴kのいずれかに挿入し、位置決めボルト25を長孔fに挿入して締めると、移動フレーム23が位置固定され、それに伴って肥料タンク10が収容位置か施肥位置かに固定される。
【0021】
収容位置の肥料タンク10は車体1の後方で、かつロータリ7等の作業機の上方に位置する。施肥位置の肥料タンク10は車体1の側方で、側面視で後輪3の上方に位置する。このとき、左右の肥料タンク10a,10bはそれぞれ独立して収容位置又は施肥位置に移動することができる。
【0022】
走行時には肥料タンク10を収容位置とすることで、走行しやすい。施肥作業時は施肥位置、すなわち側面視で後輪3の上方に位置することで、車体1の前後バランスが良好になる。また、左右両方の肥料タンク10をそれぞれ施肥位置にすることで車体1の左右バランスも良好になる。さらに、左右の肥料タンク10それぞれが独立して移動可能に構成することで、例えば車体1の一側が圃場に隣接する土地の仕切塀等がある場合には、仕切塀側の肥料タンク10aを後方の収容位置に移動して施肥作業することで、隣接地ぎりぎりの圃場箇所を走行して施肥することが可能である。すなわち、圃場の状況で左右の肥料タンク10をそれぞれ任意の場所に位置して施肥作業が可能である。
【0023】
本実施の形態では、通常の施肥作業時には肥料タンク10を車体1の側方に位置させ、通常の走行時には肥料タンク10を車体1の後方に位置させるため、それぞれ施肥位置、収容位置、と記載しているが、いずれの位置でも施肥作業は行える。すなわち繰り出しバルブ12は駆動可能に構成している。
【0024】
また、前述で吊り下げフレーム22は後述の肥料タンク位置変更機構Rを介して移動フレーム23と連結していると記載したが、吊り下げフレーム22と移動フレーム23は直接連結しても良い。すなわち、ロプス6に取付ける支持移動機構Tにより肥料タンク10が収容位置と施肥位置とを移動可能に構成していれば良い。また、支持移動機構Tはロプス6に設けるのが、支持構成が強固なものとなり最も望ましいが、場合によってはロプス6以外の支持フレームを車体1に取付け、該支持フレームに支持移動機構Tを取付ける構成でも良い。
【0025】
次に、肥料タンク位置変更機構Rについて説明する。
肥料タンク位置変更機構Rは、肥料タンク10を施肥位置から肥料投入位置に移動するための機構で、移動フレーム23と肥料タンク10側それぞれに連結している。
【0026】
具体的には、下部の横軸29を軸心に回動する縦長の回動フレーム30と回動フレーム30と一体に構成している把持フレーム32と、回動フレーム30を縦長姿勢に保持するロック機構34(本実施の形態ではパッチン錠)と、回動フレーム30の回動動作を補助するダンパ33を備えている。回動フレーム30は吊り下げフレーム22と移動フレーム23にそれぞれ連結している。
【0027】
肥料タンク10を施肥位置から肥料投入位置に変更する操作について説明する。
ロック機構34を解除して、把持フレーム32を把持して引き操作をすると、回動フレーム30が横軸心に回動して縦長姿勢から横長姿勢に変更し、それに伴い、肥料タンク10も移動する。側面視で後輪3の上方位置からステップ8側へ移動すると共に、肥料タンク10の高さも施肥位置よりも低くなる(図7のイからロ)。
【0028】
肥料タンク10を肥料投入位置から施肥位置へ戻す時は把持フレーム32を把持して回動フレーム30が縦姿勢になるまで持ち上げ、ロック機構34でロックする。
肥料タンク位置変更機構Rにより、肥料タンク10の高さ位置を低くすることができ、作業者は蓋11を開けて肥料を投入しやすくすることができる。また、施肥位置から肥料投入位置に迅速に変更できる。
【0029】
次に肥料タンク10から肥料を散布する散布ホース13の構成について図11と図12に基づいて説明する。
肥料タンク10の下端部には繰り出しバルブ12から繰り出した肥料が通過するフレキシブルの散布ホース13を取付けている。散布ホース13の下部は散布ホース固定具40に固定し、その下端部を施肥箇所に向ける構成である。散布ホース固定具40は縦長の棒40aと、縦長の棒40aの下部から横長に伸びる横長棒40bとを備える。散布ホース13は横長棒40bに取付けている。横長棒40bを後輪3の後方の幅にわたって備えることで、肥料タンク10が収容位置にあっても施肥位置にあっても、散布ホース13が後輪3に接触しないようにすることができる。また、散布ホース固定具40は上下調節機構42(本実施の形態では長孔による位置固定)で上下移動することで散布ホース13の下端部の高さ位置を調節可能に構成している。
【0030】
なお、肥料投入位置に移動することを検出するリミットスイッチを設け、肥料投入位置では繰り出しバルブ12を駆動させない構成にすることも可能である。
別実施例について説明する。
【0031】
なお、図12の仮想線で示されている肥料タンクは、肥料タンク10を肥料投入位置に移動するとき、施肥位置から後方に向かって移動することを示している。肥料タンク位置変更機構Rは移動する向きを変える構成にするだけでよい。肥料投入位置を施肥位置の後方にするメリットとして作業者が運転席4から乗降するときに肥料タンク10が邪魔にならないことが挙げられる。
【符号の説明】
【0032】
1 車体
6 ロプス
6a 縦フレーム部
6b 横フレーム部
10(10a,10b) 肥料タンク
B 支持部材
Y 移動部材
T 支持移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に支持する肥料タンクを、車体側に支持した状態で車体の後方の収容位置と車体の側方の施肥位置とに移動可能とする支持移動機構を設けたことを特徴とするトラクタ用の施肥機。
【請求項2】
肥料タンクを左右一対備え、左右の肥料タンクは車体の後方位置から車体の両側方に片方の肥料タンクずつそれぞれ独立して支持移動機構で移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項3】
車体の後方位置から側方位置に移動した肥料タンクの設置高さ位置を、側方位置より低位の肥料投入位置に移動可能とする肥料タンク位置変更機構を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項4】
車体にロプスを設け、肥料タンクをロプスに支持する支持部材と、肥料タンクを車体の後方位置から車体の側方位置へ移動するための移動部材からなる支持移動機構をロプスに取付けたことを特徴とする請求項1記載から請求項3記載いずれか記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項5】
ロプスは一対の縦フレーム部と縦フレーム部間を結ぶ横フレーム部とからなる正面視で門構えに構成し、左右の肥料タンクそれぞれの支持移動機構は縦フレーム部にそれぞれ取付け、左右の肥料タンクはそれぞれ片方の肥料タンクずつ独立して車体の後方位置から車体の側方位置へ移動可能に構成したことを特徴する請求項4記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項1】
車体に支持する肥料タンクを、車体側に支持した状態で車体の後方の収容位置と車体の側方の施肥位置とに移動可能とする支持移動機構を設けたことを特徴とするトラクタ用の施肥機。
【請求項2】
肥料タンクを左右一対備え、左右の肥料タンクは車体の後方位置から車体の両側方に片方の肥料タンクずつそれぞれ独立して支持移動機構で移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項3】
車体の後方位置から側方位置に移動した肥料タンクの設置高さ位置を、側方位置より低位の肥料投入位置に移動可能とする肥料タンク位置変更機構を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項4】
車体にロプスを設け、肥料タンクをロプスに支持する支持部材と、肥料タンクを車体の後方位置から車体の側方位置へ移動するための移動部材からなる支持移動機構をロプスに取付けたことを特徴とする請求項1記載から請求項3記載いずれか記載のトラクタ用の施肥機。
【請求項5】
ロプスは一対の縦フレーム部と縦フレーム部間を結ぶ横フレーム部とからなる正面視で門構えに構成し、左右の肥料タンクそれぞれの支持移動機構は縦フレーム部にそれぞれ取付け、左右の肥料タンクはそれぞれ片方の肥料タンクずつ独立して車体の後方位置から車体の側方位置へ移動可能に構成したことを特徴する請求項4記載のトラクタ用の施肥機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−9631(P2013−9631A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144535(P2011−144535)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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