説明

トラッキングデバイス、システムおよび方法

放射性物質をトラッキングするデバイス、容器、システム、方法に関する。デバイスは、放射能を検出するために放射性物質14を収容する放射線遮蔽エンクロージャ7を定義する容器1の範囲内に配置される放射性物質14と関連づけられる放射線検出器10;および容器1と関連可能なRF識別モジュール12を有する。RF識別モジュール12は、一意の製品識別コードを格納するデータレジスタ、放射線検出器10およびデータレジスタの各々に対するデータ伝送リンク11を有して、検出器10からの放射能データの生のデータストリームを受信して処理し、これを被処理データパケットの一意の製品識別コードと関連づけるプロセッサ、および、遠隔データキャプチャ手段への一意の製品識別コードおよび被処理放射能データの両方を含むデータ項目の伝送を可能にするアンテナ13を有し、少なくともアンテナ13は、放射線遮蔽エンクロージャの外側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に放射線を遮蔽するエンクロージャを定義する容器の範囲内において、時間とともに放射線ソース(radioisotope source)の識別のトラッキングおよび検証を可能にするデバイス、この種のデバイスを使用するシステム、および、時間とともに放射線ソースのトラッキングおよび検証をする方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線ソースは、用途の多様性に気づく。例えば、医療用の、例えばがん患者を処置するラジオグラフィ用の放射線ソースとしての用途、食品を保存する照射器としての用途、組み立てられたおよび溶接された構造物のままでの品質管理の方法としての産業ラジオグラフィにおける用途、熱電気発電のための用途、および、他の目的のための用途。
【0003】
供給、使用および処分のチェーンを通しての放射線ソースの取扱いおよび移動は、環境、健康、安全、およびセキュリティに対する潜在的脅威をもたらす。アイソトープの所在が正確にトラッキングされることは、望ましい。300を越える放射線ソースが毎年行方不明になると報告された(アリゾナ州トゥーソンで2005年2月27日〜3月3日に開催されたWM’05会議において、F TシェルドンおよびR Mウォーカーらによる、「商業目的のための放射線ソースのトラッキング」)。放射性物質のこの紛失は、環境に起因する健康および安全への脅威、さらにはセキュリティの脅威ももたらす。
【0004】
放射線ソースのトラッキングおよびモニタリングのための有効なシステムは、放射性物質の輸送へのセキュリティを増加させ、そして、ソースの不注意によるまたは違法な紛失を防止することを支援する。RFIDデバイスを使用して資産および人員のトラッキングのための方法は知られている。そして、最近の進歩は、電子的無線通信およびグローバル・ポジショニング・システムの技術成果によって支援された。この種のシステムは、例えば輸送容器のグローバルなトラッキングにおいて、広く使われている。ラジオアイソトープのトラッキングに対するRFIDの可能な適用例において、システムは、ラジオアイソトープの容器の所在をトラッキングするために、その容器に取り付けられるRFIDタグを使用してもよい。
【0005】
しかしながら、ラジオアイソトープの容器は、輸送容器に対する、そして単にスケールの考慮のみではない、多くの非常にさまざまな課題を提示する。例えば病院のような医療施設において、ラジオアイソトープが、安全な取扱いのための適切なエンクロージャすなわちカプセルの範囲内に収容されることは、一般に必要である。したがって、いかなる無線信号もその内側から伝送できる可能性がない。使用されるいかなるRFIDデバイスも、外側から伝送させる必要がある。RFIDタグを使用するラジオアイソトープのトラッキングのためのRFIDシステムにおける1つの主要な欠点は、従って、RFIDデバイスが容器に取り付けられて、その容器の所在の指示を与えるのみであるということである。放射線ソースの検査を行うために、放射線遮蔽エンクロージャの範囲内の容器の中身を、その容器を開けないままで検証することは、できない。これは、ラジオアイソトープの中身の検証は、容器の単なる検証とは対照的に、エンクロージャによって提供される放射線防護を危険にさらすことを必然的に要求するので、放射線ソース自体をトラッキングすることに関して、トラッキングシステムの効果を制限する。容器を密閉すること、および、密閉された中身を放射線防護の危険にさらさないこと、の両方を確認するシステムは、好ましい。
【0006】
かくして、本発明の第1の態様によれば、放射性物質とともに使用するためのトラッキングデバイスは:
放射線を遮蔽する密閉空間内で放射性物質からの放射能を検出するために、密閉空間内で放射性物質を収容するための容器の範囲内に配置されるのに適している、放射性物質と関連可能な放射線検出器;
放射性物質を収容するための容器と関連可能な無線周波識別モジュール;を含み、
無線周波識別モジュールは、少なくとも:
一意の製品識別コードを記憶するデータレジスタ;
検出器からの放射能データの生のデータストリームを受信して処理し、そしてこれを被処理データパケットの一意の製品識別コードと関連づけるために、放射線検出器およびデータレジスタの各々に対するデータ伝送リンクを有するプロセッサ;
遠隔データキャプチャ手段への、一意の製品識別コードおよび被処理放射能データの両方を含むデータ項目の伝送を可能にするアンテナ;を含み、
少なくともアンテナは、容器と機械的に関連して、かつ放射線を遮蔽する密閉空間の外側に配置されるのに適している。
【0007】
本発明によるトラッキングデバイスは、密閉空間内に放射線を収容して、そして放射線が密閉空間の外部の環境に伝わるのを防止することによって、安全な取扱いができるように設計された、適切なエンクロージャの範囲内に収容されている放射性アイソトープソースとともに使用することを、特に目的とする。この容器は、閉じられると外部環境から放射線学的に実質的に隔離される放射線遮蔽エンクロージャを定義する放射線遮蔽機能を含む。放射線検出器は、放射線ソースとの関連のために、そして特に、放射線を検出するためのこの種の放射線ソースを収容するのに適しているエンクロージャの内部に配置するために、提供される。無線周波識別モジュールのエレメントを含むさらなる手段は、提供される。無線周波識別モジュールは、それが関連する放射性物質を、そして特定の場合には、それが取り付けられるかまたは一体に形成される容器を識別するのに一意に役立つ、一意の製品識別コードを格納するデータレジスタ、および、遠隔データキャプチャ手段による呼掛け信号および/または、遠隔データキャプチャ手段に伝送される呼掛け信号によって、これを読み出すことができるアンテナ、を含む。その程度まで、無線周波識別モジュールは、従来のRFIDタグに同様の方法で機能する。
【0008】
しかしながら、無線周波識別モジュールの少なくともアンテナは、容器との機械的に関連して、しかし収容される空間の外側に、それ故放射線遮蔽密閉空間の外側に配置されるのに適している。しかし、無線周波識別モジュールは、加えて、放射線遮蔽密閉空間の内側で検出器から使用中に動的に流れるストリーム放射能データを受信するために、検出器に第1のデータリンクを有するプロセッサ能力を含む。プロセッサは、データレジスタに対するさらなるデータリンクを有する。例えば、データレジスタは、単一の集積回路等においてプロセッサと一体化される。このことは、プロセッサが、一意の識別コードをストリーム放射能データと共同処理して、一意の識別コードおよび放射能データの両方を組み合わせたデータ項目を生成することを可能にする。無線周波識別モジュールと関連したアンテナは、この組み合わせデータ項目を、遠隔データキャプチャ手段に、例えばこの種の遠隔データキャプチャ手段によるデバイスの呼掛け信号上に、伝送することを可能にする。
【0009】
単独で一意の製品識別を担うRFIDタグに依存する従来技術のシステムにおいて、タグは、適切な中央トラッキングシステムおよび、適切なデータ読み取りおよび通信手段の提供によって、トラッキングされることができる。しかしながら、基本的に、これは、単にタグのトラッキングを構成するのみである。タグが容器と関連している場合、容器は、それからトラッキングされることができる。しかしながら、RFIDタグ自体は、容器の中身が予想通りであるかどうか、および損なわれていないかどうかを決定する方法を提供しない。
【0010】
従来の放射線検出器自体は、例えば、放射線が容器から漏れる場合、または、容器がその中身を検査するために開かれる場合、または、ソースが収容されていない場合、放射線の検出を可能にする。しかし、密封容器の動的なトラッキングを一般に可能にしない。そこでは、容器のまさにその目的がソースを密閉して、外部環境からその密閉空間内の放射線を遮蔽することであり、そして、放射線が外部で検出されるかもしれない任意の状況によってまたはその状況において、密閉が本質的に損なわれる。
【0011】
しかしながら、本発明による組み合わせによって、放射性物質ソースと、そして好ましくは容器の内部に収容されたソースと基本的に関連する一意の製品識別コードは、ソースと関連して、例えば容器に取り付けられまたは容器と一体化される識別モジュールの形態において、格納された放射線ソースに起因する容器の内部の密閉されたかつ遮蔽された環境の範囲内での放射能の動的なモニタリングと組み合わせられることができる。適切なデータベースおよび、そのデータベースを担う適切な中央トラッキングシステムにデータを伝送することが可能な適切なデータキャプチャ手段の提供によって、特に、容器の中身に干渉するかまたは容器を直接開くことを必要とせずに、そして、トラッキング能力を備えるシステムのために利用される一般原則から基本的に逸脱せずに、容器をトラッキングする能力、およびそれらの中身を検査する能力を、リアルタイムで組み合わせることが可能である。
【0012】
放射線検出器は、放射性物質のための容器の範囲内に配置されるのに適している。そしてそれは、容器の範囲内で放射能を検出するために、使用中に高い放射線環境を含む遮蔽空間を例えば定義する。都合のよいことに、無線周波識別モジュールを構成するいくつかのまたは全部のエレメントを例えば含み、そしてアンテナを少なくとも含む他のコンポーネントは、使用中に低い放射線環境を含む、容器と機械的に関連して、かつ放射線を遮蔽する密閉空間の外側に配置されるのに適している。
【0013】
これは、例えば大規模な輸送容器を有する例として、収容されている材料に対して従来のRFIDトラッキングが使用されることに直面しない例えば病院のような医療施設において、密閉された放射線ソースの輸送によってもたらされる非常に特定の課題に、賞賛に値する方法で対処する。
【0014】
混入物または密輸品として放射性物質を担持するかもしれない輸送容器を有する場合とは異なり、エンクロージャの目的は、いかなる放射能も密閉空間から逃げるのを許さないように囲まれて放射線を遮蔽するような密閉空間に、小さい放射性物質ソースを目的を持って運び込むことである。エンクロージャは、ファラデー箱をたぶん構成することになる。そして、用いられるかもしれないいかなるRFIDデバイスも、密閉空間の外側から通信することを必要とすることになる。しかしながら、通常の使用において密閉空間の外側に放射線漏れがあってはならないので、例えば、不適当な容器の内部で放射線の未許可の伝わりを検出するとみなされるかもしれない、密閉空間の外側の放射線検出器の供給は、適当でないことにもなる。
【0015】
これらの明らかに矛盾する要求条件は、本発明によって満たされる。検出器は、使用中にソースも収容する囲まれた遮蔽空間の内側に、使用中に配置される。しかし、RFIDモジュールまたは少なくともそのアンテナは、外側にある。そして、検出器とRFIDモジュールとの間でデータを伝送することこによって、情報が密閉空間の内側から密閉空間の外側のアンテナに伝送できるように、両者間にデータ通信が提供される。
【0016】
データは、アイソトープが容器の内部にあるかどうか、および/またはそれが正しいアイソトープであるどうか、に関するものでもよい。これは、例えば、より大規模な輸送容器のより大規模なトラッキングにおいて、そして密輸品の放射線の検出において、知られるかもしれないような、外部検出器または完全に外部タグが用いられる解決と関連しない特定の課題を引き起こす。例えば、本発明の特定の適応は、エンクロージャの内部および外部で制御電子回路を要求する。そしてそれは、これらの回路の各々がどのように電力を供給されるかについて問題を引き起こす。また、重要なことは、エンクロージャの範囲内のいかなる電子回路も、放射線が強まるかまたは放射線から遮蔽されるかのいずれかでなければならない、という事実である。エンクロージャの壁を通した電気通信コンタクトは、その放射線シールを損なってはならず、そして例えば非線形パスを少なくとも要求する。これらは、この特殊用途のための非常に特定の要求条件であって、輸送容器における密輸品の放射線のトラッキングまたは検出に関する課題ではない。
【0017】
都合の良いことに、少なくともデータレジスタ、プロセッサおよびアンテナは、単一の無線周波識別ユニットにおいて互いにコンパクトに関連する。例えば、この種のいくつかのまたは全部のコンポーネントは、単一の集積固体電子ユニットを含んでもよい。好ましくは、無線周波識別ユニットは、無線周波識別タグとしての放射線遮蔽空間の外側の放射線遮蔽容器に対するユニットの取り外し可能なまたは永久的な取り付けのためのアタッチメント手段を定義するハウジングを含む。代わりに、そのユニットまたは実装部品は、この種の容器の一部として一体的に形成されてもよい。
【0018】
多くの現実的応用にとって、トラッキングデバイスは、識別ユニット、プロセッサ、アンテナおよび検出器のうちの1つ以上に電力を供給する電源を好ましくはさらに含むか、またはその電源の用途に適している。好ましくは、デバイスが主電源への接続の必要なしに作動することができるように、電源は、持ち運び可能である。デバイスは、好ましくは、持ち運び可能な電源を含むか、またはその電源の用途に適していて、例えば、バッテリまたは水素燃料電池を含む。単一の電源は、別個の電源を必要とする遠隔デバイスのすべてのそれらのエレメントに電力を供給してもよい。例えば、無線周波識別モジュールコンポーネントは、アクティブまたはセミアクティブのデバイスを含んでもよい。電源は、加えて、検出器に電力を供給してもよ。検出器は、それ自身の電源を有してもよい。
【0019】
本発明のより完全な態様において、放射性物質の貯蔵および輸送のためのトラッキング可能な容器は:
放射性物質が収容されてよい遮蔽された密閉空間を定義する放射線遮蔽材料のエンクロージャ;および、
上述のようなトラッキングデバイスであって、少なくとも検出器が前記遮蔽された密閉空間の範囲内にあり、かつデバイスの残りのものが容器と直接機械的に関連し、かつ少なくともアンテナが前記遮蔽された密閉空間の外側にあるように、容器と機械的に関連するトラッキングデバイス;を含む。
【0020】
容器は、病院のような例えば医療施設において、放射線ソースの安全な取扱いのための適切なエンクロージャまたはカプセルを備える。容器は、この種の放射性物質を密閉されたそして放射線を遮蔽する方法で収容するのに適している放射線遮蔽エンクロージャを備える。エンクロージャは、いかなる放射能も逃げられないように構成される。例えば、エンクロージャは、高密度金属材料(例えば鉛)から作られるか、または少なくともそれと整列される。
【0021】
少なくともアンテナは、放射線遮蔽空間の外側で容器と関連している。好ましい実施形態において、少なくともデータレジスタ、プロセッサおよびアンテナは、収容される放射線遮蔽空間の外側で、したがって、使用中に収容されたソースからの高い放射線強度を受ける環境の外側で、容器と関連している。例えば、少なくともこれらのコンポーネントは、容器の表面に載置されるかまたは、放射線遮蔽空間の外側に配置される容器の構造体に組み込まれてもよい。少なくともこれらのコンポーネントは、単一の無線周波識別ユニットにおいて互いにコンパクトに関連してもよい。そして、オプションとして、無線周波識別タグとしてユニットが容器に取り付けられるアタッチメント手段を定義するハウジングを含む。
【0022】
組み合わせられたデバイスの2つのアクティブコンポーネントが別々の環境において最も機能するので、この構成は特に好ましい。無線周波識別トランスポンダおよびプロセッサモジュールは、高い放射線環境の外側で最も機能する。エンクロージャは放射線を遮蔽して、したがって、ファラデー箱を構成する高密度金属材料から通常作られるかまたは、少なくともそれと整列されるので、とりわけ、アンテナは、密閉空間の外側で効果的に機能するのみである。したがって、少なくともアンテナは、そして好適な場合において、全ての無線周波識別トランスポンダおよびプロセッサモジュールは、容器の密閉空間によって定義される遮蔽された高い放射線環境の外側にある。
【0023】
対照的に、検出器は、隔離の失敗の指示を与えるために、遮蔽環境の外側で放射能を検出することを意図しない。その代わりに、検出器は、遮蔽された密閉空間に接近する必要なしに収容されている材料を識別する手段を提供するために、遮蔽環境の範囲内からの常に定期的な放射線を検出することを意図する。そして、検出器は、収容されているソースに起因する放射線を検出するために、特に高い放射線環境にあることが要求される。本発明は、中身の特定の検証のための内部的に意図された放射線を検出して特徴づけること以外に、単なる安全対策として外部的に予想外の放射線を検出することは指示されない。検出器は、したがって、使用中のソースと一緒に、密閉空間内の遮蔽された高い放射線環境の内側になければならない。
【0024】
データリンクによって、放射能データは、必要に応じて、遮蔽環境の内側の検出器から、遮蔽環境の外側のプロセッサおよびアンテナに流れ出すことができる。そして、それ故、検証信号は、エンクロージャの放射線遮蔽を損なうことなく、遮蔽された高い放射線環境の内側の中身のリアルタイム検証(そこにおいて検出される放射線の署名から)に部分的に基づく、遮蔽された高い放射線環境の外側からアドレス指定が行われる。
【0025】
本発明のさらにより完全な態様において、少なくとも1つの放射性物質ソースをトラッキングするためのシステムは:
この種の放射性物質ソースおよび/または、この種の放射性物質を密閉しかつ放射線を遮蔽するようにして収容するのに適した上述のような少なくとも1つの放射線を遮蔽する容器、と関連する上述のような少なくとも1つのトラッキングデバイス;
少なくとも1つのデータベースを含む放射性物質管理システムであって、少なくとも1つのデータベースは、その内部に保存された1組の電子データレコードを有し、1組の電子データレコードは、一意の識別コードと、少なくとも1つの、そして好ましくは各々の放射性物質ソースにとっての予想される放射能のふるまいとの間の、関連する参照を提供する、放射性物質管理システム;
一意の製品識別コードおよび、時々トラッキングデバイスからの処理された放射能データを含むデータ項目を取り込むための、そしてそのデータを管理システムに伝送するためのデータキャプチャ手段;を含み、
管理システムは、一意の製品識別コードを利用して、これにより、そのコードとの関連によって、データベースに保存された第1の組の電子データレコードを識別するために受信するのに適しており、また、その一意の製品識別コードと関連する受信した放射能データと、データベースからの予測される放射能データとを比較するのに適しており、そして、放射性物質の検証として、その比較の結果を出力するのに適している。
【0026】
典型的なシステムにおいて、上述のような多数のトラッキングデバイスが提供される。トラッキングデバイスの各々は、放射性物質ソースおよび/またはこの種の放射性物質ソースを収容するのに適した上述のような容器と関連していて、この種の前記デバイスの各々の無線周波識別モジュールのデータレジスタの各々は、一意の製品識別コードとともに提供される。少なくとも1つのデータベースは、好ましくは、それから、関連したソースごとに各々一意の識別コードと予想される放射能のふるまいとの間に関連する参照を提供する一組の格納された電子データレコードを含む。
【0027】
したがって、中央トラッキングシステムは、各ソース/容器の所在をトラッキングすることができて、および、放射能データを、想定されるソース/容器の中身についての知識から、そして特に経過時間、半減期などから、決定される予想放射能レベルと比較することができる。実際の放射能レベルが、半減期データから予測される放射能レベルと一致しない場合、ソース物質は、例えば、容器から紛失するか、または誤ったラジオアイソトープであるか、損なわれたとみなされることができる。中央トラッキングシステムは、この種の検証失敗を識別して、容器の所在を知って、矛盾を調査するために、適切な動作を始動することができる。
【0028】
測定された放射能レベルが予想放射能レベルと一致する場合、中央トラッキングシステムは、正しいラジオアイソトープが正しい容器の内部および正しい位置にあることを確認することができる。
【0029】
可能なシステムにおいて、複数の遠隔分散配置の場所で複数のトラッキングデバイスからのデータを取り込むための複数の自動のおよび/またはユーザが操作するデータキャプチャユニットをさらに含み、いくつかのまたは全部の前記データキャプチャユニットは、前記管理システムから遠隔操作されて、そして相互に遠隔データ通信を行う。したがって、複数のソースは、複数の遠隔地で、または複数の遠隔地を介して、トラッキングされてよい。
【0030】
可能なシステムにおいて、前述したことは、ビルディング・アクセスコントロールのようなエリア・アクセスコントロールの中に組み込まれてもよい。例えば、データキャプチャユニットは、エリア/ビルディングに対する、そしてこれにより、放射線ソース物質がそのエリア/ビルディングの内部または外部を通過するときに識別するために、コントロールされるアクセスの位置で、トラッキングデバイスからのデータを取り込むために提供されてもよい。
【0031】
適切な制御プロトコルについては、例えば以下のように可能である:
ラジオアイソトープを取扱う許可を与えられるエリアのみに、そして、ラジオアイソトープの取扱いにおいて訓練された人員とともに、入ることを許可する;
ラジオアイソトープが未許可のエリアに入ること、または未許可の人員と入ること、を禁止する;または、
人および/またはアイソトープが、エリアを去ることを禁止する。
【0032】
都合の良いことに、放射性物質管理システムは、受信した前記一意の製品識別コードと関連する前記容器の中身が、前記データベースに保存された予想される放射能に対応する(例えば予め定められた許容限界の範囲内)かどうかを示す、2つの状態または成否の結果の形態での検証データ結果を出力するのに適している。
【0033】
ラジオアイソトープ容器の中身が、容器の範囲内の放射能を決定するために線量計(detector count rate)によって検査されるとき、測定された放射能データは、放射能の半減期の算出を更新するために放射性物質管理システムによって記録されることができる。
【0034】
トラッキングデバイスと放射性物質管理システムとの間の、そして、適用できれば、遠隔データキャプチャユニットとトラッキングデバイスと放射性物質管理システムとの間の通信は、既知の無線通信手段によって実行される通信をともなう無線であることが好ましい。代わりに、例えば特に管理システムとデータキャプチャユニットとの間の通信の場合、通信は配線されてもよい。
【0035】
検出器は、連続モードで機能するか、一定の時間間隔で検出するか、または、識別ユニットが遠隔データキャプチャユニットによって呼掛けられたとき検出するか、に適していてもよい。
【0036】
検出器にとって持ち運びのできる電源の寿命を延ばす電力を確保するために、放射能を決定する線量(count rate)は、容器が閉じて密閉されているときにのみとられることが好ましい。
【0037】
検出器は、好ましくは、半導体物質または、直接的な材料特性として放射線ソースに直接可変的な、電気的または光電応答を本質的に示すように選択される材料から製作される検出エレメントを含む。例えば、半導体物質は、広い直接バンドギャップ半導体である。
【0038】
好適な場合において、検出エレメントを構成する半導体物質は、比較的小さいサイズ(例えば5cmおよび好ましくは1cmより小さい)の検出器が、良好な放射線量をまだ与えることができるように、ガンマ線にとっての高い吸収を有する材料を含むことが好ましい。これによって、検出器は、小さく確保されることができる。これは、無線周波識別モジュールのコンポーネントが、単一のコンパクトなユニットにおいて互いにコンパクトに関連する、好ましい実施形態の場合に特に、本発明のトラッキングデバイスは、比較的小さい空間を占める必要かあることを意味する。トラッキングデバイス/検出器が大き過ぎることに関して、トラッキングデバイスが容器とともに用いられるとき、そして特に、少なくとも検出器が容器の範囲内にあるとき、それは一般に望ましくない。容器は、ラジオアイソトープソース物質が配置されることのできる遮蔽空間を定義する。そして、それは密度の高いおよび/または高価な材料で典型的にできている。容器のサイズを増加させるのは、何であれ望ましくない。本発明によるコンパクトなトラッキングデバイスは、高密度材料で製作されるコンパクトな検出器によって、この課題を減らす。
【0039】
検出エレメントは、大きな結晶として、そして例えば大きな単結晶として形成される(この文脈における大きな結晶は、少なくとも500μmの、そして好ましくは少なくとも1mmの厚さを示す)半導体物質または材料を含むことが好ましい。
【0040】
半導体検出エレメントを構成する材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、ゲルマニウム、臭化ランタン、臭化トリウムから好ましくは選択される。グループII〜VIの半導体、および特にリストされるそれらは、この点に関しては特に好ましい。
【0041】
半導体検出エレメントを構成する材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、およびそれらの合金から好ましくは選択されて、例えば、結晶Cd1−(a+b)MnZnTe(ここで、a+b<1、そして、aおよび/またはbはゼロでもよい)を含む。
【0042】
本発明による検出器は、単一の検出エレメントまたは、多元素システムを構成する複数の別々の検出エレメントを含んでもよい。検出器は、放射能のみを計数する、空間的分解能を有しなくてもよく、または、検出器は、空間的に入射放射線を分解することができてもよい。
【0043】
本発明によるシステムは、さまざまなデータ処理およびさまざまなデータ記憶機能を実行する、さまざまなデータ処理およびデータ記憶モジュールを有する。本発明のデータ処理モジュールが機械可読命令またはコードの適切なセットを含むことができ、そして、本発明のデータ記憶機能が機械可読命令またはコードの適切なセットによって実現されることができることは、一般によく理解されている。これらの機械可読命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置上へロードされてもよい。例えば、放射性物質管理システムおよび/またはその少なくとも1つのデータベースは、適切なプログラム可能なデータ処理装置上へロードされるこの種の機械可読命令によって提供されてもよい。
【0044】
これらの機械可読命令は、特定の方法で機能するために、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を指図することができる計算機可読の媒体に格納されてもよい。計算機可読の媒体に保存されるその命令は、本発明のトラッキングシステムの、特に放射性物質管理システムにおけるいくつかのまたは全部のエレメントを備えるための命令手段を含む製品を生み出す。コンピュータ・プログラム命令は、その命令が、本発明のトラッキングシステムの、特に本発明の放射性物質管理システムにおけるいくつかのまたは全部のエレメントを提供する、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行されるように、コンピュータが実行可能な処理を実現することができる機械を生み出すために、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上にロードされてもよい。トラッキングシステムは、特殊目的のハードウェアおよび/または、プログラム可能なデータ処理装置上のコンピュータ・プログラム命令、の任意の適切な組み合わせを含んでもよいことが理解される。
【0045】
本発明のさらなる態様において、1つの、より好ましくは複数の放射性物質ソースを時間とともにトラッキングおよび検証する方法が提供される。この方法は:
内部に放射性物質が収容される放射線を遮蔽する密閉空間を定義する容器の範囲内に放射線検出器を配置することによって、放射線検出器を放射性物質と関連させるステップ;
放射線検出器とのデータ通信において無線周波識別モジュールを放射性物質と関連させるステップであって、モジュールは、少なくとも、一意の製品識別コードを保存するデータレジスタ、検出器から放射能データのデータストリームを受信し処理して、これを一意の製品識別コードと関連づけるプロセッサ、およびアンテナを含み、少なくともアンテナは、容器と機械的に関連して、かつ放射線を遮蔽する密閉空間の外側に配置される、ステップ;
一意の製品識別コードおよび処理された放射能データの両方を含むデータ項目を生成するためにプロセッサを作動させるステップ;
遠隔データキャプチャ手段を介してデータ項目を読み出すステップ;
データ項目を放射性物質ソース管理システムに伝送するステップであって、放射線ソース管理システムは、その内部に保存された1組の電子データレコードを有する少なくとも1つのデータベースを含み、1組の電子データレコードは、一意の識別コードと、各々の放射線ソースにとっての予想される放射能のふるまいとの間の、関連する参照を提供する、ステップ;
各データ項目を伝送するために、管理システムによって受信される一意の製品識別コードを、そのコードとの関連によってデータセットに保存された電子データレコードの第1の組を識別するように使用するステップ;
データベースからの予測される放射能データを、受信した放射能データと比較する(例えば予め定められた許容限界の範囲内)ステップ;
放射性物質ソースの検証として比較の結果を出力するステップ;を含む。
【0046】
好ましい実施形態において、各々が、この種の個々の放射性物質ソースを放射線を遮蔽する方法で密閉している容器と、および例えば容器上に、機械的に関連して配置されることによって、個々の放射性物質ソースと関連づけられる複数のトラッキングデバイスは、提供される。
【0047】
識別モジュールのプロセッサは、連続に基づいて、設定された時間間隔の間の周期に基づいて、または、データキャプチャステップの一部としての遠隔データキャプチャ手段によって呼掛けられたときに、上述のように放射能および識別データを処理するように動作してもよい。システムがマルチプル・トラッキングデバイスおよび/またはマルチプル・データキャプチャ手段を含む場合、この方法は、データキャプチャ手段に対する検出器の近さまたは必要に応じたその他に基づいて、ユーザ制御下の自動プロセスによって周期的または連続的に実行されてもよい。
【0048】
この方法は、したがって、以上に記述したように、そしてこの方法の他の好適な特徴が類推によって理解されるように、特に、トラッキングデバイスおよびシステムの使用方法である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明は、添付の図1を参照して一例として記述される。
【図1】図1は、本発明の実施形態に従って作動して、本発明の実施形態に従うトラッキングデバイスを使用する、ありうるトラッキングシステムの一般的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、本発明によるトラッキングシステムの簡単な概略図を示し、中央トラッキング管理システム21と通信する放射線ソース用の単一の容器1が図示される。もちろん、実際には、この種の多数の容器が概して提供され、例えば1または少数の中央トラッキング場所からトラッキングされることが理解される。
【0051】
容器1は、例えば、放射線を遮蔽する適切な壁材料によって遮蔽されるシールド空間7を定義する。シールド空間7の内部には、トラッキングすることが望ましい放射線ソース14が収容される。空間7の範囲内にはまた、適切な半導体物質の検出エレメントを含む検出器10が、適切な制御電子回路と共に設けられる。半導体物質は、実施形態において、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛、テルル化カドミウムマグネシウム、またはそれらの組み合わせから成るいくつかの適切な合金、を含む。制御電子回路は、容器の範囲内における放射能に対する半導体の応答を受信して、処理して、データリンク11を介してそれを伝送させる。
【0052】
制御電子回路の厳密な構造は、本発明に特に関連しない。検出エレメントは、比較的小型でかつ高密度であることが望ましいので、材料の選別は有意である。大型の検出エレメントは、必然的に空間7内に大きなスペースを占めて、容器1全体により大きいことを要求するので、従来の大型の検出エレメントは、この用途には非実用的である。これは、より重く、より高価にさせる。そして特に、放射線の遮蔽に対しての必要性によって課される有意な物質的な要求条件を与えられる。コンパクトな検出エレメント(例えば、テルル化カドミウムによって提供される)は、検出器全体の寸法を有意に減らして、検出器を実際的な収容空間の範囲内にもたらす。
【0053】
検出エレメントの固有の応答によって集められる放射能データは、データリンク11を介して、特定の容器1を識別する一意のコードを含む無線周波識別デバイス(RFID)12に、伝えられる。RFIDデバイス12は、加えて、検出器10からデータリンク11を介して生のデータストリームと対処することを可能にする処理手段を含むように変更される。これは、一意の製品識別データが、単一の伝送可能データパケット内における放射能データのデータストリームと関連するように、処理される。そして、伝送可能データパケットは、それから、例えば作動中の伝送によって、または受信局による呼掛け信号に応じて、容器1から遠隔に配置される受信器に、アンテナ13を介して伝送されてよい。
【0054】
電源は、持ち運びのできる電源(例えばバッテリまたは水素燃料電池)であることが好ましい。そして、電源は、検出器10に電力を供給するために、容器の内部または容器と関連した内部に設けられてもよい(図示せず)。容器が充填されかつ密閉される場合にのみ、検出器は起動されることが好ましい。これ電源またはさらなる電源は、加えて、RFIDデバイス12またはそのコンポーネント(例えばプロセッサおよび/またはアンテナ)に電力を供給してもよい。したがって、好ましくは、RFIDデバイス12は、アクティブまたはセミアクティブRFIDデバイスでもよい。
【0055】
必然的に、検出器または少なくとも検出エレメントは、シールド空間7内に収容されている放射線ソース14の放射能をその中で検出するために、シールド空間7の範囲内になければならない。しかしながら、これは、一般に電子的に厳しい環境を提供する。したがって、図示の実施形態のように、RFIDデバイス12は、そして電子制御回路およびシステムも極力、シールド空間の外側(例えば、容器の別個の区画内、または容器の表面上)に位置決めすることが好ましい。
【0056】
一意の容器識別データおよび、シールド空間からのリアルタイムのストリーム放射能データ、の両方を含むRFIDデバイス12からのデータは、アンテナ13を介して中央管理システム21に伝送されてもよい。2本の伝送可能路が図示される。単純な実施形態において、受信アンテナ19は、中央トラッキングシステム21のCPU 20に、情報を直接取り込む。より実際的な拡張されたシステムにおいて、マルチプル・データキャプチャ手段16は設けられる。それは、複数のRFIDデバイス12からデータを取り込むために、そしてそれを中央管理システムに伝送させるために、中央管理システム21から概して遠隔に、例えば複数の遠隔モニタリング場所に分配される。タグを付けられた容器、遠隔データキャプチャユニットおよび中央処理システムのこの種の一般的な配置は、一般の識別およびトラッキングシステムからよく知られている。
【0057】
しかしながら、本発明によるシステムは、つぎの点で著しく異なる。すなわち、RFIDによって伝送され、そして中央トラッキングシステムのCPU20によって最終的に読み出して処理されるデータパケットは、ただ単に識別データを含むだけでなく、その一意の識別をともなう容器と関連した収容空間の範囲内における放射能に関するストリームデータをも含む。CPU 20は、システム内の容器の各々に対する、そしてそれらのそれぞれの中身の各々に対する一意の製品識別コードに関してアクセス可能な関連ライブラリに、予測された放射能データを記憶するデータ記憶部を含む。CPUは、容器の範囲内から受信した生の放射能ストリームデータを、記憶した情報から算出される予測されたデータと比較するために比較モジュールを含み、そして、中身を検査するためにこれを使用する。単に容器の識別とトラッキングだけを提供する従来のシステムよりも機構が複雑でないデータ伝送プロセスを介しての、容器の中身のモニタリングおよびトラッキング、したがってこのような放射線ソースのより直接的な知覚は、容器自体の接近するまたは他の要求する検査のない、おそらくダイナミックでリアルタイムな方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質とともに使用するためのトラッキングデバイスであって:
放射線を遮蔽する密閉空間内で放射性物質からの放射能を検出するために、前記密閉空間内で放射性物質を収容するための容器の範囲内に配置されるのに適している、放射性物質と関連可能な放射線検出器;
放射線を遮蔽する密閉空間内で放射性物質を収容するための容器と関連可能な無線周波識別モジュール;を含み、
前記無線周波識別モジュールは、少なくとも:
一意の製品識別コードを格納するデータレジスタ;
前記検出器からの放射能データの生のデータストリームを受信して処理し、そしてこれを被処理データパケットの前記一意の製品識別コードと関連づけるために、前記放射線検出器およびデータレジスタの各々に対するデータ伝送リンクを有するプロセッサ;
遠隔データキャプチャ手段への、前記一意の製品識別コードおよび被処理放射能データの両方を含むデータ項目の伝送を可能にするアンテナ;を含み、
少なくとも前記アンテナは、容器と機械的に関連して、かつ前記放射線を遮蔽する密閉空間の外側に配置されるのに適している、トラッキングデバイス。
【請求項2】
前記アンテナ以外の前記無線周波識別モジュールを構成するいくつかのまたは全部のエレメントは、使用中に低い放射線環境を含む、容器と機械的に関連して、かつ前記放射線を遮蔽する密閉空間の外側に配置されるのに適している、請求項1に記載のトラッキングデバイス。
【請求項3】
少なくとも前記データレジスタ、プロセッサおよびアンテナは、単一の無線周波識別ユニットにおいて互いにコンパクトに関連する、請求項1または2に記載のトラッキングデバイス。
【請求項4】
前記無線周波識別ユニットは、単一の集積固体電子ユニットを含む、請求項3に記載のトラッキングデバイス。
【請求項5】
前記無線周波識別ユニットは、容器に対する無線周波識別タグとしての前記ユニットの取り外し可能なまたは永久的な取り付けのためのアタッチメント手段を定義するハウジングを含む、請求項3または4に記載のトラッキングデバイス。
【請求項6】
前記識別ユニット、前記プロセッサ、前記アンテナおよび前記検出器のうちの1つ以上に電力を供給する電源をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のトラッキングデバイス。
【請求項7】
前記電源は、バッテリまたは水素燃料電池を含んで、持ち運び可能である、請求項6に記載のトラッキングデバイス。
【請求項8】
前記検出器は、半導体物質または、直接的な材料特性として放射線ソースに直接可変的な光電応答を本質的に示すように選択される材料から製作される検出エレメントを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトラッキングデバイス。
【請求項9】
前記半導体物質は、広い直接バンドギャップ半導体である、請求項8に記載のトラッキングデバイス。
【請求項10】
前記半導体物質は、大きな単結晶として形成される、請求項8または9に記載のトラッキングデバイス。
【請求項11】
前記半導体検出エレメントを構成する材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、ゲルマニウム、臭化ランタン、臭化トリウムから選択される、請求項8〜10のいずれか1項に記載のトラッキングデバイス。
【請求項12】
前記半導体検出エレメントを構成する材料は、テルル化カドミウム、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)、テルル化カドミウムマンガン(CMT)、およびそれらの合金から選択される、請求項11に記載のトラッキングデバイス。
【請求項13】
放射性物質の貯蔵および輸送のためのトラッキング可能な容器であって:
放射性物質が収容されてよい遮蔽された密閉空間を定義する放射線遮蔽材料のエンクロージャ;および、
少なくとも前記検出器が前記遮蔽された密閉空間の範囲内にあり、そして、前記デバイスの残りのものが前記容器と直接機械的に関連し、かつ少なくとも前記アンテナが前記遮蔽された密閉空間の外側にあるように、前記容器と機械的に関連する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のトラッキングデバイス;
を含むトラッキング可能な容器。
【請求項14】
少なくとも前記データレジスタ、プロセッサおよびアンテナは、前記収容されかつ遮蔽される空間の外側で前記容器と関連している、請求項13に記載のトラッキング可能な容器。
【請求項15】
前記データレジスタ、プロセッサおよびアンテナは、前記容器の表面に取り付けられるかまたはその構造体に組み込まれる、請求項14に記載のトラッキング可能な容器。
【請求項16】
少なくとも1つの放射性物質ソースをトラッキングするためのシステムであって:
この種の放射性物質ソースおよび/または、この種の放射性物質を密閉しかつ放射線を遮蔽するようにして収容するのに適した請求項13〜15のいずれか1項に記載の少なくとも1つの放射線を遮蔽する容器、と関連する請求項1〜12のいずれか1項に記載の少なくとも1つのトラッキングデバイス;
少なくとも1つのデータベースを含む放射性物質管理システムであって、前記少なくとも1つのデータベースは、その内部に保存された1組の電子データレコードを有し、前記1組の電子データレコードは、一意の識別コードと、少なくとも1つの、そして好ましくは各々の放射性物質ソースにとっての予想される放射能のふるまいとの間の、関連する参照を提供する、放射性物質管理システム;
一意の製品識別コードおよび、時々トラッキングデバイスからの処理された放射能データを含むデータ項目を取り込むための、そしてそのデータを前記管理システムに伝送するためのデータキャプチャ手段;を含み、
前記管理システムは、前記一意の製品識別コードを利用して、これにより、そのコードとの関連によって、前記データベースに保存された第1の組の電子データレコードを識別するために受信するのに適しており、また、その一意の製品識別コードと関連する前記受信した放射能データと、前記データベースからの予測される放射能データとを比較するのに適しており、そして、前記放射性物質の検証として、その比較の結果を出力するのに適している、システム。
【請求項17】
多数のトラッキングデバイスを含み、トラッキングデバイスの各々は、放射性物質ソースおよび/またはこの種の放射性物質ソースを収容するのに適した容器と関連していて、この種の前記デバイスの各々の前記無線周波識別モジュールの前記データレジスタの各々は、一意の製品識別コードとともに提供される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
複数の遠隔分散配置の場所で複数のトラッキングデバイスからのデータを取り込むための複数の自動のおよび/またはユーザが操作するデータキャプチャユニットをさらに含み、いくつかのまたは全部の前記データキャプチャユニットは、前記管理システムから遠隔操作されて、そして相互に遠隔データ通信を行う、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記放射性物質管理システムは、受信した前記一意の製品識別コードと関連する前記容器の中身が、前記データベースに保存された予想される放射能に対応する(例えば予め定められた許容限界の範囲内)かどうかを示す、2つの状態または成否の結果の形態での検証データ結果を出力するのに適している、請求項16〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
1つの、より好ましくは複数の放射性物質ソースを時間とともにトラッキングおよび検証する方法であって:
内部に放射性物質が収容される放射線を遮蔽する密閉空間を定義する容器の範囲内に放射線検出器を配置することによって、放射線検出器を放射性物質と関連させるステップ;
前記放射線検出器とのデータ通信において無線周波識別モジュールを放射性物質と関連させるステップであって、前記モジュールは、少なくとも、一意の製品識別コードを保存するデータレジスタ、前記検出器から放射能データのデータストリームを受信し処理して、これを前記一意の製品識別コードと関連づけるプロセッサ、およびアンテナを含み、少なくとも前記アンテナは、容器と機械的に関連して、かつ前記放射線を遮蔽する密閉空間の外側に配置される、ステップ;
前記一意の製品識別コードおよび処理された放射能データの両方を含むデータ項目を生成するために前記プロセッサを作動させるステップ;
遠隔データキャプチャ手段を介して前記データ項目を読み出すステップ;
前記データ項目を放射線ソース管理システムに伝送するステップであって、前記放射線ソース管理システムは、その内部に保存された1組の電子データレコードを有する少なくとも1つのデータベースを含み、前記1組の電子データレコードは、一意の識別コードと、各々の放射線ソースにとっての予想される放射能のふるまいとの間の、関連する参照を提供する、ステップ;
各データ項目を伝送するために、前記管理システムによって受信される一意の製品識別コードを、そのコードとの関連によってデータセットに保存された電子データレコードの第1の組を識別するように使用するステップ;
前記データベースからの予測される放射能データを、受信した放射能データと比較する(例えば予め定められた許容限界の範囲内)ステップ;
放射性物質ソースの検証として前記比較の結果を出力するステップ;
を含む方法。
【請求項21】
各々、個々の放射性物質ソースと関連する複数のトラッキングデバイスが提供される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
複数の遠隔データキャプチャ手段が提供されて、データは複数の場所で集められる、請求項20または21に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−509488(P2012−509488A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543819(P2011−543819)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051542
【国際公開番号】WO2010/058202
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(507282783)クロメック リミテッド (23)
【住所又は居所原語表記】NetPark Incubator, Thomas Wright Way, Sedgefield, County Durham TS21 3FD (GB)
【Fターム(参考)】